JP3410217B2 - シーケンスモニタ装置およびその駆動方法 - Google Patents

シーケンスモニタ装置およびその駆動方法

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JP3410217B2
JP3410217B2 JP15743494A JP15743494A JP3410217B2 JP 3410217 B2 JP3410217 B2 JP 3410217B2 JP 15743494 A JP15743494 A JP 15743494A JP 15743494 A JP15743494 A JP 15743494A JP 3410217 B2 JP3410217 B2 JP 3410217B2
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勝博 松浦
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば水力発電所に設
置され、水車発電機の起動,停止時のシーケンスステッ
プの状態遷移時間を監視し、シーケンス渋滞に至る機器
要素の異常を検出するシーケンスモニタ装置およびその
駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1,図5および図6によって従来例を
説明する。
【0003】図1は一般的な水力発電所における「運転
指令入り」から「並列」までの起動方向のシーケンスス
テップを表すフローチャートであり、図5は起動方向の
各シーケンスステップにおける機器の動作状態を監視し
機器の動作渋滞を検出するための回路図であり、図6は
図5に示す回路の渋滞検出動作を表すタイムチャートで
ある。
【0004】図1に示すように、この例では渋滞を監視
するシーケンスステップポイントとして5つのポイント
(1)〜(5)が設定されている。即ち、「運転指令入
り」(1),「入口弁全開」(2),「水車回転数80
%以上」(3),「発電機電圧80%以上」(4),
「並列」(5)等である。
【0005】そして、(1)から(2)まで、(2)か
ら(3)まで、(3)から(4)まで、(4)から
(5)までの各シーケンスステップポイントが遷移する
時間を監視し、予め設定してある時間内にシーケンスス
テップポイントが遷移しない場合、渋滞と判定するもの
である。
【0006】このような渋滞検出方法を実施するための
渋滞検出回路を図5(a),(b)によって説明する。
なお、図5(a)は渋滞検出回路を示す回路図であり、
図5(b)は同図(a)の説明図になっている。図5
(a)において、1−1,1−2,1−3,1−4,1
−5は、各シーケンス状態(主に起動制御対象機器の動
作状態を示す)を入力条件として、それぞれ図1中の
(1)から(2)まで、(2)から(3)まで、(3)
から(4)まで、(4)から(5)までのいずれのシー
ケンスステップ状態内にあるかを検出するロジック回路
である。
【0007】具体的に各ロジック回路の動作を説明する
と、回路1−1では、「運転指令入りON」かつ「並列
OFF」の時に出力信号1−1aがONするようになっ
ている。したがって、図1中の(1)から(5)までの
シーケンスステップ状態内においては、常時ONするこ
とになる。回路1−2では、出力信号1−1aがON
で、かつ「運転指令入りON」かつ「入口弁全開OF
F」の時に出力信号1−2aがONするので、図1中の
(1)から(2)までのシーケンスステップ状態内にお
いてONすることになる。回路1−3では、出力信号1
−1aがONで、かつ「入口弁全開ON」かつ「水車回
転数80%以上OFF」の時に出力信号1−3aがON
するので、図1中の(2)から(3)までのシーケンス
ステップ状態内においてONすることになる。回路1−
4では、出力信号1−1aがONかつ「水車回転数80
%以上ON」かつ「発電機電圧80%以上OFF」に出
力信号1−4aがONするので、図1中の(3)から
(4)までのシーケンスステップ状態内においてONす
ることになる。回路1−5では、出力信号1−1aがO
Nかつ「発電機電圧80%以上ON」かつ「並列OF
F」の時に出力信号1−5aがONするので、図1中の
(4)から(5)までのシーケンスステップ状態内にお
いてONすることになる。
【0008】図5(a)において、2−1から2−4ま
では、それぞれONディレイタイマを表し、この各タイ
マの時限設定はtm1からtm4で与えられる。具体的
に各タイマの動作を説明すると、タイマ2−1は、実行
条件としての出力信号1−2aがONするとタイムカウ
ント動作を行い、時限設定値であるtm1時間に達する
と警報信号2−1aを出力するので、図1中の(1)か
ら(2)までのシーケンスステップ状態から、設定時間
tm1時間内に(2)から(3)までのシーケンスステ
ップ状態に遷移しないこと、すなわちシーケンス動作渋
滞を検出することとなる。
【0009】タイマ2−2は、実行条件としての出力信
号1−3aがONするとタイムカウント動作を行い、時
限設定値であるtm2時間に達すると警報信号2−2a
を出力するので、図1中の(2)から(3)までのシー
ケンスステップ状態から、設定時間tm2時間内に
(3)から(4)までのシーケンスステップ状態に遷移
しないこと、すなわちシーケンス動作渋滞を検出するこ
ととなる。
【0010】タイマ2−3は、実行条件としての出力信
号1−4aがONするとタイムカウント動作を行い、時
限設定値であるtm3時間に達すると警報信号2−3a
を出力するので、図1中の(3)から(4)までのシー
ケンスステップ状態から、設定時間tm3時間内に
(4)から(5)までのシーケンスステップ状態に遷移
しないこと、すなわちシーケンス動作渋滞を検出するこ
ととなる。
【0011】タイマ2−4は、実行条件としての出力信
号1−5aがONするとタイムカウント動作を行い、時
限設定値であるtm4時間に達すると警報信号2−4a
を出力するので、図1中の(4)から(5)までのシー
ケンスステップ状態が、設定時間tm3時間内に終了し
ないこと、すなわちシーケンス動作渋滞を検出すること
となる。
【0012】なお一般的に、渋滞監視設定時間tm1か
らtm4は、実動作試験により各シーケンスステップ状
態内動作時間を測定し、測定時間の1.2倍から1.5
倍の範囲で設定する。
【0013】このような渋滞検出方法における渋滞検出
動作を図6を用い、図1で示すシーケンスステップ
(1)から(2)までの動作について説明する。図6
(a)はシーケンスステップ(1)→(2)の正常動作
の場合を表すタイムチャートである。「運転指令入り」
ONにてタイマ1のタイムカウント動作が開始される。
タイマ1の時限設定時間tm1内のtn1時間で「入口
弁全開」がONすれば、タイマ1は時限設定時間tm1
に達する前に、タイムカウント動作を中止するため、警
報は出力されない。
【0014】図6(b)は、シーケンスステップ(1)
→(2)で渋滞が発生した場合のタイムチャートであ
る。図6(a)と同様に「運転指令入り」ONにてタイ
マ1のタイムカウント動作が開始される。タイマ1の時
限設定時間tm1時間内に、「入口弁全開」がONしな
ければ、タイマ1は時限設定時間tm1に達した時点で
タイムアップし、警報が出力される。
【0015】以上は起動方向の渋滞検出手段および動作
についての説明であるが、一般的に、停止方向(「運転
指令切り」から「水車発電機完全停止」まで)の渋滞検
出についても同様の手段及び動作で実現されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た渋滞検出方法では、(1)→(2)、(2)→
(3)、(3)→(4)、(4)→(5)の各シーケン
スステップポイントが遷移する時間を監視し、予め設定
してある時間内にシーケンスステップポイントが遷移し
ない場合に渋滞と判定する方法であるため、あくまでも
渋滞が発生した後、つまり機器要素に何らかの異常が発
生した後に警報が発せられるものであり、いわゆる事後
保全措置しか講じることができなかった。
【0017】本発明が解決しようとする課題は、シーケ
ンス渋滞が発生(機器に何らかの異常が発生)した後に
警報が発せられるため、いわゆる事後保全措置しか講じ
ることができなかったことに対し、シーケンス渋滞を検
出する前に、各シーケンスステップの動作時間を被制御
機器の起動,停止毎に監視し、シーケンス渋滞に至る潜
在的な機器の異常を早期に発見できるようにすることで
ある。
【0018】
【課題を解決するための手段および作用】前記の課題を
解決するために、請求項1記載の発明に係るシーケンス
モニタ装置は、シーケンス制御が行われる被制御機器の
起動から停止までの各シーケンスステップにおける機器
要素の動作状態を監視し、その機器要素の動作渋滞を検
出するシーケンスモニタ装置において、現在のシーケン
スステップの状態を検出するロジック回路と、予め設定
された渋滞監視設定時間内に次のシーケンスステップへ
遷移しない場合に警報信号を発するタイマ回路と、次の
シーケンスステップに遷移するまでの機器要素の実動作
時間をカウントするタイムカウンタと、被制御機器の起
動,停止毎に前記設定時間と前記実動作時間との偏差の
積算値Σtp、および設定時間と理論的動作時間との偏
差の積算値Σtsをそれぞれ算出し、これらの各積算値
Σtp,Σtsの比較を行ってその差が予定値よりも大
きい場合、または起動,停止回数と前記積算値Σtpと
の関数の傾きが予定値よりも大きくなった場合に警報信
号を発する演算器とを備えたことを特徴とする。
【0019】請求項2記載の発明は、請求項1記載のシ
ーケンスモニタ装置において、被制御機器を水力発電所
の水車発電機とし、機器要素の動作状態を監視するため
のシーケンスステップを、「運転指令入り」から「入口
弁全開」まで、「入口弁全開」から水車回転数が一定以
上となるまで、その後に発電機電圧が一定以上となるま
で、さらにその後並列となるまでの各ステップに設定
し、この各シーケンスステップにおいて監視される機器
要素を、水路構成機器、水車およびその付属機器、発電
機およびその関連機器、または系統構成機器としたこと
を特徴とする。
【0020】この請求項2記載の発明において監視され
る機器要素としては、例えば「運転指令入り」から「入
口弁全開」までのシーケンスステップにおいては水路構
成機器、特に入口弁の機械的要素および電気的要素が対
象となる。
【0021】「入口弁全開」から水車回転数が一定(例
えば80%以上)となるまでのシーケンスステップにお
いては、フランシス水車およびカプラン水車の場合はガ
イドベーン、ペルトン水車の場合はデフレクタまたはニ
ードルが主として対象となり、その他、駆動機器やその
潤滑系統機器、あるいはガバナ系等の電気系統も対象と
なる。
【0022】水車回転数が一定値に達した後、発電機電
圧が一定(例えば80%以上)となるまでのシーケンス
ステップにおいては、自動電圧調整機、励磁回路、整流
器、初期励磁用の遮断器等が対象となる。
【0023】この後、並列となるまでのシーケンスステ
ップにおいては、自動同期装置、ガイドベーン(または
デフレクタ、ニードル等)、各遮断器等が対象となる。
【0024】本発明においては、これらの各種機器要素
が現実に異常となる前に、傾向察知することができるの
で、未然に機器要素の異常による系統全体の停止および
大掛りな補修作業の手間等を防止することができ、時
間、コストおよび労力等に関して多大な利点が得られる
ようになる。
【0025】請求項3の発明に係るシーケンスモニタ装
置の駆動方法は、請求項1の演算器に予め機器要素の理
論的動作時間と渋滞監視設定時間とを設定しておき、請
求項1のタイムカウンタから得られる実動作時間を前記
演算器に入力して被制御機器の起動,停止毎に渋滞監視
設定時間と実動作時間との偏差を積算し、この積算値Σ
tpと、渋滞監視設定時間と理論的動作時間との偏差の
積算値Σtsとを比較し、前記積算値Σtsよりも前記
積算値Σtpが小さくなっている起動,停止回数ポイン
トにおいて、機器異常信号を出力させることを特徴とす
る。
【0026】請求項4の発明に係るシーケンスモニタ装
置の駆動方法は、請求項1の演算器に予め機器要素の理
論的動作時間と渋滞監視設定時間とを設定しておき、請
求項1のタイムカウンタから得られる実動作時間を前記
演算器に入力して被制御機器の起動,停止毎に渋滞監視
設定時間と実動作時間との偏差を積算し、この積算値Σ
tpと、渋滞監視設定時間と理論的動作時間との偏差の
積算値Σtsとを比較し、前記積算値Σtsよりも前記
積算値Σtpが大きくなっている起動,停止回数ポイン
トにおいて、設定値不適合信号を出力させることを特徴
とする。
【0027】請求項5の発明に係るシーケンスモニタ装
置の駆動方法は、請求項1の演算器に予め機器要素の理
論的動作時間と渋滞監視設定時間とを設定しておき、請
求項1のタイムカウンタから得られる実動作時間を前記
演算器に入力して被制御機器の起動,停止毎に渋滞監視
設定時間と実動作時間との偏差を積算し、起動,停止回
数のある一定間隔のポイント間における渋滞監視設定時
間と実動作時間との偏差の積算値Σtpが起動,停止回
数の増加に伴い小さくなる傾向にある場合に機器異常信
号を出力させることを特徴とする。
【0028】このような本発明に係るシーケンスモニタ
装置およびその駆動方法によれば、各シーケンスステッ
プポイントが遷移する時間を監視し、予め設定してある
時間内にシーケンスステップポイントが遷移しない場合
に渋滞と判定する従来技術の機能に加え、被制御機器の
起動,停止毎に渋滞監視設定時間と実動作時間との偏差
の積算値Σtp、および渋滞監視設定時間と理論的動作
時間との偏差の積算値Σtsをそれぞれ算出し、これら
積算値ΣtpとΣtsとの比較、およびΣtpの傾向を
も監視するようにしたため、シーケンス渋滞に至る潜在
的な機器の異常を早期に発見することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図4を参照
して説明する。なお、本実施例は図1に示すように、水
車発電機の異常検出用シーケンス制御についてのもので
あり、そのうち代表的に「運転指令入り」(1)から
「入口弁全開」(2)までのシーケンスステップ状態に
おける渋滞監視についてのみ説明する。図2(a),
(b)は、本発明の一実施例を示す回路図であり、従来
例の説明で用いた図5と同一の部分には同一符号を付
し、重複する説明は省略する。図3(a),(b)は図
1の作用を説明するためのタイムチャートであり、図4
は同じく図1を説明するための線図である。
【0030】本実施例のシーケンスモニタ装置は基本的
に、図2に示すように、被制御機器としての水車発電機
の起動から停止までの各シーケンスステップにおける現
在のシーケンスステップがどれかを検出するロジック回
路1−1,1−2と、予め設定された渋滞監視設定時間
内に次のシーケンスステップへ遷移しない場合に警報信
号を発するタイマ回路2と、次のシーケンスステップに
遷移するまでの機器要素の実動作時間をカウントするタ
イムカウンタ3と、被制御機器の起動,停止毎に前記設
定時間と前記実動作時間との偏差の積算値Σtp、およ
び設定時間と理論的動作時間との偏差の積算値Σtsを
それぞれ算出し、これらの各積算値Σtp,Σtsの比
較を行ってその差が予定値より大きい場合、または起
動,停止回数と前記積算値Σtpとの関数の傾きが予定
値より大きくなった場合に警報信号を発する演算器4と
を備えた構成とされている。
【0031】詳述すると、図2において、ロジック回路
1−1,1−2は、各シーケンス状態(主に起動制御対
象機器の動作状態を示す)を入力条件として、図1中の
(1)から(2)までのシーケンスステップ状態内にあ
るかを検出する。タイマ回路2は、ONディレイタイマ
を表し、そのタイマの時限設定はtmで与えられる。ロ
ジック回路1−2の後段に、タイムカウンタ3および演
算器4が設けられている。これらタイムカウンタ3およ
び演算器4を除いた部分の作用は、従来の装置と殆ど同
様である。
【0032】ロジック回路1−2の出力信号1−2aは
現在、「運転指令入」(1)から「入口弁全開」(2)
までのシーケンスステップ状態内にあることを示すもの
であり、この出力信号1−2aは、タイムカウンタ3に
入力される。タイムカウンタ3は、図2(b)に示すよ
うに、出力信号1−2aがON状態になった時点で時間
カウントを開始し、シーケンスステップが次ステップに
遷移して、出力信号1−2aがOFF状態になった時点
で時間カウントを中止する。したがって、タイムカウン
タ3では、(1)から(2)までのシーケンスステップ
状態である「運転指令入り」から「入口弁全開」に至る
までの実動作時間tnが算出される。
【0033】さらに、タイムカウンタ3から算出された
実動作時間tnと、タイマ2の時限設定値である渋滞監
視時間設定値tmと、実動作試験時に得られた実動作時
間もしくは設計値から求められた理論的動作時間trと
が、演算器4に入力される。この演算器4では、水車発
電機の起動,停止毎に渋滞監視設定時間tmと実動作時
間tnとの偏差の積算値Σtpの算出、および渋滞監視
設定時間tmと理論的動作時間trとの偏差の積算値Σ
tsの算出が行われる。
【0034】そして、これら積算値ΣtpとΣtsとの
比較が行われ、ある起動,停止回数ポイント(例えば起
動,停止10回毎に比較を実施)において、Σtpの方
がΣtsよりも小さくなっている場合には、機器異常信
号4aを出力する。また、ある起動,停止回数ポイント
(例えば起動,停止回数10回毎に比較を実施)におい
て、Σtpの方がΣtsより大きくなっている場合は、
設定値不適合信号4cを出力する。さらに、ある起動,
停止回数のある一定間隔のポイント(例えば起動,停止
回数の10回目,20回目,……という10回毎のポイ
ント)の、各ポイント間のΣtpが水車発電機の起動,
停止回数の増加に伴い、小さくなる傾向にある場合に
は、機器異常信号4bを出力する。
【0035】次に、本実施例の演算器4によるシーケン
ス渋滞監視方法について、図3および図4を用いて詳細
に説明する。
【0036】図3は、1回の起動における(1)から
(2)までのシーケンスステップ状態でのタイムチャー
トを表したものであり、同図(a)は、(実動作時間t
n>理論的動作時間tr)の場合のタイムチャートを示
し、同図(b)は(実動作時間tn<理論的動作時間t
r)の場合のタイムチャートを示す。
【0037】水車発電機の起動回数を示す変数をiと
し、本実施例の装置が稼働し始めて、1回目の水車発電
機の起動時をi=1とする。実動作時間は、起動回数に
従いtniで定義し、i=1の時の動作時間はtn1と
する。渋滞監視設定時間tmおよび理論的動作時間tr
は予め与えられた固定値である。演算器4では、1回の
起動毎に渋滞監視設定時間tmと実動作時間tniとの
偏差(tm−tni)の算出を行う。そして、水車発電
機の起動回数10回毎に、10回分の偏差の積算値であ
る下記の値、即ち、
【数1】 を算出し、これをΣtp1とする。11回目から20回
目までの偏差の積算値をΣtp2とし、同様に(j−
1)×10回目からj×10回目までの積算値をΣtp
jとする。また、渋滞監視設定時間tmと理論的動作時
間trとの偏差の積算値は、
【数2】 で表わされ、これをΣtsとする。
【0038】以下、上記で得られたΣtpjとΣtsを
用いた渋滞監視方法について説明する。
【0039】(1)実動作時間が理論的動作時間よりも
長くなっている起動状態を検出し、シーケンス渋滞に至
る潜在的な機器の異常を早期に発見する方法。
【0040】図3(a)で示すような(実動作時間>理
論的動作時間)の状態の起動が続いた場合、(tm−t
ni)<(tm−tr)の関係になる状態が多くなるの
で、その積算値も、Σtpj<Σtsの関係になる。実
動作時間を理論的動作時間の±5%程度の裕度で監視す
れば、実動作時間tnは、
【数3】 までの時間超過まで許容できることとなる。一般的にt
mはtrの1.2倍に設定するので、tr=0.83×
tmの関係になり、
【数4】 となる。
【0041】一方、裕度5%を含めた理論的動作時間を
tr′とすると、
【数5】 となり、渋滞監視設定値tmと裕度を含めた理論的動作
時間tr′との偏差は、
【数6】 で表わされる。
【0042】そして、比較基準となる理論的動作時間の
積算値をΣts′とすると、
【数7】 となる。
【0043】したがって、ある任意のj×10回毎の起
動時に、ΣtpjとΣts′を比較し、
【数8】 の関係にあるとき、図2で示すところの「機器異常信
号」4aを出力する。
【0044】また、この場合には、設定値が適正でない
場合も考えられるため、「設定値不適合信号」4cも同
時に出力する。
【0045】(2)実動作時間が理論的動作時間よりも
短くなってきている起動状態を検出し、渋滞監視時間設
定値tmが適正値でないことを発見する方法。
【0046】図6(b)で示すような(実動作時間<理
論的動作時間)の状態の起動が続いた場合、(tm−t
ni)>(tm−tr)の関係になる状態が多くなるの
で、その積算値も、Σtpj>Σtsの関係になる。実
動作時間を理論的動作時間の±5%程度の裕度で監視す
れば、実動作時間tnは、
【数9】 までの時間超過まで許容できることとなる。一般的にt
mはtrの1.2倍に設定するので、tr=0.83×
tmの関係になり、
【数10】 となる。
【0047】一方、裕度5%を含めた理論的動作時間を
tr′とすると、
【数11】 となり、渋滞監視設定値tmと裕度を含めた理論的動作
時間tr′との偏差は、
【数12】 で表わされる。
【0048】そして、比較基準となる理論的動作時間の
積算値をΣts′とすると、
【数13】 となる。
【0049】したがって、ある任意のj×10回毎の起
動時に、ΣtpjΣts′を比較し、
【数14】 の関係にあるとき、図2で示すところの「設定値不適合
信号」4cを出力する。
【0050】(3)実動作時間が起動回数の増加に伴っ
て長くなってきていることを検出し、シーケンス渋滞に
至る潜在的な機器要素の異常を早期に発見する方法。
【0051】実動作時間が起動回数の増加に伴って長く
なってくると、Σtpjは逆に短くなってくる。そこ
で、Σtpj(j=1,2,3,4,……)を水車発電
機起動l×10回毎に記憶し、図4で示すように、横軸
を起動回数、縦軸をΣtpjとしたグラフに展開する。
機器要素に異常がなければ、図4(a)のように回帰直
線を引いた場合、ほぼ傾き0の直線となる。一方、機器
要素にシーケンス渋滞に至る潜在的な異常があった場合
には、図4(b)のように回帰直線を引くと、右下がり
の直線となる。したがって、この右下がり直線の傾きが
予定値よりも大きい場合に、図2で示すところの「機器
異常信号」4bを出力する。
【0052】以上の実施例では、図1で示した起動方向
での(1)から(2)までのシーケンスステップ状態に
おける渋滞監視についてのみ説明したが、その他のシー
ケンスステップ状態、即ち(2)から(3)まで、
(3)から(4)までおよび(4)から(5)までにつ
いても、また停止方向においても同様の方法で渋滞監視
を行なうことが可能である。
【0053】また、前記実施例では本発明によるシーケ
ンスモニタの対象となる被制御機器として水車発電機を
適用したが、本発明はこれに限らず、他の発電機,プラ
ント機器等についても適用することができる。
【0054】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明によれ
ば、被制御機器の起動,停止毎に渋滞監視設定時間と実
動作時間との偏差の積算値Σtp、および設定時間と理
論的動作時間との偏差の積算値Σtsを算出し、これら
の積算値ΣtpとΣtsとを比較し、ΣtpとΣtsと
の差が予定値よりも大きい場合や、Σtpの傾向を監視
し、起動,停止回数とΣtpの関数の傾きが予定値より
も大きくなった場合等に、警報を発するようにしたの
で、シーケンス渋滞に至る潜在的な機器の異常を早期に
発見でき、特に水力発電所の水車発電機制御用として適
用した場合には優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、水車発電機に
適用した場合の起動方向のシーケンスステップを表すブ
ロック図。
【図2】(a)は本発明の一実施例を示すブロック図、
(b)は(a)で使用した記号の説明図。
【図3】本発明の作動を説明するためのタイムチャート
で、(a)は実動時間が理論的動作時間よりも大きい場
合、(b)は実動時間が理論的動作時間よりも小さい場
合をそれぞれ示す。
【図4】本発明の作動を説明するための線図で、(a)
は機器正常時の積算時間Σtpの変化を示し、(b)は
機器異常時の積算時間Σtpの変化を示す。
【図5】(a)は従来のシーケンスモニタ装置の構成例
を示すブロック図、(b)は(a)で使用した記号の説
明図。
【図6】従来のシーケンスモニタ装置の作動を説明する
ためのタイムチャートで、(a)はシーケンスステップ
(1)→(2)の正常動作の場合、(b)はシーケンス
ステップ(1)→(2)で渋滞が発生した場合をそれぞ
れ示す。
【符号の説明】
1−1 回路 1−1a 出力信号 1−2 ロジック回路 1−2a 出力信号 1−3 ロジック回路 1−3a 出力信号 1−4 ロジック回路 1−4a 出力信号 1−5 ロジック回路 1−5a 出力信号 2 タイマ 3 タイムカウンタ 4 演算器 4a 機器異常信号 4b 機器異常信号 4c 設定値不適合信号

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シーケンス制御が行われる被制御機器の
    起動から停止までの各シーケンスステップにおける機器
    要素の動作状態を監視し、その機器要素の動作渋滞を検
    出するシーケンスモニタ装置において、現在のシーケン
    スステップの状態を検出するロジック回路と、予め設定
    された渋滞監視設定時間内に次のシーケンスステップへ
    遷移しない場合に警報信号を発するタイマ回路と、次の
    シーケンスステップに遷移するまでの機器要素の実動作
    時間をカウントするタイムカウンタと、被制御機器の起
    動,停止毎に前記設定時間と前記実動作時間との偏差の
    積算値Σtp、および設定時間と理論的動作時間との偏
    差の積算値Σtsをそれぞれ算出し、これらの各積算値
    Σtp,Σtsの比較を行ってその差が予定値よりも大
    きい場合、または起動,停止回数と前記積算値Σtpと
    の関数の傾きが予定値よりも大きくなった場合に警報信
    号を発する演算器とを備えたことを特徴とするシーケン
    スモニタ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシーケンスモニタ装置に
    おいて、被制御機器を水力発電所の水車発電機とし、機
    器要素の動作状態を監視するためのシーケンスステップ
    を、「運転指令入り」から「入口弁全開」まで、「入口
    弁全開」から水車回転数が一定以上となるまで、その後
    に発電機電圧が一定以上となるまで、さらにその後並列
    となるまでの各ステップに設定し、この各シーケンスス
    テップにおいて監視される機器要素を、水路構成機器、
    水車およびその付属機器、発電機およびその関連機器、
    または系統構成機器としたことを特徴とするシーケンス
    モニタ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の演算器に予め機器要素の理論
    的動作時間と渋滞監視設定時間とを設定しておき、請求
    項1のタイムカウンタから得られる実動作時間を前記演
    算器に入力して被制御機器の起動,停止毎に渋滞監視設
    定時間と実動作時間との偏差を積算し、この積算値Σt
    pと、渋滞監視設定時間と理論的動作時間との偏差の積
    算値Σtsとを比較し、前記積算値Σtsよりも前記積
    算値Σtpが小さくなっている起動,停止回数ポイント
    において、機器異常信号を出力させることを特徴とする
    シーケンスモニタ装置の駆動方法。
  4. 【請求項4】 請求項1の演算器に予め機器要素の理論
    的動作時間と渋滞監視設定時間とを設定しておき、請求
    項1のタイムカウンタから得られる実動作時間を前記演
    算器に入力して被制御機器の起動,停止毎に渋滞監視設
    定時間と実動作時間との偏差を積算し、この積算値Σt
    pと、渋滞監視設定時間と理論的動作時間との偏差の積
    算値Σtsとを比較し、前記積算値Σtsよりも前記積
    算値Σtpが大きくなっている起動,停止回数ポイント
    において、設定値不適合信号を出力させることを特徴と
    するシーケンスモニタ装置の駆動方法。
  5. 【請求項5】 請求項1の演算器に予め機器要素の理論
    的動作時間と渋滞監視設定時間とを設定しておき、請求
    項1のタイムカウンタから得られる実動作時間を前記演
    算器に入力して被制御機器の起動,停止毎に渋滞監視設
    定時間と実動作時間との偏差を積算し、起動,停止回数
    のある一定間隔のポイント間における渋滞監視設定時間
    と実動作時間との偏差の積算値Σtpが起動,停止回数
    の増加に伴い小さくなる傾向にある場合に機器異常信号
    を出力させることを特徴とするシーケンスモニタ装置の
    駆動方法。
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