JP3421071B2 - 油溶性甘草エキス配合外用剤 - Google Patents

油溶性甘草エキス配合外用剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油溶性甘草エキスを含
外用剤にピロ亜硫酸塩を配合して、甘草エキス中の
有効成分の安定性を改善した外用剤に関するものであ
る。なお、この明細書で外用剤とは、クリーム、乳液、
化粧水、パックなどの化粧品および医薬部外品ならびに
軟膏剤、ローション剤、リニメント剤、乳剤などの外用
に用いられる医薬品を包含する。
【0002】
【従来の技術】皮膚のしみなどの発生機序については、
不明な点もあるが、一般には、ホルモンの異常や日光か
らの紫外線の刺激が誘因または原因となってメラニン色
素が形成され、これが異常沈着するものと考えられてい
る。このメラニン色素の形成には、皮膚内のアミノ酸の
一種であるチロシンが酸化され、重合していく反応機構
が考えられているが、この反応においては酵素チロシナ
ーゼが関与する過程が重要であると考えられている。一
般に、しみやあざの治療には、アスコルビン酸(ビタミ
ンC)や還元型グルタチオン、トラネキサム酸などの内
服療法とともに、アスコルビン酸誘導体やプラセンタエ
キス、コウジ酸などのチロシナーゼ活性を阻害する成分
の外用療法が有効とされている。油溶性甘草エキスも、
その有効成分であるグラブリジンやグラブレンなどがチ
ロシナーゼ活性阻害作用を有することが確認されてお
り、美白剤としての有効成分として有望視されている。
【0003】既に、甘草根からの油溶性エキスの調製法
(特開平1−311011号公報)についての提案はな
されており、油溶性甘草エキス中のグラブリジンについ
ては、その製造条件により種々の濃度のものが調製可能
である。また、油溶性甘草エキスを食品、化粧品、医薬
品などの製剤に配合する際の安定化剤としてトコフェロ
ール、没食子酸類、フラボノイド、アスコルビン酸類、
ソルビン酸類、クエン酸類などがあげられている(特開
平2−204417号公報)。しかし、これらの安定化
剤を配合してもグラブリジンの安定性改善への寄与はわ
ずかで製剤中での安定化には依然として問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】油溶性甘草エキスを製
剤に配合した際、上記安定化剤を配合しても、有効成分
であるグラブリジンは、比較的短期間で変性もしくは分
解を起こしてしまう。そのため、油溶性甘草エキス配合
製剤が美白剤として機能するためには、製剤中でのグラ
ブリジンの安定化が必須条件である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、油溶性甘草
エキス配合製剤に安定化剤として抗酸化剤であるピロ亜
硫酸塩を配合することにより、有効成分であるグラブリ
ジンの安定性を向上させることを初めて見い出し、本発
明を完成した。さらに詳しくは、本発明は、ピロ亜硫酸
の配合により、油溶性甘草エキス中のグラブリジンの
安定性を高め、変性または分解を防止することにより、
製剤中でも充分に美白剤としての効果が発揮できるよう
外用剤を提供することにある。具体的には、本発明は
油溶性甘草エキスおよびピロ亜硫酸塩を含有する外用剤
である。好ましくは油溶性甘草エキスが、甘草(Glycyr
rhiza glabra linne var. grandulifera Regal et Herd
er, Glycyrrhiza uralensis Fisher)またはその他同属
植物(Leguminosae )の根の油溶性エキスまたはその紛
末である上記外用剤である。また、グラブリジンおよび
ピロ亜硫酸塩を含有することを特徴とする外用剤でもあ
る。また、好ましくはピロ亜硫酸塩がナトリウム塩であ
る上記外用剤である。
【0006】本発明で安定化剤として用いるピロ亜硫酸
塩は、ピロ亜硫酸ナトリウムおよびピロ亜硫酸カリウム
などを代表的に挙げることができる。
【0007】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明
外用剤は、油溶性甘草エキスおよびこのエキス中の有
効成分の安定化剤であるピロ亜硫酸塩を含有する。これ
らの他に外用剤には一般に用いられる界面活性剤、油脂
類、アルコール類、保湿剤、防腐剤、キレート剤、pH
調整剤、香料、色素、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤など
を含有していてもよいのは当然のことである。
【0008】油溶性甘草エキスは、前述したように、特
開平1−311011号公報に調製法が例示されてお
り、その調製法については特に限定されるものではな
い。この油溶性甘草エキスは、上記とは異なる他の方法
によって調製してもよいし、市販のものを用いてもよ
い。油溶性甘草エキス中の有効成分は、グラブリジン、
グラブレン、グラブロール、ホルモレチンが主なものと
考えられる。
【0009】甘草には多くの種類があり、有効成分の含
有量にも差がある。したがって、有効成分をなるべく多
量に含んでいる甘草を用いるのが好ましい。その一例と
しては、甘草(Glycyrrhiza glabra linne var. glandu
lifera Regel et Herder, Glycyrrhiza uralensis Fish
er )またはその他同属植物(Leguminosae )の特に根
を用いるのが好適である。
【0010】また、使用する油溶性甘草エキス中のグラ
ブリジン濃度およびその安定化剤濃度は用途に応じて適
宜選択されるが、製剤中のグラブリジン濃度は、0.0
005〜1.0wt%が適当である。ピロ亜硫酸塩(無
水物に換算)の濃度としては、0.01〜3.0wt%
が適当である。なお、本発明のグラブリジンの安定化に
関しては、安定化の対象となるグラブリジンは、天然由
来もしくは合成により得られるものでもよく、外用剤
含まれる上で適当な安定化が期待される。
【0011】
【実施例】本発明に係る美白剤の実施例を次に示すが、
本発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。試験に用いた油溶性甘草エキスの美白効果について
は、効果の指標として、チロシナーゼ活性阻害効果を測
定し、油溶性甘草エキス中に含まれるグラブリジンの量
との関係を検討した。チロシナーゼ活性阻害効果の測定
については、日本皮膚科学会雑誌、102(6)、67
9(1992)の記載に準じ、次の条件で吸光度法によ
り行った。
【0012】 (試薬) a.L−チロシン溶液(0.5mg/ml) 0.5ml b.1/15Mリン酸緩衝溶液(pH6.8) 2.0ml c.1%硫酸銅液 0.05ml d.チロシナーゼ溶液 0.5ml e.試料+1/15Mリン酸緩衝溶液 2.0ml
【0013】(方法)a、b、c、d、eの各液を加
え、37℃で1時間インキュベートし、直ちに475n
mの吸光度Atを測定した。次にe液の代わりにb液を
2.0mlを加えて吸光度Abを測定し、さらにd液の
代わりに精製水0.5mlを加えて吸光度Aoを測定し
た。 阻害率(%)=〔Ab−(At−Ao)〕/Ab×10
【0014】また、各種製剤におけるグラブリジンの経
時安定性は45℃および室温で3ヵ月ならびに6ヵ月保
存した後のグラブリジンを定量し、試験開始時の定量値
を100として比較した。
【0015】 実施例1(クリーム) :油相 油溶性甘草エキス(グラブリジン含量) 1.00wt% ステアリン酸 5.00wt% セタノール 2.00wt% スクワラン 5.00wt% パルミチン酸セチル 4.00wt% モノステアリン酸グリセリン 2.00wt% ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 2.00wt% :水相 グリセリン 5.00wt% pH調整剤 適量 防腐剤 適量 ピロ亜硫酸ナトリウム 3.00wt% 精製水を加えて全量を100wt%とした
【0016】(製法)上記およびをそれぞれ80℃
に加熱溶解し、撹拌しながらをに徐々に加えて乳化
を行った。35℃まで冷却して、美白用クリームを調製
した。ここで、油溶性甘草エキスは、市販の油溶性甘草
エキスP−T(40)(丸善化成株式会社製)を用い
た。本クリームの調製に用いた油溶性甘草エキス中のグ
ラブリジンの定量値とチロシナーゼ活性阻害効果を測定
した結果を表−1に示す。今回試験に用いた油溶性甘草
エキスにおいても、グラブリジンの定量値とチロシナー
ゼ活性阻害効果には相関が認められた。
【0017】次に、本クリームにおける、試験開始時、
3ヵ月後および6ヵ月後における各条件のグラブリジン
の定量値を表−2に示す。また、安定化剤(ピロ亜硫酸
ナトリウム)の配合量を変えたものについて、同様の条
件で行なった結果についても合わせて示す。本発明によ
って得られたクリームの方が安定化剤無配合の対照品お
よび没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン
(BHT)などの抗酸化剤を配合したクリームよりも、
安定性が改善されていることがわかる。
【0018】
【0019】
【0020】参考例1 (乳液) :油相 油溶性甘草エキス(グラブリジン含量) 0.10wt% ステアリン酸 0.10wt% セタノール 2.00wt% スクワラン 10.00wt% ラノリンアルコール 2.00wt% ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル 2.00wt% :水相 プロピレングリコール 2.00wt% グリセリン 3.00wt% 防腐剤 適量 亜硫酸水素ナトリウム 0.10wt% 精製水を加えて全量を100wt%とした
【0021】(製法)上記およびをそれぞれ80℃
に加熱溶解し、撹拌しながらをに徐々に加えて乳化
を行った。35℃まで冷却して、美白用乳液を調製し
た。なお、本乳液の調製に用いた油溶性甘草エキスは実
施例1で用いたものと同一である。本乳液について、実
施例1と同様の条件で、グラブリジンの定量を行ったと
ころ、前記クリーム同様、グラブリジンの安定性は良好
であることが確認できた。
【0022】参考例2 (化粧水) :油相 油溶性甘草エキス(グラブリジン含量) 0.0005wt% エタノール 15.00wt% ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 1.50wt% ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル 1.00wt% :水相 プロピレングリコール 5.00wt% グリセリン 2.00wt% 防腐剤 適量 亜硫酸アンモニウム(無水物として) 0.01wt% 精製水を加えて全量を100wt%とした
【0023】(製法)上記およびをそれぞれ室温で
混合溶解し、撹拌しながらをに徐々に加えて、美白
用化粧水を調製した。なお、本化粧水の調製に用いた油
溶性甘草エキスは実施例1で用いたものと同一である。
本化粧水について、実施例1と同様の条件で、グラブリ
ジンの定量を行なったところ、前記クリーム、乳液同
様、グラブリジンの安定性は良好であることが確認でき
た。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、従来の油溶性甘草エキ
ス配合製剤よりも、有効成分であるグラブリジンの安定
性に優れた、美白効果の期待できる外用剤が提供可能で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 17/16 A61P 17/16 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50 A61K 35/78 CA(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油溶性甘草エキスおよびピロ亜硫酸塩を含
    有する外用剤
  2. 【請求項2】上記油溶性甘草エキスは、甘草(Glycyrrh
    iza glabra linne var. glandulifera Regel et Herde
    r, Glycyrrhiza uralensis Fisher)またはその他同属
    植物(Leguminosae )の根の油溶性エキスまたはその粉
    末である請求項1記載の外用剤
  3. 【請求項3】グラブリジンおよびピロ亜硫酸塩を含有す
    外用剤
  4. 【請求項4】上記ピロ亜硫酸塩が、ナトリウム塩である
    請求項1〜3のいずれかに記載の外用剤
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FR2764189B1 (fr) * 1997-06-09 1999-08-27 Coletica Utilisation de sulfites et metabisulfites, pour la fabrication de compositions cosmetiques ou pharmaceutiques, notamment en dermatologie, a effet inhibiteur de la melanogenese ou a activite depigmentante
TWI329516B (en) * 2000-12-12 2010-09-01 Kaneka Corp Composition for preventing or ameliorating multiple risk factor syndromes and visceral fat-type obesity
DE102009048974A1 (de) * 2009-10-09 2011-04-14 Beiersdorf Ag Kosmetische oder dermatologische Zubereitungen mit Kombinationen aus öllöslichen kosmetischen oder dermatologischen Wirkstoffen und einem oder mehreren Sulfiten (Bisulfiten oder Disulfiten)

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