JP3426880B2 - 高強度フェライト系耐熱鋼用溶接材料 - Google Patents
高強度フェライト系耐熱鋼用溶接材料Info
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Description
れる蒸気発生器、ボイラ等の熱交換器など、特に550
℃以上の高温環境下で使用される高強度フェライト系耐
熱鋼の溶接に好適な溶接材料に関する。 【0002】 【従来の技術】ボイラ、化学工業、原子力用などの高温
耐熱耐圧部材としては、オーステナイト系ステンレス
鋼、Cr含有量が9〜12%の高Crフェライト鋼、2
・1/4Cr−1Mo鋼の代表される低Crフェライト
鋼、炭素鋼などがあるが(以下、合金成分の含有量はす
べて重量%を意味する)、これらは対象部材の使用温
度、圧力、使用環境などに応じ、かつ経済性を考慮して
選択されている。それらの中でも、経済性の観点から、
高強度を有する9Cr鋼の使用量が飛躍的に増加してい
る。しかし、その9Cr鋼を溶接する際には、従来から
使用されている2・1/4Cr−1Mo鋼に比べ、溶接
後に高い温度で応力除去焼鈍(後熱処理)が要求され、
コストアップの一因となっていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は溶接後
の溶接金属が既存の9Cr鋼用溶接材料と同等以上の高
温強度を有し、溶接後の応力除去焼鈍熱処理(後熱処
理)なしでも、溶接金属の靱性に優れた後熱処理不要の
9Cr鋼用溶接材料を提供するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、従来添加元素
として用いられていなかったRe元素を添加した溶接材
料であって、重量%で、C:0.04〜0.06%、S
i:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、P:
0.002〜0.025%、S:0.001〜0.01
5%、Cr:7.5〜9.5%、Ni:0.01〜0.
5%、Mo:0.1〜0.3%、V:0.01〜0.5
%、W:0.1〜2%、Nb:0.01〜0.2%、R
e:0.03〜0.5%、Al:0.003〜0.05
%、B:0.0001〜0.01%、N:0.003〜
0.03%を含み残部は鉄および不可避的不純物からな
り、さらにMo/3+W/2+Re≧0.5%およびC
+Cr/20+Mo/15+V/10+W/7+Re/
3+5×B≦0.8%の関係を満たすことを特徴とする
後熱処理不要な高強度フェライト系耐熱鋼用溶接材料を
提供するものである。以下に各成分の作用とその含有量
の選定理由を説明する。 【0005】 【発明の実施の形態】CはCr、Fe、W、V、Nbと
結合して炭化物を形成し、高温強度に寄与するととも
に、それ自身がオーステナイト安定化元素として組織を
安定化する。0.04%未満では炭化物析出が不十分
で、クリープ破断強度が低く、また、0.06%を越え
る場合は炭化物が過剰析出して溶接金属が著しく硬化し
衝撃特性が悪化する。また、溶接作業性もCの添加量に
比例して悪くなるため、Cの適正含有量は0.04〜
0.06%である。 【0006】Siは脱酸剤として働き、0.3%を越え
ると靱性が著しく低下し、強度に対しても有害である。
Siの含有量は0.1〜0.3%とする。 【0007】Mnは組織の安定化に有効であるが、0.
1%未満では十分な効果が得られず、0.3%を越える
と溶接金属を硬化させる。よってMnの含有量は0.1
〜0.3%とする。 【0008】P,Sはいずれも靱性、加工性に有害な元
素で、Sが極微量であっても粒界やCr2 O3 スケール
皮膜を不安定にし、強度、靱性低下の原因となるから、
上記の許容範囲内でもできるだけ少ないほうがよい。不
可避な含有量として、Pは0.002〜0.025%、
Sは0.001〜0.015%とした。 【0009】Crは耐熱鋼の耐酸化性、高温腐食性の点
から不可欠な元素であり、その含有量が7.5%未満で
は十分な耐酸化性、高温腐食性が得られない。一方、
9.5%を越えて添加するとδフェライトの分量が多く
なり強度と靱性を損ない、経済性の観点からも不利とな
る。従って、Crの含有量は7.5〜9.5%とする。 【0010】Niはオーステナイト安定化元素であり、
かつ靱性改善に寄与するが、その含有量が0.5%を越
えると高温クリープ強度を損なう。また経済性を鑑みて
も大量添加は不利である。従ってNiの含有量は0.0
1〜0.5%とする。 【0011】VはC、Nと結合してV(C,N)等の微
細析出物を形成する。この析出物は高温での長時間クリ
ープ強度の向上に大きく寄与するが、0.01%未満で
は十分な効果が得られず、0.5%を越える場合にはか
えってクリープ強度と靱性を損なう。よって、Vの適正
含有量は0.01〜0.5%である。 【0012】Moはクリープ強度の向上に有効である
が、0.1%未満では十分な効果が得られず、0.3%
を越えると高温で金属間化合物が析出し靱性が低下する
だけでなく、強度に対しても効果がなくなる。従って、
0.1〜0.3%とした。 【0013】Wは固溶強化および微細炭化物析出強化元
素としてクリープ強度の向上に有効であり、特にMoと
の複合添加により、さらにクリープ強度を高めることが
できる。0.1%未満では効果がなく、2%を越えると
鋼を硬化させ溶接作業性も損なうため、0.1〜2%の
範囲とする。 【0014】Reの添加は本発明ワイヤ成分の特徴であ
り、添加量に比例してクリープ強度を高めることを見い
だした。これは固溶強化によるものであるが、重要なこ
とは同様の働きをするMoやWと同時添加しても、さら
に、クリープ強度が増すことである。よって、経済性を
考え0.03〜0.5%とするのが適当である。 【0015】Mo、WおよびReについてはさらに、M
o/3+W/2+Re≧0.5%の関係を満たすように
添加する。これは、さまざまな化学成分の溶接金属の高
温強度を調査した結果、その強度はMo、WおよびRe
の添加量と綿密な関係があり、それらは上記式で表した
ように、同量の添加量ではReはMoおよびWのそれぞ
れ3倍および2倍の効果があることが明らかとなった。
そこで、母材と同等以上の高温強度を保つために、上記
式が0.5%以上となるようにする。 【0016】NbはVと同様C、Nと結合してNb
(C,N)を形成しクリープ強度に寄与する。特に60
0℃以下の比較的低温では著しい強度改善効果を示す。
また、溶接金属の組織を微細化する効果もあり、適量で
あれば靱性改善にも効果がある。0.01%未満では上
記の効果が得られず、また0.2%を越える場合は未固
溶NbCが増えクリープ強度と靱性を損なう。したがっ
てNb含有量は0.01%〜0.2%が適当である。 【0017】Alは脱酸素元素として必須であり、含有
量として0.003%未満では効果がなく、0.05%
を越える場合はクリープ強度を損なうため、Alの含有
量は0.003〜0.05%とする。 【0018】Bは極微量の添加により炭化物の分散、安
定化させる効果がある。0.0001%未満ではその効
果が小さく、0.01%を越えると加工性を損なうか
ら、Bの添加はその含有量を0.0001〜0.01%
の範囲にするのがよい。 【0019】NはV、Nbとの炭窒化物形成に必要で
0.003%未満ではその効果がない。しかしながら
0.03%を越える場合は組織が微細化するともに窒化
物が粗大化し、強度と靱性を損なう。よってNの含有量
は0.03%以下とし、0.003〜0.03%とす
る。 【0020】C、Cr、Mo、V、W、ReおよびBに
ついてはさらに、C+Cr/20+Mo/15+V/1
0+W/7+Re/3+5×B≦0.8%を満たすよう
添加する。これは、上記式は満たす範囲であれば、溶接
時に、溶接金属に割れの発生がなく、溶接作業性に悪影
響を与えないことを見いだしたからである、0.8%を
越える場合は溶接金属中に割れが発生したり、作業性が
悪くなる。 【0021】 【実施例】発電用火力設備の技術基準に準拠した市販の
9Cr鋼板(火SCMV28)で図1に示すような開先
(被溶接材1の厚さt=20mm、開先角度θ=20
°、裏当材2使用でルートギャップL=20mm)を形
成し、表1に示す成分組成のワイヤ径:1.6mmの溶
接ワイヤを用い、表2に示すように、200℃の予熱の
もとにTIG溶接した。得られた溶接金属には後熱処理
(応力除去焼鈍)を行わず、クリープ破断試験片とシャ
ルピー衝撃試験片を採取し、評価を行った。クリープ破
断試験は試験温度を650℃とし、応力は70MPaお
よび100MPaとした。シャルピー衝撃試験は0℃に
て2mmVノッチ試験片により、衝撃試験を実施した。
表3に試験結果を示す。 【0022】 【表1】【0023】 【表2】【0024】 【表3】 【0025】ワイヤT1〜T4はいずれも本発明の要件
を満たしており、溶接金属はマルテンサイト単相組織と
なった。本発明の溶接材料で溶接した溶接金属では母材
(火SCMV28)のクリープ破断強度をも越えてお
り、また、0℃での衝撃特性についても、吸収エネルギ
ーで150J以上と、後熱処理を省略しても高強度と靱
性を兼ね備えた溶接材料であることが確認された。な
お、本発明溶接材料を現在の一般的な溶接条件で施工し
た場合の特性についても、予熱後熱を省略した場合と同
等であることを確認した。 【0026】ワイヤT10〜T14は比較例を示す。ワ
イヤT10は現在9Cr鋼(火SCMV28)用として
使用されているワイヤの例である。本発明範囲外の成分
となっており、後熱処理なしでは、衝撃特性も低いもの
であった。T11〜T14も本発明範囲外の成分となっ
ている。T11はMo/3+W/2+Re=0.41%
であり、クリープ破断特性が悪く、また、溶接作業性も
悪い。T12、T13およびT14はT10およびT1
1に比べ、Mo/3+W/2+Re>0.5%となって
おり、クリープ破断特性が改善されているが、いずれも
C+Cr/20+Mo/15+V/10+W/7+Re
/3+5×B>0.8%となっており、溶接時の割れの
発生があり、溶接作業性が悪く、実用に耐えられない。
以上から、比較例では、クリープ破断特性、衝撃特性お
よび溶接作業性を全て満たすようなものではなく、後熱
処理なしには、使用できない溶接材料であることがわか
る。 【0027】 【発明の効果】本発明溶接材料は従来の9Cr鋼用溶接
ワイヤと比較して、高温でのクリープ強度を著しく高め
たものであり、靱性および作業性などの特性にも優れて
いる。各種発電用ボイラ、化学圧力容器などに使用され
る9Cr鋼を溶接する際に本発明の溶接材料を使用する
ことにより、溶接継手の信頼性を大幅に向上できるとと
もに、後熱処理を省略でき、工作性が改善される。
の試験片を採取するのに用いた開先の形状を示す図。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量%で、C:0.04〜0.06%、
Si:0.1〜0.3%、Mn:0.1〜0.3%、
P:0.002〜0.025%、S:0.001〜0.
015%、Cr:7.5〜9.5%、Ni:0.01〜
0.5%、Mo:0.1〜0.3%、V:0.01〜
0.5%、W:0.1〜2%、Nb:0.01〜0.2
%、Re:0.03〜0.5%、Al:0.003〜
0.05%、B:0.0001〜0.01%、N:0.
003〜0.03%を含み残部は鉄および不可避的不純
物からなり、さらにMo/3+W/2+Re≧0.5%
およびC+Cr/20+Mo/15+V/10+W/7
+Re/3+5×B≦0.8%の関係を満たすことを特
徴とする後熱処理不要な高強度フェライト系耐熱鋼用溶
接材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31756096A JP3426880B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | 高強度フェライト系耐熱鋼用溶接材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31756096A JP3426880B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | 高強度フェライト系耐熱鋼用溶接材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10156581A JPH10156581A (ja) | 1998-06-16 |
JP3426880B2 true JP3426880B2 (ja) | 2003-07-14 |
Family
ID=18089628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31756096A Expired - Fee Related JP3426880B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | 高強度フェライト系耐熱鋼用溶接材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3426880B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101767254B (zh) * | 2008-12-31 | 2011-09-14 | 江苏新华合金电器有限公司 | 一种超低碳马氏体耐磨自动焊丝 |
-
1996
- 1996-11-28 JP JP31756096A patent/JP3426880B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101767254B (zh) * | 2008-12-31 | 2011-09-14 | 江苏新华合金电器有限公司 | 一种超低碳马氏体耐磨自动焊丝 |
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JPH10156581A (ja) | 1998-06-16 |
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