JP3407562B2 - 高炭素薄鋼板の製造方法および部品の製造方法 - Google Patents

高炭素薄鋼板の製造方法および部品の製造方法

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JP3407562B2 JP24944696A JP24944696A JP3407562B2 JP 3407562 B2 JP3407562 B2 JP 3407562B2 JP 24944696 A JP24944696 A JP 24944696A JP 24944696 A JP24944696 A JP 24944696A JP 3407562 B2 JP3407562 B2 JP 3407562B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はたとえば自動車のバ
ンパーの補強材やドア内部の補強材、すなわち衝突事故
の際の乗員の安全を確保するための安全用部品に適した
薄鋼板とそれを用いた安全用部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のバンパーの補強材やドア内部の
衝突時の補強材(ドアインパクトビーム、またはドアガ
ードバーともいわれる)に、高強度薄鋼板をプレス成形
したものや、鋼管を加工後焼入れ焼戻ししたものなどが
用いられている。自動車の衝突時に乗員の安全を確保す
るためのこのような部品(以下「安全部品」と略称す
る)は、頑丈にすれば安全性は増すが、それにより車体
の重量が増加し燃費が低下するという問題がある。しか
し、これら安全部品は、通常の走行においては殆ど応力
が加わることはなく、万一の衝突事故時に有効に作用す
ればよい。したがって、常時応力が加わることを想定し
た通常の機械構造用部品とは異なった考え方で強度が設
定される。すなわち、十分な強度を維持しつつ、できる
だけ軽量化を計るため、可能な限り高い強度の鋼とした
安全部品が適用されるようになっている。
【0003】強度と重量と経済性のバランスから安全部
品に鋼管を適用する場合には、鋼を高強度化するため、
所定形状に加工後、焼入れ焼戻しすることが多い。しか
し、鋼管では、その形状を自由に設定することができな
い難点がある。これに対し、薄鋼板をプレス成形すれ
ば、ある程度は任意の形状にできるので、このような用
途を目的として、加工のできる強度が 980N/mm2 を超
える薄鋼板が開発されている。
【0004】しかしながら、高強度化された薄鋼板の適
用は、加工性が悪いのでプレス成形による形状に限界が
あり、加工された部品の寸法精度も悪く、プレスの金型
の摩耗が激しい。さらに成形によって生じた残留応力が
大きいため、鋼の強度が高いこととあいまって、プレス
成形後の状態にてしばらく放置しておくと割れる現象、
すなわち遅れ破壊が発生する。これは強度が高くなるほ
ど頻度が増してくる。また、Cの高い焼鈍した薄鋼板を
用い、成形後、焼入れ焼戻しなど熱処理をおこなって所
要強度とする方法も考えられるが、C含有量が増すと加
工性が悪くなって所要形状に成形困難となり、その上薄
鋼板の成形品なので熱処理する際、変形を生じやすい。
このように、安全部品に薄鋼板の成形品を用いかつ高強
度化するには、多くの問題が残されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷間
加工性にすぐれ、かつ熱処理、たとえばプレスクェンチ
後の強度が1150N/mm2 を超える部品を得るための高炭
素薄鋼板を製造する方法と、この鋼板を用いて、自動車
の安全用部品をプレス成形後金型で拘束したプレスクェ
ンチ法による焼入れで製造する方法、を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】薄鋼板で安全部品を作る
場合、任意の形状を精度よく得るため、焼鈍した高炭素
の鋼板をプレス成形し、その後に焼入れ焼戻しなど熱処
理して所要の強度を得る方法が考えられる。しかしなが
ら安全部品の多くは、断面がハット型ないしはそれに近
い形状の梁のような形をしており、それが薄板であるた
め成形後の熱処理で大きく変形する危険性が高い。そこ
で、板厚約 6mm以下の薄鋼板を対象とし、この部品形状
の精度と高強度を両立させる熱処理手段として、プレス
成形により所定形状とした後、金型で拘束しながら焼入
れるプレスクェンチ法を採用することとした。さらに焼
入れ後、通常は焼戻しをおこなうが、工程省略によるコ
スト低減のために、焼入れままで使用できることも配慮
した。
【0007】プレスクェンチ法は通常の焼入れに比し、
冷却速度が遅い傾向があるので、このような焼入れによ
り十分な強度ないしは硬さを得るには、鋼として焼入れ
性を大きくすることが望ましい。焼入れ性を顕著に大き
くする元素はC、Mn、Cr、Mo等であるが、CやM
nは鋼の加工性を大きく低下させるので、薄鋼板のプレ
ス加工を考える時、その含有量を可能な限り低くしてお
く必要がある。ただし、熱処理後の強度はCによりほぼ
定まるため、Cの含有量の幅はかなり限定される。また
微量のBの添加は、Cの含有量の少ない場合加工性を損
なうことなく焼入れ性を向上させることができる。
【0008】このように限定されたC含有量範囲にて、
まず、加工性を損なうことなく焼入れ性を向上させ得る
添加元素とその含有範囲、さらには、加工性確保のため
の焼鈍条件を調査した。その上で、プレスクェンチの条
件についても検討した。その結果、化学組成範囲および
製造方法を限定することによって、目的とする形状と寸
法精度を確保でき、かつ高強度である安全部品が得られ
ることが明らかになった。すなわち本発明の要旨は次の
とおりである。
【0009】(1) 重量割合にてC:0.20〜0.40%、S
i:0.15〜0.35%、Mn:0.20〜0.40%、Cr:0.20〜
0.50%、B:0.0003〜0.0030%、Ti: 0.005〜0.05
%、Nb:0.1 %以下、sol.Al:0.05〜0.10%で、
C、Mn、およびCrの含有量が下記式を満足し、残
部が不可避的不純物およびFeからなる鋼を、Ar3 点
以上の仕上げ圧延および 620℃以下の巻取りにて熱間圧
延し、脱スケール後Ac1 点から「Ac1 点+30℃」ま
での温度範囲にて 1〜20h加熱し、次いで「Ac1 点−
30℃」を下回る温度にまで、20℃/h以下の冷却速度で
冷却する焼鈍をおこなうことを特徴とする高炭素薄鋼板
の製造方法。
【0010】 0.3×C(%)1/2 ×〔 1+ 4×Mn(%)〕×〔 1+ 2×Cr(%)〕 ×{ 1+0.24×〔 0.9−C(%)〕}> 0.7 ・・・・ (2) 重量割合にてC:0.20〜0.40%、Si:0.15〜0.35
%、Mn:0.20〜0.40%、Cr:0.20〜0.50%、B:0.0003
〜0.0030%、Ti: 0.005〜0.05%、Nb:0.1 %以
下、sol.Al:0.05〜0.10%で、C、Mn、およびCr
の含有量が下記式を満足し、残部が不可避的不純物お
よびFeからなる鋼を、Ar3 点以上の仕上げ圧延およ
び 620℃以下の巻取りにて熱間圧延し、脱スケール後A
c1 点から「Ac1 点+30℃」までの温度範囲にて 1〜
20h加熱し、次いで「Ac1 点−30℃」を下回る温度に
まで、20℃/h以下の冷却速度で冷却する焼鈍をおこな
い、さらに圧下率20%以上の冷間圧延後Ac1 点以下の
温度で焼鈍することを特徴とする高炭素薄鋼板の製造方
法。
【0011】 0.3×C(%)1/2 ×〔 1+ 4×Mn(%)〕×〔 1+ 2×Cr(%)〕 ×{ 1+0.24×〔 0.9−C(%)〕}> 0.7 ・・・・ 上記(1) 、(2) の方法で製造された鋼板は、プレス成形
後に熱処理する各種の部品の素材として使用できる。中
でも自動車用安全部品の素材として好適であり、その製
造方法として次の(3) がある。
【0012】(3) 上記 (1)または (2)の方法により製造
した薄鋼板を所定形状に成形加工後、 850℃以上の温度
に加熱し、金型にて拘束しながら 500〜 450℃の温度範
囲まで80〜 150℃/sの冷却速度で冷却後、20〜 150℃
/sの冷却速度で 100℃以下の常温まで冷却するプレス
クエンチ法により熱処理することを特徴とする、1150N
/mm2 以上の引張り強度を有する自動車の衝突時安全用
部品の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施に際し、その形態や
条件の範囲、およびそれを設定した理由を以下に述べ
る。以下の鋼の化学成分の含有量はすべて重量%であ
る。
【0014】I 、鋼の化学組成 C:Cは0.20%を下回る含有量では、プレスクェンチな
ど比較的遅い冷却速度の焼入れにおいて十分な強度が得
られない。一方、0.40%を超える含有量では、十分な焼
鈍をおこなっても加工性は向上せず、やや複雑な形状や
良好な寸法精度の部品成形が困難になってくる。そこで
Cの含有範囲を0.20〜0.40%とする。
【0015】Si:脱酸効果があり、介在物の抑制に効
果があるので添加する。ただし、含有量が多くなると鋼
板の加工性を低下させ、表面性状を悪くするので多すぎ
る含有は好ましくない。したがって、その含有範囲を0.
15〜0.35%とする。
【0016】Mn:焼入れ性向上に対し、効果的かつ経
済的な添加元素であるが、本発明の目的である加工性に
は好ましくない影響をおよぼすため、含有量は多くても
0.4%とする。また、加工性を悪くしない範囲では、で
きるだけ活用したいので、 0.2%以上含有させる。した
がって、その含有範囲は 0.2〜 0.4%とする。
【0017】Cr:焼鈍材の硬さを大幅には増すことな
く、焼入れ性を高めることができるので、 0.2%以上添
加する。しかし多すぎる添加は、やはり硬さを増し加工
性を悪くするので、多くても 0.5%までとする。すなわ
ち、Crの含有範囲は 0.2〜0.5%とする。
【0018】B:本発明の鋼のようにC量のあまり多く
ない範囲では、Bの微量の添加は焼入れ性を大幅に向上
させ、しかも焼鈍材の硬さに殆ど影響しないので、積極
的に活用する。Bの含有量は、0.0003%以下では焼入れ
性向上に効果なく、一方 0.003%を超えて含有させても
焼入れ性向上効果は飽和し、その上鋼の脆化をもたらす
ので、含有範囲を0.0003〜 0.003%とする。
【0019】Ti:鋼中のNはBと結合してBの窒化物
を作りBの焼入れ性向上効果を低減させる。そこでBの
効果を十分発揮させるため、固溶Nを固定する目的でT
iを少量含有させる。その量は少なければ十分にNを固
定できず、多すぎると鋼を硬くしさらには靭性を劣化さ
せるので、 0.005〜0.05%とする。
【0020】Nb:Nbはとくには添加しなくてもよい
が、プレス加工して焼入れする場合、加工度の大きい部
位にて焼き入れの加熱時に粗粒化することがある。この
粗粒化は焼入れ時の変形の原因となるので、粗粒化を抑
止する必要のある場合はNbを添加する。ただし、過剰
の含有は鋼板の加工性を劣化させたり、オーステナイト
粒を必要以上に細粒にして焼入れ性を悪くしたりするの
で、多くても 0.1%までとする。
【0021】sol.Al(酸可溶Al):鋼の脱酸、Nの
固定、さらにはTi添加の歩留まり向上等の目的で添加
する。Tiの添加は、板の加工性低下の点でできるだけ
少ない方が望ましいので、Alを多めに添加してNの固
定も行わせる。この目的に少なくともsol.Alを0.05%
含有させる必要があるが、多すぎると鋼を硬くするの
で、上限は 0.1%とする。すなわち、sol.Alの含有範
囲は0.05〜 0.1%である。
【0022】なお、鋼中に混入してくる不可避的不純物
のうち、Sは非金属介在物となって加工性を悪くし靭性
を劣化させるので、 0.015%以下とするのが望ましい。
同様にNもTiNやAlNとなって加工性や靭性を悪く
するので、 0.008%以下にするのが好ましい。
【0023】また、薄板なので、サイズエフェクトは小
さいが、金型により拘束した状態で焼き入れることや変
形を少なくするため、焼き入れの冷却速度は速くできな
い。そこで、遅い冷却速度でも十分焼き入れできるよう
に、C、MnおよびCrの含有範囲が下記式を満足す
ることとする。
【0024】 0.3×C(%)1/2 ×〔 1+ 4×Mn(%)〕×〔 1+ 2×Cr(%)〕 ×{ 1+0.24×〔 0.9−C(%)〕}> 0.7 ・・・・ II、薄鋼板製造条件 熱間圧延の仕上げ温度および巻取り温度:上述の化学組
成をもつ鋼を薄鋼板とする熱間圧延では、仕上げ圧延終
了温度をAr3 点以上とするが、できるだけAr3 点に
近い温度が望ましい。Ar3 点を下回ると、変形抵抗が
大きくなるばかりでなく不安定に変化して板厚制御が困
難になり、その上、鋼板の結晶粒が異常成長することが
あるためである。またAr3 点を離れて高すぎる仕上げ
温度では、巻取り時に焼きが入りコイルが硬くなってし
まうことがある。
【0025】巻取り温度は 620℃以下とする。これは、
後の焼鈍過程でのセメンタイトの球状化を促進させかつ
均質におこなわせるためである。ただし、巻取り温度の
低すぎは、得られた熱延コイルを異常に硬くしたり、球
状化焼鈍の際のセメンタイトの分散を悪くするので望ま
しくは 520℃程度までである。
【0026】熱延板の球状化焼鈍:熱間圧延して得られ
た鋼板に十分な加工性をもたせるため、球状化焼鈍を施
す。球状化焼鈍は一般に用いられている条件でよいが、
とくに本発明の化学組成範囲の鋼の場合、Ac1 点以上
Ac1 点+30℃の温度範囲に1〜20hの間加熱し、その
後Ac1 点−30℃まで、20℃/h以下の冷却速度で冷却
する条件とする。本発明の対象とする比較的C量の低い
鋼にて、十分な加工性を得るには、 620℃以下の巻取り
温度とこの球状化焼鈍条件の組合せが最適であったため
である。
【0027】冷間圧延および焼鈍:より薄い板厚、また
はより厳しい板厚精度を要求される場合、熱間圧延後さ
らに冷間圧延し焼鈍して板製品とする。この場合、熱間
圧延後冷間圧延してから球状化焼鈍する方法もあるが、
冷間圧延が容易になること、およびプレス加工に好まし
い塑性異方性r値が改善されることから、冷間圧延前の
熱延鋼板にて球状化焼鈍を施す。この球状化焼鈍条件は
上記の方法と同一である。
【0028】冷間圧延の圧下率は20%以上とする。20%
未満では圧延後の板の形状が不安定であり、冷間圧延後
の焼鈍で十分歪みが除去されないためである。望ましい
のは焼鈍後のプレス加工性がよい圧下率の範囲の40〜80
%である。冷間圧延後Ac1点以下の温度で焼鈍する。
焼鈍の方法は通常の冷延鋼板に施される連続焼鈍法また
は箱焼鈍法のいずれでもよい。焼鈍温度はAc1 点を超
えるとセメンタイトが再固溶し、加工性が著しく低下す
る。また焼鈍温度は低すぎると圧延の歪みが十分解放さ
れないので 640℃以上が望ましい。
【0029】III 、安全部品の製造条件 プレスクェンチ条件:本発明は成形後のプレスクェンチ
により、鋼板強度として1150N/mm2 以上の部品を得る
ことを目的とする。プレスクェンチの方法は、部品を 8
50℃以上の温度に加熱し、金型で拘束しながら 500〜 4
50℃の温度範囲まで80〜 150℃/sの冷却速度で冷却
後、20〜 100℃の冷却速度で 100℃以下の常温に冷却す
る。
【0030】薄鋼板から成形加工した部品をまずオース
テナイト域、すなわち 850℃以上に加熱する。この場合
オーステナイト域に達しておればよく、高くしすぎると
粗粒化や酸化が著しくなるので 950℃までが好ましい。
次に金型で拘束しながら油などでの冷却、すなわち焼入
れるが、早すぎる冷却は熱処理歪みの原因となり、他方
金型拘束のため冷却速度を速くできないこともある。形
状によっては冷却速度を遅くすることにより歪みを抑制
できるなら、拘束なしで焼入れをおこなってもよい。ま
た、冷却速度が遅くなると焼きが入らなくなり、目的と
する強度が得られなくなるので、オーステナイト域から
の急速冷却の速度としては80〜 150℃/sとする。
【0031】500〜 450℃の温度範囲まで低下したら、
冷却速度を遅くし常温まで冷却する。 500〜 450℃を下
回る温度での冷却速度は、遅すぎると強度が不十分とな
り、速すぎると歪みが増すので20〜 100℃/sの範囲と
する。この 500〜 450℃を下回りかつ温度の高い間にさ
らにプレスをおこない、形状を修正してもよい。なお、
焼戻しはとくにはしなくてもよいが、強度が高すぎる場
合の修正、または靭性向上のために必要に応じておこな
ってもよい。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕表1に示す10鋼種を転炉にて溶製して連鋳
スラブとし、1250℃に加熱後、仕上熱延を1150℃より開
始し、表中に示す仕上温度および巻取温度で熱延を完了
させ、板厚 2mmの薄鋼板とした。酸洗して脱スケールし
た薄鋼板コイルを、箱型焼鈍炉により水素雰囲気中にて
表中の焼鈍温度まで50℃/hの昇温速度で加熱し、その
温度にて表中に示す時間均熱した。この後、均熱温度か
ら 680℃まで10℃/hの冷却速度で冷却し、その後は室
温まで放冷した。得られた鋼板から JIS13号B型引張試
験片を採取し、強度、伸び、r値を測定した。
【0033】
【表1】
【0034】表2に試験結果を示す。鋼Aによる試験番
号 1は、Cの含有量が本発明範囲外であり、低強度で高
延性を示すが、プレスクェンチ後の強度が十分でない。
鋼Bの試験番号 2は、個々の化学組成の含有量は本発明
範囲内であり加工性も良好であるが、式の値が本発明
で定める範囲を逸脱しており、これもプレスクェンチ後
に十分な強度が得られない。Nb含有量が本発明で定め
る範囲を超える鋼Dの試験 4では、引張強度が 460N/
mm2 を越え、伸びも30%未満となって加加工性が悪くな
っている。また、試験番号 7、 8および 9はいずれも本
発明で定める組成範囲の鋼Gによるものであるが、焼鈍
温度が本発明で定めるAc1 点から「Ac1 点+30℃」
までの温度範囲を逸脱した試験番号 7または 9は焼鈍後
の強度が500N/mm2 を超えている。鋼HまたはIによ
る試験番号10または11は、いずれも強度が高いがこれは
C含有量が多すぎるためである。これらに比し、試験番
号3、 5、 6および 8の本発明範囲の製造方法によるも
のは、強度は低く伸びはおおきく加工性が良好であり、
C量および焼入れ性からプレスクェンチ法にて十分な強
度が得られる。
【0035】
【表2】
【0036】〔実施例2〕表3に示す6種の鋼を転炉に
て溶製して連続鋳造スラブとし、1250℃に加熱して圧延
を開始し、圧延の仕上温度を 800℃、巻取温度を 550℃
として熱間圧延を完了させた。酸洗脱スケールしたコイ
ルを水素雰囲気の箱焼鈍炉にて、均熱温度740℃で12時
間焼鈍し、均熱温度から 680℃まで10℃/h冷却速度で
冷却後放冷した。これらのコイルは、さらに冷間圧延を
おこない、仕上板厚を 1.2mmの薄鋼板とし、次いで箱型
焼鈍炉を用い水素雰囲気中にて焼鈍をおこなった。焼鈍
後のコイルからJIS13B型の引張試験片を採取し、強
度、伸びおよびr値を測定した。
【0037】
【表3】
【0038】表4に熱間圧延、冷間圧延および焼鈍の条
件、さらに得られた鋼板の引張り試験結果を併記する。
これらの結果からわかるように、熱延鋼板ではプレス成
形の絞り性の指標であるr値が常に1を下回っていた
が、冷間圧延および焼鈍をおこなうことにより、1を超
えるものが得られており、絞り性が向上している。
【0039】表4の試験番号12はすぐれたプレス加工性
を示しているが、C含有量が低くプレスクェンチ後に充
分な強度が得られない。試験番号13、14および15は、同
じ鋼にて圧下率を変えたものであるが、圧下率60%のも
のが他の30%または85%の場合よりもr値、伸びともす
ぐれ、圧下率に最適値があることがわかる。試験番号1
7、18および19は、同じ鋼で冷間圧延後の焼鈍温度が異
なるものであるが、焼鈍温度がA1 点を超える試験番号
19の場合、r値および伸びが低下し、強度が高くなって
加工性がよくない。また試験番号21は、強度が高く伸び
が低いが、これはC含有量が本発明の定める範囲を超え
ているからである。
【0040】
【表4】
【0041】〔実施例3〕表1および表2に示した鋼F
の試験番号 6にて試作した鋼板を用い、自動車の衝突時
安全用部品の一つのモデルとして、図1に示す形状の部
品(a)をプレス加工で成形した。この成形品を弱侵炭
性不活性雰囲気中にて 880℃に加熱し、プレス成形時と
同型の金型に投入して、20N/mm2 の押さえ圧を加えな
がら、冷却剤を金型に注入して急冷した。冷却速度は、
490℃までを一次冷却、それを下回る温度での冷却を二
次冷却とし、冷却剤の温度および注入速度を変えること
によって、一次および二次の冷却速度を変えた。このよ
うなプレスクェンチの後、 180℃にて20 minの焼戻しを
おこなった。
【0042】図2に示すように成形品は熱処理の前後に
て、「そり」および「ねじれ」を測定し、熱処理により
生じた歪の大きさを測定した。さらに、中央部の縦壁の
部分から長手方向に平行にJIS13号B型の引張り試験片
を採取し、強度を測定した。
【0043】表5に、プレスクェンチの熱処理条件、歪
の大きさおよび熱処理後の引張り試験の結果をまとめて
示す。これらの結果の比較から明らかなように、冷却速
度が速すぎる場合は強度は大きいが熱処理による歪が大
きく、遅すぎる場合は歪は小さいが強度が不十分であ
る。このように、鋼組成を限定し、熱間圧延後の焼鈍条
件を管理することによりプレス加工性のすぐれた高炭素
の薄鋼板が得られ、さらにこのような鋼板を用いてプレ
ス成形後、冷却速度を本発明の定める範囲内としたプレ
スクェンチを実施することにより、歪が小さくかつ1150
N/mm2 を超える十分な強度を有する自動車用安全部品
が得られることがわかる。
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】本発明は自動車の安全用部品のようにプ
レス成形後熱処理を施して使用するのにきわめて好適な
薄鋼板の製造方法、およびその薄鋼板をプレス成形しプ
レスクェンチ法により熱処理して所要の形状、寸法精度
および強度を有する部品を製造する方法を提供するもの
であり、実用上きわめて有意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の衝突時安全用部品の一つのモデルとし
て成形した部品の形状を示す図で(a)は正面図、
(b)は底面図、(c)は側面図である。
【図2】成形した部品の熱処理後のひずみの測定場所を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 浩行 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−108158(JP,A) 特開 平5−345952(JP,A) 特開 平5−98388(JP,A) 特開 平1−100244(JP,A) 特開 昭61−76619(JP,A) 特公 昭56−47930(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 C21D 8/00 - 8/02 C21D 9/52 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合にてC:0.20〜0.40%、Si:0.
    15〜0.35%、Mn:0.20〜0.40%、Cr:0.20〜0.50
    %、B:0.0003〜0.0030%、Ti: 0.005〜0.05%、N
    b:0.1 %以下、sol.Al:0.05〜0.10%で、C、M
    n、およびCrの含有量が下記式を満足し、残部が不
    可避的不純物およびFeからなる鋼を、Ar3 点以上の
    仕上げ圧延および 620℃以下の巻取りにて熱間圧延し、
    脱スケール後Ac1 点から「Ac1 点+30℃」までの温
    度範囲にて 1〜20h加熱し、次いで「Ac1 点−30℃」
    を下回る温度にまで、20℃/h以下の冷却速度で冷却す
    る焼鈍をおこなうことを特徴とする高炭素薄鋼板の製造
    方法。 0.3×C(%)1/2 ×〔 1+ 4×Mn(%)〕×〔 1+ 2×Cr(%)〕 ×{ 1+0.24×〔 0.9−C(%)〕}> 0.7 ・・・・
  2. 【請求項2】重量割合にてC:0.20〜0.40%、Si:0.
    15〜0.35%、Mn:0.20〜0.40%、Cr:0.20〜0.50
    %、B:0.0003〜0.0030%、Ti: 0.005〜0.05%、N
    b:0.1 %以下、sol.Al:0.05〜0.10%で、C、M
    n、およびCrの含有量が下記式を満足し、残部が不
    可避的不純物およびFeからなる鋼を、Ar3 点以上の
    仕上げ圧延および 620℃以下の巻取りにて熱間圧延し、
    脱スケール後Ac1 点から「Ac1 点+30℃」までの温
    度範囲にて 1〜20h加熱し、次いで「Ac1 点−30℃」
    を下回る温度にまで、20℃/h以下の冷却速度で冷却す
    る焼鈍をおこなってから、さらに圧下率20%以上の冷間
    圧延後Ac1 点以下の温度にて焼鈍することを特徴とす
    る高炭素薄鋼板の製造方法。 0.3×C(%)1/2 ×〔 1+ 4×Mn(%)〕×〔 1+ 2×Cr(%)〕 ×{ 1+0.24×〔 0.9−C(%)〕}> 0.7 ・・・・
  3. 【請求項3】請求項1または2の方法で製造した薄鋼板
    を、所定形状に成形加工後、 850℃以上の温度に加熱
    し、金型にて拘束しながら 500〜 450℃の温度範囲まで
    80〜 150℃/sの冷却速度で冷却後、20〜 100℃/sの
    冷却速度で 100℃以下の常温まで冷却するプレスクエン
    チ法により熱処理することを特徴とする、1150N/mm2
    以上の引張り強度を有する自動車の衝突時安全用部品の
    製造方法。
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