JP3402614B2 - イオンの移動度及びハイブリッド質量分析装置 - Google Patents

イオンの移動度及びハイブリッド質量分析装置

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JP3402614B2 JP50266599A JP50266599A JP3402614B2 JP 3402614 B2 JP3402614 B2 JP 3402614B2 JP 50266599 A JP50266599 A JP 50266599A JP 50266599 A JP50266599 A JP 50266599A JP 3402614 B2 JP3402614 B2 JP 3402614B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、全体として、気体相イオンとしてのその構
造及び質量対電荷比に基づいて分子の特徴を決定するた
めの計測技術、より具体的には、生物分子を含む有機系
分子、及び無機系分子に関する、組成、順序及び/又は
構造的情報を迅速に且つ鋭敏に分析することを可能にす
る計測技術に関する。本発明は、全体として、天然製品
の抽出物、石油製品に見られる有機系分子の混合体のよ
うな混合体の分析、空気の質の管理に関係した粒子の寸
法の測定及びその混合体の分析に適用可能である。
発明の背景 DNA、RNA、タンパク質、水和化炭素及びグリコ共役結
合体のような生物学的分子は、典型的に、残留物(resi
due)と称されるサブユニットを繰り返すことから成っ
ている。かかる残留物の順序は、最終的に、生物学的分
子の構造及び機能を決定し、その生物学的分子が他の分
子と相互作用する方法を決定する。
略全ての従来の順序化方法の中心部分は、クロマトグ
ラフィ又はポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)に
よって複雑な組みの順序に関係した分子の分画部分を分
析することである。PAGE系の自動化した順序化計測器が
現在、存在しており、典型的に、多数の蛍光染料基をそ
の基に特別に結合した生物分子製品中に組み込み、次に
その製品をポリアクリルアミドゲルを通じて処理するこ
とを必要とする。別個の長さの製品分子は、放射線源に
より励起させた後、その放出された蛍光によりゲルの底
部付近にて検出される。
かかる自動的な計測器は、典型的に、手動方法よりも
10乃至20倍速い速度にて500以上の残留物を有する生物
学的分子に対する順序の情報を発生させることができ
る。しかしながら、手動及び自動的なPAGE技術の双方に
は、幾つかの欠点がある。例えば、その双方の方法は、
各順序化過程毎に1つのゲルを作製しなければならない
ため、労働集約的である。また、自動化したPAGE装置
は、手動方法よりも速い分析時間を提供するが、かかる
装置の精度は、不均一なゲルマトリックス及びその他の
因子により発生された人為的な要素により制限される。
かかる自動化した装置は、全体として、典型的に、「ス
マイリング」圧縮、かすかなゴースト帯等として現れ
る、かかる人為的な要素を正確に処理する装置を備えて
いない。このため、かかる結果を手操作で解釈するため
には、著しく長く分析時間を必要とすることがしばしば
である。
研究者は、過去数年に亙って、生物学的分子の構造及
び順序を分析する、より迅速で且つ鋭敏な技術の必要性
を認識している。浮遊時間(タイム−オブ−フライト)
質量分析法(TOFMS)及びフーリエ変換イオンサイクロ
トロン共鳴質量分光分析法のような質量分析法(MS)技
術は、順序及び構造を決定する基本とすることのできる
イオン質量の情報を迅速に且つ正確に提供するための周
知の技術である。当該技術分野にて公知であるように、
TOFMS装置は、電界を介して、イオン検出器に終わる電
界なしの飛管に向けてイオンを加速する。この公知のTO
FMS原理に従って、イオンの飛時間(もしくは浮遊時
間)は、イオンの質量の関係であり、このため、質量の
小さいイオンは、より大きい質量を有するイオンよりも
より迅速に検出器に達する。このように、イオンの質量
は、この計測器を通るイオンの浮遊時間から計算するこ
とができる。図1には、公知の質量体電荷比(m/z)が1
2,360daのシトクロムc試料、公知の質量体電荷比(m/
z)が14,306daのリソチーム試料に対するこの原理が図
示されている。図1において、浮遊時間が約40.52μ秒
の信号ピーク値10は、より軽量なシトクロムc試料に対
応し、浮遊時間が約41.01μ秒の信号ピーク値12は、よ
り重いリソチーム試料に対応する。
MS技術の試料の作製及び分析時間は、上述したPAGE技
術と比較して著しく短縮されるため、幾つかのMS順序化
技術が最近、開発されている。かかるMS順序化技術は、
全体として、残留物がその端部から連続的に除去される
ため、生物学的分子の質量の変化を測定する作用が可能
である。各々が巧緻な前MS技術を必要とするかかる2つ
の技術の例は、レービス(Levis)及びその他の者への
米国特許第5,210,412号、及びコスタ(Koster)への米
国特許第5,622,824号に記載されている。
大きい生物学的分子に対する順序及び構造の情報を決
定する能力を提供するため、MS技術は、これに応じて大
きいイオンを発生させ得ることが必要であることが認識
されている。現在、分光分析のため大きいイオンを発生
させる少なくとも2つの技術が公知である。すなわち、
電気泳動イオン化法(ESI)及びマトリックス支援のレ
ーザ脱着イオン化法(MALDI)である。これら双方の大
きいイオン発生技術は、容易に利用可能であるが、公知
のMS技術は、認識可能な情報の量及び質の双方の点にて
限界がある。具体的には、本明細書にて少なくとも50の
残留物を含むと定義された大きい生物分子の場合、親及
び順序に関係する分画イオンの質量スペクトルは、質量
(TOF)ピーク値が重なり合う程度まで密な状態とな
る。
質量スペクトルが密である問題点に対する1つの解決
法は、MS計測器の質量分解能を向上させることである。
かかる分解能を増大させる最近の試みは成功しており、
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)計測
器を使用して50基の対のDNAの完全な順序情報が得られ
ている。しかしながら、かかる計測器は、極めて高価で
あり、容易に利用できず、また、極めて高圧の真空を必
要とするため、これら計測器は、一般に、多数の試料を
日常的に順序化するのに適していない。
質量スペクトルが密である問題点に対する別の解決法
は、イオン群(もしくはイオン塊)をMS計測器のイオン
加速領域に供給する前にそのイオン塊を予め分離させる
ことである。次に、質量分析法は、発生されたイオン塊
に対して同時ではなくて、分離したイオンの試料の「パ
ケット」に順序的に行うことができる。このようにし
て、MS計測器により計測された質量スペクトルの情報
は、別の大きさで拡げ、これにより、イオンの塊の分析
に関連する質量情報の局部的な密集化を軽減することが
できる。
MS分析の前の時点でイオンの塊を予め分離するために
使用することのできる1つの公知のイオンの分離技術
は、イオンの移動度分光分析法(IMS)である。当該技
術分野にて公知であるように、IMS計測器は、典型的
に、ドリフト管内に保持された加圧した静止バッファガ
スを含んでおり、該ドリフト管は、管の一端から他端ま
で一定の電界を画定する。一定の電界領域に入るガス状
イオンは、これにより加速され、ドリフト管を通って流
れるとき、バッファガスの分子と繰り返し衝突する。こ
の反復的な加速及び衝突の結果として、ガス状のイオン
の各々は、ドリフト管を通るとき、一定の速度を達成す
る。電界の大きさに対するイオンの速度の比がイオンの
移動度を画定し、この場合、任意の所定のイオンが高圧
のバッファガスを通過する移動度は、イオンがバッファ
ガスと衝突するときの断面積及びイオンの電荷の関数で
ある。全体として、コンパクトなコンフォーマ、すなわ
ち、衝突断面積がより小さいものは、移動度が大きく、
従って、同一質量の拡散コンフォーマ、すなわち、より
大きい衝突断面積を有するものよりもバッファガスを通
るときの速度が速い。このため、より大きい衝突断面積
を有するイオンは、より小さい衝突断面積を有するもの
よりもIMS計測器のドリフト管を通るときの速度が遅
く、それは、より小さい衝突断面積を有するイオンがよ
り大きい衝突断面積を有するものよりも質量が大きい場
合であってもそうである。この概念は、各々が異なる質
量及び形状(衝突断面積)を有する3つのイオンに対す
る従来のIMS計測器を通るときのドリフト時間を示す図
2に図示されている。図2から明らかであるように、最
もコンパクトなイオン14(最大の質量を有すると考えら
れる)は、約5.0ミリ秒(ms)という最短のドリフト時
間のピーク値16を有し、最拡散イオン18は、約7.4msの
最長ドリフト時間のピーク値20を有し、イオン14、18の
間の衝突断面積を有するイオン22(最小の質量を有する
とも考えられる)は、約6.1msのドリフト時間のピーク
値24を有する。
次に、図3を参照すると、公知の飛時間質量分析器か
ら得られたイオンの浮遊時間スペクトル26がイオンのド
リフト時間を介してプロットされている。この図におい
て、異なる質量のイオンが質量分析器内で異なる飛時間
に亙って分散されている。しかしながら、質量分析器の
分解能は制限されるため、イオンはこのスペクトル内で
完全に分離されない、すなわち、異なるイオンに対応す
るドットが重なり合う。好適な実施の形態の説明の部分
にてより完全に説明する図6と比較したとき、異なるイ
オンはイオンを2つの特性、すなわちイオンの移動度及
びイオンの質量の点にて分離する計測器により一層良く
分析することが可能であることが明らかである。
グーブモント(Guevremont)及びその他の者は、最
近、四重極MSをTOFMSに変換するため、既存のIMS/MS計
測器を改造している(アール・グーブモント、ケー・ダ
ブリユー・エム・スー、エル・ディン、第44回ASMS会議
の議事録(1996)要約書(R.Guevremont,K.W.M.Sui,and
L.Ding,PRCEEDINGS OF THE 44TH ASMS CONFERENCE,(1
996)Abstract))。グーブモント等の計測器にてイオ
ンは電気泳動法を介して発生させ、5msポケットがIMS計
測器内に接続される。IMS計測器により発生されたイオ
ンパケットは、小さい開口を通じてTOFMSをイオン加速
スペクトル内に導入される。
グーブモント及びその他の者は、IMS計測器をTOFMS計
測器に接続することに多少実験的に成功したが、それに
伴なう計測器及び技術には、幾つかの欠点である。例え
ば、グーブモント及びその他の者の要約者は、イオンを
IMS計測器内に導入するため、5msゲートのパルスを使用
すると説明しているため、形成されるIMSスペクトル
は、少なくとも5msのピーク幅を有する低分解度である
ことが分かる。第二に、グーブモント及びその他の者の
計測器のドリフト管及びイオン飛管は、共直線状である
ため、IMSから去るイオンパケットからの全ての空間的
及び時間的拡がりは、TOFMSのイオン加速領域内でイオ
ンを空間的に及び時間的に拡げることに直接、つなが
る。こうした2つの特徴の結果、TOFMSの質量分解能は
不良となる。IMSの低分解能とTOFMSの低分解能とが組み
合わさる結果、この計測器は複雑な混合体を分析するこ
とができないこととなる。このため、複雑な混合体を分
析するのに好適なハイブリットのIMS/TOFMS計測器が必
要とされ、かかる計測器は、理想的にはイオンの移動度
のスペクトルを最適にし且つ質量スペクトルを最適にす
るものであることを要する。更に、かかる装置は、2つ
の計測器間の相互接続を最適にし、これにより、TOFMS
の能力を最大にする必要がある。
発明の概要 背景部分にて説明した従来技術の装置に伴なう上記の
欠点は、本発明によって解決される。本発明の1つの形
態によれば、イオンの質量スペクトルの情報を発生させ
る方法は、ガス状のイオン塊を発生させるステップと、
ガス状のイオン塊を第一の軸線に沿って時間的に分離し
て、各々が、関係した独特なイオン移動度を有する多数
のイオンパケットを形成するステップと、第一の軸線に
対して垂直な第二の軸線に沿ってイオンパケットの少な
くとも幾つかを時間の点にて連続的に分離して、各々が
関係した独特のイオン質量を有する多数のイオンサブパ
ケットを形成するステップと、質量スペクトルの情報を
決定するためイオンサブパケットの少なくとも幾つかを
処理するステップとを備えている。上記の方法を実施す
る1つの好適な装置は、試料源からガス状のイオン塊を
発生させる手段と、ガス状のイオン塊を発生させる手段
とを流体的に連通した一端にてイオンの入口開口、及び
その他端にイオンの出口開口を画定するイオン移動度分
析器(IMS)とを備え、イオンの入口及び出口開口がそ
の間に第一の軸線を画定し、更に、イオンの出口開口と
流体的に連通したその一端におけるイオンの加速領域、
及びその他端におけるイオン検出器を画定する浮遊時間
質量分析器(TOFMS)を備えており、該イオン加速領域
及びイオン検出器が、その間に、第一の軸線に対して垂
直な第二の軸線を画定する。
本発明の別の形態によれば、イオンの質量スペクトル
の情報を発生させる方法は、ガス状のイオン塊を発生さ
せるステップと、第一の軸線に沿ってガス状のイオン塊
を時間の点にて分離し、各々が関連した独特のイオン移
動度を有する多数のイオンパケットを形成するステップ
と、イオンパケットを第一のイオントラップ内に集め且
つイオンパケットをイオントラップから放出することを
連続的に行なうステップと、第二の軸線に沿って第一の
イオントラップから放出されたイオンパケットの少なく
とも幾つかを時間の点にて連続的に分離して、各々が関
連した独特のイオン質量を有する多数のイオンサブパケ
ットを形成するステップと、イオンサブパケットの少な
くとも幾つかを処理して、質量スペクトルの情報を決定
するステップとを備えている。上記の方法を実施する1
つの好適な装置は、試料源からガス状のイオン塊を発生
させる手段と、ガス状のイオン塊を発生させる手段と流
体的に連通した一端におけるイオンの入口開口、及びそ
の他端におけるイオンの出口開口を画定するイオン移動
度分析器(IMS)とを備え、イオンの入口開口及びイオ
ンの出口開口が、その間に第一の軸線を画定し、更に、
IMSのイオンの入口開口と流体的に連通したイオンの入
口開口、及びイオンの出口開口を画定するイオントラッ
プと、イオントラップのイオンの入口開口と流体的に連
通したその一端におけるイオンの加速領域、及びその他
端におけるイオン検出器を画定する質量分析器(MS)と
を備えており、イオンの加速領域及びイオン検出器がそ
の間に第二の軸線を画定するものである。
本発明の更に別の実施の形態によれば、イオン質量ス
ペクトルの情報を発生させる方法は、ガス状イオンを試
料源から発生させるステップと、発生されたイオンの少
なくとも幾つかをイオントラップ内に集めるステップ
と、イオンを発生させ且つ集めるステップを多数回繰り
返し、これにより、ガス状のイオン塊をイオントラップ
内に形成するステップと、ガス状のイオン塊をイオント
ラップから解放するステップと、ガス状のイオン塊を第
一の軸線に沿って時間的に分離し、各々が関係した独特
なイオン移動度を有する多数のイオンパケットを形成す
るステップと、イオンパケットの少なくとも幾つかの第
二の軸線に沿って連続的に分離し、各々が関係した独特
なイオンの質量を有する多数のイオンサブパックを形成
するステップと、イオンサブパックの少なくとも幾つか
を処理して、質量スペクトルの情報を決定するステップ
とを備えている。上記の方法を実施するための1つの好
適な装置は、試料源からガス状のイオン塊を発生させる
手段と、ガス状のイオン塊を発生させる手段と流体的に
連通したイオンの入口開口、及びイオンの出口開口を画
定する第一のイオントラップと、第一のイオントラップ
のイオンの出口開口と流体的に連通したその一端におけ
るイオンの入口開口及びその他端におけるイオンの出口
開口を画定するイオン移動度分析器(IMS)とを備え、
イオンの入口開口及び出口開口が、その間に第一の軸線
を画定し、更に、IMSのイオンの出口開口と流体的に連
通したその一端におけるイオンの加速領域及びその他端
におけるイオン検出器を画定する質量分析器(MS)を備
え、イオンの加速領域及びイオンの検出器がその間に第
二に軸線に画定するものである。
本発明の1つの目的は、大きい生物学的分子を迅速に
分析し且つ順序化すると共に、有機及び無機分子の混合
体を分析するための分析装置を提供することである。
本発明の別の目的は、生物学的分子の組成、順序及び
構造を分析するためのイオン移動度及び浮遊時間のハイ
ブリッド分光分析装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、イオンの移動度及びイオン
の質量スペクトルの双方の感度及び分解能の点にてかか
る分析装置を改良することである。
本発明の上記及びその他の目的は、好適な実施の形態
の以下の説明からより一層明らかになるであろう。
図面の簡単な説明 図1は、シトクロム−c及びリソゾームのMALDI−TOF
質量スペクトルの図である。
図2は、異なる衝突断面積を有する3つのイオンに対
するIMSドリフト時間の分布状態の図である。
図3は、浮遊時間質量分析器の限定的な分解能を示
す、ドリフト時間に対してプロットした質量スペクトル
の図である。
図4は、本発明によるイオン移動度及び浮遊時間のハ
イブリッド質量分析装置の1つの実施の形態の断面図及
び概略図的な線図である。
図5は、本発明によるイオン移動度及び浮遊時間のハ
イブリッド質量分析装置の1つの代替的な実施の形態の
断面図及び概略図的な線図である。
図6は、図4又は図5の何れかのハイブリッド質量分
析装置を利用するオリゴチミジンに対するイオン浮遊時
間対ドリフト時間のプロット図である。
図7Aは、図4、図5に図示したハイブリッド質量分析
装置の何れかと共に使用されるイオン源の1つの好適な
実施の形態の概略図である。
図7Bは、図4、図5に図示したハイブリッド質量分析
装置の何れかと共に使用されるイオン源の1つの代替的
な実施の形態の概略図である。
図7Cは、図4、図5に図示したハイブリッド質量分析
装置の何れかと共に使用されるイオン源の別の代替的な
実施の形態の概略図である。
図8Aは、イオン源とイオン移動度分析器との間にイオ
ントラップが配置されない、イオン移動度分析器に対す
るイオン強度対イオンのドリフト時間のプロット図であ
る。
図8Bは、イオン源とイオン移動度分析器との間にイオ
ントラップが配置された、イオン移動度分析器に対する
イオン強度対イオンのドリフト時間のプロット図であ
る。
好ましい実施例に関する記載 本件発明に関する原理の理解を増進するために、図面
に記載した実施例を参照する。ここで使用されている用
語は特定の実施例を記述するために使用されるものであ
る。それにもかかわらず、本件発明の範囲はこれらの記
述によって限定されるものではなく、図示された装置の
改良及び変形等更にはここに図示されたような本件発明
の原理の適用等は当業者にとって通常なし得るものであ
ると理解されたい。
ここにおいて、図4を参照すると、ここには本件発明
によるハイブリッドイオン移動度及び浮遊時間(以下、
タイム−オブ−フライト型と呼ぶ)質量分析計装置30に
ついてのある好ましい実施例が示されている。この装置
30は、その基本的な要素として、イオン移動度分析器34
へ接続しているイオンソースリジョン即ちイオン源領域
32を有している。ここで、イオン移動度分析器34自体は
マススペクトロメータ即ち質量分析器36へ接続してい
る。当該質量分析装置30の少なくともいくつかの部分を
制御しかつ該質量分析器36からのイオン情報を集積する
ためにコンピュータ38が設けられている。コンピュータ
38は好ましくは少なくとも公知の386プロセッサを備え
ている公知の構造を持つパーソナルコンピュータ(PC)
である。しかしながら本件発明では、このコンピュータ
38は、後で詳細に検討するように、質量分析装置30を制
御することが可能であり、かつ質量分析器36からの情報
を処理することが可能であるようないずれか公知のコン
ピュータ、コントローラ又はデータプロセッサとするこ
とも企図するものである。
好ましくは、質量分析器36は、リニア タイム−オブ
−フライト型のものであり、本件発明では、質量分析器
36が公知のリフレクトロン タイム−オブ−フライト型
質量分析装置又はフーリエ トランスフォーム イオン
サイクロトロン共鳴(FTICR−MS)質量分析装置である
ことを企図している。ある好ましい実施例においては、
このTOFMS36は初期イオン位置及び初期イオン速度分布
の有害な効能を最小化することにより質量分析を最大化
するように考慮されている。このようなTOFMSの構成及
びその作用の詳細は本件発明の譲受人へ譲渡された米国
特許第5504326号及び同第5510613号に記載されており、
その内容はここにおいて参照される。
イオン移動度分析器(IMS)34はドリフトチューブ40
を有している。このドリフトチューブ40は当該ドリフト
チューブ40のイオン出口端部44の付近に配置されている
ガス開口42を有している。ここで該ガス開口42はバッフ
ァガス源46へ接続されている。バッファバスの流量は信
号経路48を介してコンピュータ38により制御され、又は
手動作動のバルブ(図示なし)によって制御される。ド
リフトチューブ40のイオン出口端部44はそこへ取り付け
られた端部板43を有しており、この端部板43はそこを通
る出口開口即ちイオン孔45を画定している。
ドリフトチューブ40は内面に沿って分与されている複
数のガードリング50を含んでいる。これらのガードリン
グ50は図示しない等価レジスタ(equivalent−valued r
esistors)によって相互に連結されている。イオン源領
域32へ最も近接して位置付けられているガードリング
は、信号経路54を介して電圧源(VS1)52へ接続されて
おり、この電圧源52は好ましくは信号経路56を介してコ
ンピュータ38によって制御されている。しかしながら、
本件発明は図示していない手動アクチュエータを介する
電圧源52をも企図している。このドリフトチューブ40は
そこを通る長手方向軸線72を画定しており、以下におい
て、この軸線はドリフトチューブ軸線72という。電圧源
52は好ましくは正圧にセットされており、これにより矢
印55によって示されている方向にドリフトチューブ軸線
72に沿って指向されるコンスタントな電場を形成してい
る。当業者は、ガードリング及びイオン移動度分析器34
の電圧源配置に関する重要性は、その特定の構造ではな
く、矢印55の方向における出来るだけ正確なコンスタン
トな電場を確立することが出来ることにあることを認識
するであろう。このため、本件発明は、ある公知の構造
または配置が矢印55の方向においてドリフトチューブ40
内にそのような電場を確立するよう使用されることを企
図している。しかしながら、矢印55の方向におけるコン
スタントな電場はイオン出口端部44の方へ正に電荷され
たイオンを加速するようにもたらされ、かつそのような
電場は逆転されてイオン出口端部44の方へ負に電荷され
たイオンを加速するということが理解されよう。
ドリフトチューブ40は可変温度のハウジング58によっ
て選択的に取り囲まれており、このハウジング58は通路
62を介して可変温度源60へ接続されている。これらは全
て破線によって示されている。一つの実施例において
は、可変温度源60は流体保持タンクであり、通路62はハ
ウジング58へ至っている導管である。この場合、ハウジ
ング58は好ましくはシールされている。図示していない
リターン管もまた流体保持タンクへ接続されており、タ
ンク内からの流体はハウジング58を介して循環される。
流体保持タンク内の流体は、加熱されたガスまたは冷却
されたガスまたは例えば、液体窒素のような液体であ
る。別の実施例においては、種々の可変温度源60は公知
の電気的な起動可能な温度コントローラであり、通路62
は温度コントローラとハウジング58との間を接続してい
る一対の電気的コントローラである。作動時には、温度
コントローラは所望によりハウジング58を加熱し又は冷
却するように作動する。ハウジング58、可変温度源60及
び通路62の特定の実施例に関係なく、本件発明では、可
変温度源60は更に信号経路64を介してコンピュータ38に
よって制御されるであろう。
ドリフトチューブ40は更にハウジング70によって包囲
されており、該ハウジング70はイオン入口端部を覆って
いる管端部66を画定しており、該管端部66はそこを通っ
ている入口開口即ちイオン孔68と、端部板43に近接した
イオンの出口開口即ち孔84と、を画定している。好まし
くは、イオン光学系47が出口開口45と出口開口84との間
に位置付けられており、イオンの出口開口45をTOFMA36
のイオン加速領域へ合焦している。これらの開口45、6
8、84は好ましくはドリフトチューブ軸線72によって二
等分されている。後で詳述するイオン源74はイオン源領
域32内に位置付けられかつ信号経路76の第N番を介して
コンピュータ38の制御のもとで作動され、ここで第Nは
入口開口68を介してイオン移動度分析器34内にイオンを
指向するような正の整数である。イオン導入用のドリフ
トチューブ40は上述したように個々の移動度の関数とし
て調時的に分断し、かつ連続的に出口開口84を介してTO
FMS36の方へ指向される。
ハウジング70は、バッファーガスの圧力を制御するた
めのポンプ80を備えている。望ましくは、ポンプ80は、
ディフュージョンポンプであり、その作動は、信号経路
82を介してコンピュータ38により制御されるようにする
ことができる。あるいはまた、ポンプは、手動ポンプア
クチュエータ(図示せず)によって手動で制御されるよ
うにしてもよい。いずれにしろ、ポンプ80は、ドリフト
チューブ40内の静的バッファーガスが所望の圧力にある
ように操作される。公知のIMS技法によれば、ドリフト
チューブ40内のバッファーガスは、約1000トルから2000
ないし3000トルの間の範囲内の圧力にセットすることが
できる。
TOFMS36は、望ましくは、IMS34に取り付けられたハウ
ジング126によって囲まれる。TOFMS36は、第1の導電性
グリッドまたはプレート86を備えている。この第1の導
電性グリッドまたはプレート86は、信号経路90を介して
第2の電圧源VS2 88に接続されている。この電圧源VS2
88は、望ましくは、信号経路92を介してコンピュータ38
により制御される。第2の導電性グリッドまたはプレー
ト94が、信号経路98を介して第3の電圧源VS3 96に接
続される。第3の電圧源VS3は、望ましくは、信号経路1
00を介してコンピュータ38により制御されるものとす
る。第3の導電性グリッドまたはプレート102が、信号
経路106を介して第4の電圧源VS4に接続されている。第
4の電圧源VS4は、望ましくは、信号経路108を介してコ
ンピュータ38により制御される。グリッドまたはプレー
ト86,94および102は、当業界で知られているように、互
いの間に第1および第2のイオン加速領域を画成する。
この点については後に詳述する。当業者は、例えば第4
のグリッドまたはプレートを、グリッドまたはプレート
94および102間に位置づけるようにするなど、別の公知
のイオン加速領域構造を、TOFMS36とともに用いること
ができることを認識するであろう。
グリッドまたはプレート102は、フライトチューブ110
の一端に取り付けられたプレート表面を有している。フ
ライトチューブ110の反対側の端は、第4の導電性グリ
ッドまたはプレート112の表面に取り付けられている。
イオン検出器116がグリッドまたはプレート112に隣接し
て配置されている。
両者間にはエアギャップ114が画成されている。イオン
検出器116は、信号経路120を介して第5の電圧源VS5 1
18に接続されている。第5の電圧源VS5は、望ましく
は、信号経路122を介してコンピュータ38により制御さ
れるものとする。イオン検出器116はさらに、信号経路1
24を介してコンピュータ38に接続された信号出力部を有
している。それによって、検出器116は、イオン到達時
間情報をコンピュータ38に提供するように機能すること
ができる。グリッドまたはプレート86,94,102および112
は、望ましくは、互いに近接して配置されるものとす
る。その配置の仕方としては、最も広い表面積を有する
プレート表面のすべてが、互いに対して、また、イオン
検出器116の表面に対して平行になるようにし、且つ、
望ましくは、フライトチューブ110の中心を通るように
画成されている長手方向軸線128(以下、フライトチュ
ーブ軸線128という)に対して垂直になるようにする。
TOFMS36はさらに、ハウジング126によって画成された
TOFMS室の真空度を制御するためのポンプ130を備えてい
る。望ましくは、ポンプ130は、ディフュージョンポン
プとし、その作動は、信号経路132を介してコンピュー
タ38により制御されるものとする。あるいはまた、ポン
プは、手動ポンプアクチュエータ(図示せず)によって
手動で制御されるようにしてもよい。いずれにしろ、ポ
ンプ130は、ハウジング126内に所望の真空を作り出すよ
うに作用することができる。真空は、公知のTOFMS操作
技法に従って、約10-4ないし10-10トルの範囲内で設定
される。
図4に示した装置30において、TOFMS36は、望ましく
は、IMS34に対して、フライトチューブ軸線128がドリフ
トチューブ軸線72に対して垂直になるように配置され
る。さらに、TOFMS36は、望ましくは、IMS34に対して、
ドリフトチューブ軸線72およびフライトチューブ軸線12
8が、グリッドまたはプレート86および94間に画成され
た第1のイオン加速領域内で二つに分かれるように、位
置づけられる。別の配置構成のTOFMS36においては、グ
リッドまたはプレート94は省略され、したがって、TOFM
S36は、グリッドまたはプレート86および102間に画成さ
れたイオン加速領域内でドリフトチューブ軸線72がフラ
イトチューブ軸線128を二分するように、IMS34に対して
位置づけられる必要がある。いずれの場合においても、
TOFMSは、望ましくは、IMS34に対して、関連範囲内でド
リフトチューブ軸線72がフライトチューブ軸線128をほ
ぼ中央で二分するように、位置づけられる。
質量分析装置30の作動において、イオンは、後述する
ひとつまたはそれ以上のイオン生成技法に従って、イオ
ン源74により生成され、IMSの入口開口68を介してIMS34
へと供給される。IMS34で使用される典型的なバッファ
ーガスは、ポンプ80,バッファーガス源46またはこれら
の組み合わせにより、所望の圧力に調整される。典型的
には、バッファーガスは、約1000トルから2000ないし30
00トルまでの圧力に調整される。電圧源52は、矢印55で
示した方向でドリフトチューブ軸線に沿う一定の電場を
生成するのに十分な電圧を供給する。
公知のIMS34操作に従って、IMSの入口開口68に入るイ
オンは、IMSの出口開口84に向かってドリフトチューブ4
0を通って移動する。このとき、イオンは、個々の移動
度に従って、やがて分離する。低い移動度を有するイオ
ンは、比較的高い移動度を有するイオンから遅れるが、
このとき、イオン移動度は、イオンの衝突断面積に大き
く依存する。結局、よりコンパクトなイオンが、拡散イ
オンよりも早くIMSの出口開口84に到達する。当業者
は、ドリフトチューブ40の温度もまた、種々の可変温度
源60を介して制御され、その結果、イオン移動度解析が
温度の関数として行われるであろうことを理解するであ
ろう。
TOFMS36は、ゼロ電界フライトチューブ110の方へグリ
ッド即ちプレート86,94の間に規定された空間からイオ
ンを加速するように操作できる。イオンは個々の質量に
応じてやがて分離する。一般に質量の小さいイオンは質
量の大きなイオンよりも素早く検出器116に到達する。
検出器116は、そこにイオンが到着した時間を検出する
ように作動し、単一経路124を介してコンピュータ38に
対応する信号を送る。
ここで触れることにより本明細書に組み込まれた、Re
illy等に付与されたアメリカ特許第5,504,326号及び第
5,510,613号により詳細に開示されているように、電圧
源VS2 88、VS3 96及びVS4 104は典型的にはコンピュ
ータ38によって制御され、グリッド即ちプレート86,94,
102において最初の電圧を生じ、IMS34(電圧源VSI52に
よってセットされる)と電圧レベルが一致するようにな
る。フライトチューブ110の長さ、グリッド即ちプレー
ト88,94、112間の距離及びグリッド即ちプレート112と
検出器116との距離114のような種々の装置パラメータ、
またグリッド即ちプレート86,94間で規定された空間内
での最初のイオン位置または最初のイオン速度の推定に
よって、コンピュータ38を作動して電圧源88,96及び/
又は104を制御し、瞬時にグリッド即ちプレート86,94、
102間の電界を増加し、それによってイオンが引き出さ
れた電界を創造し、これらグリッド間のイオンをフライ
トチューブ110の方へ加速する。好ましくは、パルスイ
オンの引き出された電界は、グリッド即ちプレート86か
らフライトチューブ110の方向性を有し、それによって
プラスに荷電されたイオンはフライトチューブ110を加
速する。しかし当業者は、この電界が選択的に逆になり
負に荷電されたイオンをフライトチューブ110の方へ加
速することを理解するであろう。
いずれにせよ、グリッド即ちプレート86,94間で規定
された空間内のイオンは、グリッド即ちプレート94,102
間で規定された空間に、パルスイオンの引き出された電
界により加速される。ドリフトチューブ軸線72に沿った
グリッド即ちプレート86,94間で規定された領域に入る
イオンが、細い空間分布を有するという事実により、イ
オン光学素子47を介してこの領域内にイオンが集まるこ
とにより、またフライトチューブ軸線128に沿った小さ
な速度コンポーネントにより、鋭いTOFMSピークを得る
ようにグリッド即ちプレート86及び/又は94に掛けられ
たパルス電圧を選択することができる。パルスイオンを
引き出す電界の目的及びグリッド即ちプレート94,102間
のイオンの次の加速の目的は、実質的に同じ動的エネル
ギーで全てのイオンの到達するグリッド即ちプレート10
2を提供することである。フライトチューブ110はそこに
関連した電界を有さず、イオンはグリッド即ちプレート
102から検出器116の方へ流れ、イオンは上述したように
個々の質量の関数としてやがて分離する。コンピュータ
38は典型的には、電圧源VS5 118を制御し、検出時間の
間、そこに電圧を供給し、それによって業界で知られる
ように検出器116のゲインを増加する。
ポンプ130はTOFMS36内の真空を制御し、ポンプ130は
好ましくは、単一経路132を介してコンピュータ38によ
って制御される。TOFMS36は、典型的には、10-4〜10-10
で作動される。
図4に示すハイブリッドIMS/TOFMS装置の実施例30で
は、ドリフトチューブ軸72は、TOFMS36のグリッド即ち
プレート86,94間に規定された空間を2つに分けること
が好ましく、フライトチューブ軸128に垂直であること
が好ましい。本発明は、ドリフトチューブ軸線72が、グ
リッド即ちプレート86,94の間をフライトチューブ軸線1
28に垂直に通るが、グリッド即ちプレート86,94のいず
れかに対して幾分かの既知の距離を設けるようにして、
IMS34に対してTOFMS36を配置することを選択に考慮す
る。いずれの場合にも、IMS34に対するTOFMS36の上記構
造的位置決めは、フライトチューブ軸線128に対するド
リフトチューブ軸線72の非垂直配置の場合よりも利点を
有する。例えば、このような垂直配置では、グリッド即
ちプレート86,94間に規定されたイオン加速領域にIMS34
から入るイオンパケットが、それらがドリフトチューブ
軸線72に沿ってその間を移動しているとき、一定であ
り、比較的長く規定された最初のイオンの位置を有す
る。上述したように、イオン光学素子47は、イオンをイ
オン加速領域に集め、それによりイオンの空間的分布を
最小にする。更にドリフトチューブ軸線72はグリッド即
ちプレート86,94と平行であるから、フライトチューブ
軸線128に対するイオン位置は、比較的一定に維持して
いる。この特徴により、グリッド即ちプレート86,94間
で規定されたイオン加速領域内での最初のイオン位置を
正確に推定することが可能となり、これにより上記パル
スイオンの引き出された電界のより正確な推定をするこ
とができる。
好ましくは、コンピュータ38は上述したように、イオ
ン源74からのイオンの発生を制御し、コンピュータ38IM
S34内にイオンが導入される時間を記憶する。これを以
後、イオン導入事象と呼ぶ。コンピュータ38は電圧源8
8、96を制御するように作動し、何回かの各イオン導入
事象で、パルスかされたイオン引き出し電界を提供す
る。一実施例において、パルス化されたイオン引き出し
電界は、イオン導入事象ごとに512回繰り返して提供さ
れた。当業者は、各イオン導入事象で提供されたパルス
イオン引き出し電界の数が質量分析装置30の最終分解能
に直接比例するということがわかるであろう。このパル
ス操作がIMS34に対するTOFMS36の垂直位置決めに幾分有
利であるから、そのような配置は、イオンパケットの全
てまたは一部が処理されていないTOFMS36を介して移動
する、という可能性を最小にする。グリッド即ちプレー
ト86,94に対するイオンパケットの移動の方向により、
及びイオン引き出し電界のパルス特性により、TOFMS36
は、それらがドリフトチューブ軸線72に沿って移動する
時、各イオンパケットを検出器116の方へ加速する複数
の機会を持つ。そのように、装置30は検出器116に最大
イオンスループットを提供するようになっている。
図5を参照すると、本発明のよるハイブリッドイオン
の移動度及びタイム−オブ−フライト型の質量分析装置
150の別の実施形態が示されている。当該質量分析装置1
50は、多くの点において図4に示し且つ上で説明した質
量分析装置30と類似しており、従って、同様の部品は同
様の符号で特定されている。従って、共通の部品のみな
らずIMS34及びTOFM36'の基本的動作は、簡潔化のために
繰り返すことはしない。
図4の質量分析装置30とは異なり、質量分析装置150
のTOFMS36'は、ドリフトチューブ軸線72もまたTOFMS36'
のフライトチューブ軸線を規定するようにIMS34に対し
て配置されている。別の方法として、TOFMS36'は、ドリ
フトチューブ軸線72がフライトチューブ軸線に直角でな
いいかなる向きにでもIMS34に対して配置することがで
きる。このような向きのいずれかにおいても、グリッド
又はプレート86'及び94の間に形成された空間内のイオ
ンパケットの初期位置は、(図示された向きにおけるよ
うに)いかなる精度でも予測することができないか又は
(直角でないあらゆる配置におけるように)イオンパケ
ットがドリフトチューブ軸線72に沿って移動する時に変
化する。更に、このような向きのいずれにおいても、イ
オン導入事象に関して、イオンパケットがグリッド又は
プレート86'及び94間に形成された空間内に到達すると
きを予測するのは難しく且つパルス化されたイオン引き
出し電界のタイミングを予言するのは難しい。その結
果、パルス化されたイオン引き出し電界のタイミングは
不正確であり、その結果、イオンはTOFMS36'内で失われ
るかもしれず且つ/又はTOFMS36'の質量分析能力に悪影
響が及ぼされることがありそうである。
上記発明の背景部で説明したGuevremontらの装置に伴
うものと同一の問題であるIMS34に対するTOFMS36'の非
直角に配置に伴う上記の問題を処理するために、質量分
析装置150には、IMS34のイオンの出口開口84とグリッド
又はプレート86'及び94の間の空間との間に作動可能に
配置されたイオントラップ152が設けられている。図5
に図示された実施形態においては、グリッド又はプレー
ト86'は、同グリッドを貫通したイオンの入口開口178を
形成しており、このイオンの入口開口178は、ドリフト
チューブ軸線72に沿ってIMS34のイオンの出口開口84と
整合している。IMS34に対するTOFMS36'の別のの非直角
の配置においては、イオンは、図4に示された実施形態
30に関して説明されたものと同じ方法でグリッド又はプ
レート86'及び94の間の空間内に入るかもしれないの
で、イオンの入口開口178は必要とされないかも知れな
い。
いずれの場合にも、イオントラップは、第1のエンド
キャップ154、中央リング162及び第2のエンドキャップ
170を有する公知の四極イオントラップであるのが好ま
しい。エンドキャップ154及び170の各々が、ドリフトチ
ューブ軸線72と整合している貫通孔を形成している。こ
の形状においては、イオントラップ152は、TOFMS36'へ
の入口開口と整合しているその中心にある小さい体積内
にイオンを閉じ込める。第1のエンドキャップは、信号
経路158を介して電圧源VS6 156に接続されており、電
圧源VS6 156自体は、信号経路160を介してコンピュー
タ38に接続されている。中央リングは、信号経路166を
介して電圧源VS7 164に接続されており、電圧源VS7 1
64自体は、信号経路168を介してコンピュータ38に接続
されており、第2のエンドキャップは、信号経路174を
介して電圧源VS8 172に接続されており、電圧源172自
体は、信号経路176を介してコンピュータ38に接続され
ている。電源156及び172はDC電圧を形成するように作動
可能であり、電源164は高周波レンジのAC電圧を形成す
るように作動可能であるのが好ましい。
作動時に、コンピュータ38は、IMS34のイオンの出口
開口84から出て行くイオンが第1のエンドキャップ154
内に形成された開口に入るのに十分なエネルギを有する
ように、エンドキャップ154及び170にバイアスをかける
ように電源156及び172を制御している。イオンが開口内
にひとたび入ると、イオンは、出口開口84から漏れてい
るバッファガスと衝突してトラップ152内へと入り、そ
れによって十分なエネルギを失い、その結果、中央リン
グ162上の高周波電圧は、トラップ152内にイオンを閉じ
込めるように作動することができる。閉じ込められたイ
オンは、更に、トラップ152の内側に衝突し、それに応
じてイオンに更なるエネルギ損失を生じさせ、その結
果、高周波電圧によりイオンがリング162の中心に向か
って集中する。エンドキャップ152及び170上並びに中央
リング上の電圧が維持される限り、イオンは、トラップ
152内へ入りその中に集まる。中央リング162上の高周波
電圧を切り且つエンドキャップ152又は170のうちの一つ
に適当なDCパルスをかけることによって、イオンはトラ
ップ152から出て行く。例えば、正に帯電したイオンの
集合をトラップ152から排出するためには、エンドキャ
ップ152上の電圧をエンドキャップ170上に存在する電圧
よりも高くパルス化するか又はエンドキャップ170上の
電圧をエンドキャップ170上に存在する電圧よりも低く
パルス化しても良い。一般的に、電源164によって中央
リングにかけられる高周波電場の大きさのみならずあら
ゆるDC電圧の大きさは、トラップ152によって集められ
るべきあらゆる所望の質量対電荷の比率のイオンを選択
するように変えることが出来る。電源164によって付与
されるDCレベル及び高周波ピークの大きさを適切に選択
することによって、全ての質量対電荷の比率のイオン又
はあらゆる特定の質量対電荷の比率のイオンが、イオン
トラップ152内に選択的に集めることが出来る。
本発明においては、イオントラップ152は、グリッド
又はプレート86'及び94間に形成された空間内のイオン
の初期位置のより正確な予測を提供するために、コンピ
ュータ38によって制御して、集められたイオンパケット
を周期的に排出するようにすることができる。この動作
は、以下においてイオン排出動作と称する。コンピュー
タ38は、集められたイオンパケットがイオントラップ15
2から排出される時間を制御するので、イオンパケット
がグリッド又はプレート86'及び94間に形成された空間
内の特定の位置に到達する時間を正しく予測することが
できる。イオンパケットがグリッド又はプレート86'及
び94間の特定の位置に到達する時間をイオン排出動作に
関して適切に知ることによって、コンピュータ38は、パ
ルス化されたイオン引き出し電界を付与するための適切
なタイミングをより正確に予測して、以下に説明するよ
うに最も高い質量分析能力を提供することができかもし
れない。更に、パルス化されたイオン引き出し電界のタ
イミングのより正確な予測を提供することによって、イ
オンパケット又は少なくとも一部分がTOFMS36'内で失わ
れる可能性を減じることが出来る。
質量分析装置150の動作において、IMS34はイオン群
(即ちイオン束、以下イオンパケットと呼ぶ)を与える
ように動作できる。イオンパケットは、イオンの出口開
口84をかいしてTOFMGSへのイオン移動度の関数として分
離される。コンピュータ38は、イオントラップを制御し
て種々のイオンパケットを一度に収集し、各収集された
イオンパケットを周期的間隔で放射する。放射されたイ
オンは、上述したグリッドまたはプレート86'および94
間に画成された空間に入り、そして、コンピュータ38が
適当な時間を計算する。その時間は、パルス化イオンを
加えるためイオン放射のタイミングにもとづく電界を引
き出す。TOFMS36'は、上述したように、質量分析情報を
発生するように動作する。
図6において、オリゴシミジンのサンプル用のイオン
フライト時間対イオンドリフト時間のプロット190が示
されている。そこでは、図示されたデータが質量分析装
置30または150をかいしてつくられうる。図3のプロッ
トと比較すれば、本発明のハイブリッドイオン移動度お
よびタイム−オブ−フライト型質量分析装置が動作して
2つのほぼ直交する寸法内の分子の構造情報を解明す
る。各ドリフト時間について、対応するイオンパケット
のTOFMSにおいて到達することに対応して本発明の装置
は質量対電荷比の数に対応してフライト時間の数を解明
することができる。図6のプロット190は、質量分析装
置30の全体の解明電力がIMSまたはTOFMSのみをかいして
達成できるものよりも劇的によいことを示す。この技術
は、大きな生物分子(50残余を超える)についての引き
続く情報を得るさいに質量ピークオーバーラップのため
に質量スペクトルの密集の問題を非常に軽減する。本発
明は、生物分子の組成、順序、構造分析のための装置を
提供する。その装置は、上記発明の背景の項目において
述べた従来装置に関連した欠点を受けない。
図7Aにおいて、図4および5のいずれかの装置実施例
用のイオン源74の好適実施例74'が示されている。イオ
ン源74'は、サンプル202を有するチャンバ200と、そこ
から延びる光学窓206とを含む。放射源204は、信号経路
76Aをかいしてコンピュータ38に電気的に接続され、光
学窓206をかいして直接放射をし、サンプル202を照らす
ように成形されている。チャンバ200は、信号経路76Bを
かいしてコンピュータ38によって制御されるポンプ208
まで延びる導管を含んでいてもよい。
イオン源74'は、公知のMALDI構造である。放射源204
(好ましくは、レーザ)がサンプル202の表面から気体
イオンを取り除く。コンピュータ38は、サンプルのイオ
ン化を制御するようにレーザの作動時間を制御する。吸
収されたイオンは、チャンバ202の内部構造によってIMS
34の入口開口68へ向けられる。サンプル202は、本発明
にもとづいて、DNA、RNA、任意の種々の蛋白質、カーボ
ハイドレート、グリココニュゲート等のような任意のサ
イズの生物分子でもよい。ポンプ208は、チャンバ208を
加圧するように制御されて、当該技術において公知のよ
うな高圧MALDI分析を行う。
図7Bにおいて、図4、5のいずれかの装置実施例のた
めのイオン源74の別の実施例74"が示されている。イオ
ン源74"は、融解領域226に画定された開口に向かって延
びるスプレイホースまたはノズル222を有する溶けたサ
ンプル220を含む。スプレイノズル222の作働または噴射
が当該技術において公知のように手動で制御されるか、
または信号経路76Cをかいしてコンピュータ38によって
制御されてもよい。融解領域226は信号経路76C'をかい
してコンピュータ38に接続され、また、供給された荷電
滴をノズル222をかいして気体イオンに変換し、これら
のイオンをイオン光学部材へ供給する。光学部材230
は、気体イオンの焦点を合わせ、それらをIMS34の入口
開口内に向ける。イオン源領域32は、そこからポンプ23
2まで延びる導管を有する。ポンプ232は信号経路76Dを
かいしてコンピュータ38によって制御されてもよい。
イオン源74"は、サンプルを収容する融解溶液を気体
イオンに変換することができる公知の電子噴射イオン化
(ESI)構造である。コンピュータ38は、融解領域226の
作働時間を制御してサンプルのイオン化を制御する。ポ
ンプ232は、当該技術において公知のように、イオン源
領域32を加圧することができる。融解領域226は、融解
溶液を気体イオンに変換できる。サンプル源220は、本
発明にもとづいて、DNA、RNA、任意の種々の蛋白質、カ
ーボハイドレート、グリココニュゲート等のような任意
のサイズの生物分子を含有する溶液を含んいてもよい。
図7Cにおいて、図4、5のいずれかの装置実施例のた
めのイオン源74の別の実施例74"'が示されている。イオ
ン源74"'は、サンプル源236を含み、そのサンプル源236
は図7Aまたは7Bに示す前述したサンプル源74'または74"
のいずれでもよく、また、信号経路76Eの数Mをかいし
てコンピュータ38によって上述したように制御される。
ここで、MはNよりも小さい整数である(図4、5参
照)。
イオン源74"'は、さらにイオン源236とIMS34のイオン
の入口開口68との間に配置されたイオントラップ152を
有する。イオントラップ152は、好ましくは図5に示し
上述したものと同一の公知の四極子イオントラップであ
る。したがって、イオントラップ152の動作の詳細はこ
こでは繰り返す必要がない。エンドキャップ154は、信
号経路240をかいして電圧源VS9 238に接続され、信号
経路244をかいして電圧源VS10 242に接続され、エンド
キャップ170が信号経路248をかいして電圧源VS11 246
に接続される。VS9,VS10,VS11は、それぞれ信号経路76
F、76G、76Hに接続される。コンピュータ38は、VS9,VS1
0,VS11を、図5のVS6,VS7,VS8に関して記載したことと
同様に制御される。
作働中において、コンピュータ38は上文中で説明した
ものと類似の態様でイオントラップ152を制御するよう
に作働可能であり、これによって、その中の大量のイオ
ンを収集し、収集されたイオンをIMS34のイオンの入口
開口68に向かってそこから選択的に放出する。当該技術
分野で周知されているように、例えばIMS34などのイオ
ン移動度分析器のピーク分解能は、イオン移動度分析器
へのイオン入力パルスの長さによって制限される。一般
には、移動度のピークは入力イオンパルスの時間長より
も更に分解することはできない。ESIの使用に特に関連
した欠点は、分析のための十分なイオンを生成するため
入力イオンパルス幅が典型的には少なくとも50μsでな
ければならないということである。しかしながら、図7C
に示されたイオン源構成74"'を用いた場合、コンピュー
タ38は、IMS34の中にイオンをパルス入力する前に、イ
オントラップ152内に大量のイオンを収集するように作
働可能である。イオントラップ34内に十分な数のイオン
が収集された状態では、イオン入力パルス長に関する唯
一の制限、即ちIMS34の分解能力は、イオントラップ152
を開閉するのに必要とされる時間である。現存するイオ
ントラップを用いた場合、イオン入力パルス長を、存続
期間において1μs以下にまで減少させることができ
る。
図8A及び図8Bは、マルトテトラオセ(maltotetraos
e)サンプルに対するイオン移動度分布の比較を示し、
図8Aのスペクトル250は、図7Bに示されたものに類似し
たESI源を使用して生成され、20μsの存続期間を持つ1
00,083入力パルスを持っている。図8Bのスペクトル252
は、イオントラップ、例えば図7Cに示されたイオントラ
ップ152などと共に図8Aのために使用されたものと同じE
SI源を用いて生成され、1μsの存続期間を持つ4003入
力パルスを持っている。スペクトル250と比較すると、
スペクトル252は、信号強度において4ないし5倍の増
加、約20の因子による分解能の増加、及び同様に約20の
因子による信号対ノイズ比率の増加を有している。
再び図7Cを参照すると、イオントラップ152は、IMS34
だけの分解能及び感度のみならず、図4のハイブリッド
の質量分析装置30及び図5のハイブリッドの質量分析装
置150のいずれかの分解能及び感度を増加させるため既
知の任意のイオン生成源を使用してもよい。
本明細書中で示され説明された、ハイブリッドのイオ
ン移動度及びタイム−オブ−フライト型質量分析装置の
いずれの実施例も、多数の異なる作働モードでの作働が
可能であることが理解されるべきである。例えば、本発
明の様々な実施例の構成及び作用は、比較的低いエネル
ギーのイオンが生成されてハイブリッドの計測器に注入
され、そこからイオンに関連する構造的な情報を得るこ
とができる第1モードの作働に従って、本文中で説明さ
れてきた。
第2モードの作働では、このようなイオンをより高い
エネルギーでハイブリッドの質量分析装置の中に注入す
ることができ、その結果、IMS34内のバッファーガスと
の高エネルギー衝突がイオンの分裂を引き起こす。その
ような場合では、それらの移動度の関数として時間の経
過と共に分裂したイオン破片は、分析装置のTOFMS部分
に供給され、様々な破片の質量分析情報を引き続く分析
のために得ることができる。その代わりに、そのような
分析のためのイオン分裂を、他の多数の既知の任意技術
によって達成してもよい。そのような既知の代替イオン
分裂技術の例には、酸素低下分裂法(enzyme degradati
on fragmentation)、光子分裂法(photo−fragmentati
on)、例えば可変温度源60の制御を介してドリフトチュ
ーブ40を加熱することなどによる熱分解、電子衝突分解
法(electronimpact dissociation)、表面誘起分離法
(surface induced dissociation)、及び黒体赤外輻射
分離法(blackbody infrared radiation induced disso
ciation)などが含まれる。
第3モードの作働では、特定の質量を持つイオンのみ
を、ハイブリッドの質量分析装置により処理することが
できる。特定の質量を持つイオンのみを生成する一つの
方法は、ピーク振幅、及び/又は、IMS34の前方に配置
されたイオントラップの中心リングの直流電圧を調整す
ることである。この電圧を適当に調整することによっ
て、イオントラップ152を、特定の質量対電荷比率を持
つイオンのみをその中に蓄えるように構成することがで
きる。この態様では、イオントラップ152は、イオンフ
ィルターとして作働するように制御される。特定の質量
を持つイオンのみを分析する別の方法は、IMS34とTOFMS
36との間にイオントラップ152を提供し、望まれていな
い質量対電荷比率を持つイオンを除外するようにイオン
トラップ152を制御することである。
第4モードの作働では、特定の質量を持つ高エネルギ
ーイオンだけがIMS34に導入される。その中で、これら
のイオンは分裂を経て、次にそのような破片は上述した
ようにTOFMS36によって更なる処理を受けることができ
る。
本発明は、図面に示され前述した説明で詳細に述べら
れたが、これは一例と考えるべきであり、この特徴に限
定されるものではなく、好ましい実施例のみが図示及び
説明されたのであって、本発明の要旨の範囲内に含まれ
る全ての変更及び改良が保護されることが望まれている
と理解されよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−188879(JP,A) 特開 平9−82271(JP,A) 特開 平8−87976(JP,A) 特表2000−516762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 49/40

Claims (31)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量スペクトル情報を発生する方法におい
    て、 ガス状のイオン塊を発生する段階と、 第1の軸線に沿ってガス状のイオン塊を分離して、各々
    が関連する独特のイオン移動度を有する多数のイオンパ
    ケットを形成する段階と、 前記第1の軸線に対して垂直な第2の軸線に沿って少な
    くともいくつかのイオンパケットを順次分割して、各々
    が関連する独特のイオン質量を有する多数のイオンサブ
    パケットを形成する段階と、 前記少なくとも幾つかのイオンサブパケットを処理し
    て、質量スペクトル情報を決定する段階と、を備えてい
    る方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、ガス状の
    イオン塊を形成する段階が融解された生成学的試料から
    ガス状のイオン塊を発生する段階を備えている方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の方法において、融解され
    た生物学的試料からガス状のイオン塊を発生する段階が
    エレクトロスプレーイオン化によりガス状のイオン塊を
    発生する段階を備えている方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の方法において、前記イオ
    ンを発生する段階が生物学的試料の表面からガス状のイ
    オン塊を取り除く段階を備えている方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の方法において、前記生成
    学的試料の表面からガス状のイオン塊を取り除く段階が
    レーザー脱着式イオン化を介してガス状のイオン塊を発
    生する段階を備えている方法。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の方法において、ガス状の
    イオン塊を発生する段階が、試料源からガス状のイオン
    を発生する段階と、 イオントラップで発生されたイオンの少なくとも幾つか
    を収集する段階と、 前記イオンの発生と収集の段階を多数回繰り返して、イ
    オントラップにガス状のイオン塊を形成する段階と、 イオントラップからガス状のイオン塊を取り除く段階
    と、 を備えた方法。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の方法において、試料源か
    らガス状のイオンを発生する段階が、生物学的試料から
    ガス状のイオンを発生する段階を備えている方法。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の方法において、前記生物
    学的試料からガス状のイオンを発生する段階が、エレク
    トロスプレーイオン化により生物学的試料からガス状の
    イオンを発生する段階を備えている方法。
  9. 【請求項9】請求項7に記載の方法において、前記生物
    学的試料からガス状のイオンを発生する段階が、レーザ
    ー脱着式イオン化を介して生物学的試料からガス状のイ
    オンを発生する段階を備えている方法。
  10. 【請求項10】試料源から質量スペクトル情報を発生す
    る装置において、 試料源からガス状のイオン塊を発生する手段と、 一端部に設けられていて前記ガス状のイオン塊を発生す
    る手段と連通しているイオンの入口開口と他端部に設け
    られたイオンの出口開口とを形成し、前記イオンの入口
    開口と出口開口とがその間に第1の軸線を形成する、イ
    オン移動度分析器(IMS)と、 一端部に設けられていてイオンの出口開口と流体連通す
    るイオン加速領域と、他端部に設けられたイオン検出器
    とを形成し、前記イオン加速領域とイオン検出器とがそ
    の間に前記第1の軸線に垂直な第2の軸線を形成する、
    タイム−オブ−フライト型質量分析装置(TOFMS)と、 を備えている装置。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の装置において、前記IM
    Sが、加圧された緩衝ガスを前記IMSに供給する手段を更
    に備えている装置。
  12. 【請求項12】請求項10に記載の装置において、 前記IMSと関連し、前記IMS内で第1の所定の圧力を維持
    するように作動する第1のポンプと、 前記TOFMSと関連し、前記TOFMS内で第2の所定の圧力を
    維持するように作動する第2のポンプと、 を備えている装置。
  13. 【請求項13】イオン質量スペクトル情報を発生する方
    法において、 ガス状のイオン塊を発生する段階と、 第1の軸線に沿ってガス状のイオン塊を分割して、各々
    がそれと関連する独特のイオン移動度を有する多数のイ
    オンパケットを形成する段階と、 前記イオンパケットを順次収集して、第1のイオントラ
    ップからイオンパケットを排出する段階と、 第2の軸線に沿って第1のイオントラップから排出され
    たイオンパケットの少なくとも幾つかを分割して、各々
    がそれと関連する独特のイオン質量を有する多数のイオ
    ンサブパケットを形成する段階と、 前記イオンサブパケットの少なくとも幾つかを処理し
    て、質量スペクトル情報を決定する段階と、 を備えている方法。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の方法において、前記ガ
    ス状のイオン塊を発生する段階が融解された生物学的試
    料からガス状のイオン塊を発生する段階を備えている方
    法。
  15. 【請求項15】請求項14に記載の方法において、融解さ
    れた生物学的試料からガス状のイオン塊を発生する段階
    がエレクトロスプレーイオン化によりガス状のイオン塊
    を発生する段階を備えている方法。
  16. 【請求項16】請求項13に記載の方法において、前記イ
    オンを発生する段階が生物学的試料の表面からガス状の
    イオン塊を取り除く段階を備えている方法。
  17. 【請求項17】請求項16に記載の方法において、前記生
    物学的試料の表面からガス状のイオン塊を取り除く段階
    がレーザー脱着式イオン化を介してガス状のイオン塊を
    発生する段階を備えている方法。
  18. 【請求項18】請求項13に記載の方法において、ガス状
    のイオン塊を発生する段階が、試料源からガス状のイオ
    ンを発生する段階と、 第2のイオントラップで発生されたイオンの少なくとも
    幾つかを収集する段階と、 前記イオンの発生と収集の段階を多数回繰り返して、前
    記第2のイオントラップにガス状のイオン塊を形成する
    段階と、 第2のイオントラップからガス状のイオン塊を取り除く
    段階と、 を備えた方法。
  19. 【請求項19】試料源から質量スペクトル情報を生成す
    る装置にして、 試料源からガス状のイオン塊を発生させる手段と、 その一端にガス状のイオン塊を発生させる前記手段と流
    体連通するイオンの入口開口を画成し、その対向端にイ
    オンの出口開口を画成する、イオン移動度分析器(IM
    S)と、 前記IMSの出口開口と流体連通するイオンの入口開口
    と、イオンの出口開口とを画成する、イオントラップ
    と、 その一端に前記イオントラップの出口開口と流体連通す
    る、イオン加速領域を画成し、その対向端にイオン検出
    器を画成する、質量分析器(MS)と具備し、 前記イオンの入口開口とイオンの出口開口とは、それら
    の間に第1の軸線を画成し、 前記イオン加速領域と前記イオン検出器は、それらの間
    に第2の軸線を画成する、装置。
  20. 【請求項20】請求項19に記載の装置にして、ガス状の
    イオン塊を発生させる前記手段が、前記ガス状のイオン
    塊の発生を制御する前記手段により供給されたイオン源
    信号数に反応する、装置。
  21. 【請求項21】請求項20に記載の装置にして、前記イオ
    ントラップが、前記手段によって供給されたイオントラ
    ップ信号数に反応して、イオンがイオントラップに入
    り、イオンがそこに留まり、及びそこからイオンを排出
    するのを許容するように制御する、装置。
  22. 【請求項22】請求項21に記載の装置にして、前記イオ
    ン加速領域が、該イオン加速領域の付勢を制御する前記
    手段により供給されたイオン加速信号数に反応する、装
    置。
  23. 【請求項23】請求項22に記載の装置にして、 前記イオン検出器は、該検出器でのイオン検出を表示す
    る、検出器出力信号を生成するように操作可能であり、 前記制御手段は、検出器出力に対応するイオン質量スペ
    クトル情報を計算するために、前記検出器出力信号数に
    反応する、装置。
  24. 【請求項24】請求項19に記載の装置にして、前記第1
    の軸線と第2の軸線が非垂直である、装置。
  25. 【請求項25】請求項24に記載の装置にして、前記IMS
    が前記ドリフトチューブに加圧された緩衝ガスを供給す
    る手段を更に含む、装置。
  26. 【請求項26】試料源から質量スペクトル情報を生成す
    る装置にして、 試料源からガス状のイオン塊を発生させる手段と、 ガス状のイオン塊を発生させる前記手段と流体連通する
    イオンの入口開口と、イオンの出口開口とを画成する第
    1のイオントラップと、 その一端に前記第1のイオントラップの出口開口と流体
    連通するイオンの入口開口を画成し、その対向端にイオ
    ンの出口開口を画成する、イオン移動度分析計(IMS)
    と、 その一端に前記IMSの出口開口と流体連通する、イオン
    加速領域を画成し、その対向端にイオン検出器を画成す
    る、質量分析器(MS)とを具備し、 前記イオンの入口開口とイオンの出口開口は、それらの
    間に第1の軸線を画成し、 前記イオン加速領域と前記イオン検出器は、それらの間
    に第2の軸線を画成する、装置。
  27. 【請求項27】請求項26に記載の装置にして、前記第1
    の軸線が前記第2の軸線と直交する、装置。
  28. 【請求項28】請求項26に記載の装置にして、 前記第1の軸線は前記第2の軸線と直交せず、 更に前記IMSと前記MSとの間に配置された第2のイオン
    トラップを含み、該第2のイオントラップが、前記IMS
    の出口開口と流体連通するイオンの入口開口と、前記MS
    のイオン加速領域と流体連通するイオンの出口開口とを
    有する、装置。
  29. 【請求項29】請求項26に記載の装置にして、前記IMS
    が前記フライトチューブ内に加圧された緩衝ガスを供給
    する手段を更に含む、装置。
  30. 【請求項30】質量スペクトル情報を生成する方法にし
    て、 試料源からガス状のイオンを発生させる工程と、 発生したイオンの少なくとも幾つかをイオントラップ内
    に捕集する工程と、 前記発生工程と前記捕集工程を複数回繰り返して、前記
    イオントラップ内にガス状のイオン塊を形成する工程
    と、 前記イオントラップからガス状のイオン塊を放出する工
    程と、 前記ガス状のイオン塊を第1の軸線に沿って調時的に分
    離して、各々がそれに関連した特有のイオン移動度を有
    する、多数のイオンパケットを形成する工程と、 少なくとも前記イオンパケットの幾つかを第2の軸線に
    沿って調時的に連続して分離して、各々がそれに関連し
    た特有のイオン質量を有する、幾らかのイオンサブパケ
    ットを形成する工程と、 前記イオンサブパケットの少なくとも幾つかを処理し
    て、該イオンサブパケットから質量スペクトル情報を決
    定する工程とからなる、方法。
  31. 【請求項31】請求項30に記載の方法にして、試料源か
    らイオンを発生させる前記発生工程が生物学的試料から
    イオンを発生させることを含む、方法。
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