JP3408126B2 - 線材圧延用ガイド - Google Patents
線材圧延用ガイドInfo
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は線材圧延用ガイド
に関するものであり、さらに具体的には、特に横弾性係
数の小さい材質の線材や、横弾性係数が小さい状態での
線材の圧延（温間又は熱間加工）に適する固定式で潤滑
剤を使用する線材圧延用ガイドに関するものである。
に関するものであり、さらに具体的には、特に横弾性係
数の小さい材質の線材や、横弾性係数が小さい状態での
線材の圧延（温間又は熱間加工）に適する固定式で潤滑
剤を使用する線材圧延用ガイドに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】線材の圧延には、通常２方ロール構造の
スタンド又は３方ロール構造のスタンドが使用されてお
り、一つの圧延ラインは複数のタンデムから構成されて
いる。いずれの構造の圧延スダンドを使用する場合で
も、被圧延線材の断面が比較的小径で圧延ロールも小径
なので、線材を圧延ラインの所定のパス位置に保って圧
延ロールの所定の噛み込み位置に照準させるため、各タ
ンデムごとに圧延ロールの噛み込み位置の前に圧延用ガ
イドが設置されている。
スタンド又は３方ロール構造のスタンドが使用されてお
り、一つの圧延ラインは複数のタンデムから構成されて
いる。いずれの構造の圧延スダンドを使用する場合で
も、被圧延線材の断面が比較的小径で圧延ロールも小径
なので、線材を圧延ラインの所定のパス位置に保って圧
延ロールの所定の噛み込み位置に照準させるため、各タ
ンデムごとに圧延ロールの噛み込み位置の前に圧延用ガ
イドが設置されている。
【０００３】圧延用ガイドには、可動式のものと固定式
のものとがある。可動式の圧延用ガイドは、複数のロー
ラを組み合わせたもので、これらのローラを圧延ロール
の噛み込み位置の前に設置し、この複数のローラによっ
て被圧延線材を保持し、当該被圧延線材を圧延ロール間
に供給する。可動式の圧延用ガイドによれば、各ローラ
が遊転しながら被圧延線材に接触してこれを支持するの
で、被圧延線材との摩擦は小さいが、構造上圧延ロール
の材料噛み込み位置の近傍まで近づけて設置することが
困難で、横弾性係数の小さい材質や断面積の小さい材料
の加工には適さない。
のものとがある。可動式の圧延用ガイドは、複数のロー
ラを組み合わせたもので、これらのローラを圧延ロール
の噛み込み位置の前に設置し、この複数のローラによっ
て被圧延線材を保持し、当該被圧延線材を圧延ロール間
に供給する。可動式の圧延用ガイドによれば、各ローラ
が遊転しながら被圧延線材に接触してこれを支持するの
で、被圧延線材との摩擦は小さいが、構造上圧延ロール
の材料噛み込み位置の近傍まで近づけて設置することが
困難で、横弾性係数の小さい材質や断面積の小さい材料
の加工には適さない。
【０００４】他方、固定式の線材圧延用ガイドは、図５
で示すように、中央部に被圧延線材２を通過させる断面
円形のガイド孔１ａを有しており、この線材圧延用ガイ
ド１を各タンデムの圧延ロール３の噛み込み位置の直前
に設置している。前記圧延用ガイド１におけるガイド孔
１ａの断面積は、被圧延線材２の断面積の３倍前後であ
った。
で示すように、中央部に被圧延線材２を通過させる断面
円形のガイド孔１ａを有しており、この線材圧延用ガイ
ド１を各タンデムの圧延ロール３の噛み込み位置の直前
に設置している。前記圧延用ガイド１におけるガイド孔
１ａの断面積は、被圧延線材２の断面積の３倍前後であ
った。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところで、線材を圧延
する場合には、一連の圧延の過程で断面真円形状の線材
を断面非真円形状に変形させる必要があり、例えば、ラ
ウンド→オーバル→ラウンドの行程が数回繰り返され
る。断面真円形状の線材を断面非真円形状に変形させる
際、２方ロール構造の圧延機を使用すると断面楕円形状
の線材となり、３方ロール構造の圧延機を使用すると、
ほぼ正三角形断面の各辺面が大円弧状に膨らんだ状態の
三つの円弧に囲まれた形状の線材になる。前述のように
断面非真円形状に変形した線材は、次のタンデムの圧延
ロールに噛み込ませる際に安定性が悪く倒れを生じ易い
が、従来の固定式の圧延用ガイドはガイド孔１ａが円形
であるので、前述のような線材の倒れを防止し、断面円
形に加工するのに適する姿勢で線材を支持して次の圧延
ロール間に供給することができなかった。また、前述の
ような固定式の線材圧延用ガイドは、圧延ロール３の噛
み込み側へより近接しているほどその設置効果は大き
く、このように圧延用ガイドを圧延ロールの噛み込み側
へより近接して設置する場合には、被圧延線材の断面積
に対する前記圧延用ガイドのガイド孔の断面積の比を小
さくする必要がある。しかしながら、従来の固定式の線
材圧延用ガイドは、ガイド孔の断面が円形であるため、
前記圧延用ガイドのガイド孔の断面積を被圧延線材の断
面積の２倍以下に設定すると、被圧延線材とガイド孔の
内面とが摩擦して両者間に焼き付が発生し易いという課
題があった。
する場合には、一連の圧延の過程で断面真円形状の線材
を断面非真円形状に変形させる必要があり、例えば、ラ
ウンド→オーバル→ラウンドの行程が数回繰り返され
る。断面真円形状の線材を断面非真円形状に変形させる
際、２方ロール構造の圧延機を使用すると断面楕円形状
の線材となり、３方ロール構造の圧延機を使用すると、
ほぼ正三角形断面の各辺面が大円弧状に膨らんだ状態の
三つの円弧に囲まれた形状の線材になる。前述のように
断面非真円形状に変形した線材は、次のタンデムの圧延
ロールに噛み込ませる際に安定性が悪く倒れを生じ易い
が、従来の固定式の圧延用ガイドはガイド孔１ａが円形
であるので、前述のような線材の倒れを防止し、断面円
形に加工するのに適する姿勢で線材を支持して次の圧延
ロール間に供給することができなかった。また、前述の
ような固定式の線材圧延用ガイドは、圧延ロール３の噛
み込み側へより近接しているほどその設置効果は大き
く、このように圧延用ガイドを圧延ロールの噛み込み側
へより近接して設置する場合には、被圧延線材の断面積
に対する前記圧延用ガイドのガイド孔の断面積の比を小
さくする必要がある。しかしながら、従来の固定式の線
材圧延用ガイドは、ガイド孔の断面が円形であるため、
前記圧延用ガイドのガイド孔の断面積を被圧延線材の断
面積の２倍以下に設定すると、被圧延線材とガイド孔の
内面とが摩擦して両者間に焼き付が発生し易いという課
題があった。
【０００６】この発明の目的は、非円形断面に変形した
被圧延線材を一定姿勢でより安定的に支持して、次の圧
延ロールの噛み込み位置に案内することができる固定式
の線材圧延用ガイドを提供することにある。この発明の
他の目的は、被圧延線材の断面積に対するガイド孔の断
面積比を小さくした場合でも、被圧延線材の表面とガイ
ド孔の内面との焼き付きが生じ難い線材圧延用ガイドを
提供することにある。
被圧延線材を一定姿勢でより安定的に支持して、次の圧
延ロールの噛み込み位置に案内することができる固定式
の線材圧延用ガイドを提供することにある。この発明の
他の目的は、被圧延線材の断面積に対するガイド孔の断
面積比を小さくした場合でも、被圧延線材の表面とガイ
ド孔の内面との焼き付きが生じ難い線材圧延用ガイドを
提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】この発明による線材圧延
用ガイドは、前述の課題を解決するため以下のように構
成したものである。すなわち、請求項１に記載の線材圧
延用ガイドは、圧延ロール３へ噛み込まれる直前の被圧
延線材２を潤滑剤を用いて通過させるガイド孔１０が形
成され、前記ガイド孔１０の断面は前記被圧延線材２の
断面形状とほぼ相似形で非円形であり、前記ガイド孔１
０の断面積は前記被圧延線材２の断面積の１．０２倍以
上２倍以下であることを特徴としている。
用ガイドは、前述の課題を解決するため以下のように構
成したものである。すなわち、請求項１に記載の線材圧
延用ガイドは、圧延ロール３へ噛み込まれる直前の被圧
延線材２を潤滑剤を用いて通過させるガイド孔１０が形
成され、前記ガイド孔１０の断面は前記被圧延線材２の
断面形状とほぼ相似形で非円形であり、前記ガイド孔１
０の断面積は前記被圧延線材２の断面積の１．０２倍以
上２倍以下であることを特徴としている。
【０００８】請求項２に記載の線材圧延用ガイドは、圧
延ロール３へ噛み込まれる直前の被圧延線材２を潤滑剤
を用いて通過させるガイド孔１０が形成され、前記ガイ
ド孔１０の断面は前記被圧延線材２の断面形状とほぼ相
似形で非円形であり、前記ガイド孔１０の内面には溝１
１が形成され、前記溝１１を除いた前記ガイド孔１０の
断面積は前記被圧延線材２の断面積の２倍以下であるこ
とを特徴としている。請求項３に記載の線材圧延用ガイ
ドは、請求項２に記載の線材圧延用ガイドにおいて、前
記ガイド孔１０は断面形状において複数のコーナ部を有
し、前記溝１１は前記ガイド孔１０の長さ方向に沿って
前記コーナ部又は前記コーナ部以外の部分に形成されて
いることを特徴としている。
延ロール３へ噛み込まれる直前の被圧延線材２を潤滑剤
を用いて通過させるガイド孔１０が形成され、前記ガイ
ド孔１０の断面は前記被圧延線材２の断面形状とほぼ相
似形で非円形であり、前記ガイド孔１０の内面には溝１
１が形成され、前記溝１１を除いた前記ガイド孔１０の
断面積は前記被圧延線材２の断面積の２倍以下であるこ
とを特徴としている。請求項３に記載の線材圧延用ガイ
ドは、請求項２に記載の線材圧延用ガイドにおいて、前
記ガイド孔１０は断面形状において複数のコーナ部を有
し、前記溝１１は前記ガイド孔１０の長さ方向に沿って
前記コーナ部又は前記コーナ部以外の部分に形成されて
いることを特徴としている。
【０００９】
【発明の実施の形態】図１〜図３を参照しながら、この
発明による線材圧延用ガイドの好ましい実施形態を説明
する。 第１実施形態 図１はこの発明による第１実施形態の線材圧延用ガイド
を示す部分断面図、図２はその拡大正面図である。線材
圧延用ガイド１の材質は高速度鋼であり、この線材圧延
用ガイド１は、被圧延線材２が圧延ロール３によって噛
み込まれる位置へ近接した部位に設置されている。線材
圧延用ガイド１は、外形が被圧延線材２の移動方向に向
かって円錐台形状に形成されており、中央部には被圧延
線材２の断面形状と相似形で非円形の断面を有するガイ
ド孔１０が形成されている。
発明による線材圧延用ガイドの好ましい実施形態を説明
する。 第１実施形態 図１はこの発明による第１実施形態の線材圧延用ガイド
を示す部分断面図、図２はその拡大正面図である。線材
圧延用ガイド１の材質は高速度鋼であり、この線材圧延
用ガイド１は、被圧延線材２が圧延ロール３によって噛
み込まれる位置へ近接した部位に設置されている。線材
圧延用ガイド１は、外形が被圧延線材２の移動方向に向
かって円錐台形状に形成されており、中央部には被圧延
線材２の断面形状と相似形で非円形の断面を有するガイ
ド孔１０が形成されている。
【００１０】この実施形態において、各タンデムの圧延
スタンドは３ロール構造であるため、最初の圧延スタン
ドの圧延ロールで非円形断面に変形された被圧延線材２
の断面形状は、ほぼ正三角形の各辺面が大円弧状に膨ら
んだ状態の三つの円弧に囲まれた形状であり、前記ガイ
ド孔１０の断面形状は被圧延線材２の断面形状とほぼ同
じになるように形成され、その断面積は被圧延線材２の
断面積の１．０２倍に設定されている。ここにガイド孔
１０の断面積とは、後述の溝１１を除く部分の断面積、
すなわち各溝１１の開口縁を結んだ線（図２の点線）で
囲まれた部分の断面積をいう。前記ガイド孔１０の内壁
面には、各コーナ部の部分と各コーナ部を除く部分へ長
さ方向に沿って多数の溝１１が連続的に形成されてい
る。
スタンドは３ロール構造であるため、最初の圧延スタン
ドの圧延ロールで非円形断面に変形された被圧延線材２
の断面形状は、ほぼ正三角形の各辺面が大円弧状に膨ら
んだ状態の三つの円弧に囲まれた形状であり、前記ガイ
ド孔１０の断面形状は被圧延線材２の断面形状とほぼ同
じになるように形成され、その断面積は被圧延線材２の
断面積の１．０２倍に設定されている。ここにガイド孔
１０の断面積とは、後述の溝１１を除く部分の断面積、
すなわち各溝１１の開口縁を結んだ線（図２の点線）で
囲まれた部分の断面積をいう。前記ガイド孔１０の内壁
面には、各コーナ部の部分と各コーナ部を除く部分へ長
さ方向に沿って多数の溝１１が連続的に形成されてい
る。
【００１１】第１実施形態の線材圧延用ガイド１は、前
記各溝１１を通じて潤滑剤（潤滑油）を供給しつつ被圧
延線材２を圧延することにより、被圧延線材２の表面と
ガイド孔１０の内面との間に十分潤滑剤がゆきわたり、
被圧延線材２の断面積に対するガイド孔１０の断面積比
が小さい場合でも、被圧延線材２の焼き付きが生じるの
を防止することができる。すなわち、被圧延線材２の断
面積に対するガイド孔１０の断面積比が１．０２倍未満
というように極めて小さい場合、前記溝１１が形成され
ていないと、圧延中に潤滑剤を使用しても、ガイド孔１
０の内面と被圧延線材２の表面との間に潤滑剤が十分に
ゆきわたらず、被圧延線材２の焼き付きが生じることが
ある。しかしながら、前記溝１１が形成されていること
により、ガイド孔１０の断面積を拡大することなく潤滑
剤の浸透空間を拡大することができるため、前記焼き付
きの発生が防止される。また、ガイド孔１０は被圧延線
材２の断面形状と相似形の断面を有し、かつ、ガイド孔
１０の断面積は被圧延線材２の断面積との差が小さいた
め、圧延ロール３の噛み込み位置へより近接して設置す
ることができるとともに、被圧延線材２をより安定して
圧延ロール３の噛み込み位置へ案内することができる。
記各溝１１を通じて潤滑剤（潤滑油）を供給しつつ被圧
延線材２を圧延することにより、被圧延線材２の表面と
ガイド孔１０の内面との間に十分潤滑剤がゆきわたり、
被圧延線材２の断面積に対するガイド孔１０の断面積比
が小さい場合でも、被圧延線材２の焼き付きが生じるの
を防止することができる。すなわち、被圧延線材２の断
面積に対するガイド孔１０の断面積比が１．０２倍未満
というように極めて小さい場合、前記溝１１が形成され
ていないと、圧延中に潤滑剤を使用しても、ガイド孔１
０の内面と被圧延線材２の表面との間に潤滑剤が十分に
ゆきわたらず、被圧延線材２の焼き付きが生じることが
ある。しかしながら、前記溝１１が形成されていること
により、ガイド孔１０の断面積を拡大することなく潤滑
剤の浸透空間を拡大することができるため、前記焼き付
きの発生が防止される。また、ガイド孔１０は被圧延線
材２の断面形状と相似形の断面を有し、かつ、ガイド孔
１０の断面積は被圧延線材２の断面積との差が小さいた
め、圧延ロール３の噛み込み位置へより近接して設置す
ることができるとともに、被圧延線材２をより安定して
圧延ロール３の噛み込み位置へ案内することができる。
【００１２】その他の実施形態
図３の（ａ）図及び（ｂ）図は、それぞれその他の実施
形態の線材圧延用ガイドを示す拡大正面図である。図３
の（ａ）図は、線材圧延用ガイド１におけるガイド孔１
０の内壁の各コーナ部に、断面円弧状で断面積の大きい
溝１１を形成するとともに、他の部分に幅が狭く断面積
の小さい溝１１を形成したものである。図３の（ｂ）図
は、線材圧延用ガイド１におけるガイド孔１０の内壁の
各コーナ部にのみ溝１１を形成したものである。図３で
示すような溝１１であっても、第１実施形態の線材圧延
用ガイドと同様な作用，効果を奏する。図３の（ａ）図
及び（ｂ）図の線材圧延用ガイドの他の構成や作用，効
果は、第１実施形態の線材圧延用ガイドと同様であるの
でそれらの説明は省略する。また、圧延ガイドの加工は
ガイドの線材に対する断面積が大きい場合は機械加工に
より、小さい場合でも放電加工等により加工可能であ
る。
形態の線材圧延用ガイドを示す拡大正面図である。図３
の（ａ）図は、線材圧延用ガイド１におけるガイド孔１
０の内壁の各コーナ部に、断面円弧状で断面積の大きい
溝１１を形成するとともに、他の部分に幅が狭く断面積
の小さい溝１１を形成したものである。図３の（ｂ）図
は、線材圧延用ガイド１におけるガイド孔１０の内壁の
各コーナ部にのみ溝１１を形成したものである。図３で
示すような溝１１であっても、第１実施形態の線材圧延
用ガイドと同様な作用，効果を奏する。図３の（ａ）図
及び（ｂ）図の線材圧延用ガイドの他の構成や作用，効
果は、第１実施形態の線材圧延用ガイドと同様であるの
でそれらの説明は省略する。また、圧延ガイドの加工は
ガイドの線材に対する断面積が大きい場合は機械加工に
より、小さい場合でも放電加工等により加工可能であ
る。
【００１３】図４はさらに他の実施形態の線材圧延用ガ
イドを示す拡大正面図である。この実施形態の線材圧延
用ガイド１には、ガイド孔１０の内周面に図２及び図３
の線材圧延用ガイド１におけるような溝が形成されてい
ず、図１の被圧延線材２の断面形状と相似形断面のガイ
ド孔１０は、その断面積が被圧延線材２の断面積の１．
５倍に形成されている。この実施形態の線材圧延用ガイ
ド１は、図１のような状態で使用される場合、被圧延線
材２の表面とガイド孔１０の内面との間に潤滑剤を供給
しつつ被圧延線材２を圧延する。このように使用するこ
とにより、被圧延線材２の表面とガイド孔１０の内面と
の焼き付きが防止される。この実施形態の線材圧延用ガ
イドの他の構成や作用，効果は、第１実施形態の線材圧
延用ガイドとほぼ同様であるのでそれらの説明は省略す
る。
イドを示す拡大正面図である。この実施形態の線材圧延
用ガイド１には、ガイド孔１０の内周面に図２及び図３
の線材圧延用ガイド１におけるような溝が形成されてい
ず、図１の被圧延線材２の断面形状と相似形断面のガイ
ド孔１０は、その断面積が被圧延線材２の断面積の１．
５倍に形成されている。この実施形態の線材圧延用ガイ
ド１は、図１のような状態で使用される場合、被圧延線
材２の表面とガイド孔１０の内面との間に潤滑剤を供給
しつつ被圧延線材２を圧延する。このように使用するこ
とにより、被圧延線材２の表面とガイド孔１０の内面と
の焼き付きが防止される。この実施形態の線材圧延用ガ
イドの他の構成や作用，効果は、第１実施形態の線材圧
延用ガイドとほぼ同様であるのでそれらの説明は省略す
る。
【００１４】図１〜図３の形態の線材圧延用ガイドにお
いて、ガイド孔１０の内周面の溝１１は、前記実施形態
におけるように当該ガイド孔１０の長さ方向に沿って連
続するように形成されているのが望ましいが、各溝１１
が、ガイド孔１０の長さ方向へ螺旋状に形成されていて
も、あるいは、ガイド孔１０の長さ方向に対して断続す
るように形成されていても差し支えない。このような場
合でも、潤滑剤の浸透空間が拡大され、被圧延線材２の
表面とガイド孔１０の内面との間に十分潤滑剤がゆきわ
たるからである。圧延スタンドが２ロール構造である場
合には、非円形断面に変形された被圧延線材２の断面は
ほぼ楕円形になるので、ガイド孔１０の断面形状も被圧
延線材の断面形状に対応して楕円形に形成される。
いて、ガイド孔１０の内周面の溝１１は、前記実施形態
におけるように当該ガイド孔１０の長さ方向に沿って連
続するように形成されているのが望ましいが、各溝１１
が、ガイド孔１０の長さ方向へ螺旋状に形成されていて
も、あるいは、ガイド孔１０の長さ方向に対して断続す
るように形成されていても差し支えない。このような場
合でも、潤滑剤の浸透空間が拡大され、被圧延線材２の
表面とガイド孔１０の内面との間に十分潤滑剤がゆきわ
たるからである。圧延スタンドが２ロール構造である場
合には、非円形断面に変形された被圧延線材２の断面は
ほぼ楕円形になるので、ガイド孔１０の断面形状も被圧
延線材の断面形状に対応して楕円形に形成される。
【００１５】実施例
表１のように、この発明による実施例の圧延用ガイドと
して、サンプルＥｘＮｏ．１〜６を製造するとともに、
比較例の圧延用ガイドとしてサンプルＥｘＮｏ．７〜９
を製造した。３ロール構造、タンデム数８の圧延スタン
ドを使用し、チタン合金のφ８の荒引き線をφ３前後の
線材に圧延する場合の仕上げ圧延ロール前の圧延ガイド
として、前記サンプルＥｘ１〜９の圧延用ガイドを設置
し、圧延用ガイドのガイド孔１０と被圧延線材２との間
に潤滑油を供給しながら、１０分間連続的に熱間圧延
（温度８００℃、圧延速度１２０ｍ／min ）する実験を
行い、材料の倒れの有無や材料の焼き付けの発生などに
ついて調べた。表１において、「断面積比」は被圧延線
材２の断面積（これを１とする）に対する圧延用ガイド
のガイド孔の断面積の比を示している。その結果は表１
のとおりであった。
して、サンプルＥｘＮｏ．１〜６を製造するとともに、
比較例の圧延用ガイドとしてサンプルＥｘＮｏ．７〜９
を製造した。３ロール構造、タンデム数８の圧延スタン
ドを使用し、チタン合金のφ８の荒引き線をφ３前後の
線材に圧延する場合の仕上げ圧延ロール前の圧延ガイド
として、前記サンプルＥｘ１〜９の圧延用ガイドを設置
し、圧延用ガイドのガイド孔１０と被圧延線材２との間
に潤滑油を供給しながら、１０分間連続的に熱間圧延
（温度８００℃、圧延速度１２０ｍ／min ）する実験を
行い、材料の倒れの有無や材料の焼き付けの発生などに
ついて調べた。表１において、「断面積比」は被圧延線
材２の断面積（これを１とする）に対する圧延用ガイド
のガイド孔の断面積の比を示している。その結果は表１
のとおりであった。
【００１６】
【表１】
【００１７】表１の結果によれば、比較例のサンプルＥ
ｘＮｏ．７は、ガイド孔の断面積が被圧延線材の断面積
の２倍を超えているため、材料の倒れが発生して線材を
安定した姿勢で次の圧延ロールへ案内することができな
かった。これに対し、本発明の実施例のサンプルＥｘＮ
ｏ．１，２，６は、ガイド孔の断面積が被圧延線材の断
面積の１．０２倍以上２倍以下であるため、線材を安定
した姿勢で次の圧延ロールへ案内することができ、か
つ、焼き付けなどの不都合は発生しなかった。また、ガ
イド孔の断面積が線材断面積の１．０２倍の場合は、両
者のクリアランスは線材直径が５ｍｍφ以上の場合０．
０５ｍｍ程度は確保され十分な潤滑効果が保たれる。さ
らに、線径が５ｍｍφ未満の場合でクリアランスが小さ
くなった場合でもパス間（ロールとガイドの間）で線材
に上から潤滑油を少し供給する等すれば問題なく圧延で
きる。また、比較例のサンプルＥｘＮｏ．８，９は、ガ
イド孔の断面積と被圧延線材の断面積との差が小さく
（１．０１倍）、ガイド孔の内面へ溝が形成されていな
いため、線材表面とガイド孔の内面との間で焼き付きを
発生した。これに対し、本発明の実施例のサンプルＥｘ
Ｎｏ．３，４，５は、ガイド孔の断面積と被圧延線材の
断面積との差が小さい（１．０２倍）が、ガイド孔の内
面へ溝が形成されているため、前述の焼き付きは発生し
なかった。
ｘＮｏ．７は、ガイド孔の断面積が被圧延線材の断面積
の２倍を超えているため、材料の倒れが発生して線材を
安定した姿勢で次の圧延ロールへ案内することができな
かった。これに対し、本発明の実施例のサンプルＥｘＮ
ｏ．１，２，６は、ガイド孔の断面積が被圧延線材の断
面積の１．０２倍以上２倍以下であるため、線材を安定
した姿勢で次の圧延ロールへ案内することができ、か
つ、焼き付けなどの不都合は発生しなかった。また、ガ
イド孔の断面積が線材断面積の１．０２倍の場合は、両
者のクリアランスは線材直径が５ｍｍφ以上の場合０．
０５ｍｍ程度は確保され十分な潤滑効果が保たれる。さ
らに、線径が５ｍｍφ未満の場合でクリアランスが小さ
くなった場合でもパス間（ロールとガイドの間）で線材
に上から潤滑油を少し供給する等すれば問題なく圧延で
きる。また、比較例のサンプルＥｘＮｏ．８，９は、ガ
イド孔の断面積と被圧延線材の断面積との差が小さく
（１．０１倍）、ガイド孔の内面へ溝が形成されていな
いため、線材表面とガイド孔の内面との間で焼き付きを
発生した。これに対し、本発明の実施例のサンプルＥｘ
Ｎｏ．３，４，５は、ガイド孔の断面積と被圧延線材の
断面積との差が小さい（１．０２倍）が、ガイド孔の内
面へ溝が形成されているため、前述の焼き付きは発生し
なかった。
【００１８】
【発明の効果】請求項１の発明に係る線材圧延用ガイド
によれば、ガイド孔１０が被圧延線材２の断面形状とほ
ぼ相似形で非円形の断面を有し、かつ、ガイド孔１０の
断面積は、被圧延線材２の断面積の１．２０倍以上２倍
以下であるため、圧延ロールの噛み込み位置へより近接
して設置し得て、被圧延線材２をより安定した姿勢で圧
延ロール３の噛み込み位置へ案内することができる。ま
た、圧延時に被圧延線材２の表面とガイド孔１０の内面
との間に潤滑剤を供給しつつ圧延することにより、ガイ
ド孔１０の断面積と被圧延線材２の断面積との比が小さ
くても、被圧延線材２とガイド孔１０の内面との焼き付
けが防止される。
によれば、ガイド孔１０が被圧延線材２の断面形状とほ
ぼ相似形で非円形の断面を有し、かつ、ガイド孔１０の
断面積は、被圧延線材２の断面積の１．２０倍以上２倍
以下であるため、圧延ロールの噛み込み位置へより近接
して設置し得て、被圧延線材２をより安定した姿勢で圧
延ロール３の噛み込み位置へ案内することができる。ま
た、圧延時に被圧延線材２の表面とガイド孔１０の内面
との間に潤滑剤を供給しつつ圧延することにより、ガイ
ド孔１０の断面積と被圧延線材２の断面積との比が小さ
くても、被圧延線材２とガイド孔１０の内面との焼き付
けが防止される。
【００１９】請求項２及び請求項３の発明に係る線材圧
延用ガイドによれば、ガイド孔１０は被圧延線材２の断
面形状とほぼ相似形で非円形の断面を有し、かつ、ガイ
ド孔１０の断面積は、被圧延線材２の断面積の２倍以下
であるため、圧延ロール３の噛み込み位置へより近接し
て設置することができるとともに、被圧延線材２をより
安定した姿勢で圧延ロール３の噛み込み位置へ案内する
ことができる。また、前記各溝１１を通じて被圧延線材
２の表面とガイド孔１０の内面との間に潤滑剤（潤滑
油）を供給しつつ被圧延線材２を圧延することにより、
ガイド孔１０の断面積と被圧延線材２の断面積との比が
非常に小さくても、被圧延線材２の表面とガイド孔１０
の内面との間に十分潤滑剤がゆきわたり、被圧延線材２
の焼き付きが生じるのをより一層よく防止することがで
きる。
延用ガイドによれば、ガイド孔１０は被圧延線材２の断
面形状とほぼ相似形で非円形の断面を有し、かつ、ガイ
ド孔１０の断面積は、被圧延線材２の断面積の２倍以下
であるため、圧延ロール３の噛み込み位置へより近接し
て設置することができるとともに、被圧延線材２をより
安定した姿勢で圧延ロール３の噛み込み位置へ案内する
ことができる。また、前記各溝１１を通じて被圧延線材
２の表面とガイド孔１０の内面との間に潤滑剤（潤滑
油）を供給しつつ被圧延線材２を圧延することにより、
ガイド孔１０の断面積と被圧延線材２の断面積との比が
非常に小さくても、被圧延線材２の表面とガイド孔１０
の内面との間に十分潤滑剤がゆきわたり、被圧延線材２
の焼き付きが生じるのをより一層よく防止することがで
きる。
【図１】この発明による第１実施形態の線材圧延用ガイ
ドを使用した圧延装置の部分断面図である。
ドを使用した圧延装置の部分断面図である。
【図２】図１の圧延装置における線材圧延ガイドの拡大
正面図である。
正面図である。
【図３】（ａ）図は他の実施形態の線材圧延ガイドの拡
大正面図、（ｂ）図はさらに他の実施形態の線材圧延用
ガイドの拡大正面図である。
大正面図、（ｂ）図はさらに他の実施形態の線材圧延用
ガイドの拡大正面図である。
【図４】さらに他の実施形態の線材圧延用ガイドの拡大
正面図である。
正面図である。
【図５】従来の圧延ガイドを使用した圧延装置の部分断
面図である。
面図である。
１ 線材圧延用ガイド
１０，１ａ ガイド孔
１１ 溝
２ 被圧延線材
３ 圧延ロール
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
B21B 39/14
B21B 39/16
B21C 47/34
B21B 1/00 - 11/00
Claims (3)
- 【請求項１】 圧延ロール３へ噛み込まれる直前の被圧
延線材２を潤滑剤を用いて通過させるガイド孔１０が形
成され、 前記ガイド孔１０の断面は前記被圧延線材２の断面形状
とほぼ相似形で非円形であり、 前記ガイド孔１０の断面積は前記被圧延線材２の断面積
の１．０２倍以上２倍以下であることを特徴とする、 線材圧延用ガイド。 - 【請求項２】 圧延ロール３へ噛み込まれる直前の被圧
延線材２を潤滑剤を用いて通過させるガイド孔１０が形
成され、 前記ガイド孔１０の断面は前記被圧延線材２の断面形状
とほぼ相似形で非円形であり、 前記ガイド孔１０の内面には溝１１が形成され、 前記溝１１を除いた前記ガイド孔１０の断面積は前記被
圧延線材２の断面積の２倍以下であることを特徴とす
る、 線材圧延用ガイド。 - 【請求項３】 前記ガイド孔１０は断面形状において複
数のコーナ部を有し、前記溝１１は前記ガイド孔１０の
長さ方向に沿って前記コーナ部又は前記コーナ部以外の
部分に形成されていることを特徴とする、請求項２に記
載の線材圧延用ガイド。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP32133297A JP3408126B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 線材圧延用ガイド |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP32133297A JP3408126B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 線材圧延用ガイド |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11151515A JPH11151515A (ja) | 1999-06-08 |
| JP3408126B2 true JP3408126B2 (ja) | 2003-05-19 |
Family
ID=18131416
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP32133297A Expired - Fee Related JP3408126B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 線材圧延用ガイド |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3408126B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN108941217A (zh) * | 2018-06-14 | 2018-12-07 | 本钢板材股份有限公司 | 一种轧钢线入口导卫的优化方法 |
-
1997
- 1997-11-21 JP JP32133297A patent/JP3408126B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11151515A (ja) | 1999-06-08 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |