JP3404636B2 - ビスコースレーヨン及びその製造方法 - Google Patents

ビスコースレーヨン及びその製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光沢に優れ、染色性のよ
いビスコースレーヨンとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常のビスコースレーヨンの断面形状は
周囲に多数の凹凸を持っている。この断面形状を変化さ
せ、ビスコースレーヨンの吸水性、嵩高性、染色性等を
向上させようとする技術が知られている。特公昭44−
30445号ではビスコースのアルカリ濃度1.3〜
2.0、分子量200〜6000のポリエチレングリコ
ールを添加し繊維の断面形状をY字型、馬蹄型、十字型
等のものを得て風合いに特徴のあるビスコースレーヨン
を得ている。特公昭62−45352号では分岐スリッ
トノズルを用いて紡糸し一定張力下で乾燥して、断面形
状が3個ないし4個の耳朶を有し各耳朶が断面中心に対
しておおむね対称の嵩高性、伸長性のビスコースレーヨ
ンを得ている。特開昭64−45811号ではビスコー
ス中に平均分子量1500のポリエチレングリコールを
数%添加し、所望の断面形状に類似した複リムを持つ押
出孔を使って紡糸して嵩高性、吸水性に富むビスコース
レーヨンを得ている。またほとんど全ての染料に対して
染色性を向上させる方法としては繊維の非結晶領域を増
大させることが考えられる。
【0003】
【発明が解決すべき課題】上記従来技術によるビスコー
スレーヨンの断面の形状はU字型、十字型、E字型等い
ずれも通常の断面形状にくらべ複数の耳朶をもち嵩高
性、吸水性の機能を持たせるようにしたものである。こ
のように断面形状が繊維の周囲から中心方向に向かって
大きな凹みを作り、凹みの両側に耳朶を作るような形状
であり、吸水性が特に初期吸水性が良好になるのは繊維
周囲の表面積が大きくなるためと考えられる。さらにこ
の耳朶の大きさによって嵩高性が得られていると考えら
れる。しかしこのような断面形状のため繊維強力の低下
は避けられずまた吸水量も少ないという欠点があった。
また繊維の非結晶領域を増大すると繊維強力の低下は避
けられない。
【0004】本発明は繊維強力を低下させず、光沢に優
れ、染色性を向上させることを目的とする新しい断面形
状を持ったビスコースレーヨンとの製造方法に関す
る。
【0005】
【課題解決するための手段】本発明は、繊維断面の形状
において、周面からスジ状の切れ目を有するビスコース
レーヨンである。好ましくはこのスジ状の切れ目の長さ
が繊維断面のさしわたし径の1/4以上であり、さらに
好ましくは周面からのスジ状の切れ目の先端がさらにY
字状の切れ目に分かれているビスコースレーヨンであ
る。
【0006】上記本発明のビスコースレーヨンは図1に
示す断面形状を持つ。図1において繊維周面(1)から
スジ状の切れ目(2)がほぼ中心に向かって生じてい
る。このスジ状の切れ目(2)はその長さが繊維断面の
さしわたし径(L)の1/4以上であることが好まし
い。またスジ状の切れ目は1本だけではなく図2のよう
に2本できる場合もある。さらに図3に示すようにスジ
状の切れ目(2)はその先端がY字状にわかれているこ
とが好ましい。
【0007】このような本発明のビスコースレーヨンの
製造方法を説明する。ビスコース液に、分子量200〜
7500のポリエチレングリコールを0.1〜0.3重
量%、炭酸ナトリウムを0.5〜4.5重量%を、ポリ
エチレングリコールと炭酸ナトリウムが1:5〜1:1
5の比率になるように添加することを特徴とするビスコ
ースレーヨンの製造方法である。
【0008】本発明に用いるビスコースは慣用のビスコ
ースレーヨンを製造する際に用いる組成のものである。
またポリエチレングリコール及び炭酸ナトリウムはいず
れも工業用級で十分目的を達し、試薬級の純度は必要で
ない。
【0009】ポリエチレングリコールのビスコースへの
添加は、ビスコースに対して0.1〜0.3重量%、好
ましくは0.15〜0.25重量%である。0.1重量
%未満では目的の形状とならず、0.3重量%をこえて
添加すると形成された繊維の凝固を遅延させ通常のビス
コースレーヨンを紡糸する条件では紡糸できない。また
ポリエチレングリコールの平均分子量は200〜750
0であればいずれを使用してもよいが、平均分子量10
00以上では常温で固体であるため、加温溶融して添加
するか、あるいは水溶液として添加する。
【0010】炭酸ナトリウムのビスコースへの添加量は
ビスコースに対して0.5〜4.5重量%、好ましくは
1.5〜3.0重量%で、水溶液として添加する。添加
量が0.5重量%未満では殆どの繊維が普通レーヨンと
同等の断面構造を持ったものになり、4.5重量%を超
えると繊維は中空となる割合が増加する。
【0011】ポリエチレングリコールと炭酸ナトリウム
の添加比率は1:5〜1:15、好ましくは1:8〜
1:12でこれらは同時に添加しても別個に添加しても
よく、またその順序も問わない。
【0012】ポリエチレングリコールと炭酸ナトリウム
は従来もビスコースレーヨンの添加剤として知られてい
るが、ポリエチレングリコールは繊維強力の向上のため
であり、炭酸ナトリウムは中空繊維を得るためにつかわ
れていたに過ぎない。そして本発明のようにポリエチレ
ングリコールと炭酸ナトリウムを両方一緒にビスコース
に添加して使用する例は従来の技術には見られない。
【0013】本発明のビスコースレーヨンは,通常のビ
スコースレーヨンの紡糸浴中に紡糸される。すなわち、
紡糸浴としては硫酸濃度70〜150g/l、硫酸亜鉛
濃度0〜30g/l、硫酸ナトリウム濃度150〜35
0g/lが含まれる。紡糸浴温度は高温でも低温でも用
いることができるが一般には45〜55℃である。他の
条件についても標準的な条件で紡糸される。しかし、紡
糸状態の安定という面からは紡糸速度を小さく、形状の
点からは延伸率を大きくするほうがより安定した紡糸が
可能になる。具体的には、他の因子の要因もあるが、紡
糸速度は65m/min以下、延伸率は55%以上が好
ましい。またビスコース温度を上げると紡糸浴中の硫酸
濃度も上げる必要があり、ビスコース温度20℃では硫
酸濃度は110g/l前後が最適濃度となる。
【0014】本発明のビスコースレーヨンの製造方法に
おいて、ポリエチレングリコールと炭酸ナトリウムをビ
スコース中に添加すると得られたビスコースレーヨンが
なぜスジ状の切れ目を持つようになるのか明らかではな
いが、おそらくポリエチレングリコールによってビスコ
ースの凝固速度が遅くなり、適量の炭酸ナトリウムによ
って発泡した気体が周面の弱いところの1、2箇所から
外部に抜け、そこから水分が抜けていくからと考えられ
る。
【0015】上記のような方法で得られるビスコースレ
ーヨンは、全てが図1、図2及び図3に示すような繊維
断面を有するものではない。トウ全体の中には図4に示
すような通常の繊維断面を持ったビスコースレーヨン
や、図5に示すような従来技術による異形断面のレーヨ
ン、すなわち切れ目がスジ状でないU字型繊維断面のビ
スコースレーヨンもあるが、その混在率は数%であり本
発明の作用効果に影響を与えない。
【0016】
【発明の作用】本発明によるビスコースレーヨンは繊維
断面のスジ状の切れ目により吸水速度が早く、また繊維
表面が通常のビスコースレーヨンより凹凸が少なく光沢
がある。また通常のビスコースレーヨンより染色性に優
れており、直接染料、反応性染料、ナフトール染料、バ
ット染料及び硫化染料などのセルロース系繊維用の染料
でよく染色できる。
【0017】
【実施例】
[実施例1] セルロース含有量8.5%、水酸化ナト
リウム5.7%及び二硫化炭素32%(セルロースの重
量に基づく)の組成で、落球粘度が56秒、塩化アンモ
ニウム価が17ccのビスコースを用意した。このビス
コースに、60℃に加温溶融した平均分子量約1500
のポリエチレングリコール(日本油脂株式会社製、PE
G#1540)を、ビスコースに対して0.2重量%添
加した。次に22重量%に溶解した炭酸ナトリウム水溶
液(セントラル硝子株式会社製、ソーダ灰炭酸ナトリウ
ム)によりビスコースに対して炭酸ナトリウムを2重量
%添加し、これらが十分に混和するまで攪拌した。この
ときビスコースの温度は20℃であった。このビスコー
ス溶液を硫酸110g/l、硫酸亜鉛14g/l、硫酸
ナトリウム350g/lの紡糸浴中に紡糸速度50m/
min、延伸率60%で紡糸し、繊度1.5デニールの
ビスコースレーヨンのトウを得た。これを繊維長51m
mに切断して、脱硫、漂白した。得られた繊維の断面は
顕微鏡写真でみると約99%が図1、図2及び図3に示
されるものであった。
【0018】[比較例1]ポリエチレングリコール及び
炭酸ナトリウムを添加しないことのほかは実施例1と同
様にして繊度1.5デニール、繊維長51mmのビスコ
ースレーヨンを製造した。得られた繊維の断面は顕微鏡
写真でみると図4に示されるものであった。実施例1及
び比較例1により得られた繊維の性能を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】[染色試験]実施例1及び比較例1により
得られた繊維をJISL1015化学繊維ステープル試
験方法7.30により染着率を測定した。すなわち、繊
維を3g、染料をダイレクトスカイブルー6B、浴比1
00:1、液温45±1℃、時間20分の条件で染色し
た。結果は、実施例1の繊維は染着率57.6%、比較
例1の繊維は染着率43.3%であった。
【0021】[光沢値]実施例1及び比較例1により得
られた繊維を各々ソーターを用いて一定方向に引き揃
え、台紙の影響が無視できる厚みとして台紙に貼付して
試料とした。この試料の長さ方向の光沢を光沢度計(日
本電色工業株式会社製、変角光沢計VGS−300A)
を用いて測定した。測定は入射角60度、受光角60度
の正反射で行った。その結果は、実施例1の繊維は光沢
値294、比較例1の繊維は光沢値239であった。
【0022】
【発明の効果】本発明によるビスコースレーヨンは上記
のとおり、優れた染色性と光沢をもっているので織物、
編み物に使用すると通常のビスコースレーヨンのものよ
り濃色に染まった艶のある製品が得られる。また繊維強
力等その他の繊維性能は通常のビスコースレーヨンとほ
とんど変わらず、実用上なんの支障もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビスコースレーヨンの繊維断面図であ
る。
【図2】本発明のビスコースレーヨンの繊維断面図であ
る。
【図3】本発明のビスコースレーヨンの繊維断面図であ
る。
【図4】従来のビスコースレーヨンの繊維断面図であ
る。
【図5】従来技術による異形断面のビスコースレーヨン
の繊維断面図である。
【符号の説明】
1 繊維周面 2 スジ状の切れ目 L 繊維断面のさしわたし径

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維断面の形状において、周面からスジ
    状の切れ目を有するビスコースレーヨン。
  2. 【請求項2】 スジ状の切れ目の長さは繊維断面のさし
    わたし径の1/4以上である請求項1記載のビスコース
    レーヨン。
  3. 【請求項3】 周面からのスジ状の切れ目の先端がさら
    にY字状の切れ目に分かれている請求項1記載のビスコ
    ースレーヨン。
  4. 【請求項4】 ビスコース液に、分子量200〜750
    0のポリエチレングリコールを0.1〜0.3重量%、
    炭酸ナトリウムを0.5〜4.5重量%を、ポリエチレ
    ングリコールと炭酸ナトリウムが1:5〜1:15の比
    率になるように添加することを特徴とするビスコースレ
    ーヨンの製造方法。
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