JP3415230B2 - 射出成形方法 - Google Patents
射出成形方法Info
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- JP3415230B2 JP3415230B2 JP31419493A JP31419493A JP3415230B2 JP 3415230 B2 JP3415230 B2 JP 3415230B2 JP 31419493 A JP31419493 A JP 31419493A JP 31419493 A JP31419493 A JP 31419493A JP 3415230 B2 JP3415230 B2 JP 3415230B2
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- molding
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- Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーボンフィラーを含
有するポリカーボネイトの射出成形方法に関し、詳細に
は射出成形時の流動性を向上し、かつ成形時の機械的強
度、特に曲げ弾性率,曲げ強さの低下を低減する射出成
形方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来よりカーボンフィラー或いはガラス
フィラーを含有する分子量16000〜35000の中
流動性或いは低流動性ポリカーボネイトは分子量160
00未満のものでは得られない金属に近い機械的強度や
分子量35000より大きなものでは得られない流動性
をいかし、様々な成形品に用いられている。特にカーボ
ンフィラーを含有するポリカーボネイトは(以後、CF
PCという)、アルミニウム等の金属代替として用いら
れている。その一例としては、アルミニウムから代替え
されてカメラや顕微鏡に用いるレンズなどの光学素子を
保持する鏡筒があげられる。 【0003】中流動性或いは低流動性CFPCの成形方
法は成形樹脂温度260℃〜310℃,空気雰囲気で加
熱溶融して射出成形を行っており、金型構造としては二
次加工によるゲートカットの不要な構造が望まれ、ゲー
ト部を細くし、型開き時にゲートカットを行うピンゲー
ト,サブマリンゲートが用いられている。また、不活性
ガス雰囲気での成形方法としては、黄変等の着色防止に
用いたり、例えば特開平4−128019号公報にはメ
タクリル樹脂を用いて射出成形する際の異物量を低減す
るため用いる射出成形法が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、中流動性或
いは低流動性CFPCは成形する際にカーボンフィラー
を含有するため、含有されていないポリカーボネイト
(以後、PCという)に比べて流動性が悪くなる。特
に、成形物の形状に薄肉部を有する物やゲート部が細い
ピンゲート,サブマリンゲートにおいては流動抵抗が増
して金型内に樹脂が流れない等の不具合が発生する。 【0005】流動性を向上するため、成形時の圧力を高
めたり、加熱溶融時の樹脂温度を高くする等が考えられ
る。PCは他の熱可塑性樹脂と比較した場合、粘度の圧
力依存性が小さく、温度の依存性が高いため、成形樹脂
温度を高くすることが求められる。しかし、CFPCは
フィラーを含有していないPCやガラスフィラー含有P
Cに比べて熱酸化劣化による影響が大きく、機械的強
度、特にフィラーを含有していないPCやガラスフィラ
ー含有PCにはみられない曲げ弾性率,曲げ強さの急激
な低下が生じてしまう。 【0006】また、前記従来技術で行われている不活性
ガス雰囲気での射出成形は、外観上の不具合である黄変
や前記特開平4−128019合公報に記載されるよう
な透明樹脂における炭化異物の低減などである。 【0007】因って、本発明は前記従来技術における問
題点に鑑みてなされたもので、中流動性或いは低流動性
CFPCの射出成形時の流動性を向上し、かつ機械的強
度の低下を低減し、薄肉部を有する成形品または金型構
造にゲート部の細いピンゲート,サブマリンゲートを用
いたものでの射出成形を可能にする射出成形方法を提供
するものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、射出成形方法
に用いる樹脂としてカーボンフィラーを5容量%以上4
0容量%未満含有する分子量(MW)16000以上3
5000以下のポリカーボネイトを用いる。ガラスフィ
ラー等他のフィラーとの混合系でも有効であるが、効果
の大きさからカーボンフィラー単体のものが望ましい。
射出成形するに際し、不活性ガスを90容量%以上含む
不活性ガス雰囲気下で加熱溶融し、かつ成形樹脂温度を
320℃以上380℃未満と高く設定する。 【0009】不活性ガスを成形機のシリンダーおよび樹
脂供給部に供給し、不活性ガス雰囲気に置換する。不活
性ガスの体積占有比率としては90容量%でも効果は期
待できるが、望ましくは99容量%以上である。用いる
不活性ガスとしては窒素,ヘリウム,二酸化炭素および
アルゴン等が考えられるが、コスト面から窒素が望まし
い。加熱溶融する際の樹脂温度はシリンダーのノズル部
を含めたシリンダーの全ての部分の温度を高くすること
によって得られる。但し、前記樹脂供給部近辺では互の
ペレットが固まる”おこし状態”を防ぐために低く設定
してもよい。 【0010】 【作用】本発明は、カーボンフィラーを5容量%以上4
0容量%未満含有する分子量16000以上35000
以下のポリカーボネイトに適用される。これは、フィラ
ーを含有しないPCやガラスフィラー含有のみのPCに
本発明を用いてもその効果があまり期待できないためで
ある。 【0011】すなわち、フィラーを含有しないPCを空
気雰囲気で加熱溶融して分子量を若干低下させると機械
的強度、特に曲げ弾性率や曲げ強度が向上し、そしてこ
のようなPCにカーボンフィラー,ガラスフィラー等を
添加する際、樹脂との密着力を増すためフィラー表面を
アミノシラン等カップリング剤による処理が行われる。
しかし、カーボンフィラーの場合は主査骨格が炭素結合
であるのに対し、ガラスフィラーの場合は主査骨格がケ
イ素酸化物であり、主査骨格がケイ素酸化物であるガラ
スフィラーは、同じケイ素化合物であるアミノシラン等
のカップリング剤との密着性は良好であるのに対し、主
査骨格が炭素結合であるカーボンフィラーは前記カップ
リング剤との密着性は良好ではない。そのため熱酸化劣
化の影響はカーボンフィラーを含有するPCに比べて少
なくなり、その特性(即ち、ガラスフィラーのみを含有
するPC特性)はフィラーを含有しないPCに類似す
る。これに対し、CFPCはガラスフィラーを含有する
ポリカーボネイトに比べて熱酸化劣化の影響が大きく、
機械的強度の低下をまねくためである。 【0012】カーボンフィラーの含有率については、カ
ーボンフィラー5容量%未満含有のPCはその含有率が
低いために、流動性が良好であり、不活性ガス雰囲気で
樹脂温度を高める必要もなく、空気雰囲気下で樹脂温度
を高めたとしても、カップリング剤により処理したカー
ボンフィラーとのの密着性の影響は物性に影響を与える
程にはならない。これに対してカーボンフィラー40容
量%よりも多く含有するPCはその含有率が高いため
に、不活性ガス雰囲気で樹脂温度を高めても流動性の向
上は期待できない。 【0013】分子量においても、16000未満のもの
は流動性が良好であり、分子量が小さいためにカップリ
ング剤により処理したカーボンフィラーとの密着性の低
下にともなう機械的強度の低下、特に曲げ弾性率,曲げ
強度の影響が少ない。これに対して分子量35000よ
りも大きいPCは分子量が高く流動性を高めるために
は、成形樹脂温度を非常に高くする必要があり、この場
合には、極端な分子量の低下が発生したり、カップリン
グ剤により処理したカーボンフィラーとの密着不良が発
生したりして実用的ではない。成形樹脂温度は、320
℃未満では流動性の向上の効果は少なく、また、空気雰
囲気下でもカップリング剤により処理したカーボンフィ
ラーとの密着性は低下しない。これに対して、380℃
以上では不活性ガス雰囲気下でも瞬時に熱劣化が発生し
てしまい、実用上困難である。 【0014】 【実施例1】市販の分子量22000,カーボンフィラ
ー30容量%含有ポリカーボネイトをピンゲート(ゲー
ト径1mm)の構造を有する幅20mm×長さ100m
m×厚さ2mmのダンベル金型を用いて、射出成形機
(住友重機(株)製サイキャップSG50)のシリンダ
ー温度を最高温度で310℃から390℃まで10℃毎
に設定し、それぞれの温度で成形を行った。他の成形条
件は全て同一とした。 【0015】成形に際し、成形機樹脂供給部下部より窒
素ガスを毎分2リットルの流量で連続して放流し、シリ
ンダーおよび樹脂供給部内の空間部の窒素体積占有比率
を99容量%とした。そして、成形時の充填ピーク圧力
により流動性を評価し、充填ピーク圧力が小さいほど流
動性が良好と判断した。また、オートグラフ(島津製作
所(株)製)により曲げ弾性率および曲げ強さを測定
し、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
東ソー(株)製)にてスチレン換算分子量を分析して
評価を行った。結果を表1(抜粋)に示す。 【0016】 【表1】 【0017】また、比較例として、同条件で窒素ガスを
用いずに空気雰囲気で加熱溶融し、成形・評価を行った
結果を表2に示す。 【0018】 【表2】 【0019】表1および表2から理解できるように、空
気雰囲気下(表2)では成形樹脂温度310℃をこえた
あたりから曲げ弾性率,曲げ強さ,分子量の低下が認め
られ、360℃以上ではPCの分解のため成形不能にな
ったのに対し、窒素雰囲気下(表1)では360℃をこ
えても大きな低下は認められず、390℃をこえると極
端な低下が認められる。 【0020】 【実施例2】前記実施例1と同条件,同評価方法を用い
て、カーボンフィラー5容量%・分子量16000・P
C樹脂の成形,評価を行った。但し、成形樹脂温度は3
10℃から390℃まで10℃毎に行い、成形雰囲気は
前記実施例1と同様の流量にて窒素雰囲気下で行った。
結果を表3(抜粋)に示す。 【0021】 【表3】 【0022】 【実施例3】前記実施例1と同条件,同評価方法を用い
て、カーボンフィラー40容量%・分子量35000・
PC樹脂の成形,評価を行った。但し、成形樹脂温度は
310℃から390℃まで10℃毎に行い、成形雰囲気
は前記実施例1と同様の流量にて窒素雰囲気下で行っ
た。結果を表4(抜粋)に示す。 【0023】 【表4】 【0024】 【実施例4】前記実施例1と同条件,同評価方法を用い
て、カーボンフィラー20容量%+ガラスフィラー10
容量%・分子量22000・PC樹脂の成形,評価を行
った。但し、成形樹脂温度は310℃から390℃まで
10℃毎に行い、成形雰囲気は前記実施例1と同様の流
量にて窒素雰囲気下で行った。結果を表5(抜粋)に示
す。 【0025】 【表5】【0026】実施例2から実施例4において理解できる
ように、実施例1と同様に、窒素雰囲気下(表3,表
4,表5)では370℃を越えても大きな、曲げ弾性
率、曲げ強さ、分子量の低下は認められず、390℃を
越えると極端な低下が認められている。 【発明の効果】以上説明した様に、本発明に係る射出成
形方法によれば、カーボンフィラーを含有するポリカー
ボネイトの射出成形時における流動性を向上し、かつ成
形時の機械的強度、特に曲げ弾性率,曲げ強さを低減す
ることなく、薄肉部を有する成形品または金型構造にピ
ンゲート,サブマリンゲートを有する金型での射出成形
を可能とするものである。
有するポリカーボネイトの射出成形方法に関し、詳細に
は射出成形時の流動性を向上し、かつ成形時の機械的強
度、特に曲げ弾性率,曲げ強さの低下を低減する射出成
形方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来よりカーボンフィラー或いはガラス
フィラーを含有する分子量16000〜35000の中
流動性或いは低流動性ポリカーボネイトは分子量160
00未満のものでは得られない金属に近い機械的強度や
分子量35000より大きなものでは得られない流動性
をいかし、様々な成形品に用いられている。特にカーボ
ンフィラーを含有するポリカーボネイトは(以後、CF
PCという)、アルミニウム等の金属代替として用いら
れている。その一例としては、アルミニウムから代替え
されてカメラや顕微鏡に用いるレンズなどの光学素子を
保持する鏡筒があげられる。 【0003】中流動性或いは低流動性CFPCの成形方
法は成形樹脂温度260℃〜310℃,空気雰囲気で加
熱溶融して射出成形を行っており、金型構造としては二
次加工によるゲートカットの不要な構造が望まれ、ゲー
ト部を細くし、型開き時にゲートカットを行うピンゲー
ト,サブマリンゲートが用いられている。また、不活性
ガス雰囲気での成形方法としては、黄変等の着色防止に
用いたり、例えば特開平4−128019号公報にはメ
タクリル樹脂を用いて射出成形する際の異物量を低減す
るため用いる射出成形法が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、中流動性或
いは低流動性CFPCは成形する際にカーボンフィラー
を含有するため、含有されていないポリカーボネイト
(以後、PCという)に比べて流動性が悪くなる。特
に、成形物の形状に薄肉部を有する物やゲート部が細い
ピンゲート,サブマリンゲートにおいては流動抵抗が増
して金型内に樹脂が流れない等の不具合が発生する。 【0005】流動性を向上するため、成形時の圧力を高
めたり、加熱溶融時の樹脂温度を高くする等が考えられ
る。PCは他の熱可塑性樹脂と比較した場合、粘度の圧
力依存性が小さく、温度の依存性が高いため、成形樹脂
温度を高くすることが求められる。しかし、CFPCは
フィラーを含有していないPCやガラスフィラー含有P
Cに比べて熱酸化劣化による影響が大きく、機械的強
度、特にフィラーを含有していないPCやガラスフィラ
ー含有PCにはみられない曲げ弾性率,曲げ強さの急激
な低下が生じてしまう。 【0006】また、前記従来技術で行われている不活性
ガス雰囲気での射出成形は、外観上の不具合である黄変
や前記特開平4−128019合公報に記載されるよう
な透明樹脂における炭化異物の低減などである。 【0007】因って、本発明は前記従来技術における問
題点に鑑みてなされたもので、中流動性或いは低流動性
CFPCの射出成形時の流動性を向上し、かつ機械的強
度の低下を低減し、薄肉部を有する成形品または金型構
造にゲート部の細いピンゲート,サブマリンゲートを用
いたものでの射出成形を可能にする射出成形方法を提供
するものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、射出成形方法
に用いる樹脂としてカーボンフィラーを5容量%以上4
0容量%未満含有する分子量(MW)16000以上3
5000以下のポリカーボネイトを用いる。ガラスフィ
ラー等他のフィラーとの混合系でも有効であるが、効果
の大きさからカーボンフィラー単体のものが望ましい。
射出成形するに際し、不活性ガスを90容量%以上含む
不活性ガス雰囲気下で加熱溶融し、かつ成形樹脂温度を
320℃以上380℃未満と高く設定する。 【0009】不活性ガスを成形機のシリンダーおよび樹
脂供給部に供給し、不活性ガス雰囲気に置換する。不活
性ガスの体積占有比率としては90容量%でも効果は期
待できるが、望ましくは99容量%以上である。用いる
不活性ガスとしては窒素,ヘリウム,二酸化炭素および
アルゴン等が考えられるが、コスト面から窒素が望まし
い。加熱溶融する際の樹脂温度はシリンダーのノズル部
を含めたシリンダーの全ての部分の温度を高くすること
によって得られる。但し、前記樹脂供給部近辺では互の
ペレットが固まる”おこし状態”を防ぐために低く設定
してもよい。 【0010】 【作用】本発明は、カーボンフィラーを5容量%以上4
0容量%未満含有する分子量16000以上35000
以下のポリカーボネイトに適用される。これは、フィラ
ーを含有しないPCやガラスフィラー含有のみのPCに
本発明を用いてもその効果があまり期待できないためで
ある。 【0011】すなわち、フィラーを含有しないPCを空
気雰囲気で加熱溶融して分子量を若干低下させると機械
的強度、特に曲げ弾性率や曲げ強度が向上し、そしてこ
のようなPCにカーボンフィラー,ガラスフィラー等を
添加する際、樹脂との密着力を増すためフィラー表面を
アミノシラン等カップリング剤による処理が行われる。
しかし、カーボンフィラーの場合は主査骨格が炭素結合
であるのに対し、ガラスフィラーの場合は主査骨格がケ
イ素酸化物であり、主査骨格がケイ素酸化物であるガラ
スフィラーは、同じケイ素化合物であるアミノシラン等
のカップリング剤との密着性は良好であるのに対し、主
査骨格が炭素結合であるカーボンフィラーは前記カップ
リング剤との密着性は良好ではない。そのため熱酸化劣
化の影響はカーボンフィラーを含有するPCに比べて少
なくなり、その特性(即ち、ガラスフィラーのみを含有
するPC特性)はフィラーを含有しないPCに類似す
る。これに対し、CFPCはガラスフィラーを含有する
ポリカーボネイトに比べて熱酸化劣化の影響が大きく、
機械的強度の低下をまねくためである。 【0012】カーボンフィラーの含有率については、カ
ーボンフィラー5容量%未満含有のPCはその含有率が
低いために、流動性が良好であり、不活性ガス雰囲気で
樹脂温度を高める必要もなく、空気雰囲気下で樹脂温度
を高めたとしても、カップリング剤により処理したカー
ボンフィラーとのの密着性の影響は物性に影響を与える
程にはならない。これに対してカーボンフィラー40容
量%よりも多く含有するPCはその含有率が高いため
に、不活性ガス雰囲気で樹脂温度を高めても流動性の向
上は期待できない。 【0013】分子量においても、16000未満のもの
は流動性が良好であり、分子量が小さいためにカップリ
ング剤により処理したカーボンフィラーとの密着性の低
下にともなう機械的強度の低下、特に曲げ弾性率,曲げ
強度の影響が少ない。これに対して分子量35000よ
りも大きいPCは分子量が高く流動性を高めるために
は、成形樹脂温度を非常に高くする必要があり、この場
合には、極端な分子量の低下が発生したり、カップリン
グ剤により処理したカーボンフィラーとの密着不良が発
生したりして実用的ではない。成形樹脂温度は、320
℃未満では流動性の向上の効果は少なく、また、空気雰
囲気下でもカップリング剤により処理したカーボンフィ
ラーとの密着性は低下しない。これに対して、380℃
以上では不活性ガス雰囲気下でも瞬時に熱劣化が発生し
てしまい、実用上困難である。 【0014】 【実施例1】市販の分子量22000,カーボンフィラ
ー30容量%含有ポリカーボネイトをピンゲート(ゲー
ト径1mm)の構造を有する幅20mm×長さ100m
m×厚さ2mmのダンベル金型を用いて、射出成形機
(住友重機(株)製サイキャップSG50)のシリンダ
ー温度を最高温度で310℃から390℃まで10℃毎
に設定し、それぞれの温度で成形を行った。他の成形条
件は全て同一とした。 【0015】成形に際し、成形機樹脂供給部下部より窒
素ガスを毎分2リットルの流量で連続して放流し、シリ
ンダーおよび樹脂供給部内の空間部の窒素体積占有比率
を99容量%とした。そして、成形時の充填ピーク圧力
により流動性を評価し、充填ピーク圧力が小さいほど流
動性が良好と判断した。また、オートグラフ(島津製作
所(株)製)により曲げ弾性率および曲げ強さを測定
し、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
東ソー(株)製)にてスチレン換算分子量を分析して
評価を行った。結果を表1(抜粋)に示す。 【0016】 【表1】 【0017】また、比較例として、同条件で窒素ガスを
用いずに空気雰囲気で加熱溶融し、成形・評価を行った
結果を表2に示す。 【0018】 【表2】 【0019】表1および表2から理解できるように、空
気雰囲気下(表2)では成形樹脂温度310℃をこえた
あたりから曲げ弾性率,曲げ強さ,分子量の低下が認め
られ、360℃以上ではPCの分解のため成形不能にな
ったのに対し、窒素雰囲気下(表1)では360℃をこ
えても大きな低下は認められず、390℃をこえると極
端な低下が認められる。 【0020】 【実施例2】前記実施例1と同条件,同評価方法を用い
て、カーボンフィラー5容量%・分子量16000・P
C樹脂の成形,評価を行った。但し、成形樹脂温度は3
10℃から390℃まで10℃毎に行い、成形雰囲気は
前記実施例1と同様の流量にて窒素雰囲気下で行った。
結果を表3(抜粋)に示す。 【0021】 【表3】 【0022】 【実施例3】前記実施例1と同条件,同評価方法を用い
て、カーボンフィラー40容量%・分子量35000・
PC樹脂の成形,評価を行った。但し、成形樹脂温度は
310℃から390℃まで10℃毎に行い、成形雰囲気
は前記実施例1と同様の流量にて窒素雰囲気下で行っ
た。結果を表4(抜粋)に示す。 【0023】 【表4】 【0024】 【実施例4】前記実施例1と同条件,同評価方法を用い
て、カーボンフィラー20容量%+ガラスフィラー10
容量%・分子量22000・PC樹脂の成形,評価を行
った。但し、成形樹脂温度は310℃から390℃まで
10℃毎に行い、成形雰囲気は前記実施例1と同様の流
量にて窒素雰囲気下で行った。結果を表5(抜粋)に示
す。 【0025】 【表5】【0026】実施例2から実施例4において理解できる
ように、実施例1と同様に、窒素雰囲気下(表3,表
4,表5)では370℃を越えても大きな、曲げ弾性
率、曲げ強さ、分子量の低下は認められず、390℃を
越えると極端な低下が認められている。 【発明の効果】以上説明した様に、本発明に係る射出成
形方法によれば、カーボンフィラーを含有するポリカー
ボネイトの射出成形時における流動性を向上し、かつ成
形時の機械的強度、特に曲げ弾性率,曲げ強さを低減す
ることなく、薄肉部を有する成形品または金型構造にピ
ンゲート,サブマリンゲートを有する金型での射出成形
を可能とするものである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
B29K 507:04 B29K 507:04
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 カーボンフィラーを5容量%以上40容
量%未満含有する分子量16000以上35000以下
のポリカーボネイトの射出成形方法において、成形樹脂
温度を320℃以上380℃未満かつ不活性ガスを90
容量%以上含む不活性ガス雰囲気で加熱溶融することを
特徴とする射出成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31419493A JP3415230B2 (ja) | 1993-11-19 | 1993-11-19 | 射出成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31419493A JP3415230B2 (ja) | 1993-11-19 | 1993-11-19 | 射出成形方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07137093A JPH07137093A (ja) | 1995-05-30 |
JP3415230B2 true JP3415230B2 (ja) | 2003-06-09 |
Family
ID=18050406
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31419493A Expired - Fee Related JP3415230B2 (ja) | 1993-11-19 | 1993-11-19 | 射出成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3415230B2 (ja) |
-
1993
- 1993-11-19 JP JP31419493A patent/JP3415230B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07137093A (ja) | 1995-05-30 |
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