JP3414824B2 - クレーン車の分解組立作業装置 - Google Patents

クレーン車の分解組立作業装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、クレーン車の分解組
立作業に使用する分解組立作業装置に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】近時、クレーン車の大型化に伴い、大型
のクレーン車が公道をそのまま走行することが制限され
ている。 【0003】そのため、そのような大型のクレーン車の
場合、クレーン車の車体から旋回体や伸縮ブームを取り
外した状態に分解し、これらを別個にトレーラ等で公道
を移送し、目的地でこれらを組み立てて大型のクレーン
車としてクレーン作業が行なわれている。 【0004】ところで、このような大型のクレーン車を
構成する旋回体や伸縮ブーム等も重量物であるため、大
型のクレーン車について行なわれる前記分解組立作業も
容易な作業ではない。 【0005】このような観点から、従来、クレーン車か
ら分解組立のなされる旋回体や伸縮ブームにジャッキ装
置を付設し、このジャッキ装置を作動させることによ
り、旋回体等のクレーン車に対する分解組立作業性を改
善するものがある(例えば、特公昭61-4756号公報参
照)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、旋回体
等にジャッキ装置を設置した従来のものにおいては、旋
回体等がジャッキ装置により上方に持ち上げられること
によりクレーン車の分解作業が容易になるものの、分解
された旋回体等をクレーン車の車体に対して組み付ける
場合には、前記ジャッキ装置により持ち上げられた状態
の旋回体等の位置に対してクレーン車の車体をきわめて
正確に位置させなければ機械的な連結を行なうことがで
きず、車体の出し入れを何度も行い,試行錯誤のうえで
車体を機械的に連結が可能となる位置に位置させるもの
であり、分解組立作業性として十分なものではない。 【0007】また、このようなジャッキ装置を有する従
来の場合には、前記のように旋回体等にジャッキ装置が
付設されているので、ジャッキ装置を保持したままクレ
ーン作業を行なうものであり、クレーン作業の如何によ
ってはその保持したジャッキ装置がその作業の邪魔にな
るおそれもあった。 【0008】この発明は、このような事情に基づいてな
されたもので、クレーン車の分解作業はもちろん,組立
作業も容易に行なうことができ、クレーン車の分解組立
作業性をきわめて良好なものとするとともに、クレーン
作業の如何を問わずその作業の妨げとなることのない,
クレーン車の分解組立作業装置を提供することを目的と
する。 【0009】 【課題を解決するための手段】クレーン車の上方でその
前後方向に向けて配置される梁部材を有し、当該梁部材
の前後左右4個所に当該梁部材を地上から支持する伸縮
自在な支持部材を設け、前記梁部材には油圧シリンダを
用いた巻き上げ装置を配置し、当該巻き上げ装置からの
ワイヤを前記梁部材に設けたシーブを支点として垂下
し、当該ワイヤ先端に連結した荷物係合装置によりクレ
ーン車の旋回体または伸縮ブームと係合可能とし、さら
に前記シーブを前記梁部材の直交方向に水平移動可能と
したことを特徴とする。 【0010】 【作用】請求項1記載の発明によれば、分解組立作業装
置が巻き上げ装置を有しているので分解作業が容易であ
り、とくに、前記巻き上げ装置の荷物係合装置を支持す
支点であるシーブが車幅方向に変位可能であるので、
梁部材の方向に沿って入した車体の位置が左右にずれ
た場合においても、車体が進退を繰り返して車幅方向の
位置調整を行なわずとも、各支点位置を調整することに
より荷物係合装置を車体の所要位置に正確に合致させる
ことができる。 【0011】したがって、分解作業時はもちろん,従来
とくに煩雑であった組立作業時における車体の位置合わ
せが容易となり、クレーン車の分解組立作業の作業性が
向上する。 【0012】そのうえ、前記分解組立作業装置において
は、この装置がクレーン車自体とは独立に構成されるの
で、組立後のクレーン作業において、前記装置がその作
業の支障となることがない。 【0013】 【実施例】以下、図面に示す実施例によりこの発明を説
明する。 【0014】まず、図4によりクレーン車の全体概略を
説明すると、1は大型のクレーン車を示し、2は下部走
行体としてのクレーン車の車体(以下、単に車体とい
う)、3は旋回体である。 【0015】車体2は自走可能に構成されており、この
車体2上には例えばバヨネット結合式に分離可能とした
旋回輪4を介して上部旋回体3が着脱可能に装着され、
旋回体3は車体2に対して旋回可能に装着されている。 【0016】旋回体3は、伸縮および起伏自在に構成さ
れた伸縮ブーム5と、ウインチ6とを有するものであっ
て、伸縮ブーム5はその枢軸部5aにおいて旋回体3に
分解可能に装着されたものである。 【0017】そして、旋回体3のウインチ6から延在さ
れたワイヤロープ7は伸縮ブーム5の先端部に設置され
たシーブ8を経由して垂下され、そのワイヤロープ7の
先端部には吊り荷を吊り下げるフック9が設置され所要
のクレーン作業が行えるように構成されている。 【0018】かかるクレーン車1は大型のものであるの
で、このクレーン車1が公道を経て移送して目的地でク
レーン作業を行なう場合には、クレーン車1を車体2と
旋回体3と伸縮ブーム5との3つの部分に分解した状態
でこれらを別個にトレーラ等により公道を移送し、目的
地でこれらを組み立ててクレーン作業に使用するもので
ある。 【0019】次に、本願発明にかかる分解組立作業装置
21について説明する。 【0020】分解組立作業装置21は、装置の主要部で
ある梁部材22と、この梁部材22を空中の所要の高さ
に支持する支持脚23とを有するものである(図2参
照)。 【0021】2本で一対とした梁部材22は、図3に示
すように、これらの梁部材22の両端部に直交方向でそ
れぞれ両側に向けて開口する外筒部24が形成されてい
る。 【0022】そして、これらの合計4つの外筒部24に
は、それぞれ内筒25が収容可能となっており、これら
の内筒25は油圧シリンダ26の伸縮によりテレスコピ
ックに伸縮駆動できるようになっている。図3において
は梁部材22の一端側の部分のみを断面して示すが他端
側も同様に構成されている。 【0023】なお、この実施例において、内筒25を進
退駆動する前記油圧シリンダ26は単一のシリンダの両
端部からそれぞれピストンロッドを突出させたものであ
って、両側のピストンロッドおよびピストンを各内筒2
5毎に独立としてシリンダ内に配置し、これらのピスト
ン間の油室に圧油を供給することにより、両側のピスト
ンロッドを同様に伸長駆動させるものである。これは、
前記外筒24の長さを短く設定しつつ、内筒25の伸縮
長さを大きく確保するためである。 【0024】そして、このように前記梁部材22の前後
左右の4箇所に配置された各内筒25の先端部には、下
方に向けて延在する支持脚23がそれぞれ形成されてい
る(図2においては一側のみを図示する)。 【0025】この支持脚23は、この発明でいう支持部
材に該当するものであって、支持脚23を地上に設置し
て前記梁部材22を空中の所要の高さの位置に支持する
ものである。 【0026】支持脚23は、前記内筒25の先端に下方
に向けて一体に形成された支持脚外筒31と支持脚内筒
32とを有し、支持脚外筒31内に支持脚内筒32を収
容可能としてテレスコピックに伸縮可能としたものであ
る。 【0027】そして、支持脚外筒31の上端部と支持脚
内筒の下端部との間に油圧シリンダ33を介装して、こ
の油圧シリンダ33を伸縮駆動することにより支持脚2
3が伸縮するようになっている。 【0028】このような支持脚23や外筒24等を有す
る,分解組立作業装置21は、前記内筒25を外筒24
内に格納し、支持脚23を縮小した状態では、トレーラ
等の搬送車34の荷台の車幅寸法等より小さくなって搬
送車34の荷台上に搭載して公道を移送することが可能
である。 【0029】逆に、前記内筒25を外筒24から張り出
し,支持脚23を伸長させた状態では搬送車34の荷台
やクレーン車1の車体2の車幅寸法等より大きくなり、
その状態では、前記梁部材22は搬送車34やクレーン
の車体2の上方に車両の進行方向に向けて所定の高
さで配置された状態となる。 【0030】そして、前記梁部材22には、第1および
第2の巻き上げ装置35,36が設置されている(図3
参照)。 【0031】これらの巻き上げ装置35,36は、同様
に構成したものであるので、以下においては主に第1の
巻き上げ装置35のみについて説明し、第2の巻き上げ
装置36については図中に同一の参照番号を付与して重
複した説明を省略する。 【0032】第1の巻き上げ装置35は、駆動源として
の駆動用油圧シリンダ37と、この駆動用油圧シリンダ
37のピストンロッドの先端に設置されたブラケット3
8から延在するワイヤロープ41a,41bを有し(図
2および図3参照)、各ワイヤロープ41a,41bの
先端部にはフック等の荷物係合装置42がそれぞれ設置
されている。 【0033】なお、図2において49は搭載用支持金具
を示し、搬送状態において分解組立作業装置21を搬送
車34の荷台上に載置した旋回体3上に搭載した場合に
その荷重を支持するものである。 【0034】そして、前記各ワイヤロープ41a,41
bは、前記駆動用油圧シリンダ37のピストンロッド側
に設置された前記ブラケット38から前記駆動用油圧シ
リンダ37に沿って配設され、シリンダ側の端部の近傍
に設置された第1のシーブ43を経由させて、前記駆動
用油圧シリンダ37のピストンロッド側に向けて大きく
折返して第2のシーブ44(この発明の支点に該当す
る)を経由させ、これらの第2のシーブ44から荷物係
合装置42a,42bを有するワイヤロープ41a,4
1bの先端側を垂下させたものである。 【0035】このようにして、前記第1シーブ43と第
2のシーブ44との間隔寸法を大きく設定してあるのは
次のような理由による。すなわち、後述するように第2
のシーブ44は梁部材22と直交方向に変位可能となっ
ており、第2のシーブ44がそのように変位した場合に
おいて、ワイヤロープ41a,41bと梁部材22の方
向とのなす角度を小さくすることにより、第1のシーブ
43と第2のシーブ44との間に張設されるワイヤロー
プ41a,41bの長さの変動を少なくし、これらの各
ワイヤロープ41a,41bの先端部に設置された荷物
係合装置42の高さが変化するのを軽減するためであ
る。 【0036】そして、図1に示すように、前記第2のシ
ーブ44は、梁部材22に平軸受45を介して梁部材2
2と直交方向に向けて摺動可能に支持された支軸46の
両端に回転可能に装着されており、前記支軸46は梁部
材22と直交方向に向けて伸縮可能とした変位用油圧シ
リンダ47のピストンロッドに連結金具48で接続され
ている。 【0037】したがって、前記変位用油圧シリンダ47
の伸縮(図1中の矢印参照)により、前記支軸46は進
退変位し、これに連れて支軸46の両端に設置された各
第2のシーブ44は前記梁部材22と直交方向,すなわ
ち車幅方向に変位して位置する。 【0038】これにより、これらの第2のシーブ44を
支点として垂下される各荷物係合装置42a,42bの
位置は車幅方向に適宜調整することができる。 【0039】そのため、前記梁部材22に沿って前記支
持脚23の間に侵入した搬送車34やクレーン車1の車
体2が車幅方向に幾分位置がずれている場合には、前記
変位用油圧シリンダ47を適宜駆動して、前記第2のシ
ーブ44の位置調整を行なえば車体2等の出し入れなし
に前記分解組立作業に直ちに着手することができる。 【0040】この実施例においては支軸46を変位用油
圧シリンダ47により変位させることとしたが、本願発
明の実施に際しては、これに限らず、油圧モータや電動
モータを用いてラック・ピニオン機構等を介して前記支
軸46を変位させることとしてもよい。 【0041】なお、図1において、仮想線Aは支軸46
を一端側の限界位置にまで変位させた場合の第2のシー
ブ44の位置を示し、仮想線Bは支軸46を他端側の限
界位置にまで変位させた場合の第2のシーブ44の位置
を示すものである。 【0042】このように構成された分解組立作業装置2
1を用いてのクレーン車1の組立作業は、図5から図9
に示すようである。なお、これらの図5から図9におい
ては作業の概略を図示するものであるので、これらの図
中においてはワイヤロープや構造の細部についての図示
を省略する。また、クレーン車1の分解作業は、以下に
説明する組立作業とは逆手順により行なうものであるの
で、その説明も省略する。 【0043】まず、図5に示すように、分解されたクレ
ーン車1の旋回体3とこの旋回体3上に分解組立作業装
置21を搭載した搬送車34をクレーン車1の目的地の
組立現場に位置させる。 【0044】この後、前記油圧シリンダ26,33に圧
油を供給して外筒24内から内筒25を伸長させるとと
もに前記各支持脚23を伸長させて、梁部材22が所定
の高さとなるように分解組立作業装置21を地上に設置
する。 【0045】その後、第1の巻き上げ装置35および第
2の巻き上げ装置36の各ワイヤロープ41a,41b
のそれぞれの先端に設置された合計4つの荷物係合装置
42,42を旋回体3に形成された係合部に係合させて
上方に少しつり上げて、荷重をワイヤーロープ41a,
41bに負担させた後、搭載用支持金具49を外して所
定の高さに吊上げ、搬送車34を分解組立作業装置21
から脱出させる(図6参照)。 【0046】その後、この分解組立作業装置21にクレ
ーン車1の車体2を前記梁部材22に沿って侵入させ、
旋回輪4の位置を合わせて旋回体3の車体2への組み付
け作業を行なう(図7参照)。 【0047】この場合に侵入した車体2が車幅方向に幾
分位置がずれていても、前記変位用油圧シリンダ47を
適宜駆動して、前記第2のシーブ44の位置調整を行な
えば直ちに分解組立作業に着手することができる。 【0048】このようにして旋回体3を組み付けた車体
2は、この後、分解組立作業装置21から脱出させ、次
に分解組立作業装置21に伸縮ブーム5を搭載した搬送
車34を侵入させ(図8参照)、前記旋回体3の場合と
同様にして伸縮ブーム5を分解組立作業装置21により
つり上げる。 【0049】この後、伸縮ブーム5を搬送した搬送車3
4を分解組立作業装置21から脱出させ、前記旋回体3
の組み付けられた車体2を分解組立作業装置21に
させて、前記した旋回体3の組み付けと同様にして伸縮
ブーム5の旋回体3への組み付け作業が行なわれ、クレ
ーン車1の組立作業が完了する(図9参照)。 【0050】以上のようなクレーン車1の組立作業から
あきらかなように、前記分解組立作業装置21において
は、組み付けるべき一方が車両上であるので車両の前後
方向での位置ずれは車両の前後移動で調整することと
し、車両の移動が困難な車幅方向の位置ずれに対しては
前記分解組立作業装置21により調整することとしたも
のである。 【0051】したがって、比較的簡単な構造の分解組立
作業装置21でありながら、結合すべき双方の位置を正
確に合致させることができる。 【0052】そして、この分解組立作業装置21はクレ
ーン車1の旋回体3や伸縮ブーム5とは独立に構成され
るので、組立後のクレーン車1がそのクレーン作業の際
に邪魔になることもない。 【0053】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、分解組立作業装置が巻き上げ装置を有して
いるので分解作業が容易であり、とくに、前記巻き上げ
装置の荷物係合装置を支持する支点が車幅方向に変位可
能であるので、梁部材の方向に沿って侵入した車体の位
置が左右にずれた場合においても、車体が進退を繰り返
して車幅方向の位置調整を行なわずとも、各支点位置を
調整することにより荷物係合装置を車体の所要位置に正
確に合致させることができる。 【0054】したがって、分解作業時はもちろん,従来
とくに煩雑であった組立作業時における車体の位置合わ
せが容易となり、クレーン車の分解組立作業の作業性が
向上する。 【0055】そのうえ、前記分解組立作業装置において
は、この装置がクレーン車自体とは独立に構成されるの
で、組立後のクレーン作業において、前記装置がその作
業の支障となることがない。
【図面の簡単な説明】 【図1】図2のI−I線に沿う断面図である。 【図2】分解組立作業装置の一部を破断した側面図であ
る。 【図3】分解組立作業装置の一部を破断した上面図であ
る。 【図4】クレーン車の全体概略側面図である。 【図5】分解組立作業装置の搬送状態の説明図である。 【図6】分解組立作業装置での旋回体のつり上げ状態の
説明図である。 【図7】旋回体の車体への組み付け作業の説明図であ
る。 【図8】分解組立作業装置での伸縮ブームのつり上げ作
業の説明図である。 【図9】旋回体を組み付けた車体への伸縮ブームの組み
付け作業の説明図である。 【符号の説明】 1 クレーン車 2 車体 22 梁部材 23 支持脚(支持部材) 35 第1の巻き上げ装置 36 第2の巻き上げ装置 42a,42b 荷物係合装置 44 第2のシーブ(支点)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 クレーン車の上方でその前後方向に向け
    て配置される梁部材を有し、当該梁部材の前後左右4個
    所に当該梁部材を地上から支持する伸縮自在な支持部材
    を設け、前記梁部材には油圧シリンダを用いた巻き上げ
    装置を配置し、当該巻き上げ装置からのワイヤを前記梁
    部材に設けたシーブを支点として垂下し、当該ワイヤ先
    端に連結した荷物係合装置によりクレーン車の旋回体ま
    たは伸縮ブームと係合可能とし、さらに前記シーブを前
    記梁部材の直交方向に水平移動可能としたことを特徴と
    するクレーン車の分解組立作業装置。
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