JP3424209B2 - イオン電導性高分子固体電解質 - Google Patents

イオン電導性高分子固体電解質

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JP3424209B2
JP3424209B2 JP33476992A JP33476992A JP3424209B2 JP 3424209 B2 JP3424209 B2 JP 3424209B2 JP 33476992 A JP33476992 A JP 33476992A JP 33476992 A JP33476992 A JP 33476992A JP 3424209 B2 JP3424209 B2 JP 3424209B2
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C71/00After-treatment of articles without altering their shape; Apparatus therefor
    • B29C71/0081After-treatment of articles without altering their shape; Apparatus therefor using an electric field, e.g. for electrostatic charging

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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオン電導性高分子固体
電解質に係わり、特に電池および他の電気化学デバイス
材料として好適な固体電解質に関するものである。本発
明を用いて全固体系の電池を構成することにより、電池
内の内容物の漏液がなく、信頼性が向上する。また電池
の薄型化、積層化が可能であることをはじめ、様々な形
への成形が可能である。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンオキサイド〔(−CH
O−):以下PEOと略す〕とアルカリ金属塩と
の複合体からなる錯体が高いアルカリイオン電導性を示
すことが報告されている。それ以来、本複合体および関
連したものからなる高分子固体電解質について、そのイ
オン電導性機構,分子構造などの理論的観点、あるいは
電池などの電気化学デバイスへの応用など活発に行われ
てきている。
【0003】一般的に固体電解質として要求される特性
として、(a)イオン導電性が高いこと、(b)成膜性
に優れていること、(c)可撓性に優れていること、な
どが挙げられる。比較的イオン電導度が高い無機固体電
解質は結晶体であるために機械的強度が非常に乏しく、
可撓性膜に加工する点で困難であり、デバイスに応用す
る点で著しく不利である。これに対して高分子固体電解
質の場合高分子特有の柔軟性を備えているために、電極
−高分子固体電解質間のイオン電子交換反応過程で生じ
る体積変化にも柔軟に適応することができるなどの機械
的性質に優れている。
【0004】また、薄膜化が可能である特徴を有する。
これにより高分子固体電解質は高エネルギー密度電池、
特に薄型電池の固体電解質材料として有望視されてい
る。しかしながら、高分子固体電解質は一般的に無機の
材料と比較して室温付近でのイオン電導度が小さいとい
う問題点がある。例えばPEOとLi ,Na など
のイオン種との複合体膜の場合、高分子量(MW>10
000)のものは成膜性に優れ、かつ高温(100℃以
上)では10−3〜10−4Scm−1程度の比較的高
イオン電導度を示すが、60℃以下ではイオン電導度が
急激に低下し、室温では10−7Scm−1以下という
非常に小さい値であり、通常使用温度領域で電池材料と
して組み入れることは不可能である。そこで低温でイオ
ン電導度が低いという欠点を解決するために低分子量
(分子量<1000)のPEOを用いると、確かに室温
付近での電導度は向上するものの、成膜性が著し低下
し、固体フィルム化が困難になる。
【0005】また、PEOの類似高分子として、高分子
の主鎖に対してオリゴキシエチレン構造を側鎖として有
する高分子についても報告されている。例えば化3〜化
5に示す一般構造式で表されるものである。これらを用
いた高分子固体電解質はいずれも室温状態(25℃)で
イオン電導度σ=10−5〜10−4Scm−1の値を
示し、PEOとほぼ同程度もしくはやや良い結果を示
す。しかしながら導電率は十分な値まで向上していない
だけでなく、成膜性,可撓性,機械的強度などの特性を
全て兼ね備えた高分子固体電解質には至っていない。
〔S.Koplow,T.E.Hogen Esch,
J.Smid,Maclomolecules,6,1
33(1973)など〕。
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】
【化5】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のPEOとリチウ
ムをはじめとするアルカリ金属塩による複合体による高
分子固体電解質は室温付近ではイオン電導度が乏しいか
あるいは成膜性が乏しいかの二つの問題点を同時に克服
することができない。本発明はこれらを解決した高分子
固体電解質を提供するものであり、室温付近で良好なイ
オン導電性を有し、優れた成膜性も兼ね備えたイオン電
導性高分子固体電解質を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子固体電
解質、すなわちイオン電導性高分子は少なくともマトリ
ックスとなる有機高分子とキャリアとなる電解質金属塩
とから構成されている。高分子マトリックス中に溶解さ
れた電解質金属塩はマトリックス中の無定形部分上に選
択的にイオン化し、マトリックス中に電界に沿った拡散
移動をすることによってイオン電導が実現される。代表
的な高分子固体電解質であるPEOの場合、主鎖中にお
ける誘電率の高いエーテル結合部の酸素と金属イオンと
が錯形成し、無定形部において熱による分子鎖のセグメ
ント運動にともなって、優れたイオン電導性を示すと考
えられる。
【0011】しかしながら、PEO分子は結晶性である
ために室温付近では高分子中の一部が結晶化し、そのた
めにイオン電導度の急激な低下が生じる。これらを鑑
み、高分子固体電解質が高イオン電導性を有するために
は高分子中に金属イオンと適度な相互作用する基を含
み、低温状態でも無定形状態を保持することによる快活
なセグメント運動が期待されるような有機高分子の設計
が望まれる。
【0012】さらに高分子固体電解質をデバイスに応用
するにあたり、イオン電導性だけではなく十分な機械的
強度や柔軟性を兼ね備える必要がある。電池材料に応用
する場合には高分子固体電解質と電極界面における電子
およびイオンとの交換反応や拡散がおこり、それら反応
にともなう電極の体積変化等の可能性があり、高分子固
体電解質の十分な柔軟性が必要とされる。
【0013】本発明者らは上記目的を達成するために研
究した結果、高分子固体電解質を構成させる有機高分子
の主鎖に対してペンダント構造的にクラウンエーテル基
を側鎖に重合させた有機高分子を見出した。この有機高
分子は、室温付近で固体フィルムを形成し、良好なリチ
ウムイオン電導性が示される高分子固体電解質を構成す
るものであることから、本発明に至った。
【0014】
【実施例】以下、本発明を適用したイオン電導性高分子
固体電解質について具体的に説明する。本発明において
用いられる有機高分子は一分子中内に化6に示されるク
ラウンエーテル基が少なくとも一つ以上ペンダント型に
結合したような構造を有するものである。
【0015】
【化6】
【0016】上記有機高分子としては、化7に示す4−
ビニルベンゾ─15−クラウン−5(VB−15−Cr
−5)および化8に示す4−ビニルベンゾ─18−クラ
ウン−6(VB−18−Cr−6)で代表されるクラウ
ンエーテルの一部にビニル基を有するモノマーおよび他
のクラウンエーテル基を有するモノマーを一部含む共重
合体が例示できる。
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】上記クラウンエーテル誘導体とモノマー共
重合させるモノマーとして、例をあげると以下のものが
ある。
【0020】アクリル系モノマーとしては、CH=C
HCOOH,CH=CHCOOM(但し、MはL
,Na,K等である。),CH=CHCOO
R(但し、Rはアルキル類である。),CH=CHO
O(CHCHO)−CH(但し、n=1〜2
3)等がある。
【0021】メタクリル系モノマーとしては、CH
CCHCOOH,CH=CCHCOOM(但し、
MはLi,Na,K等である。),CH=CC
COOR(但し、Rはアルキル類である。),CH
=CCHCOO(CHCHO)−CH(但
し、n=1〜23)等がある。
【0022】他のモノマーとしては、CH=C〔CO
O(CHCHO)−CH(但し、n=1〜
23),CH=CH(C),CH=CHC
N,CH=CHCONH,CH=CH(C
SONa),ビニルピロリドン等がある。
【0023】このとき、高分子中の各モノマーの構成比
を操作することによって物理的特性を制御することが可
能である。例えば、アクリル酸(AA)の含有率を増加
すると、得られる高分子フィルムは水に対して不溶であ
るものの、水の含浸による膨張が増加する。またアクリ
ル酸メチル(MA)の含有率を増加すると高分子フィル
ムの可撓性は減少するが、成膜性は向上する。上記A
A,MAとの共重合体の場合、高分子フィルム中に無定
形部を持たせ、良好なイオン導電性を与えるためには、
クラウンエーテルモノマーが共重合体を構成する他のモ
ノマーとの構成比で60%以上含有されている。
【0024】また、本発明における高分子は他の相溶性
がある高分子とによりポリマーブレンドを製造すること
ができる。例えば、PEO,(−CH−CCHCO
OLi−),PMMAなどのポリマーブレンドによる
高分子固体電解質が可能であり、イオン電導度や成膜性
をはじめ種々の物性を制御することが可能である。
【0025】上記クラウンエーテル系モノマーはS.K
opolowらによって報告された手法を用い、合成お
よび精製をおこなった〔Maclomolecule
s,6,133(1973)〕。さらに各種モノマーを
共重合させて高分子化させるために、一般的な手法であ
るラジカル共重合法または光重合法が適用される。いず
れも反応開始時の仕込みモノマー量に対して、得られた
高分子モノマー構成比が準じていることがH−NMR
により確認されている。
【0026】イオン導電性高分子固体電解質の製造は以
下のキャスト法が使用される。前記で得られた白色粉末
状の有機高分子の結晶体と金属塩がともに溶解する極性
有機溶媒、例えばエタノール、アセトン、アセトニトリ
ルまたはジメチルホルムアミドにそれぞれ溶解させ、マ
グネチックスターラで攪拌し、均一溶液にする。得られ
た粘性溶液をガラス基板または平滑なテフロン基板に滴
下し、窒素雰囲気下、60℃恒温乾燥器中で溶媒を蒸発
させる。その後、真空・加熱下で完全にキャスト溶媒を
蒸発させ、乾燥させる。
【0027】イオン導電性高分子固体電解質を構成させ
る金属塩としては従来の高分子電解質に用いられている
ものが使用可能であり、例えば、LiBr,LiI,L
iSCN,LiBF,LiAsF,LiClO
LiCFSO,LiPFなどが挙げられる。さら
にリチウム塩に限らず、上記塩のアニオンを有するナト
リウム,カリウムなどの塩においても同様にイオン導電
性高分子固体電解質を構成させることが可能である。イ
オン電導性高分子固体電解質における含有アルカリ金属
塩の濃度としては、有機高分子に対して0.1〜20重
量%の範囲であり、さらに0.1〜10重量%の範囲が
好適である。
【0028】ここで、本発明を適用したイオン電導性高
分子固体電解質を合成するための手法を示す。
【0029】<モノマー合成例1(VB−15−Cr─
5の合成)> 以下、ステップ1〜5に示した手法によって合成を行っ
た。さらにステップ毎に得られた生成物は、H−NM
R(in CDCl)により確認を行った。
【0030】ステップ1:catechol diac
etylate 110gのカテコールを400mlの無水酢酸に溶か
し、7時間加熱還流する。室温まで冷却後、上記溶液を
4000mlの氷水の中に注ぎ入れる。得られた白色結
晶を水で十分洗浄した後、乾燥させる。n−ヘプタンか
ら再結晶し、精製する。(収率73%)
【0031】ステップ2:3,4−dihydroxy
acetophenone ステップ1で得られたcatechol diacet
ylate72重量部を300mlニトロベンゼンに溶
かし、十分に窒素バブルする。そこに100g無水塩化
アルミニウムを少しずつ加える。その後、窒素気流下、
75℃オイルバス中で5時間加熱する。室温まで冷却
後、750g氷と150ml水からなる氷水に注ぎ入れ
る。エバポレータにより濃縮し、さらにニトロベンゼン
の特有な臭いがなくなるまで水蒸気蒸留する。残留溶液
をエーテルによって36時間連続抽出し、エーテル溶液
を無水硫酸マグネシウムで乾燥する。エバポレータで濃
縮した後、その残留オイル層から、目的生成物を熱ベン
ゼンによって抽出し、粗結晶を得る。ベンゼンから再結
晶し、精製する。(収率50%)
【0032】ステップ3:4−acetobenzo−
15−crown−5 脱水した500ml1−ブタノールに34.2g3,4
−dihydroxyacetophenoneを溶か
し、この溶液を十分に窒素バブルする。そこに40ml
の水に20g水酸化ナトリウムを溶かした溶液を加え
る。数分後に結晶が析出してくる。さらに52.2g
1,11−dichloro−3,6,9−triox
aundecaneをゆっくりと滴下し、その後30時
間加熱する。室温まで冷却後、HClで溶液を酸性に
し、濾過する。濾別した固体をメタノールで洗浄し、先
の濾液と合わせてエバポレートする。得られたオイル状
残留物をアセトンに溶かし、溶存している無機塩を完全
に取り除く。アセトンをエバポレータによって取り除い
た後、オイル状の残留物をn−ヘプタンによって連続抽
出する。得られた粗結晶をn−ヘプタンから再結晶し、
精製する。(収率31%)
【0033】ステップ4:4−(1−hydroxye
thyl)benzo−15−crown−5 400ml脱水処理したエタノールに18.7g4−a
cetobenzo−15−crown−5を加え、攪
拌して完全に溶解させた後、過剰(1.5倍当量)のN
aBHを手早く加え、室温で24時間反応させる。反
応終了後、反応溶液を400ml水に注ぎ入れ、希酢酸
溶液で中性にする。これをクロロホルムで生成物を抽出
し、その抽出溶液を水で洗浄した後、NaSOで乾
燥させ、クロロホルムをエバポレータにより除去する。
オイル状残留物は一晩冷所で放置すると結晶化する。こ
の白色固体をエーテルで懸濁させ、濾過する。(収率7
9%)
【0034】ステップ5:4−vinylbenzo−
15−crown−5 400mlベンゼンに14g4−(1−hydroxy
ethyl)benzo−15−crown−5を溶解
させ、さらに少量のp−トルエンスルホン酸を加えた
後、水分除去下を除去しながら24時間加熱還流させ
る。室温まで冷却後、ピリジンを数滴加える。ベンゼン
をエバポレータにより取り除き、しばらく冷所に放置す
ると白色結晶が得られる。(収率48%)
【0035】<モノマー合成例2(VB−18−Cr─
6の合成)> 上記ステップ2で得られた3,4−dihydroxy
acetophenoneを用いて以下に示す手法によ
り合成した。
【0036】ステップ3:4−acetobenzo−
18−crown−6 上記合成例1で示したステップ3とほぼ同様であるが、
1,11−dichloro−3,6,9−triox
aundecaneのかわりに同当量の1,14−di
chloro−3,6,9,11−tetraoxau
ndecaneを用いて行う。(収率28%)
【0037】ステップ4:4−(1−hydroxye
thyl)benzo−18−crown−6 上記合成例1で示したステップ4と同様の操作を行う。
(収率66%) ステップ5:4−vinylbenzo−18−cro
wn−6 上記合成例1で示したステップ5と同様の操作を行う。
再結晶するための溶媒としては石油エーテルを用いた。
(収率46%)
【0038】<1,11−dichloro−3,6,
9−trioxaundecaneの合成> 86gテトラエチレングリコールおよび80gピリジン
を400mlベンゼンに加え、加熱還流させる。攪拌さ
せながら116g塩化チオニルを3時間かけてゆっくり
と滴下する。しばらくすると容器壁面等に白色固形物が
析出してくるがそのままさらに16時間還流させる。室
温まで冷却した後、2.4N塩酸50mlをゆっくり滴
下する。目的生成物を含むベンゼン層を分離し、減圧蒸
留(〜92℃/0.3mmHg)により1,11−di
chloro−3,6,9−trioxaundeca
neを得る。(収率86%)
【0039】<1,14−dichloro−3,6,
9,11−tetraoxaundecaneの合成> 250gエチレングリコールに132gKOHを88g
水に溶かした水溶液を攪拌させながら加える。
【0040】その後、溶液を100℃まで加熱し、18
8g12−ビス(2−クロロエトキシエタン)を滴下ロ
ートで10時間かけて加える。さらに8時間100℃で
反応させる。生成した無機塩を濾別し、濾液をエバポレ
ートする。さらに塩が析出するために、同様の操作を数
回繰り返す。次いで、減圧蒸留(110〜120℃/
0.3mmHg)によりペンタエチレングリコールを得
る。
【0041】得られたペンタエチレングリコールを先に
示した1,11−dichloro−3,6,9−tr
ioxaundecaneの合成と同様の操作により
1,14−dichloro−3,6,9,11−te
traoxaundecaneを得る。(収率82%)
【0042】
【表1】
【0043】<サンプル1〜サンプル7> ガラス製の重合反応容器にVB−15−Cr−5,A
A,MAを表1に示した仕込みのモノマー構成比(mo
l%)にしたがって注ぎ入れる。重合反応の溶媒として
200mlのベンゼンを加える。さらに反応開始剤であ
るAIBNを仕込みモノマー総mol数に対して10m
ol%を加え、攪拌し、均一溶液にする。この重合反応
容器を真空ラインに設置し、従来の手法により反応溶液
中の溶存空気を除く。その後、容器を封管し、振盪式恒
温槽中60℃で24時間重合反応させる。その後、n−
ヘキサン中に注ぎ入れることによって白色粉末状の高分
子結晶が得られる。再沈操作を2〜3回繰り返すことに
より精製を行う。
【0044】さらに、これを真空・加熱下で乾燥させ
る。いずれも90%以上の高収率で得られる。上記で得
られた有機高分子のモノマー組成は、CDCl
−NMRにより同定したところ、ほぼ製造段階における
各モノマーの仕込み量に準じていることが示された。過
塩素酸リチウム(LiClO)30mgを脱水したテ
トラヒドロフラン40mlに溶かし、その溶液中に上記
で得られた高分子1000mgを攪拌しながら徐々に加
え、さらに均一溶液になるまで攪拌し、キャスト溶液が
得られる。この溶液を底面平滑なテフロン製シャーレに
移し入れ、窒素雰囲気下、60℃恒温乾燥器中で溶媒を
蒸発させる。その後、さらに真空・加熱下で完全にキャ
スト溶媒を蒸発させ、乾燥させた。こうして得られた
ンプル1〜サンプル7の高分子固体電解質フィルムの膜
厚は70〜100μmであった。
【0045】<イオン電導度の評価法> 上記で得られたそれぞれの高分子固体電解質フィルムの
イオン電導度σを室温状態(20℃)で測定し、その結
果を表1に示した。この際、イオン電導度の測定は高分
子固体電解質フィルムを2枚の白金電極板で挟み、電解
質−白金間の接触が十分に保たれるように圧力をかけ、
複素インピーダンス法により評価を行い、解析的に算出
した。
【0046】<成膜性の評価法> 上記で得られたそれぞれの高分子固体電解質フィルムを
室温状態(20℃)にて、2cm×2cmの石英基板の
間に挟み、1kgの荷重をかけて24時間放置する。そ
の後、荷重を取り除いて石英基板と電解質フィルムをは
がし、石英基板に付着した部分の面積を求め、それによ
り成膜性の評価を行った。
【0047】なお、評価は以下の基準に従った。 ランク1:接着部分の面積が全体の10%以下 ランク2:接着部分の面積が全体の11〜25% ランク3:接着部分の面積が全体の26〜50% ランク4:接着部分の面積が全体の51〜75% ランク5:接着部分の面積が全体の76%以上表1に示す評価結果から、VB−15−Cr−5がモノ
マー構成比で60%以上含有されているサンプル4〜サ
ンプル7は、VB−15−Cr−5がモノマー構成比で
20%以下であるサンプル1〜サンプル3に比べて、優
れた成膜性を備えつつイオン電導性が大幅に高くなって
いることがわかる。
【0048】<サンプル8〜サンプル10> 脱水処理を施したベンゼン中にVB−15−Cr−5を
溶かし、AIBNをモノマーmol数に対して10mo
l%を加え、攪拌し、均一溶液にする。この重合反応容
器に入れ、真空ラインに設置し、従来の手法により反応
溶液中の溶存空気を除く。その後、容器を封管し、振盪
式恒温槽中60℃で24時間重合反応させる。その後、
n−ヘキサン中に注ぎ入れることによって白色粉末状の
高分子結晶が得られる。
【0049】得られたVB−15−Cr−5のホモポリ
マーを用いて、サンプル1に示した手法により過塩素酸
リチウムの高分子固体電解質フィルムを製造する。この
ときのリチウム塩の濃度は高分子中のVB−15−Cr
−5の繰り返し単位に対して、〔Li〕/〔crow
n unit〕=0.1,0.2,0.4の高分子固体
電解質を製造した。
【0050】これを複素インピーダンス法によってイオ
ン電導度を測定し、その結果を表2に示す。表2に示す
評価結果から、サンプル8〜サンプル10は、高分子固
体電解質を構成する高分子がVB−15−Cr−5のホ
モポリマーだけであり、イオン電導度が大幅に高くなっ
ていることがわかる。
【0051】
【表2】
【0052】<サンプル11〜サンプル13上述したサンプル5〜サンプル7 においてVB−15−
Cr−5を含有する共重合体の成膜性、およびイオン電
導度を示したが、ここでは、サンプル11〜サンプル1
3としてVB−15−Cr−5をVB−18−Cr−6
で置換したものを製造し、同様の条件で特性を評価し
た。得られた結果を表3に示す。
【0053】クラウンエーテルの環構造が15−Cr−
5から18−Cr−6と大きくなると、イオン電導性と
してはやや増加する傾向がある。
【0054】
【表3】
【0055】<サンプル14サンプル1 と同様の手法を用いて、サンプル14として
MAの単一重合体であるポリメチルメタクリレート(P
MMA)によるLiClOとの高分子固体電解質を製
造し、イオン導電率を測定した。この場合、成膜性は明
らかに良いが、機械的強度は低く、さらにイオン導電率
は〜10−8と著しく低くなる。
【0056】イオン電導性高分子固体電解質としては、
一般的にキャリア体であるリチウムイオンとその対アニ
オンの濃度がある程度高いことが高イオン電導性を与え
るのに有利であると考えられる。しかしながら、例えば
PEOの場合、リチウム塩の濃度を高くすると得られる
電解質フィルムはベトつきが著しく、成膜性が極度に低
下する。〔Li〕/〔EtO−unit〕=0.04
以上にリチウム塩の濃度を増加させると成膜性の評価値
としてはランク3より悪化してしまう。これに対して、
本発明による有機高分子を用いたイオン電導性高分子固
体電解質では表2に示したように高濃度のリチウム塩に
対しても成膜性の低下はあまり認められなかった。
【0057】
【発明の効果】本発明により、室温付近でイオン電導度
が高く、かつ成膜性においても優れた高分子固体電解質
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 春夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−82163(JP,A) 特開 昭61−284071(JP,A) 特開 平2−235957(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/06 H01M 6/18

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラウンエーテル構造を形成する官能基
    を側鎖に重合させた有機高分子中に金属塩が含有された
    複合体を備え、上記クラウンエーテル構造を形成する官能基が、下記の
    一般式で示されるクラウンエーテル基であり、 【化1】 上記複合体が、上記クラウンエーテル基を有するモノマ
    ーと他のモノマーとの共重合体を有し、上記クラウンエ
    ーテル基を有するモノマーが、上記他のモノマーとのモ
    ノマー構成比で60%以上含有されていることを特徴と
    するイオン電導性高分子固体電解質。
  2. 【請求項2】 上記金属塩が、リチウム、ナトリウム、
    カリウムなどのアルカリ金属塩であることを特徴とする
    請求項1記載のイオン電導性高分子固体電解質。
  3. 【請求項3】 上記金属塩が、上記有機高分子に対して
    0.1〜20重量%含有されていることを特徴とする請
    求項1記載のイオン電導性高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】 クラウンエーテル構造を形成する官能基
    を側鎖に重合させた有機高分子中に金属塩が含有された
    複合体を備え、 上記クラウンエーテル構造を形成する官能基が、下記の
    一般式で示されるクラウンエーテル基であり、 【化2】 上記有機高分子が、上記クラウンエーテル基を有するホ
    モポリマーであることを特徴とするイオン電導性高分子
    固体電解質。
  5. 【請求項5】 上記金属塩が、リチウム、ナトリウム、
    カリウムなどのアルカリ金属塩であることを特徴とする
    請求項4記載のイオン電導性高分子固体電解質。
  6. 【請求項6】 上記金属塩が、上記有機高分子に対して
    0.1〜20重量%含有されていることを特徴とする請
    求項4記載のイオン電導性高分子固体電解質。
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