JP3400206B2 - 雪熱利用保冷貯蔵設備 - Google Patents

雪熱利用保冷貯蔵設備

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JP3400206B2
JP3400206B2 JP26086995A JP26086995A JP3400206B2 JP 3400206 B2 JP3400206 B2 JP 3400206B2 JP 26086995 A JP26086995 A JP 26086995A JP 26086995 A JP26086995 A JP 26086995A JP 3400206 B2 JP3400206 B2 JP 3400206B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、雪熱利用保冷貯
蔵設備に関するもので、更に詳細には、降雪を利用して
例えば野菜や果実等の農作物や生花あるいは水産物等を
所定の温度に冷却保冷する雪熱利用保冷貯蔵設備に関す
るものである。 【0002】 【従来の技術】従来のこの種の保冷貯蔵システムとし
て、例えば保冷ハウス全体をその上部の積雪で伝熱冷
却して間接的に保冷ハウス内に冷気を発生するもの(特
開昭61−268127号公報参照)、半地下の貯蔵
庫の上部の積雪で伝熱冷却するもの(特公平5−536
81号公報参照)、あるいは農産物等を貯蔵する貯蔵
室に連通する氷室内に氷ブロックを堆積収容し、貯蔵室
と氷室との連通部に上下方向に開閉可能なロール式のシ
ャッターを配設して、氷室の冷気を自然対流させるもの
(特公平3−61110号公報参照)等が知られてい
る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開
昭61−268127号公報に記載の技術においては、
保冷ハウス全体を積雪で覆うため、雪の重量に耐える強
度の天井構造とする必要があり、また積雪の循環冷気を
直接利用するものではないため、貯蔵物の過冷却を回避
するために空気加温装置を必要とするなどの問題があっ
た。また、特公平5−53681号公報に記載の技術
においても、貯蔵庫の上部を積雪で覆うため、雪の重量
に耐える強度の天井構造とする必要があり、また積雪上
面を被覆するカバーが破損した場合、雨水により融雪す
ることが発生する恐れがあった。また循環冷気を利用す
るものではないため、冷却効率が低下するという問題が
あった。 【0004】一方、特公平3−61110号公報に記
載の技術は、上下方向に開閉可能なロール式のシャッタ
ーの開閉によって氷室の冷気を自然対流させるものであ
るが、冷媒に使用される氷をブロック加工するのに手間
がかかるという問題があり、また上下方向に開閉するロ
ール式のシャッターの開閉により冷気を調節するもので
あるため、冷気の循環効率が悪く冷気の有効利用が図れ
ないという問題があった。 【0005】この発明は上記事情に鑑みなされたもの
で、降雪の低温高湿度の冷気を有効に利用して貯蔵物の
保冷貯蔵を行えるようにした雪熱利用保冷貯蔵設備を提
供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の雪熱利用保冷貯蔵設備は、断熱壁で形成
された雪貯蔵室内に収容された雪による冷気を利用制御
して、断熱保冷室、冷却室内の貯蔵物を自然対流又は強
制対流で所定温度に冷却することを特徴とする。 【0015】すなわち、この発明の雪熱利用保冷貯蔵設
備は、少なくとも断熱壁と断熱床とからなる雪貯蔵室
と、貯蔵物を収容する断熱保冷室と貯蔵物を収容する
1又は複数の冷却室と、上記雪貯蔵室と上記断熱保冷室
とを連通する連通口において、水平方向に開閉可能な断
熱可動間仕切と、上記雪貯蔵室と上記冷却室の1つ又は
複数の上部及び下部を連通する送風ダクトと、上記送風
ダクトを介して上記雪貯蔵室に連通する冷却室に配設さ
れる冷凍手段と、上記断熱可動間仕切を介して上記雪貯
蔵室に連通する断熱保冷室内に可動断熱区画壁をもって
選択的に設けられる慣らし室と、を具備することを特徴
とする。 【0016】なお、この発明で冷凍手段とは、所望によ
って貯蔵物を冷凍する温度まで冷却することが可能なま
での冷却容量をもつ機械的あるいは電子的な冷却手段を
意味する。 【0017】この発明によれば、雪による冷気を利用制
御する、すなわち雪貯蔵室内に収容された雪の冷気を断
熱保冷室内の底部に給気し、断熱保冷室の上部の暖気を
雪貯蔵室の上部に排気させる自然対流又は強制対流によ
って断熱保冷室内の貯蔵物を低温高湿度の所定温度に降
下させ、その後、冷気を遮断することによって所定温度
で保冷することができる。なおその後、一定時間毎に雪
の冷気を供給することによって容易に一定温度を保持す
ることができる。 【0018】また、上記雪の冷気の自然対流又は強制対
流に加えて冷凍手段による冷却手段を付加することによ
り、断熱保冷室内の貯蔵物を雪の冷気のみでは困難であ
ったり達し得ないより低温度に保冷することができると
共に、冷凍手段の電力負荷を軽減することができる。 【0019】また、これらを併存させるときは、季節な
どに応じて保冷適温が異なる貯蔵物を多種類を同時又は
並行して保冷貯蔵することができる。また、慣らし室を
併設することによってより多様な保冷条件や貯蔵量の変
動によりよく対応することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面に基づいて詳述する。 ◎参考実施形態 図1はこの発明の雪熱利用保冷貯蔵設備と基本構成が共
通する参考の雪熱利用保冷貯蔵設備の一部を断面で示す
斜視図、図2はその要部の断面図である。 【0021】上記雪熱利用保冷貯蔵設備は、雪1を収容
する雪貯蔵室2と、例えば野菜や果実等の農作物や生花
あるいは水産物等の貯蔵物11を収容する断熱保冷室1
0とで主要部が構成されており、雪貯蔵室2と断熱保冷
室10とを連通する連通口3に断熱性の可動間仕切4が
水平方向に開閉可能に取付けられている。 【0022】上記雪貯蔵室2は、断熱側壁5及び断熱天
井6と断熱床7とで構成される断熱構造となっている。
この場合、断熱側壁5及び断熱天井6は、例えばカラー
鋼板、カラーアルミニウム板あるいは合成樹脂板等の一
対の表面板8a間に例えば発泡ポリウレタン、発泡ポリ
エチレンあるいは発泡ポリスチレン等の断熱性心材8b
を充填した断熱パネル8cにて形成されている(図2
(b)参照)。また、断熱パネル8cの辺部には凹条8
d又は凸条8eを有する枠部材8fが装着されており、
これら凹条8dと凸条8eとを係合させて複数の断熱パ
ネル8cを積層連設している。一方、断熱床7は、図2
(c)に示すように、土間コンクリート床7aと押えコ
ンクリート床7bの中間に防湿層7cと防水層7dを介
して例えば発泡スチロール成形板等の断熱材7eを介在
させた断熱構造となっており、雪貯蔵室2の側壁近傍の
床面には融雪水の排水溝2bが形成されている。なおこ
の場合、雪貯蔵室2は少なくとも側壁部と床部が断熱構
造になっていればよい。また、雪貯蔵室2の屋根部を開
閉ドーム型屋根にしてもよい。 【0023】上記のように構成される雪貯蔵室2の側壁
の一部には断熱扉9aを有する出入口9が設けられてお
り、この出入口9を介して雪貯蔵室2内に移動する雪掻
き用のロータリやプラウを有する除雪車やブルドーザ等
によって雪貯蔵室2内に雪1が雪貯蔵室2の全容量の9
0〜95%のスペースを占めるように堆積収容されるよ
うになっている。これによって循環冷気の当初所要量が
確保される。雪貯蔵室2の屋根部を開閉ドーム型屋根に
した場合は、例えばベルトコンベア等の装置で屋根部か
ら雪貯蔵室2内に雪1を搬入することができる。なお、
雪貯蔵室2の連通口3側には例えば格子状の金属製柵体
と木製横桟にて形成される積雪崩れ防止柵2aを設置す
る方が好ましい。 【0024】上記断熱保冷室10は、雪貯蔵室2の場合
と同様に断熱パネル8cにて構成される断熱側壁5及び
断熱天井6と、土間コンクリート床7aと押えコンクリ
ート床7bの中間に防湿層7cと防水層7dを介して例
えば発泡スチロール成形板等の断熱材7eを介在させた
断熱構造の断熱床7にて構成されている。 【0025】上記可動間仕切4は、例えば発泡ポリエチ
レンシート製心材にアルミ箔やアルミ蒸着フィルムを積
層したもの{エイアイカバー(商品名:日本軽金属株式
会社製)}や軟質発泡ウレタンシート心材にアルミニウ
ムパウダー塗布ビニロンキャンパスを積層したもの等か
らなる断熱性シート材をカーテンレール4aにカーテン
状に吊り下げたものにて形成されている(図2(a)及
図3参照)。この場合、断熱可動間仕切4は手動開
閉、又はワイヤプーリにロープを横設して、それを駆動
モータに連結して自動開閉される。また、断熱可動間仕
切4は、縦長の断熱パネルを折戸状に丁番で連結したも
のを同様にカーテンレール体に吊り下げるものとしても
よい。 【0026】上記のように構成される雪熱利用貯蔵保温
設備において、雪貯蔵室2内に雪1を搬入(収容)し、
断熱保冷室10内に貯蔵物11を収容した状態で、断熱
可動間仕切4の折畳み扉4bを水平方向(左右)に開放
すると、雪貯蔵室2内に収容された雪1の冷気が下方か
ら断熱保冷室10内に流れて、断熱保冷室10内の貯蔵
物11が所定温度に冷却される。また、冷却に供された
暖気は断熱保冷室10の上部側に流れた後、雪貯蔵室2
の上部へ流れる。したがって、断熱可動間仕切4の開閉
によって雪1の冷気は自然対流で断熱保冷室10内に供
給・遮断され貯蔵物11を効率よく冷却・保冷すること
ができ例えば+5〜+15℃に保持できる。この場合、
断熱保冷室10は保冷貯蔵物の低温作業室としても利用
することができる。また、雪1による低温高湿度の冷気
を利用するので、雪解け水の接触による雪焼けが発生す
ることがなく、冷却過程で貯蔵物が乾燥することもな
い。 【0027】◎実施形態 図4はこの発明の雪熱利用保冷貯蔵設備の実施形態の一
部を断面で示す斜視図、図5はその概略横断面図であ
る。 【0028】実施形態は、上記参考実施形態の保冷貯蔵
設備に強制冷却機能として冷凍機を付加させて、貯蔵物
をより低温度に冷却・保冷できるようにした場合であ
る。すなわち、上記参考実施形態と同様に雪貯蔵室2と
断熱保冷室10とを断熱可動間仕切4を介して連通する
と共に、送風ダクト21を介して雪貯蔵室2と連通する
別の断熱保冷室である冷却室20を設けた場合である。 【0029】この場合、冷却室20は、断熱保冷室10
と同様に断熱構造とされ、雪貯蔵室2に隣接する第1冷
却室20aと、この第1冷却室20aに隣接する第2冷
却室20bの2室にて形成されており、各冷却室20
a,20b内の天井部にはそれぞれ冷凍手段としての冷
凍機22(具体的には冷凍ユニットの室内機)が配置さ
れている(図6参照)。また、冷却室20a,20bの
側壁には換気扇23が取付けられている。この換気扇2
3は、例えば果実等の貯蔵物を貯蔵する場合に、果実か
ら放出されるエチレンガス等を外部に搬出して室内を低
濃度にして雰囲気制御するような場合に使用される。な
おこの場合、換気扇23はタイマー等で制御することが
できる。 【0030】また、上記送風ダクト21は、図6に示す
ように、雪貯蔵室2の下部側に吸込み口21aを有し、
冷却室20a,20bの天井部又は側壁の上部側に吹出
し口21bを有する給気ダクト21Aと、冷却室20
a,20bの天井部に排気口21cを有し、雪貯蔵室2
の上部側に吐出口21dを有する排気ダクト21Bとで
構成されている。この送風ダクト21は、例えば発泡ポ
リウレタン等の断熱性心材を充填した断熱パネルを矩形
筒状に組合せた構造となっている。また、給気ダクト2
1A内にはインバータ制御付の送風機24が配設されて
おり、この送風機24によって雪貯蔵室2内に収容され
た雪1の冷気が強制的に冷却室20a,20b内に供給
されるように構成されている。なお、給気ダクト21A
の吹出し口21b及び排気ダクト21Bの排気口21c
にはそれぞれ断熱扉25が開閉可能に取付けられている
図7参照)。この断熱扉25によって、雪貯蔵室2と
の間を遮断して冷却室20a,20bを密閉することが
できると共に、冷却室20a,20bの温度制御の容易
化と結露の防止を図ることができる。 【0031】上記のように、雪貯蔵室2と冷却室20
a,20bとを送風ダクト21すなわち給気ダクト21
A及び排気ダクト21Bをもって連通すると共に、給気
ダクト21A内に送風機24を配設することにより、雪
貯蔵室2内の雪の冷気を強制的に冷却室20a,20b
内に供給することができると共に、強制対流によって雪
貯蔵室2内に循環させることができ、貯蔵物の冷却をよ
り効率的にまた均一に行うことができる。更に、冷凍手
段を併設することによって、雪1の冷気だけでは困難な
低温度、例えば−3〜+10℃程度に保冷することがで
きる。 【0032】一方、上記断熱保冷室10の第1冷却室2
0aに隣接する部位には、折畳み式の可動断熱壁31に
よって区画形成される慣らし室30が必要に応じて設け
られるようになっている(図5夜及び図8参照)。この
慣らし室30は例えば第1冷却室20a内で冷却された
貯蔵物例えば球根を第1冷却室20aから取出して慣ら
し室30内に移して除熱し、発芽調整や抑制栽培用保冷
を行うような場合や、冷却室20a及び又は20bで冷
却(冷凍)された貯蔵物を解凍するような場合などに使
用される。 【0033】この場合、慣らし室30は、図8に示すよ
うに、雪貯蔵室2と第1冷却室20aとの間において略
L形に区画形成されるように、複数の断熱パネル31a
を丁番などで連結してなる折畳み式の可動断熱壁31に
よって構成されている。なおこの場合、可動断熱壁31
を構成する断熱パネル31aは、図9に示すように、断
熱天井6から垂設される固定壁32に取付けられると共
に、吊りボルト33によって平断面が垂下される断面チ
ャンネル状のハンガーレール34に移動自在なスライダ
ー35を具備しており、このスライダー35をハンガー
レール34に沿って移動させることにより、慣らし室3
0を区画形成することができる。なお、可動断熱壁31
には出入用扉が配設されると共に、可動断熱壁31の下
辺には、床部に設けられた孔部に係合する落し錠36が
取付けられている。 【0034】また、上記断熱保冷室10並びに冷却室2
0の天井部の適宜部位には天井ファン12が配設されて
いる。この天井ファン12によって、断熱保冷室10並
びに冷却室20の断熱天井6の断熱パネルに結露が発生
するのを防止することができると共に、断熱保冷室10
並びに冷却室20内の温度分布を均一化することができ
る。なお、断熱保冷室10と隣接して機械室40と事務
室41が設けられている。機械室40には雪熱利用保冷
貯蔵システムとしての計測器や冷凍手段の室外機等が配
設される。 【0035】一方、実施形態において、冷却室20a,
20bが2室設けられている場合について説明したが、
雪貯蔵室の冷却容量に応じて冷却室は1室でもよく、あ
るいは3室以上設けてもよい。また、それらの冷却室2
0a,20bの出入口には、慣用の断熱扉が配設され、
室内外から開閉可能とされる。 【0036】次に、上記のように構成される実施形態
保冷貯蔵設備において、断熱保冷室10については参考
実施形態と同様な作動となるので、その説明は割愛し、
第1及び第2冷却室20a,20b内に収容された貯蔵
物(図示せず)を冷却・保冷する場合の動作について説
明する。まず、給気ダクト21A内の送風機24を駆動
して雪貯蔵室2内に収容された雪1の冷気を強制的に冷
却室20a,20b内に供給して室内並びに貯蔵物を一
次冷却(例えば室温〜+3℃;湿度80〜95%)す
る。次に、断熱扉25を閉じて冷却室20a,20bを
密閉した状態で、冷凍機22を駆動して冷却(二次冷
却)する(例えば+10〜−3℃;湿度80〜95%)
ことにより、冷却室20a,20b内に収容された貯蔵
物の目的温度に冷却することができる。このように、雪
1の冷気で一次冷却した後、冷凍機22を駆動して二次
冷却することにより、冷凍機22の消費電力(容量)を
少なくすることができると共に、冷却により貯蔵物が不
用意に乾燥されるのを防止することができる。この場
合、断熱保冷室10内で一次冷却した貯蔵物を収納して
いるときには、より短時間又は直ちに二次冷却に入るこ
とができることは勿論である。 【0037】また、冷却室20a,20bで冷却された
貯蔵物を解凍あるいは外部に搬出する前に少量又は断熱
保冷室10内に既にある貯蔵物を区画して一時貯蔵する
場合には、まず、可動断熱壁31を展開して慣らし室3
0を区画形成した後、冷却室20a,20b内に収容さ
れた貯蔵物11を慣らし室30内に搬入して、解凍ある
いは放熱して、貯蔵物を所定温度に昇温保冷することが
できる。また、場合によって少量の新規な貯蔵物として
短期間保冷したい場合などにも慣らし室30を使用する
ことができる。 【0038】なお、上記第1及び第2冷却室20a,2
0b内の貯蔵物の冷却と平行して、必要に応じて断熱可
動間仕切4を開放することによって断熱保冷室10内に
収容された貯蔵物を雪貯蔵室2内の雪の冷気によって保
冷することができる。 【0039】したがって、雪貯蔵室2内の雪1の冷気の
みを利用して断熱保冷室10内の貯蔵物を自然対流で所
定温度に冷却・保冷する一次冷却と、冷却室20a,2
0bでは雪貯蔵室2内の雪1の冷気を強制的に供給して
行う貯蔵物の冷却(一次冷却)に続いて冷凍機22の駆
動による冷気で上記一次冷却より低温の所定温度に冷却
・保冷する二次冷却と、を同時又は選択的に行うことが
でき、異なる種類の貯蔵物に多様な条件での冷却・保冷
を有効的に行うことができる。 【0040】◎その他の実施形態 1)上記参考実施形態では断熱可動間仕切4を介して雪
貯蔵室2と断熱保冷室10をとを連通し、自然対流によ
って保冷する場合について説明したが、断熱可動間仕切
4に代えて給気ダクト21Aと排気ダクト21Bとから
なりダクトの開閉手段を備えた送風ダクト21を介して
雪貯蔵室2と断熱保冷室10とを連通してもよい(図1
0(a)参照)。 【0041】2)上記1)の給気ダクト21A内に送風
機24を配設して、雪貯蔵室2の下部から冷気を吸込
み、断熱保冷室10の上部から強制的に排気する強制対
流式にすることも可能である(図10(b)参照)。 【0042】3)上記2)の断熱保冷室10に冷凍機2
2を配設して、強制冷却を行えるようにすることも可能
である(図10(c)参照)。 【0043】4)上記実施形態では、冷却室(具体的に
は第1及び第2冷却室20a,20b)内に冷凍機22
を配設して、強制冷却する場合について説明したが、冷
凍機22を配設せずに、冷却室20a,20b内を強制
対流のみによって冷却し、断熱保冷室10の自然対流に
よる保冷と平行して使用できるようにしてもよい。 【0044】これらのいずれの実施形態においても雪に
よる冷気が供給・遮断により制御されるので、所望温度
に管理できる。 【0045】 【実施例】次に、この発明に係る保冷貯蔵方法及び設備
の具体的な実験に基づく実施例について説明する。ここ
では、上記実施形態の保冷貯蔵設備の場合について、以
下の設備の下で稼働実験を行った場合について説明す
る。 【0046】★設備概要 ・雪貯蔵室:7,173m3 (雪貯蔵量:1,269ト
ン) ・保冷室 :1,012m3 ・第1冷却室:247m3 ・第2冷却室:495m3 ・慣らし室 :300m3 ・建屋側壁:ウレタン発泡心断熱パネル;肉厚100m
m ・建屋床断熱構造:150mmt発泡スチロール成形板 ・可動間仕切:エイアイカバー(商品名:日本軽金属株
式会社製) 肉厚15mm ・可動壁:ウレタン発泡心断熱パネル;肉厚42mm ・送風ダクト:ウレタン発泡心断熱パネル;肉厚42m
m ・インバータ制御付送風機:斜流ダクトファン。 【0047】★設備の具体的内容 ・保冷室:天井高さ;4500m 天井ファン:4箇所 温度センサの設置箇所:1箇所 換気扇:2箇所 ・第1冷却室:天井高さ;4,500mm 天井冷凍機;2基 (冷凍機容量;4,500Kcal/時間) 温度センサの設置場所;1箇所 換気扇;1個 ・第2冷却室:天井高さ;4,500mm 天井冷凍機;2基 (冷凍機容量;9,000Kcal/時間) 温度センサの設置場所;2箇所 換気扇;1個 ・慣らし室:天井高さ;4,500mm 天井ファン;なし 温度センサの設置場所;なし ・雪の投入法:ロータリー除雪車。 【0048】★運転実績 A)保冷室の冷却 ・貯蔵物の品名:切花(貯蔵量;600m3) ・貯蔵物の搬入時の温度:+20〜+25℃ ・保冷室の当初温度:+10〜+15℃ ・開口広さ(可動間仕切):13.5m 〔冷却結果〕 出荷前箱詰めした貯蔵物は6時間後に+5℃になり、可
動間仕切を閉鎖した。 【0049】B)第1冷却室の冷却 ・貯蔵物の品名:球根(貯蔵量;16,000Kg) ・貯蔵物の投入時の温度:+15〜+20℃ ・第2冷却室の当初温度:+5℃ 〔冷却結果〕 送風機1台を室内の比例センサーと連結したインバータ
で回転数を制御して冷却温度・速度を調整する。長期保
冷用木箱に貯蔵物を収納して送風機を36時間運転した
ところ室内温度が+3℃になった。そして、送風ダクト
の断熱扉を閉鎖した。次いで、冷凍機を12時間運転し
たところ室内温度が−1.5℃になった。 【0050】C)第2冷却室の冷却 ・貯蔵物の品名:球根(貯蔵量;32,000Kg) ・貯蔵物の投入時の温度:+15〜+20℃ ・第2冷却室の当初温度:+5℃ 〔冷却結果〕 送風機1台を室内の比例センサーと連結したインバータ
で回転数を制御して冷却温度・速度を調整する。コンテ
ナカゴに貯蔵物を収納し、送風機を36時間運転したと
ころ室内温度が+3℃になった。そして、送風ダクトの
断熱扉を閉鎖した。次いで、冷凍機を12時間運転した
ところ室内温度が−2℃になった。 【0051】D)慣らし室の冷却 ・貯蔵物の品名:球根(貯蔵量;2000Kg) ・貯蔵物の投入時の温度:−2℃ ・慣らし室の当初温度:+15℃ 〔冷却結果〕 雪貯蔵室との間の可動間仕切を開閉して、+10℃に調
整した。 【0052】上記稼働実験を上記切花、球根等の貯蔵物
の他に果実類、野菜類について行った結果、表1に示す
ような冷却・保冷温度と湿度状態とすることにより、貯
蔵物の種類に応じた最適の冷却・保冷を行うことができ
た。 【0053】 【表1】 【0054】 【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば、以下のような効果が得られる。 【0055】1)雪貯蔵室内に収容された雪の冷気を断
熱保冷室内の底部に給気し、断熱保冷室の上部の暖気を
雪貯蔵室の上部に排気させる自然対流又は強制対流によ
って断熱保冷室内の貯蔵物を冷却し、冷気を遮断するこ
とにより保冷することができるので、貯蔵物を低温高湿
度の所定温度例えば+5〜+15℃に冷却・保冷するこ
とができる。また、降雪利用のため、降雪地域で実施す
るときには、初期投資と年間設備運転コストを低廉にす
ることができる。 【0056】2)雪の冷気による一次冷却と冷凍手段に
よる二次冷却を行うことができるので、必要に応じて貯
蔵物をより低温度例えば−3〜+10℃に冷却・保冷す
ることができると共に、冷凍手段の負荷を軽減して電力
消費量を少なくすることができる。 【0057】3)雪の冷気の自然対流又は強制対流に加
えて冷凍手段による冷気を付加することができるので、
貯蔵物の種類に応じた異なる冷却状態で複数種類の貯蔵
物を同時に冷却・保冷することができる。したがって、
季節によって好適な冷却温度が異なる貯蔵物に対しても
適用することができ、年間を通じた高い稼働率を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の保冷貯蔵設備の参考実施形態の一部
を断面で示す斜視図である。 【図2】参考実施形態の要部概略断面図(a)、(a)
のA部拡大断面図(b)及び(a)のB部拡大断面図
(c)である。 【図3】断熱可動間仕切の要部を示す概略横断面図であ
る。 【図4】この発明の保冷貯蔵設備の実施形態の一部を断
面で示す斜視図である。 【図5】実施形態の概略横断面図である。 【図6】この発明における送風ダクトと冷凍機の配設状
態を示す概略縦断面図である。 【図7】送風ダクトの要部断面図である。 【図8】この発明における慣らし室を示す横断面図であ
る。 【図9】この発明における可動断熱壁の縦断面図であ
る。 【図10】この発明の別の形態の変形例を示す概略横断
面図である。 【符号の説明】 1 雪 2 雪貯蔵室 3 連通口 4 断熱可動間仕切 5 断熱側壁 7 断熱床 10 断熱保冷室 11 貯蔵物 20 冷却室(断熱保冷室) 20a 第1冷却室 20b 第2冷却室 21 送風ダクト 21A 給気ダクト 21B 排気ダクト 22 冷凍機(冷凍手段) 24 送風機 25 断熱扉 30 慣らし室 31 可動断熱壁
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F25D 17/08 301 F25D 17/08 301 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01F 25/00 A23B 7/04 A23L 3/36 F25D 3/00 F25D 16/00 F25D 17/08 301

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも断熱壁と断熱床とからなる雪
    貯蔵室と、 貯蔵物を収容する断熱保冷室と貯蔵物を収容する1又は複数の冷却室と、 上記雪貯蔵室と上記断熱保冷室とを連通する連通口にお
    いて、水平方向に開閉可能な断熱可動間仕切と、 上記雪貯蔵室と上記冷却室の1つ又は複数の上部及び下
    部を連通する送風ダクトと、 上記送風ダクトを介して上記雪貯蔵室に連通する冷却室
    に配設される冷凍手段と、 上記断熱可動間仕切を介して上記雪貯蔵室に連通する断
    熱保冷室内に可動断熱区画壁をもって選択的に設けられ
    る慣らし室と、 を具備することを特徴とする雪熱利用保冷貯蔵設備。
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