JP3405036B2 - 静電荷現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

静電荷現像用トナーおよびその製造方法

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JP3405036B2
JP3405036B2 JP00695296A JP695296A JP3405036B2 JP 3405036 B2 JP3405036 B2 JP 3405036B2 JP 00695296 A JP00695296 A JP 00695296A JP 695296 A JP695296 A JP 695296A JP 3405036 B2 JP3405036 B2 JP 3405036B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法または静電
記録法等により形成される静電潜像を現像剤により現像
する際に用いられる静電荷現像用トナーおよびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法等、静電潜像を経て画像情報
を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されてい
る。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光
体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で現像
し、転写、定着工程を経て可視化される。ここで用いら
れる現像剤は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤
と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成
分現像剤とに大別されるが、そのトナーの製造のために
は、通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックス
等の離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕し、さ
らに分級する混練粉砕法が使用されている。これらの方
法で得られたトナーには、必要に応じて流動性やクリー
ニング性を改善するための無機、有機の微粒子を添加し
てトナー粒子表面に付着させることも行われている。
【0003】従来行われている混練粉砕製法では、トナ
ー粒子の形状は不定形であり、またその表面構造も不定
である。これらは、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件
により微妙に変化するものの、トナー粒子の形状および
表面構造を意図的に制御することは困難である。また、
特に粉砕性の高い材料を用いて得られたトナーの場合、
現像機中における機械力等により、さらに微粉の発生を
招いたり、トナー粒子の形状変化を招いたりすることが
しばしばである。これらの影響により、二成分現像剤に
おいては、発生する微粉のキャリア表面への固着により
現像剤の帯電劣化が加速されたり、一成分現像剤におい
ては、粒度分布の拡大によりトナー飛散が生じたり、ト
ナー粒子の形状変化による現像性の低下により画質の劣
化が生じたりする。また、ワックス等の離型剤を内添し
てトナー化する場合、熱可塑性樹脂との組み合わせによ
っては、表面に離型剤が露出して現像に際して種々の影
響を与えることが多い。特に高分子量成分により弾性が
付与された、やや粉砕しにくい樹脂とポリエチレンのよ
うな脆いワックスとの組合わせを使用する場合は、トナ
ー粒子表面にポリエチレンの露出が多くみられる。これ
らは定着時の離型性や感光体上からの未転写トナーのク
リーニング性には有利であるもの、表層に存在するポリ
エチレンが機械力により容易に移行するために、現像ロ
ール、感光体およびキャリアの表面汚染を生じやすくな
り、信頼性の低下につながる。
【0004】また、トナー粒子の形状が不定形であるこ
とにより、流動性助剤の添加によって流動性が十分でな
く、使用中に機械力によるトナー粒子表面の微粉がトナ
ー凹部分に移動して、経時的に流動性が低下し、現像
性、転写性、クリーニング性が悪化する。また、クリー
ニングにより回収されたトナーを再び現像機に戻して使
用すると、さらに画質の低下を生じやすい。これらを防
ぐためにさらに流動性助剤を増加すると、感光体上への
黒点の発生や助剤粒子の飛散を生じるという問題が生じ
る。
【0005】また、さらなる高画質化の観点からトナー
の小粒径化が検討されている。これを達成するために従
来の混練粉砕製法ではコストの面においてインパクトが
大きく、これを補うために粉砕性の良好なポリエステル
やスチレンアクリル系低分子量樹脂を用いる場合には、
確かに粉砕性は向上するものの上記したように、現像機
中における機械力等により、トナーからの微粉の発生或
いはトナーの形状変化がさらに顕在化することとなる。
【0006】小粒径化トナーを安定に効率的に生産でき
る方法として、懸濁重合法、分散重合法が従来から検討
されており、これらの方法によれば、確かに小粒径で形
状も球形のものが得られるが、形状制御性に乏しく、球
形トナー特有のブレードクリーニング性に問題がある。
特公平6−29979号公報には、懸濁重合法等の反応
に用いる界面活性剤と分散剤の比率を特定の値とするこ
とにより、球形とは離れた、いわゆるジャガイモ形状の
トナー粒子を得ることが開示されているが、このトナー
を用いて画像形成を行った場合、ブレードクリーニング
性は良好であっても、トナーと感光体との間の付着力が
増大して転写性が初期から低いものとなる。
【0007】これを改善するためのものとして、例え
ば、特開昭62−266558号公報、特開昭63−1
95659号公報、特開平1−257856号公報、特
開平1−302270号公報等には、トナー粒子表面
に、例えば無機微粒子/有機樹脂微粒子等を外添または
析出させることによってブレードクリーニング性を付与
させることが開示されているが、複写装置のランニング
による表面構造の変化が避けられず、ブレードクリーニ
ング性の維持が困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来よ
り用いられてきた混練粉砕製法によるトナーおよび重合
製法によるトナーにおける上記のような問題点を解消す
ることを目的としてなされたものである。
【0009】すなわち、本発明の目的は、二成分現像剤
としては、トナー粒子の形状および表面形状の制御によ
り、良好な現像性、転写性、クリーニング性と、キャリ
アおよび感光体の汚染を防止し、安定した帯電性により
長寿命を提供し、一成分現像剤としては、トナー粒子の
形状と表面構造の制御により、現像ロールおよび感光体
の汚染を防止し、良好な現像性、転写性、クリーニング
性により安定した画像維持性を実現し、また、二成分お
よび一成分現像方式の両者において、クリーニングによ
り回収されたトナーを現像機に戻し再使用する場合に
も、高画質の画像を安定して得ることができる静電荷現
像用トナーおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の静電荷現像用ト
ナーの製造方法は、結着樹脂と着色剤を含有する混練粉
砕法によって得られたトナー粒子を、平均粒子径0.1
〜0.5μmの無機微粒子を含有する水系媒体中に分散
させる工程、該分散液を加熱して、表面平均粗さRaが
10〜20nmの範囲のトナー粒子を形成する工程、ト
ナー粒子に平均粒子径5〜50nmの無機微粒子を添加
して、カバレッジが10〜30%の範囲に付着させる工
程を有することを特徴とする。
【0011】また、本発明の静電荷現像用トナーは、結
着樹脂と着色剤を含有する混練粉砕法によって得られた
トナー粒子を平均粒子径0.1〜0.5μmの無機微粒
子を含有する水系媒体中に分散させ、該分散液を加熱す
ることによって形成された表面平均粗さRaが10〜2
0nmの範囲のトナー粒子に、平均粒子径5〜50nm
無機微粒子をカバレッジが10〜30%の範囲に付着
させてなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の静電荷現像用トナーの製造
方法において用いるトナー粒子は、結着樹脂と着色剤を
用い、混練粉砕法によって得られるものであって、不定
形の形状を有するものである。すなわち、結着樹脂、着
色剤およびその他の成分を混合して溶融混練し、粉砕す
ることによって得ることができる。トナー粒子の体積平
均粒子径は4〜10μmの範囲が好ましい。
【0013】本発明のトナーに使用する結着樹脂として
は、公知のものであれば何如なるものでも使用すること
ができる。具体的には、熱可塑性樹脂、例えば、スチレ
ン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチ
レン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を
有するエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビ
ニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニル
メチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペ
ニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレ
ン、ブタジエン等のポリオレフィン類等の単量体等の重
合体またはこれら2種以上を組み合わせて得られる共重
合体またはこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、
セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系
樹脂、およびこれらと前記ビニル系樹脂との混合物、あ
るいはこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に
得られるグラフト重合体等を使用することができる。
【0014】着色剤としては、例えば、カーボンブラッ
ク、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエ
ロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネン
トオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレ
ンジ、ウオッチャングレッド、パーマネントレッド、ブ
リリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、
デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレ
ッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベ
ンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カル
コイルブルー、メチレンブルークロリド、フタロシアニ
ンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリー
ンオキサレート等の種々の顔料、アクリジン系、キサン
テン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラ
キノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン
系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、
アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタ
ン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系、等の各種染
料等があげられ、これらは2種以上を組み合わせて使用
することもできる。
【0015】トナー粒子には、上記結着樹脂および着色
剤の外に、必要に応じて、磁性体、帯電制御剤、離型剤
等を内添剤として配合することができる。磁性体として
は、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニ
ッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれらの金属
を含む化合物等の磁性体をあげることができる。帯電制
御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン
系化合物、アゾ染料のアルミニウム、鉄、クロム等の錯
体、トリフェニルメタン系顔料等、通常使用される公知
の帯電制御剤をあげることができる。
【0016】離型剤としては、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィ
ン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイ
ン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ス
テアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類、カルナウ
バワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、
木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウ
のような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケラ
イト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の
ような鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が
使用できる。
【0017】本発明においては、上記のようにして得ら
れた不定形のトナー粒子を、まず、平均粒子径0.1〜
0.5μmの無機微粒子を含有する水性媒体中に分散さ
せる。水性媒体としては、水の他に、アルコール、ケト
ン等を水と混合して使用することができる。水性媒体に
分散安定剤とし含有させる無機微粒子は、その平均粒子
径が0.1〜0.5μmの範囲にあることが必要であ
る。平均粒子径0.1〜0.5μmの無機微粒子は、ボ
ールミリング等の分散方式では得難いものであるが、超
音波振動を与えることによって得ることができる。な
お、平均粒子径は、遠心沈降式粒度測定装置(SACP
−4L、島津製作所製)により測定することができる。
無機微粒子の分散粒子径が小さいほどトナー粒子表面に
密に凹凸が形成されるので好ましいが、平均粒子径が
0.1μmよりも小さい場合は、次の加熱処理により表
面平均粗さが小さ過ぎるものが形成され、感光体との付
着力が増大することによって転写性能が低下する。ま
た、0.5μmより大きい場合には、表面平均粗さが大
きいものの、表面に不均一に凹凸が形成され、また形成
された凹凸も大きくなり、維持性による凹凸の変化が発
生して長期のランニングによるトナー粒子の破壊および
変形を抑えることはできなくなる。
【0018】本発明において使用することができる無機
微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カル
シウム、クレイ、ケイソウ土、ベントナイトがあげられ
る。これらのうちでも、炭酸カルシウムおよびリン酸三
カルシウムは、トナー分散系において微細粒子の生成、
消滅が容易であるので特に好適である。これらの無機微
粒子は、通常、水性媒体に対して0.1〜3重量%の範
囲で添加するのが好ましい。
【0019】また、トナー粒子を容易に分散させるため
に、水性媒体中に界面活性剤を添加するのが好ましい。
界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン
酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤、ア
ミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活
性剤、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノール
エチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非
イオン性界面活性剤が使用可能であるが、特にトナーの
球形化および帯電性の点で非イオン性界面活性剤を用い
ることが好ましい。これらの界面活性剤の使用量は、水
性媒体に対して0.001〜10重量%の範囲であるこ
とが好ましい。
【0020】上記のようにしてトナー粒子を分散させた
分散液は、次の工程において加熱して、表面平均粗さR
aが10〜20nmの範囲のトナー粒子を形成させる。
分散液の加熱処理は、70〜91℃の温度で40〜80
分間加熱することによって行うことができる。この操作
により、トナー粒子は、その表面に密に凹凸が形成さ
れ、表面平均粗さRaが10〜20nmの範囲のトナー
粒子が形成される。ここで、トナー表面に形成された表
面凹凸は中心線平均粗さRaで定義され、粗さ曲線から
その中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この
抜き取り部分の中心線と粗さ曲線との偏差の絶対値を算
術平均した値である(図1参照)。本発明において、こ
の中心線平均粗さRaは、東陽テクニカ製走査型プロー
ブ顕微鏡システム(AFM)によって測定することがで
きる。
【0021】上記のようにして加熱処理された分散液か
らトナー粒子を濾過によって分離し、水洗した後、トナ
ー粒子に帯電性および流動性等を付与するために無機微
粒子を配合して、トナー粒子表面に付着させる。本発明
において使用することができる無機微粒子としては、平
均粒子径5〜50nmのものであって、例えば疎水性シ
リカ、酸化チタン、アルミナ、ジルコニアがあげられ
る。
【0022】本発明において、無機微粒子の添加量は、
トナー粒子表面のX線光電子分光器(XPS)によるカ
バレッジ測定において、トナー粒子表面に付着している
無機微粒子の割合が10〜30%の範囲にあることが必
要である。XPSによるカバレッジとは、X線光電子分
光器(JPS−80、日本電子社製)によって測定され
るものであって、全トナー粒子表面について、トナー表
面に無機微粒子が付着している割合(表面の付着面積割
合)を意味する。トナー粒子表面に無機微粒子が付着し
ている割合が10%より少ない場合には、帯電性に問題
があり、かぶりが発生して画質上好ましくなく、また転
写性も低下し、解像性、細線再現性等が低下して高画質
の画像が得られないので好ましくない。一方、その割合
が30%より多い場合には、帯電性および転写性は、良
好であるが長期ランニング等には添加した無機微粒子が
脱離し、飛散することにより、キャリア、スリーブおよ
び感光体の汚染が発生し、それに伴って帯電性不良、黒
抜けおよび白筋等の画質欠陥を引き起こす。トナー粒子
表面に無機微粒子が付着している割合(カバレッジ)を
10〜30%の範囲に制御することにより、これら無機
微粒子の添加量を少量の範囲に抑えることができるよう
になる。
【0023】本発明の上記の製造方法によれば、結着樹
脂と着色剤とを混練粉砕されて得られたトナー粒子を無
機微粒子よりなる分散安定剤の存在する水性媒体中に分
散させて、トナー粒子の加熱球形化を行うことにより、
ストレスによる微粉に発生が起こり難いものとし、かつ
水性媒体中に分散している無機微粒子の粒径を特定の範
囲にまで小さくすることによって、トナー粒子の表面状
態を表す表面平均粗さを微小に制御することができ、良
好なトナークリーニング性が得られ、また、少量の外添
剤量で十分な帯電量、帯電安定性、トナー流動性が得ら
れる。
【0024】本発明によって製造される静電荷現像用ト
ナーは、それ自体を一成分現像剤とし用いることがで
き、また二成分現像剤として、キャリアと混合して用い
ることもできる。
【0025】
【実施例】
実施例1 ポリエステル樹脂(テレフタル酸とビスフェノールA 90重量部 エチレンオキサイド付加物との重縮合物、 Mn=3000、Mw=60000、Tg=57℃) カーボンブラック 10重量部 上記組成をバンバリーミキサーにて混練した後、ジェッ
トミルにて微粉砕し、コールターカウンター粒度測定結
果が平均粒径7.5μmのトナー粒子を得た。トナー粒
子の形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、規則性
のない不定形をしていることが確認された。このトナー
粒子200重量部を、非イオン性界面活性剤であるポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル0.1重量%、
炭酸カルシウム2.0重量%を含有する水3000重量
部中に分散し、均一にぬれるまでスリーワンモーターに
て30分間撹拌した。ここで用いた炭酸カルシウムはあ
らかじめビーカーに40重量部入れ、水140重量部を
加えた後、超音波洗浄機にて発振周波数26KHz、1
時間分散させたものであり、分散時の粒径は0.3μm
であった。その後、ウォーターバス中で撹拌しながら、
1時間で80℃まで加熱し、その状態でさらに10分間
保持した後、加熱を停止し、ウォーターバス中に水を投
入し、2時間で25℃まで冷却した。さらに吸引濾過に
よる純水洗浄を3回繰り返した後、乾燥機で30℃、1
5%RHの雰囲気下で乾燥し、解砕した後43μm網で
ふるい、トナー粒子を得た。平均粒径は、8.0μmで
あり、走査型電子顕微鏡での観察では、トナー粒子はほ
ぼ球形化していることが確認された。このトナー粒子の
AFMによる平均粗さRaは10nmであった。このト
ナー粒子にヘンシェルミキサーで平均粒子径16nmの
疎水性シリカを0.18重量%外添した。XPSにより
カバレッジを測定したところ20%であった。
【0026】実施例2 スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 90重量部 (共重合比80/20) (Mn=8000、Mw=15000、Tg=62℃) カーボンブラック 10重量部 パラフィンワックス(融点:75℃) 5重量部 上記組成をバンバリーミキサーにて混練した後、ジェッ
トミルにて微粉砕し、コールターカウンター粒度測定結
果が平均粒径8.0μmのトナー粒子を得た。トナー粒
子形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、規則性の
ない不定形をしていることが確認された。このトナー粒
子200重量部を、非イオン性界面活性剤であるポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル0.2重量%、炭
酸カルシウム2.0重量%を含有する水3000重量部
中に分散し、均一にぬれるまでスリーワンモーターにて
30分間撹拌した。炭酸カルシウムは実施例1と同様の
分散時の粒子径が0.3μmのものを用いた。その後、
ウォーターバス中で撹拌しながら、1時間で90℃まで
加熱し、その状態でさらに30分間保持した後、加熱を
停止し、ウォーターバス中に水を投入して2時間で25
℃まで冷却した。さらに吸引濾過による純水洗浄を3回
繰り返した後、乾燥機で30℃にて15%RH乾燥し、
解砕した後、43μm網でふるいトナー粒子を得た。平
均粒径は、8.5μmであり、走査型電子顕微鏡での観
察では、トナーはほぼ球形化していることが確認され
た。このトナー粒子のAFMによる平均粗さRaは15
nmであった。このトナー粒子にヘンシェルミキサーで
平均粒子径16nmの疎水性シリカを0.15重量%外
添した。XPSによりカバレッジを測定したところ18
%であった。
【0027】比較例1 実施例1で用いた不定形トナー粒子200重量部を、非
イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル0.1重量%、炭酸カルシウム2.0重
量%を含有する水3000重量部中に分散し、均一にぬ
れるまでスリーワンモーターにて30分撹拌した。用い
た炭酸カルシウムはあらかじめガラス製ボールミル容器
に40重量部入れ、水140重量部を加えた後、ステン
レス鋼製メディアを入れて130rpmで4時間分散さ
せたものであって、分散時の粒子径は0.8μmであっ
た。その後、ウォーターバス中で撹拌しながら、1時間
で80℃まで加熱し、その状態でさらに10分間保持し
た後、加熱を停止し、ウォーターバス中に水を投入し、
2時間で25℃まで冷却した。さらに吸引濾過による純
水洗浄を3回繰り返した後、乾燥機で30℃、15%R
Hの雰囲気下で乾燥し、解砕した後、43μm網でふる
いトナー粒子を得た。平均粒径は、8.2μmであり、
走査型電子顕微鏡での観察では、トナーはほぼ球形化し
ていることが確認された。このトナー粒子のAFMによ
る平均粗さRaは4nmであった。このトナー粒子にヘ
ンシェルミキサーで平均粒子径16nmの疎水性シリカ
を0.19重量%外添した。XPSによりカバレッジを
測定したところ18%であった。
【0028】比較例2 実施例1で作製した球形トナー粒子にヘンシェルミキサ
ーで同様の疎水性シリカを0.05重量%外添した。X
PSによりカバレッジを測定したところ5%であった。 比較例3 実施例1で作製した球形トナー粒子にヘンシェルミキサ
ーで同様の疎水性シリカを0.47重量%外添した。X
PSによりカバレッジを測定したところ52%であっ
た。 比較例4 実施例1で用いた不定形トナー粒子にヘンシェルミキサ
ーで同様の疎水性シリカを0.52重量%外添した。X
PSによりカバレッジを測定したところ28%であっ
た。
【0029】(トナーの測定および評価方法)以上の各
実施例および比較例で得たトナーについて、V型ブレン
ダーによりキャリアと混合して現像剤とした。キャリア
としては、コートキャリア(平均粒径80μm、Abl
e1301用キャリア、富士ゼロックス社製)を用いト
ナー濃度が5重量%となるように混合した。この現像剤
について、複写機(Able1302改造機M/C、富
士ゼロックス社製)に入れ、22℃、55%RHの環境
下で初期転写効率、転写性およびクリーニング性につい
て測定し、評価を行った。
【0030】(1)転写効率の測定は、転写画像濃度に
対する未転写画像濃度の比率(百分率)で行った。転写
効率の評価は、各画像濃度における(現像バイアスで変
化)転写効率を測定し、一定の転写画像濃度(ID=
0.7)に対する転写効率で比較した。転写性の評価
は、画像を25倍ルーペを用いて観察した。評価基準
は、○…均一でむらがない、△…ややむらが見られる。 (2)クリーニング性は、感光体上に画像濃度0.7±
0.1でソリッド画像を現像し、感光体を一回転させた
場合について、次のように判定した。 ○…残留トナーなく、ブレードクリーニング適性あり。 ×…残留トナーが存在し、ブレードクリーニング適性な
し。 (3)帯電安定性は、高温高湿(28℃、90%RH)
の環境下にてランニングテストを行い、画像の形成の初
期および10万枚後について、ブローオフトライボ装置
(東芝ケミカル社製)により、磁気ロール上の帯電量を
測定し、その低下度合いにより判定した。 ○…帯電量変化5μc/g未満 △…帯電量変化5〜10μc/g未満 ×…帯電量変化10μc/g以上 また、上記ランニングテストにおいて画質の維持性も観
察した。
【0031】以上の結果を表1に示す。
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明の静電荷現像用トナーの製造方法
においては、混練粉砕法等によって得られたトナー粒子
を特定の分散粒径を有する無機微粒子の存在下で水性媒
体に分散させ、加熱球形化することにより、トナー表面
の微細な凹凸状態を特定の状態に制御できる。また、本
発明によれば、トナー帯電性、流動性調節のためにトナ
ー粒子に添加する無機微粒子の量をある特定の範囲に制
御することにより、耐機械的衝撃性、高転写性、ブレー
ドクリーニング適性を有し、長期に亘って感光体、スリ
ーブ、ブレード等部材およびキャリアの汚染を生じない
優れたトナーを製造することができる。そして、本発明
によって得られた静電荷現像用トナーは、一成分現像剤
および二成分現像剤として使用することができ、極めて
転写効率が高く、良好な転写性およびブレードクリーニ
ング適性を有すると共に、長期に亘って安定した帯電電
位を示し、画像欠陥のない細線再現性に優れた高品位の
画質を維持することができる。また、回収されたトナー
を現像機へ戻し再使用する場合にも安定した高画質の画
像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トナー粒子の表面粗さを説明するための図で
ある。
フロントページの続き (72)発明者 角倉 康夫 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−181306(JP,A) 特開 平4−355461(JP,A) 特開 平4−211273(JP,A) 特開 平4−204658(JP,A) 特開 平4−16861(JP,A) 特開 平3−265863(JP,A) 特開 平2−161471(JP,A) 特開 平2−61649(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂と着色剤を含有する混練粉砕法
    によって得られたトナー粒子を、平均粒子径0.1〜
    0.5μmの無機微粒子を含有する水系媒体中に分散さ
    せる工程、該分散液を加熱して、表面平均粗さRaが1
    0〜20nmの範囲のトナー粒子を形成する工程、トナ
    ー粒子に平均粒子径5〜50nmの無機微粒子を添加し
    て、カバレッジが10〜30%の範囲に付着させる工程
    を有することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 結着樹脂と着色剤を含有する混練粉砕法
    によって得られたトナー粒子を平均粒子径0.1〜0.
    5μmの無機微粒子を含有する水系媒体中に分散させ、
    該分散液を加熱することによって形成された表面平均粗
    さRaが10〜20nmの範囲のトナー粒子に、平均粒
    子径5〜50nmの無機微粒子をカバレッジが10〜3
    0%の範囲に付着させてなることを特徴とする静電荷現
    像用トナー。
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