JP4025853B2 - 新規蛋白質及びその製造方法 - Google Patents

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正次 上田
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Description

本発明は、破骨細胞の分化及び/又は成熟を抑制する活性を示す新規な蛋白質
、即ち破骨細胞形成抑制因子(Osteoclastogenesis Inhibitory Factor; OCIF)
及びその製造方法に関する。
人の骨は絶えず吸収と再形成を繰り返しているが、この過程で中心的な働きを
している細胞が、骨形成を担当する骨芽細胞と骨吸収を担当する破骨細胞である
。これらの細胞が担当している、骨代謝の異常により発生する疾患の代表として
、骨粗鬆症が挙げられる。この疾患は、骨芽細胞による骨形成を、破骨細胞によ
る骨吸収が上回ることにより発生する疾患である。この疾患の発生メカニズムに
ついては未だ完全には解明されていないが、この疾患は骨の疼痛を発生し、骨の
脆弱化による骨折の原因となる疾患である。高齢人口の増加に伴い、骨折による
寝たきり老人の発生の原因となるこの疾患は社会問題にもなっており、その治療
薬の開発が急務となっている。このような骨代謝異常による骨量減少症は骨吸収
の抑制、骨形成の促進、或いはこれらのバランスの改善により治療することが期
待される。
骨形成は、骨形成を担当する細胞の増殖、分化、活性化を促進すること、或い
は骨吸収を担当する細胞の増殖、分化、活性化を抑制することにより促進するこ
とが期待される。近年、このような活性を有する生理活性蛋白質(サイトカイン
)への関心が高まり、精力的な研究が行われている。骨芽細胞の増殖或いは分化
を促進するサイトカインとして、線維芽細胞増殖因子ファミリー(fibroblast gr
owth factor ; FGF、非特許文献1)、インシュリン様増殖因子−I(insulin like
growth factor-I ;IGF-I、非特許文献2)、インシュリン様増殖因子−II(IGF-I
I、非特許文献3)、アクチビンA(Activin A、非特許文献4)、トランスフォ
ーミング増殖因子−β(transforming growth factor-β、非特許文献5)、バ
スキュロトロピン(Vasculotropin、非特許文献6)、及び異所骨形成因子ファ
ミリー(bone morphogenetic protein ; BMP : BMP-2、非特許文献7, OP-1、非
特許文献8及び9) 等のサイトカインが報告されている。
一方、破骨細胞形成、即ち破骨細胞の分化及び/又は成熟を抑制するサイトカ
インとしては、トランスフォーミング増殖因子−β(transforming growth fact
or- β、非特許文献10)やインターロイキン−4(interleukin-4、非特許文献
11) 等が報告されている。又、破骨細胞による骨吸収を抑制するサイトカイン
としては、カルシトニン(calcitonin、非特許文献12)、マクロファージコロニ
ー刺激因子(macrophage colony-stimulating factor;、非特許文献13)、イン
ターロイキン−4(非特許文献14)、及びインターフェロン-γ(interferon-γ
、非特許文献15) 等が報告されている。
これらのサイトカインは、その骨形成の促進や骨吸収の抑制作用による骨量減
少症の改善剤となることが期待され、インシュリン様増殖因子−I や異所骨形成
因子ファミリーのサイトカイン等、上記のサイトカインの一部については骨代謝
改善剤として臨床試験が実施されている。又、カルシトニンは、骨粗鬆症の治療
薬、疼痛軽減薬として既に市販されている。
現在、骨に関わる疾患の治療及び治療期間の短縮を図る医薬品として、臨床で
は活性型ビタミンD3、カルシトニン及びその誘導体、エストラジオール等のホル
モン製剤、イプリフラボン、ビタミンK2(メナテトレノン)又はカルシウム製剤
等が使用されている。しかし、これらの薬剤を用いた治療法はその効果並びに治
療結果において必ずしも満足できるものではなく、これらに代わる新しい治療薬
の開発が望まれていた。前述したように、骨代謝は骨形成と骨吸収のバランスに
よって調節されており、破骨細胞の分化・成熟を抑制するサイトカインは、骨粗
鬆症等の骨量減少症の治療薬となることが期待される。
Rodan S.B. et al., Endocrinology vol. 121, p1917, 1987 Hock J.M. et al., Endocrinology vol. 122, p254, 1988 McCarthy T. et al., Endocrinology vol.124, p301, 1989 Centrella M. et al., Mol. Cell. Biol. vol. 11, p250, 1991 Noda M., The Bone, vol. 2, p29, 1988 Varonique M. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. vol.199, p380,1994 Yamaguchi, A et al., J. Cell Biol. vol. 113, p682, 1991 Sampath T. K. et al., J. Biol. Chem. vol. 267, p2053 2, 1992 Knutsen R. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. vol.194, p1352, 1993 Chenu C. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.85, p5683, 1988 Kasano K. et al., Bone-Miner., vol.21, p179, 1993 Bone-Miner., vol.17, p347,1992 Hattersley G. et al. J.Cell. Physiol. vol.137, p199, 1988 Watanabe, K. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. vol. 172, p1035, 1990 Gowen M. et al., J. Bone Miner. Res., vol. 1, p469, 1986
本発明はこのような観点からなされたものであって、新規な破骨細胞形成抑制
因子(OCIF)及びその効率的な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、このような現状に鑑み鋭意探索の結果、ヒト胎児肺線維芽細胞
IMR-90(ATCC寄託−受託番号CCL186)の培養液に破骨細胞形成抑制活性、即ち破骨
細胞の分化・成熟を抑制する活性を有する蛋白質OCIFを見出すに至った。
又、細胞培養の担体としてアルミナセラミック片を使用すると本発明の破骨細
胞形成抑制因子OCIFを培地中に高濃度に蓄積せしめ、効率よく精製できることを
見出した。
さらに、本発明者らは、前記培養液をイオン交換カラム、アフィニティーカラ
ム及び逆相カラムで順次処理して吸着及び溶出をくり返すことによって前記蛋白
質OCIFを効率よく精製する方法を確立した。
次に本発明者らは、得られた天然型OCIF蛋白質のアミノ酸配列の情報に基づき
、この蛋白質をコードするcDNAのクローニングに成功した。さらに本発明者らは
、このcDNAを用いて遺伝子工学的手法により破骨細胞の分化及び/又は成熟抑制
活性のある蛋白質を生産する方法を確立するに至った。
本発明は、ヒト胎児肺線維芽細胞に由来し、還元条件下SDS‐PAGEにおける分
子量が約60kD、非還元条件下SDS‐PAGEにおける分子量が約60kDa及び約 120kDで
あり、陽イオン交換体及びヘパリンカラムに親和性を有し、70℃、10分間又は56
℃、30分間の加熱処理により破骨細胞の分化・成熟を抑制する活性が低下し、90
℃、10分間の加熱処理により破骨細胞の分化・成熟抑制活性が失われることを特
徴とする蛋白質に関する。本発明の蛋白質OCIFのアミノ酸配列は、既知の破骨細
胞形成抑制因子とは明確に相違する。
また、本発明は、ヒト線維芽細胞を培養し、培養液をヘパリンカラム処理し、
吸着画分を溶出し、この画分を陽イオン交換カラムにかけ吸着・溶出し、さらに
アフィニティーカラム、逆相カラムによって精製して前記蛋白質を採取する、蛋
白質OCIFの製造方法に関する。本発明におけるカラム処理は、単に培養液等をヘ
パリンセファロースカラム等に流下させるものばかりではなく、バッチ法で培養
液をヘパリンセファロース等と混合し、カラム処理した場合と同等の効果を奏す
るものも包含する。本発明で使用されるアフィニティーカラムは、ヘパリンカラ
ム及びブルーカラムが挙げられる。ブルーカラムは、特に好ましくはシバクロン
ブルーカラムが挙げられる。このシバクロンブルーカラムの充填剤としては、親
水性合成高分子を担体とし色素シバクロンブルーF3GAを結合させたものが例示さ
れ、このカラムは通常ブルーカラムと呼ばれる。
さらに、本発明は、アルミナセラミック片を担体として使用して細胞培養を行
なって効率よく前記蛋白質を製造する方法に関する。
本発明の蛋白質OCIFは、ヒト線維芽細胞の培養液から効率良く且つ高収率で単
離精製することができる。この原料からの本発明蛋白質OCIFの単離、精製は、生
物試料からの蛋白性物質の精製に汎用される通常の方法を用いて、目的とする蛋
白質OCIFの物理的、化学的性質を利用した各種の精製操作に従い実施することが
できる。この濃縮手段として限外濾過、凍結乾燥、及び塩析等の通常の生化学的
処理手段が挙げられる。又、精製手段としては、イオン交換クロマトグラフィー
、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水クロ
マトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、調製用電気泳動等を用いた通常の蛋
白性物質の精製に利用される各種の手法を組み合わせて用いることができる。特
に好ましくは、原料として用いるヒト線維芽細胞としてヒト胎児肺線維細胞IMR-
90(ATCC-CCL 186)を用いることが望ましい。そして原料となるヒト胎児肺線維芽
細胞IMR-90の培養は、ヒト胎児肺線維芽細胞IMR-90をアルミナセラミック片に付
着させ、5%ウシ新生児血清を添加したDMEM培地を培養液として用い、ローラー
ボトル中で一週間から10日程度静置培養することにより得たものを使用するとよ
い。又、精製処理を実施する際に界面活性剤として0.1 %CHAPS(3-[(3-cholami
dopropyl)-dimethylammonio]-1-propanesulfonate) を添加して精製を行うのが
望ましい。
本発明の蛋白質OCIFは、先ず培養液をヘパリンカラム(ヘパリン−セファロー
スCL-6B、ファルマシア社)にかけ、2M NaCl を含む10mM Tris-HCl 緩衝液、pH7
.5 で溶出させ、ヘパリン吸着性のOCIF画分を得、この画分をQ・陰イオン交換
カラム(HiLoad-Q/FF 、ファルマシア社)にかけ、その非吸着画分を集めること
により、ヘパリン吸着性で塩基性のOCIF画分として得ることができる。得られた
OCIF活性画分はS・陽イオン交換カラム(HiLoad-S/HP 、ファルマシア社)、ヘ
パリンカラム(ヘパリン-5PW、トーソー社)、シバクロンブルーカラム(ブルー
-5PW、トーソー社)、逆相カラム(BU-300 C4 、パーキンエルマー社)にかける
ことにより単離・精製することができ、この物質は前述した性質によって特定さ
れる。
さらに、本発明は、このようにして得られた天然型OCIF蛋白質のアミノ酸配列
に基づいてこの蛋白質をコードするcDNAをクローニングし、このcDNAを用いて遺
伝子工学的手法で破骨細胞の分化及び/又は成熟抑制活性のある蛋白質OCIFを得
る方法に関する。
即ち、本発明の方法に従って精製したOCIF蛋白質をエンドプロテアーゼ
(例えばリシルエンドペプチダーゼ)で処理後、生ずるペプチドのアミノ酸配列
を決定し、得られた内部アミノ酸配列をコードし得るオリゴヌクレオチドの混合
物を作製する。
次に、作製したオリゴヌクレオチド混合物をプライマーとし、PCR法(好まし
くはRT-PCR法)を利用してOCIFcDNA断片を取得する。このOCIFcDNA断片をプロー
ブとして、cDNAライブラリーよりOCIFの全長cDNA をクローニングする。得られ
たOCIFcDNAを発現ベクターに挿入してOCIF発現プラスミドを作製し、これを各種
の細胞又は菌株に導入して発現させることにより、組み換え型OCIFを製造するこ
とができる。
本発明はまた、上述の活性を有する本発明OCIF蛋白質の類縁体(バリアント)
である新規蛋白質 OCIF2, OCIF3, OCIF4, OCIF5 に関する。
これらの類縁体は、IMR-90細胞のポリ(A)+ RNAを用いて作成したcDNAライブラ
リーをOCIFcDNA断片をプローブとしてハイブリダイズすることによって得られる
。これらのOCIF類縁体のcDNAを発現ベクターに挿入し、そのOCIF類縁体発現ベク
ターを通常の宿主で発現し、常法で精製することにより、目的とする類縁体蛋白
質を得ることができる。
又、本発明はOCIF変異体に関する。
これらの変異体はOCIFの二量体形成に関与する可能性のあるCys 残基をSer
残基に置換したもの、又は天然型OCIFに欠失変異を導入したものである。PCR法
或いは制限酵素による切断により、OCIFcDNAに置換或いは欠失変異を導入する。
このcDNAを適当な発現プロモーターを有したベクターに挿入し、哺乳動物細胞等
の真核細胞にトランスフェクトし、この細胞を培養してその培養液から常法によ
り精製することにより、目的とするOCIF変異体が得られる。
又、本発明は抗OCIFポリクローナル抗体、及びそれを用いたOCIFの測定方法に
関する。
抗OCIFポリクローナル抗体は、OCIFを免疫原として常法により作製される。こ
の時用いる抗原(免疫原)としては、IMR-90培養液より得られる天然型OCIF、及
びOCIFcDNAを用いて微生物や真核細胞を宿主として生産された遺伝子組み換え型
OCIF、あるいはOCIFのアミノ酸配列に基づいて設計した合成ペプチドや、OCIFの
加水分解部分ペプチドを用いることができる。これらの抗原を用いて、また必要
ならば免疫アジュバントを併用して、適当な哺乳動物を免疫し、その血清から常
法により精製することにより、抗OCIFポリクローナル抗体を得ることができる。
得られた抗OCIFポリクローナル抗体をアイソトープや酵素で標識することにより
、ラジオイムノアッセイ(RIA) やエンザイムイムノアッセイ(EIA) の測定系に使
用することができる。この測定系を用いることにより、血液や腹水などの生体試
料や細胞培養液などのOCIF濃度を容易に測定することができる。
又、本発明は抗OCIFモノクローナル抗体、及びそれを用いたOCIFの測定方法に
関する。
抗OCIFモノクローナル抗体は、OCIFを免疫原として、常法により作成される。
抗原としては、IMR-90培養液より得られる天然型OCIF、及びOCIFcDNAを用いて微
生物や真核細胞を宿主として生産された遺伝子組み換え型OCIF、或いはOCIFのア
ミノ酸配列に基づいて設計した合成ペプチドや、OCIFの加水分解部分ペプチドで
もよい。これらの抗原を用いて哺乳動物を免疫するか、或いはインビトロ法によ
り免疫した細胞を、哺乳動物の骨髄腫細胞 (ミエローマ) などと融合させハイブ
リドーマを作製し、このハイブリドーマよりOCIFを認識する抗体を産生するクロ
ーンを選択し、このクローンを培養することにより目的とする抗体が得られる。
ハイブリドーマの作製にあたっては、哺乳動物を使用する場合、マウスやラット
などの小動物を使用した例が一般的である。
免疫は、OCIFを生理食塩水などにより適当な濃度に希釈し、この溶液を静脈
内や腹腔内に投与し、これに必要に応じて免疫アジュバントを併用投与し、動物
に2-20日毎に2-5 回投与する。このようにして免疫された動物を、解剖し、脾臓
を摘出し脾細胞を免疫細胞として使用する。
免疫細胞と細胞融合させるマウス由来のミエローマとしては、例えばP3/x63-A
g8, p3-U1, NS-1, MPC-11, SP-2/0, FO, P3x63Ag8. 653, S194などが例示できる

また、ラット由来の細胞としてはR-210 などの細胞株を例示できる。ヒト型
の抗体を生産する場合にはヒトBリンパ球をインビトロ法により免疫し、ヒトミ
エローマ細胞やEBウイルスにより形質転換した細胞株を親株として使用すること
によりヒト型の抗体を生産するハイブリドーマを得ることができる。
免疫細胞とミエローマ細胞株の融合は公知の方法、例えばKoehler とMilstein
らの方法 (Koehle, G. et al. Nature vol. 256, 495-497, 1975) 、或いは電気
パルス法などが挙げられる。免疫細胞とミエローマ細胞株は、細胞培養に用いら
れている培地 (FBS不含) に、通常行われている細胞数の比に混合し、ポリエチ
レングリコールを添加して融合処理を行い、HAT選択培地で培養を行い融合細胞
を選択することができる。
抗OCIF抗体生産株を選別するには、ELISA法、プラーク法、オクタロニー法、
凝集法など、通常の抗体検出に使用されている方法を用いて選択することができ
る。このようにして選別されたハイブリドーマは、通常の培養方法により継代培
養可能であり、必要に応じて凍結保存できる。ハイブリドーマを常法により培養
するか、または哺乳動物の腹腔内に移植することにより、抗体を生産することが
できる。抗体は塩析、ゲル濾過やアフィニティークロマトグラフィーなどの通常
の方法により精製できる。
得られた抗体はOCIFに特異的に反応し、OCIFの測定や精製に使用できる。OCIF
の測定に使用する場合は、抗体をアイソトープや酵素によりラベルすることによ
り、ラジオイムノアッセイ(RIA) やエンザイムイムノアッセイ(EIA)
の測定系に使用することができる。特に本発明により得られる抗体は、その抗原
認識部位がそれぞれ異なっているので、サンドイッチイムノアッセイに使用する
ことができるという特徴を有する。この測定系を用いることにより、血液や腹水
などの生体試料や細胞培養液などのOCIF濃度を容易に測定することができる。
OCIF活性は、久米川正好らの方法(蛋白質・核酸・酵素, Vol.34, p999
(1989))及びTakahashi N. et al. の方法(Endocrinology, Vol.122, p1373
(1988))に従い測定することができる。即ち、生後約17日のマウス骨髄細胞を標
的細胞として用い、活性型ビタミンD(Calcitriol) 存在下での破骨細胞の形
成抑制を、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ活性の誘導の抑制で試験することがで
きる。
本発明の蛋白質である破骨細胞形成抑制因子OCIFは、骨粗鬆症等の骨量減少症
、リウマチ又は変形性関節症等の骨代謝異常疾患、或いは多発性骨髄腫等の骨代
謝異常疾患の治療及び改善を目的とした医薬組成物として、或いはこのような疾
患の免疫学的診断を確立するための抗原として有用である。本発明の蛋白質は、
製剤化して経口或いは非経口的に投与することができる。即ち、本発明の蛋白質
を含む製剤は、破骨細胞形成抑制因子OCIFを有効成分として含む医薬組成物とし
てヒト及び動物に対して安全に投与されるものである。
医薬組成物の形態としては、注射用組成物、点滴用組成物、坐剤、経鼻剤、舌
下剤、経皮吸収剤等が挙げられる。注射用組成物の場合は、本発明の破骨細胞形
成抑制因子の薬理学的有効量及び製薬学的に許容しうる担体の混合物であり、そ
の中にはアミノ酸、糖類、セルロース誘導体、及びその他の有機/無機化合物等
の一般的に注射用組成物に添加される賦形剤/賦活剤を用いることもできる。又
、本発明の破骨細胞形成抑制因子OCIFとこれらの賦形剤/賦活剤を用い注射剤を
調製する場合は、必要に応じてpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤等を添加
して常法によって各種注射剤とすることができる。
本発明により、新規な破骨細胞形成抑制活性を有する蛋白質及びその効率的な
製造方法が提供される。本発明の蛋白質は破骨細胞形成抑制活性を有し、骨粗鬆
症等各種の骨量減少性疾患の治療剤として或いはこれらの疾患の免疫学的診断の
ための抗原等として利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。しかしこれらは単に例
示するのみであり、本発明はこれらにより限定されるものではない。
ヒト線維芽細胞IMR−90培養液の調製
ヒト胎児肺線維芽細胞IMR-90 (ATCC-CCL186)は、ローラーボトル(490cm2
110 ×171mm 、コーニング社)中で80gのアルミナセラミック片(アルミナ99.5
%、東芝セラミック社)に付着させ培養した。培養には60個のローラーボトルを
使用し、ローラーボトル1個当たり5%子牛血清を添加した10mMHEPES緩衝液添
加DMEM培地(ギブコBRL社)500mlを用い、37℃、5%CO2存在下で 7〜10日間静置
培養した。培養後培養液を回収し、新たな培地を添加することにより1回の培養
で 301のIMR-90培養液を得た。得られた培養液を試料1とした。
破骨細胞形成抑制活性の測定法
本発明の蛋白性破骨細胞形成抑制因子の活性測定は久米川正好らの方法(蛋白
質・核酸・酵素 Vol.34 p999(1989)) 及びTakahashi N. et al. の方法(Endocr
inology vol.122 p1373 (1988))に従い測定した。即ち、生後約17日のマウスよ
り分離した骨髄細胞を用い、活性型ビタミンD3存在下での破骨細胞形成を酒石酸
耐性酸性ホスファターゼ活性の誘導を指標として試験し、その抑制活性を測定す
ることによって行った。即ち、96ウェルマイクロプレートに2×10-8M活性型ビ
タミンD3及び10%牛胎児血清を含むα-MEM培地(ギブコBRL社)で希釈したサ
ンプル 100μlを入れ、生後約17日のマウスから得た骨髄細胞3×105個を 100μ
lの10%牛胎児血清を含むα-MEM培地に懸濁させて播種し、5%CO2、37℃、湿度
100%にて一週間培養した。培養3日目と5日目に、培養液 160μlを廃棄し、
1×10-8M活性型ビタミンD3 及び10%牛胎児血清を含むα-MEM培地で希釈した
サンプル160μlを添加した。培養7日後にリン酸塩緩衝生理食塩水で洗浄した
後エタノール/アセトン(1:1)溶液で細胞を室温にて1分間固定し、破骨細
胞形成を酸性ホスファターゼ活性測定キット(Acid Phosphatase,Leucocyte 、
カタログNo.387-A、シグマ社)を用いた染色で検出した。酒石酸存在下での酸性
ホスファターゼ活性陽性細胞の減少をOCIF活性とした。
OCIFの精製
i)ヘパリン・セファロ−スCL-6Bによる精製
約90lのIMR-90培養液(試料1)を、0.22μm のフィルター(親水性ミリディ
スク、2,000cm2、ミリポア社)で濾過した後、3回に分けて 0.3M NaClを含む10
mM Tris-HCl 緩衝液(以下、Tris-HClという)、pH7.5 で平衡化させたヘパリン
・セファロースCL-6B カラム(5×4.1cm 、ゲル容量80ml)にかけた。流速500ml/
hrにて、10mM Tris-HCl、 pH7.5 で洗浄した後、2M NaCl を含む10mM Tris-
HCl 、 pH7.5で溶出を行い、ヘパリン・セファロースCL-6B 吸着画分900ml
を得、得られた画分を試料2とした。
ii)HiLoad-Q/FFによる精製
ヘパリン・セファロース吸着画分(試料2)を 10mM Tris-HCl、pH7.5 に対して
透析した後、0.1 %になるようにCHAPSを加え4℃で一晩放置したものを2回に
分けて0.1 %CHAPSを含む50mM Tris-HCl、pH7.5 で平衡化した陰イオン交換カラ
ム(HiLoad-Q/FF、2.6 ×10cm、ファルマシア社)にかけ、非吸着画分1000mlを得
た。得られた画分を試料3とした。
iii) HiLoad-S/HPによる精製
HiLoad−Q非吸着画分(試料3)を、0.1 %CHAPSを含む50mM Tris-HCl,pH7.5
で平衡化した陽イオン交換カラム(HiLoad-S/HP、2.6 ×10cm、ファルマシア社)
にかけた。0.1 %CHAPSを含む50mM Tris-HCl, pH7.5で洗浄した後、100分間でNa
Clを1M にする直線勾配、流速8ml/分にて溶出を行い、12ml/フラクションにて
分取を行った。フラクション1〜40を10フラクションづつ4つの画分にまとめ、
それぞれ 100μlを用いてOCIF活性を測定した。OCIF活性はフラクション11〜30
に認められた(図1:図中、++は破骨細胞形成が80%以上抑制される活性を、
+は破骨細胞形成が30〜80%抑制される活性を、−は活性が検出されないことを
それぞれ示す)。より比活性の高いフラクション21〜30を試料4とした。
iv) アフィニティーカラム(ヘパリン-5PW)による精製
120ml の試料4を240ml の0.1 %CHAPSを含む50mM Tris-HCl, pH7.5で希釈し
た後、0.1 %CHAPSを含む50mM Tris-HCl, pH7.5で平衡化したアフィニティーカ
ラム(ヘパリン-5PW、0.8)へかけた。0.1 %CHAPSを含む50mM Tris-HCl, pH7.5
で洗浄した後、60分間でNaClを2M にする直線勾配、流速0.5ml/分にて溶出を行
い、0.5ml/フラクションにて分取を行った。各フラクション50μlを用いてOCIF
活性を測定し、約0.7 〜1.3M NaCl で溶出されるOCIF活性画分10mlを得、試料5
とした。
v)アフィニティーカラム(ブルー-5PW)による精製
10mlの試料5を 190mlの0.1%CHAPSを含む50mM Tris-HCl, pH7.5で希釈した後
、0.1%CHAPSを含む50mM Tris-HCl, pH7.5で平衡化したアフィニティーカラム(
ブルー-5PW、0.5×5.0cm、トーソー社)にかけた。0.1%CHAPSを含む50mM Tris-
HCl, pH7.5で洗浄した後、60分間でNaClを2Mにする直線勾配、流速0.5ml/分に
て溶出を行い、0.5ml/フラクションにて分取を行った。各フラクション25μlを
用いてOCIF活性を測定し、約1.0 〜1.6M NaClで溶出されるOCIF活性フラクショ
ン49〜70を得た(図2図中、++は破骨細胞形成が80%以上抑制される活性を、
+は破骨細胞形成が30〜80%抑制される活性を示す)。
vi) 逆相カラムによる精製
得られたフラクション49〜50mlに、10μlの25%TFA(トリフルオロ酢酸)を
加えた後、0.1%TFAを含む25%アセトニトリルで平衡化した逆相カラム
(BU−300 、C4、2.1 ×220mm 、パーキンエルマー社)にかけ、60分間でアセト
ニトリルを55%にする直線勾配、流速0.2ml/分にて溶出を行い、各ピークを分取
した(図3)。各ピークフラクションの 100μlを用いてOCIF活性を測定し、ピ
−ク6及びピ−ク7に濃度依存的に活性を検出した。結果を表1に示す。
(表中、++は破骨細胞形成が80%以上抑制される活性を、+は破骨細胞形
成が30〜80%抑制される活性を、−は活性が検出されないことを示す。)
OCIFの分子量測定
OCIF活性の認められたピーク6及びピーク7各40μlを用い、還元条件下と非還元
条件下でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。即ち、各ピークフラク
ション20μlづつを2本のチューブに分取し減圧濃縮した後、1mMEDTA、2.5 %
SDS、及び0.01%ブロモフェノールブルーを含む10mM Tris-HCl, pH8 1.5μlで溶
解し、それぞれを非還元条件下及び還元条件下(5% 2-メルカプトエタノール存
在下)で37℃で一晩放置後、それぞれの1μlをSDS-ポリアクリルアミドゲル電
気泳動に負荷した。電気泳動は10-15%アクリルアミドのグラジエントゲル(ファ
ルマシア社)を使用し、電気泳動装置Phast System(ファルマシア社)を用いて
行った。分子量マーカーとして、ホスホリラーゼb(94kD) 、ウシ血清アルブミ
ン(67kD)、オボアルブミン(43kD)、カルボニックアンヒドラーゼ(30kD)、トリプ
シンインヒビター(20.0kD)、α−ラクトアルブミン (14.4kD) を用いた。電気泳
動終了後、Phast Gel Silver Stain Kit(ファルマシア社)を用いて銀染色を行
った。結果を図4に示す。
その結果、ピーク6については還元条件下、非還元条件下で約60kDの蛋白質の
バンドが検出された。又、ピーク7については、還元条件下で約60kD、非還元条
件下で約120kDaの蛋白質のバンドが検出された。従って、ピーク7はピーク6の
蛋白質のホモダイマーであると考えられる。
OCIFの熱安定性試験
ブルー5PWフラクション51〜52を混合したサンプルから20μlずつを取り、
10mMリン酸塩緩衝生理食塩水、pH7.2 30μlを加えた後、70℃及び90℃にて10分
間、又は56℃にて30分間熱処理を行った。このサンプルを用い、実施例2記載の
方法に従いOCIF活性を測定した。結果を表2に示す。

(表中、++は破骨細胞形成が80%以上抑制される活性を、
+は破骨細胞形成が30〜80%抑制される活性を、−は活
性が検出されないことを示す。)
内部アミノ酸配列の決定
ブルー-5PWフラクション51〜70について、2フラクションづつを混合して1ml
とし、それぞれの試料に10μlの25%TFAを加えた後、1mlずつ10回にわけて0.1
%TFAを含む25%アセトニトリルで平衡化した逆相カラム (BU-300、C4、2.1×220
mm 、パーキンエルマー社)にかけ、60分間でアセトニトリルを55%にする直線勾
配、流速 0.2 ml/分にて溶出を行い、ピーク6とピーク7を集めた。得られたピ
ーク6とピーク7の一部について、それぞれプロテインシーケンサー(プロサイ
ス、494 型、パーキンエルマー社)を用い、N末端アミノ酸配列分析を行ったが
、分析不能でありこれらの蛋白質のN末端はブロックされている可能性が示唆さ
れた。そこで、これらの蛋白質の内部アミノ酸配列を解析した。即ち、ピーク6
とピーク7のそれぞれを遠心濃縮した後、それぞれに100μg ジチオスレイトー
ル、10mM EDTA、7M塩酸グアニジン、及び1%CHAPSを含む 0.5M Tris-HCl, pH8.
5 50μl を加えて室温で4時間放置し還元した後、0.2μlの4−ビニルピリジ
ンを加え、室温暗所で一晩放置しピリジルエチル化した。これらのサンプルに1
μlの25%TFAを加え、0.1%TFAを含む20%アセトニトリルで平衡化した逆相カラ
ム(BU-300, C4, 2.1×30mm, パーキンエルマー社)にかけ、30分間でアセトニト
リル濃度を50%にする直線勾配、流速0.3 ml/ 分で溶出を行い、還元ピリジルエ
チル化OCIFサンプルを得た。還元ピリジルエチル化したサンプルのそれぞれを遠
心濃縮し、8M尿素及び0.1% Tween80を含む0.1M Tris-HCl, pH9 25 μl で溶解
した後、73μl の0.1M Tris-HCl, pH9 で希釈し、0.02μg のAP1(リシルエンド
プロテアーゼ、和光純薬社)を加え、37℃で15時間反応させた。反応液に1μl
の25%TFAを加え、0.1%TFAで平衡化した逆相カラム(RP-300, C8, 2.1×220mm
、パーキンエルマー社)にかけ、70分間でアセトニトリル濃度を50%にする直線
勾配、流速0.2 ml/ 分で溶出を行い、ペプチドフラグメントを得た(図5)。得
られたペプチドフラグメント (P1〜P3)について、プロテインシーケンサーを用
いアミノ酸配列分析を行った。結果を配列表 配列番号1〜3に示す。
cDNA配列の決定
i) IMR-90細胞からのポリ(A) + RNA の単離
IMR-90細胞のポリ(A)+RNA は、ファストトラックmRNAアイソレーションキット
(インヴィトロージェン社)を用い、そのマニュアルに準じて単離した。この方
法により1X108個のIMR-90細胞より約10μg のポリ(A)+RNAを取得した。
ii) ミックスプライマーの作製
先に得られたペプチド(配列表 配列番号2及び3)のアミノ酸配列をもとに
、次の2種のミックスプライマーを合成した。即ち、ペプチドP2の6番目(Gln)
から12番目(Leu) までのアミノ酸配列をコードしうるすべての塩基配列を持つオ
リゴヌクレオチドの混合物(ミックスプライマー,No.2F)を合成した。又、ペ
プチドのP3 の6番目(His) から12番目(Lys) までのアミノ酸配列をコードし
うるすべての塩基配列に対する相補的オリゴヌクレオチドの混合物(ミックスプ
ライマー,No.3R)を合成した。用いたミックスプライマーの塩基配列を、表3
に示す。
(表3)
=No.2F =
5'-CAAGAACAAA CTTTTCAATT-3'
G G G C C GC
A
G
=No.3R =
5'-TTTATACATT GTAAAAGAAT G-3'
C G C G GCTG
A C
G T
iii) OCIFcDNA断片のPCR による増幅
実施例7−i)で得たポリ(A)+RNA、1Mgを鋳型としてスーパースクリプトIIcDNA
合成キット(ギブコBRL社) を用いて、同社のプロトコールに従って一本鎖cDNA
を合成し、このcDNAと実施例7−ii) で示したプライマーを用いて、PCRを行い
、OCIFcDNA断片を取得した。以下に条件を示す。
10X Ex Taqバッファー(宝酒造社) 5 μl
2.5 mM dNTP 4 μl
cDNA溶液 1 μl
Ex Taq (宝酒造社) 0.25 μl
蒸留水 29.75 μl
40μM プライマーNo.2F 5 μl
40μM プライマーNo.3R 5 μl
上記の溶液を微量遠心チューブ中で混合後、以下の条件でPCRを行った。95℃
で3 分前処理後、95℃30秒、50℃30秒、70℃2 分の3 段階の反応を30回繰り返し
たのち、70℃5分保温した。反応液の一部をアガロース電気泳動し約400bp の均
一なDNA断片が得られたことを確認した。
PCR により増幅されたOCIFcDNA断片のクローニング及び塩基配列決定
実施例7−iii)で得られたOCIFcDNA断片を、Marchuk, Dらの方法(Nucleic Aci
dRes., Vol.19, p1154, 1991)によってプラスミドpBluescript II SK-(ストラタ
ジーン社)にDNAライゲーションキット Ver.2(宝酒造社)を用いて挿入し、大腸
菌 DH5α(ギブコBRL社)の形質転換を行った。得られた形質転換株を増殖させ、
約 400bpのOCIFcDNA断片が挿入されたプラスミドを常法に従い精製した。このプ
ラスミドをpBSOCIFと名付け、このプラスミドに挿入されているOCIFcDNAの塩基
配列をタックダイデオキシターミネーターサイクルシークエンシングキット(Taq
Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing kit; パーキンエルマー社)を用いて
決定した。このOCIFcDNAの大きさは、397 bpであった。この塩基配列から予測さ
れる132 個のアミノ酸からなるアミノ酸配列中に、ミックスプライマーを設計す
るのに用いたOCIFの内部アミノ酸配列(配列表配列番号2及び3)をそれぞれN
末側、C末側に見出すことができた。又、OCIFの内部アミノ酸配列(配列番号1
)を、この 132個のアミノ酸からなるアミノ酸配列中に見出すことができた。以
上の結果より、クローニングした397 bpのcDNAは、OCIFcDNA断片であることが確
認された。
DNAプローブの作製
実施例8で作成された397bp のOCIFcDNA断片が挿入されたプラスミドを鋳型に
して実施例7−iii)の条件でPCRを行なうことにより、このOCIFcDNA断片を増幅
した。アガロース電気泳動により397bp のOCIFcDNA断片を分離後、QIAEX ゲルエ
クストラクションキット(キアゲン社)を用いて精製した。このDNAをメガプラ
イムDNAラベリングキット(アマシャム社) を用いて [α32P]dCTP で標識し、
全長のOCIFcDNAをスクリーニングするためのプローブとして用いた。
cDNAライブラリーの作成
実施例7−i)で得られたポリ(A)+RNA 、2.5μgを鋳型としてグレートレン
グスcDNA合成キット(クロンテック社) を用いて同社のプロトコールに従い、
oligo(dT)primer を用いてcDNAの合成、EcoRI-SalI-Not-Iアダプター付加、cDNA
サイズフラクショネーションを行いエタノール沈殿の後10μlのTEバッファーに
溶解した。得られたアダプター付加cDNA、0.1μgをT4DNA リガーゼを用いてあら
かじめEcoRIで切断した1μgのλZAP エクスプレスベクター(ストラタジーン社
)に挿入した。このようにして得られたcDNA組み換えファージDNA 溶液をギガパ
ックゴールドII(ストラタジーン社) を用いてインヴィトロパッケージング反
応に供し、λZAP エクスプレス組み換えファージを作成した。
組み換えファージのスクリーニング
実施例10で得られた組み換えファージを37℃で15分間大腸菌 XL1-Blue MRF'
(ストラタジーン社)に感染させたのち、50℃に加温した0.7 %の寒天を含むNZ
Y 培地に添加し、NZY 寒天培地プレートに流しこんだ。37℃で一晩培養後、プラ
ークの生じたプレート上にハイボンドN(アマシャム社)を約30秒密着させた。
このフィルターを常法に従いアルカリ変性の後、中和し、2XSSC 溶液に浸したの
ちUVクロスリンク(ストラタジーン社) によりDNA をフィルターに固定化した
。得られたフィルターを100 μg/mlのサケ精子DNA を含むハイブリダイゼーショ
ンバッファー(アマシャム社)に浸漬し65℃で4 時間前処理した後、熱変性した
上記DNA プローブ(2X105cpm/ml) を添加した上記バッファ−に移し替え65℃で一
晩ハイブリダイゼーションを行った。反応後フィルターを2XSSC で2 回、0.1XSS
C,0.1% SDS溶液で2回それぞれ65℃で10分間洗浄した。得られたいくつかの陽性
クローンを、さらに2 回スクリーニングを行うことにより純化した。それらの中
から約1.6kb のインサートを持つものを以下に用いた。この純化したファージを
λOCIFと名付けた。純化したλOCIFをλZAP エクスプレスクローニングキット(
ストラタジーン社)のプロトコールに従い、大腸菌XL1-Blue MRF' に感染させた
のち、ヘルパーファージExAssist(ストラタジーン社) で多重感染を行い、そ
の培養上清を大腸菌XLOLR(ストラタジーン社) に感染させたのちカナマイシン耐
性株を拾うことによりpBKCMV(ストラタジーン社) に上述の1.6kb のインサー
トが挿入されたプラスミドpBKOCIF をもつ形質転換株を得た。この形質転換株は
pBK/01F10 として、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現独立行政
法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に受託番号FERM BP-5267(平
成7年10月25日にFERM P-14998の原寄託よりブタペスト条約に基づく寄託に移管
)として寄託してある。このプラスミドをもつ形質転換株を増殖させ、常法によ
りプラスミドを精製した。
OCIFの全アミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列の決定
実施例11で得られたOCIFcDNAの塩基配列をタックダイデオキシターミネータ
ーサイクルシークエンシングキット(パーキンエルマー社) を用いて決定した。
用いたプライマーはT3, T7 プライマー(ストラタジーン社)及びOCIFcDNAの塩
基配列に基づいて設計された合成プライマーであり、その配列を配列表配列番号
16〜29に示す。
決定されたOCIFの塩基配列を配列番号6に、その配列から推定されるアミノ酸
配列を配列番号5にそれぞれ示す。
293/EBNA細胞による組み換え型OCIFの生産
i) OCIFcDNAの発現プラスミドの作製
実施例11で得られた約1.6kb のOCIFcDNAが挿入されたプラスミドpBKOCIF を
制限酵素BamHI 及びXhoIで消化し、OCIFcDNAを切り出し、アガロース電気泳動に
よって分離後、QIAEX ゲルエクストラクションキット(キアゲン社)を用いて
精製した。このOCIFcDNAを、あらかじめ制限酵素BamHI 及びXhoIで消化しておい
た発現プラスミドpCEP4(インヴィトロージェン社)に、ライゲーションキット
Ver.2(宝酒造社)を用いて挿入し、大腸菌DH5 α(ギブコBRL社)の形質転換を
行った。得られた形質転換株を増殖させ、OCIFcDNAが挿入された発現プラスミド
pCEPOCIFをキアゲンカラム(キアゲン社) を用いて精製した。OCIF発現プラス
ミドpCEPOCIFをエタノールによって沈澱させた後、無菌蒸留水に溶解し以下の操
作に用いた。
ii) OCIFcDNAのトランジエントな発現及びその活性の測定
実施例13-i)で得られたOCIF発現プラスミドpCEPOCIFを用いて、以下に述べる
方法で組み換えOCIFを発現させ、その活性を測定した。8×105個の293/EBNA細胞
(インヴィトロージェン社)を6ウェルプレートの各ウェルに10%牛胎児血清(
ギブコBRL社)を含むIMDM培地(ギブコBRL社)を用いて植え込み、翌日、培地を
除いた後、無血清IMDM培地で細胞を洗った。トランスフェクション用試薬リポフ
ェクタミン(ギブコBRL社)添付のプロトコールに従い、あらかじめOPTI-MEM培
地(ギブコBRL社)を用いて希釈しておいたpCEPOCIFとリポフェクタミンを混合
した後、この混合液を各ウェルの細胞に加えた。用いたpCEPOCIF及びリポフェク
タミンの量はそれぞれ3μg及び12μlであった。38時間後、培地を除き1mlの新
しいOPTI-MEM培地を加え、さらに30時間後、培地を回収し、これをOCIF活性測定
用サンプルとした。OCIFの活性測定は以下のようにして行った。生後約17日のマ
ウス骨髄細胞からの活性型ビタミンD3存在下での破骨細胞形成を酒石酸耐性酸性
ホスファターゼ活性の誘導で試験し、その抑制活性を測定し、OCIFの活性とした
。すなわち、96ウェルマイクロプレートに2×10‐8M活性型ビタミンD3及び10%
牛胎児血清を含むα-MEM培地(ギブコBRL社)で希釈したサンプル100μl を入れ
、生後約17日のマウス骨髄細胞3×105個を 100μl の10%牛胎児血清を含むα-
MEM培地に懸濁させて播種し、5 %CO2、37℃、湿度 100%にて一週間培養した。
培養3日目と5日目に、培養液160μl を廃棄し、1×10-8M活性型ビタミンD3
び10%牛胎児血清を含むα-MEM培地で希釈したサンプル160μlを添加した。培
養7日後にリン酸塩緩衝生理食塩水で洗浄した後エタノール/アセトン(1:1
)溶液で細胞を室温にて1分間固定し、破骨細胞形成を酸性ホスファターゼ活性
測定キット(Acid Phosphatase, Leucocyte 、カタログ No.387- A、シグマ社)
を用いた染色で検出した。酒石酸存在下での酸性ホスファターゼ活性陽性細胞の
減少をOCIF活性とした。その結果、表4に示すように、先にIMR-90の培養液から
得られた天然型OCIFと同様の活性をこの培養液が有することが確認された。
(表中、++は破骨細胞形成が80%以上抑制される活性を、+は破骨細胞形成
が30〜80%抑制される活性を、−は活性が検出されないことを示す。)
iii) 293/EBNA細胞由来組み換え型OCIFの精製
実施例13−ii)に記載した293/EBNA細胞を大量培養して得た培養液1.8lに0.1
%になるようにCHAPSを加え、0.22μm のフィルター(ステリベックスGS、ミリ
ポア社)で濾過した後、10mM Tris-HCl, pH7.5で平衡化させた50mlのヘパリン・
セファロースCL-6Bカラム(2.6×10cm、ファルマシア社)にかけた。0.1 %CHAPS
を含む10mMTris-HCl, pH7.5で洗浄した後、100 分間でNaClを2Mにする直線勾配
、流速4ml/分にて溶出を行い、8ml/フラクションにて分取を行った。各フラク
ション150μlを用いて実施例2の方法に従ってOCIF活性を測定し、約 0.6〜1.2M
NaClで溶出されるOCIF活性画分 112mlを得た。
得られたOCIF活性画分 112mlを0.1 %CHAPSを含む 10mM Tri s-HCl,pH7.5 で1
000mlに希釈した後、0.1 %CHAPSを含む 10mM Tris-HCl, pH7.5で平衡化させた
アフィニティカラム(ヘパリン -5PW, 0.8×7.5 cm、トーソー社)にかけた。0.
1%CHAPSを含む 10mM Tris-HCl, pH7.5 で洗浄した後、60分間でNaClを2Mにする
直線勾配、流速0.5ml/分にて溶出を行い、0.5ml/フラクションにて分取を行った
得られたフラクション各4μlを用いて実施例4の方法に従って還元及び非還
元条件下でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。その結果、フラクシ
ョン30〜32には還元条件下で約60kD、非還元条件下で約60kDと約 120kDのOCIFバ
ンドのみが検出されたので、フラクション30〜32を集め純化293/EBNA細胞由来組
み換え型OCIF( rOCIF(E)) 画分とした。BSAをスタンダードとして用いたローリ
ー法による蛋白定量の結果、535μg/mlのrOCIF(E)1.5ml が得られたことが明ら
かになった。
CHO細胞による組み換え型OCIFの生産
i) OCIFの発現プラスミドの作製
実施例11で得られた約1.6kb のOCIFcDNAが挿入されたプラスミドpBKOCIF を制
限酵素SalI及びEcoRV で消化し、約1.4kb のOCIFcDNA断片を切り出し、アガロー
ス電気泳動によって分離後、QIAEX ゲルエクストラクションキット(キアゲン
社)を用いて精製した。又、発現ベクターpcDL-SR α296 (Molecular and Cell
ular Biology, Vol.8, pp466-472, 1988) を制限酵素PstI及びKpnIで消化し、
約3.4kb の発現ベクターDNA 断片をアガロース電気泳動によって分離後、QIAEX
ゲルエクストラクションキット(キアゲン社)を用いて精製した。DNAブラン
ティングキット(宝酒造社)を用いて、これらの精製したOCIFcDNA断片と発現ベ
クターDNA断片の末端を平滑化した。次に、ライゲーションキット Ver.2(宝酒
造社)を用いて、平滑化された発現ベクターDNA断片にOCIFcDNA断片を挿入し、
大腸菌DH5α(ギブコBRL社)の形質転換を行い、OCIF発現プラスミドpSR αOCIF
をもつ形質転換株を得た。
ii) 発現プラスミドの調製
実施例13−i)で得られたOCIF発現プラスミドpSR αOCIFをもつ形質転換株及
びWO92/01053号公報に示されるマウスDHFR遺伝子発現プラスミドpBAdDSV をもつ
形質転換株をそれぞれ常法を用いて増殖させ、Maniatisら(Molecular cloning,
2nd edition) の方法に従いアルカリ法及びポリエチレングリコール法で処理
し、塩化セシウム密度勾配遠心法により精製した。
iii) CHOdhFr - 細胞の蛋白質不含培地への馴化
10%牛胎児血清(ギブコBRL社)を含むIMDM培地(ギブコBRL社)で継代されて
いたCHOdhFr- 細胞(ATCC-CRL9096)は、無血清培地 EX-CELL301(JRHバイオサイ
エンス社)で馴化後、さらに蛋白質不含培地EX-CELL PF CHO(JRHバイオサイエ
ンス社)で馴化させた。
iv) OCIF発現プラスミド及びDHFR発現プラスミドのCHOdhFr - 細胞への導入
実施例14-ii) で調製したOCIF発現プラスミド pSRαOCIF及びDHFR発現プラス
ミドpBAdDSV を用いて実施例14-iii)で調製したCHOdhFr- 細胞を下記に示すエレ
クトロポレーション法により形質転換した。pSR αOCIFプラスミド 200μgとpB
AdDSV プラスミド20μgを無菌的に10%牛胎児血清(ギブコBRL社)を含むIMDM
培地(ギブコBRL社)0.8ml に溶解後、この0.8ml を用いて 2×107個のCHOdhFr-
細胞を浮遊させた。この細胞浮遊液をキュベット(バイオラッド社)に入れ、ジ
ーンパルサー(バイオラッド社)を用いて、360V、960 μFの条件でエレクトロポ
レーション法により形質転換を行った。10mlのEX-CELL PF CHO培地の入った浮遊
細胞用Tフラスコ(住友ベークライト社)にエレクトロポレーション済の細胞浮
遊液を移し、CO2インキュベーター中で2日間培養した。EX-CELL PF CHO培地を
用いて5000cells/wellの濃度で96ウェルマイクロプレートにまき、約2週間培養
した。EX-CELL PF CHO培地は核酸を含まず、この培地では親株のCHOdhFr- は増
殖できないので、DHFRを発現する細胞株だけが選択されてくる。OCIF発現プラス
ミドをDHFR発現プラスミドの10倍量用いているので、DHFRを発現する細胞株の大
部分はOCIFを発現する。得られたDHFRを発現する細胞株から培養上清中のOCIF活
性の高い細胞株を、実施例2で示した測定法によってスクリーニングした。得ら
れたOCIF高生産株につきEX-CELL PF CHO培地を用いて限界希釈法により細胞のク
ローニングを行い、得られたクローンについて培養上清中のOCIF活性の高い細胞
株をスクリーニングし、OCIF高生産クローン5561を得た。
v) 組み換え型OCIFの生産
組み換えOCIF(rOCIF) の生産するため、EX-CELL 301 培地3lに形質転換CHO細
胞(5561)を1×105cells/ml となるように接種し、スピナーフラスコを用いて
37℃で4、5日培養した。細胞の濃度が約1×106cells/ml になったところで、約
2.7lの培地を回収した。約2.7lのEX-CELL 301 培地を加え、培養を繰り返した。
3基のスピナーフラスコを用い、約20l の培養液を採取した。
vi) CHO細胞由来組み換え型OCIFの精製
実施例14-(v) で得られた培養液1l に0.1%になるようにCHAPSを加え、0.22
μm のフィルター(ステリベックスGS、ミリポア社)で濾過した後、10mM Tris-
HCl, pH7.5で平衡化させた50mlのヘパリン・セファロースFFカラム(2.6×10cm、
ファルマシア社)にかけた。0.1%CHAPSを含む10mM Tris-HCl,pH7.5 で洗浄した
後、100 分間でNaClを2Mにする直線勾配、流速4ml/分にて溶出を行い、8ml/フ
ラクションにて分取を行った。各フラクション 150μl を用いて実施例2の方法
に従ってOCIF活性を測定し、約 0.6〜1.2Mで溶出されるOCIF活性画分 112mlを得
た。
得られたOCIF活性画分 112mlを0.1 %CHAPSを含む 10mM Tris-HCl,pH7.5 で120
0mlに希釈した後、0.1 %CHAPSを含む 10mM Tris-HCl, pH7.5で平衡化させたア
フィニティカラム(ブルー -5PW, 0.5×5cm 、トーソー社)にかけた。0.1 %CH
APSを含む 10mM Tris-HCl, pH7.5 で洗浄した後、90分間でNaClを3Mにする直線
勾配、流速0.5ml/分にて溶出を行い、0.5ml/フラクションにて分取を行った。
得られたフラクション各4μl を用いて実施例4の方法に従って還元及び非還
元条件下でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。その結果、フラクシ
ョン30〜38には還元条件下で約60kD、非還元条件下で約60kDと約 120kDのOCIFバ
ンドのみが検出されたので、フラクション30〜38を集め精製CHO細胞由来組み換
え型OCIF〔rOCIF(C)〕画分とした。BSAをスタンダードとしたローリー法による
蛋白定量の結果、113 μg/mlのrOCIF(C)4.5mlが得られたことが明らかになった
組み換え型OCIFのN末端構造解析
3μgの精製rOCIF(E)及びrOCIF(C)を、プロスピン(ProSpin,パーキンエルマ
ー社) を用いてポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に固定し、20%メタノール
で洗浄した後、プロテインシーケンサー(プロサイス、492 型、パーキンエルマ
ー社)を用いてN末端アミノ酸配列分析を行った。結果を配列表配列番号7に示
す。
rOCIF(E)と rOCIF(C) のN末端アミノ酸は、配列表配列番号5に記載したアミ
ノ酸配列の翻訳開始点 Metから22番目の Gluで、Met から Glnまでの21アミノ酸
はシグナルペプチドであることが明らかになった。又、IMR-90培養液から精製し
得られた天然型OCIFのN末端アミノ酸配列が分析不能であったのは、N末端のGl
u が培養中又は精製中にピログルタミン酸に変換したためと考えられた。
組み換え型(r)OCIF及び天然型(n)OCIFの生物活性
i) マウス骨髄細胞系での、ビタミンD 3 で誘導される破骨細胞形成の抑制
96ウェルマイクロプレートに、2×10‐8M活性型ビタミンD3及び10%牛胎児血
清を含むα-MEM培地(ギブコBRL社)で250ng/mlから連続的に二分の一希釈した
精製rOCIF(E)及び nOCIF 100μl を入れた。このウェルに生後約17日のマウス骨
髄細胞3×105個を 100μl の10%牛胎児血清を含むα-MEM培地に懸濁させて播
種し、5% CO2、37℃、湿度 100%にて一週間培養した。培養7日後に、実施例
2の方法に従って酸性ホスファターゼ活性測定キット(Acid Phosphatase, Leuco
cyte 、カタログNo.387-A,シグマ社)を用いた染色を行い破骨細胞形成を検出し
た。酒石酸存在下での酸性ホスファターゼ活性陽性細胞の減少をOCIF活性とした
。酸性ホスファターゼ活性陽性細胞の減少率は、染色した細胞の色素を可溶化し
、その吸光度を測定することにより算出した。即ち、細胞を固定し染色した各ウ
ェルに0.1N水酸化ナトリウム−ジメチルスルフォキシド混合液(1:1) 100μ
l を加えよく振盪した。色素を十分に溶解させた後、マイクロプレートリーダー
(イムノリーダーNJ-2000、インターメッド社)を用い、測定波長 590nm、対照
波長 490nmにて吸光度を測定した。又、吸光度を測定する際のブランクウェルと
して、ビタミンD3未添加のウェルを用いた。結果は、OCIF未添加のウェルでの吸
光度値を 100とした百分率値で表し、表5に示す。
nOCIFと同様にrOCIF(E)にも、16ng/ml 以上の濃度で用量依存的な破骨細胞形
成抑制活性が見られた。
ii) ストローマ細胞とマウス脾臓細胞の共培養系でのビタミンD 3 で誘導される
破骨細胞形成の抑制
ビタミンD3 で誘導されるストローマ細胞とマウス脾臓細胞の共培養系での破
骨細胞形成の試験は、宇田川らの方法(Endocrinology,Vol.125, p1805-1813,198
9) に従って行った。即ち、96ウェルマイクロプレートに2×10‐8M活性型ビタ
ミンD3、2×10‐7でデキサメサゾン及び10%牛胎児血清を含むα-MEM培地(ギブ
コBRL社)で、連続的に希釈した精製 rOCIF(E)、 rOCIF(C) 及びnOCIF100μlを入
れた。このウェルにマウス骨髄由来ストローマ細胞株ST2細胞 (RIKEN Cell Ban
k-RCB0224) 5×103個と生後約8週間の ddyマウス脾臓細胞1×105個を 100μl
の10%牛胎児血清を含むα-MEM培地に懸濁させて播種し、5%CO2、37℃、湿度
100%にて5日間培養した。培養5日後にリン酸塩緩衝生理食塩水で洗浄した後
、エタノール/アセトン(1:1)溶液で細胞を室温にて1分間固定し、破骨細
胞形成を酸性ホスファターゼ活性測定キット(Acid Phosphatase, Leucocyte、カ
タログNo.387-A, シグマ社)を用いた染色で検出した。酒石酸存在下での酸性ホ
スファターゼ活性陽性細胞の減少をOCIF活性とした。又、酸性ホスファターゼ活
性陽性細胞数の減少率は実施例16−i)に記載した方法に従って染色された細胞の
色素を溶解させて算出した。rOCIF(E)とrOCIF(C)を用いて試験した結果を表6に
、rOCIF(E)とnOCIF を用いて試験した結果を表7に、それぞれ示す。
nOCIFと同様にrOCIF(E)及びrOCIF(C)についても、6〜16mg/ml以上の濃度で容
量依存的な破骨細胞形成抑制活性が見られた。
iii) PTHで誘導される破骨細胞形成の抑制
PTHで誘導される破骨細胞形成の試験は、高橋らの方法 (Endocrinology,
Vol.122, p1373-1382, 1988)に従って行った。即ち、96ウェルマイクロプレート
に2×10‐8MPTH及び10%牛胎児血清を含むα-MEM培地(ギブコ社)で、125ng/m
lから連続的に希釈したnOCIF及び精製rOCIF(E) 100μl を入れた。このウェル
に生後約17日のマウス骨髄細胞3×105個を100μlの10%牛胎児血清を含むα−
MEM培地に懸濁させて播種し、5% CO2、37℃、湿度100 %にて5日間培養し
た。培養5日後にリン酸塩緩衝生理食塩水で洗浄した後エタノール/アセトン(
1:1)溶液で細胞を室温にて1分間固定し、破骨細胞形成を酸性ホスファター
ゼ活性測定キット(Acid Phosphatase, Leucocyte 、カタログ No.387-A,シグマ
社)を用いた染色で検出した。酒石酸存在下での酸性ホスファターゼ活性陽性細
胞の減少をOCIF活性とした。又、酸性ホスファターゼ活性陽性細胞数の減少率は
実施例16-i)に記載した方法に従って染色された細胞の色素を溶解させて算出し
た。結果を表8に示す。
nOCIF と同様にrOCIF(E)についても、16ng/ml 以上の濃度で容量依存的な破骨
細胞形成抑制活性が見られた。
iv) IL-11で誘導される破骨細胞形成の抑制
IL-11 で誘導される破骨細胞形成の試験は、田村らの方法 (Proc. Natl. Acad
.Sci.USA, Vol.90, p11924-11928, 1993)に従って行った。即ち、96ウェルマイ
クロプレートに 20ng/ml IL-11及び10%牛胎児血清を含むα-MEM培地(ギブコBR
L社製)で希釈したnOCIF 及び精製rOCIF(E) 100μl を入れた。このウェルにマ
ウス新生児頭蓋骨由来前脂肪細胞株 MC3T3-G2/PA6 細胞(RIKEN Cell Bank-RCB11
27)5×103個と生後約8週間の ddyマウス脾臓細胞1×105個を 100μlの10%牛
胎児血清を含むα-MEM培地に懸濁させて播種し、5% CO2、37℃、湿度100 %に
て5日間培養した。培養5日後にリン酸塩緩衝生理食塩水で洗浄した後エタノー
ル/アセトン(1:1)溶液で細胞を室温にて1分間固定し、破骨細胞形成を酸
性ホスファターゼ活性測定キット(Acid Phosphatase, Leucocyte 、カタログ N
o.387-A, シグマ社)を用いた染色で検出した。酒石酸存在下での酸性ホスファ
ターゼ活性陽性細胞数を計測し、その減少をOCIF活性とした。結果を表9に示す

nOCIF 及びrOCIF(E)とも、2ng/ml以上の濃度で容量依存的にIL-11 で誘導され
る破骨細胞形成を抑制する活性が見られた。
このように種々の標的細胞を用いた破骨細胞形成の試験系において、OCIFはビ
タミンD3、PTH、及びIL-11 等の破骨細胞形成誘導因子による破骨細胞の形成を
ほぼ同じ濃度で抑制することが明らかになった。従って、OCIFはこのような様々
な骨吸収促進物質で誘導される異なるタイプの骨量減少症の治療に、効果的に使
用出来る可能性が示唆された。
モノマー型及びダイマー型OCIFサンプルの調製
rOCIF(E)及びrOCIF(C)それぞれ 100μgを含むサンプルに、1/100容量の25%TF
A(トリフルオロ酢酸)を加えた後、0.1%TFAを含む30%アセトニトリルで平衡化
した逆相カラム(PROTEIN-RP、2.0×250mm、ワイエムシー社)にかけ、50分間でア
セトニトリルを55%にする直線勾配、流速0.2ml/分にて溶出を行い、各OCIFピー
クを分取した。得られたピーク画分を凍結乾燥することにより、モノマー型OCIF
及びダイマー型OCIFを得た。
組み換え型OCIFの分子量測定
実施例3−vi) の方法で逆相カラムを用いて精製したモノマー型及びダイマー
型nOCIFと実施例17記載の方法で精製したモノマー型及びダイマー型rOCIF約
1μgを含むサンプルを減圧濃縮した。これらのサンプルにつき、実施例4の方法
でSDS処理、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動、及び銀染色を行った。非還元条
件下及び還元条件下で電気泳動した結果を、図6及び図7にそれぞれ示す。
その結果、非還元条件下では、何れのモノマー型サンプルでも60kDの蛋白質バ
ンドが検出され、又、何れのダイマー型サンプルでも 120kDの蛋白質バンドが検
出された。又、還元条件下では何れのサンプルでも約60kDの蛋白質バンドのみが
検出された。従って、IMR-90細胞由来 nOCIF、293/EBNA細胞由来組み換え型OCIF
、及びCHO細胞由来組み換え型OCIFの各々のモノマー型とダイマー型の分子量は
ほぼ同一であることが示された。
IMR−90細胞由来天然型OCIFと組み換え型OCIFのN−結合型糖鎖の除去と分
子量測定
実施例3−vi) の方法で逆相カラムを用いて精製したモノマー型及びダイマー
型nOCIFと実施例17記載の方法で精製したモノマー型及びダイマー型rOCIFの
各々を約5μg含むサンプルを減圧濃縮した。これらのサンプルに100mM 2−メ
ルカプトエタノールを加えた50mMリン塩緩衝液、pH8.6, 9.5μl を加えて溶解さ
せ、更に250U/ml N−グリカナーゼ溶液(生化学工業社)0.5 μl を加え37℃で
一日放置した。これらのサンプルに2mM MEDTA、5%SDS、及び0.02%ブロモフェ
ノールブルーを含む 20mM Tris-HCl, pH8.0, 10μl を加え、100 ℃で5分間加
熱した。これらのサンプルの1μl を実施例4の方法でSDS-ポリアクリルアミド
電気泳動した後、銀染色した。結果を図8に示す。
その結果、N−グリカナーゼ処理によりN−結合糖鎖を除去したOCIF蛋白質の
還元条件下での分子量は、いずれも約40kDであることが示された。糖鎖除去の処
理を行っていないIMR-90細胞由来nOCIF,293/EBNA細胞由来rOCIF、及びCHO細
胞由来rOCIFの各々の還元条件下での分子量はいずれも約60kDであることから、
これらのOCIFはその分子内にN−結合糖鎖を含有する糖蛋白質であることが明ら
かになった。
OCIF類縁体(バリアント)cDNAのクローニング及び塩基配列の決定
実施例10及び11で示したように、純化したいくつかの陽性ファージのひとつか
らpBKCMV(ストラータジーン社)にOCIF cDNAが挿入されたプラスミドpBKOCIF
を持つ形質転換株を得たが、その際、他のいくつかの陽性ファージからも長さの
異なるインサートが挿入されたプラスミドを持つ形質転換株が得られた。これら
のプラスミドを持つ形質転換株を増殖させ、常法によりプラスミドを精製した。
これらのインサートDNA の塩基配列をタックダイデオキシターミネーターサイク
ルシークエンシングキット(パーキンエルマー社)を用いて決定した。用いたプ
ライマーはT3,T7プライマー(ストラータジーン社)及びOCIFcDNAの塩基配列に
基づいて設計された合成プライマーを用いた。オリジナルタイプのOCIF以外に、
OCIFバリアントは全部で4種類(OCIF2, 3, 4, 5) 存在した。決定されたOCIF2
cDNAの塩基配列を配列番号8にその配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号
9に示す。決定されたOCIF3 cDNAの塩基配列を配列番号10にその配列から推定さ
れるアミノ酸配列を配列番号11 に示す。決定されたOCIF4 cDNAの塩基配列を配
列番号12にその配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号13に示す。決定され
たOCIF5 cDNAの塩基配列を配列番号14にその配列から推定されるアミノ酸配列
を配列番号15に示す。これらのOCIFバリアントの構造の特徴を、図9〜12及び以
下の記載をもって、簡単に説明する。
OCIF2
OCIFcDNAの塩基配列(配列番号6)の 265番目のグアニンから285 番目のグア
ニンまでの21bpの欠失があり、アミノ酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配
列番号5)の68番目のグルタミン酸(Glu)から74番目のグルタミン(Gln)まで
の7アミノ酸の欠失がある。
OCIF3
OCIFcDNAの塩基配列(配列番号6)の9番目のシチジンがグアニンに変換して
いて、アミノ酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配列番号5)の−19番目の
アスパラギン(Asn)がリジン(Lys)に変わっている。但し、これはシグナル配列の
中のアミノ酸置換であり、分泌されるOCIF3には影響しないと思われる。
OCIFcDNAの塩基配列(配列番号6)の872番目のグアニンから988番目のグアニ
ンまでの 117bpの欠失があり、アミノ酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配
列番号5)の 270番目のスレオニン(Thr)から308 番目のロイシン(Leu)までの39
アミノ酸の欠失がある。
OCIF4
OCIFcDNAの塩基配列(配列番号6)の9番目のシチジンがグアニンに変換して
いて、アミノ酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配列番号5)の−19番目の
アスパラギン(Asn)がリジン(Lys)に変わっている。又、22番目のグアニンがチミ
ジンに変換していて、アミノ酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配列番号5
)の−14番目のアラニン(Ala)がセリン(Ser)に変わっている。但し、これらはシ
グナル配列の中のアミノ酸置換であり、分泌されるOCIF4には影響しないと思わ
れる。
OCIFcDNAの塩基配列(配列番号6)の 400番目と 401番目の間に約 4kbのイン
トロン2の挿入があり、オープンリーリングフレームがその中で止まる。アミノ
酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配列番号5)の 112番目のアラニン(A
la)の後に21アミノ酸からなる新規なアミノ酸配列が付加されている。
OCIF5
OCIFcDNAの塩基配列(配列番号6)の9番目のシチジンがグアニンに変換して
いて、アミノ酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配列番号5)の−19番目の
アスパラギン(Asn)がリジン(Lys)に変わっている。但し、これはシグナル配列の
中のアミノ酸置換であり、分泌されるOCIF5には影響しないと思われる。
OCIFcDNAの塩基配列(配列番号6)の400番目と401番目の間に約1.8 kbのイン
トロン2の後半部分の挿入があり、オープンリーリングフレームがその中で止ま
る。アミノ酸配列ではOCIFのアミノ酸配列(配列表配列番号5)の 112番目のア
ラニン(Ala)の後に12アミノ酸からなる新規なアミノ酸配列が付加されている
OCIF類縁体(バリアント)の生産
i) OCIFバリアントcDNAの発現プラスミドの作製
実施例20で得られたOCIFバリアントcDNAのうち、OCIF 2, 3 のcDNAがそれぞれ
挿入されたプラスミドpBKOCIF2、pBKOCIF3を制限酵素XhoI及 BR>ムBamHI(宝酒造社)
で消化し、OCIF 2及び3 のcDNAをそれぞれ切り出し、アガロース電気泳動によっ
て分離後、QIAEX ゲルエクストラクションキット(キアゲン社)を用いて精製
した。これらのOCIF 2及び3 のcDNAを、あらかじめ制限酵素XhoI及びBamHI (宝
酒造社)で消化しておいた発現プラスミドpCEP4(インヴィトロージェン社) に、
ライゲーションキット Ver.2(宝酒造社) を用いて挿入し、大腸菌 DH5α(ギブ
コBRL社)の形質転換を行った。
又、実施例20で得られたOCIFバリアントcDNAのうち、OCIF4 のcDNAをが挿入さ
れたプラスミドpBKOCIF4を制限酵素SpeI及びXhoI(宝酒造社)で消化し、
アガロース電気泳動によって分離後、QIAEX ゲルエクストラクションキット(
キアゲン社)を用いて精製した。この OCIF4のcDNAを、あらかじめ制限酵素
NheI及びXhoI (宝酒造社)で消化しておいた発現プラスミドpCEP4(インヴィトロ
ージェン社) に、ライゲーションキット Ver.2(宝酒造社)を用いて挿入し、大
腸菌DH5α(ギブコBRL社)の形質転換を行った。
又、実施例20で得られたOCIFバリアントcDNAのうち、OCIF5 のcDNAをが挿入さ
れたプラスミドpBKOCIF5を制限酵素Hind III(宝酒造社)で消化し、OCIF5cDNA
のコーディング領域の5'領域を切り出し、アガロース電気泳動によって分離後、
QIAEX ゲルエクストラクションキット(キアゲン社)を用いて精製した。実施例1
3‐i)で得られたOCIF発現プラスミドpCEPOCIFを制限酵素Hind III(宝酒造社)で
消化し、OCIFcDNAのコーディング領域の5'領域を取り除き、pCEPプラスミドとOC
IFcDNAの3'領域を含んだDNA断片pCEPOCIF-3' をアガロース電気泳動によって分
離後、QIAEX ゲルエクストラクションキット(キアゲン社)を用いて精製した。
この OCIF5 cDNA のHind III断片をpCEPOCIF-3' にライゲーションキット Ver.2
(宝酒造社) を用いて挿入し、大腸菌DH5α(ギブコBRL社)の形質転換を行った

得られた形質転換株を増殖させ、OCIF2, 3, 4, 5のcDNAが挿入された発現プラ
スミドpCEPOCIF 2, 3, 4, 5 を、キアゲンカラム(キアゲン社) を用いて精製
した。OCIFバリアント発現プラスミドをエタノールによって沈澱させた後、無菌
蒸留水に溶解し以下の操作に用いた。
ii) OCIFバリアントcDNAのトランジエントな発現及びその活性の測定
実施例21−i)で得られたOCIFバリアント発現プラスミドpCEPOCIF 2, 3, 4, 5
を用いて、実施例13−ii) で述べた方法でOCIFバリアントをトランジエントに発
現させ、それらの活性を調べた。その結果、これらのOCIFバリアントに弱い活性
を認めた。
OCIF変異体の作製
i) OCIF変異体cDNAサブクローニング用プラスミドベクターの作製
実施例11記載のプラスミドベクター5μg を、制限酵素BamHI 及びXhoI(宝
酒造社)で切断した。切断したDNAを調製用アガロースゲル電気泳動に供した。
OCIFcDNA全長を含む約 1.6キロベースペア(kb)のDNA断片を単離し、QIAEX ゲ
ルエクストラクションキット(キアゲン社)により精製し、20μl の滅菌蒸留水
に溶解したDNA溶液1を得た。次に、pBluescript IISK+(ストラータジーン社)
3μg を制限酵素BamHI 及びXhoI(宝酒造社)で切断した。切断したDNAを調製
用アガロースゲル電気泳動に供した。約3.0 kbのDNA断片を単離し、QIAEX ゲル
エクストラクションキット(キアゲン社)により精製し、20μl の滅菌蒸留水に
溶解したDNA溶液2を得た。1μl のDNA溶液2と4μl のDNA溶液1を混合し、
5μl のDNAライゲーションキットver.2 I液(宝酒造社)を添加し混合後、16
℃で30分間保温し、ライゲーション反応を行った。尚、以下のライゲーション反
応は全て16℃30分の保温条件で行った。
このライゲーション反応液を用い、以下の条件で大腸菌の形質転換を行った。
尚、以後大腸菌の形質転換は以下の条件で行った。このライゲーション反応液5
μl と大腸菌DH5αコンピテント細胞(ギブコBRL社)100 μl とを15ml用滅菌チ
ューブ(岩城ガラス社)中で混合し、氷水中30分放置した。42℃45秒保温後、25
0 μl のL培地 (1%トリプトン、0.5 %イーストエキストラクト、1% NaCl)
を添加し攪拌しながら37℃で培養した。50μl の菌液を50μg/mlアンピシリンを
含む2mlのL寒天培地上にスプレッドした。37℃で一晩培養し、生育してきたコ
ロニー6種を2mlのLアンピシリン液体培地でさらに一晩培養し、各株が持つプ
ラスミドの構造を調べた。pBluescript IISK+のBamHI XhoI切断部位にOCIFcDNA
全長を含む約1.6kb のDNA断片が挿入された構造を持つプラスミド(以後 pSK+-O
CIF と呼ぶ)を得た。
ii) CysをSerに置換した変異体の作製
(1) 変異の導入
配列表配列番号4に記載のアミノ酸配列中、174, 181, 256, 298及び379 番の
Cys残基を Ser残基に置換した変異体を作製した。174CysをSer に置換した変異
体をOCIF-C19S 、181CysをSer に置換した変異体をOCIF-C20S 、256Cysを Serに
置換した変異体をOCIF-C21S 、298CysをSer に置換した変異体をOCIF-C22S 、379
Cysを Serに置換した変異体をOCIF-C23S2と、それぞれ名付けた。変異体作製の
ためにまず、各Cys 残基をコードする塩基配列をSer 残基をコードする塩基配列
に置換した。変異導入は二段階のPCR(polymerase chain reaction) により行っ
た。以後、二段階PCR反応と呼ぶ。第一段階は2つのPCR反応より成る(PCR1及び
PCR2)。
PCR1反応液
10X Ex Taq バッファー(宝酒造社) 10 μl
2.5 mM dNTP 溶液 8 μl
実施例11記載のプラスミドベクター(8ng/ml) 2 μl
滅菌蒸留水 73.5μl
20μM プライマー1 5 μl
100μM プライマー2(変異導入用) 1 μl
Ex Taq (宝酒造社) 0.5μl
PCR2反応液
10X Ex Taqバッファー(宝酒造社) 10 μl
2.5 mM dNTP 溶液 8 μl
実施例11記載のプラスミドベクター(8ng/ml) 2 μl
滅菌蒸留水 73.5μl
20μM プライマー3 5 μl
100μM プライマー4(変異導入用) 1 μl
Ex Taq (宝酒造社) 0.5μl
各変異導入時には、プライマーの種類だけを変え、他の反応組成は同一とした
。各反応で用いたプライマーを表10に、その配列を配列表配列番号20、23、27、
30〜40に示す。PCR1反応液及びPCR2反応液をそれぞれ別の微量遠心チューブに入
れ混合後、以下の条件でPCRを行った。97℃で3分処理後、95℃1分、55℃1分
、72℃3分の3段階の反応を25回繰り返したのち、70℃5分保温した。反応液の
一部をアガロース電気泳動に供し、目的の長さのDNA断片が合成されていること
を確認した。第一段階PCR反応終了後、アミコンマイクロコン(アミコン社)に
より反応液からプライマーを除去し、滅菌蒸留水により最終液量を50μl に調製
し、得られたDNA断片を用いさらに第2段階PCR反応(PCR3)を行った。
PCR3反応液
10X Ex Taqバッファー(宝酒造社) 10 μl
2.5 mM dNTP 溶液 8 μl
PCR1により得られたDNA断片 5 μl
PCR2により得られたDNA断片 5 μl
滅菌蒸留水 61.5 μl
20μM プライマー 1 5 μl
20μM プライマー 3 5 μl
Ex Taq (宝酒造社) 0.5 μl
上記の溶液を微量遠心チューブに入れ混合後、PCR1、PCR2と同一の条件でPCR
を行った。反応液の一部をアガロース(1%或いは1.5 %)電気泳動に供し、目
的の長さのDNA断片が合成されていることを確認した。PCRにより得られたDNAを
エタノールにより沈殿させ、真空中で乾燥させ、40μl の滅菌蒸留水に溶解した
。C19S変異DNA断片を含む溶液を溶液A、C20S変異DNA断片を含む溶液を溶液B、
C21S変異DNA断片を含む溶液を溶液C、C22S変異DNA断片を含む溶液を溶液D、C2
3S変異DNA断片を含む溶液を溶液Eと名付けた。
溶液A20μl 中のDNA断片を制限酵素NdeI及びSphI(宝酒造社)により切断し
た。調製用電気泳動により約400bp のDNA断片を分離・精製し20μl の蒸留水に
溶解した(DNA溶液3)。次に、2μg のpSK+-OCIFを制限酵素NdeI及びSphI(宝
酒造社)により切断し、調製用電気泳動により約4.2kb のDNA断片を分離・精製
し20μl の滅菌蒸留水に溶解した(DNA溶液4)。2μl のDNA溶液3と3μl のDNA
溶液4を混合し、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液5μl を添加しライ
ゲーション反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH
5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解
析により目的のプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断
により得られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られた
目的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-C19S と名付けた。
溶液B20μl 中のC20S変異DNA断片を制限酵素NdeI及びSphI(宝酒造社)により
切断した。調製用電気泳動により約400bp のDNA断片を分離・精製し20μlの蒸留
水に溶解した(DNA溶液5)。2μl のDNA溶液5と3μl のDNA溶液4を混合し、
さらにDNAライゲーションキットver.2 I液5μl を添加しライゲーション反応を
行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH5αを形質転換した
。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解析により目的のプ
ラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断により得られる断
片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られた目的のプラスミド
DNAをpSK-OCIF-C20S と名付けた。
溶液C20μl 中のDNA断片を制限酵素NdeI及びSphI(宝酒造社)により切断し
た。調製用電気泳動により約 400bpのDNA断片を分離・精製し20μl の蒸留水に
溶解した(DNA溶液6)。2μl のDNA溶液6と3μl のDNA溶液4を混合し、さら
にDNAライゲーションキットver.2 I液5μl を添加しライゲーション反応を行っ
た。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH5αを形質転換した。得
られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解析により目的のプラス
ミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断により得られる断片の
長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られた目的のプラスミドDNA
をpSK-OCIF-C21S と名付けた。
溶液D20μl 中のDNA断片を制限酵素NdeI及びBstPI(宝酒造社)により切断し
た。調製用電気泳動により約600bp のDNA断片を分離・精製し20μlの蒸留水に溶
解した(DNA溶液7)。次に、2μgのpSK+-OCIF を制限酵素NdeI及びBstPI (宝
酒造社)により切断し、調製用電気泳動により約4.0kb のDNA断片を分離・精製
し20μlの蒸留水に溶解した(DNA溶液8)。2μl のDNA溶液7と3μl のDNA溶液
8を混合し、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液5μl を添加しライゲ
ーション反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH
5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の
解析により目的のプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切
断により得られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られ
た目的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-C22S と名付けた。
溶液E20μl 中のDNA断片を制限酵素BstPI 及びEcoRV (宝酒造社)により切断
した。調製用電気泳動により約120bp のDNA断片を分離・精製し20μl の滅菌蒸
留水に溶解した(DNA溶液9)。次に、2μg のpSK+-OCIF を制限酵素BstEII及び
EcoRV (宝酒造社)により切断し、調製用電気泳動により約4.5kbのDNA断片を分
離・精製し20μl の蒸留水に溶解した(DNA溶液10)。2μlのDNA溶液9と3μl
のDNA溶液10を混合し、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液5μl を添加
しライゲーション反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大
腸菌DH5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構
造の解析により目的のプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵
素切断により得られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得
られた目的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-C23S と名付けた。
(2) 変異体発現ベクターの構築
得られた目的のプラスミドDNA(pSK-OCIF-C19S, pSK-OCIF-C20S pSK-OCIF-C21S
,pSK-OCIF-C22S,pSK-OCIF-C23S)を制限酵素BamHI 及びXhoI(宝酒造社)で切断
し、OCIFcDNA全長を含む約1.6kb のDNA断片(目的の変異も含む) を分離・精製
し、滅菌蒸留水20μl に溶解した。それぞれC19SDNA 溶液、C20SDNA 溶液、C21S
DNA 溶液、C22SDNA 溶液、C23SDNA 溶液と名付けた。次に、発現ベクターpCEP4(
インヴィトロージェン社)5μg を制限酵素BamHI 及びXhoI(宝酒造社)で切断し、
約10 kb のDNAを分離・精製し滅菌蒸留水40μl に溶解した(pCEP4DNA溶液)。p
CEP4DNA溶液1μl と各6μl のC19SDNA 溶液、C20SDNA 溶液、C21SDNA溶液、C22S
DNA 溶液、C23SDNA 溶液を別々に混合し、各混合液に7μl のDNAライゲーション
キット Ver.2 I液を添加し、ライゲーション反応を行った。反応終了後、7μl
の反応液を用い、大腸菌DH5αコンピテント細胞液100ml を形質転換した。得ら
れたアンピシリン耐性形質転換細胞から、pCEP4のXhoI、BamHI部位に約1.6kb の
各DNA断片が挿入された目的の構造のプラスミドDNAを持つ株計5種を選びだし、
それぞれ、pCEP4-OCIF-C19S, pCEP4-OCIF-C20S,pCEP4-OCIF-C21S,pCEP4-OCIF-C2
2S,pCEP4-OCIF-C23S と名付けた。
ii) ドメイン欠失変異体の作製
(1) ドメイン欠失変異の導入
配列番号4に記載したアミノ酸中、2番のTyr から42番のAla まで、43番のPr
oから84番の Cysまで、85番のGlu から 122番のLys まで、123番のArg から 164
番の Cysまで、177番のAsp から 251番のGln まで、253番のIle から326 番のHi
s までを、それぞれ欠失させた変異体を作製した。2番のThr から42番のAlaま
でを欠失させた変異体をOCIF-DCR1 、43番のPro から84番の Cysまでを欠失させ
た変異体をOCIF-DCR2 、85番のGlu から122番のLys までを欠失させた変異体をO
CIF-DCR3 、123 番のArg から164番のCysまでを欠失させた変異体をOCIF-DCR4、
177番のAspから251番のGln までを欠失させた変異体をOCIF-DDD1、253番Ile か
ら 326番のHis までを欠失させた変異体をOCIF-DDD2 と、それぞれ名付けた。ド
メイン欠失変異の導入も、実施例22−ii) に記載の二段階PCR法によって行った
。各変異導入反応時に用いたプライマーを表11に、その配列を配列表配列番号19
、25、40〜53、及び54に示す。
PCRにより得られたDNAをエタノールにより沈殿させ真空中で乾燥させ、40μl
の滅菌蒸留水に溶解した。 DCR1変異DNA断片を含む溶液を溶液F、DCR2変異DNA
断片を含む溶液を溶液G、DCR3変異DNA断片を含む溶液を溶液H、DCR4変異DNA断
片を含む溶液を溶液I、DDD1変異DNA断片を含む溶液を溶液J、DDD2変異DNA断片
を含む溶液を溶液Kと名付けた。
溶液F20μl 中のDNA断片を制限酵素NdeI及びXhoI(宝酒造社)により切断し
た。調製用電気泳動により約500bp のDNA断片を分離・精製し20μl の滅菌蒸留
水に溶解した(DNA溶液11)。次に、2μg のpSK+-OCIF を制限酵素NdeI及びXho
I(宝酒造社)により切断し、調製用電気泳動により約4.0kb のDNA断片を分離・
精製し20μl の滅菌蒸留水に溶解した(DNA溶液12)。2μl のDNA溶液11と3μl
のDNA溶液12を混合し、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液5μl を添
加しライゲーション反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、
大腸菌DH5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA
構造の解析により、OCIFcDNAに目的の変異の導入されたプラスミドDNAを持つ株
を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断により得られる断片の長さの測定及び
塩基配列の決定により解析した。得られた目的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-DCR1
と名付けた。
溶液G20μl 中のDNA断片を制限酵素NdeI及びXhoI(宝酒造社)により切断し
た。調製用電気泳動により約500bp のDNA断片を分離・精製し20μl の滅菌蒸留
水に溶解した(DNA溶液13)。2μl のDNA溶液13と3μl のDNA溶液12を混合し
、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液を5μl 添加し、ライゲーション
反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH5αを形質
転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解析により
目的のプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断により得
られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られた目的のプ
ラスミドDNAをpSK-OCIF-DCR2 と名付けた。
溶液H20μl 中のDNA断片を制限酵素NdeI及びXhoI(宝酒造社)により切断し
た。調製用電気泳動により約500bp のDNA断片を分離・精製し20μl の滅菌蒸留
水に溶解した(DNA溶液14)。2μl のDNA溶液14と3μl のDNA溶液12を混合し
、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液を5μl 添加し、ライゲーション
反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH5αを形質
転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解析により
、OCIFcDNAに目的の変異の導入されたプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA
構造は、制限酵素切断により得られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定によ
り解析した。得られた目的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-DCR3 と名付けた。
溶液I20μl 中のDNA断片を制限酵素XhoI及びSphI(宝酒造社)により切断し
た。調製用電気泳動により約900bp のDNA断片を分離・精製し20μl の滅菌蒸留
水に溶解した(DNA溶液15)。次に、2μg のpSK+-OCIF を制限酵素XhoI及びSph
I(宝酒造社)により切断し、調製用電気泳動により約3.6kb のDNA断片を分離・
精製し20μl の滅菌蒸留水に溶解した(DNA溶液16)。2μlのDNA溶液15と3μl
のDNA溶液16を混合し、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液5μl を添
加し、ライゲーション反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い
、大腸菌DH5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、D
NA構造の解析により目的のプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制
限酵素切断により得られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した
。得られた目的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-DCR4 と名付けた。
溶液J20μl 中のDNA断片を制限酵素BstPI 及びNdeI(宝酒造社)により切断
した。調製用電気泳動により約 400bpのDNA断片を分離・精製し20μlの滅菌蒸留
水に溶解した(DNA溶液17)。2μlのDNA溶液17と3μl のDNA溶液8を混合し、さ
らにDNAライゲーションキットver.2 I液を5μl 添加し、ライゲーション反応を
行った。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH5αを形質転換し
た。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解析により目的の
プラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断により得られる
断片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られた目的のプラスミ
ドDNAをpSK-OCIF-DDD1 と名付けた。
溶液K20μl 中のDNA断片を制限酵素BstPI 及びNdeI(宝酒造社)により切断した
。調製用電気泳動により約400bpのDNA断片を分離・精製し20μlの滅菌蒸留水に
溶解した(DNA溶液18)。2μlのDNA溶液18と3μlのDNA溶液8を混合し、さらにD
NAライゲーションキットver.2 I液を5μl添加し、ライゲーション反応を行った
。反応後のライゲーション溶液5μl を用い、大腸菌DH5αを形質転換した。得
られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解析により目的のプラス
ミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断により得られる断片の
長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られた目的のプラスミドDNA
をpSK-OCIF-DDD2 と名付けた。
(2) 変異体発現ベクターの構築
得られた目的のプラスミドDNA(pSK-OCIF-DCR1, pSK-OCIF-DCR2,pSK-OCIF-XR
3,pSK-OCIF-DCR4,pSK-OCIF-DDD1,pSK-OCIF-DDD2)を制限酵素BamHI 及びXhoI(
宝酒造社)で切断しOCIFcDNA全長を含む約1.4-1.5 kbのDNA断片(目的の変異も
含む)を分離・精製し、滅菌蒸留水20μl に溶解した。それぞれをDCR1DNA溶液
、DCR2DNA 溶液、DCR3DNA 溶液、DCR4DNA 溶液、DDD1DNA 溶液、DDD2DNA 溶液と
名付けた。実施例22−ii) に記載のpCEP4 DNA 溶液1μl と各6μl のDCR1DNA
溶液、DCR2DNA 溶液、DCR3DNA 溶液、DCR4DNA 溶液、DDD1DNA 溶液、DDD2DNA溶
液を別々に混合し、各混合液に7μl のDNAライゲーションバッファーを添加し
、ライゲーション反応を行った。反応終了後、7μl の反応液を用い、大腸菌DH
5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞からpCEP4BamHI Xh
oI部位に各1.4-1.5kb 断片が挿入された構造のプラスミドDNAを持つ株計6種を
選びだした。目的の構造を持つプラスミドをそれぞれpCEP4-OCIF-DCR1 、pCEP4-
OCIF-DCR2 、pCEP4-OCIF-DCR3 、pCEP4-OCIF-DCR4 、pCEP4-OCIF-DDD1 、pCEP4-
OCIF-DDD2 と名付けた。
iii) C末端ドメイン欠失変異体の作製
(1) C末端ドメイン欠失変異の導入
配列番号4に記載したアミノ酸中、379 番の Cysと380 番のLeu 、331番のSer
から380番のLeu まで、252番のAspから380番のLeu まで、177番のAsp から 380
番のLeu まで、123 番のArg から 380番のLeu まで、86番のCysから380番のLeu
までを、それぞれ欠失させた変異体を作製した。379番のCysと380 番のLeu を欠
失させた変異体をOCIF-CL、331番のSerから380番のLeu までを欠失させた変異体
をOCIF-CC 、252番のAsp から 380番のLeu までを欠失させた変異体をOCIF-CDD2
、177番のAsp から380番のLeu までを欠失させた変異体をOCIF-CDD1、123番のA
rg から380番のLeu までを欠失させた変異体をOCIF-CCR4 、86番の Cysから 380
番のLeu までを欠失させた変異体をOCIF-CCR3 と、それぞれ名付けた。
変異体OCIF-CL の作製用の変異導入は、実施例22−ii) に記載の二段階PCR法
によって行った。変異導入反応時に用いたプライマーを表12に、その塩基配列
を配列表配列番号23、40、55及び56に示す。PCRにより得られたDNAをエタノール
により沈殿させ、真空中で乾燥させ、40μl の滅菌蒸留水に溶解した (溶液L
)。
溶液L20μl 中のDNA断片を制限酵素BstPI 及びEcoRV (宝酒造社)により切
断した。調製用電気泳動により約100bp のDNA断片を分離・精製し20μlの滅菌蒸
留水に溶解した(DNA溶液19)。次に、2μl のDNA溶液9と3μlの実施例22−i
i) 記載のDNA溶液10を混合し、さらにDNAライゲーションキットver.2 I液を5
μl 添加し、ライゲーション反応を行った。反応後のライゲーション溶液5μl
を用い、大腸菌DH5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞
から、DNA構造の解析により目的のプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構
造は、制限酵素切断により得られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定により
解析した。得られた目的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-CLと名付けた。変異体OCIF
-CC 、変異体OCIF-CDD2 、変異体OCIF-CDD1 、変異体をOCIF-CCR4 、変異体OCIF
-CCR3 作製用の変異導入には、一段階のPCR法を用いた。以下に反応条件を示す
C末端ドメイン欠失変異導入用PCR 反応液
10X Ex Taq バッファー(宝酒造社) 10 μl
2.5 mM dNTP 溶液 8 μl
実施例11記載のプラスミドベクター(8ng/ml) 2 μl
滅菌蒸留水 73.5μl
20μM プライマー OCIF Xho F 5 μl
100μM 変異導入用プライマー 1 μl
Ex Taq (宝酒造社) 0.5 μl
各変異導入時には、プライマーの種類だけを変え、他の反応組成は同一とした

各反応での変異導入用プライマーを表13に、その配列を配列表配列番号57〜61に
示す。PCR反応液を微量遠心チューブに入れ混合後、以下の条件でPCRを行った。
97℃で3分処理後、95℃30秒、50℃30秒、70℃3分の3段階の反応を25回繰り返
したのち、70℃5分保温した。反応液の一部をアガロース電気泳動に供し、目的
の長さのDNA断片が合成されていることを確認した。反応液からアミコン・マイ
クロコンによりプライマーを除去し、DNAをエタノールにより沈殿させ真空中で
乾燥させ、40μl の滅菌蒸留水に溶解した。各変異DNA断片を含む溶液20μl 中
のDNA断片を制限酵素XhoI及びBamHI によりDNAを切断した。酵素切断終了後、DN
Aをエタノールにより沈殿させ真空中で乾燥させ、20μl の滅菌蒸留水に溶解し
た。溶液をそれぞれCCDNA 溶液、CDD2DNA 溶液、CDD1DNA 溶液、CCR4DNA 溶液、
CCR3DNA 溶液と名付けた。
(2) 変異体発現ベクターの構築
pSK-OCIF-CL を制限酵素BamHI 及びXhoI(宝酒造社)で切断し、OCIFcDNAを含
む約1.5 kbのDNA断片(目的の変異も含む)を分離・精製し、滅菌蒸留水20μlに
溶解した(CLDNA 溶液)。実施例22−ii) に記載のpCEP4 DNA 溶液1μl と各6
μl のCLDNA 溶液、CCDNA 溶液、CDD2DNA 溶液、CDD1DNA 溶液、CCR4DNA 溶液、
CCR3DNA 溶液を別々に混合し、7μl のDNAライゲーションキット Ver.2 I液を
添加し、ライゲーション反応を行った。反応終了後、7μl の反応液を用い、大
腸菌DH5αを形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から目的の
変異を持つOCIF cDNA断片がpCEP4 のXhoI-BamHI部位に挿入された構造のプラス
ミドDNAを持つ株計6種を選びだした。目的の構造を持つプラスミドをそれぞれ
、pCEP4-OCIF-CL, pCEP4-OCIF-CC,pCEP4-OCIF-CDD2,pCEP4-OCIF-CDD1,pCEP4-
OCIF-CCR4,pCEP4-OCIF-CCR3と名付けた。
iv) C末端欠失変異体の作製
(1) C末端欠失変異の導入
配列番号4に記載したアミノ酸中、371 番Gln から 380番Leu までを欠失させ
Leu-Val の2残基を付加した変異体(OCIF-CBst)、298番 Cysから 380番Leu
までを欠失させSer-Leu-Asp の残基を付加した変異体(OCIF-CSph)、167番Asn
から 380番Leu までを欠失させた変異体(OCIF-CBsp)、62番 Cysから 380番Leu
までを欠失させLeu-Val の2残基を付加した変異体(OCIF-CPst)を作製した。
各2μg のpSK+-OCIF を制限酵素BstPI 、SphI、PstI(宝酒造社)、及びBspEI(
New England Biolab社)で切断し、フェノール処理、エタノール沈殿によりDNAを
精製し、10μl の滅菌蒸留水に溶解した。各2μl の溶液を用いDNAブランティ
ングキット(宝酒造社)により各DNAの末端を平滑化した(最終容量5μl)。こ
の反応液に、アンバーコドンを含むXbaIリンカー(5'-CTAGTCTAGACTAG-3')1μ
g(1μl)と、6μl のDNAライゲーションキットver.2 I液を添加し、ライゲー
ション反応を行った。反応後のライゲーション溶液6μl を用い、大腸菌DH5α
を形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換細胞から、DNA構造の解析
により目的のプラスミドDNAを持つ株を選びだした。DNA構造は、制限酵素切断に
より得られる断片の長さの測定及び塩基配列の決定により解析した。得られた目
的のプラスミドDNAをpSK-OCIF-CBst、pSK-OCIF-CSph、pSK-OCIF-CBsp 、pSK-OCI
F-CPst と名付けた。
(2) 変異体発現ベクターの構築
得られたプラスミドDNA(pSK-OCIF-CBst、pSK-OCIF-CSph、pSK-OCIF-CBsp、
pSK-OCIF-CPst)を制限酵素BamHI 及びXhoI(宝酒造社)で切断し、OCIFcDNA全長
を含む約1.5 キロベースペア(kb)のDNA断片(目的の変異も含む)を分離・精製
し、滅菌蒸留水20μl に溶解した(それぞれCBstDNA 溶液、CSphDNA 溶液、CBsp
DNA 溶液、CPstDNA 溶液と名付けた)。
実施例22−ii)に記載のpCEP4 DNA 溶液1μl と各6μl のCBstDNA 溶液、
CSphDNA 溶液、CBspDNA 溶液、CPstDNA 溶液を別々に混合し、各混合液に7μl
のDNAライゲーションキット Ver.2 I液を添加し、ライゲーション反応を行った
。反応終了後、7μl の反応液を用い、大腸菌DH5αを形質転換した。得られた
アンピシリン耐性形質転換細胞から目的の変異を持つOCIFcDNA断片がpCEP4 のXh
oI BamHI部位間に挿入された構造のプラスミドDNAを持つ株計5種を選びだした
。目的の構造を持つプラスミドをそれぞれ、pCEP4-OCIF-CBst, pCEP4-OCIF-CSph
,pCEP4-OCIF-CBsp,pCEP4-OCIF-CPstと名付けた。
v) 変異体発現ベクターの調製
変異体発現ベクターを持つ大腸菌(計21種類)を増殖させ、各種変異体発現ベ
クターをキアゲンカラム(キアゲン社)を用いて精製した。各発現ベクターはエ
タノールによって沈殿させた後、滅菌蒸留水に溶解し以下の操作に用いた。
vi) 変異体cDNAのトランジェントな発現及びその活性の測定
実施例22−v)で精製した各種OCIF変異体発現プラスミドを用い、実施例13の方
法に従いOCIF変異体を発現させた。以下に変更した点のみを記する。DNA導入に
は24ウェルプレートを用いた。2×105個の293/EBNA細胞を10%牛胎児血清を含
むIMDM培地を用いて各ウェルに植え込んだ。DNA導入の際用いた変異体発現ベク
ターとリポフェクタミンの量は、それぞれ1μg 及び4μl であった。OPTI-MEM
培地(ギブコBRL社)で希釈し最終容量を0.5ml とした。変異体発現ベクターと
リポフェクタミンの混合液を細胞に添加し、24時間37℃で COインキュベータ
ー中で培養した後混合液を除去し、0.5ml のEx-cell 301 培地(JSR社)を加え
、さらに48時間37℃で CO2インキュベーター中で培養した。培地を回収し、これ
を変異体活性測定用サンプルとした。得られた各変異体の塩基配列を配列表配列
番号83〜103 に、その配列から推定されるアミノ酸配列を配列表配列番号62〜82
に、それぞれ示す。OCIFの活性測定は実施例13に従った。また、実施例24に記
載のEIA法により、OCIFの抗原量を定量した。表14に未改変OCIFと比較した抗原
量当たりの活性を示す。
vi) ウェスタンブロッティング解析
活性測定に用いたサンプルの10μl をウェスタンブロット解析に供した。サン
プル10μl に10μl のSDS‐PAGE用サンプルバッファー(0.5M Tris-HCl、20%グ
リセロール、4%SDS、20μg/mlブロムフェノール ブルー(pH 6.8))を加え、1
00 ℃で3分煮沸し非還元状態で10%SDSポリアクリルアミド電気泳動を行った。
泳動終了後、セミドライブロッティング装置(バイオラッド社)によりPVDFメン
ブレン(ProBlottR、パーキンエルマー社)に蛋白質をブロッティングした。そ
のメンブレンをブロッキング後、実施例24に記載のEIA用西洋ワサビパーオキシ
ダーゼ標識抗OCIF抗体とともに、37℃で2時間保温した。
洗浄後ECLシステム(アマシャム社)により抗OCIF抗体に結合する蛋白質を検出
した。OCIFでは、約120 キロダルトン(kD)及び60kDのバンドが検出された。
一方、OCIF-C23S 、OCIF-CL 、OCIF-CC では、ほとんど60kDのバン
ドのみが検出された。また、OCIF-CDD2 及びOCIF-CDD1 ではそれぞれ約40−50kD
及び30−40kD のバンドが主要なバンドとして検出された。以上の結果より、OC
IFでは、配列表配列番号4のアミノ酸配列にける 379番目のCys残基が二量体形
成に係わっていること、単量体でも活性を保持していること、及び177 番Asp
から 380番Leu までの残基を欠失させても活性を保持してることが明らかとなっ
た。
ヒトOCIFゲノムDNAの分離
I) ヒトゲノムDNAライブラリーのスクリーニング
ヒト胎盤の染色体DNAとλFIX IIベクターを用いて作製されたゲノム・ライブ
ラリーをストラタジーン社から購入し、これをOCIFcDNAをプローブとしてスクリ
ーニングした。スクリーニングは、基本的にはゲノム・ライブラリーに添付され
ているプロトコールに従って実施したが、ファージ、大腸菌、DNAを扱う一般的
方法はMolecular Cloning:A Laboratory Manual に従って行った。
購入したゲノムDNAライブラリーのタイターを検定したのち、1×106 pfu
のファージを大腸菌XL1-Blue MRAに感染させ、20枚のプレート(9×13cm) にプレ
ート当たり9mlのトップ・アガロースとともに蒔いた。プレートを一夜37℃でイ
ンキュベートしたのち、Hybond-Nナイロン膜(アマシャム社)をアガープレート
上に乗せてファージを転写した。ファージの転写したナイロン膜を1.5M NaCl/0.
5M NaOH溶液で湿らせた濾紙上に1分間乗せ、その後1M Tris-HCl(pH7.5)と1.5M
NaCl/0.5M Tris-HCl (pH7.5)でそれぞれ1分ずつ処理して中和したのち、最後に
2XSSCで湿らせた濾紙の上に移した。その後、このナイロン膜にストラタリンカ
ー(ストラタジーン社)を用いて1200マイクロジュールのUV を照射することに
よってファージDNAを膜に固定した。次に、このナイロン膜をラピッドハイブリ
ダイゼーション・バッファー(アマシャム社)に浸漬してプレハイブリダイゼー
ションを行った。1時間のプレハイブリダイゼーションの後、32P標識したOCIF
cDNAを加え、65℃にて一夜ハイブリダイゼーションを行った。このcDNAプローブ
は、実施例11で得られた1.6kb のOCIFcDNAを有するプラスミドpBKOCIFを、制限
酵素BamHI 及びXhoIを用いて切断し、OCIFcDNAをアガロースゲル電気泳動によっ
て単離したのち、このOCIFcDNAをメガプライムDNAラベリングシステム(アマシ
ャム社)を用いて32Pで標識することによって作製した。標識は、ラベリングシ
ステムに添付されたプロトコールに従って行った。
ハイブリダイゼーションには、ハイブリダイゼーション・バッファー1ml当
たりおよそ5×105cpmのプローブを使用した。ハイブリダイゼーションの後、ナ
イロン膜を室温にて2XSSCで5分間洗浄し、その後65℃において0.5 XSSC/0.1%
SDSで4回、それぞれ20分ずつ洗浄した。4回目の洗浄ののちナイロン膜を乾燥
させ、富士フィルム社製X腺フィルム、スーパーHR-Hと増感スクリーンとを用い
て−80℃にてオートラジオグラフィーを行った。オートラジオグラム上に6個の
シグナルが検出されたので、それぞれのシグナルに相当するアガープレート上の
位置からトップ・アガロースを切り出し、1%のクロロホルムを添加した0.5ml
のSMバッファーにそれぞれ浸漬して一夜放置し、ファージを抽出した。それぞ
れのファージ抽出液をSMバッファーで1000倍に希釈し、その中から1μl と20
μl を取り、再び上記大腸菌に感染させ、トップ・アガロースとともに上記の方
法でアガープレートに蒔いた。ファージをナイロン膜に転写後、上記の方法でプ
レハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、洗浄、乾燥、オートラジ
オグラフィーを行った。このファージ純化の操作を当初オートラジオグラフィー
で検出された6個のシグナル全部について行い、アガープレート上のすべてのフ
ァージプラークがcDNAプローブとハイブリダイズするまで繰り返した。純化され
たファージのプラークを切り出し、1%クロロホルムを含むSMバッファー0.5ml
に浸漬し、4℃で保存した。こうして得られた6種の純化ファージを、それぞれ
λOIF3,λOIF8, λOIF9, λOIF11,λOIF12,λOIF17 と名付けた。
II) 制限酵素消化及びサザンブロット・ハイブリダイゼーションによるヒトOC
IFゲノムDNAクローンの分析
純化された6種のファージのDNAを、Molecular Cloning:A Laboratory Manual
に書かれた方法に従ってプレートリシス法によって精製した。これらのDNAを制
限酵素によって消化し、得られたフラグメントをアガロース電気泳動によって分
離した。またアガロース・ゲルで分離されたフラグメントを、一般的な方法でナ
イロン膜に転移させたのち、OCIFcDNAをプローブとしてサザンブロット・ハイブ
リダイゼーションを行った。これらの分析の結果、それぞれ純化された6種のフ
ァージは異なったクローンであることが判明した。制限酵素消化によって得られ
たDNAフラグメントのうち、OCIFcDNAとハイブリダイズするものについては、プ
ラスミドベクターにサブクローンした後に下記の方法で塩基配列の分析を行った
iii) ゲノムDNAクローンから制限酵素消化によって得られたDNAフラグメント
のプラスミド・ベクターへのサブクローニングと塩基配列の決定
λOIF8 DNAを制限酵素EcoRI とNotIによって消化し、生じたフラグメントを0.
7%アガロースゲルに供与して分離した。5.8kb のEcoRI/NotIフラグメントをQIA
EXII Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いて添付されたプロトコールに従っ
てゲルから抽出した。このフラグメントを、前もってEcoRI とNotIによって切断
しておいたpBluescriptII SK+ ベクター(ストラタジーン社)とReady-To-Go T4
Ligase(ファルマシア社)を用いて添付のプロトコールに従ってライゲーション
した。得られたリコンビナント・プラスミドを、コンピテントDH5α大腸菌(ア
マシャム社)に導入した後、50μg/mlのアンピシリンを含有するアガロースプレ
ート上に蒔いてプラスミドを有する大腸菌を選択した。以上のようにして作製さ
れた5.8kb EcoRI/NotIフラグメントを有するリコンビナント・プラスミドを、pB
SG8-5.8 と命名した。次に、pBSG8-5.8 を制限酵素HindIII で消化して生ずる0.
9 kbのDNAフラグメントをアガロースゲルで分離し、上記の方法にしたがって抽
出した後、HindIII で前もって切断しておいたpBluescriptII SK-(ストラタジー
ン社)に挿入して、上記の方法に従ってクローニングした。この0.9kbのHindIII
フラグメントを有するリコンビナント・プラスミドを、pBS8H0.9と命名した。一
方、λOIF11のDNAをEcoRIを用いて消化して生ずる6kb、3.6kb、及び2.6kbのフ
ラグメントをそれぞれ単離したのち、上記と同様の方法に従ってpBluescriptII
SK+ベクターに挿入してクローニングした。こうして作製した6kb、3.6 kb、及
び2.6kb のEcoRI フラグメントを有するリコンビナント・プラスミドを、それぞ
れpBSG11-6、pBSG11-3.6、pBSG11-2.6と命名した。
さらに、pBSG11-6を制限酵素HindIII によって消化することによって生ずる、
2.2kb、1.1kb、1.05kbの3種のフラグメントをアガロースゲル電気泳動によって
分離し、それぞれpBluescriptII SK-のHindIII サイトに挿入してクローニング
した。これら2.2kb 、1.1kb 、1.05 kb のHindIII フラグメントを有するリコン
ビナント・プラスミドを、それぞれpBS6H2.2、pBS6H1.1、pBS6H1.05 と命名した
。ゲノムDNAの塩基配列の分析には、ABI Dyedeoxy Terminator Cycle Sequencin
g Ready Reaction Kit (パーキンエルマー社)と373 DNA Sequencing System
(アプライドバイオシステムズ社)を使用した。Molecular Cloning:A Laborat
ory Manual に書かれた方法に従ってpBSG8-5.8 、pBS8H0.9、pBSG11-6、pBSG11-
3.6、pBSG11-2.6、pBS6H2.2、pBS6H1.1、pBS6H1.05 を調製し、塩基配列決定用
の鋳型として用いた。ヒトOCIFゲノムDNAの塩基配列を配列表配列番号104 及び1
05 に示す。エクソン1とエクソン2の間に介在する塩基の配列は必ずしも全部
は決定されておらず、配列表配列番号104 及び105 に示された塩基配列の間に、
およそ17kbのヌクレオチドが介在することが確認されている。
EIAによるOCIFの定量
i) ウサギ抗OCIF抗体の調製
雄性日本白色ウサギ(体重2.5 〜3.0kg 、北山ラベス社より入手)3羽に、r
OCIF200 μg/mlをフロイント完全アジュバント(DIFCO社)と等量混合してエマル
ジョンとしたものを、1回1mlずつ皮下免疫した。免疫は1週間隔で合計6回行
い、最終免疫後10日目に全採血を行った。分離した血清から抗体を以下の様に精
製した。即ち、PBSにて2倍希釈した抗血清に最終濃度40w/v %となるように硫
酸アンモニウムを添加して4℃1時間放置後、8000×gで20分間遠心分離を行い
、沈殿を得た。沈殿を少量のPBSに溶解し、PBSに対して4℃で透析した後、Prot
ein G-Sepharose カラム(ファルマシア社)に負荷した。PBSにて洗浄後、0.1M
グリシン塩酸緩衝液(pH3.0) にて吸着した免疫グロブリンGを溶出し、直ちに1.
5 Mトリス塩酸緩衝液(pH8.7) で中性pHとした。溶出蛋白質画分をPBSに対して透
析後、280nm における吸光度を測定し、その濃度を決定した(E1%13.5)。西洋
ワサビパーオキシダーゼ標識した抗OCIF抗体は、マレイミド活性化パーオキシダ
ーゼキット(ピアス社)を用いて作製した。即ち、1mgの精製抗体に80μgのN
−スクシンイミド-S-アセチルチオ酢酸を添加し、室温で30分間反応させた。こ
れに5mgのヒドロキシルアミンを添加して脱アセチル化した後、修飾された抗体
をポリアクリルアミド脱塩カラムにて分画した。蛋白質画分を1mgのマレイミド
活性化パーオキシダーゼと混合し、室温で1時間反応させ酵素標識抗体を得た。
ii) サンドイッチEIAによるOCIFの定量
96ウェルのマイクロタイタープレート(MaxiSorp Immunoplate, Nunc社)の
各ウェルに、100μl のウサギ抗OCIF抗体(2μg/ml、50mM 炭酸緩衝液(pH9.6))
を添加し4℃にて一晩静置して、抗体を固相化した。PBSにて調製した25%ブ
ロックエース(雪印乳業社)を300μlずつ各ウェルに添加し、37℃で1時間放置
してブロッキングした後、検体(100μl/ウェル)を添加し室温で2時間反応させ
た。0.05% Tween20を含むPBS(PBST)にて3回洗浄した後、10000 倍希釈した
西洋ワサビパーオキシダーゼ標識抗OCIF抗体を 100μl ずつ添加し室温で2時間
インキュベートした。PBSTにて3回洗浄した後、100μl の酵素基質溶液(TMB、
ScyTek社)を加え室温で発色させた後、反応を停止した。 450nmにおける吸光度
をマイクロプレートリーダー(イムノリーダー NJ2000、日本インターメッド社
)を用いて測定し、精製した組み換えOCIFを標準とした検量線から、検体のOCIF
濃度を定量した。OCIFの検量線を図13に示す。
抗OCIFモノクローナル抗体
i) ヒトOCIF抗体産生ハイブリドーマの調製
ヒト線維芽細胞IMR-90を培養し、その培養液から実施例11記載の方法でOCIFを
精製した。精製OCIFを10μg/100μl の濃度になるようにPBSに溶解し、この溶液
を2週間おきにBALB/cマウスに腹腔内投与し免疫した。初回及び2回目の免疫
においては、等量のフロインド完全アジュバントの混合物を投与した。最終の免
疫から3日目に脾臓を摘出し、Bリンパ球を分離し、マウスミエローマ細胞P3x6
3-AG8.653 とを通常用いられているポリエチレングリコール法により細胞融合さ
せた。ついで融合細胞を選択するためにHAT培地で培養を行うことにより、ハ
イブリドーマ細胞をセレクションした。次に、セレクションされた細胞がOCIF特
異的抗体を産生しているか否かを確認するために、0.1M 重曹溶液に溶解したOCI
F溶液 (10μg/ml)100μl を、96穴マイクロプレート(Nunc社) に加えて作製し
たソリッドフェーズELISAを用いて、ハイブリドーマ培養液中のOCIF特異的抗体
の測定を行った。抗体生産が認められたハイブリドーマを限界希釈法によりクロ
ーニングを3−5回繰り返し行い、その都度上記ELISAにより抗体産生量をチェ
ックした。得られた抗体生産株の中から、抗体生産量の高いクローンを選別した
ii) モノクローナル抗体の生産
実施例25−i)で得た抗体生産株を、それぞれ1 ×106を予めプリスタン (アル
ドリッチケミカル社) を接種しておいたBALB/c系マウスの腹腔内に移植した。移
植2週間後、蓄積した腹水を採取し、本発明のモノクローナル抗体を含む腹水を
得た。この腹水より、アフィゲルプロテインAセファロース( バイオラッド社製
) を用いたアフィニティクロマトグラフィーにより精製抗体を得た。即ち、腹水
を等量のバインディングバッファー(バイオラッド社) で希釈し、プロテイン
Aカラムに負荷した後、充分量の同バッファーで洗浄した。IgGの溶出は、エリ
ューションバッファー(バイオラッド社)で行った。得られた溶出液を水で透析
した後、凍結乾燥を行った。得られた精製抗体をSDS‐PAGEにより純度検定を行
ったところ、分子量約150,000 の位置に均一なバンドを認めた。
iii) OCIFに対して高親和性を有するモノクローナル抗体の選択
実施例25−ii) で得た抗体をPBSに溶解し、ローリー法により蛋白定量を行っ
た。ついで、各抗体を蛋白濃度が一定になるようにPBSに溶解し、この溶液を段
階希釈法により希釈した。実施例25−ii) に記載のソリッドフェーズELISAを用
いて、高い希釈段階までOCIFと反応するモノクローナル抗体を選別した。その結
果、A1G5、E3H8、及びD2F4の3種の抗体が得られた。
iv) 抗体のサブクラスの検定
実施例25−iii)で選択した本発明の抗体のクラス及びサブクラスを、イムノグ
ロブリンクラス及びサブクラス分析キット (アマシャム社) を用いて検定した。
検定は、キットに指示されているプロトコールに従って実施した。結果を表15に
示す。E3H8、A1G5、及びD2F4は、それぞれIgG、IgG2a、及びIgG2b であった。
v) OCIFのELISAによる測定方法
実施例25−iv) で得たA1G5、E3H8、及びD2F4の3種のモノクローナル抗体を、
それぞれ固相抗体と標識抗体とした。それぞれの組み合わせにより、サンドイッ
チELISAを構築した。抗体の標識は、マレイミド活性化パーオキシダーゼキ
ット(ピアス社)を用いて行った。各々の抗体を10μg/mlの濃度になるように0.
1M 重曹溶液に溶解し、96穴イムノプレート(Nunc 社)の各ウエル当たり 100μl
づつそれぞれ分注し、室温で一晩放置した。次いで、各々のプレートを1/2 濃度
のブロックエース (雪印乳業社) でブロックし、0.1 %のTween20 を含むPBS(
洗浄バッファー)で3回洗浄した。各濃度のOCIFを第一次反応バッファー(1/2.5
濃度のブロックエース及び0.1 %Tween20 を含む0.2Mトリス塩酸緩衝液、pH 7.4
)で調製した。
調製した各濃度のOCIF溶液 100μl づつ各ウエルに加え、37℃で3時間放置
し、次いで洗浄バッファーで3回洗浄した。標識抗体の希釈には、第二次反応バ
ッファー (1/4 濃度のブロックエース及び 0.1%の Tween20を含む0.1Mトリス塩
酸緩衝液、pH 7.4) を用いた。各標識抗体を第2次反応バッファーで400 倍に希
釈し、その各々 100μl づつを各ウエルにそれぞれ添加した。各々のプレートを
37℃で2時間放置し、次いで3回洗浄した後、基質溶液(0.4mg/mlのオルトフェ
ニレンジアミン塩酸、0.006 %過酸化水素を含む0.1Mクエン酸−リン酸バッファ
ー、pH 4.5) 100 μl を各ウエルに添加した。37℃で15分間暗室に放置した後
、6N硫酸50μl を各ウエルに添加することにより酵素反応を停止させ、イムノ
リーダー (NJ2000,日本インターメッド社)を用いて 492nmの吸光度を測定した
。3種の抗体をそれぞれ固相抗体或いは標識抗体としたいずれの組み合わせにお
いても良好な測定結果が得られ、3種の抗体はそれぞれOCIFの異なるエピトープ
を認識することを認めた。代表例として、A1G5を固相抗体としE3H8を標識抗体と
したときの検量線を図14に示す。
vi) ヒト血清中のOCIFの測定
健常人5名の血清中のOCIFを実施例25−(v) の図14のELISA系で測定した。即ち
、A1G5を実施例25−(v) と同様にイムノプレートに固相化し、各ウエルに第1次
反応バッファーを50μl 加え、次いで各ヒト血清50μl を加えて37℃で3時間放
置した。洗浄バッファーで3回洗浄した後、第2次反応バッファーで400 倍に希
釈したE3H8の標識抗体100 μl を各ウエルに加えて、37℃で2時間放置した。プ
レートを洗浄バッファーで3回洗浄後、上記基質溶液 100μl を各ウエルに添加
し、37℃で15分間反応させた。各ウエルに6N硫酸50μl づつ添加して酵素反応
を停止させ、イムノリーダーで492nm の吸光度を測定した。既知量のOCIFを含む
第1次反応バッファーについても同様に操作し、図14に示すようなOCIFの検量線
を作成し、血清試料の吸光度から血清中のOCIF量を求めた。結果を表16に示す。
骨粗鬆症に対する治療効果
神経切除による不動性の骨萎縮モデルに対するOCIFの治療効果を確認した。
Fischer 系雄ラットを用い、6週齢(体重約120g)で左上腕神経叢を切除するこ
とにより、左前肢の不動化を惹起して骨萎縮モデルを作成した。OCIFは0.01%Tw
een80 を含むPBS(-)で調整し、翌日から5μg/kg及び50μg/kgの用量
で12時間間隔で1日2回、2週間連日静脈内投与した。正常群には偽手術を施し
、対照群には0.01%Tween80 を含むPBS(-)を同様に投与した。投与終了後、左
上腕を摘出し骨強度を測定した。結果を図15に示す。
この結果、正常群に比べ対照群では骨強度の低下が観察されたが、OCIF50μg/
kg投与群において改善が認められた。
HiLoad-Q/FF 非吸着画分粗精製製品(試料3)をHiLoad-S/HP カラムにかけた時の溶出プロファイルを示す。 ヘパリン-5PW粗精製製品 (試料5)をブルー-5PWカラムにかけた時の溶出プロファイルを示す。 ブルー-5PW溶出フラクション49〜50を逆相カラムにかけた時の溶出プロファイルを示す。 最終精製品の還元条件下と非還元条件下におけるSDS‐PAGEの結果を示す。
符号の説明
レーン1、4;分子量マーカー
レーン2、5;ピーク6
レーン3、6;ピーク7
図5 還元ピリジルエチル化後、リシルエンドプロテアーゼ処理したピーク7
を逆相カラムにかけた時の溶出プロファイルを示す。
図6 天然(n) 及び組み換え型(r) OCIFの、非還元条件下におけるSDS‐PAGE
の結果を示す。又、(E) は293/EBNA細胞で生産したものを、(C) はCHO細胞
で生産したものをそれぞれ示す。
レーン1;分子量マーカー
レーン2;モノマー型nOCIF
レーン3;ダイマー型nOCIF
レーン4;モノマー型rOCIF(E)
レーン5;ダイマー型rOCIF(E)
レーン6;モノマー型rOCIF(C)
レーン7;ダイマー型rOCIF(C)
図7 天然型(n)及び組み換え型(r)OCIFの、還元条件下におけるSDS‐PAGEの
結果を示す。又、(E)は293/EBNA細胞で生産したものを、(C) CHO細胞で生産した
ものをそれぞれ示す。
レーン8;分子量マーカー
レーン9;モノマー型nOCIF
レーン10;ダイマー型nOCIF
レーン11;モノマー型rOCIF(E)
レーン12;ダイマー型rOCIF(E)
レーン13;モノマー型rOCIF(C)
レーン14;ダイマー型rOCIF(C)
図8 N−結合型糖鎖を除去した天然型(n) 及び組み換え型(r) OCIFの、還元
条件下におけるSDS‐PAGEの結果を示す。又、(E) は293/EBNA細胞で生産したも
のを、(C) はCHO細胞で生産したものをそれぞれ示す。
レーン15;分子量マーカー
レーン16;モノマー型nOCIF
レーン17;ダイマー型nOCIF
レーン18;モノマー型rOCIF(E)
レーン19;ダイマー型rOCIF(E)
レーン20;モノマー型rOCIF(C)
レーン21;ダイマー型rOCIF(C)
図9 OCIFとOCIF2の、アミノ酸配列の比較を示す。
図10 OCIFとOCIF3の、アミノ酸配列の比較を示す。
図11 OCIFとOCIF4の、アミノ酸配列の比較を示す。
図12 OCIFとOCIF5の、アミノ酸配列の比較を示す。
図13 抗OCIFポリクローナル抗体を用いた時の、OCIFの検量線を示す。
図14 抗OCIFモノクローナル抗体を用いた時の、OCIFの検量線を示す。
図15 OCIFの骨粗鬆症に対する治療効果を示す。

Claims (10)

  1. 配列表配列番号4又は5で示されるアミノ酸配列のうち、C末端のアミノ酸である第380番アミノ酸のロイシンを基点としN末端側に向かって、1個〜204個から選択される整数個の連続したアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなり、且つ破骨細胞の分化及び/又は成熟を抑制する活性を有する蛋白質
    (但し、
    配列表配列番号73のアミノ酸番号第-21番〜第378番またはアミノ酸番号第1番〜第378番からなるアミノ酸配列で示される蛋白質、
    配列表配列番号74のアミノ酸番号第-21番〜第330番またはアミノ酸番号第1番〜第330番からなるアミノ酸配列で示される蛋白質、
    配列表配列番号75のアミノ酸番号第-21番〜第251番またはアミノ酸番号第1番〜第251番からなるアミノ酸配列で示される蛋白質、
    配列表配列番号76のアミノ酸番号第-21番〜第176番またはアミノ酸番号第1番〜第176番からなるアミノ酸配列で示される蛋白質を除く)
  2. 請求項1に記載の蛋白質を含有することからなる医薬組成物。
  3. 請求項1に記載の蛋白質を含有する骨粗鬆症の治療または予防剤。
  4. 請求項1に記載の蛋白質を含有する骨量減少症の治療または予防剤。
  5. 請求項1に記載の蛋白質を含有する骨代謝異常症の治療または予防剤。
  6. 下記(1)乃至(4)のいずれか一つのcDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ、破骨細胞の分化び/は成熟を抑制する活性を有する蛋白質をコードするcDNA:
    (1) 配列表配列番号4で示されるアミノ酸配列をコードするcDNA;
    (2) 配列表配列番号5で示されるアミノ酸配列をコードするcDNA;
    (3) 配列表配列番号6の塩基配列で示されるcDNA;
    (4) 形質転換大腸菌pBK/01F10(FERM BP-5267)が保有するプラスミドベクターpBKOCIFに挿入され、且つ、破骨細胞の分化及び/又は成熟を抑制する活性を有する蛋白質をコードするcDNA。
  7. 下記(1)乃至(4)のいずれか一つのcDNAと、65℃にて一晩のハイブリダイゼーション、次いで2×SSCで65℃にて10分間の洗浄2回、次いで0.1×SSC−0.1%SDS溶液で65℃にて10分間の洗浄2回を行った後にハイブリダイズし、且つ、破骨細胞の分化び/は成熟を抑制する活性を有する蛋白質をコードするcDNA:
    (1) 配列表配列番号4で示されるアミノ酸配列をコードするcDNA;
    (2) 配列表配列番号5で示されるアミノ酸配列をコードするcDNA;
    (3) 配列表配列番号6の塩基配列で示されるcDNA;
    (4) 形質転換大腸菌pBK/01F10(FERM BP-5267)が保有するプラスミドベクターpBKOCIFに挿入され、且つ、破骨細胞の分化及び/又は成熟を抑制する活性を有する蛋白質をコードするcDNA。
  8. 請求項6または7に記載のcDNAが挿入されたベクター。
  9. 請求項8記載のベクターが導入された宿主細胞。
  10. 下記の工程(I)および(II)を含むことからなる、破骨細胞の分化び/は成熟を抑制する活性を有する蛋白質の製造方法:
    (I) 請求項9に記載の宿主細胞を培養する工程;
    (II)該培養液から破骨細胞の分化び/又は成熟を抑制する活性を有する蛋白質を回収する工程。


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