JP3418845B2 - ハロゲン化芳香族化合物のアルカリ分解方法 - Google Patents

ハロゲン化芳香族化合物のアルカリ分解方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野および目的】環境保全の上で、ハロ
ゲン化芳香族化合物、例えばポリクロルビフェニル(以
下PCBと略す)を完全かつ安全に分解せしめることは
ここ20年余りに亘って、重大な関心事である。本方法
は、化学的に上記目的を達成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ハロゲン化芳香族化合物の除
去あるいは分解に関して、多くの努力が成された。その
数例を示すと、アルカリ物質との反応に関しては、米国
特許2,951,804で、アルミナ−アルカリ法が示
されている。更に米国特許4,532,028では、ア
ルキルあるいはアルキレンスルホオキシドとポリオール
との混合物中で、アルカリ物質と50,000ppm以
下のハロゲン化芳香族化合物(即ちPCB)とを200
℃以下で反応させて、数ppmとする方法が示されてい
る。そのほか、ナトリウムの溶融物を用いるカナダ特許
408,116や、ポリエチレングリコールを吸着した
アルカリ土類金属化合物を用いるイタリア特許22,2
15等があるが、未だに実質的に安全な濃度にまでハロ
ゲン化芳香族化合物(即ちPCB)を除去することは実
現されていない。最近では、その他高温で水または炭化
水素を水素源とする還元法も報告されているが、これら
の方法はハロゲン化芳香族化合物(即ちPCB)の残存
率が1ppm程度であり、しかも反応温度が高い等の欠
点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】先にあげた従来の技術
はそれぞれ特徴があり、それなりに効果があるとされて
いるが、実際には、溶剤が大量のアルカリ物質に対し
て、150℃以上の高い温度ではとても耐えるものでな
いこと等、工業的に実施できる技術ということはできな
い。本発明者等は、アルカリ物質の作用に関して特に多
くの実験を行い、そして今回遂に、環状窒素化合物を反
応系に少量加えることで、目的がより一層容易にかつ確
実に達せられることを見出し、これらの問題を解決する
に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、特別の高
沸点・耐熱・耐アルカリ性の非プロトン極性溶剤を選
び、ハロゲン化芳香族化合物と、該非プロトン極性溶剤
に溶解する量を越えた量比のアルカリ性物質とを少量の
環状窒素化合物の存在下で150℃ないし250℃で接
触させる方法が、ハロゲン化芳香族化合物(即ちPC
B)を実質的に、現在知られる方法による検出限界以下
に容易に、かつ確実に分解する有効な手段であることを
見出した。
【0005】ここに選ばれた極性溶剤は、市販で容易に
入手できるもので、その中でも毒性が低く、耐熱、耐ア
ルカリ性の強い性質のものであるが、何よりもまずハロ
ゲン化芳香族化合物をよく溶解する。反応が進行して、
溶剤中のハロゲン化芳香族化合物(即ちPCB)が数m
g/kgの濃度になったとき、更に反応を完結させるべ
く進行させる働きが要求される。本発明はまさにそれを
解決した。
【0006】 本発明に有効な耐熱、耐アルカリ
性、かつ毒性の低い非プロトン極性溶剤は、1,3−ジ
メチル−2−イミダゾリジノン(以下DMIと略す)、
テトラメチレンスルフォン(以下スルフォランと略す)
のいずれかあるいはこの両者の任意の割合の混合物を主
とし、更にジメチルスルフォキシド、N−メチルピロリ
ドン、テトラメチル尿素ポリエチレングリコールジメ
チルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも一つの
物質を全体の50%以下の量を混入しても、実質的に差
し支えない。
【0007】本発明を最も有効ならしめるのは、上記非
プロトン極性溶剤に対して、5,000mg/kg以
上、特に好ましくは10,000mg/kg以上のアル
カリ物質を共存させる組合せにある。
【0008】一般に、反応を完結せしめるべく一方の安
価な薬品を過剰に用いる手段は、よく行われているが、
本発明における大幅に過剰なアルカリ物質の存在は、表
1により明らかなごとく、ただ単に分解されるべきハロ
ゲン化芳香族化合物(即ちPCB)に対するアルカリ物
質の比の問題でなく、非プロトン極性溶剤の働きを活性
化する上で、重要なのである。
【0009】 本発明の方法をより短時間で済ま
せるためには反応促進剤として特定の環状窒素化合物
を少量、反応操作の当初から、あるいは操作をある程度
進めて途中から添加することが著しく有効である。反応
促進剤である特定の環状窒素化合物とは、キノリン類、
キノサリン類、エチレン尿素、メラミン、ジアザビシク
ロウンデン(以下DBUと略す)よりなる群の中から選
ばれる少なくとも一つであり、あるいは二つ以上の混合
物として用いることもできる。これらの化合物は、単独
では充分耐熱性があり、また共通の性質としては、環状
であり、かつ籠形でないことである。しかしながら、反
応促進剤の作用については学理的に充分説明し得ない。
例えば、有名な塩基であるジアザビシクロオクタン[ト
リエチレンジアミン]等の、エチレンジアミン系の化合
物は期待される程には有効でない。
【0010】本発明において行われる化学反応の本質的
な機構を学理的に説明することは、今の段階では完全に
は出来ないが、本発明の方法を行うことで、出発物質の
ハロゲン化芳香族化合物(即ちPCB)が100%であ
るものから数mg/kgに希釈された広い範囲のものが
実質的に検出不可能な濃度にまで分解されるのである。
【0011】
【実施例】ハロゲン化芳香族化合物(即ちPCB)を除
去・分解する方法は、前述のようにして行われるが、本
発明の方法を基本に多くの変法を検討したが、その各々
について説明をすることは、本発明の趣旨を明らかにす
るために必ずしも適当でないので、以下に基本的な実施
例を表1に、そして比較例を表2に示す。これらの実施
例においては、顕著な効果が示されたが、比較例におい
ては、アルカリ濃度が低い場合およびある特定の添加剤
を使用した場合のPCBの分解効果が顕著でないことを
示している。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】実施例1 PCB80ppmを含む絶縁油50g、DMI100
g、そしてアルカリ物質として粉末状のNaOHを2g
添加する。系のアルカリ濃度をおよそ13,000pp
m(13,000mg/kg)として、全体をよくかき
混ぜつつ200℃にて2時間保った。この後、キノリン
を0.1g添加し、更に200℃にて2時間かきまぜ
た。次いで、室温に冷却して、下層のDMIを除き、油
層のPCBをガスクロマトグラフィ質量分析計(以下G
C−MSと略す)によって分析したところ、GC−MS
の検出限界以下、即ち0.5ppb[0.5μg/k
g]以下(N.D.)まで減少していた。キノリンを添
加する直前の2時間後にサンプリングして、油層のPC
BをGC−MSによって分析したところ、50ppb
[μg/kg]であり、添加後2時間で0.5ppb以
下(N.D.)となり、反応促進剤としてのキノリンの
効果が歴然としている。一方、比較例の1においては、
実施例1と同条件で反応させたが、反応促進剤を全く添
加しなかった。また、アルカリ濃度も2,000mg/
kg(2,000ppm)とした。この場合、6時間反
応させて、油層の残存PCB濃度をGC−MSで分析し
たところ、3,600ppb(3,600μg/kg)
であり、実施例1でキノリンを添加した効果が歴然とし
ている。
【0015】実施例2 表1に示す条件で実施例1と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0016】実施例3 表1に示す条件で実施例1と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0017】実施例4 表1に示す条件で実施例1と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0018】実施例5 表1に示す条件で実施例1と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0019】実施例6 表1に示す条件で実施例1と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0020】実施例7 表1に示す条件で実施例1と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0021】実施例8 表1に示す条件で、実施例1と同様の処理を行う。ただ
し、この場合、絶縁油が少量のため、DMI層に溶け込
んでしまうので、DMI中のPCBの分析をGC−MS
で行う。反応促進剤として、DBUを添加して2時間後
のDMI中の残存PCBの分析を行ったところ、0.5
ppb以下(N.D.)まで減少していた。
【0022】実施例9 表1に示す条件で実施例8と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0023】実施例10 表1に示す条件で実施例8と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。確認のため、反応促進剤を添加後4時間に
ついても分析したところ、残存PCBは、やはり0.5
ppb以下(N.D.)まで減少していた。
【0024】実施例11 表1に示す条件で実施例8と同様であるが、絶縁油を全
く入れないで、処理を行ったところ、残存PCBは0.
5ppb以下(N.D.)まで減少していた。
【0025】実施例12 表1に示す条件で実施例11と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0026】実施例13 表1に示す条件で実施例11と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0027】実施例14 表1に示す条件で実施例11と同様の処理を行ったとこ
ろ、残存PCBは0.5ppb以下(N.D.)まで減
少していた。
【0028】
【発明の効果】本発明によって、少量であっても環境保
護に問題とされ、あるいは人体に直接害をもたらすと考
えられているハロゲン化芳香族化合物(主としてPC
B)を、実質的に、害がないとされるまで完全に近く分
解でき、それらを含有する炭化水素油から除去・分解す
ることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−25691(JP,A) 特開 平7−289656(JP,A) 特開 平7−8572(JP,A) 特開 昭60−114278(JP,A) 特表 平4−500476(JP,A) 米国特許4910353(US,A) 米国特許5304702(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07B 35/06 A62D 3/00 C10M 177/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化芳香族化合物とアルカ
    リ物質とを非プロトン極性溶剤中150℃ないし250
    ℃にて、1ないし10時間接触させるに際し、系中アル
    カリ物質の開始時割合を、3、000mg/kg以上と
    すると共に環状窒素化合物を存在せしめることを特徴
    とする、ハロゲン化芳香族化合物のアルカリ分解方法。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化芳香族化合物が、主た
    る成分が非芳香族系炭化水素である炭化水素油によっ
    て、80%以下2mg/kg以上の範囲で希釈されてい
    る、請求項1記載のハロゲン化芳香族化合物のアルカリ
    分解方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ物質が、水酸化ナトリウ
    ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネ
    シウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物
    であることを特徴とする、請求項1記載のハロゲン化芳
    香族化合物のアルカリ分解方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のアルカリ物質に
    更に添加するべく環状窒素化合物が、キノリン類、キノ
    キサリン類、エチレン尿素、メラミン、ジアザビシクロ
    ウンデンセンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの
    化合物であり、前項のアルカリ物質の10%以下、0.
    1%以上存在せしめる、請求項1記載のハロゲン化芳香
    族化合物のアルカリ分解方法。
  5. 【請求項5】 非プロトン極性溶剤が、1,3−ジメ
    チル−2−イミダゾリジノン、テトラメチレンスルフォ
    ンのいずれかあるいはこの任意の割合の混合物を主成分
    とし、更にジメチルスルフォキシド、N−メチルピロリ
    ドン、テトラメチル尿素ポリエチレングリコールジメ
    チルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも一つの
    物質を全体の50%以下含む、請求項1記載のハロゲン
    化芳香族化合物のアルカリ分解方法。
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