JP3405362B2 - 角膜内皮細胞観察撮影装置 - Google Patents

角膜内皮細胞観察撮影装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検眼の角膜に向けて
照明光を照射して被検眼の角膜内皮細胞像を観察及び撮
影する角膜内皮細胞観察撮影装置に関し、特にその自動
合焦装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、被検眼の角膜内皮細胞像を観
察・撮影する角膜内皮細胞観察撮影装置として、スリッ
ト状の光束を被検眼に投影する照明光学系と、被検眼か
らの反射光を受光して角膜内皮細胞像を観察、撮影する
観察撮影光学系とを備える装置が知られている。
【0003】角膜内皮細胞観察撮影装置には、自動合焦
機構が設けられており、観察撮影光学系の角膜内皮に対
する合焦状態を検出し、検出結果に基づいて自動的に合
焦させて観察・撮影する。合焦検出系は、角膜断面方向
の光量分布を検出するラインセンサを備え、このライン
センサの出力信号中のピークの座標を求める。通常ライ
ンセンサから出力される出力信号には、角膜表皮からの
反射光に相当する第1のピークと、角膜内皮からの反射
光に相当する第2のピークとが含まれ、第2のピークに
より示される角膜内皮の反射位置を合焦の基準位置とし
て設定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の角膜内皮細胞観察撮影装置は、裸眼を観察撮影
する場合には問題ないが、被検者がコンタクトレンズを
装用している場合には、角膜内皮細胞を正確に観察、撮
影することができないという問題がある。これは、コン
タクトレンズからの反射光がラインセンサの出力信号に
もう一つのピークを形成するため、2番目のピークによ
り示される位置に合焦させると、角膜の表皮にピントが
合うためである。
【0005】したがって、従来の装置を用いる場合に
は、被験者がコンタクトレンズを外して検査を受けなけ
ればならず、手間がかかるという問題がある。特に、近
年コンタクトレンズが角膜内皮細胞に与える影響につい
て議論があり、コンタクトレンズを装用した状態で角膜
内皮細胞を撮影したいという要望もあるが、従来の装置
ではこの要望にこたえることができなかった。
【0006】
【発明の目的】本発明は上述した従来技術の問題点に鑑
みてなされたものであり、被検者がコンタクトレンズを
装用している場合であっても、コンタクトレンズを外す
ことなく角膜内皮細胞の観察、撮影が可能な角膜内皮細
胞観察撮影装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる角膜内皮
細胞観察撮影装置は、上記の目的を達成させるため、照
明光源からの照明光を被検眼の角膜に向けて斜めから照
射する照明光学系と、角膜内皮細胞を含めて角膜からの
反射光を受像して観察・撮影する観察撮影光学系と、観
察撮影光学系内に設けられ、角膜からの反射光に基づい
て被検眼の状態を判断し、被検眼の状態に応じて合焦判
定基準を変更すると共に、この合焦判断基準と被検眼の
状態とを比較して角膜内皮細胞への合焦状態を検出する
合焦状態検出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明にかかる角膜内皮細胞観察撮影装置によ
れば、合焦状態検出手段が角膜からの反射光に基づいて
角膜の状態、すなわち、被検眼が裸眼であるかコンタク
トレンズを装用しているか等の状態を判断し、その状態
に応じて合焦の判定基準を変化させ、設定された判定基
準に基づいて光学系を角膜内皮に対して合焦させること
ができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の角膜内皮細胞観察撮影装置の
一実施例を図1から図9に基づいて説明する。
【0010】図1は眼科測定装置の光学系を示す平面図
であって、符号1は被検眼Eの前眼部を観察する前眼部
観察光学系である。前眼部観察光学系1は、ハーフミラ
ー2、対物レンズ3、ハーフミラー4、光路切り換えミ
ラー5、CCD6から大略構成され、O1はその光軸で
ある。被検眼Eの前眼部は前眼部照明光源7によって照
明される。ハーフミラー2はアライメント光学系8の一
部を構成している。
【0011】アライメント光学系8は、図2に示すよう
に、アライメント用光源9、ピンホール板10、投影レ
ンズ11、絞り12、ハーフミラー13を有する。ピン
ホール板10は投影レンズ11の焦点に配置されてい
る。ピンホール板10を透過したアライメント指標光
は、投影レンズ11により平行光束とされる。アライメ
ント指標光の一部は、ハーフミラー13を透過した後、
ハーフミラー2で反射されて角膜Cに導かれる。ハーフ
ミラー13は固視標投影光学系14の一部を構成してい
る。
【0012】固視標投影光学系14は、左眼用投影系と
右眼用投影系とからなり、それぞれ固視標光源17、ピ
ンホール板18、投影レンズ20を有する。固視標光源
17は、右眼検査のときには右眼用のものが自動的に点
灯され、左眼検査のときには左眼用のものが自動的に点
灯される。
【0013】固視標投影光学系14からの固視標光はハ
ーフミラー13、ハーフミラー2を介して被検眼Eに導
かれ、固視標が被検眼Eに提示される。アライメント調
整は、被検者に固視標を固視させつつ行われる。
【0014】アライメント光束は、角膜Cの表面Tで反
射され、角膜頂点Pと角膜曲率中心O3との間の中間位
置に輝点像Rを形成する。角膜Cから反射されたアライ
メント光束の一部は、ハーフミラー2を透過して対物レ
ンズ3により収束され、ハーフミラー4によって2つの
成分に分離される。ハーフミラー4により反射された光
束は、位置検出可能なセンサー等を用いた受光手段とし
てのアライメント検出センサー4´に導かれる。
【0015】一方、ハーフミラー4を通過した光束は、
光路切り換えミラー5が前眼部観察光学系1の光路から
退避している場合にはCCD6に導かれて結像され、C
CD6に輝点像が形成される。光路切り換えミラー5
は、その一面が遮光面5a、他面が全反射面5bであり、
常時は前眼部観察光学系1の光路から退避されている。
【0016】アライメントパターン投影光学系21は、
図1に示すように、アライメントパターン用光源22、
アライメントパターン板23、投影レンズ24から概略
なっている。アライメントパターン板23には円環状パ
ターンが形成されている。ハーフミラー4は、アライメ
ントパターン投影光学系21からの光束をCCD6側へ
向けて反射させ、CCD6に円環状パターン像を形成す
る。
【0017】CCD6は図示を略すモニター装置に接続
され、モニター装置の画面25には図3に示すように被
検眼Eの前眼部像26が表示される。また、円環状パタ
ーン像27も同様に表示される。角膜Cにより反射され
て輝点像R´を形成する光束が円環状パターン像27の
中央に位置するように図示省略の装置本体を上下(Y方
向)、左右(X方向)に振らせてアライメント調整を行
い、被検眼Eの眼球光軸O2と装置光軸O1とを合致させ
る。また、その装置本体を被検眼Eに対して前後(Z方
向)にずらして作動距離を設定する。
【0018】前眼部観察光学系1の両側には、照明光学
系28と観察撮影光学系29とが設けられている。照明
光学系28は被検眼Eの角膜Cに向けて斜め方向から照
明光束を照射する。照明光学系28は、観察用の照明光
源30、集光レンズ31、赤外フィルター31´、撮影
用の照明光源32、集光レンズ33、スリット板34、
投光レンズ35、光路長補正用光学部材35´を有す
る。観察用の照明光源30と撮影用の照明光源32とは
集光レンズ31に関して共役である。図1は内皮細胞観
察時に光路中に光路長補正用光学部材35´が挿入され
た状態を示しており、可視光での撮影時には光路長補正
用光学部材35´は照明光学系28の光路から退避され
る。
【0019】照明光源30にはハロゲンランプが用いら
れ、照明光源32にはキセノンランプが用いられる。観
察用の照明光束は、赤外フィルター31´が挿入されて
いるので赤外光束となる。赤外光束は照明光源32の配
設位置で一旦収束される。赤外光束は照明光源32から
射出されたかのようにして集光レンズ33に導かれる。
集光レンズ33により集光された赤外光束はスリット板
34に導かれる。スリット板34には細長い長方形状の
スリット36が形成されている。赤外光束はスリット3
6を通過して投光レンズ35に導かれる。アライメント
が完了した状態では、スリット板34と角膜Cとは投光
レンズ35に関してほぼ共役であり、角膜Cにはスリッ
ト光束が照射される。スリット光束は角膜Cをその表面
Tから内部に向かって横切る。
【0020】なお、照明光源30、集光レンズ31、赤
外フィルター31´、照明光源32、集光レンズ33と
からなる光源部は、図4に示すように配設してもよい。
図4において、37はダイクロイックミラー、38、3
9は凹面反射鏡である。ダイクロイックミラー37は集
光レンズ31とスリット板34との間に配設され、赤外
光を透過させ、可視光を反射させる。
【0021】観察撮影光学系29は、対物レンズ40、
ハーフミラー41、マスク42、リレーレンズ43、ミ
ラー44、変倍レンズ45、合焦レンズ46、光路切り
換えミラー5から大略構成されている。光路切り換えミ
ラー5はアライメント検出センサー4´の検出出力に基
づいて前眼部観察光学系1の光路に自動的に挿入され
る。アライメントが完了した状態では、マスク42と角
膜Cとは対物レンズ40に関してほぼ共役である。
【0022】スリット光束は角膜Cにおいて反射され
る。まず、被検眼Eが裸眼の場合における反射の状態を
図5に示す。スリット光束の一部は空気と角膜Cとの境
界面である角膜表面Tにおいてまず反射される。角膜表
面Tからの反射光Lの光量が最も多い。角膜内皮細胞N
からの反射光Mの光量は相対的に小さい。角膜実質M´
からの反射光L´の光量が最も小さい。反射光Mは対物
レンズ40により集光されてハーフミラー41に導かれ
る。
【0023】反射光の一部はハーフミラー41により反
射されて合焦状態検出センサーとしてのラインセンサ4
7に導かれる。また、ハーフミラー41を通過した反射
光はマスク42に導かれ、角膜内皮細胞Nを含めて角膜
内皮細胞像がマスク42の配設位置に形成される。
【0024】なお、マスク42は角膜内皮細胞像を形成
する以外の余分の反射光を遮光する役割を果たす。角膜
内皮細胞像を形成する反射光はリレーレンズ43、ミラ
ー44、変倍レンズ45、合焦レンズ46を介して光路
切り換えミラー5に導かれ、光路切り換えミラー5によ
り反射されて、CCD6に結像される。
【0025】角膜Cからの反射光に対してラインセンサ
47は、図6(ロ)に示すように配置されており、裸眼
の場合の反射光の強度分布は図6(イ)に示すようなも
のとなる。図6(イ)において、符号Uは角膜Cの表面
Tにおいて反射された反射光Lによるピーク部である。
符号Vは角膜Cの内皮細胞Nにおいて反射された反射光
Mによるピーク部である。なお、ピークの検出には公知
の手段を用いる。
【0026】一方、被験者がコンタクトレンズを装用し
ている場合には、図7に示すようにコンタクトレンズC
Lからの反射光TCLと、角膜表面Tからの反射光L
と、角膜内皮細胞Nからの反射光Mが存在することにな
る。画面25には角膜内皮細胞像48が図9に示すよう
に表示される。図9において、49は角膜表面からの反
射により形成される光像であり、50は角膜実質M´か
らの反射光による光像であり、図示せぬコンタクトレン
ズCLからの反射光TCL(100)が光像49の左に位
置している。
【0027】また、コンタクトレンズを装用している場
合における反射光の強度分布は図8(イ)に示すような
ものとなる。図8(イ)において、符号U、Vは図6と
同様角膜Cの表面T、内皮細胞Nにおける反射光にそれ
ぞれ対応したピーク部であり、符号Wはコンタクトレン
ズCLの表面からの反射光に対応したピーク部である。
ラインセンサ47上の反射光に対する配置は、図8
(ロ)に示すとおりである。符号100は、コンタクト
レンズの表面からの反射光による光像、101は、コン
タクトレンズと角膜表面との間の空間を示す部分であ
る。
【0028】このように、被検眼にコンタクトレンズが
装着されていない場合には、ラインセンサ47から出力
されるビデオ信号に2つのピークが含まれ、コンタクト
レンズが装着されている場合には3つのピークが含まれ
る。
【0029】ラインセンサ47からの出力信号は、合焦
判断回路47´に入力される。合焦判断回路47´は、
2つ、あるいは3つのピークを含む信号全てを記憶して
演算処理する。
【0030】合焦判断回路47´は、ラインセンサ47
からの出力信号にピークがいくつあるかを判断するピー
ク検出手段と、ピーク検出手段の出力に基づいて合焦判
定基準を設定する基準設定手段とを備えている。基準設
定手段は、ピークが2つである場合には裸眼と判断して
2つ目のピークに相当する位置を角膜内皮細胞の位置と
して捉え、この位置を合焦の基準位置とする。また、ピ
ークが3つである場合には、コンタクトレンズが装着さ
れていると判断し、3つ目のピークに相当する位置を角
膜内皮細胞の位置として捉え、この位置を合焦の基準位
置とする。
【0031】そして、合焦判断回路47´は角膜内皮細
胞に相当するピーク部Vの番地Lがラインセンサ47の
中心番地Qに一致するか否かを判断する。
【0032】図示を略す装置本体を被検眼Eの前眼部に
向かって離反接近させる(装置光学系をZ方向に移動さ
せる)とピーク部Vの番地Lが移動する。装置本体は、
ピーク部Vの番地Lが中心番地Qに一致するとき、角膜
内皮細胞に焦点が合うように設計されている。ここで、
番地Lが中心番地Qに一致したとき合焦判断回路47´
は、撮影光源発光制御回路32´に向かって撮影信号S
1を出力する。
【0033】また、アライメント検出センサー4´は、
その基準位置に反射光が位置するか否かを検出し、基準
位置に位置すると判断された場合には撮影信号S2を撮
影光源発光制御回路32´へ出力する。
【0034】撮影光源発光制御回路32´は、上記の撮
影信号S1とS2とが共に入力されたときに照明光源32
を発光させ、被検眼Eを照明して角膜内皮細胞像を自動
的に撮影する。
【0035】なお、コンタクトレンズを装着している場
合には、撮影結果や観察画面上にコンタクトレンズを装
着していることがわかるように、例えば図9に示すよう
に「CL」等の表示をしてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る角膜
内皮細胞観察撮影装置によれば、被検者がコンタクトレ
ンズを装用しているか否かを合焦状態検出手段が判断
し、それぞれの場合に適した位置を合焦基準位置として
設定することができるため、いずれの場合にもピントの
あった状態で観察、撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる角膜内皮細胞観察撮影装置の
実施例を示す光学系の説明図である。
【図2】 本発明に係わるアライメント光学系を示す図
である。
【図3】 前眼部像の表示状態を示す図である。
【図4】 本発明に係わる照明光学系の光源部の他の例
を示す図である。
【図5】 コンタクトレンズを装用していない場合の角
膜におけるスリット光束の反射状態を示す図である。
【図6】 コンタクトレンズを装用していない場合の角
膜内皮細胞像とラインセンサに受光される光量との対応
関係を示す図である。
【図7】 コンタクトレンズを装用している場合の角膜
におけるスリット光束の反射状態を示す図である。
【図8】 コンタクトレンズを装用している場合の角膜
内皮細胞像とラインセンサに受光される光量との対応関
係を示す図である。
【図9】 コンタクトレンズを装用している場合の角膜
内皮細胞像の表示状態を示す図である。
【符号の説明】
28…照明光学系 29…観察撮影光学系 30、32…照明光源 47…ラインセンサ(合焦状態検出センサ) E…被検眼 C…角膜 N…角膜内皮細胞

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 照明光源からの照明光を被検眼の角膜に
    向けて斜めから照射する照明光学系と、角膜内皮細胞を
    含めて前記角膜からの反射光を受像して観察・撮影する
    観察撮影光学系と、前記角膜からの反射光に基づいて被
    検眼の状態を判断し、被検眼の状態に応じて合焦判定基
    準を変更すると共に、この合焦判定基準と被検眼の状態
    とを比較して角膜内皮細胞への合焦状態を検出する合焦
    状態検出手段とを備え、前記合焦状態検出手段は、前記
    角膜からの反射光を受光して角膜断面方向の光量分布を
    検出するラインセンサと、ラインセンサの出力信号から
    ピークの数を求めるピーク検出手段とを備え、前記ピー
    ク検出手段の出力に基づき合焦判定基準を変更すること
    を特徴とする角膜内皮細胞観察撮影装置。
  2. 【請求項2】 前記ピーク数が2つである場合には外側
    から2つ目のピークに相当する位置を、ピーク数が3つ
    である場合には3つ目のピークに相当する位置を、それ
    ぞれ角膜内皮細胞の位置として捉え、この位置を合焦判
    定基準として設定する請求項1に記載の角膜内皮細胞観
    察撮影装置。
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