JP3423975B2 - 離型剤 - Google Patents

離型剤

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JP3423975B2 JP06765194A JP6765194A JP3423975B2 JP 3423975 B2 JP3423975 B2 JP 3423975B2 JP 06765194 A JP06765194 A JP 06765194A JP 6765194 A JP6765194 A JP 6765194A JP 3423975 B2 JP3423975 B2 JP 3423975B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、離型剤に関する。更に
詳しくは、金型離型性にすぐれた離型剤に関する。
【0002】
【従来の技術】これ迄、金型用の離型剤として、シリコ
ーン、ワックス、タルク、マイカ、PTFE等が知られ
ているが、シリコーン、ワックスは良好な離型性を示す
ものの、離型剤の成形品への移行により塗装性や二次加
工性を低下させ、また持続性がなく、離型寿命が短いな
どの欠点がみられ、PTFEでは、離型効果の持続性や
二次加工性は良好である反面、離型処理時に型面に焼き
付けしなければならないなどの手間がかかるという欠点
を有している。
【0003】こうした欠点を補う離型剤として、パーフ
ルオロアルキル基含有リン酸エステル(塩)およびシリコ
ーンオイルまたはシリコーンワニスを必須成分とする離
型剤が提案されているが(特公昭53-23270〜1号公報、同
57-48035号公報)、これらの離型剤は離型性能の点では
すぐれているものの、シリコーン化合物を併用している
ため、電気接点不良、二次加工性などに問題がみられ
る。
【0004】また、ポリフルオロカーボン基含有ホスホ
ン酸(塩)およびワックスを必須成分とする離型剤も提案
されているが(特公平3-78244号公報)、この場合にも二
次加工性に問題があり、また成形後1,1,1-トリクロロエ
タン等の溶剤で洗浄する操作が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
品の二次加工性や電気接点不良などに問題がなく、金型
離型性能にもすぐれた離型剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
ポリアルキレングリコールまたはそのアルキルエーテル
に、一般式RfCH=CH2(ここで、Rfは炭素数4〜20のポリ
フルオロカーボン基である)で表わされるフッ素化α-オ
レフィンをグラフト共重合させたグラフト共重合体を有
効成分とする離型剤によって達成される。
【0007】グラフト共重合体の基幹ポリマーとなるポ
リアルキレングリコールは、一般式R1O(RO)nR2 (ここ
で、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、R1は水素原
子またはメチル基であり、R2は水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基またはアラルキル基であり、そしてnは1〜
50の整数である)で表わされ、例えばポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリ
コール等、あるいはこれらの末端基がメチル基等の低級
アルキル基でエーテル化、一般にはモノエーテル化され
たもの等が用いられる。
【0008】グラフトコモノマーとして用いられるフッ
素化α-オレフィンとしては、Rf基が炭素数4〜20のポリ
フルオロカーボン基、好ましくは炭素数6〜12のパーフ
ルオロアルキル基であるものが、溶剤への溶解性および
離型性能の点から、得られるグラフト共重合体中のフッ
素含有率が約3〜70重量%、好ましくは約10〜50重量%と
なるような量で用いられる。かかるフッ素化α-オレフ
ィンとしては、例えば次のような化合物が挙げられる。 C6F13CH=CH2 C8F17CH=CH2 C10F21CH=CH2 Cl(CF2)nCH=CH2 (n:4〜20) H(CF2)nCH=CH2 (n:4〜20) CF3(CF2)n(CH2)mCH=CH2 (n:4〜18、m:1〜4)
【0009】これら両者間のグラフト共重合反応は、必
要に応じてベンゼン等の溶剤およびパーオキサイド系、
アゾ系等のラジカル開始剤を用い、約80〜180℃の温度
に加熱することにより行われ、末端のアルキレングリコ
ール基にフッ素化オレフィンがグラフト共重合されたと
考えられるグラフト共重合体を得ることができる。
【0010】得られたグラフト共重合体は、有機媒体ま
たは水性媒体中に溶解または分散させた状態で離型剤と
して用いられる。有機媒体としては、例えばキシレン、
トルエン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル等のエステル類、メチルクロロホルム、キシレンヘキ
サフロライド、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロ
エタン等のハロゲン化炭化水素類などが用いられ、これ
らの約0.01〜30重量%、好ましくは約0.05〜3重量%濃度
のグラフト共重合体溶液として離型剤が調製される。ま
た、水性媒体が用いられる場合にも、グラフト共重合体
を同様の濃度で分散させた分散液として離型剤が調製さ
れる。
【0011】グラフト共重合体と共に、特公平2-45572
号公報、同3-78244号公報に記載される如き、一般式RfR
PO(OH)2(ここで、Rfは炭素数4〜20のポリフルオロカー
ボン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキレン基である)で
表わされるポリフルオロカーボン基含有ホスホン酸また
はその塩を併用すると、金型離型性能、持続性、成形品
の二次加工性などが更に一段と改善される。
【0012】かかるポリフルオロカーボン基含有ホスホ
ン酸としては、例えば次のような化合物が挙げられる。 C8F17(CH2)2PO(OH)2 C10F21(CH2)2PO(OH)2 (CF3)2CF(CF2CF2)n(CH2)2PO(OH)2 (CF3)3C(CF2CF2)n(CH2)2PO(OH)2 [n:2〜4] また、ホスホン酸塩としては、金属塩、アミン塩、アン
モニウム塩などが用いられる。
【0013】グラフト共重合体とホスホン酸(塩)とは、
両者の合計量中、ホスホン酸(塩)が約50重量%以下、好
ましくは約40〜10重量%、特に好ましくは約40〜30重量%
の割合で、かつそれらの合計濃度が前記範囲となる割合
で用いられる。
【0014】このようにして、グラフト共重合体または
それとホスホン酸(塩)とから有機媒体または水性媒体の
溶液または分散液として調製された離型剤は、金型面に
スプレー塗布、刷毛塗り、浸漬などの手段で適用され
る。また、この離型剤は、金型面以外にも適用すること
ができ、例えばゴム生地などに表面塗布した場合には、
生地の粘着を有効に防止する。
【0015】
【発明の効果】本発明に係る離型剤は、次のような効果
を奏する。 (1)0.1重量%程度の低濃度でも、すぐれた離型性、持続
性を発揮するため、離型剤による型汚れの低減、成形品
の寸法精度の向上などが達成される。 (2)成形品の電気接点不良という問題もなく、二次加工
性にもすぐれている。 (3)ポリフルオロカーボン基含有ホスホン酸(塩)と併用
した場合には、特に離型性能、潤滑性能、離型寿命の向
上が著しく、また成形品への離型剤成分の移行性も少な
く、二次加工性の点でもすぐれている。
【0016】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0017】実施例1(グラフト共重合体の製造例) トリエチレングリコール192.70g(1.284モル)を、撹拌
機、還流装置および温度計を備えた容量300mlの反応容
器内に仕込み、70℃に加温した後、30分間窒素ガス置換
を行った。その後170℃迄昇温させ、ジ第3ブチルパーオ
キサイド1.25gを添加して5分間撹拌混合した後、パーフ
ルオロオクチルエチレンC8F17CH=CH2 57.30g(0.128モル)を1時間かけて滴下し、その温度で2
4時間反応させた。反応終了後、未反応のトリエチレン
グリコール、パーフルオロオクチルエチレン、開始剤分
解物等を減圧下で除去し、下記構造のグラフト共重合体
75g(収率30%)を高粘度の淡黄色透明液体として得た。 1H-NMR分析: [生成物] a,bのピークは消失 dのピークは減少 f:2.9ppmとg:2.3ppmに新たなピーク出現 積分比 c d e f g (生成物) 2 2.2 8 0.9 4.2 (理論値) 2 2 8 1 4 赤外線吸収スペクトル:3400cm-1(O−H伸縮) 2900cm-1(C−H伸縮) 1100cm-1(C−O伸縮) 1200cm-1(C−F伸縮) 元素分析(フッ素含有量):実測値 55.0% 理論値 54.2%
【0018】実施例2(グラフト共重合体の製造例) ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量200
0、融点48℃)200.75g(0.100モル)を、撹拌機、還流装置
および温度計を備えた容量300mlの反応容器内に仕込
み、70℃に加温した後、30分間窒素ガス置換を行った。
その後145℃迄昇温させ、ジ第3ブチルパーオキサイド1.
25gを添加して5分間撹拌混合した後、パーフルオロオク
チルエチレン49.25g(0.110モル)を2時間かけて滴下し、
その温度で24時間反応させた。反応終了後、実施例1と
同様に処理し、下記構造を有すると推定される融点56℃
の淡黄色ワックス状グラフト共重合体を234g(収率93%)
得た。 元素分析(フッ素含有量):実測値 13.7% 理論値 14.3%
【0019】実施例3(離型剤の調製) 離型剤A: ポリエチレングリコール(平均分子量300)へのC8F17CH=CH2グラフト共重合体( 重量比40/60、フッ素含有率43.3重量%) 0.5重量部 キシレンヘキサフロライド 99.5重量部 離型剤B: ポリエチレングリコール(平均分子量2000)へのC8F17CH=CH2グラフト共重合体 (重量比80/20、フッ素含有率14.5重量%) 0.5重量部 水 99.5重量部 離型剤C: ポリエチレングリコール(平均分子量6000)へのC8F17CH=CH2グラフト共重合体 (重量比92/8、フッ素含有率5.8重量%) 0.5重量部 水 99.5重量部 離型剤D: ポリプロピレングリコール(平均分子量2000)へのC8F17CH=CH2グラフト共重合 体(重量比80/20、フッ素含有率14.5重量%) 0.5重量部 イソプロピルアルコール 99.5重量部 離型剤E: ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂製品ユニオックスM-200 0、平均分子量2000)へのC8F17CH=CH2グラフト共重合体(重量比80/20、フッ素含 有率14.5重量%) 0.5重量部 水 99.5重量部 離型剤F: 離型剤Bで用いられたグラフト共重合体 0.3重量部 C8F17(CH2)2PO(OH)(ONa) 0.2重量部 水 99.5重量部 離型剤G: 離型剤Eで用いられたグラフト共重合体 0.3重量部 C8F17(CH2)2PO(OH)(ONa) 0.2重量部 水 99.5重量部 離型剤H: 離型剤Bで用いられたグラフト共重合体 0.1重量部 C8F17(CH2)2PO(OH)(ONa) 0.05重量部 水 99.85重量部 離型剤I: 実施例1で得られたグラフト共重合体(重量比77/23、フッ素含有率55.0重量%) 0.5重量部 キシレンヘキサフロライド 99.5重量部 離型剤J: 実施例2で得られたグラフト共重合体(重量比80/20、フッ素含有率13.7重量%) 0.5重量部 水 99.5重量部
【0020】これらの離型剤を用いて、次のような離型
性試験を行い、離型性能を評価した。 [金型離型性]80℃に加熱されたポリウレタンプレポリマ
ー(日本ポリウレタン工業製品コロネートC-4090)100重
量部と加熱溶融されたメチレン-ビス-o-クロロアニリン
硬化剤(イハラケミカル製品イハラキュアミンMT)12.8重
量部とを、気泡をまき込まないようにしながら、撹拌混
合し、80℃に予熱された離型剤スプレー塗布アルミニウ
ム製金型(直径45mm、深さ50mm)内に、この混合物を注入
する。金型空間部中央に、硬化した成形品を取り出すた
めのフックを立てておき、120℃で1時間加熱硬化させた
後、フックを引っ張って成形品を金型から取り出す。そ
の際の離型荷重を求める。 [離型寿命]上記の如くにして金型離型性を求めた後、こ
の1回の離型剤塗布で、5kgf以下の離型荷重の下で、何
回迄離型が可能であったかを測定する。 [ペインタルブル性]上記金型離型性の測定で得られた成
形品の表面に、油性マジックインクを塗ったときの状態
を、次の基準で評価する。 A:はじきが全くない B:一部はじきあり C:かなりはじきあり D:はじいて書けない [塗料密着性]上記金型離型性の測定で得られた成形品の
表面に、ラッカースプレー(アトム化学塗料製品エアゾ
ールラッカー空色)をスプレー塗布し、乾燥させた後、
セロハンテープで剥がれるかどうかを、次の基準で評価
した。 A:全く剥がれない B:一部剥がれる C:かなり剥がれる D:全部剥がれる
【0021】以上の測定結果は、次の表1に示される。
なお、いずれの成形品についても、電気接点不良という
問題はみられなかった。 表1 離型剤 金型離型性(kgf) 離型寿命(回) ペインタブル性 塗料密着性 A 0.4 9 B B B 0.3 8 〃 〃 C 〃 7 〃 〃 D 〃 〃 〃 〃 E 0.2 10 〃 〃 F 0.0 13 A 〃 G 〃 16 〃 〃 H 〃 8 〃 A I 0.2 9 B B J 0.3 8 〃 〃
【0022】比較例 離型剤K: C8F17(CH2)2PO(OH)(ONa) 0.5重量部 水 99.5重量部 離型剤L: C8F17(CH2)2PO(OH)(ONa) 0.2重量部 シリコーンオイルエマルジョン(日本ユニカー製品LE-45、35%水分散液) 0.85重量部 水 98.95重量部 離型剤M: C8F17(CH2)2PO(OH)(ONa) 0.2重量部 シリコーンワニスエマルジョン(信越シリコーン製品KS707、50%トルエン溶解 液から界面活性剤を使って調製、12.5%水分散液) 2.4重量部 水 97.4重量部 離型剤N: C8F17(CH2)2PO(OH)(ONa) 0.2重量部 ワックスエマルジョン(三井石化製品ハイワックス4202Eから界面活性剤を使っ て調製、24%水分散液) 1.66重量部 水 98.14重量部 離型剤O: シリコーンエマルジョン(日本ユニカー製品LE-45、35%水分散液) 50重量部 水 50重量部
【0023】これらの離型剤を用いて、実施例と同様の
離型性試験を行い、次の表2に示されるような測定結果
を得た。 表2 離型剤 金型離型性(kgf) 離型寿命(回) ペインタブル性 塗料密着性 K 1.3 5 A A L 0.0 8 C C M 0.1 11 A B N 〃 6 C C O 〃 3 D D なお、離型剤Mについては、良好な離型性能を示すもの
の、電気接点不良という問題が残り、電気関係成形品用
の金型離型剤としては使用できない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレングリコールまたはそのア
    ルキルエーテルに、一般式RfCH=CH2(ここで、Rfは炭素
    数4〜20のポリフルオロカーボン基である)で表わされる
    フッ素化α-オレフィンをグラフト共重合させたグラフ
    ト共重合体を有効成分としてなる離型剤。
  2. 【請求項2】 ポリアルキレングリコールまたはそのア
    ルキルエーテルに、一般式RfCH=CH2(ここで、Rfは炭素
    数4〜20のポリフルオロカーボン基である)で表わされる
    フッ素化α-オレフィンをグラフト共重合させたグラフ
    ト共重合体および一般式RfRPO(OH)2(ここで、Rfは炭素
    数4〜20のポリフルオロカーボン基であり、Rは炭素数1
    〜3のアルキレン基である)で表わされるポリフルオロカ
    ーボン基含有ホスホン酸またはその塩を有効成分として
    なる離型剤。
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EP2439038A4 (en) * 2009-06-04 2015-09-02 Unimatec Co Ltd PFROPOPOPOLYMER AND MOLDING SOLVENT THEREFORE AS ACTIVE AGENT
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