JP3405739B2 - モノクローナル抗体、ポリペプチド及びその製造法 - Google Patents

モノクローナル抗体、ポリペプチド及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は癌転移抑制作用を持つモ
ノクローナル抗体に関する。本発明の抗体は、ヒト癌た
とえば肺癌およびグリア芽細胞腫の転移抑制作用を示
し、癌の予防、治療に使用することが可能である。ま
た、本発明はポリペプチドおよびその製造法に関する。
さらに詳しくは、本発明は癌細胞の運動能に関与するポ
リペプチドに関するものであり、当該ポリペプチドは、
癌細胞、特に肺癌、グリア芽細胞腫およびその他の転移
性癌の転移抑制に使用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】近年、癌による死亡は年々増加している
が、その一方で癌の治療法の開発も急速に進み種類によ
ってはその治療法が確立されつつあるものもある。特
に、ケーラーとミルスタインのモノクローナル抗体作成
に関する発表[Koehler, G. andMilstein, C.,ネイチャ
ー(Nature), 256, 495(1975)]以来、多くの抗癌抗体が
開発され、癌治療薬および診断薬として応用されてい
る。癌治療においてこれらの抗体は、正常組織に損傷を
与えることなく癌細胞に特異的に結合し、これを排除ま
たは損傷させる、いわゆる抗体ミサイル療法に用いら
れ、白血病やリンパ腫などの血液関連の癌ではある程度
の成果を上げている。
【0003】しかしながら、癌の転移に対しては、現
在、ほとんど有効な予防および治療法が見出されていな
い。転移に関与する要因として細胞表面分子、細胞骨
格、プロテアーゼなどが想定され、それらのうち、詳細
が明らかになったものもある。しかし、転移が非常に複
雑なプロセスを経て成立するため、その全容を解明する
には程遠い。現状では転移を抑制する薬剤の開発には癌
転移の in vitro 実験モデル系を使用するのが最も効率
的であると考えられる。その様な系としてケモタキシス
チャンバー(chemotaxis chamber)を用いて、孔径5〜
8μmの均一な穴のあいたフィルター(Nucleopore filt
er;ヌクレオポアメンブレンブィルターなど)を通過す
る細胞数を測定する方法が広く用いられている。この系
を用いて見いだされた癌細胞の転移、例えばその促進に
関与する因子として、autocrine motility factor(AMF)
[プロシージングス オブ ナショナル アカデミー
サイエンス ユー エス エー(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA), 83, 3302−3306 (198
6)]及び ケモタクティックファクター(chemotacti
c factor)[医学のあゆみ, 150, 805-806 (1989)]が報
告されている。 この様な実験系で癌細胞の運動能を抑制
する薬剤を創製することができれば癌の転移抑制薬剤と
して極めて有用であると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】癌の治療において、特
定の癌に対する有効な治療法はいくつか確立されてきて
いる。しかし、癌転移の阻止は困難であり、有効な予防
および治療法の確立が期待されているが、現在そのよう
な方法は皆無である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる技術
的背景のもとに、癌細胞に特異的に結合するモノクロー
ナル抗体の中には、抗原が癌細胞の運動能に関与するも
のであり、これに結合することにより癌の運動性を抑制
する抗体が含まれているものと想定し、癌細胞の運動能
を調べる系で前記のケモタキシスチャンバーを用いてモ
ノクローナル抗体 のスクリーニングを行い、目的にか
なう癌細胞の運動能を抑制するモノクローナル抗体を見
出した。本抗体は癌細胞表面の蛋白質に特異的に結合
し、癌細胞の運動能を抑制する。従って、本抗体によっ
て認識される蛋白質は癌細胞の運動能に非常に重要な役
割を担っているものと推定される。このような蛋白質あ
るいはそのペプチド断片は癌の転移抑制薬剤として極め
て有用であると考え、本発明者らは本モノクローナル抗
体が認識するペプチドのアミノ酸配列を決定するため遺
伝子工学の手法を駆使し、抗原をコードするcDNAを
単離し、さらに、該cDNAを含有するプラスミドを構
築し、該プラスミドで形質転換された形質転換体を作製
して、該形質転換体培養物中より目的のペプチドを取得
することにより本発明を完成した。すなわち本願は、次
の(1)〜(7)の発明を含むものである。 (1)ヒト癌細胞の運動能を抑制する抗ヒト癌モノクロ
ーナル抗体である。詳しくは、本発明の抗体はヒト癌細
胞の運動能に関与する蛋白質を認識抗原とし、ヒト癌細
胞としては特にヒト肺癌細胞およびヒトグリア芽細胞腫
に特異性を有するモノクローナルなIgG好ましくはI
gG1抗体である。 (2)配列番号1のアミノ酸配列を含有するポリペプチ
ド〔以下、Mと略記することがある〕、本ポリペプチド
は上記(1)の抗体により認識され得る。 (3)配列番号1のアミノ酸配列の部分アミノ酸配列を
有し、癌細胞の運動能を抑制するポリペプチド、このポ
リペプチドとしては、配列番号1のアミノ酸配列の部分
アミノ酸配列を有し、癌細胞の運動能抑制作用を示すも
のであればいかなるものであってもよい。例えば、アミ
ノ酸残基番号35から60,113から142,131
から166,163から191等の領域の配列を有する
ポリペプチドが挙げられる。該ポリペプチドは、レセプ
ター機能を担っている部位、細胞膜上および細胞外で他
の蛋白質と相互作用している部位のいずれを選択しても
よい。(4)Mをコードする塩基配列を含有する組み換
えDNA。 (5)上記(4)のDNAを含有するベクター。 (6)上記(5)のベクターで形質転換された形質転換
体。 (7)上記(4)のDNAを含有するベクターで形質転
換された形質転換体を培養し、培養物中にMを生成蓄積
せしめ、これを採取することを特徴とするMの製造法。 上記の組み換えDNAとしては配列番号1のアミノ酸配
列をコードする塩基配列を含有するものであればいかな
るものであってもよいが、例えば配列番号2の塩基配列
を含有するDNAが好ましい。
【0006】本発明の抗体は、癌の治療、特に癌の転移
予防において、 本抗体単独または癌細胞の接着を阻害作
用を有する物質等、作用メカニズムの異なる転移抑制物
質と組み合わせて使用することができる。また、本発明
の抗体に適当な抗腫瘍活性を有する物質、例えばメトト
レキサート、ダウノマイシン、ビンクリスチンやシスプ
ラチンなどの抗癌化学療法剤、あるいは緑膿菌外毒素
A,リシン,アブリン,ジフテリア毒素,ネオカルチノ
スタチンなどの毒素蛋白、さらには腫瘍壊死因子,リン
ホトキシン,インターフェロンなどのサイカトキシンと
結合させ、いわゆるミサイル療法剤として癌治療に用い
ることができる。この場合、本発明の抗体の作用を抑制
しない抗腫瘍活性物質を用いることにより、本発明の抗
体は癌の転移を抑制しつつ細胞を特異的に死滅させうる
点で従来のミサイル療法剤より癌治療において有利であ
る。
【0007】本発明の抗体は、自体公知の方法によって
得られる抗ヒト癌抗体産生ハイブリドーマから得られる
抗ヒト癌抗体より、癌細胞の運動能抑制活性を指標とし
てスクリーニングすることにより得られる。このような
抗ヒト癌抗体産生ハイブリドーマとしては、ヒト癌細胞
と特異的に結合しうる抗体を産生するものであればいず
れでもよく、例えば抗ヒト・トランスフェリン・レセプ
ター(以下、hTfRと略記することがある)MoAb産生
マウスハイブリドーマ22C6[IFO 50172,
FERM BP−2054][特開平2−79970号
公報参照]あるいは抗ヒト腎癌MoAb産生マウスハイブ
リドーマRCS−1[IFO 50184,FERM
BP−2333][WO91−09134公開公報参
照]などが挙げられる。
【0008】これらの抗体産生ハイブリドーマの作製に
あたっては、通常のハイブリドーマ作製法が用いられる
[G. Koehlerら:ネーチャー(Nature),256,49
5(1975)]。例えば癌細胞を常法に従い動物に免疫
し、得られる抗体産生細胞を 骨髄腫細胞などと融合さ
せる方法が用いられる。免疫に用いられる癌細胞として
は例えば、腎癌(AM-RC-3, AM-RC-6, AM-RC-7, SK-RC-
1, SK-RC-9, SK-RC-18),膀胱癌(T-24,KK-47, MGH-U
-1),前立腺癌(DU-145),胃癌(NUGC-2, NUGC-3,NUGC
-4, MKN-28, KATO-III, MRK-1),腸癌(SW-403, SW-62
0, SW-1116, SW-1222, CaOV-4, HT-29),子宮頚癌(ME-
180),メラノーマ(SK-MEL-33, SK-MEL-37),乳癌(MCF
-7),グリオーマ(MG-178),肺癌(Luci-10, Calu-6,P
C-10,ADLC-DA, SBC-3, SCLC-SA, Luci-6, CADO-LC3, O
KADA, QG-56),T細胞白血病(HUT-78,CCRF-CEM, HPB-
ALL, HSB-2, HUT-102, RPMI-8402, P12/Ichikawa, MT-
1,MT-2),B細胞白血病(Raji, Daudi,BALL-1, RPMI-17
88, Ly-16),ヌル細胞白血病(NALL-1, NALM-6, NALM-1
8, KOPN-K, P30/Ohkubo),骨髄腫性白血病(HL-60)な
どが挙げられる。
【0009】また、実際の癌患者、例えば肺癌患者の癌
組織より樹立された癌細胞、例えばMAC8細胞を用い
ることもできる。さらに、本発明抗体の認識する細胞表
面抗原を免疫抗原として用いることにより、本発明抗体
の生産量の向上を期待することができる。このような癌
細胞表面抗原の識別には従来の蛍光抗体法に加え、近
年、発達してきたFACS(蛍光活性化細胞選択装置)
を用いるのが一般的になっている。また、用いる癌細胞
が付着性の細胞の場合、細胞は通常5mM EDTAを
含むPBSを用いて細胞縣濁液を調製する。目的により
トリプシンやコラゲーナーゼなども使用しうる。これら
の方法は例えば、実験書〔続生化学実験講座5免疫生化
学研究法 122頁東京化学同人]記載の方法等を用い
て行いえる。
【0010】免疫動物としては、例えば哺乳動物(例、
ヒト,マウス,ラット,モルモット,ネコ,イヌ,サ
ル,ウサギ,ヒツジ,ヤギ,ハムスターなど),鳥類
(例、ニワトリ,ガチョウ,アヒルなど)などが挙げら
れ、なかでもマウス,ラット,ウサギなどが好ましく、
MoAb製造の場合は特にマウスが好ましい。免疫動物に
誘導される抗体産生細胞としては、抗体を産生する細胞
であれば脾臓,リンパ節,末梢血リンパ球などいずれ由
来のものでもよいが、特に脾臓細胞が好都合に用いられ
る。これらの抗体産生細胞、例えばマウスの場合、4−
10週令のマウスに癌細胞を免疫して、脾細胞を調製す
る。免疫の方法は、通常、リン酸塩緩衝液(以下、PB
Sと略記することがある)で洗浄した生細胞を少量のP
BSに懸濁して1回106〜108個/0.1ml好まし
くは107個/0.1mlをマウス背部,腹 部の皮下あ
るいは腹腔内に投与する。その後、2週間おきに細胞を
2〜5回同様の方法で投与する。最終免疫については、
静脈内投与をおこない、投与後3〜4日目のマウスから
脾細胞を通常の方法に従って調製することができる。
【0011】この抗体産生細胞は増殖性の細胞と融合し
てハイブリドーマとすることにより、安定的に抗体を産
生することが可能になるが、融合相手の細胞としては特
に骨髄腫細胞(例、NS−1,P3−X63−AgU
I,X45,SP2,X68−Ag8など)が好都合に
用いられる。なかでも、特にMOPC21(BALB/
cマウス)由来の骨髄腫細胞、X68−Ag8 および
その改良株が好ましく用いられる。モノクローナル抗体
を作製する場合、これら改良株あるいは他の骨髄腫由来
の細胞株の中からどれかを選んで使用すると、この種の
細胞株は8−アザグアニン耐性であり、ヒポキサンチン
・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼを欠くた
め、HAT培地(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チ
ミジン含有培地)では成育できず、融合後のハイブリド
ーマの選択に有利である。
【0012】細胞融合は公知の方法に従って実施され、
融合剤として、例えばポリエチレングリコール(以下、
PEGと略記することがある),センダイウイルスな
ど、特に好ましくはPEGが用いられる。PEGとして
は、平均分子量1000〜6000のポリエチレングリ
コールが良く、特に好ましくはPEG4000が用いら
れ、濃度は10〜80%好ましくは40〜50%の範囲
で用いる。細胞融合は抗体産生細胞と骨髄腫細胞をRP
MI1640培地で洗い、通常2:1〜10:1の比率
で混合し、室温で700×g,5分間遠心して細胞ペレ
ットを得る。細胞ペレットを37℃の恒温槽で温めなが
らほぐし、予め温めておいたPEG溶液を徐々に加えな
がら良く混ぜる。通常、PEG量は108個細胞当たり
1ml加えられるが、個々のケースで増減しても良い。
ついで、予め温めておいた培地を徐々に滴下、混和し、
PEG濃度を下げる。通常は10分位の時間をかけ1〜
30mlの培地を加える。室温で遠心して細胞を集め、
10%ウシ胎児血清(以下、FCSと略記することがあ
る)を含む培地で脾細胞として1〜2×106/mlの
細胞濃度で96穴プレートに100μlずつ分注する。
一夜放置後、HATおよび10% FCSを含む培地
(HAT培地)100μlを加える。この操作を省略す
るため細胞融合後、細胞をHAT培地に懸濁してまいて
も良い。2〜3週間の間に数回の培地交換を行う。培地
交換の方法としては通常プレートの各穴から培地100
〜200μlを除き、新鮮なHAT培地100〜200
μlを加える。この間、ハイブリドーマの出現が認めら
れれば、出来るだけ早く適当なスクリーニング系を用
い、目的とする抗体を産生しているハイブリドーマの成
育しているウェルを検出する。得られたハイブリドーマ
は直ちに適当な方法でクローニングを行う。
【0013】このような抗癌細胞抗体産生ハイブリドー
マのスクリーニングには、公知の種々の方法が使用でき
るが、例えば癌細胞への指示赤血球の吸着でみる混合血
球凝集反応(以下、MHAと略記することがある),癌
細胞に結合した抗体に補体を介して赤血球が粘着する現
象をみる免疫粘着反応,蛍光標識した第2抗体(通常、
抗免疫グロブリン抗体)で癌細胞を染色し蛍光分析する
免疫蛍光法(以下、IFと略記することがある)あるい
はマイクロプレートに粘着した癌細胞例えば肺癌特異的
モノクローナル抗体のスクリーニングには肺癌細胞株、
例えばA549(ATCC CCL 185)あるいはM
AC8(肺癌細胞株)などへの結合を酵素免疫測定法
(以下、ELISAと略記することがある)でみるCell
−ELISA法などが挙げられる。抗体活性陽性のハイ
ブリドーマは直ちにクローニングに供されるが、通常こ
れは限界希釈法などで容易に実施される。クローン化さ
れたハイブリドーマの培養上清については、上記の方法
でその抗体価を測定し、安定的に力価の高い抗体を産生
するハイブリドーマを選択し、さらに、癌細胞の運動能
を抑制する抗体のスクリーニングを例えば、前記のヌク
レオポアメンブレンブィルターを用いた modified Boyd
en chamber assay [J.Immunol. Methods, 33,239-247(1
980)]あるいは市販の Transwell plate (Costar社)を
用いて行う。このスクリーニングに使用するフィルター
の孔径は実験条件に応じて例えば5μmあるいは8μm
のものを選べば良い。また、使用する癌細胞はメラノー
マ、グリオーマ細胞等がよく用いられるが、他の癌細胞
株から適当な細胞をスクリーニングし使用してもよい。
例えば肺癌細胞からスクリーニングしたMAC10細胞
などを使用することができる。この方法により癌細胞に
対して強い抑制効果を示す抗体を産生するハイブリドー
マを選択することにより、目的とするモノクローナルな
ハイブリドーマを取得することができる。
【0014】該抗ヒト癌細胞モノクローナル抗体の生成
および蓄積は、本発明のハイブリドーマを通常液体培
地、好ましくは無血清培地中もしくはヒト以外の温血動
物(通常はマウス)の腹腔内で培養し実施するが、 とり
わけ高純度の抗体が必要な場合、無血清培地を使用する
ことが望ましい。以下にそれらの培養の例を挙げる。
【0015】液体培地としては、例えば動物細胞培養用
基礎培地[例えば、イスコフ培地とハムF12培地の等
量混合培地(I・H培地)やRPM1−1640培地な
ど]に牛胎児血清などを添加したものあるいはGIT培
地(和光純薬工業株式会社)(特開昭60−14508
8号公報参照)などが挙げられる。培養は通常約3〜6
0日間、好ましくは約5〜10日間、約30〜38℃、
好ましくは約37℃で実施される。マウス腹腔内への移
植については、1匹当り約2×105〜5×107個,好
ましくは約1〜5×106個の抗体産生ハイブリドーマ
を腹腔内に移入し、約10〜35日間の飼育で十分量の
抗体含有腹水液3〜10mlが得られる。
【0016】液体培地あるいは腹水液中の抗体の精製に
ついては、公知の生化学的手法を組み合わせて用いるこ
とによりできる。例えば、該抗体含有液を遠心分離後、
上清液を塩析する(通常は硫酸アンモニウムあるいは硫
酸ナトリウムを用いる)。得られた蛋白沈殿物を適当な
緩衝液に溶解し透析後カラムクロマトグラフィー(DE
AEイオン交換カラム,ヒドロキシアパタイトカラム,
ゲルろ過カラム,プロテインAカラム,プロテインGカ
ラムなど),イムノアフィニティークロマトグラフィー
などに供し、目的とする抗体を分離し、精製することが
できる。以上のような分離および精製操作により、例え
ば500mlの液体培地から蛋白重量比で90%以上の
純度の抗癌細胞MoAbを約5〜30mg得ることができ
る。また50mlの腹水液からは同様の抗体が10〜2
00mg得られる。特に、プロテインAあるいはGカラム
を用いたクロマトグラフィーにゲルろ過カラム担体、D
EAEイオン交換カラム担体、ヒドロキシアパタイトな
どを用いたクロマトグラフィーを組み合わせることによ
りさらに高純度の抗体を得ることができる。これらの精
製抗体標品においては、異種蛋白の含有量は約0.1%
以下であり、医薬としてヒトに投与する場合に好都合で
ある。
【0017】以上のようにして得られたMoAbを蛋白分
解酵素(パパイン,ペプシンなど)処理ならびに還元剤
処理などにより、癌細胞に対する結合能を保持したまま
Fab,Fab′あるいはF(ab′)2 断片を得ることがで
き、本発明のMoAbと同様の目的で用いられる。またこ
れらのハイブリドーマがマウスIgG MoAbを産生する
場合には、該抗癌細胞MoAbの抗原認識部位を含む可変
領域をコードするDNAを取得し、これに遺伝子操作技
術[Steplewski, Z. ら:プロシーディングス・オブ・
ナショナル・アカデミー・サイエンス,ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),85,4852(19
88)]を用いてヒトIgGの定常領域コード する遺伝子
を結合させ、マウス−ヒトキメラ抗体を作製することも
できる。かかるキメラ抗体はヒトへの投与に際し、抗原
性が小さいため有利に用いられる。 本発明の方法によ
り製造される抗癌細胞MoAbは、例えば、メンブレンフ
ィルターなどによるろ過除菌操作後にそれ自体あるいは
適宜の薬理学的に許容されうる担体,賦形剤,希釈剤な
どと混合し、注射剤などとして製剤化することができ
る。このようなMoAb製剤は、特に抗癌剤として、それ
自体の癌転移抑制効果のみならず、しかるべき抗癌剤を
結合させた形、いわゆるミサイル療法剤としても期待さ
れている。また、他の抗ヒト癌抗体同様ヒト癌細胞、特
にヒト肺癌細胞およびヒトグリア芽細胞腫等の検出に利
用できる。さらに、ヒト癌細胞の運動能に関与する本発
明のMのスクリーニング、精製等において有用である。
本発明のMは、後述のように自体公知の遺伝子工学的技
術の組み合わせにより得ることができる。
【0018】すなわち、本発明におけるMをコードする
塩基配列を有するDNAを含有する発現型ベクターは、
例えば、(i)適当なcDNAライブラリーを使いプロ
トブロットイム ノスクリーニングシステムにより目的
とするDNAを含有するファージを単離し、(ii)そのフ
ァージから目的とするクローン化DNAを切り出し、(i
ii)該クローン化DNAをビークル中のプロモーターの
下流に連結することにより製造することが出来る。ベク
ターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR3
22,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草
菌由来プラスミド(例、pUB110,pTB5,pC
194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pS
H15)あるいはファージなどのバクテリオファージお
よびレトロウイルス,ワクシニアウイルスなどの動物ウ
イルスなどが挙げられる。該遺伝子はその5′末端に翻
訳開始コドンとしてのATGを有し、また3′末端には
翻訳終止コドンとしてのTAA,TGAまたはTAGを
有していてもよい。さらに該遺伝子を発現させるにはそ
の上流にプロモーターを接続する。本発明で用いられる
プロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対
応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよ
い。
【0019】例えば、形質転換する際の宿主が大腸菌で
ある場合は、T7プロモーター,trp プロモーター,la
cプロモーター,recプロモーター,λPLプロモータ
ー,lppプロモーターなどが、宿主が枯草菌である場合
は、SP01プロモーター,SP02プロモーター,pe
nPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PH
O5 プロモーター,PGKプロモーター,GAPプロ
モーター,ADHプロモーターなどが好ましい。とりわ
け宿主が大腸菌でプロモーターがtrpプロモーターまた
はλPLプロモーターであることが好ましい。宿主が動
物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター,
レトロウイルスのプロモーターなどが挙げられ、とりわ
けSV40由来のプロモーターが好ましい。
【0020】このようにして作製されたDNAを含有す
るベクターを用いて、形質転換体を製造する。宿主とし
ては、大腸菌,枯草菌,放線菌などの原核生物や酵母,
カビ,動物細胞などの真核生物が挙げられる。上記大腸
菌,枯草菌の具体例としては、たとえば、Escherichia
co li K12DH1〔プロシーディングス オブ ナシ
ョナル アカデミー オブ サイエンス ユー・エス・
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 60,160
(1968)〕,JM103〔ヌクレイック アシッズ
リサーチ(Nucl. Acids, Res.), ,309(19
81)〕,JA221〔ジャーナル オブ モルキュラ
ー バイオロジー(J. Mol. Biol.), 120,517
(1978)〕,HB101〔J. Mol. Biol., 41
4 59(1969)〕およびC600〔ジェネティク
ス(Genetics), 39,440(1954)〕などが挙
げられる。上記枯草菌としては、たとえば Bacillus su
btilis MI114〔ジーン(Gene), 24,255
(1983)〕,207−21〔ジャーナル オブ バ
イオケミストリー(J. Biochem.), 95,87(19
84)〕などが挙げられる。上記酵母の具体例として
は、たとえば Saccharomyces cerevi siae AH22,
AH22R-,NA87−11A,DKD−5Dなどが
挙げられる。上記動物細胞の具体例としては、たとえ
ば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムス
ター細胞CHO,マウスL細胞などが挙げられる。上記
大腸菌を形質転換するには、たとえば Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, ,2110(1972)や Gene,
,107(1982)などに記載の方法に従って行わ
れる。枯草菌を形質転換するには、たとえばモレキュラ
ー アンド ジェネラル ジェネティクス(Molec. Ge
n. Genet.), 168,111(1979)などに記載
の方法に従って行われる。酵母を形質転換するには、た
とえば Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75,1929
(1978)に記載の方法に従って行われる。動物細胞
を形質転換するには、たとえばヴィロロジー(Virolog
y), 52,456(1973)に記載の方法に従って
行われる。このようにして、MをコードするDNAを含
有するベクターで形質転換された形質転換体が得られ
る。
【0021】宿主が大腸菌,枯草菌,放線菌,酵母また
はカビである形質転換体を培養する際、培養に使用され
る培地としては液体培地が適当であり、その中には該形
質転換体の成育に必要な炭素源,窒素源,無機物その他
が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコ
ース,デキストリン,可溶性澱粉またはショ糖など、窒
素源としては、たとえばアンモニウム塩類,硝酸塩類,
コーンスティープ・リカー,ペプトン,カゼイン,肉エ
キス,大豆粕またはバレイショ抽出液などの無機または
有機物質,無機物としては塩化カルシウム,リン酸二水
素ナトリウムまたは塩化マグネシウムなどが挙げられ
る。培地のpHは約5〜8が望ましい。宿主が大腸菌の
場合、用いる培地は、たとえばグルコース,カザミノ酸
を含むM9培地〔Miller, J., エクスペリメンツ イン
モレキュラー ジェネティクス(Exp. Mol. Genet.,
p.431),Cold Spring Harbor Laboratory, New Yor
k, 1972〕が好ましい。培養は通常約14〜43℃
で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加え
ることもできる。宿主が枯草菌の場合、培養は通常約3
0〜40℃で約6〜24時間行い、必要により通気や撹
拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転換体
を培養する際、培地としては、たとえば Burkholder 最
小培地〔 Bostian, K. L. ら,Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 77,4505(1980)〕が挙げられる。培
地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通
常約20〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じ
て通気や撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換
体を培養する際、培地としては、たとえば約5〜20%
のFBSを含むMEM培地〔サイエンス(Science),
122,501(1952)〕,DMEM培地〔 Virol
ogy, ,396(1959)〕,RPMI1640培
地〔ジャーナル オブ ザ アメリカン メディカル
アソシェーション(J. Am. Med. Assoc.), 199,5
19(1967)〕,199培地〔プロシーディングス
オブ ザ ソサイエティ フォア エクペリメンタル
バイオロジー アンド メディシン(Proc. Soc. Exp.
Biol. Med.), 73,1(1950)〕などが挙げられ
る。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約
30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて
通気や撹拌を加える。
【0022】本発明の製造法によりM蛋白質は培養物中
に生成蓄積されるが、採取は細胞内または細胞外のいず
れであってもよい。全分子型Mは主に細胞内で生成する
が、常法によりたとえば適当なリーダーシークエンスを
つけて融合蛋白として分泌させることができる。細胞内
Mを培養物から抽出するに際しては、たとえば細胞内か
ら培養後公知の方法で細胞を集め、塩酸グアニジンや尿
素などの蛋白変性剤を含む緩衝液やトライントX−10
0などの界面活性剤を含む緩衝液中に細胞を懸濁させた
のち、遠心分離によりMを含む上澄液を得る方法、ある
いは超音波処理,リゾチームなどの酵素処理や凍結融解
法によって細胞を破壊したのち、遠心分離によりMを含
む上澄液を得る方法などを適宜用い得る。これらの上澄
み液や細胞外に生成、蓄積したMを分離精製するには自
体公知の分離精製法を適切に組み合わせて実施すればよ
い。これらの公知の分離精製法としては、塩析や溶媒沈
殿法などの溶解度の差を利用する法、透析法、限外ろ過
法、ゲルろ過法およびSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、
アフィティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を
利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの
疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等
電点の差を利用する方法などが挙げられる。特にMは本
発明のモノクローナル抗体、例えば後述の実施例で得ら
れたM31−15により認識されうるので、該モノクロ
ーナル抗体を用いたイムノアフィニティークロマトグラ
フィーが該蛋白質の精製に極めて有効である。
【0023】一方、本発明のMおよびその部分ペプチド
は化学合成することもでき、たとえばペプチド自動合成
装置によって合成することが出来る。この基本的な合成
過程等は R.B.Merrifield 〔アドバンス イン エンザ
イモロジー(Advances inEnzymology)32、221-296(19
69)〕の方法に準じている。この方法は、カルボキシル
末端のアミノ酸を樹脂担体に共有結合させておき、α−
アミノ基の保護基の除去、保護アミノ酸の縮合を順次繰
り返して、アミノ末端に向けてペプチド鎖を延長させ目
的のアミノ酸配列を有するペプチド樹脂を得ることをそ
の原理としている。各アミノ酸の縮合やα−アミノ基の
保護基の除去等は、ほぼ同一の条件でなされ、中間体の
精製も行わない為、合成に際しては一般に高度な熟練は
要求されない。しかもこの方法は迅速であり、種々のペ
プチドを合成するに際し、非常に便利な方法である。こ
うして得られた保護ペプチド樹脂を、例えば無水フッ化
水素、トリフルオロメタンスルホン酸もしくはトリフル
オロ酢酸と種々の添加物の共存下に反応させる事によ
り、ペプチドの樹脂からの脱離と全保護基の除去を一段
階で行うことが出来る。得られたペプチド粗製物は、ペ
プチドまたは蛋白質を精製する公知の手段で精製するこ
とが出来る。例えばゲルろ過、陽イオン交換樹脂もしく
は陰イオン交換樹脂を用いるイオン交換クロマトグラフ
ィ−、さらには疎水クロマトグラフィ−、分配吸着クロ
マトグラフィ−等、種々の原理によるカラムクロマトグ
ラフィ−や高速液体クロマトグラフィ−が挙げられる。
このようにして得られた本発明のポリペプチドは種々の
塩の形で得られる。塩としては、例えば無機酸や、蟻
酸、酢酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸との塩、もし
くはナトリウムやアンモニアなどの無機塩基や、トリエ
チルアミン、エチルアミン、メチルアミン等の有機塩基
との塩が挙げられる。このようにして得られる本発明の
ポリペプチドは、癌などの治療薬として用いることがで
きる。本発明のポリペプチドを医薬として用いるには、
そのまま粉末として、または他の薬理学的に許容されう
る担体、賦形剤または希釈剤とともに医薬組成物(例、
注射剤、錠剤、カプセル剤、液剤、軟膏)として、温血
動物(例、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサ
ギ、犬、ネコ)に対して非経口的または経口的に安全に
投与することができる。注射剤の製剤化は、たとえば生
理食塩水またはブドウ糖やその他の補助薬を含む水溶液
を用い、常法に従って行なわれる。錠剤、カプセル剤等
の医薬組成物も常法に従って調製しうる。本発明のポリ
ペプチドを上記した医薬として用いる場合には、たとえ
ば上記した温血動物に、投与ルート、症状などを考慮し
て、1日量約1μgないし1mg/kg中から適当量を
選んで投与される。
【0024】なお、本願明細書や図面において、塩基や
アミノ酸などを略号で表示する場合、 IUPAC-IUB Commi
sion on Biochemical Nomenclature による略号あるい
は当該分野における慣用略号に基づくものであり、その
例を次に挙げる。またアミノ酸に関して光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL−体を示すものと
する。また特にことわらない限り配列の左から右への方
向は、アミノ酸配列ではN末端からC末端への方向を、
塩基配列では5′末端から3′末端への方向をそれぞれ
表す。なお、本発明のMにおいてはそのアミノ酸配列の
一部(たとえば5%程度まで)が修飾(付加、除去、そ
の他のアミノ酸への置換など)されていてもいい。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :2′−デオキシアデニル酸残基 T :チミジル酸残基 G :2′−デオキシグアニジル酸残基 C :2′−デオキシシチジル酸残基 RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーRNA dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム FBS :ウシ胎児血清 GlyまたはG :グリシン AlaまたはA :アラニン ValまたはV :バリン LeuまたはL :ロイシン IleまたはI :イソロイシン SerまたはS :セリン ThrまたはT :スレオニン CysまたはC :システイン MetまたはM :メチオニン GluまたはE :グルタミン酸 AspまたはD :アスパラギン酸 LysまたはK :リジン ArgまたはR :アルギニン HisまたはH :ヒスチジン PheまたはF :フェニールアラニン TyrまたはY :チロシン TrpまたはW :トリプトファン ProまたはP :プロリン AsnまたはN :アスパラギン GlnまたはQ :グルタミン
【0025】
【実施例】以下に参考例,実施例および試験例を挙げて
本発明を具体的に説明するが、これらが本発明の範囲を
制限するものではないことは言うまでもない。なお、参
考例および実施例に開示するハイブリドーマおよび形質
転換体は、以下のとおり財団法人発酵研究所(IFO;
大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号)およびブタ
ペスト条約に基づいて通商産業省微生物工業技術研究所
(FRI;茨城県つくば市東1丁目1番3号)にそれぞ
れ寄託されている。 ───────────────────────────────── IFO FRI 名 称 (IFO No.) (FERM BP No.) ───────────────────────────────── マウスハイブリドーマ 50324 3340 M31−15 (1991.4.2) (1991.4.9) Escherichia coli 15165 3357 DH5αF'IQ/pTB1352 (1991.4.9) (1991.4.15) ハムスターフィブロブラスト 50365 3746 CHO/M−1 (1992.1.31) (1992.2.13) Escherichia coli 15259 3745 DH1/pTB1442 (1992.2.5) (1992.2.10) ───────────────────────────────── 表中( )内は寄託日を示す。
【0026】参考例1 MAC8細胞の樹立 ヒト肺癌患者より摘出した癌組織片をリン酸緩衝液(P
BS)(137mM NaCl,2.7mM KCl,8.1m
M Na2HPO4,1.5mM KH2PO4; pH7.4)
で洗ったのち、はさみで1〜2mm角に細切した。得られ
た細片をヌ ードマウスの皮下に移植し1〜2週間後に
腫瘍の増殖のみられたヌードマウスから腫瘍を摘出し、
PBSで洗ったのちはさみで1〜2mm角に細切した。つ
いで0.25%トリプシンを含むPBSで10分間消化
した。最初の消化液は捨て2度目,3度目の消化液を集
め、遠心(700×g,5分間)により細胞を10%F
BSを含RPMI1640培地で洗ったのち同培地にて
培養しヒト肺癌細胞株MAC8を樹立した。ついで樹立
した細胞株は、限度希釈法によるクローニングに付し
た。
【0027】参考例2 抗癌抗体のELISA 参考例1で樹立した肺癌細胞株MAC8を4×105
/mlの濃度でRPMI1640−10%FBS培地に
懸濁し100μlずつ96穴のマイクロプレートにま
き、37℃のCO2インキュベーターで一晩培養した。
翌日プレートを 50mMトリスバッファー(pH7.
4)で3回洗った後、プレートの各穴に被検培養上清1
00μlを加え37℃で1時間加温した。プレートを4
回洗った後、ビオチン化ヤギ抗マウスイムノグロブリン
と1時間反応させた。プレートを4回洗った後、アビジ
ンビオチン化パーオキシダーゼ(Vectastatin)を加え
1時 間反応させた。プレートを4回洗った後、オルト
フェニレンジアミン溶液(1mg/ml,0.5μl過
酸化水素水,5.1mgクエン酸,18.4mg Na2
HPO4・12H2O/ml)50μlを加え10分間発
色させた。2N H2SO4100μlを加え、96穴マ
イクロプレート用吸光光度計を用い45 0nmの吸光
度を測定した。
【0028】実施例1 モノクローナル抗体の製造 (1)マウス脾細胞の調製 参考例1で得られたMAC8細胞のPBS懸濁液(1×
107個/0.2ml/マウス)を Balb/c マウス
(雌8週令)の腹腔内に投与し、2、3、4および7週
間後に追加免疫した。7週間後の免疫は静脈内投与し
た。最終免疫3日後のマウスから脾臓を取り出し、無菌
的に脾細胞懸濁液を調製した。 (2)細胞融合 (1)で得たマウス脾細胞懸濁液(2×108個)にマ
ウスミエローマ細胞株 SP2懸濁液(5×107個)を
混ぜ700×gで5分間遠心し細胞ペレットを得た。細
胞ペレットに1mlの50%ポリエチレングリコール4
000溶液(Sigma Chemical Island,NY)を2分間
にわたり混和しながら徐々に滴下した。引き続き2分間
隔で各々1,1.5,2,3,4,5 mlのRPMI
1640培地を順次加え、ポリエチレングリコール濃度
を徐々に下げた。700×g,5分間遠心して細胞を集
め、RPMI1640培地で細胞を洗ったのち細胞を1
0%FBS/HATを添加したRPMI1640培地に
懸濁(107個/ml)し、96 穴プレートの各穴に1
00μlずつまいた。2,5,10日後に培地の半量を
新鮮なHAT培地に交換し、21日目に培養上清100
μlを取り、参考例2に記載のELISAにより抗体の
スクリーニングを行った。 (3)限度希釈法 前記(2)でスクリーニングしたハイブリドーマをHA
T培地で培養し、細胞数を5個/mlに希釈し96穴の
組織培養用プレートに100μlずつ分注し培養した。
単一コロニーで増殖の認められたウェルの培養液の抗体
産生能を参考例2に記載のELISAに従い調べ、単一
クローン細胞を得た。 (4)癌細胞運動能抑制抗体のスクリーニング Transwell plateの下室部に前記(3)で得たハイブリ
ドーマの培養上清0.6mlを加え、ヌクレオポアメン
ブレンフィルター(孔径5μm)の上に肺癌細胞株MA
C10の懸濁液(5×105/ml;RPMI1640
−10%F BS)0.1mlを入れCO2インキューベ
ーターで37℃、16時間培養した。ヌクレオポアメン
ブレンフィルターを通過し、プレートの底に沈んだ細胞
数を位相差顕微鏡を用いて計測した。前記(3)で得た
ハイブリドーマ135個をスクリーニングし、強い抑制
活性を持つマウスハイブリドーマ(M31−15)を選
びだした。 (5)抗体の調製 BALB/cマウス(雌、10週令)5匹の腹腔に0.
1mlのプリスタン(ミネラルオイル;和光純薬)を投
与し、2週間後ハイブリドーマM31−15の懸濁液
(2×107個/ml)0.5mlを各々のマウスの腹腔
に投与した。14日後マウスより腹水を回収し、150
0rpm、10分遠心して細胞を除き、さらに1800
0rpm、60分遠心し、次いでガラスフィルター(ワ
ットマンGF/C)およびマイレクスGV(0.22μ
m,ミリポア)フィルターを通し、濾 過 滅菌して腹水
28.5mlを得た。腹水からのIgG抗体の精製には
MAPSIIキット(プロテインAカラム;バイオラド
製)をもちいた。腹水0.5mlに binding buffer 0.
5mlを加え、混合液0.5mlをプロティンAカラム
(Affiprep;30×4.6mm)に吸着させ、バリアン
社製高速液体クロマトグラフィーを用い以下の溶出プロ
グラムに従って溶出を行った。 溶出溶媒A:binding buffer;溶出溶媒B:PBS
〔8.1mM Na2HPO4,1.5mM KH2PO4
137mM NaCl,2.7mM KCl(pH7.
4)〕;溶出溶媒C:elution buffer; 溶出プログラ
ム:0分 100%A;3分 100% A;3.01
分 100% B;15分 100% B;15.01
分 100% C;20分 100% C;20.01
分 100%B;溶出速度:0.8ml/min;検出
波長:280nm;ループ:1mlカラムから溶出され
たIgG抗体は直ちにPBSに対する透析を行い、次い
でマイレクスGVフィルター(ミリポア社)を通して濾
過滅菌し、精製マウス抗ヒト癌抗体M31−15(Ig
1)0.4mgを得た。
【0029】実施例2 モノクローナル抗体の特異性 M31−15抗体の癌細胞に対する結合性はFACSt
ar(Becton Dickinson)を用いて測定を行った。付着
細胞株は0.125%トリプシンを含むPBS/0.02
%EDTA溶液ではがしRPMI1640−10%FB
S培地で洗った後、細胞を1×106個/mlの濃度で
0℃,1時間保温した。精製M31−15抗体(終濃度
1μg/ml)を加え0℃で1時間反応させた。細胞を
PBS−0.1% NaN3で3回洗ったのちFITC−
標識抗マウスIgG(H+L)抗体(20倍希釈)10
0μlで0℃,30分間反応させた。PBS−0.1%
NaN3で洗った後、細胞を2mlのPBS−0.1%Na
3に懸濁し、FACStarを用いて解析した。M3
1−15抗体は、肝癌細胞、一部のリンパ系癌細胞を除
きほとんどの癌細胞に結合した〔表1〕。
【表1】 細胞株 染色例 陽性 ────────────────────────── 肺癌 4 4 胃癌 2 2 膵癌 2 2 乳癌 2 2 肝癌 2 0 結腸癌 1 1 子宮頚癌 1 1 類表皮癌 1 1 メラノーマ 1 1 グリオーマ 1 1 リンパ系癌細胞 9 4 繊維芽細胞 4 2 ──────────────────────────
【0030】実施例3 M31−15抗体の不溶化 実施例1−(5)に記載の方法に準じて得た精製モノク
ローナル抗体0.48mgを1Lの0.1M NaHCO3
(pH 8.4)に対して一晩透析した。AffiGel
10(バイオラド社)2mlを使用説明書に従って洗
い、抗体と4℃で24時間反応させてM31−15抗体
を不溶化したのち、ゲルを0.1M トリス緩衝液(p
H 8.1)10mlで洗い、同バッファー中で4℃, 3
日間放置し、残存する活性基をブロックしたのち、ゲル
をPBSで洗った。コントロールゲルとして抗体を含ま
ないバッファーを用い同様の処理をしたゲルを調製し
た。
【0031】実施例4 不溶化M31−15抗体の抗原
結合活性の確認 MIA PaCa−2細胞をRPMI1640−10%
FCS培地を用いてローラボトル(コーニング2524
0)で培養した。細胞をスクレイパーではがし0.1M
トリス緩衝液(pH 8.1)で2回洗ったのち1% ト
ライトン X114/0.1M トリス/10mM EDT
A/0.2mM p-APMSF((p-amidinophenyl)meth
anesulfonyl fluoride hydrochloride;和光純薬)/
(2U/ml)Trasylol(pH8.1)2ml
を加え氷中で1 0分間可溶化した。遠心上清(150
00rpm,10分)を37℃で10分間加温し、室温
で3000rpm,10分間遠心した。上層を捨て下層
に0.1M トリス緩衝液(pH 8.1)2mlを加え、
室温で10分間遠心した。下層に1% CHAPS(3-
〔〔3-cholamidopropyl〕dimethylammonio〕-1-propans
ulfonat;Boehringer Mannheim)/0.1M トリス(p
H 8.1)0.5mlを加え4℃で15000rpm,
30分遠心し上清約0.9mlを得た。上清5μlをエ
ッペンドルフチューブにとり、PBS 15μl,実施
例3で得られたM31−15抗体結合AffiGel
10 約10μlを加え室温で1時間反応させた。30
00rpm,10分遠心し、上清をマイクロシリンジで
回収しSDS−PAGEついでウェスタンブロットに付
した。ゲルに結合した抗原は10% SDS 5μl,1
% DTT 5μl泳動用バッブァー10μlを加え沸騰
水中で5分間加熱し溶出した。抗原はコントロールゲル
ではゲルに結合せず上清に回収されたが、M31−15
抗体結合ゲルの場合、上清には残らず全てゲルに吸着し
た〔図1〕。
【0032】試験例1 モノクロ−ナル抗体M31−1
5によるin vivo転移の抑制 フラスコに培養したMAC8細胞をトリプシンではがし
たのち10% FBS/RPMI1640培地で1回、
ついでRPMI1640で2回洗ったのち2あるいは6
×105個をBALB/c nu/nuマウスに尾静脈から
iv投与した。参考例1で得られたモノクロ−ナル抗体
M31−15の転移抑制効果を見るため、癌細胞投与3
時間後M31−15、50μgを尾静脈からiv投与し
た。3カ月後肺に転移した癌細胞のコロニ−数を数え
た。結果を〔表2〕に示す。抗体投与により転移コロニ
−数に顕著な減少が認められた。
【表2】 ──────────────────────────── 転移陽性例/例数 平均コロニ−数 ──────────────────────────── 抗体非投与群 6/7 54.4 抗体投与群 3/4 1.8 ────────────────────────────
【0033】 試験例2 精製M31−15抗体による運動能の抑制 (1)MAC10細胞の運動能の抑制 MAC10細胞は培養フラスコから0.01%EDTA
を含むPBSではがしRPMI1640−10%FCS
培地で洗った後、5×105/mlの濃度に懸濁した。T
raswell plate(Costar)の下室にRPMI1640−
10% FCS培地および精製M31−15抗体(0−
10μg)0.6mlを加え、上室に0.1mlのMA
C10細胞懸濁液を加え、37℃で16時間培養した。
メンブレンを通過して下室の培地中に遊走した細胞を集
め、遠心により濃縮し、96穴マイクロプレートに移し
て位相差顕微鏡により細胞数を計測した。〔図2〕に示
す様に抗体濃度0.1μg/mlで50%の運動能の抑
制が見られた。 (2)T98G細胞の運動能の抑制 T98G細胞をMEM−10%FCS(1%非必須アミ
ノ酸および1%ピルビン酸ナトリウムを添加)培地を用
い75cm フラスコ(コーニング25110)で培養
した。細胞が密に単層を形成したのち培地を捨て、血清
を含まない上記培地で2回洗ったのち3mlの培地を加
え37℃で24時間培養した。培養上清を集め、150
0rpm,5分の遠心により細胞を除きケモタクティッ
クファクター(chemotactic factor)を得た。マイクロ
ケモタキシスチャンバー(アカデミカ)の下室に粗ケモ
タクティックファクターおよび精製抗体(0−1μg/
ml)の混液30μlを入れ、孔径8μmのヌクレオポ
アメンブレン(PVPF)を乗せ上室にT98G細胞懸
濁液2.5× 104/50μlを加え37℃で4時間培
養した。メンブレン上面の細胞を除き、メンブレンを通
過し、メンブレン下面に接着している細胞をDiff−
Quick(ミドリ十字)で染色した。40倍の対物レ
ンズを用い0.25mm四方の2視野の細胞数を計測し
た。結果は〔表3〕に示すとおりであった。本抗体は
0.1μg/mlの濃度でT98G細胞の運動能を50
%以上阻害した。
【表3】 ケモタクティックファクター M31−15抗体 遊走細胞数 (μg/ml) − − 0 + − 128 + 0.1 42 + 0.5 6 + 1.0 4 ─────────────────────────────────
【0034】試験例3 不溶化M31−15抗体による
ケモタクティックファクターの吸収実施例3で得たゲル
約20μlをスパッテルでエッペンドルフチューブ(3
810)にとり、試験例2−2)で得た粗ケモタクティ
ックファクター 0.4mlを加え室温で1時間反応させ
た。3000rpm,10分遠心し、上清の抑制活性を
試験例2−2)に記載の方法に従って測定した。ただ
し、ケモタクティックファクターの濃 度は全て2倍希
釈で使用した。その結果、ケモタクティックファクター
は吸収されなかった〔表4〕。
【表4】 ケモタクティックファクター 抗体−A ffiGel10* 遊走 細胞数 − − 0 + − 194 + MEMとインキュベート 152 + + 52 + コントロールゲル 95 *:抗体−AffiGel 10(またはコントロールゲ
ル)をケモタクティックファクター(またはMEM)と
室温で1時間インキュベートした上清を使用した。
【0035】実施例5 M31−15抗体の認識する抗
原の同定 MIA PaCa−2(膵臓癌細胞)、HEL(赤白血
病細胞)、ZR−75−30(乳癌細胞)、MAC10
(肺癌細胞)、AZ521(胃癌細胞)をファルコン社
製ディツシュ(3003)上に単層培養し、細胞を0.
1M トリス(pH8.1)で2回洗浄後スクレイパー
(Costar,3010)で集め、 遠心により洗ったのち
細胞を1% CHAPS/0.1M トリス/10mM E
DTA/0.2mM p−APMSF/Trasylol
(2U/ml) 100μlを加え0℃で2時間可溶化
した。15000rpm,30分の遠心上清各20μl
を Laemmli のSDS−PAGE(ゲル濃度12%)[N
ature Lond., 227, 680-685(1970)]にかけ、ウェスタ
ンブロット法により抗原を検出した。〔図3〕に示すよ
うに全ての癌細胞で分子量25000の主バンドおよび
28000の副バンドが認められた。
【0036】実施例6 MをコードするcDNAのクロ
ーニング λgt11のcDNAライブラリー(Human Breast Carcinom
a cDNAライブラリー,CLONTECH Lab. Inc.)を同ライ
ブラリーキット添付の大腸菌Y1090に感染させたの
ち、Lブロスの軟寒天プレートにまいた。プラークが出
現し始めた時に、IPTG(Isopropylthiogalactoside)
を含むニトロセルロース膜をプレートの上にのせ、 3.
5時間インキュベーションした。次にニトロセルロース
膜をはずし、TBST緩衝液(10mM トリス,15
0mM NaCl,0.05% Tween 20,pH
8.0)で洗浄し、つづいて20% FBS溶液に30
分間つけた。この様に処理したニトロセルロース膜をM
31−15抗体(2μg/ml)および大腸菌抽出液
(1mg/ml)を含むTBSTに浸し室温で50分間
反応させた。該膜をTBST緩衝液で3回洗った後、ア
ルカリホスファターゼー標識抗マウスIgG抗体(50
00倍希釈)と30分間反応させ、TBSTで3回洗浄
したのち基質(Nitro-bluetetrazalium and 5-bromo-4
chloro-3-indoyl phosphate)を用いて発色させた。 1
×106pfu(プラーク形成単位)のフアージから1
4個の陽性クローンを選び出した。これら14個のクロ
ーンを上記の方法に準じて再スクリーニングした結果、
1個のクローンが再度陽性を示したので、該クローンを
陽性として選択した。
【0037】実施例7 プラスミドpTB1352を含
む形質転換体の作製 選択した陽性クローンを大腸菌Y1090に感染させた
のち、Lブロスの軟寒天培地にまき37℃で16時間培
養後、軟寒天より約109pfuのファージを抽出し
た。このようにして得たファージよりQIAGEN>lambda<
kit(DIAGEN GmbH)を用いてDNAを精製した。精
製したDNAを制限酵素EcoRIで消化し得られたDN
A断片を、T4DNAリガーゼを用いてプラスミドpU
C118(宝酒造)のEcoRI部位に挿入し、プラスミ
ドpTB1352を構築した。得られたpTB1352
を大腸菌DH5αF'IQTMにトランスフェクトし形質
転換体 Escherichia coli DH5αF'IQTM/pTB
1352を得た。
【0038】実施例8 DNAの塩基配列決定 実施例7で得られた形質転換体にヘルパーファージKO
・7を感染させたのち、2×YT培地(1.6%Bacto-tr
yptone, 1% Yeast extract, 0.5%NaCl)中で3
7℃,16時間培養後、この培養上清よりPEG♯60
00沈殿,フェノール抽出エタノール沈殿法により1本
鎖DNAを精製した。精製したDNAの塩基配列をα−
32P−dCTP(〜800Ci/mmole,アマシャ
ム),シー ケナーゼVer. 2.5キット(U.B.C.)
を用いてcDNA部分の配列を決定し た。決定された塩
基配列およびその配列より推定されるアミノ酸配列を
〔図4〕〜〔図9〕および配列番号3に示した。
【0039】実施例9 pTB1352の遺伝子マップ
の作製 実施例7で得た形質転換体を2×YT培地で37℃,1
6時間培養し得た形質転換体よりQIAGEN>plasmid<kit
を用い2本鎖DNAを精製した。得られたDNAを制
限酵素 SacI, KpnI, SmaI, BamHI, XbaI,
SalI,PstI,SphIおよびHindIIIで消化し、消化
物を1%アガロースゲル電気泳動によって解析した。そ
の結果、XbaIで2カ所SphIで1カ所の切断部位があ
ることが判った。次にXbaI−EcoRIおよびSphI−
EcoRIの二重切断を行い、〔図10〕に示した遺伝子
マップを完成した。
【0040】実施例10 動物細胞発現用プラスミドの
構築 公知のプラスミドpTB399〔特開昭60−6328
2号公報実施例1(v)〕を制限酵素EcoRIで切断し、
DNAポリメラ−ゼ(クレノウフラグメント)を用いて末
端を平滑化した後、公知の方法に従って、5’末端をり
ん酸化したBglIIリンカ−(CAGATCTG)を結合さ
せた。BglIIで切断後、アガロ−スゲル電気泳動により
3.9KbのDNA断片を分離精製し、このDNA断片を
T4DNAリガ−ゼ反応により環状化してA-MuLV LTR領
域、スプライス領域およびpolyA付加領域を含むプラス
ミドpTB1308を構築した。ついでこのプラスミド
pTB1308を制限酵素EcoRIで開裂し、一方、実
施例7で得たプラスミドpTB1352から制限酵素E
coRI で切断後アガロ−スゲル電気泳動で分離調製し
たM遺伝子断片(1.1Kb)を混ぜT4DNAリガ−ゼ反
応によりプラスミドpTB1308/Mを構築した。同
様に公知のプラスミドpTB348〔特開昭60−63
282号公報実施例1(v)〕を制限酵素SalIおよびHin
dIIIで開裂し、一方、上で得たプラスミドpTB130
8/M から制限酵素SalIおよびHindIIIで切断後アガ
ロ−スゲル電気泳動で分離調製したM遺伝子、A-MuLV L
TR領域、スプライス領域および polyA付加領域を含む
DNA断片(2.7Kb)を混ぜ、T4DNAリガ−ゼ反応
によりM発現用プラスミドpTB1442〔図11〕を
構築した。得られたプラスミドpTB1442を大腸菌
DH1にトランスフェクトした形質転換体 Escherichia
coli DH1/pTB1442を得た。
【0041】実施例11 pTB1442の発現および
トランスホ−マントの取得 i) CHO細胞 ハムスタ−DHFR~CHO細胞(以下、CHO細胞と略
記する)〔Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 77, 4216-4220
(1980)〕を5% FBS/ハムF12培地を用いファルコ
ンシャ−レ(径6cm;BECTON DECKINSON、CA)で培養した。
グラハムの方法〔Virology, 52, 456-467 (1973)〕に準
じてCHO細胞にプラスミドpTB1442(シャ−レ
当たり10μg)をトランスフェクトした。2日後、培地
を10%透析FBS/プロリン(35μg/ml)/ダルベ
ッコ改変MEM培地に変え、2週間後にDHFR+にな
って増殖したコロニ−を得た。Mが発現しているかどう
かの確認は実施例3に記載した方法に準じて行った。結
果を〔図12〕に示す。 ii) MAC10細胞
MAC10細胞へのトランスフェクシヨンには電気穿孔
法〔エンボ ジャーナル(EMBO J.), 1, 841 (1982)〕
を用いた。即ち、MAC10細胞5×106個にプラス
ミドpTB1442, 20μgをpRc/CMV(Invitr
ogen、CA) 2μgと混ぜトランスフェクトし、10%
FBS/RPMI1640培地で2.5×105/mlの濃
度に希 釈し96穴プレ−トの各穴に100μlずつまい
た。選択培地としてG418(シグマ社) 1mg/ml
を含む10% FBS/RPMI1640培地を用いた。
約2−3週間後にG418耐性 コロニ−17株を得た。
【0042】実施例12 ドットプロット法によるMの
定量 i)細胞の可溶化 実施例11で得られた細胞を直経10cmのシャ−レに培養
し、PBS 2mlついで0.1Mトリス緩衝液(pH
8.1)1mlで洗い、0.1Mトリス緩衝液 0.5ml
を加えてセルスクラッパ−(Costar)を用いて細胞をエッ
ペンドルフチュ−ブ3810に集めた。シャ−レに残った細
胞は、さらに0.5mlの0.1M トリス緩衝液で集め
た。細胞に1% CHAPS/0.1M トリス pH 8.
1/10mM EDTA/0.2mM p−APMSF/tr
asylol(2 U/ml) 50μlを加え0℃,30
分間可溶化し、遠心上清を用いた。 ii)ドットプロット法による定量 上記i)で得た抽出液あるいはその希釈液1μlをニトロ
セルロ−ス膜(BIO-RAD;Richmond、CA)にスポットし、風
乾後2% FBSを含むTBS(20mMトリス/500
mM塩化ナトリウム、pH 7.5)に一晩浸した。つい
でモノクロ−ナル抗体、M31−15(1μg/ml)を
含む1% ゼラチン/TBS と37℃,1時間反応させ
た。膜を0.05% Tween 20を含むTBS(TT
BS)で10分間2回、TBSで1回洗った後、HRP
標識抗マウス抗体(1000培希釈)を含む1% ゼラチ
ン/TBSと37℃1時間反応させた。膜をTTBSで
10分間2 回、TBSで1回洗った後、発色液(HR
P color development reagent(BIO-RAD) 20mg/メ
タノール 6.6ml/過酸化水素水 20μl/TBS 3
3.4ml)に浸し10分間発色させた。膜は蒸留水で
充分に洗った後風乾した。MAC10細胞の抽出液を1
0ユニット(U)/mlとして表した。〔表5〕にMを含
むプラスミドpTB1442を発現させて得られたMA
C10細胞のクロ−ンの抽出液の測定結果を示す。蛋白
質の定量はBCA Protein Assay Reagent(PIERCE、Roc
kford、Illynois)を用いて行った。
【表5】 ────────────────────────── M(U/ml) 蛋白量(mg/ml) U/mg ────────────────────────── MAC10 10 10 1.0 クロ-ン 1 60 19 3.2 クロ-ン 4 20 19 1.1 クロ-ン 7 10 11 0.9 クロ-ン 9 40 17 2.4 クロ-ン 11 10 9.6 1.0 ──────────────────────────
【0043】実施例13 Mフラグメントペプチドの合
成と精製 Mのフラグメントペプチドの合成はメリフィ−ルドらに
より開発されたペプチドの固相合成法〔R.B.Merrifiel
d, アドバンス イン エンザイモロジー(Advances in
Enzymology) 32、221-296(1969)〕の変法に準じて行
われ、自動ペプチド合成基430A(アプライドバイオシス
テムズ社)を用いた。保護ペプチド−樹脂の合成はアプ
ライドバイオシステムズ社指定のプロトコ−ルを用い
た。保護アミノ酸−pオキシメチルフェニルアセトアミ
ドメチル樹脂(ポリスチレン−1%ジビニルベンゼン)を
出発材料とし、これに逐次保護アミノ酸を縮合させた。
縮合時に各アミノ酸のα−アミノ基を保護するために
は、三級ブチルオキシカルボニル(BOC)基を用いた。
側鎖の官能基保護は次のように行った。セリンとスレオ
ニン のヒドロキシル基はO−ベンジルエ−テルとして、
チロシンのヒドロキシル基は p−ブロモベンジルオキ
シカルボニルエステルとして、グルタミン酸およびアス
パラギン酸のカルボキシル基はベンジルエステルとし
て、ヒスチジンのイミダゾ−ル窒素はベンジルオキシメ
チルによって、リジンの側鎖アミノ基は2−クロルベン
ジルオキシカルボニルで、アルギニンのグアニジン官能
基はp−トルエンスルホニル基で、トリプトファンのイ
ンド−ルイミンはホルミル基でそれぞれ保護した。全て
のアミノ酸は、アプライド・バイオシステムズジャパン
社又はバチェム・ケミカルズから入手した。樹脂上に全
てのアミノ酸を縮合した後、保護ペプチド樹脂を合成機
から取りだし、乾燥した。ペプチド樹脂(1g)を、p−
クレゾ−ル(1ml)、1,2-エタンジチオ−ル(1ml)、
2−メルカプトピリジン(100mg)を含んだ無水フッ
化水素(8ml)と、0℃で2時間反応させた。反応終了
後、フッ化水素を留去し、残留物をジエチルエ−テルで
洗浄し、大部分の混合試薬を除去した。ペプチドをトリ
フルオロ酢酸(10ml)で抽出し、ろ過により樹脂を除
いた。ろ液を濃縮後エ−テルを加え、生じた沈殿を遠心
分離して集め、沈殿物を更に3回エ−テルで洗浄した。
得られた粉末標品を更に逆相高速液体クロマトグラフィ
−で精製した〔カラムYMC A−303 ODS(4.6×250m
m);溶出溶媒A、0.1% トリフルオロ酢酸−99.9
% 水;溶出溶 媒B、0.1% トリフルオロ酢酸−9
9.9% アセトニトリル;溶出濃度勾配プログラム、0
分(80% A+20% B)−30分(50% A+50%
B)(但し必要ならば他の溶出プログ ラムを用いること
もある)溶出速度、1ml/分;検出波長 230または
280nm〕。純粋な目的物を含むピ−ク画分を集めて
バイオラッドAGI×8(酢酸型、1.8×5cm)のカラ
ムに通し、洗液も集めアセトニトリルを留去した後、凍
結乾燥した。このようにして得たペプチドのアミノ酸分
析結果を〔表6〕に示す。また、これらのペプチドのア
ミノ酸配列ならびに逆相高速液体クロマトグラフィ−に
おける保持時間を以下に示す。
【表6】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ペプチド ────────────────── 1 2 3 4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実側値(理論値) Asp 4.0(4) 2.0(2) 5.1(5) 5.0(5) Thr 2.6(3) 0.9(1) 1.9(2) 2.5(3) Ser 0.9(1) 1.9(2) 3.3(4) Glu 7.1(7) 4.2(4) 2.1(2) 4.0(4) Pro 2.1(2) Gly 3.0(3) 1.1(1) Ala 3.0(3) 1.1(1) 1/2Cys 2.8(3) 1.8(2) Val 1.6(2) 1.0(1) 2.9(3) 1.0(1) Ile 0.7(1) 2.8(3) 1.9(2) 0.9(1) Leu 2.0(2) 3.0(3) 1.0(1) Tyr 1.9(2) 1.0(1) 2.0(2) Phe 1.0(1) 1.0(1) 2.0(2) 3.0(3) Lys 5.7(6) 1.0(1) 4.9(5) 0.9(1) His 0.9(1) Arg 0.9(1) 1.0(1) 0.9(1) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 6規定塩酸で減圧封管中、110℃、24時間加水分解
後アミノ酸分析に付した。ただし、Cysは過蟻酸酸化
後システイン酸として定量した。 ペプチド1:Lys-Asp-Glu-Val-Ile-Lys-Glu-Val-Gln-Gl
u-Phe-Tyr-Lys-Asp-Thr-Tyr-Asn-Lys-Leu-Lys-Thr-Lys-
Asp-Glu-Pro-Gln-Arg-Glu-Thr-Leu 保持時間:19.0分〔0分(74%A+26%B)−30分(59%A+41%B),
0.7ml/分〕 〔配列番号1のアミノ酸残基番号113〜142の配列〕 ペプチド2:Gln-Arg-Glu-Thr-Leu-Lys-Ala-Ile-His-Ty
r-Ala-Leu-Asn-Cys-Cys-Gly-Leu-Ala-Gly-Gly-Val-Glu-
Gln-Phe-Ile-Ser-Asp-Ile-Cys 保持時間:28.2分 〔配列番号1のアミノ酸残基番
号131〜166の配列〕 ペプチド3:Ser-Asp-Ile-Cys-Pro-Lys-Lys-Asp-Val-Le
u-Glu-Thr-Phe-Thr-Val-Lys-Ser-Cys-Pro-Asp-Ala-Ile-
Lys-Glu-Val-Phe-Asp-Asn-Lys- 保持時間:16.0分 〔配列番号1のアミノ酸残基番
号163〜191の配列〕 ペプチド4:Arg-Phe-Asp-Ser-Gln-Thr-Lys-Ser-Ile-Ph
e-Glu-Gln-Glu-Thr-Asn-Asn-Asn-Asn-Ser-Ser-Phe-Tyr-
Thr-Gly-Val-Tyr 保持時間:24.3分[0.7ml/分][配列番号1のアミノ酸残
基番号35〜60の配列〕 ペプチド1,3は1mg/mlの濃度でPBSに溶解
し、ペプチド2は5%酢酸に溶解し、RPMI1640
培地で希釈し以下の実験に用いた。
【0044】試験例4 Mフラグメントペプチドによる
癌細胞の運動能の抑制 MAC10細胞は培養フラスコから0.01% EDTA
および0.125% トリプシンを含むPBSではがし、
10% FBS/RPMI1640ついでRPMI16
40培地で2回洗った後、5×105/mlの濃度(FBS
濃度 0.05%)に懸濁した。Transwell plate(Corsta
r;Cambridge、MA)の下室に実施例13で得られたペプチ
ド2および3(10−1000ng/ml)を含む0.1%
FBS/RPMI1640培地 0.6mlを加え、上室
に0.1mlのMAC10細胞懸濁液を加え、37℃で
16時間培養した。メンブレンを通過して下室の培地中
に遊走した細胞を位相差顕微鏡により細胞数を計測し
た。〔図13〕に示す様にペプチド2および3に濃度依
存的に抑制活性が認められた。
【0045】試験例5 M発現による運動能の変化 i) CHO細胞クロ−ン 実施例11で得られたCHO細胞のクロ−ンについて、
試験例4に記載の方法を用いて測定した運動能の値を
〔図14〕に示す。親株(CHO)に比べてMの発現した
クロ−ンでは著しい運動能の低下が認められた。 ii) MAC10細胞クロ−ン 実施例11で得られたMAC10クロ−ンのうちいくつ
かについて、試験例4に記載の方法を用いて測定した運
動能の値を実施例12で得たMの発現量と併せて〔表
7〕示す。Mの過剰発現により運動能の低下が認められ
た。
【表7】 ────────────────────────────── 遊走細胞数 M ───────────── (U/mg) 実験1 実験2 ────────────────────────────── MAC10 208±23(100%) 235±33(100%) 1.0 クローン1 83±10( 40%) 102±23( 42%) 3.2 クローン4 205±10( 99%) 188±27( 80%) 1.1 クローン9 73±23( 35%) 150±18( 64%) 2.4 ────────────────────────────── n=3 ±SD
【0046】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体は癌細胞、
特に肺癌細胞およびグリア芽腫細胞の運動能を抑制す
る、極めて優れた性質を有する。本発明のポリペプチド
Mは種々のヒト癌細胞表面に存在し、癌細胞の運動能に
関与する重要な役割を果たしている。従って本発明のモ
ノクローナル抗体、ペプチドあるいはそのペプチド断片
はいずれも癌細胞の転移を抑制する薬剤として非常に有
効である。
【0047】
【配列表】配列番号(SEQ ID NO):1 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH):227 配列の型(SEQUENCE TYPE):amino acid 鎖の数(STRANDEDNESS):single トポロジ−(TOPOLOGY):linear 配列の種類(MOLECULE TYPE):protein 配列: Pro Val Lys Gly Gly Thr Lys Cys Ile Lys Tyr Leu Leu Phe Gly Phe 1 5 10 15 Asn Phe Ile Phe Trp Leu Ala Gly Ile Ala Val Leu Ala Ile Gly Leu 20 25 30 Trp Leu Arg Phe Asp Ser Gln Thr Lys Ser Ile Phe Glu Gln Glu Thr 35 40 45 Asn Asn Asn Asn Ser Ser Phe Tyr Thr Gly Val Tyr Ile Leu Ile Gly 50 55 60 Ala Gly Ala Leu Met Met Leu Val Gly Phe Leu Gly Cys Cys Gly Ala 65 70 75 80 Val Gln Glu Ser Gln Cys Met Leu Gly Leu Phe Phe Gly Phe Leu Leu 85 90 95 Val Ile Phe Ala Ile Glu Ile Ala Ala Ala Ile Trp Gly Tyr Ser His 100 105 110 Lys Asp Glu Val Ile Lys Glu Val Gln Glu Phe Tyr Lys Asp Thr Tyr 115 120 125 Asn Lys Leu Lys Thr Lys Asp Glu Pro Gln Arg Glu Thr Leu Lys Ala 130 135 140 Ile His Tyr Ala Leu Asn Cys Cys Gly Leu Ala Gly Gly Val Glu Gln 145 150 155 160 Phe Ile Ser Asp Ile Cys Pro Lys Lys Asp Val Leu Glu Thr Phe Thr 165 170 175 Val Lys Ser Cys Pro Asp Ala Ile Lys Glu Val Phe Asp Asn Lys Phe 180 185 190 His Ile Ile Gly Ala Val Gly Ile Gly Ile Ala Val Val Met Ile Phe 195 200 205 Gly Met Ile Phe Ser Met Ile Leu Cys Cys Ala Ile Arg Arg Asn Arg 210 215 220 Glu Met Val 225 227
【0048】配列番号(SEQ ID NO):2 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH):682 配列の型(SEQUENCE TYPE):nucleic acid 鎖の数(STRANDEDNESS):double トポロジ−(TOPOLOGY):linear 配列の種類(MOLECULE TYPE):cDNA to genomic RNA ハイポセティカル配列(HIPOTHTICAL):Noアンチセンス (ANTI-SENCE):No 起源(ORIGINAL SOURCE) 生物名(ORGANISM):human 細胞の種類(CELL TYPE):breast carcinoma セルライン(CELL LINE):ZR-75-1 配列: ATGCCGGTCA AAGGAGGCAC CAAGTGCATC AAATACCTGC TGTTCGGATT TAACTTCATC 60 TTCTGGCTTG CCGGGATTGC TGTCCTTGCC ATTGGACTAT GGCTCCGATT CGACTCTCAG 120 ACCAAGAGCA TCTTCGAGCA AGAAACTAAT AATAATAATT CCAGCTTCTA CACAGGAGTC 180 TATATTCTGA TCGGAGCCGG CGCCCTCATG ATGCTGGTGG GCTTCCTGGG CTGCTGCGGG 240 GCTGTGCAGG AGTCCCAGTG CATGCTGGGA CTGTTCTTCG GCTTCCTCTT GGTGATATTC 300 GCCATTGAAA TAGCTGCGGC CATCTGGGGA TATTCCCACA AGGATGAGGT GATTAAGGAA 360 GTCCAGGAGT TTTACAAGGA CACCTACAAC AAGCTGAAAA CCAAGGATGA GCCCCAGCGG 420 GAAACGCTGA AAGCCATCCA CTATGCGTTG AACTGCTGTG GTTTGGCTGG GGGCGTGGAA 480 CAGTTTATCT CAGACATCTG CCCCAAGAAG GACGTACTCG AAACCTTCAC CGTGAAGTCC 540 TGTCCTGATG CCATCAAAGA GGTCTTCGAC AATAAATTCC ACATCATCGG CGCAGTGGGC 600 ATCGGCATTG CCGTGGTCAT GATATTTGGC ATGATCTTCA GTATGATCTT GTGCTGTGCT 660 ATCCGCAGGA ACCGCGAGAT GGTCTAG 687
【0049】配列番号(SEQ ID NO):3 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH):1120 配列の型(SEQUENCE TYPE):nucleic acid 鎖の数(STRANDEDNESS):double トポロジ−(TOPOLOGY):linear 配列の種類(MOLECULE TYPE):cDNA to genomic RNA ハイポセティカル配列(HIPOTHTICAL):No アンチセンス(ANTI-SENCE):No 起源(ORIGINAL SOURCE) 生物名(ORGANISM):human 細胞の種類(CELL TYPE):breast carcinoma セルライン(CELL LINE):ZR-75-1 配列の特徴(FEATURE)115..795 E Mat peptide 配列: GACCAGCCTA CAGCCGCCTG CATCTGTATC CAGCGCCAGG TCCTGCCAGT CCCAGCTGCG 60 CGCGCCCCCC AGTCCCGCAC CCGTTCGGCC CAGGCTAAGT TAGCCCTCAC C ATG CCG 1
17
Met Pro
1 GTC AAA GGA GGC ACC AAG TGC ATC AAA
TAC CTG CTG TTC GGA TTT AAC 165 Val Lys Gly Gly Thr Lys Cys Ile Lys
Tyr Leu Leu Phe Gly Phe Asn 5 10
15 TTC ATC TTC TGG CTT GCC GGG ATT GCT
GTC CTT GCC ATT GGA CTA TGG 213 Phe Ile Phe Trp Leu Ala Gly Ile Ala
Val Leu Ala Ile Gly Leu Trp 20 25
30 CTC CGA TTC GAC TCT CAG ACC AAG AGC
ATC TTC GAG CAA GAA ACT AAT 261 Leu Arg Phe Asp Ser Gln Thr Lys Ser
Ile Phe Glu Gln Glu Thr Asn 35 40
45 AAT AAT AAT TCC AGC TTC TAC ACA GGA
GTC TAT ATT CTG ATC GGA GCC 309 Asn Asn Asn Ser Ser Phe Tyr Thr Gly
Val Tyr Ile Leu Ile Gly Ala 50 55
60 65 GGC GCC CTC ATG ATG CTG GTG GGC TTC
CTG GGC TGC TGC GGG GCT GTG 357 Gly Ala Leu Met Met Leu Val Gly Phe
Leu Gly Cys Cys Gly Ala Val 70
75 80 CAG GAG TCC CAG TGC ATG CTG GGA CTG
TTC TTC GGC TTC CTC TTG GTG 405 Gln Glu Ser Gln Cys Met Leu Gly Leu
Phe Phe Gly Phe Leu Leu Val 85 90
95 ATA TTC GCC ATT GAA ATA GCT GCG GCC
ATC TGG GGA TAT TCC CAC AAG 453 Ile Phe Ala Ile Glu Ile Ala Ala Ala
Ile Trp Gly Tyr Ser His Lys 100 105
110 GAT GAG GTG ATT AAG GAA GTC CAG GAG
TTT TAC AAG GAC ACC TAC AAC 501 Asp Glu Val Ile Lys Glu Val Gln Glu
Phe Tyr Lys Asp Thr Tyr Asn 115 120
125 AAG CTG AAA ACC AAG GAT GAG CCC CAG
CGG GAA ACG CTG AAA GCC ATC 549 Lys Leu Lys Thr Lys Asp Glu Pro Gln
Arg Glu Thr Leu Lys Ala Ile 130 135
140 145 CAC TAT GCG TTG AAC TGC TGT GGT TTG
GCT GGG GGC GTG GAA CAG TTT 597 His Tyr Ala Leu Asn Cys Cys Gly Leu
Ala Gly Gly Val Glu Gln Phe 150
155 160 ATC TCA GAC ATC TGC CCC AAG AAG GAC
GTA CTC GAA ACC TTC ACC GTG 645 Ile Ser Asp Ile Cys Pro Lys Lys Asp
Val Leu Glu Thr Phe Thr Val 165 170
175 AAG TCC TGT CCT GAT GCC ATC AAA GAG
GTC TTC GAC AAT AAA TTC CAC 693 Lys Ser Cys Pro Asp Ala Ile Lys Glu
Val Phe Asp Asn Lys Phe His 180 185
190 ATC ATC GGC GCA GTG GGC ATC GGC ATT
GCC GTG GTC ATG ATA TTT GGC 741 Ile Ile Gly Ala Val Gly Ile Gly Ile
Ala Val Val Met Ile Phe Gly 195 200
205 ATG ATC TTC AGT ATG ATC TTG TGC TGT
GCT ATC CGC AGG AAC CGC GAG 789 Met Ile Phe Ser Met Ile Leu Cys Cys
Ala Ile Arg Arg Asn Arg Glu 210 215
220 225 ATG GTC TAGAGTCAGC TTACATCCCT GAGCAG
GAAA GTTTACCCAT GAAGATTGGT 845 Met Val
GGGATTTTTT GTTTGTTTGT TTTGTTTTGT TTG
TTGTTTG TTGTTTGTTT TTTTGCCACT 905 AATTTTAGTA TTCATTCTGC ATTGCTAGAT AAA
AGCTGAA GTTACTTTAT GTTTGTCTTT 965 TAATGCTTCA TTCAATATTG ACATTTGTAG TTG
AGCGGGG GGTTTGGTTT GCTTTGGTTT 1025 ATATTTTTTC AGTTGTTTGT TTTTGCTTGT TAT
ATTAAGC AGAAATCCTG CAATGAAAGG 1085 TACTATATTT GCTAGACTCT AGACAAGATA TTG
TA 1120
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4に於けるウェスタンブロット分析の結
果を示した図である。
【図2】試験例2に於ける本発明の精製抗体によるMA
C10細胞の運動能の抑制結果を示した図である。
【図3】実施例5に於けるウェスタンブロット分析の結
果を示した図である。
【図4】実施例2で得られた陽性クローンのcDNAの
塩基配列およびその配列より推測されるアミノ酸配列を
示す。
【図5】実施例2で得られた陽性クローンのcDNAの
塩基配列およびその配列より推測されるアミノ酸配列を
示す。
【図6】実施例2で得られた陽性クローンのcDNAの
塩基配列およびその配列より推測されるアミノ酸配列を
示す。
【図7】実施例2で得られた陽性クローンのcDNAの
塩基配列およびその配列より推測されるアミノ酸配列を
示す。
【図8】実施例2で得られた陽性クローンのcDNAの
塩基配列およびその配列より推測されるアミノ酸配列を
示す。
【図9】実施例2で得られた陽性クローンのcDNAの
塩基配列およびその配列より推測されるアミノ酸配列を
示す。
【図10】実施例2に於て構築したpTB1352の遺
伝子マップ
【図11】実施例5に於て構築したM発現用プラスミド
pTB1442の制限酵素地図を示した図である。
【図12】実施例6に於けるCHO(dhfr ̄)細胞
およびそのM発現クロ−ンのFACStar解析図である。
【図13】試験例1に於けるMフラグメントペプチドに
よるMAC10細胞の運動能の抑制結果を示した図であ
る。
【図14】試験例2に於けるCHO(dhfr~)細胞および
そのM発現クロ−ンの運動能を示した図である。
【符号の説明】
1 図2においてコンロールゲル(上清)、図3におい
て分子量マーカーを示す。 2 図2においてコンロールゲル(SDS溶出液)を図
3において、MIAPaCa−2を示す。 3 図2において抗体−AffiGel 10(上清)
を図3において、MAC10を示す。 4 図2において抗体−AffiGel 10(SDS
溶出液)、図3においてHELを示す。 5 図2において分子量マーカー、図3においてAZ5
21を示す。 6 ZR−75−30
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 15/02 C12P 21/08 15/09 C12R 1:91 C12P 21/02 C12N 15/00 A // C12P 21/08 C (C12P 21/08 5/00 B C12R 1:91) (72)発明者 三宅 正幸 京都府京都市伏見区醍醐大畑町76 (56)参考文献 Biochemistry,1991年 4月 2日,30[13],p.3328−3334 Cancer Recearch, 1990年,50[15],p.4485−4496 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 JICSTファイル(JOIS) BIOSIS−WPI(DIALOG) PubMed EUROPAT(QUESTEL)

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチドを認識し、ヒト癌細胞の運動能を抑制する抗ヒ
    ト癌モノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 ヒト癌細胞が、ヒト肺癌細胞である請求
    項1記載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 ヒト癌細胞が、ヒトグリア芽細胞腫であ
    る請求項1記載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 配列番号1のアミノ酸残基番号131〜
    166または163〜191の配列からなり、かつ癌細
    胞の運動能抑制作用を示すポリペプチド。
  5. 【請求項5】 配列番号1のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。
  6. 【請求項6】 配列番号1のアミノ酸配列をコードする
    塩基配列を含有する組み換えDNA。
  7. 【請求項7】 請求項記載の組み換えDNAを含有す
    るベクター。
  8. 【請求項8】 請求項記載のベクターで形質転換され
    た形質転換体。
  9. 【請求項9】 配列番号1のアミノ酸配列をコードする
    塩基配列を含有するベクターで形質転換された形質転換
    体を培養し、培養物中に該アミノ酸配列を含有するポリ
    ペプチドを生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴
    とする該ポリペプチドの製造法。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のモノクローナル抗体を
    含有してなる癌転移抑制剤。
  11. 【請求項11】 請求項4または5記載のポリペプチド
    を含有してなる癌転移抑制剤。
  12. 【請求項12】 M31−15で表示される請求項
    載のモノクローナル抗体(FERM BP−334
    9)。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のモノクローナル抗体
    を産生するマウスハイブリドーマM31−15(FER
    M BP−3349)。
  14. 【請求項14】 配列番号1のアミノ酸残基番号131
    〜166または163〜191の配列からなるポリペプ
    チド。
  15. 【請求項15】 配列番号1のアミノ酸残基番号131
    〜166または16 3〜191の配列をコードする塩基
    配列を含有する組み換えDNA。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の組み換えDNAを含
    有するベクター。
  17. 【請求項17】 請求項16記載のベクターで形質転換
    された形質転換体。
  18. 【請求項18】 配列番号1のアミノ酸残基番号131
    〜166または163〜191の配列からなるポリペプ
    チドをコードする塩基配列を含有するベクターで形質転
    換された形質転換体を培養し、培養物中に該アミノ酸配
    列を含有するポリペプチドを生成蓄積せしめ、これを採
    取することを特徴とする該ポリペプチドの製造法。
  19. 【請求項19】 請求項12記載のモノクローナル抗体
    を含有してなる癌転移抑制剤。
  20. 【請求項20】 請求項14記載のポリペプチドを含有
    してなる癌転移抑制剤。
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Biochemistry,1991年 4月 2日,30[13],p.3328−3334
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