JP3404297B2 - 打ち抜き性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

打ち抜き性に優れた無方向性電磁鋼板

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JP3404297B2 JP27989498A JP27989498A JP3404297B2 JP 3404297 B2 JP3404297 B2 JP 3404297B2 JP 27989498 A JP27989498 A JP 27989498A JP 27989498 A JP27989498 A JP 27989498A JP 3404297 B2 JP3404297 B2 JP 3404297B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、打ち抜き性の優
れた電気絶縁被膜付きの無方向性電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、モータや変圧器等
の電気機器の鉄心材料として使用され、その際ユーザー
側で複雑な形状に打ち抜いて使用されることが多いた
め、鉄損や磁束密度に代表される磁気特性は勿論、打ち
抜き性にも優れることが要求される。特に、OA機器等
に使用される小型モータ用鉄心は、打ち抜き形状が非常
に複雑なうえに、高度の寸法精度が要求されるため、打
ち抜き性に対するユーザの要求は、より一層厳しいもの
となっている。
【0003】ここに、磁気特性を向上させる手段とし
て、Caを鋼中に添加する手法が、特公昭58- 17249 号、
特公昭60-55567号、特公平4-43981 号、特公平6-43613
号および特開平3-126845号各公報に、提案されている。
これらCa添加の技術は、磁気特性に関しては一定の向上
効果が認められるものがあるものの、Caを添加しない電
磁鋼板に比べて、打ち抜き性が劣るという問題が生じて
いた。
【0004】一方、絶縁被膜により打ち抜き性を向上さ
せる技術は数多く開示されている。例えば、特公昭51-2
0018号、特公昭52-19534号、特公昭57-57953号、特公昭
62-25750号、特公昭62-34832号公報、特開平6-101057
号、特開平6-101058号、特開平6-330338号、特開平7-41
913 号、特開平7-278835号および特開平7-331453号各公
報と、枚挙にいとまがない。これらの技術を、Caを添加
した電磁鋼板に適用した場合、絶縁被膜なしに比べれば
打ち抜き性は向上するものの、同様の絶縁被膜をCaを添
加していない電磁鋼板に施したものに比べると、依然と
して打ち抜き性が劣る場合が多く、本質的な改善は得ら
れない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、このCaを添
加して磁気特性の向上を図った無方向性電磁鋼板におい
て、その打ち抜き性の向上を達成するための公知技術は
なく、その解決が望まれていた。そこで、この発明の目
的は、打ち抜き性の優れたCa添加の無方向性電磁鋼板を
提供しようとすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨構成は、
次のとおりである。 (1) C:0.01wt%以下、Si:4.0 wt%以下、Mn:0.1 〜
2.5 wt%、Al:2.5 wt%以下およびCa:0.0001〜0.01wt
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分
組成を有し、かつ鋼中のCaS 単体もしくはCaS を含む析
出物のうち、径が5μm以上の析出物の分布密度が20個
/mm2 以下であり、鋼板表面に付着量が0.2g/m2
上の絶縁被膜を有し、該絶縁被膜中の樹脂の重量分率
(wt%)が下記式 (1)を満足することを特徴とする打ち
抜き性に優れた無方向性電磁鋼板。 記 x (wt%)≧120 ×[Ca (wt%) ]1/2 ----(1)
【0007】(2) 上記(1) において、絶縁被膜は、水系
樹脂と、2価または3価の金属を少なくとも1種類含む
クロム酸系水溶液およびリン酸系水溶液のいずれか一方
または両方と、有機還元剤と、を含有する処理液を、鋼
板表面に塗布後焼き付けて、付着量:0.2 〜4.0 g/m
2 で形成したものである打ち抜き性に優れた無方向性電
磁鋼板。
【0008】(3) 上記(1) において、絶縁被膜は、樹脂
微粒子エマルジョンと、2価または3価の金属を少なく
とも1種類含むクロム酸系水溶液およびリン酸系水溶液
のいずれか一方または両方と、有機還元剤と、を含有す
る処理液を、鋼板表面に塗布後焼き付けて、付着量:0.
2 〜4.0 g/m2 で形成したものである打ち抜き性に優
れた無方向性電磁鋼板。(4) C:0.01wt%以下、Si:4.0 wt%以下、Mn:0.1 〜
2.5 wt%、Al:2.5 wt%以下およびCa:0.0001〜0.01wt
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分
組成を有し、かつ鋼中に存在する円相当の直径で5μm
以上の CaS単体析出物もしくは CaSを含む複合析出物の
分布密度が20個/mm 2 以下であり、かつ表面に電気絶縁
被膜を有する電磁鋼板であり、その絶縁被膜が、樹脂微
粒子エマルジョンと、少なくとも1種類の2価または3
価金属を含むクロム酸系水溶液またはリン酸系水溶液と
有機還元剤とを含有する処理液を電磁鋼板表面に塗布後
焼き付けし、絶縁被膜の生地鉄板の付着量が0.2 〜4.0
g/m 2 であり、絶縁被膜中の樹脂の重量分率x(wt
%)が上記 (1)式を満足することを特徴とする打ち抜き
性にすぐれた無方向性電磁鋼板。
【0009】ここで、上記CaS 単体もしくはCaS を含む
析出物の径とは、円相当の直径を意味し、具体的には、
顕微鏡(光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕
微鏡)等の2次元的観察により求められる、析出物の面
積と同等の面積を有する円の直径を示す。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、この発明を完成するに至っ
た経緯を詳しく説明する。まず、Caを添加した電磁鋼板
の打ち抜き性が劣る理由は必ずしも明らかではないが、
以下のように推測している。すなわち、Caを添加してい
ない鋼においては、硫化物は主にMnS として析出し、ス
ラブ再加熱後の熱間圧延で微細析出して磁気特性に悪影
響を及ぼすのは周知である。一方で、このような微細Mn
S が打ち抜き時の潤滑の役割をすることが知られてい
る。これに対してCaを添加した鋼において、硫化物は主
に粗大で熱的にも安定なCaS となり、このCaS は熱間圧
延時のスラブ再加熱時にも固溶せず粗大なままで存在す
るため、最終製品の磁気特性には好ましい結果をもたら
すが、一方微細なMnS に比べると打ち抜き時の潤滑能力
が低下すると考えられる。
【0011】そこで、発明者らは、このような粗大なCa
S が存在する電磁鋼板においても、Caを添加していない
電磁鋼板と同等の打ち抜き性を得るために鋭意研究を重
ねた結果、ある一定サイズ以上のCaS の分布密度を制御
し、かつ絶縁被膜中の樹脂の重量分率をCa添加量に応じ
て調整することにより、Caを添加していない鋼と同等の
打ち抜き性が得られることを新たに知見した。以下、こ
の知見を得るに到った、実験結果に基づいて説明する。
【0012】(実験1) 表1に示す成分組成を有する鋼スラブに熱処理(1200,
1250, 1300, 1350, 1400℃×10時間および熱処理なし)
を施すことにより、CaS 系の析出物のサイズを種々に変
化させた。その後、各鋼塊について、熱間圧延を施して
2.5mm 厚の熱延板とし、しかる後に冷間圧延を施し0.5m
m の板厚とし、次いで 800℃で30秒間の焼鈍を施した。
かくして得られた各電磁鋼板に、成分がCrO3:100 重量
部に対して、Al:20重量部(Al金属換算)、 H3PO4:30
重量部、エチレングリコール:35重量部、アクリル/ス
チレン/エポキシ樹脂:40重量部を含む、処理液を塗布
し、目付量1.0 g/m2 および到達板温250 ℃で焼き付
けて絶縁被膜を成形した。このときの絶縁被膜中の樹脂
量は17.8wt%であった。さらに、この絶縁被膜付きの電
磁鋼板にオイルレス打ち抜き試験を実施し、かえり高さ
が50μmとなる打ち抜き回数をそれぞれの鋼板について
調査した。この試験結果を電磁鋼板中に含まれるCaS 単
体もしくはCaS を含む析出物(以下、CaS 系析出物と示
す)のうち、径が5μm以上の析出物の分布密度にて整
理した結果を、図1に示す。
【0013】図1から、上記分布密度が20個/mm2 以下
とすることによって、かえり高さが50μmとなる打ち抜
き回数が急激に増加することがわかる。
【0014】
【表1】
【0015】(実験2)表1に示した成分組成の鋼スラ
ブに熱間圧延を施して2.5mm の熱延板としたのち、冷間
圧延を施して0.5mm の板厚とし、その後 800℃で30秒間
の焼鈍を施した。かくして得られた電磁鋼板(径が5μ
m以上のCaS 系析出物の分布密度: 0.8〜15.8個/m
m2 )に、成分がCrO3:100 重量部に対して、Mg:20重
量部(Mg金属換算)、 H3BO3:30重量部、エチレングリ
コール:35重量部、アクリル/スチレン/エポキシ樹
脂:0〜100 重量部を含む、処理液を塗布し、目付量1
g/m2および到達板温300 ℃で焼き付けて樹脂量を種
々に変化させた絶縁被膜を形成した。この絶縁被膜付き
の電磁鋼板にオイルレス打ち抜き試験を実施し、かえり
高さが50μmとなる打ち抜き回数を、それぞれの鋼板に
ついて調査した。この調査結果を、電磁鋼板中のCa量お
よび絶縁被膜中の樹脂重量分率について整理した結果
を、図2に示す。なお、図2中には、かえり高さが50μ
mとなる打ち抜き回数が100 万回以上のものを○、同10
0 万回未満のものを×で示した。
【0016】図2より明らかなように、上記した式 (1)
を満たす樹脂量が絶縁被膜中に含有されている場合は、
良好な打ち抜き性が得られる。
【0017】(実験3) 表1に示した鋼種Fの鋼スラブに熱間圧延を施して2.5m
m 厚の熱延板としたのち、冷間圧延を施して0.5mm の板
厚とし、その後800 ℃で30秒間の焼鈍を施した。かくし
て得られた電磁鋼板(径が5μm以上のCaS 系析出物の
分布密度:15.6個/mm2 )に、成分が CrO3 :100 重量
部に対して、Al:20重量部(Al金属換算)、 H3PO430
重量部、エチレングリコール:35重量部、酢酸ビニル/
アクリル樹脂:40重量部を含む処理液を塗布し、到達板
温 250℃で焼き付けて目付量を種々に変化させた絶縁被
膜を形成した。このときの絶縁被膜中の樹脂量は18.2wt
%であった。この絶縁被膜付きの電磁鋼板にオイルレス
打ち抜き試験を実施し、かえり高さが50μmとなる打ち
抜き回数をそれぞれの鋼板について調査した。この打ち
抜き回数と絶縁被膜の目付量との関係を、図3に示す。
【0018】図3からわかるように、絶縁被膜の目付量
が0.2 g/m2 未満ではかえり高さが50μmとなる打ち
抜き回数が 100万回未満となるのに対して、絶縁被膜の
目付量が 0.2g/m2 以上ではかえり高さが50μmとな
る打ち抜き回数が全て100 万回以上となる。このことか
ら、打ち抜き性向上のためには、絶縁被膜の目付量は0.
2 g/m2 以上が必要であることが明らかになった。
【0019】次に、この発明の電磁鋼板における、各構
成要件の限定理由について述べる。まず、鋼中の成分に
ついて述べる。Cは、γ域を拡大しα−γ変態点を低下
させる働きがあり、焼鈍中にγ相がα粒界にフィルム状
に生成しα粒の成長を抑制するため、Cは基本的に少な
くする必要がある。そして、SiやAlのα相安定化元素を
多く含有し、全温度域でγ相が生成しない場合でも、鉄
損特性の時効劣化を引き起こすため、Cを0.01wt%以下
とする必要がある。下限は特に定めるものでないが、コ
スト等の観点から0.0005wt%以上とすることが望まし
い。
【0020】Siは、鋼の比抵抗を高め鉄を低下させる
元素であり、目標とする磁気特性によって含有量を変化
させる。しかし、同時に硬度も上昇させて冷間圧延性が
悪くなるため、上限を4.0 wt%とする必要がある。な
お、下限は特に定めるものではないが、比抵抗を高める
観点から0.05wt%以上含有させることが望ましい。
【0021】Alは、Siと同様に鋼の比抵抗を高め鉄損を
低下させる元素であり、目標とする磁気特性によって含
有量を変化させる。しかし、その含有量が多い場合には
連続鋳造でのモールドとの潤滑性が低下し鋳造が困難と
なるため、上限を2.5 wt%とする。
【0022】Mnも、SiやAlほどではないが鋼の比抵抗を
高め、鉄損を低下させる効果がある。また、熱間圧延性
を改善する効果があるため、下限は 0.1wt%とする。し
かし、多く含有すると冷間圧延性を劣化させるため、上
限は2.5 %とする。
【0023】Caは、この発明において必須の添加元素で
あり、添加することにより磁気特性の向上が得られる。
この磁気特性向上効果を得るためには、1ppm 以上は必
要である。一方、鋼中のCa量が過度に増加すると、却っ
て磁気特性の劣化をもたらすため、100ppmを上限とす
る。
【0024】以上、必須成分について説明したが、その
他にも各種の公知元素を添加することが可能であり、例
えば磁気特性を改善する成分として、B, Ni, Cu, Sn,
Sb,BiおよびGe等を添加することができる。
【0025】また、鋼中に不純物として含有されるPお
よびSについて、次に述べる。Pは、SiやAlほどではな
いが鋼の比抵抗を高め、鉄損を低下させる効果がある。
また、粒界偏析により冷延再結晶後の集合組織を改善し
て磁束密度を向上させる効果がある。しかし、過度の粒
界偏析は粒成長性を阻害し鉄損を劣化させるため、 0.1
wt%以下とすることが望ましい。
【0026】Sは、析出物、介在物を形成し粒成長性を
阻害するため、極力低減すべき元素である。Caの添加に
よりある程度無害化できるものの、鋼中の残存量が多い
場合には介在物の粒子数が増え、またSを固定するため
のCaが相対的に不足すれば介在物中のMnS の割合が増
え、やはり粒成長性に影響をおよぼすため、Sは0.005w
t%以下とすることが望ましい。
【0027】また、この発明では、鋼中の径が5μm以
上のCaS 系析出物の分布密度を20個/mm 2 以下にするこ
とが必須であるが、この手段としては磁気特性の向上効
果が得られる範囲でCa添加量を低めに抑えること、凝固
時の冷却速度を高めること、熱延時のスラブ加熱温度を
低下させること、同じくスラブ加熱時間を短くすること
等が有利に適合するが、その手段は特に定めるものでは
ない。
【0028】次に、絶縁被膜について述べる。Caを添加
した電磁鋼板において打ち抜き性を向上させるために
は、絶縁被膜に樹脂を含んでいることが必須である。す
なわち、有機単独被膜の場合、被膜形成前の樹脂の形態
は水性、溶剤性、粉体等のようなものでも適用可能であ
る。絶縁被膜中の樹脂量の下限は、鋼中のCa添加量に応
じて上記した式(1) で計算される値である。
【0029】有機被膜は、歪取焼鈍する用途には適用で
きないため、その場合には無機−有機混合被膜とするこ
とが推奨される。この場合でも被膜中の樹脂量は上記し
た式(1) を満たすことが必要である。なお、絶縁被膜成
形のための処理液には、2価または3価の金属を含むク
ロム酸系の水溶液またはリン酸系の水溶液を主剤とし
て、好適に適用できる。しかし、ユーザーで歪取焼鈍な
どの処理を施さない場合は、必ずしもこれらの水溶液を
主剤として使用する必要はない。なお、樹脂は水溶性、
ディスパージョン、エマルジョン性および粉体のいずれ
でも使用(併用も可能)できるが、樹脂微粒子エマルジ
ョンを使用するのが、打ち抜き性向上の点から好まし
い。
【0030】また、絶縁被膜の耐熱性を向上させる目的
で、りん酸系またはほう酸系の水溶液を処理液に添加す
ることが可能である。クロム酸系水溶液を使用する場合
には、重クロム酸の Cr 6+ Cr 3+ に還元する造膜反応
を促進するために、還元剤を添加することができる。こ
の還元剤には、有機還元剤が好適である。還元剤の種類
は特に限定するものではないが、エチレングリコール、
ショ糖、グリセリン等の多価有機アルコール類、蟻酸、
酢酸等のカルン酸等が、適合する。
【0031】絶縁被膜の焼き付け後の目付量は、有機単
独被膜の場合も有機一無機混合被膜の場合も、打ち抜き
性を向上させるために0.2 g/m2 以上とすることが必
須である。なお、打ち抜き性の観点からは目付量が大き
い方が好ましいが、大きくなりすぎると占積率の低下を
もたらすため、占積率を重視する用途の場合は、上限を
4.0 g/m2 とする。
【0032】その他、絶縁被膜の諸特性を向上させる目
的で、薬剤の配合比や添加剤等について、公知の技術が
適用可能である。
【0033】この発明により、打ち抜き性が向上する理
由は必ずしも明らかでないが、おおよそ以下のような理
由によると考えられる。すなわち、Ca添加鋼において
は、粗大な CaS系析出物が析出することにより、打ち抜
き時の潤滑効果が低下して打ち抜き性が劣化することは
既に述べたが、径が5μm以上のCaS 系析出物の分布密
度が20個/mm2 以下となると相対的に比較的微細なCaS
系析出物が増加して打ち抜き時の潤滑効果が高まると考
えられる。この効果単独では打ち抜き性向上効果は十分
ではないが、絶縁被膜中の樹脂量をCa量に応じたある一
定値以上とし、かつ絶縁被膜の目付量を高めることによ
り、打ち抜き時の潤滑効果が十分得られるようになった
と考えられる。
【0034】
【実施例】表2に示す成分組成の鋼スラブを熱間圧延す
るに当たり、熱延時のスラブ加熱温度および加熱時間を
変化させることにより、 CaS系析出物サイズ分布を変化
させた。その後、冷間圧延にて板厚0.5mm に仕上げ、A
〜Eは 850℃, 30秒間、Fについては 950℃, 30秒間の
焼鈍を施したのち、各鋼板に、表3に示す処理液をゴム
ロール方式の塗布装置で塗布し、板温 300℃で焼き付け
処理を行った。この際、ゴムロールのギャップ、周速を
変化させることにより、絶縁被膜の目付量を種々に変化
させた。かくして得られたコイルをスリットし、打ち抜
き試験に供し、かえり高さが50μmとなる打ち抜き回数
の調査を行った。また、各試料について、その磁気特性
を調査した。それらの調査結果を表4〜6に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【発明の効果】この発明によれば、Caを添加して磁気特
性の向上を図った無方向性電磁鋼板において、その打ち
抜き性の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 打ち抜き性とCaS 析出物の分布密度との関
係を示す図である。
【図2】絶縁被膜中の樹脂量および鋼中のCa量と打ち抜
き性との関係を示す図である。
【図3】打ち抜き性と絶縁被膜の目付量との関係を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 1/16 H01F 1/16 A (72)発明者 河野 正樹 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (72)発明者 本田 厚人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (56)参考文献 特開 平9−263908(JP,A) 特開 平9−256118(JP,A) 特開 昭59−74256(JP,A) 特開 昭61−266059(JP,A) 特開 昭60−152628(JP,A) 特開 平9−268372(JP,A) 特開 平9−195059(JP,A) 特開 平7−41913(JP,A) 特開 平6−101058(JP,A) 特開 平4−346673(JP,A) 特開 平4−308093(JP,A) 特開 平2−138479(JP,A) 特開 昭62−124228(JP,A) 特開 昭60−190572(JP,A) 特公 昭58−17249(JP,B1) 特公 平4−43981(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 303 C21D 8/12 C21D 9/46 501 C22C 38/06 C23C 22/00 H01F 1/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01wt%以下、Si:4.0 wt%以下、
    Mn:0.1 〜2.5 wt%、Al:2.5 wt%以下およびCa:0.00
    01〜0.01wt%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
    らなる成分組成を有し、かつ鋼中のCaS 単体もしくはCa
    S を含む析出物のうち、径が5μm以上の析出物の分布
    密度が20個/mm2 以下であり、鋼板表面に付着量が 0.2
    g/m2 以上の絶縁被膜を有し、該絶縁被膜中の樹脂の
    重量分率x(wt%)が下記式 (1)を満足することを特徴
    とする打ち抜き性に優れた無方向性電磁鋼板。 記 x (wt%)≧120 ×[Ca (wt%) ]1/2 ----(1)
  2. 【請求項2】 請求項1において、絶縁被膜は、水系樹
    脂と、2価または3価の金属を少なくとも1種類含むク
    ロム酸系水溶液およびリン酸系水溶液のいずれか一方ま
    たは両方と、有機還元剤と、を含有する処理液を、鋼板
    表面に塗布後焼き付けて、付着量:0.2 〜4.0 g/m2
    で形成したものである打ち抜き性に優れた無方向性電磁
    鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1において、絶縁被膜は、樹脂微
    粒子エマルジョンと、2価または3価の金属を少なくと
    も1種類含むクロム酸系水溶液およびリン酸系水溶液の
    いずれか一方または両方と、有機還元剤と、を含有する
    処理液を、鋼板表面に塗布後焼き付けて、付着量:0.2
    〜4.0 g/m2 で形成したものである打ち抜き性に優れ
    た無方向性電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 C:0.01wt%以下、Si:4.0 wt%以下、
    Mn:0.1 〜2.5 wt%、Al:2.5 wt%以下およびCa:0.00
    01〜0.01wt%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
    らなる成分組成を有し、かつ鋼中に存在する円相当の直
    径で5μm以上のCaS単体析出物もしくは CaSを含む複
    合析出物の分布密度が20個/mm2 以下であり、かつ表面
    に電気絶縁被膜を有する電磁鋼板であり、その絶縁被膜
    が、樹脂微粒子エマルジョンと、少なくとも1種類の2
    価または3価金属を含むクロム酸系水溶液またはリン酸
    系水溶液と有機還元剤とを含有する処理液を電磁鋼板表
    面に塗布後焼き付けし、絶縁被膜の生地鉄板の付着量が
    0.2 〜4.0 g/m2 であり、絶縁被膜中の樹脂の重量分
    率x(wt%)が (1)式を満足することを特徴とする打ち
    抜き性にすぐれた無方向性電磁鋼板。 x (wt%)≧120 ×[Ca (wt%) ]1/2 ----(1)
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