JP3414489B2 - 透明な撥水性有機/無機ハイブリッド膜の製造方法 - Google Patents

透明な撥水性有機/無機ハイブリッド膜の製造方法

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JP3414489B2 JP09522794A JP9522794A JP3414489B2 JP 3414489 B2 JP3414489 B2 JP 3414489B2 JP 09522794 A JP09522794 A JP 09522794A JP 9522794 A JP9522794 A JP 9522794A JP 3414489 B2 JP3414489 B2 JP 3414489B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱性、硬度、密着
性と共に耐食性、可撓性、摺動性、撥水性、耐汚染性に
も優れた、特に透明性、平滑性、密着性に優れた有機/
無機ハイブリッド被覆膜に係る。
【0002】
【従来の技術】高度の耐熱、耐摩耗、耐食性を得るため
には、有機系塗料では不十分であり、セラミックス系コ
ーティングが用いられる。従来、セラミックス系コーテ
ィングの形成方法としては、PVD(スパッタ法等)、
CVD、ゾル−ゲル法、ポリチタノカルボシラン系塗
料、ポリ(ジシル)シラザン系塗料、ポリシラザン系塗
料、ポリメタロシラザン系塗料などが知られている。
【0003】一方、耐食性、可撓性、摺動性、撥水性を
得るために、フッ素樹脂を用い必要に応じて各種フィラ
ーを添加した各種有機系塗料が知られている。さらに、
ポリカルボシラン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリボロシ
ロキサン樹脂などのケイ素化合物からなるセラミックス
前駆体樹脂と、フッ素樹脂と、無機フィラー等を配合し
た耐熱性塗料も提案されている(特開平4−16817
5号及び同5−156176号公報)。
【0004】セラミックス系コーティングでは耐熱性、
硬度、密着性などには優れるものの、柔軟性、摺動性、
撥水性などが不十分である。一方、カイナー、ルミフロ
ン、フローレン、フロロハード(商品名)等のフッ素樹
脂系塗料は、柔軟性、摺動性、撥水性などには優れてお
り、無機フィラーの添加により硬度は向上するが、耐熱
性、密着性などは不十分である。
【0005】また、セラミックス前駆体樹脂とフッ素樹
脂を配合した前記耐熱性塗料は、いずれも有機基を含む
ケイ素化合物を用いているので、耐熱性、硬度、密着性
に対する効果がまだ十分でない。特に、焼付け時の有機
基の脱離によってピンホールや収縮に伴なうクラックが
発生するため、十分に緻密な膜が得られず、基材との密
着性も不足する。さらに、前記耐熱性塗料では無機フィ
ラーあるいはガラス繊維などを添加することが必須であ
り、これらにより硬度を向上させることができるもの
の、密着性に対しては全く寄与しないため、添加すれば
するほど密着性と可撓性が低下する。
【0006】これらの問題点を解決するものとして、本
出願人は、先に、ポリシラザンを主成分とするコーティ
ング液にフッ素樹脂粉末を添加して成ることを特徴とす
るコーティング用組成物を提案した(特願平5−337
917号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】フッ素樹脂粉末を添加
したコーティング組成物を塗布してできた膜は、半透明
であり、平滑性には劣るため、これらが求められる用
途、例えば、半導体の平坦化膜、各種クリアトップコー
トには、その他の機能は十分なものの、使用できなかっ
た。
【0008】又、ポリシラザンにフッ素樹脂、その他の
樹脂を混合すると、ポリシラザンが変質してしまい、ポ
リシラザン由来の特性を生かしたコーティング膜とする
ことができなかった。又、ポリシラザンとその他の樹脂
が均一に相溶することがなかった。本発明は、上記の問
題点を解決し、耐熱性、硬度、密着性そして柔軟性、摺
動性、撥水性とともに、透明性、平坦化性、密着性に優
れた被覆膜を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、(1)主として一般式(I):
【0010】
【化3】
【0011】で表わされる単位からなる主骨格を有する
数平均分子量が100〜5万のペルヒドロポリシラザン
と溶媒可溶性フッ素樹脂10〜90重量%(ペルヒドロ
ポリシラザンと溶媒可溶性フッ素樹脂の合計量を100
重量%とする)の両者を溶解した溶液を塗布、100〜
300℃で焼成することを特徴とする透明な撥水性有機
/無機ハイブリッド膜の製造方法、 (2)溶媒可溶性フッ素樹脂がふっ化ビニリデン系樹脂
である(1)の製造方法を提供する。
【0012】同様に、本発明によれば、(3)主として
一般式(I):
【0013】
【化4】
【0014】で表わされる単位からなる主骨格を有する
数平均分子量が100〜5万のペルヒドロポリシラザン
と、溶媒可溶性フッ素樹脂と、アクリル系樹脂20〜8
0重量%(フッ素樹脂とアクリル樹脂の合計を100重
量%として)の3者を溶解した溶液を塗布、100〜3
00℃で焼成することを特徴とする透明な撥水性有機/
無機ハイブリッド膜の製造方法、 (4)溶媒可溶性フッ素樹脂がふっ化ビニリデン系樹脂
であり、アクリル系樹脂がメタクリル酸メチルの成分を
含有しているものである(3)の製造方法が提供され
る。
【0015】
【0016】用いるペルヒドロポリシラザンには、鎖
状、環状、あるいは架橋構造を有するもの、あるいは分
子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、こ
れら単独でもあるいは混合物でも利用できる。用いる
ルヒドロポリシラザンの代表例としては下記のようなも
のがあるが、これらに限定されるものではない。
【0017】ペルヒドロポリシラザンの製造法は例えば
特公昭63−16325号公報、D.Seyferth
らCommunication of Am.Cer.
Soc.,C−13,January 1983.に報
告されている。これらの方法で得られるものは、種々の
構造を有するポリマーの混合物であるが、基本的には分
子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【0018】
【化5】
【0019】の化学式で表わすことができる。ペルヒド
ロポリシラザンの構造の一例を示すと下記の如くであ
る。
【0020】
【化6】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】その他、特開平1−138108号、同1
−138107号、同1−203429号、同1−20
3430号、同4−63833号、同3−320167
号に報告されているような分子量を増加させたり(上記
公報の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後2
者)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン特開
平5−238827号、特願平4−272020号、同
5−93275号、同5−214268号、同5−30
750号、同5−338524号に報告されているよう
なポリシラザンにセラミック化を促進するための触媒的
化合物を付加または添加したプラスチックスやアルミニ
ウムなどの金属への施工が可能で、より低温でセラミッ
クス化する低温硬化タイプポリシラザンなども同様に使
用できる。
【0031】用いる溶媒可溶性フッ素樹脂としては、溶
媒可溶性のフッ素樹脂であればよいが、ハロトリフロロ
エチレン(HTFE)を含む共重合体が知られており、
特にHTFEとアルコキシエチレン、カルボキシアルキ
レンオキシエチレン及びヒドロキシアルキレンオキシエ
チレンとの共重合体(FEVE)、例えば、旭硝子製ル
ミフロン(登録商標)はペルヒドロポリシラザンを安定
的に溶解することができ、かつキシレン、トルエンなど
の溶媒に可溶であるので、本発明の目的上好適である。
特にOH価、酸価が少ないタイプのFEVE(例えばル
ミフロンLF200C)は、ペルヒドロポリシラザンの
加水分解による変質が抑制されるので好ましい。また、
同じくクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を含む
共重合体で、溶媒可溶なフッ素樹脂としてセントラル硝
子製セフラルコートが知られており、この樹脂もOH価
を有し(さらに酸価を有するものもある)、キシレン
(A−600X)トルエン(A−201TB,A−10
0TMB)のほか、酢酸ブチル(A−402B,A−2
01TB,A−100TMB)、メチレンイソブチルケ
トン(A−100TMB)などに可溶性にしたものなど
が市販されている。
【0032】さらに、ポリビニリデンフルオライド(ふ
っ化ビニリデン樹脂)(PVDF)系樹脂はキシレンに
は不溶であるが、テトラヒドロフラン(THF)、メチ
ルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(D
MF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジエチルホ
ルムアミド(DEF)、ジエチルアセトアミド(DE
A)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などに
可溶であり、かつ樹脂に官能基を有していないのでペル
ヒドロポリシラザンの劣化が起きないので好ましい。例
えば、PVDF(PENNWALT(現ATOCHEM
NORTH AMERICA)製KYNAR50
0)、VDFとテトラフルオロエチレン(TFE)の共
重合体(KYNAR SL)、VDFとTFEとヘキサ
フルオロプロピレン(HFP)との共重合体(KYNA
R ADS)などが市販されている。
【0033】その他のフッ素樹脂も各種共重合により溶
媒可溶にして用いることができる。ペルヒドロポリシラ
ザンとフッ素樹脂の混合溶液の作成のし方としては、溶
媒にポリシラザンとフッ素樹脂とをそれぞれ溶解させれ
ばよいが、予めペルヒドロポリシラザン溶液とフッ素樹
脂溶液を作成しておき両者を混合する方法が好ましい。
ペルヒドロポリシラザンを溶解する溶媒としてはフッ素
樹脂溶液と混合可能であれば使用できるが、透明コーテ
ィングを得るためにはフッ素樹脂も溶解する必要があ
る。
【0034】フッ素樹脂を溶解する溶媒としては、用い
るフッ素樹脂を溶解するものであればよいが、溶媒可溶
性フッ素樹脂と関連して述べた如きものが使用できる。
例えば、FEVE(ルミフロン)の場合、キシレン、ト
ルエンが、ポリシラザン、FEVEの両者を安定的に溶
解するので好ましく、PVDF系の場合、THP,ME
K,DMF,DMA,DEF,DEA,BCAなどが
ルヒドロポリシラザンを変質させないので好ましい。
【0035】本発明によれば、ペルヒドロポリシラザン
と溶媒可溶性フッ素樹脂と共に、アクリル系樹脂を添加
することも有効である。本発明者らはアクリル系樹脂は
ペルヒドロポリシラザンとフッ素樹脂との相溶性を高め
る効果があることを見い出し、かつ塗膜の透明度を向上
させるなどの効果もあることを見い出した。このような
アクリル系樹脂としては、例えばアクリル酸エステル
(アルコール残基としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘ
キシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基
等を例示できる);メタクリル酸エステル(アルコール
残基は上記と同じ);2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート等の如きヒドロキシ含有モノマー;アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルア
ミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N
−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルア
クリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、
N−フェニルアクリルアミド等の如きアミド基含有モノ
マー;N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等の如き
アミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等の
如きエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビ
ニルスルホン酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如きスルホン
酸基又はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタ
コン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、及びそ
れらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニ
ウム塩等)等の如きカルボキシル基又はその塩を含有す
るモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水
物を含有するモノマー;その他ビニルイソシアネート、
アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシ
ラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマ
ール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリ
デン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の単量体の組合せから
つくられたものであるが、アクリル酸誘導体、メタクリ
ル酸誘導体の如き(メタ)アクリル単量体の成分が50
モル%以上含まれているものが好ましく、特にメタクリ
ル酸メチルの成分を含有しているものが好ましい。具体
的には三菱レーヨン製BR71,BR80などである。
【0036】また、フッ素を含むアクリル樹脂、例え
ば、ポリメタクリル酸パーフルオロ−t−ブチル、ポリ
パーフルオロイソプロピルメタクリレート、ポリメタク
リル酸ヘキサフルオロ−2−プロピル、ポリメタクリル
酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸のフッ素化
エステル重合体などはフッ素樹脂との相溶性も向上し、
かつ、フッ素樹脂の特性も失なわせない利点がある。
【0037】このようなアクリル系樹脂の混合のし方と
しては、ペルヒドロポリシラザンを安定的に溶解するキ
シレン、トルエンに溶解させてから、ポリシラザン溶液
と混合する方法が好ましい。本発明において、ペルヒド
ポリシラザンとフッ素樹脂の使用割合は、両者の合計
を基準にしてフッ素樹脂の割合として下限で10wt%以
上、上限で90%以下がよい。10wt%未満だとフッ素
樹脂の特性が現われず、90wt%を超えると、ペルヒド
ポリシラザンの特性が現われない。
【0038】また、アクリル系樹脂の添加割合は、下限
で20wt%、上限で80wt%がよい(フッ素樹脂とアク
リル樹脂の合計を100wt%として) 。20wt%未満だ
と、相溶性に対する効果(具体的には塗膜の透明性)が
現われない。80wt%を超えるとフッ素樹脂の特性が現
われない。溶媒の使用量は、採用するコーティング方法
により作業性がよくなるように、また必要とする膜厚に
より選択され、またペルヒドロポリシラザンの平均分子
量、分子量分布、その構造によって異なるが、最終コー
ティング組成物(溶液)を基準にして20〜95重量%
(固形分80〜5重量%)、より好ましくは40〜90
重量(固形分60〜10wt%)%とされる。
【0039】また、本発明においては、必須ではない
が、必要に応じて適当な充填剤を加えてもよい。充填剤
の例としてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、マイカを
始めとする酸化物系無機物あるいは炭化珪素、窒化珪素
等の非酸化物系無機物の微粉等が挙げられる。また用途
によってはアルミニウム、亜鉛、銅等の金属粉末の添加
も可能である。さらに充填剤の例を詳しく述べれば、ケ
イ砂、石英、ノバキュライト、ケイ藻土などのシリカ
系:合成無定形シリカ:カオリナイト、雲母、滑石、ウ
オラストナイト、アスベスト、ケイ酸カルシウム、ケイ
酸アルミニウム等のケイ酸塩:ガラス粉末、ガラス球、
中空ガラス球、ガラスフレーク、泡ガラス球等のガラス
体:窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化
アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ化チタ
ン、窒化チタン、炭化チタン等の非酸化物系無機物:炭
酸カルシウム:酸化亜鉛、アルミナ、マグネシア、酸化
チタン、酸化ベリリウム等の金属酸化物:硫酸バリウ
ム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、弗化炭素
その他無機物:アルミニウム、ブロンズ、鉛、ステンレ
ススチール、亜鉛等の金属粉末:カーボンブラック、コ
ークス、黒鉛、熱分解炭素、中空カーボン球等のカーボ
ン体等があげられる。
【0040】これら充填剤は、針状(ウィスカーを含
む。)、粒状、鱗片状等種々の形状のものを単独又は2
種以上混合して用いることができる。又、これら充填剤
の粒子の大きさは1回に塗布可能な膜厚よりも小さいこ
とが望ましい。また充填剤の添加量はフッ素樹脂とポリ
シラザンの合計1重量部に対し、0.05重量部〜10
重量部の範囲であり、特に好ましい添加量は0.2重量
部〜3重量部の範囲である。又、充填剤の表面をカップ
リング剤処理、蒸着、メッキ等で表面処理して使用して
もよい。
【0041】コーティング用組成物には、必要に応じて
各種顔料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線
吸収剤、pH調整剤、分散剤、表面改質剤、可塑剤、乾燥
促進剤、流れ止め剤を加えてもよい。こうして作成され
た本発明のコーティング用組成物は、基盤上に1回又は
2回以上繰り返して塗布した後、焼き付けて被覆膜を形
成する。
【0042】コーティング組成物を塗布する基盤は、特
に限定されず、金属、セラミックス、プラスチックス等
のいずれでもよい。コーティングとしての塗布手段とし
ては、通常の塗布方法、つまり浸漬、スピンコート、ロ
ール塗り、バー塗り、刷毛塗り、スプレー塗り、フロー
塗り等が用いられる。又、塗布前に基盤をヤスリがけ、
脱脂、各種ブラスト等で表面処理しておくとコーティン
グ組成物の付着性能は向上する。
【0043】このような方法でコーティングし、充分乾
燥させた後、加熱・焼成する。この焼成によってポリシ
ラザンは架橋、縮合、あるいは、焼成雰囲気によっては
酸化、加水分解して硬化し、セラミックス相を形成する
が、同時にフッ素樹脂が溶融して、又は熱硬化してSi
−O結合あるいはSi−N結合を主体とするセラミック
ス相とフッ素樹脂からなる有機質相とが微細な構造レベ
ルで(無機フィラーなどを添加する複合材と比べて)複
合化した緻密な膜を得ることができる。
【0044】焼成温度はペルヒドロポリシラザンのセラ
ミック化が進行し、十分に硬化する温度であることが好
ましい。これは通常300℃以上、好ましくは400℃
程度であるが、溶媒可溶性のフッ素樹脂は融点あるいは
分解温度が低いため、100〜300℃で焼成するのが
一般的である。したがって、完全にペルヒドロポリシラ
ザンをセラミック化させるためには、特願平5−932
75号などの低温セラミック化タイプペルヒドロポリシ
ラザンが必要となるが、用途に応じペルヒドロポリシラ
ザンを選択すればよい。
【0045】上記焼成条件はペルヒドロポリシラザンの
分子量や構造によって異なる。昇温速度は特に限定しな
い。焼成雰囲気は酸素中、空気中あるいは不活性ガス等
のいずれであってもよいが、空気中がより好ましい。空
気中での焼成によりペルヒドロポリシラザンの酸化、あ
るいは空気中に共存する水蒸気による加水分解が進行す
る。
【0046】以上の如く、本発明に従ってペルヒドロ
リシラザンとフッ素樹脂を組合せると、微細な構造レベ
ルでハイブリッド化した無機/有機コーティングが得ら
れる。特に、ペルヒドロポリシラザンは耐熱性、硬度、
密着性が特に優れており、伸び、摺動性、撥水性、耐汚
染性を特長とするフッ素樹脂との組合せは互いの短所を
補うバランスのとれた複合系であり、既存の複合系コー
ティングを上廻る特性を与える。
【0047】これはペルヒドロポリシラザンとフッ素樹
脂の組合せを用いる場合には、ガラスフィラーなどを添
加するいわゆる複合樹脂と異なり、溶媒に溶解したポリ
シラザンとフッ素樹脂とが均一に溶解した状態を出発点
としているため、極めて均質かつ微細な構造のレベルで
非晶質のSiO2 /Si34 とフッ素樹脂が複合化し
ていると予想されることと、ペルヒドロポリシラザンの
セラミック化にともなう収縮時に、フッ素樹脂が軟化し
追従するため、ピンホールのない緻密な膜が得られやす
いことによると考えられる。
【0048】また、本発明によれば、無機質(セラミッ
クス)と有機質(フッ素樹脂)のバランスを制御するこ
とが容易である。上記の如く、ペルヒドロポリシラザン
にもとづくセラミックスとフッ素樹脂とが均一かつ微細
な構造レベルで複合化するので、無機質と有機質との割
合が広い割合範囲で選択でき、耐熱性、硬度に重点おい
たものから可撓性、撥水性、耐汚染性に重点をおいたも
のまで広範囲で優れた特性を実現することができる。
【0049】さらに、ペルヒドロポリシラザンは焼成後
熱膨張率の低い非晶質セラミックとなるため、金属基板
などとのマッチングの問題から単体では膜厚限界が低い
が、フッ素樹脂は熱膨張率が高いため各種基板とのマッ
チングが可能であり、従って本発明のコーティング用組
成物では10〜100μmの厚膜が、容易に施工でき
る。なお、ペルヒドロポリシラザンの焼成後の非晶質セ
ラミックスとフッ素樹脂の特性を対比してまとめると下
記の如くである。
【0050】 ペルヒドロポリシラザン (焼成後非晶質セラミック) フッ素樹脂 ───────────────────────────── 硬度 高い 低い 伸び 極めて低い 極めて高い 耐熱性 極めて高い 比較的高い 熱膨張率 極めて低い 高い 密着性 極めて高い 悪い 摺動性 − 極めて良好 撥水性、耐汚染性 − 極めて良好 セラミック収率 極めて高い − 収縮率 比較的低い − 熱特性 熱硬化 熱軟化、溶融 (一部熱硬化)
【0051】
【実施例】実施例1 東燃製ペルヒドロポリシラザンPHPS−1、20wt%
キシレン溶液と旭硝子製ルミフロンLF−200C(4
0wt%キシレン溶液)とを、PHPS:LF200C=
8:2(樹脂のみのwt%)となるようにスターラーで1
時間混合し、無色透明のコーティング液とした。本コー
ティング液を用い、150×50×0.4mmの脱脂した
SUS304及びCu板に流し塗りにより施工し、室温
で10分間乾燥した。次に200℃で1時間焼き付けし
(10℃/分で昇温)、無色透明な厚さ2μmのセラミ
ック/フッ素樹脂系塗膜を得た。本塗膜の硬度は>9H
であった(SUS基板)。
【0052】また、3cmの石英ガラスにスピンコートし
(3000rpm ×20sec)、同様に200℃で焼成した
ところ、厚さ1μm、可視光透過率95%の塗膜を得
た。
【0053】実施例2 実施例1と全く同様にして、PHPS:LF200C=
6:4の比で施工したところ、硬度>9H(SUS基
板)、可視光透過率94%(石英基板)の塗膜を得た。
尚、接触角(対水)は75度であった(膜厚はSUSと
Cuが3μm、石英が1.5μm)。
【0054】実施例3 下記原料を用いた。 (A)東燃製ペルヒドロポリシラザンPHPS−1(M
n≒800)の20wt%BCA(ブチルカルビトールア
セテート)溶液 (B)PVDF系フッ素樹脂カイナーADS(VDF,
TFE,HFP共重合体)の10wt%BCA溶液 (C)三菱レーヨン製アクリル樹脂BR71の10wt%
BCA溶液 (A),(B),(C)を固形分比(wt)で、 ポリシラザン:フッ素樹脂:アクリル樹脂=2:2:6 となるようにスターラーで約30分混合した。
【0055】本コーティング液を用い、実施例1と同様
に、SUS304、Cu、石英の各基板に施工し、25
0℃で1時間焼き付けたところ、硬度9H、可視光透過
率91%、接触角78度(対水)の塗膜を得た(膜厚は
SUS304、CU基板が1μm、石英基板が0.5μ
m)。アクリル系樹脂を添加することにより可視光透過
率を保つ効果がありペルヒドロポリシラザンに対するフ
ッ素樹脂の割合をふやしても透明性が失われない。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、硬度、密着
性、可撓性、耐食性、摺動性、撥水性、耐汚染性、電気
絶縁性に優れた、無機/有機ハイブリッド膜を容易に得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 127/12 - 127/20 C04B 35/589 C09D 183/16 C08L 83/16 C08L 27/12 - 27/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として一般式(I): 【化1】 で表わされる単位からなる主骨格を有する数平均分子量
    が100〜5万のペルヒドロポリシラザンと溶媒可溶性
    フッ素樹脂10〜90重量%(ペルヒドロポリシラザン
    と溶媒可溶性フッ素樹脂の合計量を100重量%とす
    る)の両者を溶解した溶液を塗布、100〜300℃で
    焼成することを特徴とする透明な撥水性有機/無機ハイ
    ブリッド膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 主として一般式(I): 【化2】 で表わされる単位からなる主骨格を有する数平均分子量
    が100〜5万のペルヒドロポリシラザンと、溶媒可溶
    性フッ素樹脂と、アクリル系樹脂20〜80重量%(フ
    ッ素樹脂とアクリル樹脂の合計を100重量%として)
    の3者を溶解した溶液を塗布、100〜300℃で焼成
    することを特徴とする透明な撥水性有機/無機ハイブリ
    ッド膜の製造方法。
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