JP3426319B2 - 廃芳香族ポリカーボネート樹脂のリサイクル方法 - Google Patents

廃芳香族ポリカーボネート樹脂のリサイクル方法

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JP3426319B2
JP3426319B2 JP00164794A JP164794A JP3426319B2 JP 3426319 B2 JP3426319 B2 JP 3426319B2 JP 00164794 A JP00164794 A JP 00164794A JP 164794 A JP164794 A JP 164794A JP 3426319 B2 JP3426319 B2 JP 3426319B2
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将夫 鈴木
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は廃芳香族ポリカーボネー
ト樹脂のリサイクル方法に関する。更に詳しくは、不用
の芳香族ポリカーボネート樹脂を分解して芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の原料に転換して再利用する廃芳香族ポ
リカーボネート樹脂のリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は優れた透
明性、光学特性及び強靭な物性を有するのでレンズ、コ
ンパクトディスク、建築材料、自動車部品、OA機器のシ
ャーシー、カメラボディ等種々の用途に利用されている
極めて付加価値の高い材料であり、ますます需要が増加
しつつある。これらの製品はその利用が終了すると、多
くは廃棄物として焼却又は地中に埋める等の方法で処分
されている。これは重大な資源の無駄であるばかりでな
く、昨今増大する廃プラスチックの廃棄が地球環境問題
として社会問題化しており、規制の対象になりつつあ
る。一方、廃芳香族ポリカーボネート樹脂を再成形して
利用されることが行われている。しかしながら、再成形
すると分子量の低下、物性の低下、着色等の問題があ
り、大量に再利用することは困難である。また、再利用
するとしても、その使用後は廃棄されるため本質的なリ
サイクルになっていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、廃芳香族ポ
リカーボネート樹脂を分解して得られる芳香族ジヒドロ
キシ化合物やジアリールカーボネート化合物を再び芳香
族ポリカーボネート樹脂の原料として利用する本質的な
リサイクル方法を提供することを目的とする。
【0004】本発明者は、廃芳香族ポリカーボネート樹
脂をフェノールと共に加熱分解させて芳香族ジヒドロキ
シ化合物及びジアリールカーボネート化合物として回収
する廃芳香族ポリカーボネート樹脂のリサイクル方法を
先に提案した。
【0005】この方法により得られた芳香族ジヒドロキ
シ化合物及びジアリールカーボネート化合物は、分解反
応物から分離精製されて再利用される。しかしながら、
未反応のフェノール、芳香族ジヒドロキシ化合物及びジ
アリールカーボネート化合物を例えば蒸留、再結晶、抽
出等の方法の組合せにより工業的に分離精製すると、工
程が長くなり、多数の設備及び付帯設備を要するのでコ
ストの増大を招き、リサイクルがコストに合わなくなる
弊害が生じ、また地球環境保護の点からもエネルギーの
多大な消費は好ましくなく、本質的なリサイクルにはな
らない。更に、上記方法で分離回収すると、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物の熱
安定性が充分でないため、その分離精製の途中で好まし
くない副反応が起こり、かえって品質の低下、収率の低
下等を招く問題があった。
【0006】本発明者は、上記問題を解決すべく、分解
反応生成物をそのまま溶融重合の原料として芳香族ポリ
カーボネート樹脂を製造することを試みたところ、得ら
れた芳香族ポリカーボネート樹脂は着色し、商品価値の
ないものであった。本発明者は、この方法について更に
研究した結果、上記の着色した芳香族ポリカーボネート
樹脂からフェノール類が溶出することを究明し、分解反
応生成物から重合停止剤を分離すれば、驚くべきこと
に、芳香族ポリカーボネート樹脂の品質を低下させるこ
となく、原料として経済的にリサイクルできることを見
出し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、重合停止剤を
用いて製造した廃芳香族ポリカーボネート樹脂又は重合
停止剤を用いて製造した廃芳香族ポリカーボネート樹脂
を含む廃芳香族ポリカーボネート樹脂を、フェノールと
共に加熱してエステル交換反応により分解させて芳香族
ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物
を回収する廃芳香族ポリカーボネート樹脂のリサイクル
方法において、該エステル交換反応により得られた芳香
族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合
物を含む反応液から重合停止剤を分離した後そのまま芳
香族ポリカーボネート樹脂を製造する溶融重合反応工程
に供給することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート
樹脂のリサイクル方法である。
【0008】本発明で対象とする廃芳香族ポリカーボネ
ート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート
前駆物質とを溶液法や溶融法で合成した芳香族ポリカー
ボネート樹脂であり、その合成中や成形中に発生した屑
ポリマーや不良品、その利用が終了したり不用になった
芳香族ポリカーボネート樹脂製品等である。芳香族ポリ
カーボネート樹脂の原料である芳香族ジヒドロキシ化合
物としては、通常2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(以下ビスフェノールAと略称する)が使
用されているが、本発明にあっては、かかるビスフェノ
ールAの芳香族ポリカーボネート樹脂に限らず、他の芳
香族ジヒドロキシ化合物の芳香族ポリカーボネート樹脂
も対象とする。
【0009】かかる廃芳香族ポリカーボネート樹脂は必
要に応じて前処理を施し、又は施すことなく本発明の方
法に適用できるが、前処理するのが好ましい場合が多
い。前処理としては任意の方法が採用される。例えば廃
芳香族ポリカーボネート樹脂にごみ、油脂、その他の汚
染物質が付着している場合には充分洗浄するのが好まし
く、コンパクトディスクや光磁気ディスク等のディスク
類の場合は、その表面や裏面に加工されている加工層や
印刷層等を剥離除去してから適用するのが好ましく、廃
芳香族ポリカーボネート樹脂がアロイの場合は、予め芳
香族ポリカーボネート樹脂成分を分離してから適用する
のが好ましい。要は分解反応に不純物が混入することを
極力避けるのが好ましい。また、取扱性及び反応の点か
ら予め粉砕しておくのが好ましい。
【0010】廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応
に用いるフェノールに水が存在すると、得られるジアリ
ールカーボネート化合物のカーボネート基が加水分解す
るので、フェノールの含水率を5重量%以下、好ましく
は1重量%以下、特に0.5重量%以下にするのが好ま
しい。使用量は廃芳香族ポリカーボネート樹脂に対して
通常0.8〜1000倍重量、好ましくは1〜100倍
重量であり、フェノールは溶媒としての作用も果たすの
で5〜20倍重量が特に好ましい。
【0011】フェノールと廃芳香族ポリカーボネート樹
脂のエステル交換による分解反応は、生成する芳香族ジ
ヒドロキシ化合物やジアリールカーボネート化合物が更
に分解したり、副反応を起すような高温度であってはな
らない。通常フェノールの融点〜200℃、好ましくは
100〜200℃、特に好ましくは150〜190℃で
ある。この分解反応は、高温高圧下で行っても又はエス
テル交換反応触媒を用いてもよいが、触媒は特に必要な
く、マイルドな条件下で分解反応を進めるのが副反応の
発生を防ぐ点で好ましく、通常大気圧下で充分である。
【0012】本発明にあっては得られた分解反応物から
重合停止剤を分離除去する。重合停止剤を分離するに当
り、分解反応物をそのまま用いても、又は未反応のフェ
ノールを濃縮した後重合停止剤を分離してもよい。本発
明で対象とする重合停止剤は、フェノールの沸点より高
い沸点を有するフェノール類であり、特に沸点が190
〜340℃のフェノール類が好ましい。かかるフェノー
ル類としては例えば2−sec −ブチルフェノール、2−
tert−ブチルフェノール、4−sec −ブチルフェノー
ル、4−tert−ブチルフェノール、2,3−ジメチルフ
ェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメ
チルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4
−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、
4−クミルフェノール、 o−クレゾール、 m−クレゾー
ル、 p−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチ
ルフェノール、4−エチルフェノール、4−tert−オク
チルフェノール、2−プロピルフェノール、4−プロピ
ルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソ
プロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール等が
あげられる。
【0013】分解反応物から重合停止剤を分離除去する
には通常蒸留法によるが、蒸留法では分離除去し難いと
き又は分離除去できないときは晶析法による。蒸留法
は、実質的に中性の、必要なら安定剤を添加した分解反
応物を蒸留装置に供給し、蒸留装置の上部よりフェノー
ル及び重合停止剤を留去し、蒸留装置の下部から芳香族
ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合物
を取出す。蒸留装置の分離条件は装置の構造により異な
るが、通常100〜300℃、好ましくは120〜25
0℃、特に好ましくは120〜200℃であり、圧力は
5〜760Torr、好ましくは10〜500Torr、特に好
ましくは20〜300Torrである。上記上限温度を越え
ると芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネ
ート化合物の好ましからざる副反応が起り、そのまま用
いたのでは溶融重合反応により得られる芳香族ポリカー
ボネート樹脂の品質が低下するので好ましくない。上記
下限の温度では装置が過大になり不経済である。
【0014】晶析法は、反応液を42〜80℃、好まし
くは45〜60℃まで冷却し、結晶として析出した芳香
族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化合
物を母液から分離する。重合停止剤は母液中へ分離され
る。分離された結晶は必要に応じてフェノール、含水フ
ェノール又はフェノール類を溶解し結晶を溶解し難い有
機溶剤で1〜数回洗浄する。洗浄はフェノール又は含水
フェノールが好ましく用いられ、そのまま溶融重合反応
工程へ供給される。有機溶剤の場合は残留有機溶剤を更
に除去する必要がある。
【0015】かくして得られたフェノールを含むか又は
含まない芳香族ジヒドロキシ化合物やジアリールカーボ
ネート化合物は、溶融状態のまま又は一旦固化した後溶
融重合反応工程に供給され、そのまま又は新しい芳香族
ジヒドロキシ化合物やジアリールカーボネート化合物と
共に常法に従って溶融重合される。溶融重合には任意の
触媒が用いられ、また必要に応じて任意の添加剤を用い
ることもできる。
【0016】
【実施例】以下に実施例をあげて更に説明するが、本発
明はこれに何等制限されるものではない。実施例中の部
及び%は重量を基準としたものである。
【0017】[実施例1] (a)予め粉砕したコンパクトディスク100部と水10
0部とをオートクレーブに仕込み、120℃で2時間保
持した後冷却し、取出して流水で洗浄し、剥離した加工
層を洗い流し、乾燥して芳香族ポリカーボネート樹脂9
7.3部を回収した。
【0018】(b)次いで得られた芳香族ポリカーボネー
ト樹脂95.4部にフェノール(含水率0.1%)60
0部を加え、攪拌下還流状態で1時間加熱した。得られ
た反応混合物を高速液体クロマト装置により分析したと
ころビスフェノールA85.1部、ジフェニールカーボ
ネート79.8部、フェノール531.0部及び p−te
rt−ブチルフェノール1.8部が含まれていた。
【0019】(c)この反応混合物を、薄膜遠心式フラッ
シュ装置により150℃、300Torrの条件下でフェノ
ールを留去して溶液334.7部を得た。この溶液を内
径20mm、高さ1m の充填塔式蒸留塔(スルザーパッキ
ング EX 使用)により150℃に保持したまま300To
rrから次第に50Torrまで真空度を上げながら回分蒸留
してフェノールと p−tert−ブチルフェノールを留去し
た。得られた混合液を同様に分析したところビスフェノ
ールA85.0部、ジフェニールカーボネート79.6
部であり、フェノール及び p−tert−ブチルフェノール
は含まれていなかった。
【0020】(d) 得られた混合液を窒素ガスで充分に置
換した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.
00915部(0.0001モル)を加え、240℃、
30Torrで溶融重合し、フェノールの留出が止まった時
点で窒素ガスで大気圧に戻した。反応には2時間を要し
た。得られた反応物の極限粘度(塩化メチレン中20℃
でウベローデ粘度計を用いて測定)は0.37dl/g 、
色相(成形した芳香族ポリカーボネート樹脂試験片を透
過法で測定した場合の黄色度)は1.7であり、良好な
芳香族ポリカーボネート樹脂が得られた。
【0021】[実施例2]実施例1(b)で得た反応混合
物をそのまま50℃まで冷却し、析出した固体を濾過分
離し、更にフェノールで2回洗浄した。得られた固体を
実施例1と同様に高速液体クロマト装置により分析した
ところビスフェノールA68.1部、ジフェニールカー
ボネート63.8部、フェノール28.1部が含まれて
おり、 p−tert−ブチルフェノールは含まれていなかっ
た。この固体を用いて実施例1と同様に溶融重合したと
ころ極限粘度0.37dl/g 、色相1.6と良好な芳香
族ポリカーボネート樹脂が得られた。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法により安価に回収された芳
香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート化
合物から溶融重合反応により品質上問題のない芳香族ポ
リカーボネート樹脂が得られ、その奏する効果は格別な
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−287295(JP,A) 特開 平6−56985(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 11/24 C08G 64/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合停止剤を用いて製造した廃芳香族ポリ
    カーボネート樹脂又は重合停止剤を用いて製造した廃芳
    香族ポリカーボネート樹脂を含む廃芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂を、フェノールと共に加熱してエステル交換反
    応により分解させて芳香族ジヒドロキシ化合物及びジア
    リールカーボネート化合物を回収する廃芳香族ポリカー
    ボネート樹脂のリサイクル方法において、該エステル交
    換反応により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物及びジ
    アリールカーボネート化合物を含む反応液から重合停止
    剤を分離した後そのまま芳香族ポリカーボネート樹脂を
    製造する溶融重合反応工程に供給することを特徴とする
    廃芳香族ポリカーボネート樹脂のリサイクル方法。
  2. 【請求項2】重合停止剤が、フェノールの沸点より高い
    沸点を有するフェノール類である請求項1記載の廃芳香
    族ポリカーボネート樹脂のリサイクル方法。
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