JP3401693B2 - ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法

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JP3401693B2
JP3401693B2 JP24973494A JP24973494A JP3401693B2 JP 3401693 B2 JP3401693 B2 JP 3401693B2 JP 24973494 A JP24973494 A JP 24973494A JP 24973494 A JP24973494 A JP 24973494A JP 3401693 B2 JP3401693 B2 JP 3401693B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀写真感光材
料の処理方法に関し、特に長期に安定した性能が得られ
る補充方法を用いたハロゲン化銀写真感光材料の処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料を用いる写真
用製版過程には、連続階調の原稿を網点画像に変換する
工程、即ち連続階調の濃度変化を該濃度に比例する面積
を有する網点の集合体に変換する工程及び該工程で得ら
れた網点画像をより鮮鋭度の良好な網点画像に変換する
工程、即ち返し工程などが含まれている。
【0003】これらの工程に使用される感光材料は、良
好な網点品質を得る必要から高コントラストを有するこ
とが不可欠とされている。
【0004】このような特性を得る方法として従来から
比較的微粒子(0.2μm程度)で粒子径分布が狭く、かつ
塩化銀含有率の高い(少なくとも50モル%以上)塩臭化
銀乳剤よりなる感光材料を亜硫酸イオン濃度が非常に小
さいアルカリ性ハイドロキノン現像液で処理する方法、
所謂リス現像法が知られている。
【0005】しかし、この方法を用いると現像液中の亜
硫酸イオン濃度が小さいため保恒性が極めて悪く、かつ
ハイドロキノン単体主薬を用いるために現像速度が遅く
迅速処理ができないという問題点を有していた。
【0006】従って、保恒性が良好で迅速処理可能な超
加成性現像主薬を含有し、比較的高濃度の亜硫酸塩を含
有する所謂PQ型或いはMQ型の現像液による処理によ
って高いコントラストが得られる新規な感光材料の開発
が望まれていた。
【0007】この新規な感光材料に関するものとして、
特公昭59-17825号、 同59-17826号にはテトラゾリウム
化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料が、又、特
開昭56-106244号には、ヒドラジン化合物を含有するハ
ロゲン化銀写真感光材料が開示されている。
【0008】これらの技術では、テトラゾリウム化合物
或いはヒドラジン誘導体の硬調性を十分に発揮させるた
めにpH11.2以上のpHを有する現像液で処理しなければ
ならなかった。pH11.2以上の高pHの現像液は空気に触
れると現像主薬が酸化し易い。この欠点を補うために特
開昭63-29751号及びヨーロッパ特許333,435号、同345,0
25号等には比較的低pHの現像液でも硬調化する硬調化
剤を含むハロゲン化銀写真感光材料を実質的にアルカノ
ールアミン化合物を含まない現像液で処理する方法が開
示されている。
【0009】しかし、近年さらに迅速化や低補充化が要
求され、それに対応できる感光材料が望まれている。
【0010】現像及び定着がより短時間に達成され、迅
速処理に優れた乳剤として高塩化銀乳剤の使用が知られ
ている。しかし高塩化銀乳剤は現像液の経時やランニン
グで感度、コントラストが変化し易く、カブリも出易い
という欠点を有しており、その為に低補充化ができない
という問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題に対
して、本発明の課題は、迅速処理において低補充化が可
能でしかも性能に悪影響がなく、現像安定性も良好なハ
ロゲン化銀写真感光材料の処理方法、特に新規な補充方
法を用いた処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以
下の本発明の構成により達成されることが分かった。即
ち、 (1)支持体上に平均塩化銀含有率が60モル%以上であ
るハロゲン化銀から実質的になるハロゲン化銀乳剤層を
有するハロゲン化銀写真感光材料を、ジヒドロキシベン
ゼン系現像剤および亜硫酸イオンを含有し、pH9.5以上
10.7未満の現像液を用いて自動現像機で現像処理する方
法において、現像母液より低活性の第1現像補充液を現
像条件に応じて予め決められた量補充した後、現像母液
と実質的に同等の活性を有する第2現像補充液を補充す
ることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方
法。
【0013】(2)現像母液より低活性の第1現像補充
液の活性度と現像母液と実質的に同等の活性を有する第
2現像補充液の活性度の比が3:10〜9:10であること
を特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材
料の処理方法。
【0014】(3)現像母液より低活性の第1現像補充
液を現像条件に応じて予め決められた量補充した後、現
像母液と実質的に同等の活性を有する第2現像補充液
を、現像されるハロゲン化銀写真感光材料に応じてその
処理量当たり決められた量補充することを特徴とする前
記(1)項または(2)項に記載のハロゲン化銀写真感
光材料の処理方法。
【0015】(4)現像母液より低活性の第1現像補充
液を現像条件に応じて予め決められた量補充した後、現
像母液と実質的に同等の活性を有する第2現像補充液
を、現像されるハロゲン化銀写真感光材料の1m2あたり
75〜200mlの量で補充することを特徴とする前記
(1)、(2)または(3)に記載のハロゲン化銀写真
感光材料の処理方法。
【0016】以下、本発明について具体的に説明する。
【0017】本発明は、ジヒドロキシベンゼン系現像主
薬および亜硫酸塩保恒剤を含有する現像液を用いたハロ
ゲン化銀写真感光材料の現像処理方法であって、感光材
料を自動現像機で連続的に処理した後、ある時間、通常
は夜間放置され、停滞した後翌日再度立ち上げて連続処
理するという系において、前日あるいは前々日の写真性
能と同等の安定した処理性能を得るための新しい補充方
法であり、長期に亙る処理安定性を向上し、総補充量を
低減するものである。
【0018】従来は、補充方法としては、濃縮補正の観
点から再開時一定基準線まで水で希釈し、その後は処理
量に応じて調整直後の現像母液を補充液として補充して
きた。しかしながら、前日の写真性能と同等の性能を得
るためにはかなり大量の補充液を補充しなければならな
く、本来の感光材料により消費された材料を補充すると
いう観点からは大過剰の補充がされてきたものである。
【0019】本発明は、いかなる補充液を補充すること
により、前日の性能と同等の性能が早期に得られるか、
いかに低補充化が達成できるかを鋭意検討した結果得ら
れたものである。
【0020】本発明の現像液に用いられるジヒドロキシ
ベンゼン系現像主薬は、1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,
2-ジヒドロキシベンゼンあるいは1,2,4-トリヒドロキシ
ベンゼン誘導体であり、例えばハイドロキノン、クロロ
ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、スルホハイド
ロキノン、2,5-ジメチルハイドロキノン、4-メチル−1,
2-ジヒドロキシベンゼン等があるが、好ましくはハイド
ロキノンである。
【0021】本発明に用いられるジヒドロキシベンゼン
系現像剤に加え、超加成性を示す3-ピラゾリドン系現像
剤、アミノフェノール系現像剤を用いても良い。3-ピラ
ゾリドン系現像主剤の例としては1-フェニル-3-ピラゾ
リドン、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、1-
フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリド
ン、1-フェニル-4,4-ジヒドロキシメチル-3-ピラゾリド
ン、1-フェニル-5-メチル-3-ピラゾリドン、1-p-アミノ
フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、1-p-トリル-
4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、1-p-トリル-4-メチル-4
-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドンなどを挙げることが
できる。
【0022】アミノフェノール系現像剤としてはN-メチ
ル-p-アミノフェノール、p-アミノフェノール、N-(β-
ヒドロキシエチル)-p-アミノフェノール、N-(4-ヒドロ
キシフェニル)グリシン、2-メチル-p-アミノフェノー
ル、p-ベンジルアミノフェノール等があるが、なかでも
N-メチル-p-アミノフェノールが好ましい。
【0023】ジヒドロキシベンゼン系現像剤は通常0.05
モル/l〜2モル/lの量で用いられるのが好ましい。
またジヒドロキシベンゼン類と3-ピラゾリドン類又はア
ミノフェノール類との組合わせを用いる場合には前者を
0.05モル/l〜1.5モル/l、後者を0.2モル/l以下の
量で用いるのが好ましい。
【0024】本発明に用いる亜硫酸塩保恒剤としては亜
硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、重
亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアル
デヒド重亜硫酸ナトリウム等がある。亜硫酸塩は0.3モ
ル/l以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液
中で沈澱して液汚染を引き起こすので、上限は1.2モル
/lとするのが好ましい。
【0025】本発明においては、特開昭56-106244号、
同61-267759号、同61-230145号、同62-211647号、特開
平2-50150号、同2-208652号等に記載されているような
アルカノールアミン化合物(例えば、N-n-ブチルジエタ
ノールアミン、3-ジエチルアミノ-1,2-プロパンジオー
ル、1-ジエチルアミノ-1-エタノール、2-ジエチルアミ
ノ-1-ブタノール、3-ジエチルアミノ-1-プロパノール、
N,N-ジ-n-ブチルエタノールアミンなど)を実質的に含
まないのが好ましい。実質的に含まないとは0.01モル/
l以下の量である。
【0026】本発明において使用される現像液には、有
機溶媒としてジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール等のグリコール類を含有させてもよい。
【0027】本発明における現像液のpH値は、9.5以上
10.7未満であり、9.5より小さいところでは、硬調な画
像が得られず、10.7を越えるpHではカブリの上昇を引
き起こし易い。好ましいpH値は10.0〜10.5である。
【0028】本発明における第1補充液は、現像母液よ
りも活性度の低い現像液である。
【0029】ここで言う現像母液とは、自動現像機中の
現像槽にあって実際に感光材料を現像する、あるいは現
像している現像液のことを言い、第2現像補充液とは、
この現像母液と実質的に同等の活性度を有し現像液でラ
ンニング時の補充液であり、新液調製時の現像母液と実
質的に同等のものを言う。
【0030】本発明で言う現像液の活性度とは、あるハ
ロゲン化銀写真感光材料にウエッジ露光を与えたもの
(コントロールピースと呼ぶ)を、ある現像液で現像し
た時に、現像母液で現像したものに比べ、その現像され
たコントロールピースの持つ感度が低い時にその現像液
の活性度が低い、感度が高い時にその現像液の活性度が
高いと言い、感度の比をもって活性度の比と定義する。
【0031】感度の測定方法としては、例えばあるハロ
ゲン化銀写真感光材料にウエッジを密着し、He-Neレー
ザーにて10-6秒露光を与え、自動現像機で現像及び定着
処理し、得られた試料を光学濃度計で濃度測定し、新液
調製時の現像母液の濃度2.5に於ける感度を100とした時
の相対感度で示す。
【0032】現像液の活性度を変化させるためには、現
像液の組成物の量や種類を変化させることにより達成で
きる。例えば現像主薬、pH、現像抑制剤、現像促進剤
等の種類や量を変化させたり、現像液の希釈度を変化さ
せることにより、現像液の活性度を変化させることがで
きる。
【0033】現像液の活性度を低くする方法としては、
様々な方法があるが、現像主薬を減量する方法、現像液
pHを下げる方法、現像抑制剤を増量する方法、現像液
を水で希釈する方法が好ましい。現像主薬を減量する方
法としては、現像補充液の現像主薬の量が現像開始液の
現像主薬の量の70%〜98%にする事が好ましい。現像液
pHを下げる方法としては、現像補充液のpHが現像開始
液に比べ、0.1〜0.5低いことが好ましい。現像抑制剤を
増量する方法としては、現像補充液に含まれるブロムカ
リのような無機現像抑制剤の量や、5-メチルベンゾトリ
アゾール、5-メチルベンツイミダゾール、5-ニトロイン
ダゾール、アデニン、グアニン、1-フェニル-5-メルカ
プトテトラゾールなどの有機現像抑制剤の量を現像開始
液の現像抑制剤の量の102%〜180%に増量することが好
ましい。現像液を水で希釈する方法としては、現像補充
液を現像開始液よりも2%〜80%多い量の水で希釈する
ことが好ましい。これらの現像液の活性度を低くする方
法のうち、取扱いの簡便さから、現像液を水で希釈する
方法が好ましい。更に近年、運搬性の観点から、現像液
が濃縮液の形で供給され、使用する際に濃縮液の0.3倍
から4倍の量の水で希釈して使うこと多くなっている。
そのため、現像液の活性度を低くするために現像液を水
で希釈する方法としては、現像濃縮液から現像補充液を
作成する場合に、現像濃縮液から現像開始液を作成する
場合より多く、好ましくは2%〜80%多い量の水で希釈
することがより好ましい。
【0034】本発明の第1現像補充液とは、このように
して得られた低活性の現像液であり、好ましくは現像母
液或いは現像母液と同等の活性度を有する第2現像補充
液を水で希釈したもの、或いはpHを低く調整したも
の、現像抑制剤を多く添加したもの、現像主薬の含有量
を少なくしたもの等の現像液である。したがって第2現
像補充液を水で希釈することにより最も簡便に得られ
る。また自動現像機が補充液と補充水を供給できる構造
の場合には、補充液タンクには第2補充液を充填し、第
1補充液は、その活性度となるように第2補充液と補充
水を加えて第1補充液としてもよく、またその量を時間
をずらして別々に供給してもよい。
【0035】本発明においては、自動現像機を停止した
後、次の再開時に、現像条件に応じて予め決められた量
の低活性現像液を補充し、その後通常の補充液をハロゲ
ン化銀写真感光材料の現像条件に応じて決められた量補
充することにより、総補充量において従来に比べ補充量
を低減することができ、かつ安定な処理が可能となるも
のである。
【0036】低活性の第1現像補充液の補充量を設定す
る方法としては、調製直後の現像母液及びランニング後
停滞した現像液の活性度をコントロールピース(ウェッ
ジ露光された標準感光材料)により感度として測定し、
この感度の比(即ち活性度の比)と調製直後の現像母液
の活性度と同等の活性度にするために必要な低活性の第
1現像補充液の補充量との関係を予め測定しておく。 このようにすると、全く感光材料が処理されない場合は、
自動現像機を標準的時間ランニング運転を行い、さらに
標準的放置時間を経た時の現像液を、上記方法と同様に
コントロールピースを現像して得られる感度から調製直
後の現像母液の活性度になるようにするために必要な低
活性補充液の調整量が求められ、1日当たりの処理量が
極少量の場合はこの値に近づくものとなる。
【0037】毎日の調整はコントロールピースによる感
度の測定を行ってのもよいが、実際の自動現像機の運転
にあたっては、標準的感光材料の処理量及び標準的放置
時間(ユーザーの自動現像機によって異なる)に基づい
てあるハロゲン化銀写真感光材料を処理したときの前記
方法により求めた調整量を標準調整量として予め設定
し、それに基づいて調整する方法であっても良い。
【0038】一方、第2現像補充液とは現像母液と実質
的に同等の活性度を有する現像液、即ち従来の補充液に
相当するものあり、その第2補充液の補充量は、ハロゲ
ン化銀写真感光材料の処理量に応じて予め決められた量
添加する。即ち、感光材料により消費される量に応じて
不足分を補充添加するものであるが、従来は、安定な現
像性を得るために必要以上の添加量が用いられてきてい
た。
【0039】本発明においては、低活性の第1補充液を
前述の予め決められた量加えた後、現像母液と同等の活
性度を有する第2現像補充液で補充することにより、第
2補充液は最低必要量を補充するだけで良く、トータル
として低補充化することが可能となったものである。
【0040】第2補充液の補充量は、ランニング中の現
像母液の分析値により、最低補充量を算定し、それ以上
の量が補充されれば特に限定されるものではなく、ハロ
ゲン化銀写真感光材料および自動現像機により各々設定
されるものである。また第1及び第2現像補充液の活性
度の比は3:10〜9:10の範囲であることが好ましい。
これは、第1現像補充液の活性度が低すぎる場合は感度
以外の写真性能上に破綻を来し、また第1現像補充液が
第2現像補充液の活性度に近づきすぎると急激に補充量
軽減の効果が薄れるものであった。
【0041】第2現像補充液の量は好ましくは75〜200m
l/m2であって、処理時間はDry toDryで20〜60秒が好ま
しい。
【0042】本発明の現像液において、現像液中に銀ス
ラッジ防止剤を含有することが好ましい。これは本発明
の現像液中には保恒剤として亜硫酸イオンを含有する
が、この亜硫酸イオンがハロゲン化銀の可溶化剤として
働き、そこに現像剤が作用して金属銀を形成し、自動現
像機のローラやラックに付着し、最終的には感光材料の
表面を汚染すると言う問題が発生する。これらの現象を
防止するために、銀スラッジ防止剤を含有することが好
ましく、特に置換基としてメルカプト基又はチオン基を
有する非ベンゾ縮環含窒素ヘテロ環化合物が好ましい。
含窒素ヘテロ環化合物としては、窒素を含む3ないし10
員環が2環以上縮合したヘテロ環化合物が好ましく、こ
れらのヘテロ環に少なくとも1つのメルカプト基又はチ
オン基が置換された化合物である。
【0043】本発明において、好ましく用いられる化合
物は下記一般式〔I〕で表される化合物である。
【0044】
【化1】
【0045】式中、Z、Yはそれぞれ不飽和の5員環ま
たは、6員環を形成する環(例えば、ピロール、イミダ
ゾール、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジ
ン等)であり、少なくとも一つのメルカプト基またはチ
オン基を有する化合物である。好ましくはZとYを併せ
て三つ以上の窒素原子を含むヘテロ環化合物であり、メ
ルカプト基あるいはチオン基以外の置換基を有していて
もよく、該置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フ
ッ素、塩素、臭素)、低級アルキル基(置換基を有する
ものを含む。メチル基、エチル基等の炭素数5以下のも
のが好ましい。)、低級アルコキシ基(置換基を有する
ものを含む。メトキシ、エトキシ、ブトキシ等の炭素数
5以下のものが好ましい。)、ヒドロキシ基、スルホ
基、低級アルケニル基(置換基を有するものを含む。炭
素数5以下のものが好ましい。)、アミノ基、カルボキ
シル基、カルバモイル基、フェニル基等が挙げられる。
特に、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、スル
ホ基等の水溶性基を持つことが好ましい。更に一般式
〔I〕において次の一般式AからFで表される化合物が
特に好ましい。
【0046】
【化2】
【0047】式中、各々R1、R2、R3、R4は、水素原
子、−SM1基、ハロゲン原子、低級アルキル基(置換基
を有するものを含む。メチル基、エチル基等の炭素数5
以下のものが好ましい。)、低級アルコキシ基(置換基
を有するものを含む。炭素数5以下のものが好まし
い。)、ヒドロキシ基、−COOM2、−SO3M3基、低級アル
ケニル基(置換基を有するものを含む。炭素数5以下の
ものが好ましい。)、アミノ基、カルバモイル基、フェ
ニル基であり、少なくとも一つは−SM1基である。M1
2、M3は各々水素原子、アルカリ金属原子またはアン
モニウム基を表し、同じであっても異なってもよい。特
に、−SM1以外の置換基としはヒドロキシ基、−COOM2
−SO3M3基、アミノ基等の水溶性基を持つことが好まし
い。R1、R2、R3で表されるアミノ基は置換または非
置換のアミノ基を表し、好ましい置換基としては低級ア
ルキル基である。アンモニウム基としては置換または非
置換のアンモニウム基であり、好ましくは非置換のアン
モニウム基である。
【0048】以下に一般式A〜Fで表される化合物の具
体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0049】
【化3】
【0050】
【化4】
【0051】
【化5】
【0052】
【化6】
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】本発明の一般式〔I〕で表される化合物の
使用量は現像液1リットル当たり10-5〜10-1モルである
ことが好ましく、さらには10-4〜10-2モルであることが
特に好ましい。本発明の化合物は公知の化合物であり、
容易に入手することができる。
【0056】本発明の感光材料に用いられるテトラゾリ
ウム化合物は下記一般式〔T〕で表される。
【0057】
【化9】
【0058】式中、R1,R2及びR3は各々水素原子ま
たは置換基を表し、X-はアニオンを表す。
【0059】上記一般式〔T〕において、R1ないしR3
が表す置換基の好ましい例としてアルキル基 (例えばメ
チル、エチル、シクロプロピル、プロピル、イソプロピ
ル、シクロブチル、ブチル、イソブチル、ペンチル、シ
クロヘキシル等)、アミノ基、アシルアミノ基 (例えば
アセチルアミノ)、ヒドロキシ基、アルコキシ基 (例え
ばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペント
キシ等)、アシルオキシ基 (例えばアセチルオキシ)、ハ
ロゲン原子 (例えばフッ素、塩素、臭素等)、カルバモ
イル基、アシルチオ基(例えばアセチルチオ)、アルコキ
シカルボニル基(例えばエトキシカルボニル)、カルボキ
シル基、アシル基 (例えばアセチル)、シアノ基、ニト
ロ基、メルカプト基、スルホオキシ基、アミノスルホキ
シ基のような基が挙げられる。
【0060】前記X-で示されるアニオンとしては、例
えば塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲ
ンイオン、硝酸、硫酸、過塩素酸等の無機酸アニオン、
スルホン酸、カルボン酸等の有機酸アニオン、アニオン
系の活性剤等、具体的にはp-トルエンスルホン酸アニオ
ン等の低級アルキルベンゼンスルホン酸アニオン、p-ド
デシルベンゼンスルホン酸アニオン等の高級アルキルベ
ンゼンスルホン酸アニオン、ラウリルスルフェートアニ
オン等の高級アルキル硫酸エステルアニオン、テトラフ
ェニルボロン等の硼酸系アニオン、ジ-2-エチルヘキシ
ルスルホサクシネートアニオン等のジアルキルスルホサ
クシネートアニオン、セチルポリエテノキシサルフェー
トアニオン等のアルキルポリアルキルエーテル硫酸エス
テルアニオン、ステアリン酸アニオン等の高級脂肪族ア
ニオン、ポリアクリル酸アニオン等のポリマーアニオン
等を挙げることができる。
【0061】以下、本発明に用いられる一般式〔T〕で
表される化合物の具体例を下記に挙げるが、本発明の化
合物はこれに限定されるものではない。
【0062】
【化10】
【0063】本発明に用いられるテトラゾリウム化合物
は、例えばケミカル・レビュー(Chemical Reviews)第
55巻、第335頁〜483頁に記載の方法にしたがって容易に
合成することができる。
【0064】本発明に用いられる前記一般式〔T〕で表
されるテトラゾリウム化合物は、本発明のハロゲン化銀
写真感光材料に含有されるハロゲン化銀1モル当たり約
1mg以上約10gまで、好ましくは約10mg以上約2gの範
囲で用いられる。
【0065】前記一般式〔T〕で表されるテトラゾリウ
ム化合物は1種を単独で用いても良く、また2種以上を
適宜の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0066】本発明に用いられるヒドラジン誘導体とし
ては、例えば下記一般式〔H〕で表される化合物であ
る。
【0067】
【化11】
【0068】式中、Aはアリール基、又は硫黄原子また
は酸素原子を少なくとも1個を含む複素環を表し、Gは
−(CO)n−基、スルホニル基、スルホキシ基、−P(=O)R
2−基、またはイミノメチレン基を表し、nは1または
2の整数を表し、A1、A2はともに水素原子あるいは一
方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルス
ルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表
し、Rは水素原子、各々置換もしくは無置換のアルキル
基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケ
ニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、
アミノ基、カルバモイル基、またはオキシカルボニル基
を表す。R2は各々置換もしくは無置換のアルキル基、
アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ
基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリー
ルオキシ基、アミノ基等を表す。
【0069】本発明においてはこれらのうち更に下記一
般式〔H−c〕又は〔H−d〕で表される化合物が好ま
しい。
【0070】
【化12】
【0071】式中、Aはアリール基、又は、硫黄原子又
は酸素原子を少なくとも一つ含む複素環基を表し、nは
1又は2の整数を表す。n=1の時、R15及びR16はそ
れぞれ水素原子、各々置換もしくは無置換のアルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環
基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ
基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、又はヘテ
ロ環オキシ基を表し、R15とR16は窒素原子と共に環を
形成してもよい。n=2の時、R15及びR16はそれぞれ
水素原子、各々置換もしくは無置換のアルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、アリール基、飽和又は不飽和
複素環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオ
キシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、又は
ヘテロ環オキシ基を表す。ただしn=2の時、R15及び
16のうち少なくとも一方はアルケニル基、アルキニル
基、飽和複素環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アル
ケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ
基、又はヘテロ環オキシ基を表すものとする。R17はア
ルキニル基又は飽和複素環基が好ましい。
【0072】一般式〔H−c〕又は〔H−d〕で表され
る化合物には、式中の−NHNH−の少なくともいずれかの
Hが置換基で置換されたものを含む。
【0073】更に詳しく説明すると、Aはアリール基
(例えば、フェニル、ナフチル等)、又は、硫黄原子又
は酸素原子を少なくとも一つ含む複素環基(例えば、チ
オフェン、フラン、ベンゾチオフェン、ピラン、等)を
表す。
【0074】R15、R16およびR17はそれぞれ水素原
子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、メトキシエ
チル、シアノエチル、ヒドロキシエチル、ベンジル、ト
リフルオロエチル等)、アルケニル基(例えば、アリ
ル、ブテニル、ペンテニル、ペンタジエニル等)、アル
キニル基(例えば、プロパルギル、ブチニル、ペンチニ
ル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、シ
アノフェニル、メトキシフェニル等)、複素環基(例え
ば、ピリジン、チオフェン、フランの様な不飽和複素環
基及びテトラヒドロフラン、スルホランの様な飽和複素
環基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキ
シ、エトキシ、ベンジルオキシ、シアノメトキシ等)、
アルケニルオキシ基(例えば、アリルオキシ、ブテニル
オキシ等)、アルキニルオキシ基(例えば、プロパルギ
ルオキシ、ブチニルオキシ等)、アリールオキシ基(例
えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等)、又はヘテロ環
オキシ基(例えば、ピリジルオキシ、ピリミジルオキシ
等)を表し、n=1の時、R15とR16は窒素原子と共に
環(例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等)
を形成してもよい。
【0075】ただしn=2の時、R15及びR16のうち少
なくとも一方はアルケニル基、アルキニル基、飽和複素
環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ
基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基又はヘテロ
環オキシ基を表すものとする。
【0076】R17はアルキニル基及び飽和複素環環基が
好ましく、その具体例としては、上述したようなものが
挙げられる。
【0077】Aで表されるアリール基、又は、硫黄原子
又は酸素原子を少なくとも一つ有する複素環基に、種々
の置換基が導入できる。導入できる置換基としては例え
ばハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、スルホニル基、アルコキシカルボ
ニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、スルファモイル基、アシル基、アミノ基、アルキル
アミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、スルホ
ンアミド基、アリールアミノチオカルボニルアミノ基、
ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シ
アノ基などが挙げられる。これらの置換基のうちスルホ
ンアミド基が好ましい。
【0078】各一般式中、Aは耐拡散基又はハロゲン化
銀吸着促進基を少なくとも一つ含むことが好ましい。
【0079】耐拡散基としてはカラー写真感光材料に用
いられるカプラー等の不動性写真用添加剤において常用
されているバラスト基が好ましい。バラスト基は8以上
の炭素数を有する写真性に対して比較的不活性な基であ
り、例えばアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ア
ルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ
基などの中から選ぶことができる。
【0080】ハロゲン化銀吸着促進基としてはチオ尿素
基、チオウレタン基、複素環チオアミド基、メルカプト
複素環基、トリアゾール基などの米国特許4,385,108号
に記載された基が挙げられる。
【0081】一般式〔H−c〕及び〔H−d〕中の−NH
NH−のH、即ちヒドラジンの水素原子は、スルホニル基
(例えばメタンスルホニル、トルエンスルホニル等)、
アシル基(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、
エトキシカルボニル等)、オキザリル基(例えば、エト
キザリル、ピルボイル等)等の置換基で置換されていて
もよく、一般式〔H−c〕及び〔H−d〕で表される化
合物はこのようなものをも含む。
【0082】本発明においてより好ましい化合物は、一
般式〔H−c〕のn=2の場合の化合物、及び一般式
〔H−d〕の化合物である。
【0083】一般式〔H−c〕のn=2の化合物におい
て、R15及びR16が水素原子、アルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、アリール基、飽和又は不飽和複素環
基、ヒドロキシ基、又はアルコキシ基であり、かつR31
及びR32のうち少なくとも一方はアルケニル基、アルキ
ニル基、飽和複素環基、ヒドロキシ基、又はアルコキシ
基を表す化合物が更に好ましい。
【0084】上記一般式〔H−c〕,〔H−d〕で表さ
れる代表的な化合物としては、以下に示すものがある。
但し当然のことであるが、本発明において用い得る一般
式〔H−c〕,〔H−d〕の具体的化合物は、これらの
化合物に限定されるものではない。
【0085】
【化13】
【0086】
【化14】
【0087】
【化15】
【0088】
【化16】
【0089】上記以外の具体的化合物としては、特開平
2-841号542(4)頁〜546(8)頁に記載されている化
合物例(1)〜(61)及び(65)〜(75)がある。
【0090】本発明におけるヒドラジン誘導体は特開平
2-841号546(8)頁〜550(12)頁に記載されている方法で合
成することができる。
【0091】本発明のヒドラジン誘導体の添加位置はハ
ロゲン化銀乳剤層及び/又は隣接層である。添加量は銀
1モル当たり1×10-6〜1×10-1モルが好ましく、さら
に好ましくは銀1モル当たり1×10-5モル〜1×10-2
ルである。
【0092】またヒドラジン誘導体を含有する場合は、
造核促進剤をハロゲン化銀乳剤層及び/または支持体上
のハロゲン化銀乳剤層側にある非感光性層に含むことが
好ましい。更に好ましくは、下記一般式〔Na〕で表され
る造核促進剤を少なくとも一種、ハロゲン化銀乳剤層及
び/または支持体上のハロゲン化銀乳剤層側にある非感
光性層に含むことである。
【0093】
【化17】
【0094】一般式〔Na〕において、R11、R12、R13
は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル
基、置換アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置
換アリール基を表す。R11、R12、R13で環を形成する
ことができる。特に好ましくは脂肪族の3級アミン化合
物である。
【0095】更にこれらの化合物は分子中に耐拡散性基
又はハロゲン化銀吸着基を有するものが好ましい。耐拡
散性を有するためには分子量100以上の化合物が好まし
く、さらに好ましくは分子量300以上である。又、好ま
しい吸着基としては複素環、メルカプト基、チオエーテ
ル基、チオン基、チオウレア基などが挙げられる。
【0096】以下にこれら造核促進剤〔Na〕の具体例を
挙げる。
【0097】
【化18】
【0098】
【化19】
【0099】
【化20】
【0100】
【化21】
【0101】上記以外に好ましい化合物としては米国特
許5,229,248号報80頁から125頁に記載された化合物があ
る。
【0102】本発明に用いられるヒドラジン誘導体また
は造核促進剤は、ハロゲン化銀乳剤層側の層ならば、ど
の層にも用いることができるが、好ましくはハロゲン化
銀乳剤層又はその隣接層に用いることが好ましい。ま
た、添加量はハロゲン化銀粒子の粒径、ハロゲン組成、
化学増感の程度、抑制剤の種類などにより最適量は異な
るが、一般的にハロゲン化銀1モル当たり10-6〜10-1
ルの範囲が好ましく、特に10-5〜10-2モルの範囲が好ま
しい。
【0103】本発明に用いられるヒドラジン誘導体又は
造核促進剤は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造する場
合の任意の時期(例えば、ハロゲン化銀粒子形成中、粒
子形成後から化学増感までの間または化学増感終了後か
ら塗布までの間)に添加できる。また塗布後、ヒドラジ
ン誘導体及び造核促進剤を含有する溶液を粉霧したり、
塗布したりして感光材料中に添加することもできる。
【0104】本発明に用いられるヒドラジン誘導体又は
造核促進剤を添加する場合は、各種の溶媒(例えば、
水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、
ジメチルホルムアミドや各種高沸点溶媒等)に溶解した
後添加される。もう一つの添加方法として、溶媒に溶解
した後にゼラチン溶液と共に超音波分散やボールミル等
のメディア分散を行った後に分散溶液状態で添加され
る。さらにもう一つの添加方法として、ヒドラジン誘導
体及び造核促進剤を溶媒で溶解後にpH等を変化させて
沈降させることで生じた固体微粒子体やヒドラジン誘導
体及び造核促進剤をボールミル等のメディア分散を行う
ことで生じた固体微粒子体で添加される。
【0105】本発明の現像液には本発明の化合物の他に
ブロムカリなど無機現像抑制剤及び5-メチルベンゾトリ
アゾール、5-メチルベンツイミダゾール、5-ニトロイン
ダゾール、アデニン、グアニン、1-フェニル-5-メルカ
プトテトラゾールなどの有機現像抑制剤、エチレンジア
ミン四酢酸等の金属イオン捕捉剤、メタノール、エタノ
ール、ベンジルアルコール、ポリアルキレンオキシド等
の現像促進剤、アルキルアリールスルホン酸ナトリウ
ム、天然のサポニン、糖類又は前記化合物のアルキルエ
ステル物等の界面活性剤、グルタルアルデヒド、ホルマ
リン、グリオキザール等の硬膜剤、硫酸ナトリウム等の
イオン強度調整剤等の添加することができる。
【0106】本発明において使用される現像液には、有
機溶媒としてジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール等のグリコール類を含有させてもよい。
【0107】本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤(以
下ハロゲン化銀乳剤乃至単に乳剤などと称する。)に
は、ハロゲン化銀として例えば60モル%以上の塩化銀を
含む塩臭化銀、沃塩臭化銀又は塩化銀である。
【0108】また(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×
100で表される変動係数15%以下である単分散粒子が好
ましい。
【0109】本発明のハロゲン化銀乳剤には当業界公知
の各種技術、添加剤等を用いることができる。
【0110】例えば、本発明で用いるハロゲン化銀写真
乳剤及びバッキング層には、各種の化学増感剤、色調
剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、
現像抑制剤、紫外線吸収剤、イラジェーション防止剤染
料、重金属、マット剤等を各種の方法で更に含有させる
ことができる。又、本発明ハロゲン化銀写真乳剤及びバ
ッキング層中にはポリマーラテックスを含有させること
ができる。
【0111】これらの添加剤は、より詳しくは、リサー
チディスクロージャ(RD)No.17643(1978年12月)および同
18716(1979年11月)に記載されており、その該当個所を
以下にまとめて示した。
【0112】 添加剤種類 RD17643 RD18716 1.化学増感剤 23頁 648頁右欄 2.感度上昇剤 同上 3.分光増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 強色増感剤 649頁右欄 4.増白剤 24頁 5.かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄 6.光吸収剤、フイルター染料 25〜26頁 649頁右欄〜 紫外線吸収剤 650頁左欄 7.ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8.色素画像安定剤 25頁 9.硬膜剤 26頁 651頁左欄 10.バインダー 26頁 同上 11.可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12.塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 同上
【0113】
【実施例】以下に本発明の具体的実施例を述べるが、本
発明の実施の態様はこれらに限定されるものではない。
【0114】実施例1 (ハロゲン化銀写真乳剤Aの調製)同時混合法を用いて
塩臭化銀乳剤(銀1モル当たり塩化銀70モル%)を調製
した。この混合時にK2IrCl6を銀1モル当たり8×10-7
モル添加した。得られた乳剤は、平均粒径0.20μmの立
方体単分散度粒子(変動係数9%)からなる乳剤であっ
た。下記のSD−1を8mg/m2添加した後、常法により
水洗、脱塩した。脱塩後の40℃のpAgは8.0であった。そ
の後化合物〔A〕〔B〕〔C〕の混合物を添加した後、
金硫黄増感を施して乳剤Aを得た。
【0115】
【化22】
【0116】(ハロゲン化銀写真感光材料の調製)両面
に厚さ0.1μmの下塗層(特開昭59-19941号の実施例1参
照)を施した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート
フィルムの一方の下引層上に、下記処方(1)のハロゲ
ン化銀乳剤層をゼラチン量が2.0g/m2、銀量が3.2g/
m2になる様に塗設し、更にその上に下記処方(2)の乳
剤保護層をゼラチン量が1.0g/m2になる様に塗設し、
又反対側のもう一方の下塗層上には下記処方(3)に従
ってバッキング層をゼラチン量が2.4g/m2になる様に
塗設し、更にその上に下記処方(4)のバッキング保護
層をゼラチン量が1g/m2になる様に塗設して試料を得
た。
【0117】 処方(1)(ハロゲン化銀乳剤層組成) ゼラチン 乳剤層として2.0g/m2になる量 ハロゲン化銀乳剤A 銀量 3.2g/m2
【0118】
【化22】
【0119】 安定剤:4-メチル-6-ヒドロキシ-1,3,3a,7-テトラザインデン 30mg/m2 ST−1 40mg/m2 カブリ防止剤;5-ニトロインダゾール 5mg/m2 界面活性剤:サポニン 0.1g/m
【0120】
【化23】
【0121】
【化24】
【0122】処方(3)(バッキング層組成)
【0123】
【化25】
【0124】 ゼラチン 2.4
g/m2 界面活性剤:サポニン 0.1g/m2 :S−1 6mg/m2 コロイダルシリカ 100mg/m2 処方(4)(バッキング保護層組成) ゼラチン 1g/m2 マット剤:平均粒径3.5μmの単分散ポリメチルメタアクリート 40mg/m 界面活性剤:S−2 10m
g/m2 硬膜剤:グリオキザール 25mg/m2 :H−1(下記に示す) 35mg/m2
【0125】
【化26】
【0126】〔写真性能の評価〕得られた感光材料を裁
断し、コントロールピース用試料および大全試料を作成
した。コントロールピース用試料にはウエッジを密着し
て、He-Neレーザーにて10-6秒露光を与えコントロール
ピースを作成し、表1に示す組成の現像母液および定着
液を投入したコニカ(株)社製迅速処理用自動現像機GR-2
6SRにて下記条件で処理した。
【0127】得られた試料を光学濃度計コニカPDA-65で
濃度測定をし、新液時の濃度2.5に於ける感度を100とし
た相対感度で示し、更に濃度0.1と2.5との正接をもって
ガンマを表示した。8.0未満のガンマ値では硬調化が不
十分であり使用不可能である。
【0128】〔黒ポツの評価〕上記で得られた現像ずみ
の試料の未露光部を40倍ルーペを使って目視評価した。
全く黒ポツの発生していないものを最高ランク「5」と
し、発生する黒ポツの発生度に応じてランク「4」、
「3」、「2」、「1」とそのランクを順次下げて評価
するものとする。ランク「2」及び「1」では実用上好
ましくないレベルである。
【0129】 定着液処方 チオ硫酸アンモニウム(70%W/V水溶液) 6000ml 亜硫酸ナトリウム 720g 酢酸ナトリウム・3水塩 959.4g 硼酸 293.4g 酢酸(90%w/v水溶液) 410.1ml 酒石酸 90g 硫酸アルミニウム(Al2O3換算含量が8.1%W/Vの水溶液) 600ml 水を加えて10.9lの濃縮液に仕上げた。
【0130】定着液の使用時に水を加えて30lに仕上げ
て用いた。この定着液の使用時pHは4.9であった。
【0131】(現像処理条件)時間はワタリの時間を含
む。
【0132】 (工程) (温度) (時間) 現像 38℃ 12秒 定着 35℃ 10秒 水洗 30℃ 10秒 乾燥 50℃ 13秒 合計 45秒 第1現像補充液組成を表1に示した。
【0133】
【表1】
【0134】第1補充液の補充量の設定方法 現像母液だけを用い、コントロールピースを現像したの
ち、一日中(8時間)感光材料を処理することなく、現
像液を補充せずポンプ等を通常稼働させ、ついで1晩停
止させた後、翌朝、コントロールピースを現像し、現像
液の活性度が前日朝の活性度と同じレベルになるのに必
要な補充液量を求めた。表1に示す第1補充液(1〜
4)は、いずれも1000mlが必要であった。
【0135】これは自動現像機(タンク容量、開口
率)、現像液、処理温度、感光材料等によって異なる。
この場合の液活性が同じになるとは感光材料の感度が同
じになるという意味である。
【0136】実験1〜7 いずれも現像母液を用い、大全試料(50.8×61.0mm)に
黒化率80%となるように露光を与えた感光材料を1枚処
理するのに応じて、表2に示す補充液を補充した。
【0137】実験1は第1補充液は添加せず、第2補充
液として現像母液を試料1枚あたり50mlづつ添加した。
実験2は第1補充液は実験1を同様に補充せず、第2補
充液として現像母液を試料1枚あたり90mlづつ添加し
た。一方、実験3〜6は表2に示す様に、本発明の低活
性の第1補充液を1000ml添加した後、第2補充液として
現像母液を試料1枚あたり50mlづつ添加した。実験7は
試料20枚処理するまでは1枚処理する毎に50mlづつ第1
補充液(1)を補充し、20枚処理して低活性補充液を10
00ml添加した後は第2補充液として現像母液を試料1枚
処理する毎に50mlづつ添加した。
【0138】以上の結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】表2の結果から明らかなように実験1の場
合は感度上昇、カブリ、黒ポツの劣化が大きい。これに
対して本発明の実験3〜7では、新液時と変わりなく安
定した処理ができる。現像母液補充の場合は実験2の様
に初期からかなり大幅に補充量を増量しないと、感度、
ガンマ、かぶり、黒ポツが本発明と同様な安定な現像性
がえられないことがわかる。
【0141】実施例2 (乳剤Bの調製)0.13モルの硝酸銀水溶液と、0.04モル
の臭化カリウムと0.09モルの塩化ナトリウムを含むハロ
ゲン塩水溶液を、塩化ナトリウムを含むゼラチン水溶液
に、撹拌しながら60℃で、12分間ダブルジェット法によ
り添加し、平均粒子サイズ0.13μm、塩化銀含有量70%
の塩臭化銀粒子を得ることにより核形成を行なった。続
いて同様に0.87モルの硝酸銀水溶液と、0.26モルの臭化
カリウムと、0.65モルの塩化ナトリウムを含むハロゲン
塩水溶液をダブルジェット法により、20分間かけて添加
した。その後常法に従いフロキュレーション法により水
洗し、ゼラチン50gを加えpH6.0、pAg7.5に調整し、さ
らに銀1モル当たりデオキシリボ核酸127mg、チオ硫酸
ナトリウム5mg及び8mgの塩化金酸を加え、60℃で75分
間加熱し、化学増感処理を施し、安定剤として4-ヒドロ
キシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラザインデン150mgを加え
た。得られた粒子は、平均粒子サイズ0.25μm、塩化銀
含有量70%の塩臭化銀立方体粒子であった。
【0142】(塗布試料の作成)増感色素として1-(β-
ヒドロキシエチル)-3-フェニル-5-〔(3-α-スルホプロ
ピル-α-ベンゾオキサイゾリデン)-エチリデン〕チオヒ
ダントインを乳剤中のハロゲン化銀1モル当り150mg添
加した。
【0143】又、 i)テトラゾリウム化合物として前記化合物T−13を80
0mg/Agモルを添加した。更にp-ドデシルベンゼンスル
ホン酸ソーダ300mg、スチレン-マレイン酸共重合体ポリ
マー2g、スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸共
重合体ラテックス(平均粒径約0.25μm)15gを加えて、
Ag量3.5g/m2、ゼラチン量2.0g/m2になるように特開
昭59-19941号公報実施例(1)に記載の下引を施したポ
リエチレンテレフタレートフィルムベース上に塗布し
た。その際ゼラチン量1.0g/m2になるように延展剤と
して、1-デシル-2-(3-イソペンチル)サクシネート-2-ス
ルホン酸ソーダを30mg/m2加え、更に硬膜剤としてホル
マリン25mg/m2を含む保護層を同時重層塗布した。得ら
れた感光材料より実施例1と同様にしてコントロールピ
ース用試料および大全試料を作成した。得られた各試料
について、下記に示すセンシトメトリーを行なった。
【0144】<露光> タングステン感光計 2854K 5″ <現像処理条件> (工程) (温度) (時間) 現像 34℃ 15秒 定着 34℃ 約15秒 水洗 常温 約12秒 乾燥 50℃ 10秒 自動現像機、現像母液、現像補充液、定着液は実施例1
と同じものを用いた。
【0145】現像処理した試料について写真特性曲線を
書き、コントラストは光学濃度0.2及び1.5を与える露光
量に対するガンマ値で示した。
【0146】感度は濃度2.5における試料No.1の感度を
100とした相対感度で示した。
【0147】各試料の感度、コントラスト、カブリを表
3に示した。
【0148】第1補充液の補充量の設定方法 現像母液を用い、コントロールピースを現像したのち、
標準処理量として一日8時間、大全試料(サイズ50.8×
61.0mm)、黒化率80%の感光材料を50枚処理した。なお
1枚処理する毎に補充液として40mlづつ現像母液を補充
した。ついで1晩停止させた後、翌朝、コントロールピ
ースを現像し、現像液の活性度が前日朝の活性度と同じ
レベルになるのに必要な補充液量を求めた。補充液は実
施例1と同様の第1補充液(1〜4)を用いた。いずれ
も800mlが必要であった。
【0149】実験21〜27 いずれも現像母液を用い、大全試料(50.8×61.0mm)に
黒化率80%となるように露光を与えた感光材料を1枚処
理するのに応じて、表3に示す補充液を補充した。
【0150】実験21は第1補充液は添加せず、第2補充
液として現像母液を試料1枚あたり40mlづつ添加した。
実験22は第1補充液は実験1と同様添加せず、第2補充
液として現像母液を試料1枚あたり75mlづつ添加した。
一方、実験23〜26は表3に示す様に、本発明の低活性の
第1補充液を800ml添加した後、第2補充液として現像
母液を試料1枚あたり40mlづつ添加した。実験27は試料
20枚処理するまでは、1枚処理する毎に40mlづつ第1補
充液(1)を添加し、20枚処理して低活性補充液を1000
ml添加した後は第2補充液として現像母液を試料1枚処
理する毎に50mlづつ添加した。
【0151】以上の結果を表3に示す。
【0152】
【表3】
【0153】表3の結果から明らかなように実験21の場
合は感度上昇、カブリ、黒ポツの劣化が大きい。これに
対して本発明の実験23〜27では、新液時と変わりなく安
定した処理ができる。現像母液補充の場合は実験22の様
に初期からかなり大幅に補充量を増量しないと、感度、
ガンマ、かぶり、黒ポツが本発明と同様な安定な現像性
がえられないことがわかる。
【0154】
【発明の効果】本発明により、迅速処理において低補充
化が可能でしかも性能に悪影響がなく、現像液の安定性
も良好な現像処理方法を提供することができた。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 5/31 G03C 1/035 G03C 1/06 501 G03C 5/305

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に平均塩化銀含有率が60モル%
    以上であるハロゲン化銀から実質的になるハロゲン化銀
    乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料を、ジヒドロ
    キシベンゼン系現像剤および亜硫酸イオンを含有し、p
    H9.5以上10.7未満の現像液を用いて自動現像機で現像
    処理する方法において、現像母液より低活性の第1現像
    補充液を、現像条件に応じて予め決められた量補充した
    後、現像母液と実質的に同等の活性を有する第2現像補
    充液を補充することを特徴とするハロゲン化銀写真感光
    材料の処理方法。
  2. 【請求項2】 現像母液より低活性の第1現像補充液の
    活性度と現像母液と実質的に同等の活性を有する第2現
    像補充液の活性度の比が3:10〜9:10であることを特
    徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料の
    処理方法。
  3. 【請求項3】 現像母液より低活性の第1現像補充液を
    現像条件に応じて予め決められた量補充した後、現像母
    液と実質的に同等の活性を有する第2現像補充液を、現
    像されるハロゲン化銀写真感光材料に応じてその処理量
    当たり決められた量補充することを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処
    理方法。
  4. 【請求項4】 現像母液より低活性の第1現像補充液を
    現像条件に応じて予め決められた量補充した後、現像母
    液と実質的に同等の活性を有する第2現像補充液を、現
    像されるハロゲン化銀写真感光材料の1m2あたり75〜20
    0mlの量で補充することを特徴とする請求項1、2また
    は請求項3に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方
    法。
  5. 【請求項5】 上記ハロゲン化銀乳剤層及び/またはそ
    の隣接層にヒドラジン誘導体を含有することを特徴とす
    る請求項1、2、3または請求項4に記載のハロゲン化
    銀写真感光材料の処理方法。
  6. 【請求項6】 上記ハロゲン化銀乳剤層及び/またはそ
    の隣接層にテトラゾリウム化合物を含有することを特徴
    とする請求項1、2、3または請求項4に記載のハロゲ
    ン化銀写真感光材料の処理方法。
  7. 【請求項7】 第1現像補充液が第2現像補充液に比べ
    現像主薬量が少ないことを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5または請求項6に記載のハロゲン化銀写真感
    光材料の処理方法。
  8. 【請求項8】 第1現像補充液が第2現像補充液に比べ
    pHが低いことを特徴とする請求項1、2、3、4、5
    または請求項6に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処
    理方法。
  9. 【請求項9】 第1現像補充液が第2現像補充液に比べ
    現像抑制剤量が多いことを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5または請求項6に記載のハロゲン化銀写真感
    光材料の処理方法。
  10. 【請求項10】 第1現像補充液が第2現像補充液を水
    で希釈した液であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5または請求項6に記載のハロゲン化銀写真感
    光材料の処理方法。
  11. 【請求項11】 第1現像補充液が第2現像補充液と水
    を同時または別々に補充することを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5または請求項6に記載のハロゲン化
    銀写真感光材料の処理方法。
  12. 【請求項12】 上記現像母液および補充液中に置換基
    としてメルカプト基またはチオン基を有する非ベンゾ縮
    環含窒素ヘテロ環化合物を含有することを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または請
    求項11に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
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