JP3421617B2 - 無機有機複合発泡体及びその製造法 - Google Patents

無機有機複合発泡体及びその製造法

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JP3421617B2 JP30470999A JP30470999A JP3421617B2 JP 3421617 B2 JP3421617 B2 JP 3421617B2 JP 30470999 A JP30470999 A JP 30470999A JP 30470999 A JP30470999 A JP 30470999A JP 3421617 B2 JP3421617 B2 JP 3421617B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無機有機複合発泡体
及びその製造法に関する。更に詳しくは、無機質の発泡
体構造を持ち、且つ硬化性の有機材料により靱性と強度
が改善された無機有機複合発泡体、及びその製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、無機系発泡体としては、硫酸と発
泡剤としての炭酸カルシウムを反応させた硫酸カルシウ
ム(石膏)発泡体などが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、得られた硫酸
カルシウム発泡体は、完全な無機材料であるが故に脆く
て、少々の力でも形成した泡が破壊されて元に戻らない
欠点がある。このため、低比重の大型パネルの作成は困
難であり、パネル強度が弱すぎて持ち運びができない等
の問題があるため、実用性にかなう材料といえるもので
はなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の硫
酸を用いた発泡体のこれらの問題点を解決すべく鋭意検
討した結果、硫酸の代わりに金属の硫酸もしくは亜硫酸
塩を選択し、更に、エチレン性不飽和単量体を同時に重
合させることにより、発泡体の密度が下がり、しかも靱
性と強度が著しく改善される知見を得て本発明に到達し
た。
【0005】すなわち本発明は、金属の硫酸もしくは亜
硫酸塩(a)と、無機系発泡剤(b)とからの発泡体で
あり、さらに発泡と同時に重合して形成されるエチレン
性不飽和単量体の重合物(c)からなり、(a)の含有
量が3〜50質量%である無機有機複合発泡体:及び金
属の硫酸もしくは亜硫酸塩(a)、無機系発泡剤
(b)、エチレン性不飽和単量体(c1)、重合触媒
(c2)、水及び必要により無機充填材(d)からなる
成分を混合することにより発泡させ、且つ同時に重合さ
せる無機有機複合発泡体の製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の無機有機複合発泡体は、
金属の硫酸もしくは亜硫酸塩(a)と、無機系発泡剤
(b)とが反応して発泡した無機質の発泡体構造を有す
る。また、上記発泡体は、重合物(c)により強度が改
善されてなる無機有機複合発泡体構造を有する。重合物
(c)は通常、常温から170℃における重合反応によ
り生成するものであり、この重合物により、本発明の発
泡体は強度が改善されたものとなる。本発明の発泡体
は、例えば、(a)、(b)、(c1)、(c2)から
なる成分を水性混合物とすることにより、発泡と同時に
重合させて得られるものである。即ち、この水性混合物
とすることにより、(a)と(b)との発泡硬化反応が
進行し、(c2)の存在下に(c1)から(c)を形成
する重合反応は、常温又は必要により加熱することによ
り、発泡とともに進行して本発明の発泡体が得られる。
【0007】本発明において、金属の硫酸もしくは亜硫
酸塩(a)を構成する金属としては、1価金属、例え
ば、ナトリウムおよびカリウムなどの周期表Ia族の金
属;多価金属、例えば、カルシウムおよびマグネシウム
などのIIa族、アルミニウムなどのIIIa 族、亜鉛など
のIIb族の金属が挙げられる。これらの金属は、2種以
上用いてもよいし、複塩を形成してもよい。好ましくは
多価金属であり、さらに好ましくは、マグネシウム、ア
ルミニウムおよび亜鉛である。また、(a)としては、
水溶性のものが好ましいが、水分散性であってもよい。
これらの塩は、硫酸金属塩、亜硫酸金属塩等の形で添加
する方法の他に、硫酸、亜硫酸と化学的に活性な金属化
合物、例えば、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛等の多
価金属酸化物や、水酸化アルミニウムゲル、水酸化マグ
ネシウムおよび水酸化亜鉛等の多価金属水酸化物等を、
硫酸、亜硫酸等と別々に系内に添加し、予め系内で反応
させて(a)とした後、(b)を添加して発泡反応させ
ることもできる。予め系内で反応させて(a)を作成す
る場合は、通常、硫酸または亜硫酸1当量に対し、化学
的に活性な金属化合物が0.1〜1.1当量であり、好
ましくは0.3〜1.0当量である。硫酸または亜硫酸
が過剰な場合、(a)の他に硫酸または亜硫酸が残存し
た混合物のままで、本発明に用いることができる。
(a)、または(a)と硫酸もしくは亜硫酸の混合物
は、水溶液で酸性を呈するものであり、好ましくは1%
水溶液のpHが4以下、さらに好ましくはpH3以下、
特に好ましくはpH0.1〜2である。(a)として例
示したもののうち好ましいものは、硫酸マグネシウム、
硫酸アルミニウム、硫酸1水素亜鉛および硫酸亜鉛であ
る。またこれらの塩と硫酸との混合物も好適に用いられ
る。(a)の代わりに硫酸又は亜硫酸を単独で使用する
と、発泡反応が早くなりすぎ、エチレン性不飽和単量体
(c1)の重合速度とのバランスをとることが難しく、
低密度の発泡体を得ることができない。
【0008】(a)の含有量は、防火性能及び均一な発
泡構造の観点から、本発明の発泡体を構成する全成分中
3〜50質量%である必要があり、好ましくは5〜40
質量%である。
【0009】本発明において、無機系発泡剤(b)とし
ては、例えば、下記(b1)及び(b2)が挙げられ、
2種以上を併用してもよい。 (b1)炭酸塩化合物 (b2)酸またはアルカリと反応してガスを発生する金
属 炭酸塩化合物(b1)の具体例としては、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カリウムなどのIa
族金属の炭酸塩;炭酸カルシウム、炭酸バリウムおよび
塩基性炭酸マグネシウムなどのIIa族金属の炭酸塩;塩
基性炭酸亜鉛などのIIb族金属の炭酸塩;炭酸アンモニ
ウム等が挙げられる。また、上記金属(b2)として
は、アルカリ土類(IIa族)、IIb族およびIIIa 族の
金属などが挙げられる。これらの金属のうち好ましいも
のは、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛である。
【0010】このほか 本発明の無機系発泡剤(b)と
併用することのできるその他の発泡剤としては、(c)
中に加熱により分解する有機系発泡剤(ジニトロソペン
タメチレンテトラミンやN,N’−ジメチルN,N’−
ジニトロソテレフタールアミドなどのニトロソ系発泡
剤、ベンゼンスルホニルヒドラジドアゾジカルボンアミ
ドやp-トルエンスルホニルヒドラジドや p,p'−オ
キシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、3,3’
ジスルホヒドラジドジフェニルスルフォホンなどのスル
ホヒドラジド系発泡剤、アゾビスイソブチロニトリルや
アゾビスホルムアミドやジエチルアゾジカルボキシレー
トなどのアゾ系発泡剤など)をあらかじめ混合し、本発
明の発泡体を形成後、更に加熱により前記の添加された
発泡剤を二次発泡させる方法もとることができる。
(b)として例示したもののうち好ましいものは、(b
1)であり、特に好ましいものは炭酸カルシウムおよび
塩基性炭酸マグネシウムである。(b)の量は、軟質か
ら硬質迄の幅広い範囲の所望の発泡倍率に応じて決めれ
ばよい。(b)の量は、水性混合物とした際(a)と
(b)がよく混ざる範囲であれば特に制限はないが、
(a)100質量部(固形分)に対して、好ましくは1
〜1000質量部、更に好ましくは2〜500質量部で
ある。
【0011】発泡と同時に重合して形成されるエチレン
性不飽和単量体の重合物(c)は、エチレン性不飽和単
量体(c1)と重合触媒(c2)を用い重合により得ら
れたものが好ましい。エチレン性不飽和単量体(c1)
としては、例えば、下記〜、およびこれらの任意の
割合での併用が挙げられる。 (メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ
ル酸などの不飽和カルボン酸およびこれらの金属塩(金
属としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、亜鉛等のIIa族、IIb族およびIIIa 族の多価金属
など) 炭素数2〜20の2〜8価またはそれ以上の多価アル
コール〔エチレングリコール、プロピレングリコール、
グリセリン、トリメチロールプロパンなど〕のモノ(メ
タ)アクリレート ポリオキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数:2〜
4〕ポリオール〔重合度2〜1200、好ましくは3〜
1000の、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシ
プロピレンジオール、ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシエチレントリオール、
ポリオキシプロピレントリオールなど〕のモノ(メタ)
アクリレート スルホン化スチレン、スルホン化ポリオキシアルキレ
ン〔アルキレン基の炭素数:2〜4〕グリコール〔重合
度2〜1000〕のモノ(メタ)アクリレートなどのス
ルホン酸基を含む不飽和カルボン酸エステル (メタ)アクリルアミド、メチロール化(メタ)アク
リルアミドなどのアミド系単量体;ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドンなどのアミ
ノ基もしくはイミノ基含有単量体;などの含窒素系不飽
和単量体 2〜8官能またはそれ以上の多官能のエチレン性不飽
和単量体。例えば、多価アルコール〔前記で例示した
ものと同様〕のポリ(メタ)アクリレート及びポリオキ
シアルキレンポリオール〔前記で例示したものと同
様〕のポリ(メタ)アクリレート
【0012】これらのうち、好ましいものは(メタ)ア
クリル酸、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリオキシエチレングリコール〔重合度2〜120
0〕モノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレングリコール〔重合度2〜1000〕
モノ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリオキシエチ
レングリコール〔重合度2〜30〕モノ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ビニルピロリドンおよび多価ア
ルコールジ(メタ)アクリレート、例えば、エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン
グリコール〔重合度2〜1200〕ジ(メタ)アクリレ
ート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコ
ール〔重合度2〜1000〕ジ(メタ)アクリレートで
ある。また、の多官能のエチレン性不飽和単量体を、
全単量体中少なくとも20質量%以上、とくに30質量
%以上用いて、(c)を架橋重合物とするのが好まし
い。
【0013】重合触媒(c2)としては、ラジカル重合
開始剤が挙げられ、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化
第三ブチル、第三ブチルヒドロキシペルオキシド、過硫
酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過酸化物;ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニ
トリルなどのアゾ化合物;過酸化水素と第1鉄塩、過硫
酸塩と第1鉄塩、過酸化ベンゾイルとジメチルアニリ
ン、酸素とトリエチルホウ素などのレドックス系開始剤
などが挙げられる。これらのうち、好ましいものは水系
で重合開始する触媒であり、例えば過硫酸アンモニウ
ム;過硫酸ナトリウム;レドックス系開始剤、例えば、
過酸化水素と硫酸第1鉄、塩化第1鉄もしくは水酸化第
1鉄との併用、過硫酸ナトリウムと硫酸第1鉄、塩化第
1鉄もしくは水酸化第1鉄との併用などである。また、
アスコルビン酸を併用し、レドックス反応により酸化さ
れた鉄(III) 塩を鉄(II)塩に還元して再使用するの
に用いてもよい。
【0014】発泡体中の重合物(c)の量は、不燃性お
よび強度の点から、好ましくは5〜60質量%、さらに
好ましくは10〜50質量%である。
【0015】エチレン性不飽和単量体(c1)に対する
重合触媒(c2)の使用比率(固形分)は、反応性の点
から、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは
0.15〜3質量%である。
【0016】本発明の発泡体には、物性やコストを考慮
して、必要により無機充填材(d)を含有させても良
い。無機充填材(d)としては、例えば下記(d1)〜
(d5)が挙げられる。 (d1)セメント:ポルトラントセメント、シリカセメ
ント、アルミナセメント、高炉セメント、フライアッシ
ュセメント、白色セメント等 (d2)粘土鉱物:モリロナイト、ベントナイト、雲
母、セリサイト、カオリン、タルク、フィライト、ゼオ
ライト等 (d3)無機質軽量骨材:パ−ライト、シラスバル−ン
等 (d4)無機繊維:カーボン繊維、アスベスト、ロック
ウール、ガラス繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウ
ム繊維、スチール繊維等 (d5)その他非水溶性の無機粉末材料:フライアッシ
ュ、シリカフューム、珪石粉、セラミック粉、水酸化ア
ルミニウム、アルミナ等
【0017】以上(d)として例示したものの選択には
特に限定はなく、発泡体の物性、コスト等の要求に合わ
せて単独もしくは任意の組み合わせで添加すればよい。
例えば、セメント(d1)の添加により発泡体の硬度が
向上する。セメント(d1)の中では、アルミナセメン
トが、セメントの中でもアルカリ性が低いため、金属の
硫酸もしくは亜硫酸塩(a)との反応性が低い点で好ま
しい。無機繊維(d4)の添加により、発泡体の引張強
度、曲げ強度等の向上や、発泡体中の有機物が仮に燃え
てしまった後の形状保持性を向上させる。又、(d5)
のうちの水酸化アルミニウムは、添加することにより防
火性能を向上させる。その他(d)として例示したもの
は、主としてコスト・ダウンのための増量材的な用い方
ができる。(d)の添加量は特に制限はなく、好ましく
は、(a)100質量部に対して、1800質量部以
下、さらに好ましくは100〜1200質量部以下であ
る。上記無機繊維(d4)に代えるかあるいは併用し
て、有機繊維の使用も可能であり、有機繊維も発泡体の
引張強度、曲げ強度等の向上効果がある。有機繊維とし
ては、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、
ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、セルロース繊
維等が挙げられる。但し、有機繊維の使用量は、発泡体
の防火性能の要求レベルを考慮して支障のない範囲とす
る必要がある。
【0018】本発明の発泡体は、(c)の含有量を前記
の好ましい範囲とすれば、かなり高い防火性を有してい
るが、更に高い防火性を付与するため、難燃剤を成分に
加えて発泡硬化させることもできる。難燃剤としては、
非ハロゲン系燐酸エステル(トリフェニルフォスフェー
ト、クレジルジフェニルフォスフェート、アンモニウム
ポリフォスフェートなど)、ハロゲン含有系燐酸エステ
ル(トリスクロロエチルフォスフォネート、トリスジク
ロロプロピルフォスフェート、トリス(トリブロモフェ
ニル)フォスフェート、トリスジブロモプロピルフォス
フェートなど)、活性水素含有系難燃剤{ジ(イソプロ
ピル)N、Nビス(2ヒドロキシエチル)アミノメチル
フォスフェート、臭素化ビスフェノールAのアルキレン
オキサイド付加物など}、三酸化アンチモン、五酸化ア
ンチモン、酸化亜鉛等があげられる。以上例示したもの
は、1種でも2種以上用いてもよい。難燃剤の使用量は
通常、(c)100質量部に対して、40質量部以下、
好ましくは、0.1〜30質量部である。
【0019】本発明の方法によって、金属の硫酸もしく
は亜硫酸塩(a)、無機系発泡剤(b)、エチレン性不
飽和単量体(c1)、重合触媒(c2)、水及び必要に
より無機充填材(d)からなる成分を混合して水性混合
物とすることにより発泡させ、且つ重合させることによ
り硬化させると、本発明の発泡体が得られる。この水性
混合物中の水の量は、混合水スラリー化が可能な範囲で
あれば、必要以上には水を加える必要はなく、水が多い
程発泡硬化したものの乾燥に時間や手間がかかる。水の
量は特に制限はないが、好ましくは水性混合物の固形分
濃度が40〜90質量%程度となる量である。
【0020】本発明の方法において、エチレン性不飽和
単量体(c1)の重合反応をコントロールするために、
発泡硬化時および発泡硬化後に、更に加熱して行うこと
もできる。通常、常温〜170℃であり、好ましくは、
30〜160℃である。
【0021】本発明の方法において、発泡体のセル構造
をコントロールするために、必要により、整泡剤を添加
してもよい。整泡剤としては、従来公知のシリコン系活
性剤が挙げられ、例えば、 ・トーレ・シリコ−ン社製のSH−192、SH−19
3、SH−194等、 ・東芝シリコーン社製のTFA−4200等、 ・日本ユニカー社製のL−5320、L−5340、L
−5350等、 ・信越シリコン社製のF−121、F−122等 等が挙げられる。整泡剤の添加量は、エチレン性不飽和
単量体(c1)100質量部に対して、通常は10質量
部以下、好ましくは0.01〜5質量部である。
【0022】また、本発明の発泡体を得るには、金属の
硫酸もしくは亜硫酸塩(a)、無機系発泡剤(b)、エ
チレン性不飽和単量体(c1)および重合触媒(c2)
の各成分は水道水、天然水、脱イオン水、河川水、井戸
水等の水で予め希釈して混合するか、あるいは水ととも
に混合し水性混合物にする必要がある。本発明の方法に
おいて、各成分を混合することにより発泡硬化させる方
式としては、下記の[1]〜[4]に例示するような種
々の方式がある。 [1](a)、(b)、(c1)、(c2)、水及び必
要により(d)を一括に投入混合し、常温〜170℃で
発泡硬化させる方式。 [2](c1)、(c2)および水を混合した後、
(a)、(b)および必要により(d)を併せて投入混
合し、常温〜170℃で発泡硬化させる方式。 [3](a)と(c1)、(c2)を混合した後、あら
かじめ、(b)、水および必要により(d)を混合して
スラリー化したものを投入混合し、常温〜170℃で発
泡硬化させる方式。 [4](a)、(c1)、(c2)と水の一部を混合し
た後、あらかじめ(b)および必要により(d)と水の
残りとを混合してスラリー化したものを投入混合し、常
温〜170℃で発泡硬化させる方式。 これらのうち、好ましいのは、[1]、[2]および
[4]の方式であり、特に好ましいのは[2]の方式で
ある。
【0023】本発明の発泡体は、本発明の方法により、
常温〜120℃で常圧条件下、上記方式に基づき各成分
を混合し発泡硬化させて得ることができるが、その後、
更に、60〜170℃で加熱して、硬化を完全にするこ
ともできる。
【0024】本発明の方法により、型枠中に混合物を流
し込んで成形して発泡体とする。成型体の場合は、任意
の形状の型枠等(例えば、大型パネルの型枠等)を用い
て上記に例示した方式で発泡体とすればよい。
【0025】本発明の発泡体は、発泡剤(b)の添加量
を加減することにより、その比重を広範囲(例えば0.
03〜1.5)に調整できる。また、得られる発泡体は
比重0.1以下の低比重時においても、発泡表面に脆さ
はなく、組成および配合上の調整から、硬質の大部分が
連通気泡の発泡体を得ることができる。また、発泡体の
断熱性能も比重のコントロールにより、例えば、0.0
6kcal/m・hr・℃以下、好ましくは0.03〜
0.05kcal/m・hr・℃の低い熱伝導率を付与
することが可能な上、防火性も不燃材から準不燃材相当
のレベルである等、グラスウール、硬質ウレタンフォー
ムといった既存の断熱材と比較しても、優れた特性を持
つ材料と位置づけられる。したがって、本発明の発泡体
は、大型外壁パネルや内壁パネルの断熱材,防音材,防
耐火材、耐火被覆材、軽量骨材および耐火金庫用の断熱
材等として用いることができる。
【0026】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比
較例中の部は質量部である。
【0027】製造例 <実施例1〜5、比較例1〜4の
発泡体の製造> 実施例1〜5の各々は、下記表1の組成に基づいて、金
属の硫酸もしくは亜硫酸塩(a)、重合触媒(c2)、
および日本ユニカー社製整泡剤SZ−1688を予め混
合し、A液とした。また、無機系発泡剤(b)、エチレ
ン性不飽和単量体(c1)、重合触媒(c2)、無機充
填材(d)、および水をホモミキサ−で均一に混合し、
B液とした。両液を予め20℃に調整後、更に撹拌混合
した。その後、型枠(50×30×3cm)に流し込
み、自由発泡させて成型物を得た。その後、150℃で
30分硬化乾燥して、発泡体を作成した。同様に比較例
1〜4の各々は、下記表1の組成に基づいて、実施例と
同様に、攪拌混合した。その後、同様に型枠に流し込み
発泡させて成型物を得た。ここで、実施例、比較例共
に、1、2は軟質発泡体であり、同様に3〜5(5は実
施例のみ)は硬質発泡体の成型物である。
【0028】
【表1】
【0029】注1)略記号で示す化合物は次のとおり。 (a)金属の硫酸もしくは亜硫酸塩 a−1:硫酸1水素亜鉛(40%水溶液) a−2:硫酸アルミニウム(30%水溶液) (a’)硫酸又は亜硫酸 a'−3:硫酸(50%水溶液) a'−4:亜硫酸(50%水溶液) (b)無機系発泡剤 b−1:炭酸カルシウム b−2:塩基性炭酸マグネシウム (c1)エチレン性不飽和単量体 c1−1:ポリオキシプロピレングリコール(分子量1
100)のエチレンオキサイド付加物(分子量165
0)のジアクリレート c1−2:ポリオキシエチレングリコール(分子量40
0)ジアクリレート c1−3:ヒドロキシエチルアクリレート c1−4:アクリル酸ナトリウム72%中和物(50%
水溶液) (c2)重合触媒 c2−1:硫酸第1鉄(2%水溶液) c2−2:アスコルビン酸(20%水溶液) c2−3:クメンパーオキサイド(80%芳香族炭化水
素溶液) c2−4:過酸化水素水(10%水溶液) (d)無機充填材 d−1:水酸化アルミニウム d−2:アルミナセメント d−3:シラスバル−ン[サンキ工業(株),商品名:
サンキライトNo.2]
【0030】試験例<実施例1〜5、比較例1〜4の発
泡体の評価> 製造例で得た実施例1〜5及び比較例1〜4の発泡体
を、通気のよい室内に1カ月放置したあと、下記試験方
法による試験に供した。 [発泡体の物性等の試験方法] (1)熱伝導率 JIS A−1412(保温板の熱伝導率測定方法) (2)圧縮強度 JIS K−7220(硬質発泡プラスチックの圧縮試
験方法) (3)発泡体の柔軟性 JIS Z1536(ポリスチレンフォーム包装用緩衝
材)に規定される柔軟性試験に準拠。試験片を40mm
円筒の円周に沿って巻き付けた時の状態観察から判定し
た。 (4)防火性能レベル(不燃・準不燃・難燃性) 建設省公示第1231号(準不燃材料及び難燃材料の試
験方法)、建設省公示第1828号(不燃性材料の試験
方法)にそれぞれ規定される表面試験方法に準拠して測
定した。 (5)曲げ強度 JIS K−7220(硬質発泡プラスチックの曲げ試
験方法)
【0031】[試験結果]軟質発泡体の物性試験および
外観観察の結果を表2に、硬質発泡体の結果を表3に記
載した。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】注)単位:密度はkg/m3 、熱伝導率は
kcal/mhr℃、圧縮強度、曲げ強度はkPa。
【0035】[試験結果の補足説明] 実施例1〜5の本発明の発泡体のうち、実施例1、2
の発泡体は、反発性があり、柔軟性のある軟質発泡体で
あり、実施例3〜5の発泡体は、靱性のある硬質発泡体
であった。 実施例1〜5の発泡体の表面状態は、手で擦っても粉
分等が剥離することはなく、脱型した成形体も大型パネ
ルとして運用するに十分な強度性能を兼ね備えるもので
あった。また、防火性のレベルも不燃材から準不燃材相
当のかなり高いものであった。 比較例1〜4の発泡体の内、軟質発泡体の比較例1、
2については、密度が高く、靱性のない発泡体となっ
た。 硬質発泡体の比較例3、4については同様に密度が高
く、発泡体が脆いという問題があった。
【0036】
【発明の効果】本発明の無機有機複合発泡体及びその製
造法は、以下の効果を奏する。 (1)本発明の発泡体は、従来の無機系の発泡体の問題
点であった靱性と強度を大幅に改善するものである。高
発泡倍率の発泡体とした場合は、軟質から硬質まで調整
でき、且つ軟質・硬質の何れの場合も脆性が改善されて
いる。 (2)低比重、高発泡倍率の発泡体でも、運用上全く問
題ない程度の強度を有するため、断熱性に優れる軽量の
パネル等が作製できる。 (3)常温常圧下での条件でも製造することができるた
め、オ−トクレ−ブ養生等の特殊な反応装置を必要とし
ない。 (4)所望の形状の型枠中で容易に多孔化でき、硬化さ
せることができる。また、壁面にこて塗りや吹き付け等
を行い、硬化させることも可能である。 (5)外観および性能上は、既存の硬質ウレタンフォー
ム、スチレンフォームとほぼ同等のレベルにあるもの
の、材料の防火性は、これら既存の有機系断熱材以上の
不燃材〜準不燃材に相当するレベルの材料であり、防災
上、安全性の高い材料を市場に供給することができる。
【0037】以上の効果を奏することから、本発明の発
泡体は、その防火性能、断熱性、弾性、柔軟性、強度、
低密度等を兼備する特性を生かし、例えば、以下のよう
な用途に使用するのに好適である。 列車、自動車、住宅、ビル等防火性能が要求される用
途において、従来ALC、珪酸カルシウム板、無機繊維
板等の無機質発泡体が用いられていたものの代替;例え
ば、鉄骨被覆材、耐火レンガ、台所や厨房を含めた内壁
パネル、防火性を有する外装パネル、ボイラー等の燃焼
機械の熱遮蔽材、自動車等のシートクッション材や排気
ラインの熱遮蔽材、船舶等の内装パネルや空隙充填材、
耐火金庫の充填剤。 住宅、ビル、列車、航空機、船舶等の断熱性能が要求
される用途において、従来ウレタンフォーム、スチレン
フォーム等の有機質発泡体が用いられていたものの代
替;例えば、天井、壁、床、屋根等の住宅・ビル等の内
外装断熱ボードやパネル、畳心材、ドア等の空隙充填
材、屋根瓦や屋根材の断熱裏材、自動車や列車・航空機
・船舶等の屋根内張り材、エンジン周囲の内装材、ハニ
カム使用部分の代替材、冷蔵庫・エアコン・冷凍庫・空
調設備や空調ラインの断熱材、LNG等の天然ガスのタ
ンクやパイプラインの断熱被覆材、工場でのユーテイリ
テイラインの断熱材、冷凍品等の輸送用断熱パッキング
材。 低密度が要求される用途;例えば、合成木材およびそ
の心材、軽量骨材、包装用のパッキング材。 連通気泡である発泡体より、表面積が大であることを
要求される用途;例えば、サンドドレン工法用サンドの
代替、排ガス燃焼触媒の担体、消臭剤や芳香剤用の担
体。 吸音を要求する用途;住宅用吸音パネル、トンネル内
の防音内壁材、列車軌道の防音高欄被覆材、エンジンや
機械類の防音内張り材やハウジング内張り材。 発泡体で有機系にない難生分解性や有機系に比べて低
い環境汚染性を有することから要求される用途;軽量盛
土の代替、トンネルの裏込め材、植生用ブロック、生け
花用剣山、園芸用バーミキュライト等の代替。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 倫和 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三 洋化成工業株式会社内 (72)発明者 山崎 忠明 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三 洋化成工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−67877(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/04 - 9/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属の硫酸もしくは亜硫酸塩(a)と、
    無機系発泡剤(b)とからの発泡体であり、さらに発泡
    と同時に重合して形成されるエチレン性不飽和単量体の
    重合物(c)からなり、(a)の含有量が3〜50質量
    %である無機有機複合発泡体。
  2. 【請求項2】 (c)が、重合触媒(c2)の存在下に
    エチレン性不飽和単量体(c1)を重合させてなる重合
    物であり、(a)、(b)、(c1)および(c2)か
    らなる水性混合物が、発泡と同時に重合してなる請求項
    1記載の発泡体。
  3. 【請求項3】 (a)を構成する金属が多価金属である
    請求項1または2記載の発泡体。
  4. 【請求項4】 (a)を構成する金属が、マグネシウ
    ム、アルミニウム、亜鉛、又はこれら二種以上の混合物
    である請求項1〜3のいずれか記載の発泡体。
  5. 【請求項5】 (b)が、炭酸塩化合物である請求項1
    〜4のいずれか記載の発泡体。
  6. 【請求項6】 発泡体中の(c)の含有量が5〜60質
    量%である請求項1〜5のいずれか記載の発泡体。
  7. 【請求項7】 更に無機充填材(d)を含有する請求項
    1〜6のいずれか記載の発泡体。
  8. 【請求項8】 金属の硫酸もしくは亜硫酸塩(a)、無
    機系発泡剤(b)、エチレン性不飽和単量体(c1)、
    重合触媒(c2)、水及び必要により無機充填材(d)
    からなる成分を混合することにより発泡させ、且つ同時
    に重合させる無機有機複合発泡体の製造法。
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