JP3413309B2 - 金型分割装置 - Google Patents

金型分割装置

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JP3413309B2
JP3413309B2 JP12401695A JP12401695A JP3413309B2 JP 3413309 B2 JP3413309 B2 JP 3413309B2 JP 12401695 A JP12401695 A JP 12401695A JP 12401695 A JP12401695 A JP 12401695A JP 3413309 B2 JP3413309 B2 JP 3413309B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼材等を用いて形成され
た金型ブロックに円盤状刃を用いて穴を形成すべく、金
型ブロックを複数に分割する金型分割装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、半導体装置に用いられるリード
フレームを打ち抜き加工する場合、打ち抜きポンチを有
する金型が使用され、下型のダイにはポンチの断面形状
に対応した複数の穴が設けられている。この穴を下型の
金型ブロックに形成する方法としては、ワイヤカットを
用いる場合と例えばプロファイル・グラインダ加工の様
に円盤状刃のような研削又は切削刃を用いて穴加工する
場合がある。リードフレーム用の細かな穴を金型ブロッ
クに開けなければならない場合であって、特にプロファ
イル・グラインダ加工の研削又は切削刃を用いる場合に
は、切削刃が穴の中に入らないので、金型ブロックを分
割して穴を形成する方法が採られており、その方法につ
いて説明する。その方法は、まず図15に示すように金
型ブロック100に穴を形成する穴加工領域102内を
通り、予め設定された分割方向(矢印方向)に沿った分
割線104を決定する。次に、図16のように分割線1
04に従って金型ブロック100を複数(本例では2
つ)の小ブロック106、108に分割し、図17のよ
うに各小ブロック106、108の分割面110を切削
刃112で切削加工し、切削加工で凹部の形成された小
ブロック106、108の分割面110を図18のよう
に組み合わせて、穴114を有する金型ブロック100
を得る。金型ブロック100を分割する際の分割線10
4は、金型ブロック100の分割方向の両端縁間を穴1
14に対応する穴加工領域102を介して連結するよう
に決定するが、この分割線104を決定する作業は、設
計者が個々に製図板上やCAD画面上で判断しながら行
っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の金型ブロックの分割は、個々の設計者の経験と勘に
委ねられ、また分割線の決定方法も設計者によりまちま
ちとなり、また分割された結果が必ずしも最も効率のよ
いものであるとは限らなかった。従って、本発明は上記
課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、金
型ブロックに穴を、カッター等の切削工具や研削砥石等
の研削工具などの加工用の工具(切削または研削刃)を
用いた切削または研削加工で形成するに際し、切削また
は研削加工可能なように金型ブロックを分割すべく、自
動的に分割線を決定できる金型分割装置を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、金型ブロックを
複数に分割して得た小ブロックの分割面に切削または研
削加工を施し、該小ブロックの前記分割面を組み合わせ
て複数の穴を有する金型を得るために、前記金型ブロッ
クを予め設定された分割方向に沿って複数の小ブロック
に分割すべく、金型ブロックの前記分割方向の両端縁と
形成すべき前記複数の穴に対応する穴加工領域の外形線
とを結ぶ分割線、および前記穴加工領域の外形線同士を
結ぶ分割線を決定する分割線決定手段を具備する金型分
割装置であって、前記金型ブロックの形状および前記複
数の穴の前記穴加工領域のデータが、前記分割方向と平
行な第1の座標軸と、該第1の座標軸と直交する第2の
座標軸とを有する直交座標平面上の図形データとして記
憶される記憶手段を有し、前記分割線決定手段は、前記
穴加工領域の図形データに基づき、該穴加工領域の外形
線に対し、前記直交座標軸と平行な線分で構成される最
外矩形を求め、該最外矩形の内の前記第2の座標軸と平
行な2本の線分上にある外形線の2つの領域を求めて分
割候補領域とし、前記穴加工領域の前記外形線を、前記
2つの分割候補領域の各々に含まれる所定の2つの分割
点で2つの開線に分割した際に、該2つの開線が切削可
能となる前記分割点の存在範囲を求めて分割可能領域と
し、前記各穴加工領域に対して隣接する他の穴加工領域
との前記第1の座標軸方向に沿った重複可能性を検出
し、重複しない穴加工領域同士は一の分割グループとす
ると共に、他の穴加工領域と重複する穴加工領域は当該
穴加工領域のみで一の分割グループとし、前記分割グル
ープ毎に前記分割線を決定することを特徴とする。この
構成を採用すると、金型ブロックに穴を切削または研削
加工で形成するに際し、切削または研削加工可能なよう
に金型ブロックを分割できる分割線を自動的に決定でき
る。
【0005】また、前記分割線決定手段は、前記分割グ
ループ毎に前記分割線を決定する際に、具体的には前記
金型ブロックの前記分割方向の両端縁該両端縁隣接
する前記分割可能領域との間、および隣接する前記穴加
工領域同士の隣接する分割可能領域間に分割線を決定す
る。
【0006】また、前記分割線決定手段は、前記分割線
を決定する際に、前記金型ブロックの前記分割方向の両
端縁と隣接する前記分割可能領域、隣接する前記穴加工
領域の隣接する2つの分割可能領域相互間の重複領域の
前記第2の座標軸方向の重複部分の有無を検出し、該重
複部分の分割線は前記第1の座標軸と平行な同一直線上
に決定する構成とすれば、分割した小ブロックを組み上
げ金型ブロックとした場合に各小ブロック間のがたつき
を防止できる。
【0007】また、前記分割線決定手段は前記分割可能
領域を決定する際に、前記穴加工領域の前記外形線から
前記分割候補領域を除いた部分に対して、当該部分の一
端から他端に至る間に前記第1の座標軸に沿った座標値
が増加から減少へ、又は減少から増加へ変位するか否か
を調べ、変位しない場合にのみ前記分割可能領域を求め
る構成とすることにより、金型ブロックの切削加工可能
性を判断することができる。
【0008】
【作用】作用について説明する。本発明では、分割線決
定手段は、分割方向と平行な第1の座標軸と第1の座標
軸と直交する第2の座標軸を有する直行座標平面上の穴
加工領域の図形データに基づき、穴加工領域の外形線に
対し、直交座標軸と平行な線分で構成される最外矩形を
求め、最外矩形の内の第2の座標軸と平行な2本の線分
上にある外形線の2つの領域を求めて分割候補領域と
し、穴加工領域の外形線を、2つの分割候補領域の各々
に含まれる所定の2つの分割点で2つの開線に分割した
際に、2つの開線が切削可能となる分割点の存在範囲を
求めて分割可能領域とし、各穴加工領域に対して隣接す
る他の穴加工領域との第1の座標軸方向に沿った重複可
能性を検出し、重複しない穴加工領域同士は一の分割グ
ループとし、他の穴加工領域と重複する穴加工領域は当
該穴加工領域のみで一の分割グループとし、分割グルー
プ毎に分割線を決定するため、設計者が自ら分割線を決
定する必要がなく、作業効率の向上が図れる。
【0009】
【実施例】以下、本発明に係る金型分割装置の好適な実
施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。まず、本発
明の前提となる技術について説明する。図1は半導体装
置等に使用されるリードフレームの平面図、図2はこの
リードフレームを加工する金型の断面図である。リード
フレームは薄い帯状の金属板10を打ち抜き加工して得
られるものであり、この打ち抜き加工は数段階に分けて
行われる。例えば、半導体チップ(不図示)が搭載され
る中央ステージ部の周囲の溝Aの領域を打ち抜く段階、
外側に延びた穴Bの領域を打ち抜く段階、以下穴C、
D、Eを各領域毎に打ち抜く段階等である。図2におい
て、11は下型ダイセット、12はダイブロック、13
はダイ入子、14は材料ガイド、15はストリッパ、1
6は押さえ入子、17は上型ダイセット、18はポン
チ、19はポンチブロックである。
【0010】打ち抜き加工の各段階において、金属板1
0はダイブロック12のダイ入子13上にセットされ、
材料ガイド14により固定される。ついで、ストリッパ
15が下降し、押さえ入子16が金属板10の上面に到
達する。次に、上型ダイセット17が下降し、ポンチ1
8が押さえ入子16およびダイ入子13を貫通して、金
属板10に所望の穴をあける。ポンチ18の断面形状と
押さえ入子16およびダイ入子13の穴形状は、打ち抜
き加工をすべき穴の形状A、B、C、D、Eに対応して
いる。この打ち抜き加工に用いる押さえ入子16やダイ
入子13等の金型ブロックを製造する場合、特に研削ま
たは切削により穴を加工する場合には加工用の工具(研
削加工の場合にはプロファイル・グラインダ等)が穴の
形状内に入らないので、例えば図8に示すように一の金
型ブロック20をいくつか(本実施例では一例として3
つ)の小ブロック22a、22b、22cに分割し、各
小ブロック毎に加工することが行われる。分割は図8中
の一点鎖線および穴(一例として穴C)の穴加工領域2
4a〜24dを通過する任意の通過線で構成される分割
線に沿って行われる。なお、分割線はY軸方向に沿って
決定されることは予め設定されている。なお、本実施例
では以後、加工用の工具は一例としてプロファイル・グ
ラインダを使用し、研削加工で穴加工する場合について
述べるが、切削加工の場合でも同様である。図9は小ブ
ロック22aを加工する状態を示すものであり、小ブロ
ック22aは所定の位置に固定され、円盤状の研削刃2
6はその回転軸F(第1の座標軸と平行)を中心に回転
すると共に、Y軸方向およびX軸方向に移動させながら
小ブロック22aの右側面(分割面)を、例えば図9に
示すように上方向から下方向へ順次切削して行く。他の
ブロック22b、22cについても同様である。
【0011】本発明の金型分割装置28においては、各
打ち抜き加工の各段階において使用される金型ブロック
20を、穴を研削加工するために、複数の小ブロックに
自動的に分割する機能を有する点が特徴となっている。
その金型分割装置28の構成について図3を用いて説明
する。30はシステム制御部であり、金型分割装置28
全体の動作制御を行う。32は一例として半導体記憶素
子等で構成される記憶手段であり、各種データやシステ
ム制御部30および後述する分割線決定手段を構成する
コンピュータの動作プログラムが予め記憶されている。
具体的には、金型ブロック20の形状データと各穴に対
応する穴加工領域24a〜24dの形状データが記憶さ
れている第1の領域Gと、研削加工用の研削刃26の形
状データが記憶されている第2の領域H、また後述する
入力部から入力された分割方向データに基づいて、穴加
工領域24a〜24dおよび金型ブロック20の形状デ
ータが、各座標軸が金型ブロックの辺と平行な直交座標
平面上の図形データとして記憶されている第3の領域I
等が含まれている。記憶手段32の内容は、システム制
御部30により操作(読み出し、書き込み)可能であ
り、また後述する分割線決定手段も同様に操作すること
ができる。
【0012】34は入力手段であり、例えば分割方向を
入力するためのキーボードや、また金型ブロックや穴加
工領域を設計するCAD装置から送られてくる設計デー
タを受信するための入力インターフェース回路などが相
当する。入力手段34からのデータはシステム制御部3
0に入力され、処理される。36は分割線決定手段であ
り、金型ブロック20に複数の穴を研削刃26で研削加
工により形成するために、金型ブロック20を分割すべ
く、金型ブロック20の分割方向の両端縁(図5、7、
8における上下端縁)と各穴に対応する穴加工領域24
a〜24dの外形線38a〜38dとを結ぶ分割線(図
8における一点鎖線)を決定する機能を有する。40は
出力部であり、一例として種々のディスプレイ装置やX
−Yプロッタなどが相当し、分割線決定手段36で求め
た分割線を金型ブロック20や穴加工領域24a〜24
d、外形線38a〜38dと共に設計者に表示するもの
である。42は分割手段であり、システム制御部30か
らの命令により金型ブロック20を分割線に沿って切断
する機能を有する。一例としてワイヤカット装置などが
相当する。
【0013】次に、金型分割装置28の動作について用
いて説明する。まず、装置全体の概略動作について説明
する。最初に、システム制御部30は第1の領域Gに記
憶されている金型ブロック20の形状データを、入力手
段34から入力された分割方向(一例として金型ブロッ
ク20の左右端縁と平行方向)に基づいて当該分割方向
と第1の座標軸(一例としてY座標軸)が平行となるX
−Y直交座標平面状の図形データに変換し、第3の領域
Iに記憶する。その後、システム制御部30は分割線決
定手段36を起動し、分割線決定手段36は、金型ブロ
ック20に複数の穴を研削刃26で研削加工により形成
するために、分割方向(Y座標軸)に沿って金型ブロッ
ク20を複数の小ブロックに分割すべく、分割線を決定
する作業を行う。システム制御部30は分割線決定手段
36により決定された分割線に基づいて、金型ブロック
20を分割手段42により小ブロックに分割して終了す
る。なお、分割された小ブロック22a〜22cは前述
したように図9に示すように所定の位置に固定され、研
削刃26により分割面が研削加工される。
【0014】続いて、分割線決定手段36の動作につい
て図4〜図8を用いて説明する。分割線決定手段36
は、待機状態(ステップ100)を脱すると、各穴加工
領域24a〜24dの図形データに基づき、穴加工領域
24a〜24dの外形線38a〜38dのそれぞれに対
し、図5に示すようにX、Y座標軸と平行な線分で構成
される最外矩形44a〜44dを求め(ステップ10
2)、外形線38a〜38dのそれぞれに対し、最外矩
形44a〜44dの内の分割方向と直交するX座標軸と
平行な2本の線分上にある外形線の2つの領域(太線部
分)を求めてそれぞれ分割候補領域とする(ステップ1
04)。具体的に、図6を用いて外形線38a、最外矩
形44aについて説明すると、最外矩形44aの内のX
座標軸と平行な2本の線分(最外矩形44aの上辺と下
辺を成す線分)上にある外形線38aの2つの領域(太
線、または黒点部分)は分割候補領域46a、48aと
なる。なお、他の最外矩形44b〜44dに対しても同
様にして、最外矩形44bに対する分割候補領域は46
b、48b、最外矩形44cに対する分割候補領域は4
6c、48c、最外矩形44dに対する分割候補領域は
46d、48dとなる(図7)。
【0015】さらに、穴加工領域24a〜24dの外形
線38a〜38dを、2つの分割候補領域の各々に含ま
れる所定の2つの分割点で2つの開線に分割した際に、
2つの開線が研削刃26で切削可能となる分割点の存在
範囲を求めて分割可能領域とする(ステップ106)。
さらに図7に示すように各穴加工領域に対して隣接する
他の穴加工領域とのY座標軸方向に沿った重複可能性を
X座標軸方向に沿って順次検出し、重複しない穴加工領
域同士は一の分割グループとし、他の穴加工領域と重複
する穴加工領域は当該穴加工領域のみで一の分割グルー
プとする(ステップ108)。
【0016】そして、分割グループ毎に図8のように分
割線(一点鎖線)を決定し、記憶手段32の空き領域に
記憶させ、システム制御部30に分割線の決定が終了し
た旨のデータを送出し(ステップ110)、分割線決定
手段36の分割線決定処理が終了する。システム制御部
30は、分割線決定手段36から終了データを受け取る
と、記憶手段32をアクセスして分割線のデータと、第
3の領域Iに記憶された金型ブロック20の形状データ
と各穴に対応する穴加工領域24a〜24dの形状デー
タを読みだし、出力部40に設計者が分割線を認識でき
る状態で表示させる。また、分割手段42を作動させて
金型ブロック20を分割線に沿って分割する。さらに、
研削刃26を制御して分割された小ブロック22a、2
2b、22c毎に穴の内周面の研削加工を行う。
【0017】さらに詳細に、ステップ106、108、
110における動作について説明する。第1に、分割可
能領域を決定するステップ106の動作の一般則につい
て図10、図11を用いて説明する。最初に、分割線決
定手段36は分割可能領域を決定する前に、まず各穴加
工領域の研削加工可能性について下記の手順で調べ、研
削加工ができないものは以下の処理を行わず分割線の決
定は行わない。なお、この場合には分割線決定手段36
はこの旨をシステム制御部30へ出力し、システム制御
部30は研削加工不能なことを出力部40に出力して
(警告メッセージ等をディスプレイに出力して)設計者
に知らせる。まず各穴加工領域50の外形線52から分
割候補領域54、56を除いた部分(2つの開線U、
V)に対して、当該開線U、Vの一端から他端に至る間
のY座標値が増加から減少へ、又は減少から増加へ変位
する変位点が存在するか否かを下記式(1)に基づいて
調べ、下記式(1)を満足するY座標値がない場合には
変位点が存在しないので、当該穴加工領域は研削刃26
で研削加工できる可能性があると判断し、分割可能領域
を求めるようにする。 (Yn-1 −Yn )×(Yn −Yn+1 )<0 --- (1) なお、Yn-1 、Yn 、Yn+1 (例えば、Yn-1 <Yn
n+1 )はこの順番で連続して隣合う開線U、V上の点
のY座標値であり、式(1)を満足する場合にはY座標
値のYn の点が変位点となる。この変位点について図1
0を用いて説明すると、図10の左側の開線Uに対して
は上端(下端からでもよい)から順次Y座標値の増加・
減少の変化を見ていくと、変位点Jが一つ存在する。ま
た右側の開線に対しても同様に下端(上端からでもよ
い)から順次Y座標値の増加・減少の変化を見ていくと
一様にY座標が増加して行き、変位点は存在しない。変
位点が存在すると、外形線52の一部にY座標軸方向に
対する凹部が形成されていることになり、図9に示すよ
うに刃先の形状がX座標軸と平行な直線Kと当該直線K
と鋭角θを持って交差する直線Lとで構成される研削刃
26では、穴加工領域50は研削加工はできないことに
なる。
【0018】次に、切削可能性があると判断された穴加
工領域に対してステップ104で求めた分割候補領域の
中から分割可能領域を決定する方法について、一例とし
て図11に示す穴加工領域58を用いて説明する。穴加
工領域58の外形線60を、両端に分割候補領域62、
64(太線)を含む2つの開線60a、60bに分割す
る。両開線60a、60bの内側面に対して、研削刃2
6の刃先を形成する直線L、また直線Kに対して直線L
と線対称となる直線Mの双方についての接点の有無を求
め、接点がない場合には全分割候補領域を分割可能予備
領域とする。なお、直線Lと線対称となる直線Mに対し
ても考慮する理由は、研削刃26はY座標軸方向に対し
て反転可能であるからである。接点がある場合には、当
該接点を通る直線(LまたはM)と開線60a、60b
との交点Pn(本実施例では開線60aにのみ2つの交
点P1 、P2 が存在する)を求め、さらに当該交点
1 、P2 を通過する他方の直線(MまたはL)と開線
60aとの他の交点の有無を調べる。そして交点が存在
する場合であって当該交点が分割候補領域以外の場所に
存在する場合(例えば、図11に示す開線60aの交点
1 を通る直線Lが開線60aと交点Q1 で交わる場
合)には、分割候補領域64内のどこに分割線を設定し
ても研削刃26では開線60aを研削加工できない領域
が残ることになるため、当該穴加工領域58は研削加工
不能と判断する。研削加工できない領域とは、分割候補
領域64の左端を通り直線Lと平行な仮想直線L1 と開
線60aとの交点N1 とP1 との間の領域である。ま
た、交点が存在する場合であって当該交点が分割候補領
域内に存在する場合(例えば、図11に示す開線60a
の交点P2 を通る直線Mが分割候補領域62と交点Q2
で交わる場合)には、交点Q2 から分割候補領域62の
内側の領域Rを分割可能予備領域とする。
【0019】そして、図12のように2つの開線60
a、60bの両端部に共に分割可能予備領域(Ra1、R
a2、Rb1、Rb2)が存在する場合において、両開線60
a、60bを図13のように一つの外形線60に戻した
際に、一の開線60aの上側分割可能予備領域Ra1と、
他の開線60bの上側分割可能予備領域Rb1との重なり
部分(図13の上側太線部分)を一方の分割可能領域6
6とし、また一の開線60aの下側分割可能予備領域R
a2と、他の開線60bの下側分割可能予備領域Rb2との
重なり部分(図13の下側太線部分)を他方の分割可能
領域68とする。また、各分割可能予備領域と重なり部
分が存在しない場合は、当該穴加工領域58は研削加工
不能と判断し、分割線決定動作を終了する。
【0020】ここで、図5の穴加工領域24a〜24d
について各分割候補領域(46a、48a等)に基づ
き、分割可能領域を上記手順に従って決定してみる。一
例として図6に示す穴加工領域24aについて行ってみ
ると、外形線38aの左右いずれの開線に対しても研削
刃26の刃先を構成する直線Lとの接点が無いため、分
割可能領域は分割候補領域46a、48aと一致し、研
削刃26で研削加工可能である。他の穴加工領域24b
〜24dについても同様に分割可能領域は分割候補領域
46a〜46c、48a〜48cと一致する。
【0021】第2に、分割グループを決定するステップ
108について説明する。最初に、分割グループを決定
する一般則について図14を用いて説明する。なお、金
型ブロック20内には一例として4つの穴加工領域70
a〜70dが有るものとし、各穴加工領域70a〜70
dの分割可能領域は上側、下側それぞれ分割可能領域7
2a、74a、分割可能領域72b、74b、分割可能
領域72c、74c、分割可能領域72d、74dとす
る。ここで上側とはY座標が大きくなる方向をいい、右
側とはX座標が大きくなる方向をいう。まず、第1ステ
ップは、穴加工領域70a〜70dの中で、金型ブロッ
ク20の隅部分にある穴加工領域の一つを基準穴加工領
域として選定する(一例として左下隅に最も近い穴加工
領域を基準穴加工領域とする場合には基準穴加工領域は
70aとなる。以下、基準穴加工領域は70aとして説
明を進めるが、他の隅部に近い穴加工領域を選んだ場合
でも同様である。
【0022】第2ステップは、基準穴加工領域と分割方
向(Y座標軸方向)に沿った重複可能性を判断し、Y座
標軸方向の領域が重複しない穴加工領域であって、基準
穴加工領域と隣接しており、基準穴加工領域の上側の分
割可能領域72aよりも、さらに上側に自らの分割可能
領域の内の下側の分割可能領域があり、かつ該下側の分
割可能領域と基準穴加工領域70aの上側の分割可能領
域72aとのX座標軸方向の距離が最小のものを分割グ
ループの一つに選定する。図14の場合には、基準穴加
工領域70aと最も隣接するのは穴加工領域70bであ
るが、この穴加工領域70bのY軸方向の領域は基準穴
加工領域70aとダブっているため、分割グループとな
る穴加工領域はない。よって、穴加工領域70aは一つ
で分割グループとなり、他の分割グループの決定を行う
ために第1ステップに戻る。仮に、上記の分割グループ
となる条件を満たす穴加工領域が他に存在する場合には
第3ステップに移る。第3ステップでは、選定された当
該穴加工領域を新たな基準穴加工領域とし、第2〜第3
ステップを繰り返す。選定される新たな穴加工領域がな
くなったら分割グループの決定を終了し、第1ステップ
に戻る。
【0023】続いて、第1ステップに戻り、残りの穴加
工領域に対しての分割グループの決定を行う。基準穴加
工領域の決定を再度行うと、基準穴加工領域は70bと
なる。第2ステップにおいて、Y座標軸方向の領域の重
複可能性を見ると穴加工領域70cのみが条件を満た
す。よって、穴加工領域70bと穴加工領域70cとが
分割グループとなる。最後に、再び第1ステップに戻
り、残った穴加工領域70dが一つで分割グループを形
成する。
【0024】リードフレームの場合には図7のように一
の金型ブロック20に設けられる穴はY座標軸やX座標
軸と平行な直線を基準として線対称である場合が多く、
このため分割グループの決定は単純である。つまり、基
準穴加工領域を24cとすると、同一の分割グループと
なる条件を満たす他の穴加工領域は、穴加工領域24d
を除く2つの穴加工領域24a、24bとなるが、穴加
工領域24aの下側の分割可能領域48aの方が、穴加
工領域24bの下側の分割可能領域48bより基準穴加
工領域24cの上側の分割可能領域46cに近いため、
穴加工領域24aを分割グループの一つに選定する。次
に基準穴加工領域は24aとなるが、穴加工領域24
c、24aの2つの穴加工領域を含んだ分割グループに
含まれる穴加工領域は他にはなく、当初の基準穴加工領
域を24cとした場合の分割グループ76の選定は終了
する。続いて、残りの穴加工領域24b、24dについ
て、基準穴加工領域を24dとした場合の分割グループ
の選定を行い、同様にして穴加工領域24bが同じ分割
グループ78となる。
【0025】第3に、分割線の決定を行うステップ11
0について説明する。分割線決定手段36が、分割グル
ープ76、78毎に分割線を決定する際には、図8に示
すように金型ブロック20の分割方向(Y座標軸方向)
の両端縁および当該両端縁と隣接する分割可能領域との
間(分割可能領域46a、46b、48c、48dと上
下端縁との間)、および隣接する穴加工領域同士の隣接
する分割可能領域間(分割可能領域48aと46c、4
8bと46dとの間)に一点鎖線で示される分割線を決
定していく。なお、穴加工領域が一つの分割グループの
場合には、金型ブロック20の分割方向(Y座標軸方
向)の両端縁および当該両端縁と隣接する分割可能領域
との間のみに分割線が決定される。さらに、分割線を決
定する上で、金型ブロック20の分割方向の両端縁と隣
接する分割可能領域、隣接する穴加工領域の隣接する分
割可能領域間のX座標軸方向の重複領域、それぞれにつ
いて相互間の、X座標軸方向の重複部分の有無を検出
し、重複部分がある場合にはその部分の分割線はY座標
軸と平行な同一直線上に決定する。これにより、小ブロ
ック22a、22b、22cの分割面を組み上げて金型
ブロック20を構成した際に、各小ブロック間のがたつ
きを少なくすることができる。図8の場合には、各分割
グループ76、78のそれぞれに対して、金型ブロック
20の分割方向の両端縁と隣接する分割可能領域同士
(46aと48c、46bと48d)にX座標軸方向の
重複領域が存在する。この重複領域は各穴加工領域毎に
2本の点線で挟まれる領域で示された領域である。各分
割可能領域と金型ブロック20の分割方向の両端縁とを
結ぶ分割線は、Y座標軸と平行な直線S、T上となるよ
うに決定される。この直線S、Tはそれぞれ、重複領域
内で任意に設定可能であり、例えば重複領域の中点とし
ても良い。
【0026】以上、本発明の好適な実施例について種々
述べてきたが、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改
変を施し得るのはもちろんである。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る金型分割装置を用いると、
金型ブロックに穴を研削や切削加工で形成するに際し、
切削または研削加工可能なように金型ブロックを分割す
べく、自動的に分割線を決定することができ、作業の効
率が向上すると共に設計者毎の分割線のバラツキが生ず
ることもなくなるという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】リードフレームの平面図
【図2】リードフレームを打ち抜き加工するための金型
の断面図
【図3】本発明に懸かる金型分割装置の構成を示すブロ
ック図
【図4】図3の分割線決定手段の動作を示すフローチャ
ート
【図5】図4のステップ102までの動作を示す説明図
【図6】図4のステップ104の動作を示す説明図
【図7】図4のステップ108の動作を示す説明図
【図8】図4のステップ110の動作を示す説明図
【図9】分割された小ブロックの穴の切削加工動作を示
す説明図
【図10】穴加工領域の変移点の有無の検出動作を説明
する説明図
【図11】穴加工領域の分割可能領域の決定動作を示す
説明図
【図12】穴加工領域の分割可能領域の決定動作を示す
説明図
【図13】穴加工領域の分割可能領域の決定動作を示す
説明図
【図14】分割グループの決定動作を示す説明図
【図15】金型ブロックに穴を形成する際の分割線の決
定方法を示す説明図
【図16】図15の金型ブロックを分割線で小ブロック
に分割した際の説明図
【図17】図16の小ブロックの分割面を切削刃で切削
加工する際の説明図
【図18】図17の小ブロックの分割面を切削加工して
凹部を形成し、各小ブロックを組み合わせて穴を有する
金型ブロックとした際の説明図
【符号の説明】
20 金型ブロック 28 金型分割装置 32 記憶手段 36 分割線決定手段

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型ブロックを複数に分割して得た小ブ
    ロックの分割面に切削または研削加工を施し、該小ブロ
    ックの前記分割面を組み合わせて複数の穴を有する金型
    を得るために、前記金型ブロックを予め設定された分割
    方向に沿って複数の小ブロックに分割すべく、金型ブロ
    ックの前記分割方向の両端縁と形成すべき前記複数の穴
    に対応する穴加工領域の外形線とを結ぶ分割線、および
    前記穴加工領域の外形線同士を結ぶ分割線を決定する分
    割線決定手段を具備する金型分割装置であって、 前記金型ブロックの形状および前記複数の穴の前記穴加
    工領域のデータが、前記分割方向と平行な第1の座標軸
    と、該第1の座標軸と直交する第2の座標軸とを有する
    直交座標平面上の図形データとして記憶される記憶手段
    を有し、 前記分割線決定手段は、 前記穴加工領域の図形データに基づき、該穴加工領域の
    外形線に対し、前記直交座標軸と平行な線分で構成され
    る最外矩形を求め、該最外矩形の内の前記第2の座標軸
    と平行な2本の線分上にある外形線の2つの領域を求め
    て分割候補領域とし、 前記穴加工領域の前記外形線を、前記2つの分割候補領
    域の各々に含まれる所定の2つの分割点で2つの開線に
    分割した際に、該2つの開線が切削可能となる前記分割
    点の存在範囲を求めて分割可能領域とし、 前記各穴加工領域に対して隣接する他の穴加工領域との
    前記第1の座標軸方向に沿った重複可能性を検出し、重
    複しない穴加工領域同士は一の分割グループとすると共
    に、他の穴加工領域と重複する穴加工領域は当該穴加工
    領域のみで一の分割グループとし、 前記分割グループ毎に前記分割線を決定することを特徴
    とする金型分割装置。
  2. 【請求項2】 前記分割線決定手段は、前記分割グルー
    プ毎に前記分割線を決定する際に、前記金型ブロックの
    前記分割方向の両端縁該両端縁隣接する前記分割可
    能領域との間、および隣接する前記穴加工領域同士の隣
    接する分割可能領域間に分割線を決定することを特徴と
    する請求項1記載の金型分割装置。
  3. 【請求項3】 前記分割線決定手段は、前記分割線を決
    定する際に、前記金型ブロックの前記分割方向の両端縁
    と隣接する前記分割可能領域、隣接する前記穴加工領域
    の隣接する2つの分割可能領域相互間の重複領域の前記
    第2の座標軸方向の重複部分の有無を検出し、該重複部
    分の分割線は前記第1の座標軸と平行な同一直線上に決
    定することを特徴とする請求項2記載の金型分割装置。
  4. 【請求項4】 前記分割線決定手段は前記分割可能領域
    を決定する際に、 前記穴加工領域の前記外形線から前記分割候補領域を除
    いた部分に対して、当該部分の一端から他端に至る間に
    前記第1の座標軸に沿った座標値が増加から減少へ、又
    は減少から増加へ変位するか否かを調べ、変位しない場
    合にのみ前記分割可能領域を求めることを特徴とする請
    求項1、2または3記載の金型分割装置。
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