JP3407645B2 - 水素ガスの製造方法 - Google Patents

水素ガスの製造方法

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JP3407645B2 JP08349498A JP8349498A JP3407645B2 JP 3407645 B2 JP3407645 B2 JP 3407645B2 JP 08349498 A JP08349498 A JP 08349498A JP 8349498 A JP8349498 A JP 8349498A JP 3407645 B2 JP3407645 B2 JP 3407645B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は亜臨界状態又は超臨
界状態の光反応性半導体粉末が分散した水に光を照射し
て光分解し高圧水素ガスを製造する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、常温常圧の下でTiO2,Z
rO2,SrTiO3,K4Nb617等の光反応性半導体
を触媒として含む水に光を照射して水を光分解し、水素
ガスを触媒表面で発生させる方法が知られている(例え
ば、特開平7−88380,同9−70533,同9−
142804,同10−1301)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし常温常圧の下で
行われる上記従来方法では、触媒表面に水素ガスが付
着して反応効率が低下し、触媒と水を含む反応液中に
水素ガスの気泡が発生するため、反応液内で光が散乱し
て照射光の透過性が悪くなり、触媒に光が当たること
により触媒が反応液中に溶解する光溶解の現象が生じる
ため、絶えず新しい触媒を補給することが必要となり、
また高圧の水素ガスを製造する場合には、発生した水
素ガスを加圧する必要がある等の問題がある。本発明の
目的は、触媒が反応液に溶解して喪失することがなく、
高い反応効率で容易に高圧の水素ガスを製造できる水素
ガスの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は図
1に示すように、水11に光反応性半導体粉末12を均
一に分散した分散液を作る工程と、上記分散液を亜臨界
状態又は超臨界状態にしかつ上記分散液に光を照射して
水11を水素ガスと酸素ガスに分解する工程と、上記水
素ガスと酸素ガスに分解した亜臨界状態又は超臨界状態
の半導体粉末12を含む水11から酸素ガスを取除く工
程と、上記酸素ガスを取除いた亜臨界状態又は超臨界状
態の残部の圧力又は温度のいずれか一方又は双方を低下
させることにより高圧の水素ガスを取出す工程とを含む
水素ガスの製造方法である。亜臨界状態又は超臨界状態
の水11は優れた拡散能力を有するため、触媒として作
用する光反応性半導体粉末12の表面で発生した水素ガ
スは速やかに水と均一相を形成する。この結果、触媒表
面への水素ガスの吸着は少なくなり水素生成効率が増大
する。また亜臨界状態又は超臨界状態の水中では触媒か
ら生じる無機イオンの溶解度が極めて低いため、触媒が
反応液中に溶解して喪失する光溶解の現象が極めて起こ
り難く、触媒の有効利用が可能となる。また特別の加圧
手段を設けることなく高圧の水素ガスが得られる。請求
項2に係る発明は請求項1に係る発明であって図1に示
すように、高圧の水素ガスを取出し、冷却した残液をそ
のまま或は濾過して、分散液に加える水素ガスの製造方
法である。高圧の水素ガスを取出した残液は分散液の一
部として再利用される。
【0005】請求項3に係る発明は図4に示すように、
光反応性半導体金属板49とこれを担持する金属板51
が貼り合わされた隔離板52で仕切られ半導体金属板4
9に面する第1室53と担持金属板51に面する第2室
54にそれぞれ水41を供給する工程と、第1室53及
び第2室54の水41をそれぞれ亜臨界状態又は超臨界
状態にしかつ半導体金属板49に光を照射することによ
り第1室53の水41を酸素ガスに第2室54の水41
を水素ガスにそれぞれ分解する工程と、第2室54で生
じた亜臨界状態又は超臨界状態の水素ガスとを含む水4
1の圧力又は温度のいずれか一方又は双方を低下させる
ことにより高圧の水素ガスを取出す工程とを含む水素ガ
スの製造方法である。光反応性半導体金属板49に光を
照射すると、半導体金属板49上で水が分解して、 H2O + 2p+ → 1/2O2 ↑ + 2H+ となり、第1室53に酸素ガスが発生する。また半導体
金属板49に光を照射すると、担持金属板51上で水が
分解して、 2H+ + 2e- → H2 ↑ となり、第2室54に水素ガスが発生する。亜臨界状態
又は超臨界状態の水は圧力が高いため、水の分子と担持
金属板51との衝突頻度が増大し、水素生成効率が増大
する。また特別の加圧手段を設けることなく高圧の水素
ガスが得られる。請求項4に係る発明は請求項3に係る
発明であって図4に示すように、高圧の水素ガスを取出
した残液を冷却した後、この残液を第1室53及び第2
室54に供給する水41に加える水素ガスの製造方法で
ある。高圧の水素ガスを取出した残液は電解液の一部と
して再利用される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、水の亜臨界状態
とは200〜374℃の温度でかつ160〜215kg
/cm2の圧力にある水の状態を意味する。また水の超
臨界状態とは374〜400℃の温度でかつ215〜3
00kg/cm2の圧力にある水の状態を意味する。亜
臨界状態における温度及び圧力の下限値未満では、反応
が遅く、水の分解効率が良くない。また超臨界状態にお
ける温度及び圧力の上限値を超えると反応容器に負荷が
かかり過ぎ、これも効率的でない。
【0007】本発明の請求項1及び2に係る水素ガスの
製造方法を図1〜図3に基づいて説明する。図1に示す
ように、水(H2O)11と光触媒の光反応性半導体粉
末12を撹拌容器13に入れ撹拌して、水11に光反応
性半導体粉末12を均一に分散した分散液(反応液)を
調製する。光反応性半導体粉末12は酸化チタン、酸化
亜鉛、酸化タングステン、酸化セリウム等の金属酸化物
やRb−Nb,Pb−Nb系の複合金属酸化物等がジル
コニウム、白金、ニッケル等の金属上に担持された構造
の粒径が10〜500μmの微粒子である。上記分散液
はバルブ14を介して水槽16に供給される。この水槽
16に貯えられた分散液はバルブ17を介してポンプ1
8で加圧され、かつプレヒータ19で加熱されて亜臨界
状態又は超臨界状態となって反応容器21に圧送され
る。反応容器21には図1の矢印で示す照射光を透過さ
せるサファイア、ダイアモンド等の材料からなる窓22
が形成されている。照射光としては波長300nm以下
の紫外線が好ましいが、これ以上の波長を有する光でも
使用することができる。こうした光照射源としては水銀
ランプ、ハロゲンランプ等が使用される。反応容器21
の上下両面には反応容器21を加熱するヒータ23が設
けられ、これにより反応容器21内において分散液は亜
臨界状態又は超臨界状態を維持する。
【0008】この状態において光を窓22から反応容器
21内の分散液に照射すると、光は光触媒の光反応性半
導体粉末12の表面において水分子を分解し、次式で示
すように水素ガス及び酸素ガスを生じる。 2H2O → 2H2 + O2 反応容器21で発生した水素ガス及び酸素ガスを含む分
散液は反応容器21から取出され、ヒータ24で所定温
度に加熱された後、脱酸素槽26に送られる。図2に示
すように、脱酸素槽26の内壁には酸素と反応するチタ
ン等の金属の板27が分散液と十分な接触面積を確保で
きるように数多く所定間隔を保って配置されており、そ
の結果、分散液が脱酸素槽26内を通過する間に金属板
27と酸素が反応して分散液中の酸素が除去される。酸
素を除去されて水素ガスを含む分散液は脱酸素槽26か
ら取出され、バルブ28を介して水素と水の分離槽29
へ送られて圧力を降下することにより水と高圧の水素ガ
スに分離される。
【0009】分離された高圧の水素ガスはバルブ31を
介して高圧水素貯蔵槽32に送られて保存される。水素
と水の分離槽29で高圧の水素ガスを分散液から取出し
た残液は冷却器33で冷却された後、フィルタ34に送
られる。残液中に含まれる光反応性半導体粉末12は上
述のように酸化チタン等の金属酸化物をジルコニウム、
白金等の金属上に担持させた構造の微粒子であるため、
反応容器21内で光触媒として使用された後において
は、例えば担持金属の白金と金属酸化物の酸化チタンと
が分離して光触媒としての機能を喪失する場合がある。
このような場合には、分離した担持金属と金属酸化物を
上記フィルタ34で濾過して取り除く。フィルタ34を
通過した残液はポンプ36で加圧されて水槽16に回収
され、反応容器21へ送られる分散液の一部として再利
用される。光反応性半導体粉末12が光触媒としての機
能を喪失していない場合には、水素と水の分離槽29で
高圧の水素ガスを分散液から取出した残液は冷却器33
で冷却された後、フィルタ34に送らないで直接にポン
プ36に送られ加圧されて水槽16に回収され、反応容
器21へ送られる分散液の一部として再利用される。
【0010】図1及び図2に基づく実施態様では脱酸素
槽26は反応容器21の外側に独立して設けられる。し
かしこれ以外にも脱酸素槽26を反応容器21の内側に
反応容器21と一体に設けることも可能である。例えば
図3に示すように、反応容器21内の出口部分に脱酸素
装置37を設けて、反応容器21内で生じた酸素を除去
してもよい。即ち、脱酸素装置37の内壁には酸素と反
応する金属板38が分散液と十分な接触面積を確保でき
るように数多く所定間隔を保って配置されており、反応
容器21で発生した水素ガス及び酸素ガスを含む分散液
が矢印で示すように脱酸素装置37内を通過する間に金
属板38と酸素が反応して分散液中の酸素が除去され
る。この金属板38の材質としてはチタン等が挙げられ
る。酸素を除去されて水素ガスを含む分散液は脱酸素装
置37の出口から矢印で示すように取出され、バルブ2
8を介して水素と水の分離槽29へ送られる。
【0011】本発明の請求項3及び4に係る水素ガスの
製造方法を図4に基づいて説明する。図4に示すよう
に、水(H2O)41をバルブ42を介して水槽43に
供給する。水槽43に貯えられた水41はバルブ44を
介してポンプ46で加圧され、かつプレヒータ47で加
熱されて亜臨界状態又は超臨界状態となって反応容器4
8に圧送される。反応容器48は光反応性半導体金属板
49とこれを担持する金属板51が貼り合わされた隔離
板52で仕切られる。その結果、光反応性半導体金属板
49に面する第1室53と上記担持金属板51に面する
第2室54が形成される。光反応性半導体金属板49の
材料としてはチタン、SrTiO2,BaTiO49
どのTi化合物やNb系の化合物等の半導体金属が挙げ
られる。また担持金属板51の材料としては白金、ジル
コニウム、ニッケル、ロジウム等の金属が挙げられる。
亜臨界状態又は超臨界状態となって反応容器48に圧送
された水41は反応容器48の第1室53と第2室54
にそれぞれ供給される。反応容器48の上下両面には反
応容器48を加熱するヒータ56が設けられ、これによ
り反応容器48の第1室53及び第2室54内において
水は亜臨界状態又は超臨界状態を維持する。反応容器4
8にはサファイア、ダイアモンド等の材料からなる窓5
7が形成されている。
【0012】この状態において、照射光として例えば、
波長300nm以下の紫外線を窓57から光反応性半導
体金属板49の表面に照射すると、光は半導体金属板4
9の表面において水分子を分解して第1室53に酸素ガ
スが発生し、第2室54に水素ガスが発生する。第1室
53と第2室54は隔離板52で仕切られているため、
発生した酸素ガスと水素ガスが混じり合うことはない。
第2室54で発生した水素ガスを含む水は第2室54か
ら取出され、減圧弁58を介して水素と水の分離槽59
へ送られて圧力を降下することにより水と高圧の水素ガ
スに分離される。分離された高圧の水素ガスはバルブ6
1を介して高圧水素貯蔵槽62に送られて保存される。
水素と水の分離槽59で水素ガスから分離された水は冷
却器63で冷却された後、ポンプ64で加圧されて水槽
43に回収され、反応容器48へ送られる水の一部とし
て再利用される。第1室53で発生した酸素ガスを含む
水は第1室53から取出され、酸素と水の分離槽66へ
送られて圧力を降下することにより水と酸素ガスに分離
される。分離された酸素ガスはバルブ67を介して高圧
酸素貯蔵槽68に送られて保存される。酸素と水の分離
槽66で酸素ガスから分離された水は冷却器69で冷却
された後、水槽43に回収され、反応容器48へ送られ
る水の一部として再利用される。
【0013】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、水
に光反応性半導体粉末を均一に分散した分散液を作り、
この分散液を亜臨界状態又は超臨界状態にし光を照射し
て水を水素ガスと酸素ガスに分解し、水素ガスと酸素ガ
スに分解した亜臨界状態又は超臨界状態の光反応性半導
体粉末を含む水から酸素ガスを取除き、酸素ガスを取除
いた亜臨界状態又は超臨界状態の残部の圧力又は温度の
いずれか一方又は双方を低下させることにより高圧の水
素ガスを取出すようにしたので、触媒として作用する光
反応性半導体粉末の表面で発生した水素ガスは速やかに
水と均一相を形成し、触媒表面への水素ガスの吸着は少
なくなり水素生成効率が増大する。また触媒が反応液中
に溶解して喪失する光溶解の現象が極めて起こり難く、
触媒の有効利用が可能となる。
【0014】また本発明によれば、光反応性半導体金属
板とこれを担持する金属板が貼り合わされた隔離板で仕
切られ、半導体金属板に面する第1室と担持金属板に面
する第2室にそれぞれ水を供給し、第1室及び第2室の
水をそれぞれ亜臨界状態又は超臨界状態にしかつ光反応
性半導体金属板に光を照射することにより第1室の水を
酸素ガスに第2室の水を水素ガスにそれぞれ分解し、第
2室で生じた亜臨界状態又は超臨界状態の水素ガスを含
む水の圧力又は温度のいずれか一方又は双方を低下させ
ることにより高圧の水素ガスを取出すようにしたので、
水の分子と担持金属板との衝突頻度が増大し、水素生成
効率が増大する。更に特別の加圧手段を設けることなく
高圧の水素ガスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素ガスの製造装置の構成図。
【図2】図1の装置で脱酸素槽の構造を説明する構成
図。
【図3】脱酸素装置を反応容器の内部に設けた実施態様
を示す構成図。
【図4】本発明の水素ガスの製造装置の別の実施態様を
示す構成図。
【符号の説明】
11,41 水 12 光反応性半導体粉末 16,43 水槽 21,48 反応容器 26 脱酸素槽 29,59 水素と水の分離槽 32,62 高圧水素貯蔵槽 49 光反応性半導体金属板 51 金属板 66 酸素と水の分離槽 68 高圧酸素貯蔵槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 傳 建順 茨城県那珂郡那珂町大字向山字六人頭 1002番地の14 三菱マテリアル株式会社 那珂エネルギー研究所内 (72)発明者 西村 建二 茨城県那珂郡那珂町大字向山字六人頭 1002番地の14 三菱マテリアル株式会社 那珂エネルギー研究所内 (56)参考文献 特開 平7−88380(JP,A) 特開 平9−70533(JP,A) 特開 平9−142804(JP,A) 特開 平10−1301(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 3/06 C01B 3/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水(11)に光反応性半導体粉末(12)を均一
    に分散した分散液を作る工程と、 前記分散液を亜臨界状態又は超臨界状態にしかつ前記分
    散液に光を照射して前記水(11)を水素ガスと酸素ガスに
    分解する工程と、 前記水素ガスと酸素ガスに分解した亜臨界状態又は超臨
    界状態の前記粉末(12)を含む水(11)から酸素ガスを取除
    く工程と、 前記酸素ガスを取除いた亜臨界状態又は超臨界状態の残
    部の圧力又は温度のいずれか一方又は双方を低下させる
    ことにより高圧の水素ガスを取出す工程とを含む水素ガ
    スの製造方法。
  2. 【請求項2】 高圧の水素ガスを取出し、冷却した残液
    をそのまま或は濾過して、分散液に加える請求項1記載
    の水素ガスの製造方法。
  3. 【請求項3】 光反応性半導体金属板(49)とこれを担持
    する金属板(51)が貼り合わされた隔離板(52)で仕切られ
    前記半導体金属板(49)に面する第1室(53)と前記担持金
    属板に面する第2室(54)にそれぞれ水(41)を供給する工
    程と、 前記第1室(53)及び第2室(54)の水をそれぞれ亜臨界状
    態又は超臨界状態にしかつ前記半導体金属板(49)に光を
    照射することにより前記第1室(53)の水を酸素ガスに前
    記第2室(54)の水を水素ガスにそれぞれ分解する工程
    と、 前記第2室(54)で生じた亜臨界状態又は超臨界状態の水
    素ガスとを含む水の圧力又は温度のいずれか一方又は双
    方を低下させることにより高圧の水素ガスを取出す工程
    とを含む水素ガスの製造方法。
  4. 【請求項4】 高圧の水素ガスを取出した残液を冷却し
    た後、この残液を第1室(53)及び第2室(54)に供給する
    水(41)に加える請求項3記載の水素ガスの製造方法。
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WO2003086963A1 (fr) 2002-04-12 2003-10-23 Suntory Limited Procede de fabrication de composes a base d'hydrogene et de carbonyle par la reaction d'eau sous- ou supercritique avec des alcools
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