JP3420499B2 - 焼却炉内壁建造方法及び成型耐火物ユニット - Google Patents

焼却炉内壁建造方法及び成型耐火物ユニット

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JP3420499B2 JP13231898A JP13231898A JP3420499B2 JP 3420499 B2 JP3420499 B2 JP 3420499B2 JP 13231898 A JP13231898 A JP 13231898A JP 13231898 A JP13231898 A JP 13231898A JP 3420499 B2 JP3420499 B2 JP 3420499B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉等の焼
却炉内壁の建造方法及びそれに用いる成型耐火物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図1は、焼却炉の一例であるごみ焼却炉
の内部構造を示す概略的な断面図である。ごみは投入口
から投入され、燃焼室で焼却され、固形残留物やガ
ス等を生じる。発生したガスは、水冷機構を具備する冷
却室4を通って排気されることとなる。このような焼却
炉1の外壁5の内面上には、通常、耐火性の内壁構造が
設けられる。例えば、鋼板やコンクリートの外壁の内側
に耐火煉瓦を積み重ねたり、キャスタブル耐火物により
内壁を構築したりすることが行われていた。
【0003】しかしながら、特に、図1におけるガス冷
却室4では、水噴霧により急速にガスが冷却されるた
め、内壁表面は極めて過酷な状況に置かれる。すなわ
ち、高熱はもちろんのこと、急激な温度変化や、冷却水
及び水蒸気等の水分にも曝される。従って、耐火煉瓦の
場合には、スポーリングによる欠落、又は水蒸気の目地
への侵入による急速な破損が発生し、キャスタブル耐火
物の場合も、スポーリングによる欠落や剥離が発生しや
すかった。また、キャスタブル耐火物はセメントを含む
ので化学的耐久性にも弱い。このように、耐火煉瓦やキ
ャスタブル耐火物は、耐久性、耐摩耗性に欠けていた。
【0004】そこで、特開昭64−57090号に開示
する「ごみ焼却炉等の築造方法及び耐火構造物」が提示
された。図6及び図7に当該出願に係る発明の概要を示
す。図6(A)は、炉壁の一部を切り取って示す概略的な
斜視図である。図示の焼却炉の例では、炉壁が円筒状の
曲面で構成されているが、角柱状の炉の場合は炉壁が平
面で構成される。円筒状の外壁106は、通常、鋼板又
はコンクリート等で形成される。外壁106の内側には
第1のキャスタブル耐火物113の層、第2のキャスタ
ブル耐火物112の層、及び、多数の耐火板111を並
べて積み上げた耐火壁による内壁構造が設けられる。
【0005】図6(B)及び(C)に示す耐火板111
は、高アルミナ質等の耐火性に優れたセラミック耐火材
を予め成型して固化したセラミック成形耐火物である。
図示の耐火板111は、曲面を形成するため湾曲した板
状に成型されている。その中央には板を貫通するアンカ
ー取付孔110が設けられている。アンカー取付孔11
0には、先端がY字状に分岐した金属製のアンカー材1
08が通され、施工最終段階において、アンカー材10
8の頭部は耐火板111に固定され一体化される。アン
カー材108の頭部を固定したアンカー取付孔110の
座ぐり部116が適宜の耐火物118で充填されること
により、アンカー材108の頭部もまた被覆保護され
る。
【0006】図7は、施工工程の途中段階を示す内壁表
面近傍の部分的な断面図である。施工においては、図6
(A)の第1のキャスタブル耐火物の層113を設けた
後、仮設板107を所定の位置に張設し、仮設板7を支
持枠として耐火板111を並べて積み上げる。このと
き、耐火板111にアンカー材108を通してネジ11
4とナット115によりアンカー材の頭部を仮設板10
7に仮固定する。その後、図6(A)の第2のキャスタブ
ル耐火物112を間隙に充填する。第2のキャスタブル
耐火物112の固化によりアンカー材108及び耐火板
111が固定される。その後、仮固定用のネジ114と
ナット115を外して仮設板107を除去し、アンカー
材108の頭部を改めてナットで固定した後、座ぐり部
116に耐火物を充填して施工完了する。
【0007】上記の特開昭64−57090号に開示の
発明は、セラミック成形耐火物の層によりキャスタブル
耐火物の層を被覆保護することにより、それ以前の耐火
煉瓦やキャスタブル耐火物のみを利用した焼却炉内壁構
造に比べて、耐スポーリング性、耐摩耗性、耐水性に優
れた内壁構造を実現することができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
64−57090号に開示されたセラミック成形耐火物
による耐火板111は、そのアンカー材108が金属製
であるという欠点があった。金属製部材が、高温や蒸気
等の過酷な条件に曝されると酸腐食や熱応力による損傷
を被り、また低温時には応力腐食割れ等を生じ、早期に
破損劣化する。このため、アンカー材108が露出する
ことを避けて、耐火物112、111、118で被覆保
護される構造としてはいるが、過酷な条件下では蒸気や
ガスの僅かな侵入までも完全に阻止することはできな
い。従って、セラミック成型耐火物である耐火板111
が十分な耐久性を有しているにも拘わらず、金属製のア
ンカー材108が破損することにより、耐火板111の
交換が必要となる。
【0009】以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、耐
スポーリング性、耐摩耗性、耐水性に優れた焼却炉内壁
の建造方法及びそれに用いる耐火物を提供することであ
る。また、本発明の更なる目的は、施工及び補修の作業
が効率的かつ容易に行える焼却炉内壁の建造方法及びそ
れに用いる耐火物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するべ
く、本発明による、焼却炉外壁の内面上にキャスタブル
耐火物の層を含む内壁を建造する方法は、セラミック耐
火材を成型固化して作製されかつ板状部分と該板状部分
の片面上から延びる棒状のアンカー部分とを具備する形
状の成型耐火物ユニットを形成し、前記外壁の内面上に
第1のキャスタブル耐火物の層を設置し、前記第1のキ
ャスタブル耐火物の層の表面から間隙を空けて型枠を設
置し、前記成型耐火物ユニットの前記アンカー部分が前
記外壁の方へ向くように複数の該成型耐火物ユニットを
前記間隙内に前記型枠に沿って並べかつ積み上げること
により該成型耐火物ユニットの層を設置し、前記成型耐
火物ユニットの層と前記第1のキャスタブル耐火物の層
の間に第2のキャスタブル耐火物を流し込むことにより
前記アンカー部分を埋没させると共に第2のキャスタブ
ル耐火物の層を設置し、前記第2のキャスタブル耐火物
の層が固化した後に前記型枠を除去することを特徴とす
る。
【0011】さらに本発明による成型耐火物ユニット
は、焼却炉内壁に設けられるキャスタブル耐火物の層を
被覆保護するべく用いられるものであって、セラミック
耐火材を成型固化してそれぞれ作製される板状のプレー
ト成型物と棒状のアンカー成型物とから構成され、前記
プレート成型物に設けられた貫通孔に挿通された前記ア
ンカー成型物が該プレート成型物から脱落不能に固定さ
れることにより、前記プレート成型物の片面上から前記
アンカー成型物の一端が前記キャスタブル耐火物の層の
側に突出する形状を有することを特徴とする。
【0012】また、上記成型耐火物ユニットにおいて、
前記アンカー成型物が突出する側の前記プレート成型物
の面上に凹部を設けることを特徴とする。さらにまた、
上記成型耐火物ユニットにおいて、前記アンカー成型物
の突出する部分の周囲に切欠き部を有することを特徴と
する。
【0013】
【作用】焼却炉内壁を構成するキャスタブル耐火物の層
をセラミック成形耐火物の層で被覆することにより、キ
ャスタブル耐火物の層を高温、水蒸気等から保護する。
セラミック成型耐火物の層は、複数の成型耐火物ユニッ
トを並べかつ積み上げることにより設置されるので、作
業は効率的かつ容易である。成型耐火物ユニットは、2
つの部品すなわち板状のプレート成型物と棒状のアンカ
ー成型物を組み合わせ一体化することにより形成される
ので、施工前に予め準備しておくことができ効率がよ
い。またその組合せ作業も、アンカー成型物をプレート
成型物の貫通工に挿し通すだけなので容易である。成型
耐火物ユニットのプレート成型物に設けた凹部及びアン
カー成型物に設けた切欠き部には、施工においてキャス
タブル耐火物が充填され固化するので、成型耐火物ユニ
ット層とキャスタブル耐火物層の双方を強固に固定する
作用がある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。尚、説明においては、主と
してごみ焼却炉のガス冷却室に適用される構造を想定し
ているが、本発明の適用はこの場合に限定されるもので
はなく、高温、急激な温度変化、水や蒸気に曝される過
酷な条件下で稼働される様々な炉の内壁に有効に適用可
能である。
【0015】図2(A)は、本発明により建造された焼却
炉内壁の一部を切り取って示した斜視図である。図2に
示す例は、角柱型の焼却炉等における平面壁の場合であ
る。鋼板やコンクリートで構築された外壁5の内側に、
第1のキャスタブル耐火物7の層、第2のキャスタブル
耐火物9の層、及び、多数の成型耐火物ユニット13を
並べ積み上げて構成された成型耐火物ユニット層10が
設けられる。成形耐火物ユニット層10の露出した表面
が、焼却炉内壁表面となる。側断面に現れている金属製
のYアンカー8は、外壁5に取り付けられ、先端の先割
れ部分は第2のキャスタブル耐火物9の層まで延びてい
る。また、後に詳細に説明するが、成型耐火物ユニット
13に取り付けられたアンカー成型物12も、第2のキ
ャスタブル耐火物9の層内に延びている。第1と第2の
キャスタブル耐火物の層7、9は、施工段階が異なるの
で2層に分けて示しているが、同質のキャスタブル耐火
物を用いてもよい。しかしながら、例えば、第1のキャ
スタブル耐火物7として断熱キャスタブル耐火物を用
い、第2のキャスタブル耐火物9として耐水キャスタブ
ル耐火物を用いることが好適である。
【0016】図2(B)は、本発明による成型耐火物ユニ
ット13を示す側面図であり、図2(C)はその背面側か
ら見た斜視図である。以後、成型耐火物ユニット13の
説明では、施工後に焼却炉内部に面する側を正面側と
し、キャスタブル耐火物9の層に接する側を背面側とし
て説明する。図2(B)に示すように、成型耐火物ユニッ
ト13は、セラミック耐火材を成型してそれぞれ形成し
たプレート成型物11とアンカー成型物12とを組み合
わせ、一体化したものである。これらのセラミック成型
耐火物は、例えば、高アルミナ質又はシリカ質の耐火性
骨材と耐火粘土、粘結剤等を水で練り合わせた練り土状
の耐火物を、押出機等の成型機にて適宜形状に成形した
後、加熱して硬化させたものである。前述のようにセラ
ミック成型耐火物は、キャスタブル耐火物に比べて優れ
た耐スポーリング性、耐摩耗性、耐水性を有する。
【0017】図2(C)の斜視図に示すように、プレート
成型物11は4角形のブロックであり、正面側には焼却
炉内壁表面となるべき均一な面を有する。また、プレー
ト成型物11の中央には、貫通孔であるアンカー取付孔
11aが設けられる。アンカー取付孔11aは、正面側
の径が広く背面側の径が狭いテーパー形状となってい
る。また、プレート成型物11の背面側には4個の座ぐ
り状の浅い凹部11bが設けられる。プレート成型物1
1の寸法は、限定はしないが、作業性と耐久性を考慮し
て設定する。図示の4角形形状の場合、正面が1辺250
〜300mmの正方形、厚さが45〜55mm程度が好適である。
凹部11bの数及び位置は図示の例に限定しない。また
凹部11bの深さも限定はしないが、例えばプレート成
型物11の厚さの5〜15%程度とする。施工におい
て、これらの凹部11bに第2のキャスタブル耐火物が
充填されることにより成形耐火物ユニット13が強固に
固定される。従って、凹部が浅すぎれば固定に対する寄
与が少なくなり、深すぎればプレート成型物の機械的強
度が弱くなることを配慮して設定する。
【0018】一方、アンカー成型物12は、全体的に略
棒状であるが、下部にはテーパー部12aが設けられ
る。テーパー部12aは、プレート成型物11の取付孔
11aに嵌合する形状である。アンカー成型物12とプ
レート成型物11を組み合わせるときは、アンカー成型
物12の棒状部分をプレート成型物11のアンカー取付
孔11aに正面側から挿し通して背面側から突出させ、
アンカー成型物12のテーパー部をプレート成型物11
の取付孔11aと嵌合固定させることにより、双方を一
体化する。好適には、プレート成型物11のアンカー取
付孔11aとアンカー成型物12のテーパー部12aの
双方に予めモルタルを塗り付けた後に、組み合わせて一
体化し、1個の成形耐火物ユニット13を完成させる。
【0019】アンカー成型物12の突出した棒状部分
は、施工において第2のキャスタブル耐火物の層(図2
の符号9)に埋め込まれることにより、成形耐火物ユニ
ット13を強固に固定する役割を果たす。また、アンカ
ー成型物12の棒状部分の周囲には、2箇所に切欠き部
12bが設けられている。この切欠き部12bは、前述
のプレート成型物の凹部11bと同様に、施工において
第2のキャスタブル耐火物が充填されることにより、成
形耐火物ユニット13の固定を強化する。この切欠き部
12bの形状は、図示の例に限定されない。切欠き部1
2bの形状の別の例として、棒状部分の周囲を一周する
ような切欠きとしてもよい。アンカー成型物12の寸法
は、限定しないが、例えば棒状部分の直径が50〜60mm、
長さが100〜150mm程度が好適である。もちろん、プレー
ト成型物の寸法との均衡を考慮して設定される。切欠き
部12bの深さは、例えば、棒状部分の周面から5〜6mm
とする。切欠き部12bの深さの設定についても前述の
凹部11bの場合と同様の配慮をする。
【0020】図3(A)は、本発明により建造された別の
焼却炉内壁の一部を切り取って示した斜視図である。図
3の例は、円柱型の焼却炉等における曲面壁の場合であ
る。尚、図2の例と対応する構成要素については同符号
で示している。図3(B)は、曲面壁の場合の成型耐火物
ユニット13の側面図である。正面側が、焼却炉の曲面
に沿うような湾曲面で形成されている。各構成要素の説
明は、図2に示した例と同様である。図3(B)において
プレート成型物11の側面に取り付けられた薄板14
は、非耐火性材料からなり、図4において説明する。
【0021】図4は、成型耐火物ユニット13の構成要
素であるプレート成型物11の正面図である。2つの側
面に取り付けられる非耐火性薄板14は、焼却炉稼働後
に起きる成形耐火物ユニット13の膨張のための余裕す
なわち膨張代を確保するためのものである。すなわち、
非耐火性薄板14を取り付けた状態で、図2(A)及び図
3(A)のように成形耐火物ユニット13を組み上げて施
工完了した後、実際に焼却炉の稼働を開始する。する
と、非耐火性薄板14は、熱により即座に消失し、隣り
合う成形耐火物ユニット13同士の間に間隙が生じる。
この間隙が生じることで、成形耐火物ユニット13が熱
膨張する余地ができる。これにより成形耐火物ユニット
13の熱膨張による破損を防止できる。非耐火性薄板1
4の厚さは、必要な膨張代の大きさにより設定する。ま
た、図示の4角形形状のプレート成型物11において
は、非耐火性薄板14を隣り合う2辺に取り付けること
により、縦方向と横方向の膨張にそれぞれ対処できる。
【0022】非耐火性薄板14の材質は、例えば、ポリ
スチレンフォーム等の合成樹脂が好適であるが、紙若し
くは木等でもよい。更なる好適例として、適宜の厚さの
ポリスチレンフォームの両面に粘着剤を付着させた両面
テープを利用すれば、非耐火性薄板をプレート成型物の
側面に容易に取り付けられると同時に、積み上げ作業の
際に隣り合うプレート成型物の側面同士を容易に仮固定
することもでき、非常に作業性がよい。
【0023】次に、図5を参照して本発明の焼却炉内壁
の建造方法による施工工程を説明する。図5は、平面壁
における一施工範囲の部分断面図を示す。図5(A)の工
程では、施工範囲の外壁5にYアンカー8を取り付けた
後、第1のキャスタブル耐火物7の層を所定の厚さに施
工する。この施工は、流し込み若しくはこて塗り等によ
り行う。第1のキャスタブル耐火物7には、例えば、断
熱キャスタブル耐火物を用いる。このとき、Yアンカー
8の先端の先割れ部分は、第1のキャスタブル耐火物7
の層から露出している。その後、建造しようとする内壁
構造を一時的に支持するための型枠6a、6bを架設す
る。型枠6aは、第1のキャスタブル耐火物7の層の表
面から所定の間隙を空けて架設される。所定の間隙は、
後工程で設置される第2のキャスタブル耐火物層と、成
型耐火物ユニットの層の厚さにより設定される。型枠
は、木製、金属製等任意の材質の一般的なものでよい。
【0024】次に、図5(B)の工程では、型枠6aの背
面に沿って成形耐火物ユニット13を並べ積み上げる。
この積み上げ工程に先立って、予め、プレート成型物1
1とアンカー成型物12を一体化し成形耐火物ユニット
13を形成しておく。プレート成型物12にアンカー成
型物13を取り付ける場合、双方の接合部分にモルタル
を十分に塗り付けた後、プレート成型物11の取付孔に
アンカー成型物12を挿し通す。その後、モルタルが固
化するまで養生させる。
【0025】施工箇所に成形耐火物ユニット13を並べ
る際には、プレート成型物11の側面にスチレンフォー
ム等の非耐火性材料からなる薄板14を取付けた後、隙
間なく一段ずつ並べていく。薄板14が両面テープであ
れば、成形耐火物ユニット13の仮固定の役割も果た
す。
【0026】次に、図5(C)の工程では、第1のキャス
タブル耐火物7の層と、積み上げられた成形耐火物ユニ
ット13の間の間隙に第2のキャスタブル耐火物9を流
し込む。これにより、外壁5に取り付けられたYアンカ
ー8の先端部と、成形耐火物ユニット13のアンカー成
型物12の先端部が、第2のキャスタブル層に埋没す
る。その結果、2つのキャスタブル耐火物の層及び成型
耐火物ユニットの層を含む内壁全体が、これらのアンカ
ー材により強固に支持固定されることになる。第2のキ
ャスタブル耐火物9には、例えば、耐水キャスタブル耐
火物を用いる。第2のキャスタブル耐火物が固化した
後、型枠6a、6bを除去する。
【0027】実際の図5(A)〜(C)の施工工程では、成
形耐火物ユニット層の最上段までを一度に施工するので
はなく、2〜3段ずつ積み上げていく。すなわち、先
ず、成形耐火物ユニットの2〜3段を支持する高さ(例
えば一辺300mmのユニットの場合、600〜900mm)の型枠を
架設し、成形耐火物ユニットを2〜3段積み上げた後、
第2のキャスタブル耐火物を流し込む。そして第2のキ
ャスタブル耐火物層が固化したならば、次の2〜3段の
ための型枠架設に取りかかり、同様の工程を繰り返す。
こうして最上段までの施工が完了した後に、全ての型枠
6a、6bを除去する。
【0028】尚、本発明による焼却炉内壁の建造方法
は、新規の焼却炉に適用できることはもちろんのこと、
既設の焼却炉の補修にも同様に適用できる。既設の焼却
炉の場合は、施工箇所の既存の内壁構造を除去し外壁内
面を露出させた後に、前述の施工を行う。
【0029】以上の説明において、成形耐火物ユニット
13のプレート成型物11の形状は、輸送時や施工時の
作業性のよさから4角形を好適例として示したが、これ
に限られず、例えば、3角形、6角形、8角形等であっ
てもよい。また、1種の形状のみを用いることが材料コ
スト及び作業コストの点から好適であるが、複数の形状
を組み合わせて内壁面を構成してもよい。
【0030】
【発明の効果】本発明により建造された焼却炉内壁構造
は、キャスタブル耐火物の層が成形耐火物ユニットの層
により完全に被覆保護されている。成形耐火物ユニット
は、セラミック成形耐火材からなり優れた耐スポーリン
グ性、耐摩耗性、耐水性を備える。従って、キャスタブ
ル耐火物の層は、直接的に高温、冷却水、焼却灰、蒸気
等に曝されることがない。加えて、前述の特開昭64−
57090号の場合と異なり、本発明の成型耐火物ユニ
ットは、金属製アンカーを使用せず、セラミック成型耐
火物からなるアンカー成型物を備えているので、金属の
劣化のおそれがない。これらにより、焼却炉内面全体が
優れた耐久性を有するものとなる。さらに、本発明の成
形耐火物ユニットは、2つの単純な部品の一方を他方に
挿し通すだけで施工に先立って容易に作製しておくこと
ができ、かつ、施工工程においては成型耐火物ユニット
を並べたり積み上げたりするだけでよい。これに対し、
前述の特開昭64−57090号の場合は、施工工程に
おいて耐火板に金属製アンカーを取付け、仮固定し、本
固定し、さらにアンカー取付孔を処理するといった極め
て複雑な作業が必要である。従って、本発明による焼却
炉内壁建造方法は、非常に作業性のよい施工を実現し、
工期の短縮、労働力の負担軽減にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼却炉の一例であるごみ焼却炉の内部構造を示
す概略的な断面図である。
【図2】(A)は、本発明により建造された焼却炉内壁の
一部を切り取って示した斜視図、(B)は、本発明による
成型耐火物ユニット13を示す側面図、(C)はその背面
側から見た斜視図である。
【図3】(A)は、本発明により建造された別の焼却炉
内壁の一部を切り取って示した斜視図、(B)は、曲面壁
の場合の成型耐火物ユニットの側面図である。
【図4】本発明による成型耐火物ユニットの構成要素で
あるプレート成型物の正面図である。
【図5】(A)〜(C)は、本発明の焼却炉内壁建造方
法による施工工程を説明する図であり、平面壁における
一施工範囲の部分断面図を示す。
【図6】(A)は従来技術により建造された焼却炉内壁の
一部を切り取って示す概略的な斜視図、(B)及び(C)
は、セラミック成形耐火物による従来の耐火板を示す図
である。
【図7】従来技術による焼却炉内壁建造方法を示す内壁
表面近傍の部分的な断面図である。
【符号の説明】
1 焼却炉 2 投入口 3 燃焼室 4 ガス冷却室 5 焼却炉外壁 6a、6b 型枠 7 第1のキャスタブル耐火物 8 Yアンカー 9 第2のキャスタブル耐火物 10 成形耐火物ユニット層 11 プレート成型物 11a アンカー取付孔 11b 凹部 12 アンカー成型物 12a アンカー切欠き部 12b アンカーテーパー部 13 成型耐火物ユニット 14 非耐火性薄板

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却炉外壁の内面上にキャスタブル耐火
    物の層を含む内壁を建造する方法において、 セラミック耐火材を成型固化して作製されかつ板状部分
    と該板状部分の片面上から延びる棒状のアンカー部分と
    を具備する形状の成型耐火物ユニットを形成し、 前記外壁の内面上に第1のキャスタブル耐火物の層を設
    置し、 前記第1のキャスタブル耐火物の層の表面から間隙を空
    けて型枠を設置し、 前記成型耐火物ユニットの前記アンカー部分が前記外壁
    の方へ向くように複数の該成型耐火物ユニットを前記間
    隙内に前記型枠に沿って並べかつ積み上げることにより
    該成型耐火物ユニットの層を設置し、 前記成型耐火物ユニットの層と前記第1のキャスタブル
    耐火物の層の間に第2のキャスタブル耐火物を流し込む
    ことにより前記アンカー部分を埋没させると共に第2の
    キャスタブル耐火物の層を設置し、 前記第2のキャスタブル耐火物の層が固化した後に前記
    型枠を除去することを特徴とする焼却炉内壁建造方法。
  2. 【請求項2】 焼却炉内壁に設けられるキャスタブル耐
    火物の層を被覆保護するべく用いられる成型耐火物ユニ
    ットであって、 セラミック耐火材を成型固化してそれぞれ作製される板
    状のプレート成型物と棒状のアンカー成型物とから構成
    され、前記プレート成型物に設けられた貫通孔に挿通さ
    れた前記アンカー成型物が該プレート成型物から脱落不
    能に固定されることにより、前記プレート成型物の片面
    上から前記アンカー成型物の一端が前記キャスタブル耐
    火物の層の側に突出する形状を有することを特徴とする
    成型耐火物ユニット。
  3. 【請求項3】 前記アンカー成型物が突出する側の前記
    プレート成型物の面上に凹部を設けることを特徴とする
    請求項2に記載の成型耐火物ユニット。
  4. 【請求項4】 前記アンカー成型物の突出する部分の周
    囲に切欠き部を有することを特徴とする請求項2又は3
    記載の成型耐火物ユニット。
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