JP3414660B2 - ジャイロトロン装置 - Google Patents

ジャイロトロン装置

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JP3414660B2
JP3414660B2 JP00074199A JP74199A JP3414660B2 JP 3414660 B2 JP3414660 B2 JP 3414660B2 JP 00074199 A JP00074199 A JP 00074199A JP 74199 A JP74199 A JP 74199A JP 3414660 B2 JP3414660 B2 JP 3414660B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ジャイロトロン
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は、特開平56−102045号公
報で開示されたジャイロトロン装置である。図8におい
て、1はジャイロトロン管であって、電子銃2とキャビ
ティ3とコレクタ4と出力窓5とを軸方向の一端側より
他端側に順に備える。電子銃2はカソード2aと電子放
出部2bと第1アノード2cと第2アノード2dとより
構成される。電子銃2と出力窓5との間におけるジャイ
ロトロン管1の内部空間は真空雰囲気である。6は電子
銃2より真空中に放出された電子ビーム、7は電子銃2
側でジャイロトロン管1の周囲に配置された電子銃電磁
石、8はキャビティ3側でジャイロトロン管1の周囲に
配置された主電磁石、9は電子ビーム6より放出された
高周波である。
【0003】次に、前記ジャイロトロン装置の動作を説
明する。電子銃2の電子放出部2bから放出された電子
ビーム6は、カソード2aと第1アノード2cとの間の
電界により加速されるとともに、電子銃電磁石7により
第2アノード2d側に行くに従い徐々に強くなる形態に
発生された磁場中を旋回運動しながら軸方向にドリフト
する。さらに、電子ビーム6は主電磁石8の強力な磁場
によって圧縮される。この圧縮により、電子ビーム6
は、主電磁石8による磁場に対する垂直方向速度を増大
させ、平行方向速度を減少させながら、キャビティ3に
入る。主電磁石8が発生する軸方向磁場によってサイク
ロトロン運動している電子ビーム6は、円筒状空洞であ
るキャビティ3における固有モードの高周波電磁場と相
互作用し、電子ビーム6の磁場に対する垂直方向の速度
成分によるエネルギーの一部が高周波エネルギーに変換
される。キャビティ3における相互作用を終えた電子ビ
ーム6は、コレクタ4側に行くに従い徐々に弱くなる磁
場中を旋回運動しながらコレクタ4に回収される。そし
て、キャビティ3で励起された高周波9は、出力窓5を
透過して外部に取り出される。
【0004】キャビティ3における固有モードの電磁場
の共振角周波数をω、固有モードの軸方向波数をKz、
キャビティ3における電子の軸方向速度をVz、高調波
次数S、相対的効果を考慮した電子のサイクロトロン角
周波数をΩとすると、キャビティ3において電子ビー
ム6のエネルギーが高周波のエネルギーに効率良く変換
されるのは、次式(1)が成立する時である。 ω−Kz・Vz>S・Ω…………(1) Ωは電子の電荷をe(絶対値)、キャビティ3での軸
方向磁束密度をB、相対的計数をγ、電子の静止質量を
とすると、次式(2)で与えられる。 Ω=e・B/γ・M……………(2) このように、ジャイロトロン装置では、磁場が本質的な
役割を果たすので、磁場の形状により、ジャイロトロン
管1の大きさとジャイロトロン装置の大きさとが決定さ
れる。電子銃電磁石7や主電磁石8で発生した磁場分布
は、図9に示すように、Bz=0にならず、Bz=へ長
く尾を引いて漸近する。このため、コレクタ4が長くな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のジャイロトロン
装置は以上のように構成されており、電子銃電磁石7や
主電磁石8には超伝導電磁石または常電導電磁石又はそ
の両方を用いた電磁石が使用されており、電子ビーム6
の加速電圧に応じて電磁石に流す電流を調整することに
より、磁束密度を最適値に合せていた。前記(1)式、
(2)式から分かるように、高周波数の発振を得るに
は、キャビティ3内で高磁場が必要である。例えば30
GHz程度以上の発振を得る場合は、主電磁石8には超
伝導電磁石が利用されることが多い。しかし、超伝導電
磁石は一般には高価であり、励磁するためには液体ヘリ
ウムなどの冷媒を供給するか、冷凍機を使って極低温ま
で電磁石を冷却しなければならないなど、手間がかか
り、また、磁場を急激に変化させることが難しいという
問題があった。また、磁石などが大きくなるため、ジャ
イロトロン装置全体が大型になるという問題があった。
【0006】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、小型で、ランニングコストを極
めて安くすると共に、操作性を容易にし信頼性を向上す
ることができるジャイロトロン装置を得ることを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るジ
ャイロトロン装置は、電子銃、キャビティ、コレクタ、
出力窓が一端より他端側に順に設けられたジャイロトロ
ン管と、このジャイロトロン管を同心状に囲む筒状に形
成されてジャイロトロン管の動作に必要な軸方向磁場を
発生する永久磁石と、この永久磁石とジャイロトロン管
との間に配置されて永久磁石の磁場を補正する電磁石
と、コレクタに対する冷却構造とを備える一方、この冷
却構造がジャイロトロン管と永久磁石との間に円筒状に
設けられるとともに周方向に2n分割されており、この
2n分割された冷却構造は冷媒をn回往復させる構造で
あることを特徴とする。
【0008】
【0009】請求項の発明に係るジャイロトロン装置
は、請求項に記載の冷却構造が水冷式であることを特
徴とする。
【0010】請求項3の発明に係るジャイロトロン装置
は、請求項1に記載のジャイロトロン管を挿入する永久
磁石の軸上空間部の直径電子銃部側が大きく、それ以
が小さいことを特徴とする。
【0011】請求項4の発明に係るジャイロトロン装置
は、請求項1に記載のジャイロトロン管を挿入する永久
磁石の軸上空間部の直径は電子銃部側が小さく、それ以
外が大きい一方、当該小さな直径の軸上空間部と電子銃
との間には絶縁材料を設けたことを特徴とする。
【0012】 請求項5の発明に係るジャイロトロン装置
は、請求項1に記載の永久磁石がコレクタ側の端部に磁
性フランジを有し、他端部に磁性フランジを備えない一
方、この永久磁石の磁性フランジがジャイロトロン管に
おけるコレクタの中間外周面より環状に突設された非磁
性フランジにボルトにより固定されたことで、永久磁石
がジャイロトロン管の周囲に同心状に取り付けられたこ
とを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1〜図2はこの
発明の実施の形態1を示し、図1はジャイロトロン装置
を軸方向に切断した断面図、図2は永久磁石群20を軸
方向に切断した断面図であるなお、図2ではN,Sが記
載されている部分より断面線を省略して図の簡素化を図
った。
【0014】図1において、14はジャイロトロン管1
に形成されたアノードである。19はジャイロトロン管
1の電子銃2とコレクタ4の中間部までの周囲を覆う筒
状の永久磁石ユニットであって、ジャイロトロン管1の
軸方向全長にわたり、ジャイロトロン管1の発振動作に
必要な磁場の大部分を発生する。20は永久磁石ユニッ
ト19の主体である円筒形の永久磁石群、21は永久磁
石ユニット19にジャイロトロン管1を挿入するために
形成された軸上空間部であって、その直径は例えば85
mm以下である。22は永久磁石ユニット19の両端部
に設けられた鉄のような磁性材料よりなる磁性フランジ
である。23はジャイロトロン管1のコレクタ4の中間
外周面より環状に突設された銅またはステンレスのよう
な非磁性材料よりなる非磁性フランジである。そして、
ジャイロトロン管1が軸上空間部21に挿入され、永久
磁石ユニット19の一端の磁性フランジ22が非磁性フ
ランジ23に図外のボルトにより固定されることによ
り、永久磁石ユニット19がジャイロトロン管1の周囲
に同心状に取付けられる。24はキャビティ3に磁場強
度のフラット部(図6参照)を作るための隙間であっ
て、永久磁石ユニット19の軸上で相対峙した一対の永
久磁石群20の間に設定される。
【0015】30は永久磁石ユニット19の磁場を補正
する第1電磁石であって、ジャイロトロン管1と永久磁
石ユニット19との間においてキャビティ3の付近に配
置される。そして、永久磁石ユニット19と電磁石30
との両方がジャイロトロン管1の発振動作に必要な軸方
向の磁束密度をキャビティ3の内部に発生する。50は
永久磁石ユニット19の磁場を補正する第2電磁石であ
り、ジャイロトロン管1と永久磁石ユニット19との間
において電子放出部2bの付近に配置され、永久磁石ユ
ニット19とともに電子銃2の動作に必要な軸方向磁束
密度を電子放出部2bの付近に発生する。
【0016】31はコレクタ4を冷却する冷却構造であ
って、軸上空間部21において第1電磁石30と非磁性
フランジ23との間におけるジャイロトロン管1の周囲
を密封状に覆う通路を形成する筒状の通路ケーシング3
2と、通路ケーシング32の開口部に密封状に結合され
た非磁性フランジ23と、ジャイロトロン管1の外周面
とにより区画形成される。33は冷却構造31に冷媒と
しての水を供給する入口33は冷却構造31からの水を
外部に排出する出口である。入口33および出口34は
永久磁石ユニット19より外側に突出するように非磁性
フランジ23に設けられる。
【0017】永久磁石群20は、例えば、雑誌「Intern
ational Journal of Infrared andMillimeter Waves」
(Vol.14,No.4,1993,P.783)に示されるような方法によ
り軸方向磁場を発生しても良いし、図2のa図に示す台
形状の磁石切片25を複数個各々径方向に磁化した後に
ドーナツ状にエポキシ樹脂で組み合わせることにより、
図2のb図に示す外部形状及び内部形状が多角形または
円形で磁化方向が略径方向の筒状磁石26a〜26hを
構成し、各筒状磁石26a〜26hを軸方向に複数個配
置して筒状の群を一体に形成する構成でも良い。この筒
状の永久磁石群20は、鉄のような磁性覆体が外周面に
付けられるとともに、磁性フランジ22が両端部に付け
られることにより、永久磁石群20の磁力線が外周方向
に漏れないような筒状の永久磁石ユニット19を形成す
る。なお、円筒状における中心である軸Z上で相対峙す
る一対の永久磁石群20のうちの一方は筒状磁石26a
〜26dの集合に相当し、他方の永久磁石20は筒状磁
石26e〜26hの集合である。
【0018】実施の形態1の動作について説明する。例
えば、電子ビーム6の加速電圧がVb=20kVのと
き、γ=1.04であり、2倍高調波発振で周波数28
GHzの発振を得るためには(1)式でS=2であるか
ら、(1)式と(2)式とより、キャビティ3において
約5.2kGより少し小さい程度の軸方向磁束密度が必
要である。そのうちの例えば5kGを永久磁石ユニット
19によって発生させ、残りの約0.2kGを第1・第
2電磁石30,50で発生させれば、第1・第2電磁石
30,50の外側直径及び軸上空間部21の直径を小さ
くすることができ、励磁電源は小型でもよく、消費電力
は少なくて済む。
【0019】電子銃2の電子放出部2bから放出される
電子ビーム6の特性は、電子ビーム6の加速電圧やビー
ム電流値の他に、電子銃2の付近での磁束密度によって
も変化し、キャビティ3において発生する高周波出力に
微妙な影響を及ぼすことは周知である。したがって、実
施の形態1では、永久磁石ユニット19以外に電磁石5
0も設置したので、ジャイロトロン管1の電子銃2の磁
束密度も微調整できる。
【0020】また、特開平9−190770号で開示さ
れたように、ジャイロトロン管の外側に電磁石に代えて
永久磁石ユニットを配置したジャイロトロン装置は知ら
れているが、係る従来の永久磁石ユニットで前記約5.
2kGの軸方向磁束密度の全部を発生する場合、軸上空
間部の直径は100mm以上必要である。そして、直径
100mm以上の軸上空間部に約5k.2Gの磁場を発
生させるのは、例えば、永久磁石群にネオジウム系磁石
を用いた場合、永久磁石群の重さは約200kg程度と
なり、永久磁石ユニット19の重さは600kgを超え
るものになる。これに対し、実施の形態1のように、永
久磁石ユニット19と第1・第2電磁石30,50とを
併用し、永久磁石ユニット19が5kGを発生し、第1
・第2電磁石30,50が約0.2kGを発生するよう
にすれば、軸上空間部21が直径85mm以下に設定で
きる。このため、実施の形態1では、永久磁石群20に
ネオジウム系磁石を用いた場合でも、永久磁石群20の
重さは100kg程度であり、永久磁石ユニット19の
重さでも300kg以下にすることができ、ジャイロト
ロン装置を非常に小型化かつ軽量化することができた。
【0021】また、実施の形態1では、冷却構造31が
ジャイロトロン管1と永久磁石ユニット19との間に配
置され、冷却構造31に対する水の入口33および出口
34が永久磁石ユニット19より外側に設けられたの
で、軸上空間部21の直径を可及的に小さくして、ジャ
イロトロン装置全体の小型化が図れた。
【0022】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形
態2に係る冷却構造31Aを図1のA−A線に沿い切断
した断面図である。この実施の形態2は、冷却構造31
Aが円周上に2n分割(nは自然数)されたことにより
小型でコレクタ4を効率良く冷却するようにした特徴が
ある。例えば、n=1のとき、冷却構造31Aは円周上
に2分割される。
【0023】図3のa図は、ジャイロトロン管1の外周
面と通路ケーシング32の内周面との間に2枚の仕切り
36を入れ、水が冷却構造31Aを上下に1回往復する
形態である。そして、入口33より入った水は、冷却構
造31Aの第1通路35aを電子銃2の側に流れながら
コレクタ4の1/2面を冷却した後、冷却構造31Aの
第2通路35bに回り込む。この水は、第2通路35b
を出力窓5の側に流れながらコレクタ4の残りの面を冷
却した後、出口34より冷却構造31Aの外部に出る。
【0024】図3のb図は、ジャイロトロン管1の外周
面と通路ケーシング32の内周面との間に4枚の仕切り
36を入れ、水が冷却構造31Aを上下に2回往復する
形態である。そして、入口33より入った水は、冷却構
造31Aの第1通路35cを電子銃2の側に流れながら
コレクタ4の1/4面を冷却した後、冷却構造31Aの
第2通路35dに回り込む。引き続き、水は、第2通路
35dを出力窓5の側に流れながらコレクタ4の上記と
は別の1/4面を冷却した後、冷却構造31Aの第3通
路35eに回り込む。それから、水は、冷却構造31A
の第3通路35eを電子銃2の側に流れながらコレクタ
4の上記それぞれとは別の1/4面を冷却した後、冷却
構造31Aの第4通路35fに回り込む。さらに、水
は、第4通路35fを出力窓5の側に流れながらコレク
タ4の残りの1/4面を冷却した後、出口34より冷却
構造31Aの外部に出る。
【0025】要するに、実施の形態2によれば、水が2
n分割された冷却構造31Aをn回往復する1往復あた
り、コレクタ4の1/n面を冷却する。こうすることに
より、永久磁石ユニット19の軸上空間部21を広げる
ことなく、コレクタ4を効率良く冷却することができ
た。なお、図3において、仕切り36は第1〜第3通路
35a〜35fに水を通すための開口を備えることは勿
論である。また、電子銃2、コレクタ4、入口33、出
口34は図1を参照のこと。
【0026】上記実施の形態1,2ではコレクタ4を水
で冷却したが、前記冷却構造31,31Aと入口33お
よび出口34を用いて、水以外の流体冷媒または気体冷
媒または空気によりコレクタ4を冷却することも可能で
ある。しかし、水を用いた場合は、それ以外の冷媒を使
用した場合に比べ、冷却性能とランニングコストとが最
良である。
【0027】実施の形態3.実施の形態1では永久磁石
ユニット19の軸上空間部21の直径を軸方向にわたり
同一としたが、場所により、図4のように軸上空間部の
直径を変更しても良い。図4はこの発明の実施の形態3
に係るジャイロトロン装置を軸方向に切断した断面図で
ある。図4において、ジャイロトロン管1の電子銃2側
における軸上空間部21Aの直径は85mm、キャビテ
ィ3とコレクタ4との側における軸上空間部21Bの直
径は75mm以下にそれぞれ設定している。これによ
り、軸上空間部21Bの直径が小さくなり、永久磁石ユ
ニット19をより小型化することができる。軸上空間部
21Aの直径が軸上空間部21Bの直径より大きいの
で、高電圧が印加される電子銃2から永久磁石ユニット
19への絶縁距離を確保できた。なお、図4において、
軸上空間部21Bが大気雰囲気であることは勿論であ
る。
【0028】実施の形態4.図5はこの発明の実施の形
態4に係るジャイロトロン装置を軸方向に切断した断面
図である。実施の形態4は実施の形態3と逆の場合であ
る。即ち、図5において、電子銃2側の軸上空間部21
Cの直径がキャビティ3とコレクタ4との側の軸上空間
部21Dの直径よりも小寸法に設定された場合である。
この場合、軸上空間部21Cと電子銃2との間に絶縁材
料37を設けることにより、実施の形態3と同様の効果
を奏することができた。なお、図5において、軸上空間
部21Dが大気雰囲気であることは勿論である。
【0029】実施の形態5.図6はこの発明の実施の形
態5に係る磁性フランジ22の厚さを変えた時に、永久
磁石ユニット19による磁場分布がどのように変化する
かを示した特性図である。図6において、横軸は永久磁
石ユニット19のZ軸である軸上の距離Z、縦軸は軸上
の磁場強度Bzである。Z=0は永久磁石ユニット19
の軸方向幅の中心で、ジャイロトロン管1のキャビティ
3のほぼ中心と一致している。磁性フランジ22の厚さ
が厚くなるほど、逆極性磁場の最大値が大きくなり、B
z≒0へ漸近する距離ZがZ=0へ近づく。また、Bz
>0からBz<0即ち、逆極性磁場へ向うBz>0の部
分の傾きが急になる(dBz/dZ)。なお、図6にお
いて、横軸に示す符号F1,F2は、図1に示すF1,
F2に相当する位置である。また、実線L1は磁性フラ
ンジ22の厚さが厚い場合、点線L2は磁性フランジ2
2が薄い場合である。
【0030】ジャイロトロン装置では、電子ビーム6が
コレクタ4に全て回収されず、この回収されなかった電
子ビーム6がコレクタ4を通過して出力窓5側へ来たり
または出力窓5に衝突したりする、迷走電子の存在は周
知である。その原因の1つは、図4に示したBz=0へ
長く尾を引いて残る磁場である。従って、残る磁場が大
きいと、コレクタ4を長くしなければならず、ジャイロ
トロン管1が長くなってしまう。これに対し、実施の形
態5は、磁性フランジ22をジャイロトロン管1のコレ
クタ4側に設けることで、Bz=0へ漸近する距離Zを
小さくすることができ、コレクタ4を小さくすることが
できた。
【0031】また、カソード2a側の端面について説明
する。電子放出部2bから放出される電子ビーム6はで
きる限り同じ強さの磁場強度の場所から放出される方
が、特性の一様な電子ビーム6が得られ、ジャイロトロ
ン装置の効率を上げることができる。よって、磁性フラ
ンジ22の厚さが薄いほど、|dBz/dZ|が小さく
なり、カソード2aの電子放出部2b上での磁場変化は
小さくなり、特性の一様な電子ビーム6が保たれる効果
がある。又、永久磁石ユニット19の長さも磁性フラン
ジ22の厚さが薄くなった分だけ短くなり、又、軽くな
る。
【0032】また、図6を考察するに、前記実施の形態
3,4の図4,5に示すように、磁性フランジ22が永
久磁石ユニット19の一端部に設けられ、磁性フランジ
22が永久磁石ユニット19の他端部に設けられない場
合は、コレクタ4に要する長さが短くなり、ジャイロト
ロン管1が短くなる効果がある。また、カソード2aの
電子放出部2bの磁場変化が小さくなり、特性の一様な
電子ビーム6を得る効果と永久磁石ユニット19を小さ
くする効果とがある。
【0033】実施の形態6.例えば特開平8−6414
2号公報で開示されたように、ジャイロトロン装置の永
久磁石ユニットは、台形状の磁石切片を複数個各々径方
向に磁化した後にドーナツ状に組み合わせて筒状磁石を
構成し、この筒状磁石を軸方向に複数個配置して筒状の
群を一体に形成する構成であった。しかし、この従来の
永久磁石ユニットは、製作上、台形状の磁石切片を各々
磁化させる方式を取っていた。こうして製作された永久
磁石は製作工程が煩雑であることや、強く磁化された永
久磁石を取り扱う危険があるといった問題点があった。
このような問題点を解決するのが実施の形態6である。
図7はこの発明の実施の形態6に係る永久磁石群20A
を軸方向に切断した断面図である。図7において、軸上
空間部21の直径が85mm以下のように、永久磁石群
20Aの直径が小さい場合、上記のように分割された磁
石切片を磁化後にドーナツ状に組み合わせる必要はな
く、ドーナツ状の一体物のままの磁性体を磁化すれば、
複数個の筒状磁石27a〜27iが形成できる。そし
て、各筒状磁石27a〜27iを軸方向に複数個配置し
て筒状の永久磁石群20Aを一体に形成すれば、上記の
ように分割された磁石切片を磁化後にドーナツ状に組み
合わせる場合に比べて、煩雑な製作工程や作業の危険性
を軽減でき、また、低コスト化が可能である。また、磁
化方向がZ軸と平行する方向の筒状永久磁石27eは図
1の隙間24に相当する個所に設けられる。この筒状永
久磁石27eと隣接する筒状永久磁石27d,27fと
の間にエアーギャップ28a,28bを持たせたり、図
外の磁極片を挿入しても良い。なお、図7において、実
線の矢印は磁化の方向を示し、矢印の先端側がN極、矢
印の後端側がS極である。図7では、実線の矢印が記載
された部分より断面線を省略して図の簡素かを図った。
【0034】なお、実施の形態1,3,4の永久磁石ユ
ニット19の作る磁場分布は、図6に示すように、ジャ
イロトロン管1のコレクタ4と出力窓5との間で磁場の
極性が逆転する特徴がある。
【0035】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、ジャイロトロン管の外側に電磁石が配置され、その
電磁石の外側に永久磁石が配置されたので、電磁石が永
久磁石により発生されたジャイロトロン管の動作に必要
な軸方向磁場を補助することにより、電磁石が肉薄化で
き、ジャイロトロン管と電磁石とを挿入するために永久
磁石に設けられる軸上空間部の直径が小さくなり、ジャ
イロトロン管およびジャイロトロン装置が小型化でき
る。また、電磁石が永久磁石による軸方向磁場を補助す
るので、電磁電力が少なくて済み、ランニングコストが
安くなると共に、操作性が容易になる。よって、ジャイ
ロトロン装置の信頼性が向上できる。また、コレクタに
対する冷却構造がジャイロトロン管と永久磁石との間に
円筒状に設けられたので、冷却構造がジャイロトロン管
と永久磁石との間の空間における電磁石の設けられない
余剰スペースに配置できる。また、上記円筒状の冷却構
造が周方向に2n分割されており、この2n分割された
冷却構造は冷媒をn回往復させる構造であるので、冷媒
が2n分割された冷却構造の内部を通過する流速が上が
ることにより、コレクタに対する冷却効率が良くなる。
【0036】
【0037】請求項の発明に係るジャイロトロン装置
は、冷却構造が水冷式であるので、冷却性能とランニン
グコストとが最良である。
【0038】請求項3の発明によれば、ジャイロトロン
管を挿入する永久磁石の軸上空間部の直径電子銃部側
が大きく、それ以外が小さいので、また、請求項4の発
明によれば、ジャイロトロン管を挿入する永久磁石の軸
上空間部の直径は電子銃部側が小さく、それ以外が大き
い一方、当該小さな直径の軸上空間部と電子銃との間に
は絶縁材料を設けたので、高電圧が印加される電子銃と
永久磁石との絶縁距離が確保できる。
【0039】請求項の発明によれば、永久磁石がコレ
クタ側の端部に磁性フランジを有し、他端部には磁性フ
ランジを備えない一方、この永久磁石の磁性フランジが
ジャイロトロン管におけるコレクタの中間外周面より環
状に突設された非磁性フランジにボルトにより固定され
たことで、永久磁石がジャイロトロン管の周囲に同心状
に取り付けられたので、磁場分布がジャイロトロン管の
動作に適した形状に形成できる。また、永久磁石の磁性
フランジがジャイロトロン管の非磁性フランジにボルト
により固定されたので、永久磁石とジャイロトロン管と
を同心状に取り付ける調整を適切に行うことができる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るジャイロトロ
ン装置の断面図。
【図2】 同実施の形態1に係る永久磁石群の断面図。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る冷却構造の断
面図。
【図4】 この発明の実施の形態3に係るジャイロトロ
ン装置の断面図。
【図5】 この発明の実施の形態4に係るジャイロトロ
ン装置の断面図。
【図6】 この発明の実施の形態5に係る磁場分布を示
す特性図。
【図7】 この発明の実施の形態6に係る永久磁石群の
断面図。
【図8】 従来のジャイロトロン装置の断面図。
【図9】 従来の磁場分布を示す特性図。
【符号の説明】
1 ジャイロトロン管、2 電子銃、3 キャビティ、
4 コレクタ、5 出力窓、6 電子ビーム、19 永
久磁石ユニット、20 永久磁石群、22 磁性フラン
ジ、27a〜27i 筒状磁石、30 第1電磁石、3
1 冷却構造、50 第2電磁石。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 23/033 H01J 25/00 H01J 25/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子銃、キャビティ、コレクタ、出力窓
    が一端より他端側に順に設けられたジャイロトロン管
    と、このジャイロトロン管を同心状に囲む筒状に形成さ
    れてジャイロトロン管の動作に必要な軸方向磁場を発生
    する永久磁石と、この永久磁石とジャイロトロン管との
    間に配置されて永久磁石の磁場を補正する電磁石と、コ
    レクタに対する冷却構造とを備える一方、この冷却構造
    がジャイロトロン管と永久磁石との間に円筒状に設けら
    れるとともに周方向に2n分割されており、この2n分
    割された冷却構造は冷媒をn回往復させる構造であるこ
    とを特徴とするジャイロトロン装置。但し、nは自然数
    である。
  2. 【請求項2】 冷却構造が水冷式であることを特徴とす
    る請求項1記載のジャイロトロン装置。
  3. 【請求項3】 ジャイロトロン管を挿入する永久磁石の
    軸上空間部の直径電子銃部側が大きく、それ以外が小
    さいことを特徴とする請求項1記載のジャイロトロン装
    置。
  4. 【請求項4】 ジャイロトロン管を挿入する永久磁石の
    軸上空間部の直径は電子銃部側が小さく、それ以外が大
    きい一方、当該小さな直径の軸上空間部と電子銃との間
    には絶縁材料を設けたことを特徴とする請求項1記載の
    ジャイロトロン装置。
  5. 【請求項5】 永久磁石がコレクタ側の端部に磁性フラ
    ンジを有し、他端部に磁性フランジを備えない一方、こ
    の永久磁石の磁性フランジがジャイロトロン管における
    コレクタの中間外周面より環状に突設された非磁性フラ
    ンジにボルトにより固定されたことで、永久磁石がジャ
    イロトロン管の周囲に同心状に取り付けられたことを特
    徴とする請求項1記載のジャイロトロン装置。
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