JP3425114B2 - Pbフリー型フェライト系快削ステンレス鋼 - Google Patents

Pbフリー型フェライト系快削ステンレス鋼

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JP3425114B2
JP3425114B2 JP2000070257A JP2000070257A JP3425114B2 JP 3425114 B2 JP3425114 B2 JP 3425114B2 JP 2000070257 A JP2000070257 A JP 2000070257A JP 2000070257 A JP2000070257 A JP 2000070257A JP 3425114 B2 JP3425114 B2 JP 3425114B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はステンレス鋼、特
に快削性を有するフェライト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】切削加工を必要とする機器や部品等の生
産性向上のために、使用素材として、被削性向上元素と
してS、Pb、SeあるいはBiなどを含有させた快削
ステンレス鋼が使用されることがある。その中でも、こ
れら被削性向上元素を比較的多く含有させることがで
き、かつ高い耐食性が得られ、高価なNiを多く含有し
ないフェライト系快削ステンレス鋼が広く用いられてい
る。特に、精密な仕上加工が施されるなど被削性が特に
求められる場合には、被削性をさらに向上させるため、
被削性向上元素の含有量を増加させたり、あるいは複数
種類の被削性向上元素を複合添加したりすることも行わ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、被削性向上元
素としてのSはMnS等の形で添加されることも多い
が、添加量が増加しすぎると耐食性を大きく低下させる
ばかりでなく、熱間加工性や冷間加工性が損なわれるこ
とにもつながる。そのため、Mn含有量を制限するとと
もに硫化物中のCr含有量を高めて、耐食性低下を抑制
することも提案されている。しかし、硫化物中のCr量
を高めることは、被削性や熱間加工性を低下させる傾向
も招きやすく、その用途は限定される。
【0004】一方、被削性向上元素としてのPbは、S
に比べ耐食性や冷間加工性を低下させる程度が小さく被
削性を向上させることから、非常に有用な元素であり、
単独またはSなどと複合して使用されている。しかし、
環境保護に対する関心が地球規模で高まりつつある近年
では、Pbを含有する鋼は次第に敬遠されるようになっ
ており、その使用を制限する機器や部品も多くなりつつ
ある。そのため、Pbを実質的に含有せず、高い被削性
を有するステンレス鋼が求められるようになってきてい
る。
【0005】本発明の課題は、優れた被削性、耐食性さ
らには冷間ないし熱間加工性の要求される機器ないし部
品の素材に適し、かつ、Pbの含有量を大幅に削減した
Pbフリー型フェライト系ステンレス鋼を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明のPbフリー型フェライト
系快削ステンレス鋼(以下、単に本発明のステンレス鋼
ともいう)は、Niを含有しないか、又は含有していて
もその含有量が2.0質量%以下とされ、12〜35質
量%のCr及び0.005〜0.2質量%のCを含有
し、Tiの含有量をWTi(質量%)、Zrの含有量をW
Zr(質量%)として、WTi+0.52WZrが0.03〜
1.2質量%となるように、TiとZrとの少なくとも
いずれかを含有し、0.01〜0.5質量%のSと、
0.01〜0.4質量%のSeとの少なくともいずれか
を含有し、Cの含有量をWC(質量%)としたとき、
(WTi+0.52WZr)/WCが5.8〜20であり、
SとSeとの合計含有量が、Cの含有量の2倍以上であ
り、さらに、TiとZrとの少なくともいずれかを金属
元素成分として含有し、その金属元素成分との結合成分
として、必須成分としてのCと、さらにSとSeとの少
なくともいずれかを含有する(Ti,Zr)系化合物が
組織中に形成されていることを特徴とする。
【0007】上記のような組成範囲のC、Zr及び/又
はTi、S及び/又はSeを含有させることにより、鋼
組織中に(Ti,Zr)系化合物を生成することが可能
となり、かつ、この化合物の形成により、Pbを添加す
ることなくフェライト系ステンレス鋼に良好な被削性を
付与することができる。また、MnSあるいは(Mn,
Cr)S等の、耐食性や熱間加工性低下を招きやすい化
合物の形成も防止ないし抑制することができ、ひいては
鋼材の耐食性、冷間加工性あるいは熱間加工性も良好に
維持できる。つまり、本発明によれば、熱間加工性、冷
間加工性、耐食性をほとんど犠牲にせず、被削性に優れ
たPbフリー型のフェライト系ステンレス鋼を実現でき
る。なお、Pbの含有量は0.1重量%以下であるのが
よく、望ましくは、不可避不純物を除いてPbが含有さ
れていないのがよい。
【0008】本発明のステンレス鋼において形成される
(Ti,Zr)系化合物は、鋼のフェライト系マトリッ
クス相中に分散形成することができる。特に、該化合物
をマトリックス中に微細に分散させることにより、鋼の
被削性をさらに高めることができる。該効果を高めるた
めには、鋼材の研磨断面組織において観察される(T
i,Zr)系化合物の寸法(観察される化合物粒子の外
形線に位置を変えながら外接平行線を引いたときの、そ
の外接平行線の最大間隔にて表す)の平均値は、例えば
0.1〜10μm程度であるのがよく、また、その組織
中の面積率は0.1〜10%程度であるのがよい。
【0009】(Ti,Zr)系化合物は、組成式(T
i,Zr)(S,Se)にて表される化合物
(以下、炭硫/セレン化物という)を少なくとも含有す
るものとすることができる。この化合物において、Ti
及びZrは、いずれか一方のみが含有されていても、双
方ともに含有されていてもいずれでもよい。また、S及
びSeについても、いずれか一方のみが含有されていて
も、双方ともに含有されていてもいずれでもよい。該組
成式で表される化合物の含有により、鋼の被削性をさら
に良好なものとできるほか、鋼の耐食性改善にも効果が
ある。
【0010】なお、鋼中の(Ti,Zr)系化合物の同
定は、X線回折(例えば、ディフラクトメータ法)や電
子線プローブ微小分析(EPMA)法により行うことが
できる。例えば、(Ti,Zr)(S,Se)
の化合物にて存在しているか否かは、X線ディフラクト
メータ法による測定プロファイルに、対応する化合物の
ピークが現れるか否かにより確認できる。また、組織中
における該化合物の形成領域は、鋼材の断面組織に対し
てEPMAによる面分析を行い、Ti、Zr、S、Se
あるいはCの特性X線強度の二次元マッピング結果を比
較することにより特定できる。
【0011】以下、本発明のステンレス鋼における各成
分の含有範囲の限定理由について説明する。 (1)C:0.005〜0.2質量% Cは、被削性を向上させる化合物として構成される重要
な元素である。ただし、含有量が0.005質量%未満
では十分な被削性付与効果が発現せず、また0.2質量
%を超えると、被削性向上に対し効果的でない単体の炭
化物が多量に生成する。Cの添加量は、より望ましくは
0.01〜0.1質量%とするのがよい。なお、(T
i,Zr)系化合物など、被削性を向上させる化合物の
構成元素の量に応じて、Cの添加量は被削性付与効果が
最適化されるように適宜調整するのがよい。なお、本発
明のPbフリー型フェライト系快削ステンレス鋼は、焼
きなまし処理により主相がフェライト化するものを総称
し、例えば、焼入れによりマルテンサイト相を生成する
ものであってもよい(例えば、切削加工後に焼入れ処理
をして用いることもありうる)。
【0012】(2)Ni:2.0質量%以下 Niは、耐食性、とくに還元性酸環境中での耐食性を向
上させるのに有効であることから必要に応じて添加でき
る。しかしながら、過剰な添加は、フェライト相の安定
性を低下させるほか、コストの上昇を招くことから2.
0質量%を上限とする。なお、Niの添加量はゼロであ
ってもよい。
【0013】(3)Cr:12.0〜35.0質量% Crは、耐食性を確保する上で必須の元素であり、1
2.0質量%以上添加する。一方、過剰な添加は、熱間
加工性を害するとともに、靭性の低下を招くため35.
0質量%を上限とする。
【0014】(4)Tiの含有量をWTi(質量%)、Z
rの含有量をWZr(質量%)として、WTi+0.52W
Zrが0.03〜1.2質量%:TiとZrとは、本発明
のステンレス鋼において被削性向上効果発現の中心的役
割を果たす(Ti,Zr)系化合物の必須構成元素であ
る。WTi+0.52WZrが0.03質量%未満では(T
i,Zr)系化合物の形成量が不十分となり、十分な被
削性向上効果が見込めなくなる。他方、WTi+0.52
WZrが過剰となった場合も、被削性は却って低下する。
【0015】(5)0.01〜0.5質量%のSと、
0.01〜0.4質量%のSeとの少なくともいずれ
か:S及びSeは、被削性を向上させるのに有効な化合
物の構成元素であり、S,Seともその効果が明瞭とな
る0.01質量%を下限とする。一方、これら元素の過
剰な添加は、熱間加工性を低下させることから、Sは
0.50質量%、Seは0.40質量%を上限とする。
SとSeとを共添加する場合は、その合計含有量が0.
75質量%以下となっているのがよい。また、S及びS
eは、いずれも被削性を向上させるのに有効な化合物
(例えば、前記した炭硫/セレン化物)を構成するのに
必要十分な量を添加することが望ましく、この観点にお
いて、SとSeとの合計含有量(質量%)をCの含有量
(質量%)の2倍以上とすることが望ましい。
【0016】次に、本発明のステンレス鋼の組成は、S
i:1質量%以下、Mn:2質量%以下、P:0.05
質量%以下、 Cu:2質量%以下、N:0.05質量
%以下、さらに O:0.03質量%以下の少なくとも
いずれかを満たしていることが望ましい。以下、その理
由について説明する。
【0017】(6)Si:1質量%以下 Siは、鋼の脱酸剤として添加することができる。しか
し、含有量が過大となると固溶化熱処理後の硬さが高く
なり、冷間加工性に不利になるばかりでなく、δ−フェ
ライトの形成量を増し、鋼の熱間加工性を劣化させるた
め、上限を1.0質量%とする。ただし、より顕著な効
果を期待する場合は、含有量を0.1質量%以上とする
ことが望ましい。なお、冷間加工性を特に重視する場合
には0.5質量%以下とするのが好ましい。
【0018】(7)Mn:2質量%以下 Mnは、鋼の脱酸剤として作用するほか、δ−フェライ
ト相の形成を抑制する効果も有する。また、SやSeと
の共存により被削性に有効な化合物を生成するため、被
削性が特に重視される場合に添加すると有効である。た
だし、より顕著な効果を期待する場合は、含有量を0.
1質量%以上とすることが望ましい。一方で、特にMn
Sは耐食性を大きく劣化させ、冷間加工性を阻害するの
で、2質量%を上限とする。特に耐食性、冷間加工性を
重視する場合は、0.4質量%以下に限定することが望
ましい。
【0019】(8)P:0.05質量%以下 Pは、粒界に偏析し、粒界腐食感受性を高めるほか、靭
性の低下を招くこともあり、0.05質量%以下に含有
量を留めておくことが望ましい。Pの含有量はなるべく
低いほうがよく、0.03質量%以下とすればより望ま
しいが、必要以上の低減はコストの上昇を招く場合もあ
る。
【0020】(9)Cu:2質量%以下 Cuは、耐食性、特に塩酸などの還元性酸と接触する環
境中での耐食性を向上させるのに有効であることから必
要に応じて添加できる。ただし、より顕著な効果を期待
する場合は、含有量を0.3質量%以上とすることが望
ましい。また、過剰な添加は、熱間加工性を劣化させる
ことから2質量%を上限とする。
【0021】(10)N:0.05質量%以下 Nは、被削性を向上させるのに有効な化合物の構成元素
であるTiやZrと結合し、被削性の向上には効果的で
ない窒化物を形成することから極力低く抑制すべきであ
り0.05質量%を上限とする。製造コストとの兼ね合
いであるが、望ましくは0.025質量%以下、さらに
望ましくは0.01質量%以下とするのが良い。
【0022】(11)O:0.03質量%以下 Оもまた、被削性を向上させるのに有効な化合物の構成
元素であるTiやZrと結合し、被削性の向上には効果
的でない酸化物を形成することから極力低く抑制すべき
であり0.03質量%を上限とする。製造コストとの兼
ね合いであるが、望ましくは0.01質量%以下とする
のが良い。
【0023】次に、本発明のステンレス鋼には、より高
い耐食性、強度などを得るために、必要に応じてMoや
Wを添加することが可能である。この場合、それらの効
果が明瞭となるように、Moは0.1質量%以上、Wは
0.1質量%以上とすることが望ましい。一方、過剰な
添加は、熱間加工性を害するほか、コストの上昇を招く
ため、上限をMo:4質量%、W:3質量%とする。
【0024】また、必要に応じてより高い被削性を得る
ため、TeやBiを含有させることも可能である。この
場合、それらの効果が明瞭とするためには、Teは0.
005質量%以上、Biは0.01質量%以上とするこ
とが望ましい。一方、過剰な添加は、熱間加工性を低下
させるため、Te:0.1質量%、Bi:0.2質量%
を上限とする。
【0025】さらに、熱間加工性や被削性等をより高め
るため、Ca、Mg、B及びREM(ただし、REM
は、元素周期律表にて3A族として分類される金属元素
の1種又は2種以上)から選ばれる1種以上を合計にて
0.01質量%までの範囲で含有させることもできる。
なお、それらの効果が明瞭とするためには、合計含有量
が0.005質量%以上となっていることが望ましい。
また、過剰な添加は、効果が飽和し、逆に熱間加工性を
低下させることからその上限を0.01質量%とする。
なお、REMとしては、放射活性の低い元素を主体的に
用いることが取り扱い上容易であり、この観点におい
て、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuか
ら選ばれる1種又は2種以上を使用することが有効であ
る。特に上記効果のより顕著な発現と価格上の観点か
ら、軽希土類、特にLaあるいはCeを使用することが
望ましい。ただし、希土類分離過程等にて不可避的に残
留する微量の放射性希土類元素(例えばThやUなど)
が含有されていても差し支えない。また、原料コスト低
減等の観点から、ミッシュメタルやジジムなど、非分離
希土を使用することもできる。
【0026】他方、本発明のステンレス鋼には、Nb、
V、Ta及びHfの1種又は2種以上を添加することも
可能である。Nb、V、Ta、Hfは、炭窒化物を形成
して鋼の結晶粒を微細化し、強靭性を高める効果がある
ため、それぞれ0.5質量%までの範囲で添加できる。
なお、効果を明瞭とするために、添加量はそれぞれ0.
01質量%以上とすることが望ましい。
【0027】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために、以下
の実験を行った。まず、表1に示す配合組成により、各
々50kgの鋼塊を高周波誘導炉にて溶製し、これを、
1050〜1100℃に加熱して、熱間鍛造により20
mmの丸棒に加工した。それら丸棒をさらに800℃で
1時間加熱した後空冷(焼きなまし処理)し、各試験に
供した。
【0028】
【表1】
【0029】表1において、X、Tiの含有量をWTi
(質量%)、Zrの含有量をWZr(質量%)として、W
Ti+0.52WZrの値を示すものである。また、Yは鋼
中に認められた主な化合物を記号で表わしたものであ
る。「1」は(Ti,Zr)(S,Se)を、
「2」は(Ti,Zr)Sを、「3」はTi(C,N)
を、「4」は(Mn,Cr)Sをそれぞれ意味し、括弧
が付されているものは、括弧の無いものに比べ、確認さ
れた量が相対的に少ないこと(X線ピーク比にて、括弧
のあるものに比較して1/4以下)を表わしている。な
お、各化合物の同定は、以下のようにして行っている。
すなわち、各丸棒から適量の試験片を取り出し、これを
テトラメチルアンモニウムクロライドと10%のアセチ
ルアセトンを含むメタノール溶液を電解液として用いる
ことにより、金属マトリックス部分を電解する。そし
て、溶解後の電解液をろ過することにより、鋼中に含有
されていた不溶の化合物を抽出して乾燥後、これをX線
ディフラクトメータ法にて分析し、その回折プロファイ
ルの出現ピーク位置から化合物の特定を行う。なお、鋼
組織中の化合物粒子の組成は別途EPMAにより分析を
行っており、その二次元マッピングから、X線回折にて
確認された化合物に対応する組成の化合物が形成されて
いることを確認している。
【0030】表1において、番号1〜17が本発明に該
当する実施例の鋼種であり、同18〜22は比較例であ
る。なお、番号18はSUS430、同19はSUS4
30Fにそれぞれ相当する。番号20は、WTi+0.5
2WZrの値が、番号21はSの含有量が、それぞれが本
特許範囲から逸脱している鋼種である。さらに、番号2
2はPbが添加されている鋼種である。
【0031】上記の各試験品につき、以下の試験を行っ
た。 熱間加工性試験:上記の熱間鍛造に、割れなどの欠陥
が発生したか否かを目視観察により評価する。「○」は
加工による割れが認められなかった、もしくは、軽微な
割れだけが存在していたことを、「×」は加工時に大き
な割れが認められたことを、それぞれ表わしている。
【0032】被削性評価:旋削加工時の、切削抵抗、
仕上げ面粗さ、切粉形状により評価する。サーメットを
工具として用い、周速150m/min、一回転当たり
の切込み量0.1mm、一回転当たりの送り量0.05
mmにより、乾式にて旋削加工を実施し、加工時に工具
に発生する主分力を切削抵抗(単位:N)として測定す
る。また、仕上げ面粗さは、JIS:B0601に規定
された方法により測定した、加工後の供試材表面の算術
平均粗さ(Ra;μm)である。さらに、切削時の切粉
形状を目視で観察し、破砕性が良好であったものを
「良」、破砕性が悪く切粉がつながった状態のものを
「劣」として評価した。
【0033】冷間加工性評価:圧縮試験時の限界圧縮
歪による。φ6×11.5mmの円柱状の試験片を用
い、600t油圧プレスにより圧縮加工し、限界圧縮歪
み(ln(H0/H);H0は初期試験片高さ、Hは割れ
の発生しなかった限界の高さ、ln(X)はXの自然対
数を表す)を求めた。
【0034】耐食性評価:塩水噴霧試験による。試験
片として、寸法φ10×50mmの円柱形状のものを用
い、表面をエメリー紙により#400まで仕上げた後、
脱脂・洗浄し、これを35℃の5質量%塩化ナトリウム
水溶液噴霧環境中にて96時間暴露する。評価は目視に
より行い、全く発錆が認められなかったものを「A」、
点状のしみが数箇所に認められたものを「B」、面積率
5%以下の範囲で赤錆が認められたものを「C」、面積
率5%を超える範囲で赤錆が認められたものを「D」と
した。以上の結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2から明らかなように、番号1〜17の
実施例品はPbを含有していなくても、Pb含有鋼であ
る番号22と同等以上の熱間加工性、被削性、冷間加工
性、耐食性を有している。他方、実施例品と比較して、
SUS430相当の番号18は被削性が劣り、SUS4
30F番号19は、冷間加工性、耐食性が低く、WTi+
0.52WZrが本発明範囲から逸脱している番号20は
被削性が劣っている。また、Sが本発明範囲から逸脱し
ている番号21は熱間加工性が著しく低く、十分な量の
健全な供試材が得られなかったことから、被削性、冷間
加工性及び耐食性の評価試験は実施できなかった。
【0037】図1は、実施例品である番号11の鋼につ
いて、その抽出化合物について測定したX線回折プロフ
ァイルを示している(Cu:Kα線を使用)。「○」に
て示す通り、(Ti,Zr)(S,Se)化合
物であるTi(該合金の組成は、ZrとSe
とを含有していない)が明らかに形成されていることが
わかる。また、Ti以外に、TiSも若干量
形成されていることがわかる。さらに、図2は、番号1
1の鋼表面の光学顕微鏡観察画像である(倍率400
倍)。マトリックスはフェライト相であり、微小な化合
物粒子が分散形成されていることがわかる。なお、EP
MA面分析により、観察された化合物粒子は大部分がT
であることを確認している。
【0038】以上、本発明について実施例を示したが、
これはあくまで一例示であり、本発明には、その趣旨を
逸脱しない範囲で、当事者の知識に基づき、その他の変
更を加えた態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で行った実験の、番号11の鋼のX線回
折プロファイルを示す図。
【図2】同じく、その光学顕微鏡観察画像を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 000003713 大同特殊鋼株式会社 愛知県名古屋市中区錦一丁目11番18号 (73)特許権者 000222048 東北特殊鋼株式会社 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ケ丘23 (72)発明者 石田 清仁 宮城県仙台市青葉区上杉3−5−20 (72)発明者 及川 勝成 宮城県柴田郡柴田町西船迫4−1−34 (72)発明者 清水 哲也 愛知県名古屋市天白区高島2丁目1410番 地 (72)発明者 井ノ口 貴之 愛知県東海市加木屋町南鹿持18 (72)発明者 岡部 道生 愛知県知多市旭桃台137番地 (72)発明者 江幡 貴司 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ケ丘23 東北特殊鋼株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−195605(JP,A) 特開 平6−200355(JP,A) 特開 平3−180449(JP,A) 特開 平3−44448(JP,A) 特開 平10−237603(JP,A) 特開 昭63−86848(JP,A) 特開 平10−140289(JP,A) 特開 平9−49053(JP,A) 特公 昭33−7060(JP,B1) 特公 昭49−33243(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを含有しないか、又は含有していて
    もその含有量が2.0質量%以下とされ、 12〜35質量%のCr及び0.005〜0.2質量%
    のCを含有し、 Tiの含有量をWTi(質量%)、Zrの含有量をWZr
    (質量%)として、WTi+0.52WZrが0.03〜
    1.2質量%となるように、TiとZrとの少なくとも
    いずれかを含有し、 0.01〜0.5質量%のSと、0.01〜0.4質量
    %のSeとの少なくともいずれかを含有し、Cの含有量をWC(質量%)としたとき、(WTi+0.
    52WZr)/WCが5.8〜20であり、 SとSeとの合計含有量(質量%)が、Cの含有量(質
    量%)の2倍以上であり、 さらに、 TiとZrとの少なくともいずれかを金属元素成分とし
    て含有し、その金属元素成分との結合成分として、必須
    成分としてのCと、さらにSとSeとの少なくともいず
    れかを含有する(Ti,Zr)系化合物が組織中に形成
    されていることを特徴とするPbフリー型フェライト系
    快削ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 Si:1質量%以下、Mn:2質量%以
    下、P:0.05質量%以下、Cu:2質量%以下、
    N:0.05質量%以下及び O:0.03質量%以下
    とされる請求項1記載のPbフリー型フェライト系快削
    ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 0.1〜4質量%のMoと、0.1〜3
    質量%のWとの少なくともいずれかを含有する請求項1
    又は2に記載のPbフリー型フェライト系快削ステンレ
    ス鋼。
  4. 【請求項4】 0.005〜0.1質量%のTeと、
    0.01〜0.2質量%のBiとの少なくともいずれか
    を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載のPbフ
    リー型フェライト系快削ステンレス鋼。
  5. 【請求項5】 Ca、Mg、B及びREM(ただし、R
    EMは、元素周期律表にて3A族として分類される金属
    元素の1種又は2種以上)から選ばれる1種以上を合計
    にて0.005〜0.01質量%含有する請求項1ない
    し4のいずれかに記載のPbフリー型フェライト系快削
    ステンレス鋼。
  6. 【請求項6】 Nb、V、Ta及びHfから選ばれる1
    種以上を0.01〜0.5質量%含有する請求項1ない
    し5のいずれかに記載のPbフリー型フェライト系快削
    ステンレス鋼。
  7. 【請求項7】 前記(Ti,Zr)系化合物が、フェラ
    イト系マトリックス相中に分散形成されている請求項1
    ないし6のいずれかに記載のPbフリー型フェライト系
    快削ステンレス鋼。
  8. 【請求項8】 前記(Ti,Zr)系化合物は、組成式
    (Ti,Zr)(S,Se)にて表される化合
    物を少なくとも含有する請求項1ないし7のいずれかに
    記載のPbフリー型フェライト系快削ステンレス鋼。
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