JP2015519717A - 小型の飛行時間型質量分析計 - Google Patents

小型の飛行時間型質量分析計 Download PDF

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Abstract

小型の飛行時間型質量分析計(TOF—MS)は、2008年から開始されたNASA/ASTIDのプログラムのために開発された。この技術が目的とする主要な用途は、惑星に着陸して行うミッションとして非揮発性(難揮発性)物質および生物学的物質を検出することである。大気を有する天体および大気を有しない天体は、鉱物学的特徴を分析するという目的と、生物活動が過去に存在していたかまたは現存していることを示す証拠を探し出すという目的において、目標地点となり得るいくつかの候補である。【選択図】図1

Description

[関連出願の相互参照] 本出願は、米国仮特許出願第61/658,576号の優先権を主張しており、その出願は、2012年6月12日に出願されるとともに、発明の名称として小型の飛行時間型質量分析計(Miniature Time-of-Flight Mass Spectrometer)を有するものであり、その出願の内容は、引用により全体的に本出願に合体する。
小型の質量分析計は、しばしば、実験室で使用される測定器具(laboratory instruments、実験室で使用される規模の測定器具)と比較すると、劣った性能を示しており、また、保守および修理が困難であるとともに高価である。この出願書類に開示されている小型の飛行時間型質量分析計(miniature time of flight mass spectrometer)(TOF-MS)は、この問題および他の問題を扱う。
この出願書類に開示されている内容は、小型のTOF−MSと、そのTOF−MSの、互いに分離した複数の部品(separate components)とに向けられている。その測定器具は、ソース領域(source region)と、リニア・ディテクタ(linear detector、リニア・モードで(直線飛行中に)測定を行うディテクタすなわち検出器、直線型検出器)およびリフレクトロン・ディテクタ(reflectron detector、リフレクトロン・モードで(反転を伴う飛行中に)測定を行うディテクタすなわち検出器、反射型検出器)ならびにパルス・ピン・イオン・ゲートを有するディテクタ・ブロック(detector block、検出用部品集合体)と、ワイヤ・リング・リフレクトロン(reflectron、リフレクタ、粒子の飛行方向を反転させるデバイス)とを備えている。
前記ディテクタ・ブロックは、高い剛性と高い効率とを得るために一体構造体(unitary construction)として設計されている。前述の2つのディテクタは、リニアな分子種(linear molecular species、リニア・モードで飛行する分子種)の検出とリフレクトロンな分子種(reflectron molecular species、リフレクトロン・モードで飛行する分子種)の検出とを同時に行うことが可能である。前記パルス・ピン・イオン・ゲートは、小さい寸法を有する測定器具内において非常に狭い範囲での質量選別(very narrow mass selection、非常に狭い質量範囲でその範囲に該当する質量を選別すること)を行うことが可能である。
一方、前記ワイヤ・リング・リフレクトロンは、前駆イオン(precursor ion、プリカーサー・イオン、親イオン)についてより進んだ分析(advanced analysis、追加の分析)を行うことが可能である軽量リフレクトロン(low weight reflectron)を実現する。いくつかの実施態様においては、前記リフレクトロンが、互いに異なる間隔で配置された(differently spaced)複数のリング・エレメントによって形成される非線形リフレクトロンであり、それら実施態様においては、必要なサイズ(size、装置サイズ)が減少するとともに、必要ないくつかの電気部品が簡単に製作される。
前述の質量分析計は、レーザーをベースとするイオン源に、その種類の如何を問わず、適合し、そのような質量分析計としては、非揮発性の化合物の検出を目的とするレーザー・アブレーション(laser ablation)質量分析計がある。
図1は、小型の飛行時間型質量分析計の一実施形態を破断して示す斜視図である。 図2は、ディテクタ・ブロックの一実施形態を破断して示す斜視図である。 図3は、パルス・ピン・イオン・ゲートを破断した状態で示している。 図4は、ワイヤ・リング・リフレクトロンを示す側面図である。 図5Aは、過塩素酸ナトリウム(sodium perchlorate)の正イオン質量スペクトル(positive ion mass spectrum、正イオン・モード(positive ion mode)についての質量スペクトル(mass spectrum、質量分析の結果観測されるスペクトル、マス・スペクトル))を示している。図5Bは、過塩素酸ナトリウム(sodium perchlorate)についての負イオン・モード(negative ion mode)を示している。 図6Aは、前記イオン・ゲートを用いてα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(α-cyano-4-hydroxycinnamic acid、CHCA)が分離検出された(selected)場合において、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸およびそれのプロダクト・イオン(product ions)のそれぞれの質量スペクトルを示している。図6Bは、前記イオン・ゲートを用いてリン酸トリブチル(tributylphosphate、TBP)が分離検出された(selected)場合において、リン酸トリブチルおよびそれのプロダクト・イオン(product ions)のそれぞれの質量スペクトルを示している。図6Cは、前記ゲートを用いることなくα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸を用いるMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)を用いる質量スペクトルにおいて、分析種(analyte、マトリックス中の溶質試料)としてのリン酸トリブチルのスペクトルを示している。 図7Aは、前記イオン・ゲートを用いてP14Rが分離検出された(selection)場合を示している。図7Bは、前記イオン・ゲートを用いてアンジオテンシンII(angiotensin II)が分離検出された(selected)場合を示している。図7Cは、ゲートがオフである状態(gate off、いずれのイオンも検出される状態)で、それぞれ、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)を用いる質量スペクトルの分析種(analyte)であるP14RおよびアンジオテンシンIIのイオンの混合物を示している。 図8Aは、鉛ハンダ(lead solder)の質量スペクトルであってアン・ゲートである(un-gated、ゲートがオフである、いずれのイオンも検出される)場合のものを示している。鉛(lead)、錫(tin)およびカリウム(potassium)のイオンがすべて出現する。図8Bは、前記鉛のピークが分離検出されたこと(selection)を示している。図8Cは、前記錫のピークが分離検出されたこと(selection)を示している。図8Dは、前記カリウムのピークが分離検出されたこと(selection)を示している。
この出願書類には、小型の飛行時間型質量分析計(miniature time-of-flight mass spectrometer)(TOF-MS)が記載されている。そのデバイスの一実施形態が図1に示されている。種々の側面において、当該質量分析計が、低分子量分子(low molecules、低質量分子)および非揮発性分子(non-volatile molecules)を小型の測定器具内において検出するように適合し、その測定器具は、屋外可搬性を有する用途(field portable applications、当該デバイスを現場や屋外に持ち運ぶことが可能である用途、フィールド・ポータブルな用途)に適合することが可能である。
図1は、上述の小型TOF-MS100の一側面を破断して示す3次元的に示す図である。この質量分析計の全体が、高真空度(1×10−6トルと同じかまたはそれより低い圧力)まで真空化される。非揮発性を有するサンプル(図示しない)が、ソース領域104内に導入され、そのソース領域104内においては、パルス(pulsed、パルス化される)・レーザー・ビーム106が前記サンプルの表面(図示しない)上に入射することが行われる。図1に示すように、レーザー・ビーム106は、小型TOF-MS測定器具100の中心軸線110に沿って進行するが、このレーザー・ビーム106は、横の位置または斜めの位置からというように、他の任意の方向から到来することが可能である。複数個のイオンが生成され、それらイオンは、その後、時間的に変化しない(fixed)かまたはパルス的に変調する(pulsed、パルス化される)高電圧エネルギー(high voltage potentials、高電圧ポテンシャル)により、ドリフト領域に向かって加速される。より低質量のイオンが、最も速い速度を達成し、まず、リニア・ディテクタ112またはリフレクトロン・ディテクタ114に到達し、一方、その到達時期より遅い時期に、より高質量のイオンが、前記ディテクタに到達する。そのイオンの質量は、その個別具体的な質量イオンが前記ディテクタに到達する時間(arrival time、飛行時間)を二乗し、それに定数、すなわち、その個別具体的な分析計(analyzer、TOF-MS100、質量分析部)に固有の値を乗算することによって求められる。
リニア・ディテクタ112においては、複数個のイオンが、ソース領域104から発射してからディテクタ112に到達するまでの短い時間の間、飛行し、その結果、複数の質量ピークに対する分解能が低い。それらイオンがイオン・リフレクタ116(「リフレクトロン」または「イオン・ミラー」と称されることがある)に進入することが許可される場合には、より長い飛行時間およびより高い質量分解能が達成され得る。この場合(Here、リフレクトロン型の場合)、その飛行通路は、実質的に2倍の長さ(doubled、リニア型の2倍の長さ)であり、その飛行時間は、漸進的減速(gradual slowing、非線形的減速)およびリフレクトロン116内を通過するイオン経路の折り返しにより、リニア型に対して(例えば、4倍)増加する。個別具体的な質量が、より進んだ分析(例えば、分子イオン・フラグメンテーション(fragmentation(分解、解離))のキャラクタリゼーション(characterization、特性分析))のために分離検出されるべきである場合には、イオン・ゲート(図示しないが、ディテクタ・ブロック122の内部にある)がパルス化され(pulsed、パルス電圧が誘起され)、それにより、選別された(selected、分離検出された)質量イオンのみが、そのゲートを通過してリニア・ディテクタ112またはリフレクトロン・ディテクタ114に向かって進行することが可能となる。
種々の実施態様においては、当該小型TOF-MSが、任意の分析種(analyte)、特に、非揮発性(non-volatile)(難揮発性(refractory))物質および生物学的物質を検出する能力を有する。当該小型TOF-MSは、惑星探査という用途および屋外可搬性が必要な(field-portable、フィールド・ポータブルな)用途において非揮発性化合物を検出するという目的のために使用されるレーザー・アブレーション質量分析計として作用するように構成することが可能である。
当該測定器具は、任意の長さ寸法を有することが可能であり、また、1インチ,2インチ,3インチ,4インチ,5インチ,6インチ,7インチ,8インチ,9インチ,10インチ,11インチまたは12インチというように短い長さ寸法を有してもよい。
当該小型TOF-MSのいくつかの側面がこの出願書類により詳細に説明されている。各部品は、図1に示す複数の部品と共に1つのユニットを構成するように使用するか、または図1に示す複数の部品から分離して使用したり、当業界において公知である他の任意のTOF-MSと共に使用することが可能である。
ソースおよびイオン収束光学系(optics、光学機器)
前記ソース領域は、任意のソースとすることが可能であり、そのソースは、飛行時間型質量分析計内において複数個のイオンを加速するように設計される。
いくつかの実施態様においては、前記ソースが、任意の表面脱離法(surface desorption method)を用いるものでもよく、そのような表面脱離法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI),プラズマ脱離イオン化法,化学イオン化法および/または他の種類の表面イオン化法を含む。前記レーザーは、MALDIまたはいくつかの脱離法に使用されることが知られている任意のレーザーとすることが可能であり、そのレーザーは、パルスUVレーザーまたはパルスIRレーザーを含む。当該デバイスは、いくつかのレーザー・アブレーション法に適合することも可能である。
前記収束光学系(optics、光学機器)は、イオン・ビームに適した任意の収束光学系(optics、光学機器)を有することが可能であり、そのような光学系(optics、光学機器)は、いくつかのイオン収束エレメント(例えば、アインツェル・レンズ(einzel lens))を有する。
ディテクタ・ブロック
図1に示すディテクタ・ブロック122は、図2に、より詳細に示されている。このディテクタ・ブロック200は、さらに、真空化された測定器具内のいくつかの内部部品に高電圧を印加するために、複数の真空フィードスルー(feedthroughs)202を組み込んでいる。具体的には、このディテクタ・ブロック200は、一体構造型(unitary、単一構造型)のディテクタ・ブロック(block、複数の部品が1つのハウジングに一体的に収容されたもの)であり、この内部に、すべての部品が存在し、それら部品は、リニア・ディテクタ204およびリフレクトロン・ディテクタ206と、パルス(pulsed、パルス化)・ピン・イオン・ゲート208であってピン(pin、1本のピン)212と2つのグリッド(グリッドA214およびグリッドB216)とを有するものと、複数のHV(HV、高電圧)フィードスルー(feedthroughs)210と、複数のディテクタ・アノードとを有する。この一体構造(unitary construction)は、衝撃に対する高い剛性を実現する一方、当該質量分析計におけるすべての部品を収容する。そのような複数の部品の組合せのおかげで、当該分析計(analyzer)の組立て作業および修理が単純化される。図1に示すように、複数の真空「缶(cans)」(すなわち、シールされた両端部を有する複数のスリーブ(sleeve、筒状部材))が、ディテクタ・ハウジング・ブロック(detector housing block、ディテクタ・ブロック200、ディテクタ・ブロック200のハウジング)内に配置された複数のOリング上にシールされる。複数本の高電圧リード線のすべてが、当該測定器具の中央に位置する真空ハウジング(vacuum housing、ディテクタ・ブロック200の中央に位置する真空ハウジング)に装着される。複雑さを有する複数の部品である電子部品および複数のフィードスルーを統合して単一の中央ディテクタ・ブロック(central detector block、当該質量分析計において中央に位置するディテクタ・ブロック200)内に収容することにより、製造コストの削減も行われる。
パルス(pulsed、パルス化)・ピン・イオン・ゲート
パルス(pulsed、パルス化)・ピン・イオン・ゲート300は、前記ディテクタ・ブロックの中央部内に埋設されている。このイオン・ゲートは、更なる分析のため、特定の1個のイオン質量または複数のイオン質量が占める特定の範囲を有するいくつかのイオンの分離(removal、除去)(すなわち、ゲート開閉(gating)、ゲート制御、ゲート動作)が可能である。
複数のイオン・ゲートが、選択された(selected)質量範囲(mass range)内にある複数のイオンを通過させることが可能である。図3に示すように、電気的に絶縁されたピン(pin、1本のピン)302が、前記ディテクタ・ブロック内に挿入されるとともに、イオン飛行通路306内に突き出ている。2つの高透過グリッド(high transmission grid)A308およびB310が、イオン・ゲート300のそれぞれの側にあるイオン飛行通路306内の2つの位置に配置されている。グリッドA308は、イオン飛行通路306内において、ピン302よりソース領域316に近い位置に配置され、一方、グリッドB310は、ピン302の両側のうちグリッドA308の側とは反対の側であって、前記ソース領域(図示しない)から遠い位置に配置されている。グリッドA308およびグリッドB310は、パルス・ピン・ポテンシャル(pulse pin potential、パルス・ピン電位)が、上述のフライト・チューブ(the flight tube、ディテクタ・ブロック200を通過してイオンが飛行する経路を定義するチューブ、ドリフト・チューブ、ドリフト領域)に、グリッドA308およびグリッドB310を超えて伝搬することを阻止し、それにより、前記イオン・ビーム内の複数のイオンについてより狭い質量範囲で質量選別(selection、特定の質量を有するイオンを分離検出すること、他から分離すること、取出し)を行うことが可能となる。
ピン302の電位(potential、ポテンシャル)が、イオン飛行通路306ならびにグリッド308および310のそれぞれの電位(potential、ポテンシャル)と等しい場合には、いずれのイオンも、イオン飛行通路306内のイオン軌道から逸脱することはない。ピン302の電位がイオン飛行通路306の電位(potential、ポテンシャル)とは異なる場合には、複数のイオンがイオン軌道から逸脱し、いずれのイオンも、リフレクトロン・ディテクタ314に到達しない。ピン302の電位を、特定のイオンがイオン・ゲート300を通過する場合には、ピン302がイオン飛行通路306と等電位(potential、ポテンシャル)となり、また、不要なイオンがイオン・ゲート300を通過する場合には、異なる電位(potential、ポテンシャル)となるように、ピン302のタイミング(timing、電位が変化するタイミング)を制御することにより、特定の複数のイオンまたは各々複数のイオンから成る特定の複数のグループが、更なる分析のために分離検出される(selected)ことが可能である。
種々の実施態様においては、グリッド308および310が、高透過グリッドである。種々の実施態様においては、その透過効率を80%,85%,88%または90%とすることが可能である。それらグリッド308および310は、当業界において公知の任意の材料で構成してもよく、そのような材料としては、例えば、ニッケル・メッシュ材がある。
パルス・ポテンシャル(pulse potential、パルス電圧)を、当業界において公知である任意の手段を用いて、イオン・ゲート300のピン302に印加することが可能である。種々の実施態様においては、ピン302が、パルス・ポテンシャルを発生させるパルス発生器に接続される。種々の実施態様においては、そのパルス(pulse、パルス波)を方形波とすることが可能である。そのパルス時間(pulse time、パルス間隔)は、コントロール用電子機器によって誘導された(induced、誘起された、生起された)任意の長さの時間とすることが可能である。いくつかの側面においては、パルス幅(pulse width、パルス持続時間)を、25ns,50ns,75ns,100ns,130ns,150ns,170ns,200ns,250ns,300ns,350ns,400ns,450ns,500ns,550ns,600ns,650ns,700ns,750ns,800ns,850ns,900ns,950nsまたは1000nsとすることが可能である。
イオン・ゲート300は、特定の質量に満たないすべての質量をゲート・アウト(gate out、除外する、選択しない、検出しない)ために用いることが可能である。これに代えて、特定の質量を超える複数の質量をゲート・アウト(gate out、除外する、選択しない、検出しない)ことが可能である。いくつかの場合には、2以上の質量範囲(mass range)を、例えば、クイック・リカバリー(quick recovery、パルス電圧が作用レベルから非作用レベルに急速に復帰すること、急速回復、急速整定)型パルス発生器を用いることにより、選択することが可能である。
パルス・ピン・ゲート内のピン302は、イオン飛行通路306に近接する位置に挿入された導電性材料であれば、任意の形式のものとすることが可能である。そのパルス・ピンは、そのピンが、前記ドリフト領域および前記複数のグリッドの電位(potential、ポテンシャル)とは異なる電位でパルス化される(pulsed、パルス電圧が誘起される)と、そのピンが、複数のイオンを、前記イオン・ビームから逸脱させる(diverge、偏倚させる)ことを条件に、任意の形状を有する(例えば、円形断面または矩形断面を有する)ものとすることが可能である。そのピンがパルス化された(pulsed、パルス電圧が誘起された)ときに、そのピンが前記イオン・ビームに影響を与えるように構成されている限り、そのピンは、前記ドリフト領域に対する(relative to)任意の相対位置に配置することが可能である。種々の実施態様であって本発明の範囲を限定しないものにおいては、そのパルス化される(pulsed、パルス電圧が誘起される)ピンが、前記ディテクタ・アセンブリ(detector assembly、ディテクタ・ブロック200)のうちのドリフト・チャンネル(drift channel、前記ドリフト領域を定義するチャンネル、ドリフト・チューブ)内に突出するものとしたり、前記ドリフト・チューブ(drift tube、前記ドリフト領域を定義するチューブ)のエッジ(edge、側縁)と同一面となるように保持したり、前記ドリフト・チューブから退避したものとしたり、前記イオン・ビーム内に直に延びるものとすることが可能である。
種々の実施態様においては、グリッドA306とグリッドB308とが、規定された間隔で互いに隔たっている。より狭い間隔で互いに隔たった複数のグリッドにより、複数のイオン質量から成るより狭い範囲のパケット(packet、イオンパケット、イオン集合体、イオン群)が前記ゲートによって分離検出されることが可能である。いくつかの場合には、グリッドを隔離する間隔が、1.0mm,1.5mm,2.0mm,2.5mm,3.0mm,3.5mm,4.0mm,5.0mm,6.0mm,7.0mm,8.0mm,9.0mmまたは10.0mmである。前記複数本のチューブ(および複数のグリッド)がドリフト・ポテンシャル(drift potential、ドリフト電位)のレベルに保持されるため、高電圧(high voltage、ドリフト電圧より高い電圧)を前記ピンに印加することにより、前記イオン・ビームのうち前記グリッド間隔内に位置する部分の大角度での偏向(wide deflection)が促進される。他の複数のゲート(例えば、ブラッドベリ−ニールセン(Bradbury-Nielsen)・ゲート)とは異なり、パルス・ピン・イオン・ゲート300は、製造が容易であり、単一の高電圧パルスのみを必要とし、前記ピンを包囲するグリッド間隔(grid spacing、グリッド空間の距離)の変動によって調整可能な「ウインドウ」を有する。
パルス・ピン・イオン・ゲート300は、任意の導電性材料、例えば銅のようなものから製造してもよい。グリッドA306およびグリッドB308は、高透過ゲートを製造するために用いることが可能である任意の材料、例えば、ニッケル・メッシュから製造することが可能である。
リニア・ディタクタおよびリフレクトロン・ディテクタ
図2に示すように、リニア・ディタクタ204およびリフレクトロン・ディテクタ206は、それぞれ、チャンネル・プレート・ディテクタである。図2に示すように、リニア・チャンネル・プレート・ディタクタおよびリフレクトロン・チャンネル・プレート・ディテクタの双方は、それぞれ、クランプによって互いに保持された2枚のチャンネル・プレートを有する。それらチャンネル・プレートは、負のポテンシャルのレベルに保持される。イオンが一方のチャンネル・プレートに衝突すると、そのチャンネル・プレートは複数の電子を放出し、それら電子は、2番目のチャンネル・プレートまで伝搬するとともに、出力電極において信号を誘起する。そのピン電極(the pin electrode、ピン302)は、前記信号を検出用電子機器(オシロスコープのようなもの)まで伝搬する。
種々の他の実施態様においては、1枚または複数枚のチャンネル・プレートをいくつかのディテクタ内に(in detectors、1個または複数個のディテクタ内に)構成することが可能である。2枚、3枚またはそれより多い数枚のチャンネル・プレートを互いに保持することが可能である。
ワイヤ・リング・イオン・リフレクトロン
図1に示すように、ワイヤ・リング・イオン・リフレクトロン116は、円筒状のフレームを有する測定用構造を採用する。このリフレクトロンは、当業界において公知である任意の形式のリフレクトロンであり、線形リフレクトロン、または曲線電場リフレクトロン(curved field reflectron(曲線電界リフレクトロン、カーブド・フィールド・リフレクトロン))のような非線形リフレクトロンとすることが可能である。
ワイヤ・リング・イオン・リフレクトロン116は、非導電性の円筒状のフレーム124を、複数の導電性のワイヤ・エレメント126と一緒に有しており、各ワイヤ・エレメント126は、前記円筒状のフレームの断面を包囲し、それにより、円筒状のワイヤ・リング・リフレクトロン116を形成し、そのワイヤ・リング・リフレクトロン116は、近位端部128と遠位端部130とを有する。互いに隣接するワイヤ・エレメント同士は、可変抵抗器または固定抵抗器のような抵抗器(図示しない)によって電気的に接続されている。
注記されることは、円筒状のリフレクトロンが必要とすることは、前述の複数のリングであって、任意選択的には複数のワイヤ・リングであるものが、当該リフレクトロンの中心軸線を包囲するということのみであるということである。よって、各ワイヤ・リングは、当該リフレクトロンを包囲する複数の直線部が一列に並んだものであってそれでもなお円筒状であると考えられるものとすることが可能である。その円筒状という形状は、例えば、五角形、六角形、七角形、八角形などであってそれでもなお円筒状であると考えられるものとすることが可能である。
線形リフレクトロンの場合には、当該リフレクトロンの中央部におけるポテンシャルが、当該リフレクトロンの前記近位端部からの距離に応じて、当該リフレクトロンの前記近位端部から線形的に増加する。特定のいくつかの実施態様においては、複数のエレメント(elements、リング・エレメント)間の抵抗値も間隔も一定である。非線形リフレクトロンの場合には、当該リフレクトロンの中央部におけるポテンシャルが、次第に増加する勾配(increasing slope)により、当該リフレクトロンの前記近位端部から前記遠位端部まで、非線形的に増加する。一実施態様においては、このこと(this、ポテンシャルの非線形的増加)が、当該リフレクトロンの前記近位端部から前記遠位端部までに存在する複数のエレメント間の抵抗器であって一列に並んでいるものの各々が、次第に減少する抵抗値を有する場合に、達成され得る。別の実施態様においては、このこと(this、ポテンシャルの非線形的増加)が、複数のワイヤ・エレメント間の間隔が、当該リフレクトロンの前記近位端部から当該リフレクトロンの前記遠位端部まで減少する場合に、達成され得る。
図4には、前記ワイヤ・リング・リフレクトロンの一実施態様が示されている。図4に示すように、このワイヤ・リング・リフレクトロンは、曲線電場リフレクトロン(CFR)である。その曲線電場は、飛行時間(TOF)質量分析計における初期加速の後に、生成される複数のイオンを、それらイオンのエネルギーに基づいて収束させる(energy-focused ions)。典型的には、それらイオンは、反射(reflection、反転)に先立ち、フィールド・フリー(field-free、無電場、無磁場)・ドリフト領域内において生成される。前記CFR内において反射したイオンの焦点距離(focal length、収束距離)は、そのフラグメント(fragment、結合の開裂によって生成される化学種)の質量(エネルギー)に比例せず、その代わり、ポスト・ソース分解(post-source decay)によって生成された複数のイオンを、前記リフレクトロン・ディテクタの位置に収束させる。前記複数のリング・エレメントのうち先頭の2つのリングは、後尾の2つのリングの間隔412より大きい間隔410を有する。よって、複数のフラグメント・ピーク(fragment peaks、フラグメント・イオンに基づく質量スペクトル上のピーク)が、当該リフレクトロンのポテンシャル勾配をスキャンすることも段階的に変化させることもなく、互いに分離して検出される(resolved)。この種のCFRの一例が、米国特許第5,464,985号に記載されており、この特許は、引用によってこの出願書類に合体させられる。
複数の反射用レール(reflection rails、前記リフレクトロンにおいて前記複数のリング・エレメントを支持するレール)を、ポリカーボネイトのような任意の非導電性材料から製造することが可能である。前記複数のリング・エレメントを、任意の導電性材料であってワイヤ(例えば、銅製ワイヤ)を含むものから製造することが可能である。
図4に示す設計構造においては、前記曲線電場リフレクトロンが、複数のリング・エレメントが一列に並んだものを設置することによって達成され、各リング・エレメントは、固定抵抗値によって仕切られている。各リング・エレメントのポテンシャルは、当該リフレクトロンの後端部に向かって段階的に増加する。しかし、連続した複数のリング・エレメントの各々は、すぐ前方のリング・エレメント(the previous ring)より狭い間隔で隔てられている。よって、当該リフレクトロンの中央部における複数のイオンに影響を及ぼすポテンシャルは、複数のリング・エレメントの間隔のために、非線形的に増加する。
図4に示す実施態様においては、リフレクトロン400の各エレメントが、ワイヤ・リング(a wire ring、1本のワイヤ・リング)402から構成されている。各エレメントは、円形状としたり、六角形のような他の形状を有するものとすることが可能である。前記ワイヤ・リングの周囲を支持構造体404によって包囲するか、または、複数の穴406が一列に並んだものを、複数のコンダクター・ワイヤ・ループ(conductor wire loops、導電性ワイヤ製環状体)408を収容するために穴明し、それらコンダクター・ワイヤ・ループ(conductor wire loops)408を複数の穴406に通し、それにより、複数のイオン・リフレクター・エレメント(ion reflector elements、イオン・リフレクタ(ion reflector、リフレクトロン)を構成する複数の部品)を形成するように前記ワイヤ・リングを設計することが可能である。
支持構造体404は、当業界において公知である任意の材料であって非導電性支持構造体に適しているものから製造することが可能である。この支持構造体404の材料は、当該質量分析計において低真空度の真空状態を生成することが可能であるようにガス抜け量が少ない複数の材料の中から選択することが可能である。この支持構造体404の複数の部品は、さらに、高い可搬性を実現するように複数の軽量の部品の中から選択することも可能である。この支持構造体404は、種々の用途に関連付けられる過酷な環境での使用(rugged use)に適した剛体材料に適するように設計することも可能である。
当該リフレクトロンに用いられる材料により、測定器具の可搬性に適した軽量設計構造が実現される。オープン構造(open architecture、外部からのアクセスが容易な構造)の採用により、急速なポンピング(pumping、真空引き)が可能となり、さらに、前述の穴パターン(hole pattern、前記複数の穴の配列)における間隔が変化していること(variable spacing in the hole pattern、穴間の間隔が変化していること)により、非線形イオン・リフレクトロンを製造することが可能となる。
曲率(curvature、当該リフレクトロンの曲率)は、最初に公開された(originally published、前記米国特許において最初に公開された)曲線と同じである。それは、円周の一部である円弧である。
種々の実施態様においては、任意の数のリング・エレメントを用いることが可能である。
前記ディテクタ・ブロックが一体構造(integrated design)を採用することにより、組立ておよび修理が単純化され、製造コストが低下し、高度に堅牢なパッケージ(package、ユニット完成品)をプラスチックのような複数の軽量部品から主体的に製造することが可能となる。前記パルス・ピン・イオン・ゲートが必要とするのは、作動パルスとしての単一のHV(HV、高電圧)パルスのみであり、また、前述の単一の銅製ピンは、前記ディテクタ・ブロックのアセンブリに簡単に組み込まれる。ワイヤを用いたフレーム構造を有するリフレクトロンの特徴は、軽量構造と、急速ポンピング(pumping、真空引き)のためのオープン構造(open architecture、外部からのアクセスが容易な構造)と、前述の穴パターン(hole pattern、複数の穴の配列)において変化する間隔を単に適合させて非線形イオン・リフレクタを製造することである。
チャンネル・プレート、ドリフト領域およびゲーティング(gating、ゲート開閉制御用、ゲート動作用)・ポテンシャル(potential、電位)
種々の用途においては、前記ディテクタ内の複数枚のチャンネル・プレートが前記ドリフト領域のポテンシャル(potential、電位)と同じポテンシャを有する。そのようなポテンシャルの例は、1kV,2kV,2.7kV,3kVまたは4kVである。前記フライト・チューブが、前記チャンネル・プレートと同じ電位にあり、かつ、前記リフレクトロンのポテンシャルが前記チャンネル・プレートの電位に関連付けて設計される場合には、前記チャンネル・プレートの電位が前記複数のイオンの飛行時間に影響を与えることを阻止するために前記チャンネル・プレートの前方にグリッドを配置することは不要である。したがって、この設計構造によれば、作動中に前記ディテクタとグリッドとの間にアーク(arc、電弧、短絡)が発生する可能性が低下する。この設計構造によれば、さらに、それがあるとイオンの透過を阻害してしまういかなるグリッドも存在しないため、イオンの透過率が向上する。前記ディテクタに用いられるピン・アノード(the pin anode、前述のディテクタ・アノード)は、接地されていることが可能である。そのようにすれば、前述の複数の電子がその表面(the surface、前記ピン・アノードの表面)に衝突すると、前記ピン(the pin、前記ピン・アノード)が接地ポテンシャルにあり、それは、前記ディテクタ用電子機器との連結を容易にする。前記パルス・ピン・イオン・ゲートのための複数のゲーティング・ポテンシャル(gating potentials、前記ピンに印加される電圧のバリエーション)は、前記ドリフト領域のポテンシャルとは異なるものであれば、いかなるポテンシャとすることが可能である。
種々の他の実施態様においては、複数のグリッドを各チャンネル・プレート・ディテクタの前方に設置することが可能である。それらグリッドは、当該測定器具のうち残りの部分と同じポテンシャルに維持される。グリッドとチャンネル・プレートとの間のポテンシャル差により、チャンネル・プレートに印加されるポテンシャルが増加し、よって、検出信号の強度が増加してプロダクト・イオンのポスト・ソース・ディテクション(post-source detection、イオン源の加速領域を出た後に(イオン源の外側で)プロダクト・イオンを検出すること)の感度が向上する。それら実施態様によれば、前記ドリフト領域がゼロ・ポテンシャルを有することが可能となる。種々の他の実施態様においては、当該測定機器のうちの前記ドリフト領域が、非ゼロ・ポテンシャルであることが可能である。複数のグリッドが、前記複数のディテクタに使用される場合には、複数のイオンが前記ディテクタに衝突する前に、前記複数のグリッドが、それらイオンの後段加速(post acceleration、質量分離後に高電圧を印加して再度イオンを加速すること)を行うことにより、より高い感度が実現される。
いくつかの用途
この出願書類に記載されている小型TOF−MSおよびそれの複数の部品は、高効率の屋外可搬性(field-portableフィールド・ポータブルな、屋外携帯型)測定器具を提供する。完成された小型TOF−MSは、単純な作動、高速分析時間、および比較的安価な購入価格(同等の性能を有する実験室規模の測定器具に比較して)を特徴とする。
この出願書類に記載されている小型TOF−MSの屋外可搬性(field-portable、フィールド可搬性、フィールド携帯性、屋外携帯性)は、種々の用途に使用することが可能である。この質量分析計および/またはそれの複数の部品は、揮発性分析種および非揮発性分析種を検出するために使用することが可能である。
いくつかの側面においては、この小型TOF−MSを、惑星に着陸して行うミッションとして非揮発性(難揮発性)物質および生物学的物質を検出するために使用することが可能である。大気を有する天体および大気を有しない天体は、鉱物学的特徴を分析するという目的と、生物活動が過去に存在していたかまたは現存していることを示す証拠を探し出すという目的において、目標地点となり得るいくつかの候補である。いくつかの用途としては、大量破壊兵器や化学的成分および生物テロ成分の検出がある。核鑑識(nuclear forensics)の複数の成分を効率よく検出することが可能である。当該デバイスは、鑑識(forensic、法医学、犯罪学、科学捜査)の分野での分析、農業の分野での分析(例えば、植物病原体の検出、土壌汚染、肥料管理)、および海洋学の分野での分析(例えば、有害な赤潮の検出および検証)という分野において使用することが可能である。
いくつかのサンプル
後述のいくつかのサンプルであって本発明の範囲を限定しないものは、本発明の説明のみを目的としており、よって、この出願書類の開示範囲を限定しない。
サンプル1
図5Aは、過塩素酸ナトリウム(sodium perchlorate)の正イオン質量スペクトル(positive ion mass spectrum、正イオン・モード(positive ion mode)についての質量スペクトル(mass spectrum、質量分析の結果観測されるスペクトル、マス・スペクトル))を示している。図5Bは、過塩素酸ナトリウム(sodium perchlorate)についての負イオン・モード(negative ion mode)を示している。それら質量スペルトルは互いに共同して、当該測定器具が正イオン・モードと負イオン・モードとの双方において機能することを示している。
サンプル2
図6Cは、前記ゲートを用いることなくα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(α-cyano-4-hydroxycinnamic acid、CHCA、ac)を用いるMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)質量スペクトルにおいて、分析種(analyte、マトリックス中の溶質試料)としてのリン酸トリブチル(tributylphosphate)のスペクトルを示している。複数のイオンおよび複数のプロダクト・イオンが示されており、それらは、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸のマトリクス・イオン(およびプロダクト・イオン)とリン酸トリブチル(およびプロダクト・イオン)を有する。図6Aは、前記イオン・ゲートを用いてα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(α-cyano-4-hydroxycinnamic acid、CHCA、ac)が分離検出された場合において、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸およびそれのプロダクト・イオンの質量スペクトルを示している。図6Bは、前記イオン・ゲートを用いてリン酸トリブチル(tributylphosphate)が分離検出された場合において、リン酸トリブチルおよびそれのプロダクト・イオンの質量スペクトルを示している。それらスペクトルは互いに共同して、複数のイオンが、プロダクト・イオンのスペクトルを生成するために、ゲートされる(gated、分離検出される)ことが可能であることを示している。
サンプル3
図7Cは、ゲートがオフである状態(gate off、いずれのイオンも検出される状態)で、それぞれMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)質量スペクトルの分析種(analyte)であるP14RおよびアンジオテンシンIIのイオンの混合物を示している。図7Aは、前記イオン・ゲートを用いてP14Rが分離検出された場合を示している。図7Bは、前記イオン・ゲートを用いてアンジオテンシンII(angiotensin II)が分離検出された場合を示している。分子(the molecular、親イオン)のプロダクト・イオンおよびプロダクト・イオンのプロダクト・イオンにより、その分子についての構造情報が取得される。それらスペクトルは、互いに共同して、同じサンプル内の複数の種(species)について複数のプロダクト・スペクトルを生成するために複数のイオンをゲートする(gated、分離検出する)ことが可能であることと、それらプロダクト・イオンの分子構造を検出することが可能であることを示している。
サンプル4
図8A−図8Dは、鉛はんだのサンプル内の複数の成分が分離検出された場合を示している。
図8Aは、鉛ハンダ(lead solder)の質量スペクトルであってアン・ゲートである(un-gated、ゲートがオフである、いずれのイオンも検出される)場合のものを示している。鉛(lead)、錫(tin)およびカリウム(potassium)のイオンがすべて出現する。図8Bは、前記鉛のピークが分離検出されたことを示している。図8Cは、前記錫のピークが分離検出されたことを示している。図8Dは、前記カリウムのピークが分離検出されたことを示している。

Claims (9)

  1. 飛行時間型質量分析計のために構成されている一体構造型のディテクタ・ブロックであって、
    当該ディタクタ・ブロック内の中央穴内イオン・ドリフト領域と、
    当該ディテクタ・ブロックの近位端部に搭載されている第1チャンネル・プレート・ディテクタであって任意選択的に採用されるものと、
    当該ディテクタ・ブロックの遠位端部に搭載されている第2チャンネル・プレート・ディテクタと、
    パルス・ピン・イオン・ゲートと
    を含み、
    そのパルス・ピン・イオン・ゲートは、
    前記中央穴内に、側方に延びる姿勢で配置されているピン・エレメントであって、前記中央穴から電気的に絶縁されているものと、
    前記中央穴内イオン・ドリフト領域に電気的に接続されている第1および第2グリッドであって、前記中央穴内の前記ピン・エレメントより近位位置とラテラル位置とに配置されているものと
    を有するディテクタ・ブロック。
  2. パルス・ピン・イオン・ゲートであって、
    イオン・ドリフト領域内に、側方に延びる姿勢で配置されているピン・エレメントであって、ドリフト領域から電気的に絶縁されているものと、
    前記ドリフト領域を横切るとともにそのドリフト領域に電気的に接続されている第1および第2グリッドと
    を含み、
    それら第1および第2グリッドは、前記中央穴内に、前記ピン・エレメントより近位位置とラテラル位置とに配置されているパルス・ピン・イオン・ゲート。
  3. ワイヤ・リング・リフレクトロンであって、
    非導電性の円筒状フレームと、
    複数の導電性のワイヤ・エレメントであって、それぞれ、前記円筒状フレームの断面を包囲し、それにより、近位端部と遠位端部とを有する円筒状のワイヤ・リング・リフレクトロンを形成するものと
    を含み、
    隣接するワイヤ・エレメントは、抵抗器によって電気的に接続されているワイヤ・リング・リフレクトロン。
  4. 請求項3に記載のワイヤ・リング・リフレクトロンであって、当該リフレクトロンの中央部における電位が、当該リフレクトロンの、前記近位端部からの距離に応じて、その近位端部から線形的に増加するワイヤ・リング・リフレクトロン。
  5. 請求項3に記載のワイヤ・リング・リフレクトロンであって、当該リフレクトロンの中央部における電位が、増加する勾配で、当該リフレクトロンの、前記近位端部から前記遠位端部まで非線形的に増加するワイヤ・リング・リフレクトロン。
  6. 請求項3および5のいずれかに記載のワイヤ・リング・リフレクトロンであって、複数のエレメント内において、当該リフレクトロンの前記近位端部から前記遠位端部まで連続的に並ぶ複数の抵抗器の各々が、減少する抵抗値を有するワイヤ・リング・リフレクトロン。
  7. 請求項3および5のいずれかに記載のワイヤ・リング・リフレクトロンであって、ワイヤ・エレメント間の間隔が、当該リフレクトロンの前記近位端部から当該リフレクトロンの前記遠位端部まで減少するワイヤ・リング・リフレクトロン。
  8. 質量分析計であって、
    ソース領域と、
    請求項1に記載の一体構造型のディテクタ・ブロックであって、前記ソース領域に関連した作動を行うものと、
    請求項3ないし7のいずれかに記載のワイヤ・リング・リフレクトロンであって、前記一体構造型のディテクタ・ブロックに関連した作動を行うものと
    を含む質量分析計。
  9. 質量分析計であって、
    ソース領域と、
    請求項2に記載のパルス・ピン・イオン・ゲートであって、前記ソース領域に関連した作動を行うものと、
    請求項3ないし7のいずれかに記載のワイヤ・リング・リフレクトロンであって、前記パルス・ピン・イオン・ゲートに関連した作動を行うものと
    を含む質量分析計。
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