JP3401547B2 - 家畜用飼料およびその製造方法 - Google Patents
家畜用飼料およびその製造方法Info
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Description
その大部分が処理されている、生醤油粕を、有効利用す
るための技術に関するものである。
工程において、熟成もろみの絞り粕である生醤油粕が、
大量に発生する。かかる生醤油粕は、大豆を主成分とす
るものであり、残存する栄養成分の点から見れば、二次
的な利用価値は十分にある。しかしながら、生醤油粕
は、特有の臭気を放ち、また、相当量の塩分を含んでい
るという欠点も持ち合わせており、実際の需要は現時点
でほとんど無く、その多くは、焼却処理の後若しくは焼
却処理されることもなく、埋立処分されることが多い。
粕に含まれる塩分は、焼却炉の劣化を早める原因とな
る。また、CO2の削減が強く求められている今日で
は、廃棄物処理のために生醤油粕を燃焼させることは、
環境問題に対する配慮に欠けることにもなる。加えて、
埋立後に周囲に与える塩害も環境上好ましいものではな
い。
ではなく、生醤油粕の残存栄養分を有効利用するため
に、生醤油粕の含有水分を蒸発させることによって、特
有の臭気を抑え込み、かかる後に家畜用の飼料として用
いる例もある。
で発生する生醤油粕の水分含有量は一般的に30%程度で
あるが、飼料として使用可能な程度まで臭気を抑え込む
ためには、通常の飼料の乾燥度(13〜15%)を下回る状
態(8%以下)となるまで乾燥させる必要がある。この
ため、結局は化石燃料を大量に使用することとなり、燃
料コストの増大、CO2の排出量の増大を避けることが
できない。また、乾燥させた生醤油粕は高い吸湿性を持
つので、管理方法の如何によってはすぐに湿気を帯び
て、再び臭気を発生させるものとなってしまう。よっ
て、乾燥した生醤油粕は、必要以上に水分含有量が少な
く、家畜にとって嗜好性の極めて低いものとなり、家畜
の効率的な生育を望む畜産家にとっても、魅力的な飼料
とはいえない。
粕を家畜用の飼料として用いるメリットは少なく、十分
にその有効活用を図るまでには至っていない。本発明は
上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とする
ところは、従来、産業廃棄物として大部分が処理されて
いる生醤油粕を、商品価値の高い配合飼料として有効利
用することを可能とし、畜産コストの低減、我国の環境
対策の促進、食料自給率の向上を図ることにある。
の本発明の請求項1に係る家畜用飼料は、生醤油粕をペ
レット状に固めた芯部と、該芯部を覆う粘性液体層と、
該粘性液体層を覆う粉末飼料層と、を有することを特徴
とする。
固めることにより、搬送・給飼等、当該配合飼料の取扱
いの際に必要な、流動性を高める。また、該芯部を粘性
液体層で覆うことにより、該粘性液体層で生醤油粕特有
の臭気を封じ込め、家畜にとっての嗜好性を高める。さ
らに、該粘性液体層を粉末飼料層で覆うことにより、前
記粘性液体層の粘性による、当該家畜用飼料の粒同士の
粘着や、他の部分への付着を防止し、取扱い性を確保す
る。なお、本説明において「流動性が高い」とは、乾燥
処理した醤油粕は軽く、浮遊性があり、微量でも発臭す
るので、搬送工程で醤油粕が付着、残留することを防ぐ
必要があることに鑑みて、かかる醤油粕の付着、残留が
少ないことを意味する。
は、破砕された生醤油粕にバインダーを混入してペレッ
ト状に固めた芯部と、該芯部を覆う嗜好性の高い粘性液
体からなる層と、該粘性液体層を覆う嗜好性の高い粉末
飼料からなる層と、を有することを特徴とする。
際し、通常は板状塊の状態で取り扱われる生醤油粕を必
要な大きさへと粉砕し、ペレット状にする際の、成形性
を高める。また、粉砕された生醤油粕にバインダーを混
入して、固化を容易とする。そして、ペレット状に固め
ることにより、搬送・給飼等、当該配合飼料の取扱いの
際に必要な、流動性を高める。また、該芯部を、嗜好性
の高い粘性液体層で覆うことにより、該粘性液体層で生
醤油粕特有の臭気を封じ込め、家畜の嗜好性を高める。
さらに、該粘性液体層を家畜の嗜好性の高い粉末飼料層
で覆うことにより、前記粘性液体層の粘性による、ペレ
ット同士や他の部分への付着を防止し、取扱い性を確保
する。
は、家畜の好む味・匂い等を有していること、短時間で
多くの量を食べることができること(家畜にとっての食
べ易さ)等を意味する。
の製造方法は、生醤油粕をペレット状に固めた芯部を形
成し、該芯部の表面を粘性液体で覆い、該粘性液体に粉
末飼料層を付着させる、各工程を含むことを特徴とす
る。
に固めて、搬送・給飼等、当該配合飼料の取扱いの際に
必要な流動性を高めた状態で、該芯部を粘性液体層で覆
うことにより、該粘性液体層で生醤油粕特有の臭気を封
じ込め、家畜の嗜好性を高める。しかしながら、該粘性
液体層の粘性は、該ペレットの取扱い性を低下させるこ
とになる。そこで、前記粘性液体層を粉末飼料層で覆う
ことにより、前記粘性液体層の粘性による、ペレット同
士や他の部分への付着を防止し、取扱い性を確保する。
の製造方法は、生醤油粕を所定の大きさに破砕し、破砕
された生醤油粕にバインダーを混合し、該生醤油粕を固
めてペレットに成形し、該ペレットを乾燥させ、乾燥し
たペレットの表面を粘性液体で覆い、該粘性液体に粉末
飼料を付着させる、各工程を含むものである。
取り扱われる生醤油粕を、必要な大きさへと粉砕するこ
とで、ペレットにする際の成形性を高める。続いて、粉
砕された生醤油粕にバインダーを混入して、固化を容易
とする。そして、ペレット状に固めることにより、搬送
・給飼等、当該配合飼料の取扱いの際に必要な流動性を
持たせる。また、該ペレットを乾燥させた後、家畜の嗜
好性の高い粘性液体層で覆うことにより、該粘性液体層
で生醤油粕特有の臭気を封じ込め、家畜の嗜好性を高め
る。しかしながら、該粘性液体層の粘性は、該ペレット
の取扱い性を低下させることになる。そこで、該粘性液
体層を家畜の嗜好性の高い粉末飼料層で覆うことによ
り、前記粘性液体層の粘性による、ペレット同士や他の
部分への付着を防止し、取扱い性を確保すると共に、家
畜の嗜好性を高める。
図面に基づいて説明する。
飼料1の構造的特徴を、一部断面で示した立体図であ
る。この家畜用飼料1は、生醤油粕をペレット状に固め
た芯部2と、芯部2の表面を覆う粘性液体層3と、粘性
液体層3を覆う粉末飼料層4とで構成されている。な
お、芯部2に対する粘性液体層3及び粉末飼料層4の厚
さの比率は、説明の便宜を考慮して、実際よりも大きく
なるように図示されている。また、図示の例では、家畜
用飼料1は円柱形をなしているが、この形状に限定され
るものではなく、球形、まゆ形、ドーナツ形、直方体、
円筒形等、様々な形状とすることができる。
れる生醤油粕を、必要な大きさへと粉砕し、これにバイ
ンダーを混入して、ペレット状に成形固化したものであ
る。ここで用いられるバインダーは、例えば、澱粉質を
豊富に含むものを用いる。その具体例としては、とうも
ろこし、小麦、末粉、ライ麦、大麦、米、コーンスター
チのいずれか一種類、若しくは、これらのうち複数種類
を混合したものが挙げられる。また、バインダーの別例
として、植物性繊維質を豊富に含むものが用いられる。
その具体例としては、ふすま、コーングルテンフィード
の一方若しくは双方を混合したもの等が挙げられる。
いものを用いることが好ましく、具体例としては、廃糖
蜜液またはその副産物、コーンスチープリカー、油脂等
が挙げられる。また、粉末飼料層4も、家畜の嗜好性の
高いものを用いることが好ましく、具体例として、牧草
粉や嗜好性の良好な配合飼料原料粉末を用いる。
で、残存する栄養成分及び塩分は、家畜に与えるに適し
たものであるが、更に栄養成分を向上させる必要がある
場合には、例えば、大豆油粕、なたね油粕、あまに油粕
等、蛋白質を豊富に含む材料を、生醤油粕と同様に粉砕
して、生醤油粕中に混入した後に、ペレット状に成形固
化する。
主原料として、家畜用飼料1を製造する手順を説明す
る。図2は、家畜用飼料の製造プラント10の要部構成
を、ブロック化して示したものである。以下に、製造工
程の説明と合わせて製造プラント10の各構成部分の説明
も行う。
は、一般的に板状の塊として取り扱われているので、こ
れを、粉砕機11で必要な大きさへと粉砕する。ここで
は、後に生醤油粕をペレット状に成形することを考慮し
て、成形性を高めることが可能な大きさへと粉砕するこ
とが好ましい。本発明の実施の形態では、5mm径以下と
なるように粉砕する。なお、この時点での生醤油粕の水
分含有量は、30%程度である。
ンク12へと投入する。また、バインダーはバインダータ
ンク13へと投入する。本発明の実施の形態では、バイン
ダーとして、小麦粉、ライ麦粉、ふすま、とうもろこし
粉、米粉等、澱粉質の材料を、一種類、若しくは複数種
類混合して、さらに、大豆油粕、コーングルテンフィー
ド等の蛋白質の材料を適宜混合したものを用いる。かか
るバインダーは1mm径以下に粉砕されており、含有水分
量は10〜15%である。
ンダータンク13のバインダーを、所定の比率で混合す
る。混合比率は、生醤油粕を50〜90%に対し、バインダ
ーを50〜10%とし、バインダーの種類や、製造時の気温
・湿度等を考慮して、適宜選択する。本発明の実施の形
態では、生醤油粕80%、バインダー20%の混合比率とし
て、材料コストと、成形後の品質とのバランスを取って
いる。
下、単に「生醤油粕」ともいう。)を、造粒機14でペレ
ット状に成形し、固める。造粒機14は、いわゆる射出成
形機に類似する構造を有し、バインダーを混合した生醤
油粕を高圧、高温下に置いて後、ノズルから常温大気圧
雰囲気へと射出することにより、バインダーを混合した
生醤油粕を発砲、固化させるものである。ペレットの発
砲度は、射出前後の圧力差を変えること等によって、自
由に調節することができる。また、造粒機14には、ボイ
ラ15から水蒸気16を供給して、生醤油粕へと添加するこ
とにより、ペレット中の澱粉成分をアルファー化(糊
化)させ、バインダーとしての機能を促進させる。この
時点で所定の品質を満たさないペレットは、回収容器17
へと分別される。
内での生醤油粕の温度、圧力は98℃、30〜40kg/cm2程度
であり、供給される水蒸気の圧力は1.5kg/cm2である。
また、造粒機14のノズル口径は、4〜6mm径とし、射出
直後のペレット温度は90〜95℃とすることが望ましい。
ペレット温度を当該範囲とすることにより、ペレットの
硬度、耐久性を高め、また、ペレット形状(長さ、表面
の粗さ等)の管理を高精度に行うことを可能とし、合わ
せて高い殺菌効果を得ることができる。
は、乾燥機(ドラム式)18で所定の水分含有量となるま
で乾燥させる。本発明の実施の形態では、当該乾燥工程
において、ペレットの水分量が15%以下になるまで乾燥
させる。ペレットの水分量を15%以下とすることによ
り、配合飼料中での粉化防止と、他の配合飼料等と混合
して使用する場合の当該他の配合飼料への水分の移行防
止、臭いの減少という利点がある。
タンク19にも供給され、粘性液体の粘度管理をしてい
る。本発明の実施の形態では、粘性液体として、家畜の
嗜好性の高い廃糖蜜液またはその副産物を用いるが、こ
れに代えて、融点40℃以上の油脂、コーンスチープリカ
ー等を用いることも可能である。粘性液体は、粘性液体
タンク19から攪拌槽20へと送られ、加温、攪拌された
後、浸漬槽21へと送られる。これら、攪拌槽20、浸漬槽
21については、粘性液体の温度低下を防ぐための加温を
行っている。本発明の実施の形態では、粘性液体の温度
は、40〜50℃に管理されている。
を落下して、浸漬槽21の粘性液体へと沈降する。傾斜面
22は網状をなしており、ペレットが落下する際に生ずる
生醤油粕の粉を、傾斜面の網目から落下させて、回収容
器23へと回収することができる。また、粘性液体中に沈
降したペレットは、コンベヤ24で引揚げ、塗粉機(ドラ
ムコータ)25へと送られる。なお、コンベヤ24も網状を
なしており、ペレットから滴下する粘性液体を、浸漬槽
21へと戻すことができる。
飼料が供給され、ペレットの表面を覆う粘性液体を、更
に粉末飼料で覆うことができる。本発明の実施の形態で
は、粉末飼料として、家畜の嗜好性の高い牧草粉や、そ
れ自体の嗜好性が良好な配合飼料原料粉末を用いる。
料層が形成された家畜用飼料1は、冷却機27で保存に適
した温度へと冷却された後、貯蔵タンク28へと送られ、
貯蔵される。本発明の実施の形態では、以上の手順によ
って製造される家畜用飼料1の一粒は、直径5mm、長さ
10mm、粘性液体層の厚さ0.5mm、粉末飼料層の厚さ0.5mm
程度であるが、かかる値は、本飼料を与える家畜の種類
等に応じて、自由に変更することも可能である。なお、
出荷の際には、貯蔵タンク28からふるい29を介してペレ
ットの余分な粉末飼料を回収し、漏斗30を使用して包装
容器31へと詰め込まれる。
って得られる作用効果は、以下の通りである。本発明の
実施の形態に係る家畜用飼料1は、生醤油粕をペレット
状に固めた芯部2と、芯部を覆う粘性液体層3と、粘性
液体層を覆う粉末飼料層4と、を有している。そして、
家畜用飼料1を成形する際に、通常は板状塊の状態で取
り扱われる生醤油粕を、必要な大きさへと粉砕してペレ
ット状の芯部2を成形するので、必要な形状を得るため
の成形性を高めることができる。
混入して固化を容易として後、造粒機14を用いて発砲、
固化させて、芯部2を形成している。このように、生醤
油粕を微小片であるペレット状に固めることにより、搬
送・給飼等、当該配合飼料の取扱いの際に、良好な流動
性を持たせることができる。
%以下になるまで乾燥させるが、この水分含有量は、生
醤油粕の臭気を抑え込むことが可能な乾燥度(8%以
下)には至らないものであり、乾燥に要する、燃料コス
ト、CO2の排出量は、従来のように、生醤油粕を単に
乾燥させて家畜用飼料として用いていた場合に比して、
少なく抑えることができる。
とから、芯部2単体では、生醤油粕特有の臭気を抑える
ことはできないが、芯部2を嗜好性の高い粘性液体層3
で覆うことにより臭気を封じ込め、嗜好性を高めること
ができる。なお、粘性液体層3は、臭気を封じ込めるこ
とが可能であれば、高い嗜好性を有しないものであって
もよい。
めることは可能となったが、その粘性は、配合飼料1の
取扱い性を低下させてしまう。そこで、粘性液体層3を
粉末飼料層4で覆うことにより、家畜用飼料1の粒同士
での粘着や、他の部分(貯蔵タンク28、包装容器31等)
への付着を防止し、家畜用配合飼料1の取扱い性を確保
することができる。なお、粉末飼料層4は、粘性液体層
3を完全に覆い隠すことが可能なものであれば、必ずし
も高い嗜好性は要求されないが、本発明の実施の形態の
ごとく、粉末飼料層4に嗜好性の高いものを用いること
で、家畜用飼料1の嗜好性を、更に高めることができ
る。
来は産業廃棄物として大部分が処理されている生醤油粕
を、商品価値の高い配合飼料として有効利用することが
可能となる。
来、産業廃棄物として大部分が処理されている生醤油粕
を、商品価値の高い配合飼料として有効利用することが
可能となる。しかも、その製造工程において必要な化石
燃料を少なく押え、CO2の排出量を低減することがで
きる。よって、畜産コストの低減、我国の環境対策の促
進、食料自給率の向上を図ることが可能となる。
特徴を、一部断面で示した立体図である。
るための、製造プラントの要部構成を示すブロック図で
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 生醤油粕をペレット状に固めた芯部と、
該芯部を覆う粘性液体層と、該粘性液体層を覆う粉末飼
料層と、を有することを特徴とする家畜用飼料。 - 【請求項2】 破砕された生醤油粕にバインダーを混入
してペレット状に固めた芯部と、該芯部を覆う嗜好性の
高い粘性液体からなる層と、該粘性液体層を覆う嗜好性
の高い粉末飼料からなる層と、を有することを特徴とす
る家畜用飼料。 - 【請求項3】 生醤油粕をペレット状に固めた芯部を形
成し、該芯部の表面を粘性液体で覆い、該粘性液体に粉
末飼料層を付着させる、各工程を含むことを特徴とする
家畜用飼料の製造方法。 - 【請求項4】 生醤油粕を所定の大きさに破砕し、破砕
された生醤油粕にバインダーを混合し、該生醤油粕を固
めてペレットに成形し、該ペレットを乾燥させ、乾燥し
たペレットの表面を粘性液体で覆い、該粘性液体に粉末
飼料を付着させる、各工程を含むことを特徴とする家畜
用飼料の製造方法。
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