JP3417774B2 - 無電解ニッケルめっき液 - Google Patents

無電解ニッケルめっき液

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無電解めっきに用
いる無電解めっき液に関し、詳しくはめっき処理時に硫
酸塩の生成蓄積がない無電解ニッケルめっき液に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、無電解ニッケルめっき液の基本組
成は、一般的にはニッケル源として硫酸ニッケル、還元
剤として次亜リン酸ナトリウムを組み合わせたものであ
り、さらにめっき液のpHを一定値に保持するため水酸
化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムが添加されてい
る。このような組成のめっき液を使用して無電解ニケッ
ルめっきを行うと、めっき液中に次亜リン酸ナトリウム
からの酸化生成物である亜リン酸ナトリウムとニッケル
源である硫酸ニッケルからの硫酸根とが反応して硫酸ナ
トリウムが経時的に生成蓄積する。このため、めっき速
度の低下、異常析出及び皮膜物性の劣化等の現象を誘発
し、めっき液が老化する。従って、一定期間使用しため
っき液は定期的に不足薬液を補充し、更新して繰り返し
使用するが、最終的に高濃度の硫酸ナトリウム及び亜リ
ン酸ナトリウムを含有する使用液は、老化液として再利
用されぬまま海洋等に廃棄処分される。しかしながら、
1995年からロンドン・ダンピング条約により地球環
境保護のため、かかるめっき老化液も海洋廃棄処理が禁
止されている。こうしたことから、無電解めっき液の延
命或いは環境にやさしい廃棄処理が可能な無電解めっき
液の開発が望まれている。
【0003】これを解決するものとして、還元剤として
次亜リン酸ニッケルを含有するめっき液が提案されてい
る(特開平4-210480 号公報)。しかしながら、上記発
明はNi2+源としては、依然として硫酸ニッケルを使用
するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、実質的に、硫酸ニッケル及び次亜リン酸ナトリウム
を使用せずにめっき液の長寿命化を図り、めっき老化液
の廃棄処分が容易で、かつ再生利用可能な無電解ニッケ
ルめっき液を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意検討を行った結果、めっき金属イオンNi
2+、還元剤として次亜リン酸イオンH2 PO2 - の主た
る供給薬剤として次亜リン酸ニッケル含水物を使用し、
2 PO2 - /Ni2+のモル比調整剤として次亜リン酸
及び/又は次亜リン酸ナトリウムを使用した無電解ニッ
ケルめっき液を用いれば、めっき時に硫酸塩の生成蓄積
がなく、したがって上記目的を達成できること、さら
に、良好な皮膜物性のものが得られることを見い出し、
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、めっ
き金属イオンNi2+、還元剤として次亜リン酸イオンH
2 PO2 - の主たる供給薬剤としての次亜リン酸ニッケ
ル含水物、及び次亜リン酸及び/又は次亜リン酸ナトリ
ウムを含有することを特徴とする無電解ニッケルめっき
液を提供するものである。
【0006】また、本発明は、更に、キレート剤、緩衝
剤、pH調整剤又は安定剤を含有する無電解ニッケルめ
っき液を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の無電解ニッケルめっき液
に配合されるめっき金属イオンNi2+、還元剤として次
亜リン酸イオンH2 PO2 - の主たる供給薬剤の次亜リ
ン酸ニッケル含水物としては、次亜リン酸ニッケルの五
水塩及び六水塩等の含水塩結晶物が挙げられ、このう
ち、Ni(H2 PO2 2 ・6H2 Oで表される次亜リ
ン酸ニッケル・六水塩が好ましい。次亜リン酸ニッケル
の液体物では、次亜リン酸ニッケルの溶解度が小さいた
め水溶液等の液体で貯蔵、運搬するのに不利であり、粉
体のうち、無水物では分解し易いため不適である。
【0008】次亜リン酸ニッケル含水物の製造法として
は、公知の方法に従えばよく、ニッケル源と次亜リン酸
源とを水系において反応させ、生成する含水結晶を晶析
分離し、これを乾燥処理すればよい。具体的には、塩化
ニッケルと次亜リン酸ナトリウムとの複分解反応により
次亜リン酸ニッケル・六水塩の含水塩結晶を得ることが
できる。
【0009】本発明において、上記Ni2+源及びH2
2 - の主たる供給薬剤とは、めっき浴調整時に用いる
Ni2+源及びH2 PO2 - 源及び連続的にめっきを施す
際にめっき浴に補助供給するNi2+源及びH2 PO2 -
源の両方の供給薬剤を意味する。また、該供給薬剤の次
亜リン酸ニッケル含水物を建浴又は薬液補充する場合、
これを所望の濃度に希釈溶解して使用することが好まし
い。
【0010】本発明の無電解ニッケルめっき液に配合さ
れる次亜リン酸及び/又は次亜リン酸ナトリウムは、後
述のモル比(H2 PO2 - /Ni2+)の特定範囲となる
ように調整して配合されるモル比調整剤である。
【0011】本発明の無電解ニッケルめっき液は、定常
状態において、Ni2+が0.017〜0.34モル/リ
ットル、H2 PO2 - が0.017〜1.0モル/リッ
トルの範囲であり、さらにH2 PO2 - /Ni2+のモル
比が2.5〜4の範囲であることが、硫酸根の生成蓄積
を抑制することから好ましい。また、80℃以上でめっ
き処理をする高温浴の場合、Ni2+が0.017〜0.
085モル/リットル、H2 PO2 - が0. 017〜
0.255モル/リットル、また、常温ないし60℃程
度でめっき処理する低温浴の場合、Ni2+が0.095
〜0.34モル/リットル、H2 PO2 - が0.095
〜1.0モル/リットルの範囲において、それぞれ前記
モル比内で浴管理することが好ましい。
【0012】また、上記定常状態とは、必ずしも建浴時
の基本液組成を指すのではなく、補給調整及びめっき老
化後の処理液をリサイクルすること等を含めた安定状態
をいう。
【0013】本発明の無電解ニッケルめっき液は、上記
必須成分以外に、キレート剤、緩衝剤、pH調整剤及び
安定剤から選ばれる1種以上を配合することが好まし
い。
【0014】キレート剤としては、例えば水溶性のリン
ゴ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩及びアミノ酸塩
などが挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられ
る。また、緩衝剤としては、例えば、酢酸塩、コハク酸
塩及びマロン酸塩などが挙げられ、これらの1種又は2
種以上が用いられる。更に、安定剤としては、例えば、
鉛、ビスマス及びタリウムなどの酢酸塩、硝酸塩及びあ
る種の硫黄化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以
上が用いられる。
【0015】本発明の無電解ニッケルめっき液のpH
は、pH調整剤によって調整でき、酸性浴では4.5〜
5.5、アルカリ浴ではアンモニア、アミン化合物及び
苛性アルカリ等のアルカリ剤で8〜10の範囲に調整す
ればよい。
【0016】また、本発明の無電解ニッケルめっき液
は、必要に応じてさらに光沢剤、界面活性剤等通常無電
解ニッケルめっき液に使用されている補助薬剤を配合す
ることもできる。
【0017】本発明の無電解ニッケルめっき液を用い
て、金属板及び無機粉体等の表面をめっきする場合、め
っき反応により副生する亜リン酸イオンの量としては、
HPO2 2-/Ni2+のモル比が3〜10の範囲とするこ
とが好ましい。
【0018】該副生する亜リン酸イオンを含んだ老化液
は、カルシウム塩を添加することにより亜リン酸カルシ
ウムとして沈殿させ、分離することが該分離液をめっき
浴でリサイクル使用できることから好ましい。かかる沈
殿、分離する具体的方法としては、例えば、めっき老化
液に水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの粉末又はそ
の水性スラリーを撹拌下のめっき浴に添加し、pH値を
6〜9、好ましくは6.5〜8.5の範囲に調整し、脱
亜リン酸の処理を施す。pH値を6〜9の範囲とするこ
とにより、亜リン酸カルシウムの溶解を抑制でき、亜リ
ン酸イオンの残存を極力抑えることができる。pH値が
9を超えると亜リン酸カルシウムの溶解度が増すばかり
でなく、Ni2+が沈殿系に固溶又は水酸化物として混入
することから好ましくない。上記の脱亜リン酸処理は、
回収母液に溶存するカルシウムイオン濃度が0.12g
/リットル以下になるように亜リン酸カルシウムを分離
除去することが好ましい。かかる脱亜リン酸処理操作に
より、該めっき老化液は再生され、めっき液及びめっき
液へ添加するpH調整剤としてリサイクル使用すること
ができる。また、本発明の無電解ニッケルめっき液に
は、本発明の効果を妨げない程度の硫酸ニッケル及び次
亜リン酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0019】
【発明の効果】本発明の無電解ニッケルめっき液を用い
めっき処理した場合、めっき液中に硫酸塩の生成蓄積が
なく、めっき液の長寿化が図れる。また、めっき老化液
の処理が容易であり、老化液のリサイクル使用が可能と
なる。さらに、良好なめっき皮膜物性のものが得られ
る。
【0020】
【実施例】
実施例1 下記調製で得られた次亜リン酸ニッケル含水結晶物0.
1モル/リットル、次亜リン酸0.12モル/リット
ル、酢酸鉛3×10-6モル/リットル及びリンゴ酸ナト
リウム0.2モル/リットル、コハク酸ナトリウム0.
1モル/リットルからなるpH5の無電解ニッケルめっ
き液1リットルを1リットルのガラスビーカーに建浴し
た。次いで、90℃に加温した後、脱脂及び酸洗浄した
鉄板(5cm×10cm×0.2mm)10枚を1度に浸漬
し、30分間無電解ニッケルめっきを行った。次いで鉄
板を取り代え同様の処理を7回繰り返した。なお、めっ
き操作の途中で、めっき反応により消耗する薬剤を30
分毎に供給した。また、液のpHを5に維持するため水
酸化ナトリウム水溶液を常時補充するとともに、蒸発す
る水分を補充するため脱塩水を加えた。この無電解ニッ
ケルめっき処理により鉄片上には厚み10.4μm、最小
厚み9.3μm、平均厚み9.8μmのニッケルめっき
皮膜が析出し、形成されためっき層は全て平滑で優れた
金属光沢を示すものであった。
【0021】(次亜リン酸ニケッル含水結晶物{Ni
(H2 PO2 ) 2 ・6H2 O}の調製)反応容器に水1
85.1g、塩化ニッケル・六水塩60.7g及び次亜
リン酸ナトリウム・一水塩54.2gをそれぞれ仕込
み、撹拌しながら60℃まで昇温して反応させた。水の
全量は塩化ニッケル(無水塩換算)に対して48倍モル
量である。約30分で原料の塩化ニッケルが全量溶解し
たところで反応終点とし、更に反応を続けながら20℃
まで冷却し2時間晶析した。得られた結晶を濾過分離し
た。次いで、得られた湿潤状態の該結晶を30℃で2時
間、真空度0.006kg/cm2 で乾燥し次亜リン酸ニッ
ケル含水結晶物{Ni(H2 PO2 ) 2 ・6H2 O}を
得た。
【0022】比較例1 硫酸ニッケル0.1モル/リットル、次亜リン酸ナトリ
ウム0.24モル/リットル、酢酸鉛3×10-6モル/
リットル及びリンゴ酸ナトリウム0.2モル/リット
ル、コハク酸ナトリウム0.1モル/リットルからなる
pH5の無電解ニッケルめっき液1リットルを1リット
ルのガラスビーカーに建浴した。次いで、90℃に加温
した後、脱脂及び酸洗浄した鉄板(5cm×10cm×0.
2mm)10枚を1度に浸漬し、30分間無電解ニッケル
めっきを行った。次いで鉄板を取り代え同様の処理を3
回繰り返した。なお、めっき操作の途中で、めっき反応
により消耗する薬剤を30分毎に供給した。また、液の
pHを5に維持するために水酸化ナトリウム水溶液を常
時補充するとともに、蒸発する水分を補充するため脱塩
水を加えた。この無電解ニッケルめっき処理により鉄片
上には厚み 10.5μm、最小厚み8.6μm、平均
厚み9.2μmのニッケルめっき皮膜が析出し、形成さ
れためっき層は全て平滑で優れた金属光沢を示すもので
あった。
【0023】(皮膜応力の評価)実施例1及び比較例1
で得られためっき処理毎の鉄片資料につき、めっき皮膜
応力(剥離易さ)をストリップ電着応力測定器にて評価
した。その結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】表1から、本発明の無電解ニッケルめっき
液を用いれば従来の硫酸ニッケル−次亜リン酸ナトリウ
ム系のめっき液に比べ、めっき液寿命が約2倍程長くな
る。
【0026】実施例2〜6 上記調製で得られた次亜リン酸ニッケル含水結晶物0.
1モル/リットル、次亜リン酸0.12モル/リット
ル、酢酸鉛3×10-5モル/リットル及び表2に示すキ
レート剤からなるpH5の無電解ニッケルめっき液1リ
ットルを1リットルのガラスビーカーに建浴した。この
めっき液を90℃に加温し、常法により脱脂洗浄した5
0×100×1mmの真ちゅう板を10分間浸漬したとこ
ろ平滑で光沢のあるめっき皮膜で全面覆われた試料が得
られた。また、めっき厚を測定したところ、表2に示す
膜厚の平滑な光沢のあるめっき皮膜であった。
【0027】
【表2】
【0028】実施例7 上記調製で得られた次亜リン酸ニッケル含水結晶物0.
1モル/リットル、次亜リン酸ナトリウム0.12モル
/リットル、リンゴ酸ナトリウム0.2モル/リット
ル、コハク酸ナトリウム1.0モル/リットル、硝酸鉛
3×10-5モル/リットルからなるpH4.5の無電解
ニッケルめっき液1リットルを1リットルのガラスビー
カーに建浴し、90℃に加温した後、脱脂及び酸洗浄し
た鉄板(5cm×10cm×0.2mm)10枚を一度に浸漬
し30分間無電解ニッケルめっきを行った。次いで鉄片
を取り代え同様の処理を15回繰り返した。なお、めっ
き操作の途中でめっき反応により消耗する薬剤(主に次
亜リン酸ニッケル)を30分毎に補給した。また液のp
Hを4.5に維持するため水酸化ナトリウム水溶液を常
時補充するとともに、蒸発する水分を補充するため脱塩
水を加えた。この無電解ニッケルめっき処理により鉄片
上に最大厚み10.4μm、最小厚み9.3μm、平均
厚み9.8μmのニッケルめっき皮膜が析出し、形成さ
れためっき層は全て平滑で優れた金属光沢を示すもので
あった。
【0029】実施例8 上記調製で得られた次亜リン酸ニッケル含水結晶0.1
モル/リットル、次亜リン酸ナトリウム0.06モル/
リットル(H2 PO2 - /Ni2+のモル比2.6)、リ
ンゴ酸ナトリウム0.15モル/リットル、コハク酸ナ
トリウム0.8モル/リットル、硝酸鉛3×10-5モル
/リットルからなるpH4.6の無電解ニッケルめっき
液1リットルを1リットルのガラスビーカーに建浴し、
90℃に加温した後、脱脂及び酸洗浄した鉄片(5cm×
10cm×0.2mm)10枚を一度に浸漬し、30分間無
電解ニッケルめっきを行った。次いで鉄片を取り替えて
同様にめっき処理を10回繰り返した。なお、めっき操
作の途中で、めっき反応により消耗する薬剤(主に次亜
リン酸ニッケル)を30分毎に供給した。また液のpH
を4.6に維持するため水酸化ナトリウム水溶液を常時
補給すると共に、蒸発する水分を補充するため脱塩水を
加えた。この無電解ニッケルめっき処理における析出速
度の変化を鉄片上の厚みから求めた。その結果、最大析
出速度21.2μm /hr、最小析出速度18.9μm /
hr、平均析出速度20.1μm /hrであり、処理回数が
増しても析出速度が下がらず、反応性が良好であった。
また、形成されためっき層は全て平滑で優れた金属光沢
を示すものであった。
【0030】実施例9 上記調製で得られた次亜リン酸ニッケル含水結晶0.1
モル/リットル、次亜リン酸ナトリウム0.18モル/
リットル(H2 PO2 - /Ni2+のモル比3.8)、リ
ンゴ酸ナトリウム0.18モル/リットル、コハク酸ナ
トリウム1.0モル/リットル、硝酸鉛4×10-5モル
/リットルからなるpH4.6の無電解ニッケルめっき
液とした以外は実施例8と同様の方法に従った。また、
この無電解ニッケルめっき処理における析出速度の変化
を鉄片上の厚みから求めた。その結果、最大析出速度2
4.2μm /hr、最小析出速度20.4μm /hr、平均
析出速度22.3μm /hrであり、処理回数が増しても
析出速度が下がらず、反応性が良好であった。また、形
成されためっき層は全て平滑で優れた金属光沢を示すも
のであった。
【0031】比較例2 上記調製で得られた次亜リン酸ニッケル含水結晶0.1
モル/リットル、次亜リン酸ナトリウム0.03モル/
リットル(H2 PO2 - /Ni2+のモル比2.3)、リ
ンゴ酸ナトリウム0.15モル/リットル、コハク酸ナ
トリウム0.8モル/リットル、硝酸鉛3×10-5モル
/リットルからなるpH4.6の無電解ニッケルめっき
液1リットルを1リットルのガラスビーカーに建浴し、
90℃に加温した後、脱脂及び酸洗浄した鉄片(5cm×
10cm×0.2mm)10枚を一度に浸漬し、30分間無
電解ニッケルめっきを行った。次いで鉄片を取り替えて
同様にめっき処理を10回繰り返した。なお、めっき操
作の途中で、めっき反応により消耗する薬剤(主に次亜
リン酸ニッケル)を30分毎に供給した。また液のpH
を4.5に維持するため水酸化ナトリウム水溶液を常時
補給すると共に、蒸発する水分を補充するため脱塩水を
加えた。この無電解ニッケルめっき処理における析出速
度の変化を鉄片上の厚みから求めた。その結果、最大析
出速度17.5μm /hr、最小析出速度6.8μm /h
r、平均析出速度12.2μm /hrであり、処理回数が
増すにつれて析出速度が下がり、形成されためっき層は
処理回数が増すにつれ薄くなり、平滑とならずに金属光
沢も損なわれていた。
【0032】比較例3 上記調製で得られた次亜リン酸ニッケル含水結晶0.1
モル/リットル、次亜リン酸ナトリウム0.22モル/
リットル(H2 PO2 - /Ni2+のモル比4.2)、リ
ンゴ酸ナトリウム0.2モル/リットル、コハク酸ナト
リウム1.0モル/リットル、硝酸鉛3×10-5モル/
リットルからなるpH4.2の無電解ニッケルめっき液
1リットルを1リットルのガラスビーカーに建浴し、9
0℃に加温した後、脱脂及び酸洗浄した鉄片(5cm×1
0cm×0.2mm)10枚を一度に浸漬し、30分間無電
解ニッケルめっきを行った。次いで鉄片を取り替えて同
様にめっき処理を10回繰り返した。なお、めっき操作
の途中で、めっき反応により消耗する薬剤(主に次亜リ
ン酸ニッケル)を30分毎に供給した。また液のpHを
4.2に維持するため水酸化ナトリウム水溶液を常時補
給すると共に、蒸発する水分を補充するため脱塩水を加
えた。この無電解ニッケルめっき処理における析出速度
の変化を鉄片上の厚みから求めた。その結果、最大析出
速度28.2μm /hr、最小析出速度16.7μm /h
r、平均析出速度22.5μm /hrであり、処理回数が
増すにつれて析出速度が下がり、反応率が下がった。ま
た、処理回数が増すにつれてめっき液中の亜リン酸イオ
ンが次第に生成蓄積し、これが不純物となって、形成さ
れためっき層は、平滑とならずに金属光沢も損なわれて
いた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−72206(JP,A) 特開 平8−337881(JP,A) 特開 平8−158058(JP,A) 特開 平6−264252(JP,A) 特開 平4−210480(JP,A) 特開 平3−150368(JP,A) 特表 平11−513350(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/36

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき金属イオンNi2+、還元剤として
    次亜リン酸イオンH2 PO2 - の主たる供給薬剤として
    の次亜リン酸ニッケル含水物、及び次亜リン酸及び/又
    は次亜リン酸ナトリウムを含有することを特徴とする無
    電解ニッケルめっき液。
  2. 【請求項2】 Ni2+が0.017〜0.34モル/リ
    ットル、H2 PO2 - が0.017〜1.0モル/リッ
    トル及びH2 PO2 - /Ni2+のモル比が2.5〜4の
    範囲である請求項1記載の無電解ニッケルめっき液。
  3. 【請求項3】 更に、キレート剤、緩衝剤、pH調整剤
    又は安定剤を含有する請求項1又は2記載の無電解ニッ
    ケルめっき液。
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