JP3418723B2 - 超微小液滴の噴射装置 - Google Patents

超微小液滴の噴射装置

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JP3418723B2
JP3418723B2 JP25302299A JP25302299A JP3418723B2 JP 3418723 B2 JP3418723 B2 JP 3418723B2 JP 25302299 A JP25302299 A JP 25302299A JP 25302299 A JP25302299 A JP 25302299A JP 3418723 B2 JP3418723 B2 JP 3418723B2
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孝之 近藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、瞬時の磁界の変化
に応答して変位する超磁歪材料を利用し、シリンダ内に
充填した液体を、微小な1個の液滴として噴射させるよ
うにしたことを特徴とする超微小液滴の噴射装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、微少な液体を噴射する装置と
しては、手動操作する注射器が知られている。前記注射
器は、先端に針を有するシリンダと、シリンダ内を往復
移動するピストンとを有し、ピストンの往復動によって
先端の針から液体を噴射させるようにしたものである。
【0003】こうした注射器の他、工業的には、燃料噴
射、インク噴射、潤滑油噴射等があり、この工業的液体
噴射方法を大きく分類すると、次の3種類がある。 (1)ノズルの付いた容器に液体を充填し、この容器を
加圧することにより液体をノズルから液柱として注出さ
せるとともに、この液柱に振動を与えることにより周期
的乱れを生じさ、液柱から液滴へと変化させることによ
って液滴を連続的に生じさせる方法(以下、振動法とい
う)である。こうした振動法は、例えば、特公平6−2
0528号公報や特公平3−39730号公報に記載さ
れている。振動法においては、例えば、振動数を10K
Hz程度にすれば、100μm程度の水滴が連続的に生
成される。 (2)ノズルの付いた容器に液体を充填し、この容器に
衝撃的な圧力を加えることによってノズルから液体を噴
射させる方法(以下、衝撃圧法という)である。こうし
た衝撃圧法は、例えば、特開平10−18939号公報
や特公昭51−38323号公報に記載されている。先
の注射器もこの衝撃圧法に属するものである。 (3)燃料噴射弁のように、噴射口に設置した弁を瞬時
に開閉することによって、加圧された液体を微少量だけ
噴射させる方法(以下、弁座開閉法という)である。こ
うした弁座開閉法は、例えば、特開平8−177677
号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た振動法は、連続的な液滴の噴射方法であって、任意の
1個の液滴をつくるための技術ではない。
【0005】また、上述した衝撃圧法においては、直径
が数μmから数十μmの液滴を1個つくるための条件
や、その条件を満たすために必要なアクチュエータの能
力について、前述の公報に何らの記載もない。これら公
報に記載された方法に基づいて液滴をつくった場合に
は、噴射される液滴の直径が数十μmより大きくなり、
また、大きな液滴から分離した衛星滴が形成される可能
性がある。
【0006】さらに、上述した弁座開閉法において、瞬
時に弁を開閉させるためには、当該弁に働く慣性力に打
ち勝つだけの力が必要となるはずである。しかしなが
ら、前述の公報には、数μmから数十μmの直径の液滴
を1個つくるための条件や、その条件を満たすために必
要なアクチュエータの能力についての記載がない。
【0007】このように微小な液滴をつくる従来技術に
は、微小な液滴をつくるための具体的な条件や各種アク
チュエータの能力について具体的な記載がなく、これら
の技術からは、たとえ通常の創作力を働かせたとして
も、直径が数μmから数十μmの液滴を確実に1個つく
ることは極めて困難である。
【0008】一方、超磁歪材料は、大きな負荷を受けて
も磁界の強さに応じて伸び縮みする、磁界の時間的変化
に対しても応答性が良い、という特徴をもっている。こ
の超磁歪材料の伸び縮みを利用したアクチュエータとし
ては、例えば特開平7−317938号公報や特開平1
0−145892号公報などがある。
【0009】しかし、これら公報には、超磁歪材料をマ
イクロ秒(μs)単位の時間で変位させることについて
の記載はなく、マイクロ秒単位での駆動技術もない。
【0010】本出願人は先に、特許第2899689号
(以下、先行特許という)において、超磁歪材料をマイ
クロ秒で駆動できることを明らかにし、さらに、棒状を
成す超磁歪材料の全長を有効に利用して駆動する方法を
提案した。そしてマイクロポンプ等において使用するこ
とが可能であることを示唆してきた。
【0011】しかしながら、微小な液滴をつくるための
条件が不明確であったこと、並びに先行特許だけでは棒
状を成す超磁歪材料の内部を弾性波が往復し、超磁歪材
料の軸端部に繰り返して変位が現れるという問題があっ
て、微小な液滴を1個だけつくることができなかった。
【0012】本発明は、前述の先行特許に関連してなさ
れたもので、微小な液滴をつくるための条件を明らかに
するとともに、棒状を成す超磁歪材料の内部を弾性波が
往復し、超磁歪材料の軸端部に繰り返して変位が現れる
という問題を解決して、シリンダ内に充填した液体を微
小な1個の液滴として噴射させる装置を提供することを
目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダ内に
収納した棒状を成す超磁歪材料の周りにコイルを巻成
し、該コイルに電流を瞬間的に流すことにより前記超磁
歪材料に瞬間磁界を作用させて該超磁歪材料の軸端部に
弾性波による瞬時の過渡的変位を発生させ、その超磁歪
材料の瞬時変位の作用で前記シリンダ内に充填した液体
を微小な1個の液滴として該シリンダの端部ノズルから
噴射させるようにした超微小液滴の噴射装置において、
下式(1)および(2)を満たす時間t[s]だけ前記
コイルに電流を流すようにしたことを特徴とする。 T < d(ρ×d/(3×γ))1/2 [s]・・・ (1) L = (T−t)×C [m] ・・・ (2) 但し、dはノズル先端の直径[m] ρは液体の密度[kg/m] γはノズル先端と液体との表面張力[N/m] Lは磁歪によって伸縮する超磁歪材料の軸方向長さ
[m] Tは液体に圧力をかけてから液滴がノズル先端から離れ
るまでの時間[s] Cは超磁歪材料内部を進行する弾性波の速度[m/s]
【0014】また本発明は、シリンダ内に収納した棒状
を成す超磁歪材料の周りにコイルを巻成し、該コイルに
電流を瞬間的に流すことにより前記超磁歪材料に瞬間磁
界を作用させて該超磁歪材料の軸端部に弾性波による瞬
時の過渡的変位を発生させ、その超磁歪材料の瞬時変位
の作用で前記シリンダ内に充填した液体を微小な1個の
液滴として該シリンダの端部ノズルから噴射させるよう
にした超微小液滴の噴射装置において、前記シリンダ内
の超磁歪材料と液体との間に該超磁歪材料に対して離接
可能にピストンを介在させ、前記超磁歪材料の軸端部に
発生した瞬時の過渡的変位により当該ピストンを押し進
めて前記シリンダ内に充填した液体を前記端部ノズルか
ら噴射させるとともに、少なくとも前記過渡的変位が弾
性波となって反対側の端面に到達し、さらに反射して戻
ってきた際に、前記ピストンを前記超磁歪材料の軸端か
ら離れた位置に配置させるようにしたことを特徴とす
る。
【0015】また本発明は、シリンダ内に収納した棒状
を成す超磁歪材料の周りにコイルを巻成し、該コイルに
電流を瞬間的に流すことにより前記超磁歪材料に瞬間磁
界を作用させて該超磁歪材料の軸端部に弾性波による瞬
時の過渡的変位を発生させ、その超磁歪材料の瞬時変位
の作用で前記シリンダ内に充填した液体を微小な1個の
液滴として該シリンダの端部ノズルから噴射させるよう
にした超微小液滴の噴射装置において、前記シリンダ内
に超磁歪材料より大きな質量の支持棒を収納し該支持棒
と液体との間に超磁歪材料を設置し、超磁歪材料にシー
ルを施し超磁歪材料自体をピストンとすることによって
前記超磁歪材料の端部に発生した瞬時の過渡的変位によ
り該ピストンを押し進め、前記シリンダ内に充填した液
体を前記端部ノズルから噴射させるようにしたことを特
徴とする。
【0016】これらの発明において、前記シリンダ内に
は、液体を充填する液体貯留部に、液体供給路を接続す
ることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】針のように細いノズルから液体を
押し出して微小な液滴をつくるためには、いくつかの条
件が必要である。まず、図1のように、ノズル先端から
ゆっくりと液体を押し出し、重力で液滴を落下させる場
合の条件について考察する。
【0018】ノズル先端から落下する液滴の直径をd
[m]、液体の密度をρ[kg/m ]とすると、この
液滴の質量はρ×πd/6[kg]であり、その液
滴に働く重力W[N]は下式(a)のようになる。 W = 9.8×ρ×πd/6 [N] ・・・ (a)
【0019】一方、ノズル先端の直径をd[m]、
ノズル先端と空気と液体の境界に働く表面張力をγ[N
/m]とすると、ノズル先端が液滴を引きつける力F
[N]は下式(b)となる。 F = πdγ[N] ・・・ (b)
【0020】液滴がノズル先端から落下するときには、
F=Wが成立するので、上式(a)および(b)より下
式(c )を得る。 πdγ = 9.8×ρ×πd/6 ・・・ (c)
【0021】いま、液体が水の場合について具体的な計
算をしてみる。水の密度、表面張力をそれぞれρ=10
[kg/m]、γ=72.8×10−3[N/
m]とすると、上式(c)はさらに下式(d)のように
なる。 d = 22.4×10×d[m] ・・・ (d)
【0022】ここで、上式(d)において、ノズルの直
径dが、1×10−3[m]、0.1×10
−3[m]、0.01×10−3[m]のように変化す
ると、ノズル先端から落下する水滴の直径dは、それぞ
れ3.54×10−3[m]、1.65×10
−3[m]、0.76×10−3[m]となる。つま
り、ノズルの直径を細くしても、そのノズル先端から落
下する水滴はノズルの直径に比例して小さくならない。
これは、水滴が小さくなると、重力は水滴の直径の3乗
で小さくなるが、表面張力は1乗で小さくなり、結果的
には重力に比べて表面張力が大きくなるためである。
【0023】ノズルの直径をあまり細くすると、逆に粘
性抵抗が大きくなり、水がノズルを通り難くなるという
問題が発生する。すなわち、重力で小さな水滴をつくる
には限界がある。
【0024】したがって、ノズルから液体を押し出して
微小な液滴をつくるためには、重力より更に大きな強制
力で液体を押し出さなければならないということにな
る。しかしながら、ただ単にノズルに圧力をかけるだけ
では液体は連続的に流れ出るだけで液滴にはならない。
水道水が蛇口から流れ出るのと同じ原理である。液滴に
するためには、液体に圧力をかけ、液体がノズルから噴
射した瞬間に、液体にかけた圧力を急速に下げ、液体が
連続して流れ出ないようにしなければならない。そのと
き、先に噴射した液体は、後ろから押す力を受けなくな
るので、飛び出た勢いだけでノズル先端から噴射するこ
とになる。
【0025】いま、どのくらいの勢いで液体を押し、ど
のくらいの時間の後に液体にかけた圧力を下げれば、液
滴がノズルから噴射するのかを概算してみる。
【0026】図2のように、内径d[m]のノズル先端
から、これと同じ直径の液滴が噴射すると仮定する。衝
撃力によって液滴が得た速度をV[m/s]とすると、
この液滴の運動エネルギーは、その液滴の質量にV
/2を掛けたものであるから、ρ×πd /12
[N・m]である。
【0027】一方、液滴がノズルから噴射してノズルか
ら完全に離れるまでの間、すなわち、液滴が距離d
[m]だけ進む間、液滴はノズルから引き戻す仕事を受
ける。直径d[m]のノズルが液滴を引きつける力はπ
dγ[N]である。
【0028】したがって、液滴が距離d[m]だけ進む
間にノズルが液滴を引き戻す仕事は、πdγ×d[N・
m]となる。
【0029】液滴の運動エネルギーが、ノズルから引き
戻す仕事より大きければ、液滴はノズルから噴射するこ
とができので、計算式は以下に示すように、 ρ×πd/12 > πdγ×d となる。すなわち、下式(e)を得る。 V > (12×γ/(ρ×d))1/2 [m/s] ・・・ (e )
【0030】次に、液体が衝撃力を受けて液滴が出来始
めてから、液滴がノズル先端から完全に離れるまでの時
間T[s]を求める。この時間Tは、液滴がおよそ液滴
の直径d[m]だけ進むに要する時間と考えられるの
で、液滴の初速をV[m/s]、液滴がノズルから離れ
て飛び出る速度をv[m/s]とすると、液滴の平均速
度は(V+v)/2[m/s]であるから、下式(f)
のようになる。 T = 2×d/(V+v) [s] ・・・ (f) v>0の条件と、(e)式を(f)式に代入すると、下
式(g)が得られる。 T < d(ρ×d/(3×γ))1/2 [s] ・・・ (g)
【0031】以上の計算を要約すると、液滴をノズルか
ら噴射するためには、液体に圧力をかけて(e)式を満
たすような速度を液体に与え、(g)式を満たすような
時間の後に、液体にかける圧力を下げなければならな
い。
【0032】いま、ガラスノズルから水滴を噴射させる
場合、水の密度、表面張力をそれぞれρ=10[k
g/m]、γ=72.8×10−3[N/m]とし
て具体的な計算をすると、以下の通りである。直径d=
1×10−3[m]の水滴を噴射させるためには、少な
くとも0.93[m/s]以上の速度で水をガラスノズ
ルから押し出し、少なくとも2×10 −3秒後に水にか
けた圧力を下げなければならない。直径d=0.1×1
−3[m]の水滴を噴射させるためには、少なくとも
3[m/s]以上の速度で水をガラスノズルから押し出
し、少なくとも67×10 −6秒後に水にかけた圧力を
下げなければならない。直径d=0.01×10
−3[m]の水滴を噴射させるためには、少なくとも
9.3[m/s]以上の速度で水をガラスノズルから押
し出し、少なくとも2×10−6秒後に水にかけた圧力
を下げなければならない。
【0033】液体にかける圧力のオン・オフ動作を連続
的に、すなわち、振動的に行うとき、例えば、直径0.
1×10−3[m]の水滴を67×10−6秒周期で連
続的に生成するとき、その周波数は約15KHzとな
る。さらに、直径0.01×10−3[m]の水滴を2
×10−6秒周期で連続的に生成しようとすると、周波
数は500KHzとなる。振動法によって連続的に液滴
を生成する特公平6−20528号公報や特公平3−3
9730号公報に記載されている実験結果も、オーダ的
に(e)式、(g)式に近いものである。
【0034】上記の例のように、細いノズルから微小な
液滴を噴射させるためには、液体に圧力をかけてノズル
から噴射する液体の速度が(e)式で与えられる条件を
満たし、液体がノズル先端から出始めてから(g)式で
与えられるT[s]後に、液体にかける圧力を下げるこ
とのできるアクチュエータを提供することが必要にな
る。
【0035】こうしたアクチュエータとして、例えば、
図3に示すものについて考察してみる。このアクチュエ
ータは、軸方向の磁界の変化に対して軸方向に伸び縮み
する棒状を成す超磁歪材料と、この超磁歪材料の全長に
わたって巻成したコイルとを備えて構成したものであ
る。
【0036】コイルに電流が流れた瞬間、超磁歪材料の
各部は軸方向に伸びようとする。しかしながら、各部の
伸びは、瞬時に軸端の変位となって現れるわけではな
い。軸端から離れた部分の材料の伸びは、材料内部を弾
性波となって進行し、軸端に到達するまでに時間を要す
る。例えば、超磁歪材料Terfenol-D(商品名)の内部を
進行する弾性波の速度は約1700m/sであり、1μ
sで1.7mm進行する。
【0037】いま、17mmの長さを有した棒状を成す
Terfenol-Dに対して、その全長にわたってコイルを巻い
たものを用意する。このコイルに電流を流した瞬間、軸
端には変位が現れ始めるが、反対側の軸端付近の材料の
伸びが弾性波となって伝わってくるまでの時間、すなわ
ち、棒の全長を弾性波が伝わるまでの10μsの時間、
軸端には最初の瞬間に発生した各部の伸びが持続的にや
って来る。さらに、この端面の変位は弾性波となって反
対側の端面に向かって進行し、この反対側の端面で反射
して戻ってくる。
【0038】このように、最初に電流を流した瞬間の材
料の伸びは、20μs周期の波となって減衰しながら棒
の中を行ったり来たりする。これは、過渡振動、あるい
は、材料の固有振動といわれるもので、長さ17mmの
棒状のTerfenol-Dの場合、固有振動数は50KHzとい
うことになる。
【0039】この過渡振動振幅は、時間とともに減衰し
て小さくなる。コイルに流れる電流が持続していれば、
材料各部の伸びは持続して残る。通常、コイルに流す電
流の変化は過渡振動に比べてはるかにゆっくりしてい
る。したがって、電流の時間的周期がmsオーダであれ
ば、超磁歪材料もmsオーダの電流周期に応じた伸び縮
みをする。
【0040】しかしながら、前述のように、微小な液滴
をつくるためには、液体にかける圧力をμsの瞬時にオ
ン・オフさせる必要がある。そのためには超磁歪材料内
を進行する弾性波による過渡的変位を利用せざるを得な
い。この場合、超磁歪材料の軸方向長さとコイルの軸方
向長さとが問題となる。
【0041】前述の例のように、長さ17mmの棒状を
成すTerfenol-Dの全長にコイルを巻いて電流を流した場
合には、いかに瞬時に電流を流してもの10μsの時
間、軸端には変位が持続することになり、10μsより
短い時間に変位をオン・オフさせることはできない。
【0042】いま、棒状を成す超磁歪材料の全長にわた
って巻いたコイルに瞬時の電流を流したとき、軸端に現
れる過渡的な変位が持続する時間をT′[s]、超磁歪
材料の軸方向長さをL[m]、超磁歪材料内部を進行す
る弾性波の速度をC[m/s]とすると、三者の関係は
下式(h)のようになる。 T′ = L/C [s] ・・・ (h)
【0043】実際にはコイルに電流が流れている間の時
間が存在するので、軸端に現れる過渡的な変位の持続時
間Tは、コイルに電流が流れている間の瞬時の時間をt
[s]とすると、 T = t + L/C [s] ・・・ (i) あるいは、 L = (T−t)×C [m] ・・・ (j) となる。
【0044】(i)式におけるT[s]は、(f)式に
おけるT[s]と同じ、あるいはそれよりも小さな値で
なければならない。また、(j)式において、当然なが
らL>0であり、t[s]は、軸端に現れる過渡的な変
位の持続時間T[s]より短くなければならない。
【0045】超磁歪材料の長さが(j)式で与えられる
L[m]よりも長く、超磁歪材料の軸端に現れる過渡的
な変位の持続時間が長すぎる場合には、コイルの軸方向
長さを短くすることにより磁束線の軸方向長さを短くし
て、磁歪によって伸びる超磁歪材料の軸方向長さがL
[m]以下になるようにすればよい。但し、磁束の軸方
向長さは、超磁歪材料の寸法、透磁率、コイル寸法、コ
イル位置、電流周波数等によって変化するため、実験と
解析によって磁束の軸方向長さを求める必要がある。
【0046】以下、本発明の実施の形態を図4に基づい
て説明する。超微小液滴の噴射装置1では、ガラスパイ
プ、ステンレスパイプ等の非磁性材質からなるシリンダ
2の一端部に液体の貯留部3を設けるとともに、微細な
噴射孔を有した噴射ノズル4を形成する。シリンダ2の
内部には、棒状を成した超磁歪材料からなるアクチュエ
ータ5を移動可能に収納し、噴射ノズル4に向くアクチ
ュエータ5の端部にピストン6を離接可能に設けるとと
もに、前記貯留部3に液体7を充填する。アクチュエー
タ5の他端部と端部のストッパ9との間には、スプリン
グ8を介在させてアクチュエータ5をスプリング8によ
り前進するように付勢する。シリンダ2の外周には、ア
クチュエータ5の長さの途中で、ピストンに近い位置に
コイル10を巻成している。
【0047】前記ピストン6に圧力を瞬間的に作用さ
せ、3〜10[m/s]以上の速度で液体7を押し出
し、2〜60[μs]以下の瞬時にその圧力を下げて数
μm〜100μm程度の直径の超微小の液滴を噴射させ
るという課題を解決するために、本発明は、瞬時の磁界
の時間的変化に対して伸縮する超磁歪材料をアクチュエ
ータとして用いている。
【0048】いま、前記コイルに瞬間的に電流を流すこ
とによって、アクチュエータ5の軸端に時間T[s]だ
け過渡的な変位が発生するように、アクチュエータ5の
一部分で、L=(T−t)×C[m]で計算される軸方
向長さL[m]だけが磁界の作用によって伸びるよう
に、コイルの軸方向長さと、電流を流す時間t[s]と
が設定してある。但し、C[m/s]は超磁歪材料内部
を進行する弾性波の速度である。
【0049】したがって、前記コイル10に瞬間的な電
流を流せば、超磁歪材料からなるアクチュエータ5の軸
端がT[s]の時間、瞬間的に変位し、さらにその変位
によってシリンダ2内のピストン6が押され、ピストン
6が液体7を押し出すようになる。
【0050】ピストン6がT[s]の瞬時、アクチュエ
ータ5によって押し出された後、アクチュエータ5の軸
端変位が弾性波となって反対側の軸端面に向かって去っ
て行くと、ピストン6はアクチュエータ5と離隔した状
態になる。続いて、反対側の端面から反射して戻ってき
た弾性波は減衰しており、その弾性波による軸端変位は
もはやピストン6に接触することがない。
【0051】しかる後、アクチュエータ5は後部のスプ
リング8によって押され、分離したピストン6に追いつ
いて、ピストン6とアクチュエータ5とが再び接触した
状態に戻る。ピストン6とアクチュエータ5とが接触す
るまでに要する時間は、アクチュエータ5内部を往復す
る弾性波が減衰して消滅するまでの時間よりはるかに長
い。
【0052】超磁歪材料は、大きな負荷を受けても磁界
の強さに応じて大きな歪みを生じる特徴を持っている。
しかし、実際に2〜60[μs]の瞬時に、液体を噴射
ノズルから3〜10[m/s]以上の速度で噴射させる
ことができるか推定する必要がある。
【0053】超磁歪材料の実用的な歪み量は、0.1〜
1.0×10−3程度である。この歪みを変位で表す
と、たとえば、棒状を成す超磁歪材料が軸方向に1.0
×10 −3だけ磁歪で伸びるということは、長さ10m
mのもので10μm伸びることを意味する。つまり、μ
mオーダの伸びしか得られないのが通常である。
【0054】静的な歪み、静的な変位について述べた
が、動的な歪み、動的な変位についても同様である。す
なわち、超磁歪材料の歪み速度は非常に速いが、変位の
速度はそれほど速くはない。このことを計算によって以
下に示す。
【0055】いま、ある瞬間、超磁歪材料がひずんだと
き、その歪みは、弾性波となって瞬時に軸方向に伝わっ
ていく。この弾性波の進行速度をC[m/s]とする
と、瞬時の微小時間Δt[s]の間に、弾性波はC・Δ
t[m]だけ進む。すなわち、微小時間Δt[s]の間
に、C・Δt[m]の長さの材料が歪むことを意味して
いる。
【0056】歪みの大きさをεとすると、C・Δt
[m]の長さの超磁歪材料は、C・Δt・ε[m]だけ
変位する。Δt[s]の時間にC・Δt・ε[m]変位
すると、その変位速度は、C・Δt・ε/Δt=C・ε
[m/s]である。いま、ε=1.0×10−3とする
と、超磁歪材料Terfenol-Dの変位速度C・εは1.7m
/sとなる。すなわち、磁歪によって棒状のTerfenol-D
を軸方向に伸ばしたとき、軸端の変位速度はせいぜい
1.7m/s程度である。超磁歪材料は瞬時に変位する
が、超磁歪材料自身では、3〜10[m/s]以上の速
度が出せない。
【0057】液体を噴射するノズルの内径をd、シリン
ダの内径をDとすると、液体が非圧縮性で、各部の弾性
変形がないと仮定すると、シリンダ内のピストンを速度
Vcで押した場合、ノズルからはVc×(D/d)
の速度で飛び出すことになる。(D/d)=100
程度は容易につくることができるので、これによって、
必要な速度を出すことが可能となる。
【0058】瞬時にピストンを動かすには大きな力を要
する。超磁歪材料はどのくらいの質量のピストンを動か
すことができるか試算する必要がある。
【0059】静止している質量M[kg]のものを、t
[s]後に、Vc[m/s]にするためには、M・Vc
/t[N]の力を要する。前述のように、ピストンの速
度は液滴の飛び出す速度の1/100程度でもよい。し
たがって、いま、ピストンの速度Vcを0.1[m/
s]、ピストンの質量が1×10−3[kg]とする
と、1×10−3秒後に0.1[m/s]の速度にする
ためには0.1[N]の力が必要となり、また、2×1
−6秒後に0.1[m/s]にするためには、50
[N]の力がいる。
【0060】超磁歪材料の発生応力はふつう、20×1
[N/m]程度である。直径2mmの棒状の
ものでも63[N]の力を出すことができるので、超磁
歪材料は、十分に力を出すことができる。
【0061】前記した実施形態の超微小液滴の噴射装置
1では、超磁歪材料からなるアクチュエータでピストン
を押し出す形態であったが、超磁歪材料からなるアクチ
ュエータ自体をピストンとする構成の超微小液滴の噴射
装置を図5に示し、本発明の他の実施の形態として説明
する。
【0062】超微小液滴の噴射装置1では、非磁性材質
からなるシリンダ2の一端部に液体の貯留部3を設ける
とともに微細な噴射孔を有した噴射ノズル4を形成す
る。シリンダ2の内部には、軸方向長さの短い超磁歪材
料からなるアクチュエータ5にシール6′を施したもの
を移動可能に収納し、液体7がシリンダ2から漏れない
よう、また、アクチュエータ5が液体7に触れないよう
に液体の貯留部3を仕切っている。すなわち、シール
6′とアクチュエータ5とは、前記ピストン6とアクチ
ュエータ5とを一体とした働きをしている。アクチュエ
ータ5の他端部には、アクチュエータ5より大きな質量
を持ち、アクチュエータ5の瞬時変位による反力を十分
に受ける能力のある支持棒12を設ける。この支持棒1
2はストッパー9とスプリング8とにより前進するよう
に付勢されている。シリンダ2の外周には、アクチュエ
ータ5の位置にコイル10を巻成した構成となってい
る。
【0063】上記構成の超微小液滴の噴射装置1によれ
ば、コイル10に瞬間的な電流を流すことによって発生
する磁界が超磁歪材料のアクチュエータ5を瞬間的に伸
長させる。このとき、アクチュエータ5は支持棒12と
瞬間的に衝突するが、質量的に軽いアクチュエータ5の
方が前進し、貯留部3内の液体を瞬時に押し出す。アク
チュエータ5と分離した支持棒12が、後部のスプリン
グ8によって押され、再びアクチュエータ5と接触状態
に戻る作用は、先の実施形態のものと同様である。
【0064】前記した2例の実施形態の超微小液滴の噴
射装置1では、液体の貯留部3に充填した液体7が噴射
して全量が消費すると、これを補充することができな
い。そこで、液体を補充できる構成の超微小液滴の噴射
装置を図6に示し、本発明の他の実施の形態として説明
する。
【0065】この実施形態の超微小液滴の噴射装置1で
は、非磁性材質からなるシリンダ2の一端部に液体の貯
留部3を設けるとともに、微細な噴射孔を有する噴射ノ
ズル4を形成する。シリンダ2の内部には、棒状を成し
た超磁歪材料からなるアクチュエータ5を移動可能に収
納し、ピストン6の代わりにダイヤフラム6″を設けて
液体の貯留部3を仕切るとともに、この貯留部3に液体
の供給路11を接続している。先のスプリング8は不要
である。供給路11の基端には逆止弁を設けてもよい
が、逆止弁がなくてもよい。すなわち、ダイヤフラム
6″で発生した圧力波の進行方向に対して直角方向にあ
る供給路11の方向に押し出される液体の量はわずかで
あり、大部分の液体は、圧力波の進行方向にある噴射ノ
ズル4に向かって押し出されるためである。その他の構
成は先の実施形態と同一の構成であるから、同一の符号
を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0066】上記のように構成した超微小液滴の噴射装
置1によれば、前記コイル10に瞬間的な電流を流す
と、これによって発生する磁界が超磁歪材料のアクチュ
エータ5を瞬間的に伸長させる。さらにこの超磁歪材料
の伸長によりダイヤフラム6″が押圧されて変形するた
め、貯留部3内の液体が瞬時に押し出される。アクチュ
エータ5が戻るとダイヤフラム6″も戻るので液体の貯
留部3が減圧するが、噴射ノズル4から外気が逆流する
より先に、供給路11から貯留部3に減圧した分だけの
液体が補充される。つまり、供給路11のパイプ直径に
比べて噴射ノズルの直径がはるかに小さく、粘性抵抗力
の違いによって供給路11から液体が供給されるように
なる。
【0067】したがって、貯留部3には常に定量の液体
が充填され、噴射した液体の量だけが補充されることに
なり、実用的に利用することができる。
【0068】実際に試作した液滴噴射装置の実施例を以
下に説明する。内径2.18mm、外径2.77mmの
ガラスパイプの一端を直径30μmまで細くし,充填し
た水をピストンで押し出し、顕微鏡下において、超微小
な水滴を噴射するのである。ピストンを押す超磁歪材料
は直径2mm、長さ30mmである。駆動コイルとして
は、ガラスパイプの外側でピストンに近いところに、直
径0.4mmの銅線を軸方向長さ2.4mmとなるよう
に28回巻いてある。
【0069】超磁歪材料におよそ1.0×10−3程度
の歪みを発生させるためには、磁場の強さをおよそ50
0エールステッドにする必要がある。上記の液滴噴射装
置の場合、コイルに16アンペアの電流を流すと、コイ
ル内部の磁場の強さがおよそ500エールステッドにな
る。参考として、超磁歪材料Terfenol-Dの磁歪特性を図
7に示す。
【0070】上記コイルに電圧35ボルトで5μsのパ
ルス電流を流すと、直径ほぼ30μmの水滴をノズル先
端から噴射することができた。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、シリ
ンダ内に収納した棒状を成す超磁歪材料の周りにコイル
を巻成し、該コイルに電流を瞬間的に流すことにより前
記超磁歪材料に瞬間磁界を作用させて超磁歪材料の軸端
部に弾性波による瞬時の過渡的変位を発生させ、その超
磁歪材料の瞬時変位の作用でシリンダ内に充填した液体
を微小な1個の液滴として該シリンダの端部ノズルから
噴射させるようにした超微小液滴の噴射装置において、
端部ノズル先端の直径をd[m]、液体の密度をρ[k
g/m]、ノズル先端と液体との表面張力をγ[N
/m]、磁歪によって伸縮する超磁歪材料の軸方向長さ
をL[m]、液体に圧力をかけてから液滴がノズル先端
から離れるまでの時間をT[s]、超磁歪材料内部を進
行する弾性波の速度をC[m/s]とした場合、T<d
(ρ×d/(3×γ))1/2 [s]およびL=(T
−t)×C[m]を満たす時間t[s]だけ前記コイル
に電流を流すようにしているため、数μmから100μ
m程度の径の液滴(ナノリットルからピコリットル程度
の体積)を噴射することができるようになる。
【0072】また、本発明では、シリンダ内に収納した
棒状を成す超磁歪材料の周りにコイルを巻成し、該コイ
ルに電流を瞬間的に流すことにより前記超磁歪材料に瞬
間磁界を作用させて該超磁歪材料の軸端部に弾性波によ
る瞬時の過渡的変位を発生させ、その超磁歪材料の瞬時
変位の作用で前記シリンダ内に充填した液体を微小な1
個の液滴として該シリンダの端部ノズルから噴射させる
ようにした超微小液滴の噴射装置において、前記シリン
ダ内の超磁歪材料と液体との間に該超磁歪材料に対して
離接可能にピストンを介在させ、前記超磁歪材料の軸端
部に発生した瞬時の過渡的変位により当該ピストンを押
し進めて前記シリンダ内に充填した液体を前記端部ノズ
ルから噴射させるとともに、少なくとも前記過渡的変位
が弾性波となって反対側の端面に到達し、さらに反射し
て戻ってきた際に、前記ピストンを前記超磁歪材料の軸
端から離れた位置に配置させるようにしているため、棒
状を成す超磁歪材料の内部を弾性波が往復し、超磁歪材
料の軸端部に繰り返して変位が現れるという問題を解決
することが可能となり、数μmから100μm程度の径
の液滴を噴射することができるようになる。
【0073】さらに、本発明では、シリンダ内に収納し
た棒状を成す超磁歪材料の周りにコイルを巻成し、該コ
イルに電流を瞬間的に流すことにより前記超磁歪材料に
瞬間磁界を作用させて該超磁歪材料の軸端部に弾性波に
よる瞬時の過渡的変位を発生させ、その超磁歪材料の瞬
時変位の作用で前記シリンダ内に充填した液体を微小な
1個の液滴として該シリンダの端部ノズルから噴射させ
るようにした超微小液滴の噴射装置において、前記シリ
ンダ内に超磁歪材料より大きな質量の支持棒を収納し該
支持棒と液体との間に超磁歪材料を設置し、超磁歪材料
にシールを施し超磁歪材料自体をピストンとすることに
よって前記超磁歪材料の端部に発生した瞬時の過渡的変
位により該ピストンを押し進め、前記シリンダ内に充填
した液体を前記端部ノズルから噴射させるようにしてい
るため、質量の小さな超磁歪材料を用いて、数μmから
100μm程度の径の液滴を噴射することができるよう
になる。
【0074】これらの結果、本発明によれば、試薬、医
薬等において微少量の液滴を利用する医療技術の分野、
微少量の液滴で化学反応をさせる化学技術の分野、微少
量の液滴により半導体の接着、溶着に使用する電子技術
の分野等、あらゆる技術分野に応用することができ、特
に、簡単な装置によって正確な微少量の液滴を噴射でき
るので、実用的価値の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液滴が落下する状態の原理を示す断面図であ
る。
【図2】液滴が噴射する状態の原理を示す断面図であ
る。
【図3】棒状を成す超磁歪材料にコイルを巻いた状態を
示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態を示す概略縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す概略縦断面図であ
る。
【図6】本発明の他の実施形態を示す概略縦断面図であ
る。
【図7】超磁歪材料の一般的な磁歪特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 噴射装置 2 シリンダ 3 貯留部 4 噴射ノズル 5 アクチュエータ 6 ピストン 6′ シール 6″ ダイヤフラム 7 液体 8 スプリング 9 ストッパ 10 コイル 11 供給路 12 支持棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−213041(JP,A) 特開 平10−128217(JP,A) 特開 平8−177677(JP,A) 特開 昭53−105321(JP,A) 特開 昭63−139253(JP,A) 特開 昭60−259458(JP,A) 特公 昭47−31249(JP,B1) 特公 昭53−12138(JP,B1) 特公 平3−32023(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05C 5/00 - 5/02 B05B 1/02 - 1/10 B05B 17/00 - 17/06 B05D 1/00 - 1/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内に収納した棒状を成す超磁歪
    材料の周りにコイルを巻成し、該コイルに電流を瞬間的
    に流すことにより前記超磁歪材料に瞬間磁界を作用させ
    て該超磁歪材料の軸端部に弾性波による瞬時の過渡的変
    位を発生させ、その超磁歪材料の瞬時変位の作用で前記
    シリンダ内に充填した液体を微小な1個の液滴として該
    シリンダの端部ノズルから噴射させるようにした超微小
    液滴の噴射装置において、 下式(1)および(2)を満たす時間t[s]だけ前記
    コイルに電流を流すようにしたことを特徴とする超微小
    液滴の噴射装置。 T < d(ρ×d/(3×γ))1/2 [s]・・・ (1) L = (T−t)×C [m] ・・・ (2) 但し、 dはノズル先端の直径[m] ρは液体の密度[kg/m] γはノズル先端と液体との表面張力[N/m] Lは磁歪によって伸縮する超磁歪材料の軸方向長さ
    [m] Tは液体に圧力をかけてから液滴がノズル先端から離れ
    るまでの時間[s] Cは超磁歪材料内部を進行する弾性波の速度[m/s]
  2. 【請求項2】 シリンダ内に収納した棒状を成す超磁歪
    材料の周りにコイルを巻成し、該コイルに電流を瞬間的
    に流すことにより前記超磁歪材料に瞬間磁界を作用させ
    て該超磁歪材料の軸端部に弾性波による瞬時の過渡的変
    位を発生させ、その超磁歪材料の瞬時変位の作用で前記
    シリンダ内に充填した液体を微小な1個の液滴として該
    シリンダの端部ノズルから噴射させるようにした超微小
    液滴の噴射装置において、 前記シリンダ内の超磁歪材料と液体との間に該超磁歪材
    料に対して離接可能にピストンを介在させ、超磁歪材料
    をピストンに向けて付勢させ、前記超磁歪材料の軸端部
    に発生した瞬時の過渡的変位により当該ピストンを押し
    進めて前記シリンダ内に充填した液体を前記端部ノズル
    から噴射させるとともに、少なくとも前記過渡的変位が
    弾性波となって反対側の端面に到達し、さらに反射して
    戻ってきた際に、前記ピストンを前記超磁歪材料の軸端
    から離れた位置に配置させるようにしたことを特徴とす
    る超微小液滴の噴射装置。
  3. 【請求項3】 シリンダ内に収納した棒状を成す超磁歪
    材料の周りにコイルを巻成し、該コイルに電流を瞬間的
    に流すことにより前記超磁歪材料に瞬間磁界を作用させ
    て該超磁歪材料の軸端部に弾性波による瞬時の過渡的変
    位を発生させ、その超磁歪材料の瞬時変位の作用で前記
    シリンダ内に充填した液体を微小な1個の液滴として該
    シリンダの端部ノズルから噴射させるようにした超微小
    液滴の噴射装置において、 前記シリンダ内に超磁歪材料より大きな質量の支持棒を
    収納し該支持棒と液体との間に支持棒に対して離接可能
    に超磁歪材料を設置するとともに支持棒を超磁歪材料に
    向けて付勢し、超磁歪材料に超磁歪材料とシリンダとの
    間をシールするシールを施し超磁歪材料自体をピストン
    とすることによって前記超磁歪材料の端部に発生した瞬
    時の過渡的変位により該ピストンを押し進め、前記シリ
    ンダ内に充填した液体を前記端部ノズルから噴射させる
    ようにしたことを特徴とする超微小液滴の噴射装置。
  4. 【請求項4】 前記シリンダ内において液体を充填する
    液体貯留部に、液体供給路を接続した請求項1から請求
    項3のいずれか1項に記載の超微小液滴の噴射装置。
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CN116809256B (zh) * 2023-06-28 2024-04-16 北京市农林科学院智能装备技术研究中心 植保无人机喷头装置及其雾滴粒径控制方法

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