JP3415400B2 - 吸音材 - Google Patents

吸音材

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JP3415400B2
JP3415400B2 JP22133497A JP22133497A JP3415400B2 JP 3415400 B2 JP3415400 B2 JP 3415400B2 JP 22133497 A JP22133497 A JP 22133497A JP 22133497 A JP22133497 A JP 22133497A JP 3415400 B2 JP3415400 B2 JP 3415400B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維集合体からな
る吸音材に関するものであって、特に自動車用として好
適な吸音材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の高級車指向の高まりより、エンジ
ン音等を吸音・防音するための吸音材の使用量が増加し
ている。他方、吸音材を自動車に搭載するためには、よ
り軽量で安価であることが重視されている。
【0003】従来、自動車用吸音材の代表的なものとし
て、レジンフェルトあるいは発泡ポリウレタンがある。
しかしながら、レジンフェルトは、フェノール樹脂等の
バインダー樹脂を含有しているため、重量の割りに高い
吸音効果を得ることが困難であった。また、発泡ポリウ
レタンは、ウレタン発泡材を原料として用いるため、製
造時に排気設備が必要であり、さらに、リサイクルが困
難であるという欠点があった。
【0004】これらの問題を解決するため、特開平7−
3599号公報、特開平8−188951号公報では、
1.5デニール以上の短繊維がバインダー繊維で接着さ
れた繊維集合体からなる吸音材が開示されている。
【0005】特開平7−3599号公報、特開平8−1
88951号公報に開示されている方法の構成繊維の繊
度が1.5デニールを超える繊維集合体からなる吸音材
では、未だ十分な吸音効果が得られるとはいえず、厚み
及び密度の増加に頼らざるを得ない。従って、それに伴
う占有スペース拡大及び重量増加が問題点であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い吸音効
果と軽量化及び低コスト化という相反する課題を解決す
ることが可能な吸音材を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高い吸音
効果と軽量化及び低コスト化が可能となる吸音材を得る
ために種々検討した結果、繊度の小さい短繊維を主体繊
維とした繊維集合体を用いると高い吸音効果が発揮され
ることを見出した。また、繊度の小さい短繊維を主体繊
維とした繊維集合体に繊度の大きい繊維を併用して吸音
材に剛性を付与し、その際、吸音面側に繊度の小さい繊
維を集中的に配すると、繊度の小さい短繊維と繊度の大
きい繊維とを単に混綿するよりも吸音効果が高いことを
見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、2〜1
5デニールの短繊維Aとバインダー繊維とからなる不織
ウエブ(A層)の片面に、0.2〜1.5デニールであ
短繊維Bとバインダー繊維とからなり、吸音面側に位
置させる不織ウエブ(B層)不織ウエブ(B層)が積層
された繊維集合体からなり、バインダー繊維は短繊維A
および短繊維Bより20℃以上低い融点または軟化点を
有するバインダー成分を少なくとも繊維表面に有し、構
成繊維同士はバインダー成分の溶融により接着されてお
り、該繊維集合体の厚みが5mm以上、見かけ密度が
0.01g/cm3 以上であることを特徴とする吸音材
を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の構成繊維について説明する。本発明に用
いる主体短繊維(本発明において、短繊維Aおよび短繊
維Bを総称して主体短繊維という。)およびバインダー
繊維は、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、
ポリオレフィン系重合体等の繊維形成性熱可塑性重合体
からなるものである。
【0009】ポリエステル系重合体としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸あるいはアジピン酸、セバ
シン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステ
ル類を酸成分とし、かつエチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど
のジオール化合物をジオール成分とするホモポリエステ
ル重合体やこれらを主骨格として他の酸成分や他のグリ
コール成分を共重合したポリエステル共重合体が挙げら
れる。また、これらのホモポリエステル重合体やポリエ
ステル共重合体に、パラオキシ安息香酸、5−ソジウム
スルホイソフタル酸、ポリアルキレングリコール、ペン
タエリスリトール、ビスフェノールAなどが添加あるい
は共重合されていても良い。
【0010】ポリアミド系重合体としては、ポリイミノ
−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテト
ラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミ
ド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナ
イロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、
ポリラウロラクタミド(ナイロン12)、ポリメタキシ
レンアジパミド、ポリパラキシレンデカナミド、ポリビ
スシクロヘキシルメタンデカナミドまたはこれらのモノ
マーを構成単位とするポリアミド系共重合体が挙げられ
る。特に、ポリテトラメチレンアジパミドの場合、ポリ
テトラメチレンアジパミドにポリカプラミドやポリヘキ
サメチレンアジパミド、ポリウンデカメチレンテレフタ
ラミドなどの他のポリアミド成分が30モル%以下共重
合されたポリテトラメチレンアジパミド系共重合体であ
っても良い。前記した他のポリアミド成分の共重合率が
30モル%を超えると、共重合体の融点が低下するた
め、これら共重合体の繊維集合体からなる吸音材を高温
条件下で使用したときには、機械的特性や寸法安定性が
低下するので好ましくない。
【0011】ポリオレフィン系重合体としては、炭素原
子数2〜18の脂肪族α−モノオレフィン、例えばエチ
レン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メ
チル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−
ドデセン、1−オクタデセンなどからなるホモポリオレ
フィン重合体が挙げられる。これらの脂肪族α−モノオ
レフィンは、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−
ペンタジエン、スチレン、α−メチルスチレンのような
他の類似のエチレン系不飽和モノマーが共重合されたポ
リオレフィン系共重合体であっても良い。また、ポリエ
チレン系重合体の場合には、エチレンに対してプロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたは類
似の高級α−オレフィンが10重量%以下共重合された
ものであっても良く、ポリプロピレン系重合体の場合に
は、プロピレンに対してエチレンまたは類似の高級α−
オレフィンが10重量%以下共重合されたものであって
も良い。前記高級α−オレフィン等の共重合物の共重合
率が前記重量%を超えると、共重合体の融点が低下する
ため、これら共重合体の繊維集合体からなる吸音材を高
温条件下で使用したときには、機械的特性や寸法安定性
が低下するので好ましくない。
【0012】なお、前記繊維形成性熱可塑性重合体に、
必要に応じて、艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、光安
定剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を本発明の
効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0013】本発明に用いる主体短繊維は、前記繊維形
成性熱可塑性重合体から構成されるものであるが、その
形態は、前記重合体単独からなるものの他、前記重合体
の中から選択された2種以上の相異なる重合体が各々溶
融紡糸性を損なわない範囲内でブレンドされたブレンド
物からなるものであっても良い。前記重合体単独からな
るものとしては、結晶融点が高いこと及び経済性の面か
ら、ポリエチレンテレフタレートで構成されることが好
ましい。ブレンド物としては、例えばポリエステル系重
合体とポリオレフィン系重合体とがブレンドされたもの
や、2種の相異なるポリアミド系重合体がブレンドされ
たものが挙げられ、特に、前者の場合には、溶融紡出直
後で未配向のポリエステル成分の収縮を抑制することが
できるため好ましい。
【0014】本発明に用いるバインダー繊維は、主体短
繊維より20℃以上低い融点または軟化点を有するバイ
ンダー成分を少なくとも繊維表面に有する繊維であり、
このバインダー成分は、熱溶融により構成繊維同士を接
着するものである。バインダー成分は、主体短繊維より
20℃以上低い融点または軟化点を有することを必要と
する。両者の差が20℃未満であると、バインダー成分
を熱溶融させる際に主体短繊維までも軟化溶融する恐れ
があるため好ましくない。
【0015】バインダー繊維の形態としては、少なくと
も繊維表面にバインダー成分を有する形態であればよ
く、バインダー成分のみからなる単相のもの、バインダ
ー成分と他の重合体との貼り合わせ型のもの、バインダ
ー成分を鞘部に配し、他の重合体を芯部に配する芯鞘型
のもの等が挙げられる。本発明において、芯部に配する
重合体より20℃以上低い融点または軟化点を有する重
合体(バインダー成分)を鞘部に配した芯鞘型複合繊維
が好ましく用いられる。芯鞘型複合繊維は、鞘部のみが
構成繊維同士を接着するバインダーとして機能し、芯部
は繊維の形態を維持しており、吸音効果の向上に寄与す
ることとなるため好ましい。
【0016】本発明の吸音材として、主体短繊維がポリ
エチレンテレフタレートからなり、バインダー繊維が芯
部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にテレフタル酸
/イソフタル酸が共重合比(モル比)60/40〜90
/10で共重合された共重合ポリエステルを配した芯鞘
型複合繊維からなる繊維集合体であることが好ましい。
結晶融点が高くかつ生産性の良好なポリエチレンテレフ
タレートからなる短繊維を主体短繊維とした際、前記共
重合ポリエステルをバインダー成分として用いることに
より構成繊維同士の接着性が良好となり形態保持性の良
好な繊維集合体が得られる。また、本発明の吸音材とし
て、主体短繊維がポリエチレンテレフタレートからな
り、バインダー繊維が芯部にポリエチレンテレフタレー
ト、鞘部に結晶融点が100℃以上のε−カプロラクト
ン共重合ポリエステルを配した芯鞘型複合繊維からなる
繊維集合体であることが好ましい。結晶融点が100℃
以上のε−カプロラクトン共重合ポリエステルは、結晶
性でありかつ融点が高いため、これをバインダー成分と
して用いた繊維集合体は、高温状態、例えば夏場の車内
等で用いてもバインダー成分が溶融することなく、吸音
材は形態を保つことができるため耐熱性能も併せもつ吸
音材となり好ましい。
【0017】ε−カプロラクトン共重合ポリエステルと
しては、エチレンテレフタレート単位および/またはブ
チレンテレフタレート単位にε−カプロラクトン単位を
共重合したものが適当であり、ポリエステル中のε−カ
プロラクトン単位は、他の構成単位とランダム共重合し
たものであっても、ブロック共重合したものであっても
差し支えない。また、エチレンテレフタレート単位およ
び/またはブチレンテレフタレート単位に、さらに、イ
ソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、エチレングリコール、1,6−ヘ
キサンジオール等を付加的に共重合したものにε−カプ
ロラクトン単位を共重合したものであっても良い。付加
的に共重合させる酸成分やグリコール成分の割合は、ポ
リエステルの構成成分の単位モル数に対し20モル%以
下であることが望ましい。
【0018】本発明に用いられる主体短繊維のうち、不
織ウエブ(A層)に用いられる短繊維Aの繊度は、2〜
15デニールである必要がある。不織ウエブ(A層)
は、吸音効果も発揮するが、不織ウエブ(B層)すなわ
ち繊度の小さい短繊維Bとバインダー繊維とからなる層
の補強材として作用し、吸音材の形態保持性、剛性を向
上させている。従って、短繊維Aの繊度が2デニール未
満であると、B層を補強するに足り得る形態保持性が十
分でなく、吸音材の剛性の向上を図ることが困難となる
ため好ましくない。一方、短繊維Aの繊度が15デニー
ルを超えると、十分な吸音効果が得られず、吸音性能を
上げるためには吸音材の厚みおよび密度をさらに増加さ
せることが必要となり、軽量で安価な吸音材を得ること
はできず好ましくない。上記理由により、短繊維Aの好
ましい繊度は、4〜13デニール、更に好ましくは6〜
10デニールである。
【0019】本発明に用いられる主体短繊維のうち、不
織ウエブ(B層)に用いられる短繊維Bの繊度は、0.
2〜1.5デニールである。短繊維Bの繊度が1.5
ニールを超えると、吸音効果が不十分となり、吸音性能
を上げるためには吸音材の厚み及び密度を増加させるこ
とが必要となり、軽量で安価な吸音材を得ることができ
ないため好ましくない。繊度の下限が、0.2デニール
に満たない場合には、カード機にてウェブ形成時に繊維
の開繊が不十分となりやすいため、ネップを生じてウェ
ブに密度斑が発生する傾向にある。上記理由により主体
短繊維の好ましい繊度は、0.5〜1デニールである。
【0020】本発明に用いるバインダー繊維の繊度は、
1〜4デニール程度が好ましい。繊度が1デニール未満
であると、本発明に適している芯鞘型複合繊維の製造が
困難となる。一方、繊度が4デニールを超えると、主体
短繊維の場合と同様に、吸音性能に劣る傾向となる。上
記理由によりバインダー繊維のより好ましい繊度は1〜
2デニ−ル、更に好ましくは1.5〜2デニールであ
る。
【0021】主体短繊維およびバインダー繊維の断面形
状は、特に限定されるものでなく、丸型断面以外に三角
断面、多葉断面等の異型断面、また中空断面等であって
も良い。
【0022】本発明の吸音材は、2〜15デニールの短
繊維Aとバインダー繊維とからなる不織ウエブ(A層)
の片面に、0.2〜1.5デニール以下である短繊維B
とバインダー繊維とからなる不織ウエブ(B層)が積層
され、バインダー繊維の溶融によって一体化した繊維集
合体からなる。不織ウエブ(B層)を吸音面側に位置さ
せて用いることにより吸音効果を発揮させるが、用途に
よっては、不織ウエブ(A層)の両面に不織ウエブ(B
層)を積層させて、繊維集合体の両面より吸音させるこ
とができる吸音材としてもよい。
【0023】本発明の吸音材は、主として吸音効果を発
揮する不織ウエブ(B層)の厚みが、吸音材全体の厚み
の1/8〜1/2(厚み比)を占める繊維集合体である
ことが好ましい。B層が占める厚みが1/8未満である
と、繊度の小さい繊維(短繊維B)による吸音効果が十
分に発揮されず、吸音性能に劣る傾向となる。一方、1
/2を超えると、短繊維Bによる吸音効果はこれ以上望
めず、また、形態保持性の面で劣る傾向にある。以上の
理由によりB層の厚みは、1/4〜1/2(厚み比)で
あることが特に好ましい。
【0024】本発明の繊維集合体に用いる繊維の比率
は、短繊維A/短繊維B/バインダー繊維が30〜70
/10〜40/10〜40(重量%)であることが好ま
しい。短繊維Aが、30重量%未満であると形態保持性
に劣る傾向にあり、また70重量%を超えると吸音性能
が不十分となる。短繊維Bが、10重量%未満であると
吸音効果が十分に発揮されず、吸音材の吸音性能を向上
させることができない。短繊維Bの比率が高いほど吸音
性能は向上するが、吸音材の形態保持性を考慮して、上
限は40重量%であることが好ましい。バインダー繊維
の比率が10重量%未満であると、構成繊維同士の接着
点が少なくなり、繊維集合体の剛性及び形態安定性が低
下するため好ましくない。一方、バインダー繊維の混率
が40重量%を超えると、熱成形時に溶融するバインダ
ー成分の比率が増加するため、繊維による吸音効果を阻
害することになり好ましくない。吸音性能および形態安
定性等を考慮し、繊維集合体に用いる繊維の比率は、短
繊維A/短繊維B/バインダー繊維が40〜60/20
〜40/20〜30(重量%)であることが特に好まし
い。
【0025】吸音材の厚みは、5mm以上とし、20〜
40mmが好ましい。吸音材の厚みが5mm未満である
と、十分な吸音性能が得られず好ましくない。吸音材の
厚みの上限は特に限定しないが、吸音材の占有スペース
や重量、また見かけ密度等を考慮して50mm程度とす
る。
【0026】吸音材の見かけ密度は、0.01g/cm
3 以上とする。繊維集合体の見かけ密度が0.01g/
cm3 未満であると、構成繊維の本数が少ないため十分
な吸音性能が得られず、また、上記繊維集合体の厚みを
確保することが困難となる。上限は特に限定されない
が、吸音材の重量を考慮し0.08g/cm3 程度とす
る。0.08g/cm3 を超えると、目付が高くなるば
かりでなく、吸音効果の向上もあまり見られない。上記
理由により吸音材の見かけ密度は、0.02〜0.06
g/cm3 が好ましい。
【0027】
【作用】本発明の繊維集合体からなる吸音材は、繊度が
小さい繊維を繊維集合体の少なくとも一表面に集中して
配したものである。繊度が小さい繊維は、繊維の剛性が
低く、音の振動エネルギーを熱エネルギーに変換しやす
いと推定される。さらに、繊度が小さい繊維を用いる
と、単位重量あたりの構成繊維の本数が増え、空気との
接触面積が大きくなり、吸音効果が高まるものと考えら
れる。したがって、繊度が小さい繊維を集中して配した
面を吸音面側とすることにより、高い吸音効果が発揮さ
れる。
【0028】また、繊度の大きい繊維からなる不織ウエ
ブを配することにより、前記繊度が小さい繊維からなる
層を補強し、吸音材に形態保持性と剛性を付与すること
が可能となる。また、繊度の大きい繊維は、形態保持性
に優れるため、低密度においてもある程度の厚みを確保
できるため、厚みによる吸音効果が期待できるととも
に、吸音材の軽量化を図ることができる。
【0029】すなわち、本発明の吸音材は、繊度の小さ
い短繊維を主体繊維とした繊維集合体に繊度の大きい繊
維を併用し、吸音面側に繊度の小さい繊維を集中的に配
することにより、繊度の小さい短繊維と繊度の大きい繊
維とを単に混綿するよりも高い吸音効果が得られ、繊度
の小さい繊維のみからなる繊維集合体と同等の吸音効果
が得られると共に形態保持性と剛性にも優れるものとな
る。
【0030】また、本発明の吸音材は、主体短繊維がバ
インダー繊維の熱溶融によって接着されているため、繊
維間は点接着であり、繊維による吸音効果を十分に活用
できる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。なお、実施例記載の各特性値は次の方法により測定
した。 (1)厚み(mm):フォーム用大型測厚器(高分子計
器株式会社製 FS−250型)を用い、99.9mm
φのサンプルに49g/15cm2 の荷重を印可して厚
みを測定した。
【0032】(2)見かけ密度(g/cm3 ):繊維集
合体の見かけ密度は、得られた繊維集合体からなる各吸
音材を99.9mmφのサンプルに打ち抜き、下記式に
よって求める。
【0033】
【数1】
【0034】(3)相対粘度:フェノールと四塩化エタ
ンの等重量混合物を溶媒とし、試料濃度0.5g/d
l、温度20℃で測定した。
【0035】(4)メルトインデックス(g/10
分): ASTM D1238(E)に記載の方法によ
り測定した。
【0036】(5)融点(℃): パーキンエルマー社
製の示差走査熱量計DSC−7型を使用し、昇温速度2
0℃/分で測定した。
【0037】(6)垂直入射吸音率(%): JIS
A 1405「管内法による建築材料の垂直入射吸音率
測定法」に基づいて、2マイクロホンインピーダンス測
定管(ブリュエル・ケアー社製 4206型)を使用し
て行った。得られた各吸音材について、低周波数(50
Hz〜1.6kHz)管用99.9mmφサイズと高周
波数(500Hz〜6.4kHz)管用29.0mmφ
サイズの2サイズを測定し、重複した測定周波数領域の
垂直入射吸音率は2サイズの平均値を用いた。
【0038】実施例1 短繊維Aとして、ポリエチレンテレフタレート(相対粘
度1.38、融点257℃)からなる中空断面の繊度6
デニール、切断長51mmの繊維を、短繊維Bとして、
ポリエチレンテレフタレート(相対粘度1.38、融点
257℃)からなる繊度0.5デニール、切断長38m
mの繊維を、バインダー繊維として、芯部がポリエチレ
ンテレフタレート(相対粘度1.38、融点257
℃)、鞘部がテレフタル酸/イソフタル酸共重合モル比
60/40の共重合ポリエステル(相対粘度1.37、
軟化点110℃)からなる芯鞘複合比1/1(重量比)
の芯鞘型で、繊度2デニール、切断長51mmの複合繊
維を用意した。
【0039】短繊維Aとバインダー繊維を混率80/2
0(重量%)で混綿し、細繊度カード機に通して、目付
600g/m2 の不織ウェブ(A層)を形成した。次
に、短繊維Bとバインダー繊維を混率80/20(重量
%)で混綿し、細繊度カード機に通して、目付200g
/m2 の不織ウェブ(B層)を形成した。
【0040】得られたA層とB層とを積層した積層体
を、厚み20mmのスペーサーとともに金網の間に挟ん
で厚みを規制しつつ、150℃の熱風循環乾燥機中で2
0分間熱処理を行い、厚み20mm、見かけ密度0.0
4g/cm3 の実施例1の吸音材を得た。
【0041】実施例2 実施例1において、短繊維Aの繊度が13デニールの短
繊維を用い、バインダー繊維として芯部がポリエチレン
テレフタレート(相対粘度1.38、融点257℃)、
鞘部がエチレンテレフタレート単位(A)/ブチレンテ
レフタレート単位(B)〔モル比1/1〕にε−カプロ
ラクトン(C)を共重合した共重合ポリエステルであ
り、ε−カプロラクトンは全ポリエステル〔(A+B)
+C〕の総モルに対し、20モル%配合した共重合ポリ
エステル(相対粘度1.34、軟化点144℃)からな
る芯鞘複合比1/1(重量比)の芯鞘型で、繊度2デニ
ール、切断長51mmの複合繊維を用い、短繊維Aとバ
インダー繊維を混率70/30(重量%)で混綿した目
付400g/m2 の不織ウェブ(A層)を形成し、不織
ウェブ(B層)もまた目付400g/m2 とし、170
℃の熱風循環乾燥機中で熱処理を行った以外は実施例1
と同様にして実施例2の吸音材を得た。
【0042】実施例3 実施例1において、不織ウエブ(A層)の目付を525
g/m2 とし、不織ウエブ(B層)の目付を75g/m
2 とした以外は実施例1と同様にして厚み20mm、見
かけ密度0.03g/cm3 の実施例3の吸音材を得
た。
【0043】実施例4 実施例1において、短繊維Aとして繊度2デニール、丸
断面の短繊維を用い、短繊維Bとして繊度1.25デニ
ール、三角断面の短繊維を用い、不織ウエブ(A層)の
目付を400g/m2 とし、不織ウエブ(B層)の目付
を400g/m2 とした以外は実施例1と同様にして実
施例4の吸音材を得た。
【0044】実施例5 実施例1において、短繊維Bとバインダー繊維を混率4
0/60(重量%)で混綿した以外は実施例1と同様に
して実施例5の吸音材を得た。
【0045】実施例6 実施例1において、不織ウエブ(A層)の目付を800
g/m2 とし、不織ウエブ(B層)の目付を400g/
2 とした以外は実施例1と同様にして厚み30mm、
見かけ密度0.04g/cm3 の実施例6の吸音材を得
た。
【0046】比較例1 実施例1において、不織ウエブ(B層)を積層しなかっ
た以外は実施例1と同様にして厚み15mm、見かけ密
度0.04g/cm3 の比較例1の吸音材を得た。
【0047】比較例2 実施例1において、不織ウエブ(A層)の目付を800
g/m2 とし、不織ウエブ(B層)を積層しなかった以
外は実施例1と同様にして厚み20mm、見かけ密度
0.04g/cm3 の比較例2の吸音材を得た。
【0048】比較例3 実施例1において、短繊維A/短繊維B/バインダー繊
維=60/10/30(重量%)で混綿し、目付800
g/m2 の不織ウエブを用いた以外は実施例1と同様に
して比較例3の吸音材を得た。
【0049】比較例4 実施例1において、不織ウエブ(B層)の目付を120
0g/m2 とし、不織ウエブ(A層)を積層しなかった
以外は実施例1と同様にして厚み30mm、見かけ密度
0.04g/cm3 の吸音材の試作を試みたが、形態保
持性に劣るため、吸音材を得ることができなかった。
【0050】実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた
繊維集合体からなる吸音材について、垂直入射吸音率を
測定した結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】本発明の実施例1〜6の吸音材は、単層の
不織ウエブからなる比較例1および2の吸音材と比較し
て高い吸音効果を有する吸音材であった。
【0053】また、実施例5の吸音材と比較例3の吸音
材は、吸音材としての3種の短繊維の混率は同じである
にもかかわらず、吸音面側に繊度の小さい短繊維を集中
させて配した実施例5の吸音材は、単に3種の短繊維を
混綿した比較例3の吸音材と比較して高い吸音効果を有
する吸音材であった。
【0054】
【発明の効果】本発明の繊維集合体からなる吸音材は、
吸音面側に繊度の小さい繊維が配されているので、高い
吸音効果を発揮することになる。また、繊度の大きい繊
維が、形態保持性と剛性を有するため、吸音材は、低密
度でかつある程度の厚みを確保できるものとなって、厚
みによる吸音効果が向上し、軽量で吸音効果の高いもの
となる。
【0055】したがって、本発明の繊維集合体からなる
吸音材は、上記構成よりなるため、低目付であっても高
い吸音効果を発揮することが可能であることから、軽量
化及び低コスト化を必要とする自動車用として好適な吸
音材を提供することが可能である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2〜15デニールの短繊維Aとバインダー
    繊維とからなる不織ウエブ(A層)の片面に、0.2〜
    1.5デニールである短繊維Bとバインダー繊維とから
    なり、吸音面側に位置させる不織ウエブ(B層)が積層
    された繊維集合体からなり、バインダー繊維は短繊維A
    および短繊維Bより20℃以上低い融点または軟化点を
    有するバインダー成分を少なくとも繊維表面に有し、構
    成繊維同士はバインダー成分の溶融により接着されてお
    り、該繊維集合体の厚みが5mm以上、見かけ密度が
    0.01g/cm3 以上であることを特徴とする吸音
    材。
  2. 【請求項2】短繊維Aおよび短繊維Bがポリエチレンテ
    レフタレートからなり、バインダー繊維が芯部にポリエ
    チレンテレフタレート、鞘部にテレフタル酸/イソフタ
    ル酸が共重合比(モル比)60/40〜90/10で共
    重合された共重合ポリエステルを配した芯鞘型複合繊維
    であることを特徴とする請求項1記載の吸音材。
  3. 【請求項3】短繊維Aおよび短繊維Bがポリエチレンテ
    レフタレートからなり、バインダー繊維が芯部にポリエ
    チレンテレフタレート、鞘部に結晶融点が100℃以上
    のε−カプロラクトン共重合ポリエステルを配した芯鞘
    型複合繊維であることを特徴とする請求項1記載の吸音
    材。
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