JP3399314B2 - 焦電型赤外線検出装置 - Google Patents
焦電型赤外線検出装置Info
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Description
て、人体から輻射される赤外線エネルギーを検出し、人
体の存在や移動の検知を行ったり、輻射エネルギー、室
温を検出することで放射温度計として働く、焦電型赤外
線検出装置の改良に関する。
置に従来より用いられているFETを用いた電流電圧変
換回路を示している。この電流電圧変換回路は、FET
のゲートに赤外線受光部が1つのシングルタイプの焦電
素子1と高抵抗Rgを並列に接続し、FETのソースと
グランドに接続した出力抵抗Rsより電圧信号を取り出
すようになっており、熱線を感知したとき焦電素子1か
ら出力される信号電流は高抵抗Rgで電圧に変換され、
それをFETのゲートで受けてFETと抵抗Rsに電流
を流すことによってFETのソース電圧を変化させ、そ
のときに抵抗Rsに加わる電圧を信号増幅回路に出力す
る構成としている。
タイプの焦電素子1,1’を使用したもので、2つの赤
外線受光部を直列に接続した例を示している。基本動作
は図19に示したものと同様である。ところで、このよ
うなFETを用いた電流電圧変換回路では、赤外線に対
する感度を示す出力電圧Vは数1によって求められる。
る出力電圧Vは、図21に示すグラフとなる。ここに、
輻射率:η、有効受光面積:A、入力抵抗:R、焦電係
数:λ、熱拡散係数:G、熱時定数:τt、電気時定
数:τである。また、このようなFETを用いた電流電
圧変換回路では、発生するノイズも、数2によって求め
られ、その解析結果は図14に示すグラフのようにな
る。
T、素子容量:Ci、素子誘電体損失:tanδ、FE
Tの電流性ノイズ:In、FETの電圧性ノイズ:En
である。
装置にとって重要なことは、単に焦電素子に於ける出力
信号Sが大きければ良いと言うことではなく、素子自身
から発生するノイズNとの比、つまりS/N比が重要で
ある。それは、例えて言うならば、焦電素子を改良して
同一の赤外線入射パワーに対する出力信号が従来より2
倍大きくなっても、定常出力ノイズが4倍に増えていた
ような場合には、検出分解能や検出精度は1/2にな
り、かえって赤外線の検出能力は低下したことになる。
能力をアップするためには、 1)同一の赤外線入力に対して、出力信号Sをいかに大
きくできるか 2)出力ノイズNをいかに小さく抑えることができるか つまり、いかにして大きなS/N比を得るかが、センサ
の良否、つまり赤外線検出装置の商品的価値を決定する
ことになる。
解析して見ると、出力電圧Vは、数1に示したように、
輻射率η、有効受光面積A、入力抵抗R、焦電係数λ、
熱拡散係数Gによって基本的感度が決まり、また熱時定
数τt、電気時定数τeによってその周波数特性が決定
されている。したがって、これらの個々のパラメータを
最適に設定することで最大の信号出力が得られるように
設計が行われているが、実際には新しい素材の焦電素子
を開発し、焦電係数の改善や、その実装方法を開発して
熱拡散係数を改善することが主となっている。
最終的には各ノイズの二乗平均でノイズ出力電圧VNが
決定される。
れ、S/N比は図24に示される。なお、温度雑音Vt
は通常桁違いに小さく、この例でもグラフの範囲外に有
り、表記されていない。焦電素子の最大のアプリケーシ
ョンである人体検知のための検出周波数として重要な1
Hz近傍に着目して代表的パラメータを分析すれば、支
配的になっているのは、入力抵抗による熱雑音である。
この入力抵抗熱雑音は、抵抗値を更に大きな値にすれば
低減できることは解析より明らかである。
値を採用するというのは、焦電センサに於ける動作の安
定性、つまり外来ノイズ、FETのバイアス電流変動、
高抵抗自身の抵抗値変化などを考慮するとほぼ限界に近
い値になっており、これ以上のノイズの低減は殆ど困難
な状況にある。したがって、従来の焦電センサはそのノ
イズ特性に於いては、ほとんど限界に達していると言え
る。
のFETによる電流電圧変換回路を用いた場合のS/N
比の改善は、ノイズの低減はほとんど期待できず、出力
信号を増やす、例えば、焦電係数の改善、熱拡散係数の
改善などの方法しか残されていないが、現実には、種々
の出力特性の改善も限界に近づいており、素子や実装条
件を変えるだけでは2〜3倍といったS/N比の改善を
望むことが出来ないのが現状である。
焦電素子が有する素子容量のインピーダンスの周波数特
性を電流電圧変換に用いることを試験的に試み、繰り返
し検討を重ねた結果、焦電型赤外線検出装置のS/N比
の向上に有益でかつ実現可能なことを知得して本発明に
到達したものである。
を変更する手法に依らずに、焦電素子に、更に別の焦電
素子を、帰還容量として付加した演算増幅器を接続して
電流電圧変換回路を構成し、この電流電圧変換回路の入
力換算ノイズを低減させるために種々のシミュレーショ
ン、試験的設計を行うことによって、本発明として到達
したものである。
本発明の赤外線検出装置は、交流帰還回路と直流帰還回
路とを付加接続した演算増幅器に、第1の焦電素子を接
続して構成された電流電圧変換回路を備えた焦電型赤外
線装置であって、上記電流電圧変換回路は、 上記演算増
幅器の反転入力端子と上記第1の焦電素子の一端を接続
するとともに、 その演算増幅器の出力端子と上記反転入
力端子との間には、上記第1の焦電素子とは異なる、第
2の焦電素子を上記交流帰還回路として接続するととも
に、入力抵抗に直流帰還回路を直列接続したものを並列
に接続して構成されており、かつ上記電流電圧変換回路
の変換インピーダンス特性は、上記直流帰還回路によっ
て定まるDC帰還時定数に対応する特定周波数よりも周
波数の高い側に現れる、上記第2の焦電素子のインピー
ダンスが作用する周波数側に、人体検知に必要な周波数
帯を設定していることを特徴としている。このような構
成では、交流帰還回路は、電子部品として製造されたコ
ンデンサを使用することなく、焦電素子がそのまま使用
できる。
出装置は、同一の焦電素子基板に複数の赤外線受光部を
形成した多素子タイプの焦電素子や、デュアルタイプの
焦電素子の赤外線受光部の一部を第1の焦電素子、第2
の焦電素子に割り当てて使用するものであり、第2の焦
電素子でも第1の焦電素子と同様に赤外線が検知でき
る。この場合、第1、第2の焦電素子を同一極性にして
もよいが、それぞれを逆極性にすれば、温度のゆらぎな
どのノイズ成分を除去でき信頼性が向上する。
場合には、第1、第2のそれぞれの焦電素子を、複数の
赤外線線受光部を直列や並列あるいは直並列に接続して
構成してもよく、その際、第1、第2の焦電素子に割当
てた後に残った赤外線受光部を温度補償として使用して
もよく、これらはいずれも本発明の適用範囲である。請
求項4では、演算増幅器について言及している。前述し
た解析から明かなように、焦電素子を固定した場合、演
算増幅器を用いた電流電圧変換回路では、ノイズ成分と
して、焦電素子の誘電体損失による雑音成分が支配的で
あるが、演算増幅器も電流雑音、電圧雑音成分を有す
る。ところで、この2種類の雑音成分では、電圧雑音が
周波数に影響せずにほぼ一定であり、電流雑音より小さ
いが、電流雑音は周波数に影響して変化する。したがっ
て、このような演算増幅器においては、電流雑音を抑制
することが必要となり、そのための条件として、電流雑
音成分が誘電体損失による雑音成分よりも小さくなるよ
うな入力インピーダンスを有した演算増幅器を用いるこ
とを提案している。実際の使用に際しては、入力インピ
ーダンスの大きな演算増幅器を使用すれば十分である。
付加した演算増幅器の動作を安定化するために付加され
る直流帰還回路の具体的な構成を提案している。請求項
5では、積分回路で構成したもの、請求項6では、直流
帰還回路に、電圧電流変換回路を付加したもの、請求項
7では電圧電流変換回路を抵抗で構成したものを提案
し、現実の回路を構成する際の小型化を図っている。
の赤外線検装置によれば、従来のFETを用いた電流電
圧変換回路において、熱雑音の要素として支配的であっ
た高抵抗を使用していないため、全体としての雑音成分
が減少し、赤外線検出装置として使用される周波数域で
は、S/N比が著しく改善された。このような本発明
は、焦電素子そのものが従来と同様のチップであっても
(素子電流Ipの改善が無くても)、電流電圧変換部に
於ける出力電圧を大きくしたり、入力換算ノイズを低減
することによって、従来より高いS/N比を得ることが
出来る。
赤外線検出装置は、直流帰還回路を、帰還コンデンサを
付加した演算増幅器の出力端子と、その基準入力端子の
各々に異なる抵抗を接続することによって、電流電圧変
換回路にバンドパスフィルタ特性を持たせるとともに、
異なる抵抗の温度特性を同一に揃えることによって、電
流電圧変換回路のインピーダンス特性にピーク値をなく
して温度変化によって帰還動作が不安定になるのを防止
している。
をなす電流電圧変換回路の基本構成を示す。図に見るよ
うに、第1の焦電素子1は一端をグランドに接続し、他
端を演算増幅器2の入力端子(図では反転入力端子)に
接続しており、演算増幅器2の出力端子と入力端子との
間には、別の第2の焦電素子1’を帰還容量Cfとして
接続している。ここに、帰還容量Cfは、交流帰還回路
を構成している。また、演算増幅器2の出力端子と入力
端子間には、低域における回路動作を安定化させるため
直流帰還回路3を設け、演算増幅器2の出力を入力抵抗
Riを通じて帰還させている。
ように、インピーダンス変換のための演算増幅器2とは
異なる別の演算増幅器31にコンデンサC1と抵抗R1
とを付加させた積分回路で構成できる。このような構成
の電流電圧変換回路によれば、第1の焦電素子1から出
力される電流は、帰還容量Cfのインピーダンスを用い
て、電圧に変換される。
圧回路4を接続した構成を示しており、図1に対応する
部分には同じ符号を付して説明を省略する。積分回路に
よって構成された直流帰還回路3は、演算増幅器2から
の出力電圧を分圧回路4によって分圧し入力させてい
る。図4の例では、T型に組まれた3つの入力抵抗R2
〜R4は、それぞれの他端を演算増幅器2の入力端子、
演算増幅器31の出力端子、グランドに接続しており、
3つの入力抵抗R2〜R4をT型に組むことで、帰還回
路の見かけ上のフィードバック利得を減少させ、積分回
路の持つフィードバック時定数を低域へシフトさせ実質
的に時定数を大きくして、直流帰還回路の部品の小型化
を図っている。
したようなT型に構成する必要はなく、通常の2つの抵
抗を接続したものでもよいが、直流帰還回路のオフセッ
ト等の性能を考慮すれば、T型の方がより利点がある。
以上のような構成によれば、帰還容量Cfのインピーダ
ンスを用いて、第1の焦電素子1からの素子電流を電圧
に変換しているため、入力抵抗Rgによって素子電流を
電圧に変換していた従来のFETバッファを用いた回路
に比べて、後述する解析で明かなように、出力ノイズ電
圧を支配していた抵抗の熱雑音が排除され、そのためノ
イズ源を根本的になくすことが出来るので、トータルノ
イズの低減化が図れる。
素子として動作するので、第1の焦電素子1と同じ極性
にしておけば、双方の出力が加えられて大きい感度が得
られるが、第1の焦電素子1と第2の焦電素子1’とを
互いに逆極性にしておけば、双方の焦電素子1,1’が
太陽光や温度のゆらぎなどで同時に赤外線を検知した場
合にも、ノイズとして相殺されるので誤動作が少なくな
り、信頼性が向上する。
電素子を使用した場合の使用例を示している。このよう
なデュアルタイプの焦電素子を使用して、第1、第2の
焦電素子を構成する場合、焦電素子基板に形成された2
つの赤外線受光部を直列に接続したものを、それぞれ第
1、第2の焦電素子として使用したり、2つの赤外線受
光部のそれぞれを、第1、第2の焦電素子として使用す
ることが出来る。
光部10a(A),10b(B)を直列に接続したもの
を、第1、第2の焦電素子として使用する場合の焦電素
子基板10の表、裏面の導電パターンを示している。こ
こに、裏面の導電パターンは表面から透視した図として
示されている。10eは接続端子や受光部どうしを電気
的に接続する導電路を形成する導電パターンである。図
6に示す等価回路では、焦電素子基板10の表、裏面に
形成された2つの赤外線受光部10a,10bによっ
て、容量素子CA,CBが形成され、第1、第2の焦電
素子は、いずれも2つの容量素子CA,CBを直列に接
続して構成されている。
外線受光部10a(A),10b(B)のそれぞれを、
第1、第2の焦電素子1,1’に割り当てて使用する場
合の焦電素子基板10の表、裏面の導電パターンを示す
図(裏面は表面から透視した状態を示している)、図8
はその等価回路を示している。この等価回路では、焦電
素子基板10の表、裏面に形成された2つの赤外線受光
部10a,10bによって、容量素子CA,CBが形成
され、容量素子CBが第2の焦電素子として、帰還容量
となっている。
電素子を使用した場合の使用例を示している。図9の
(a),(b)は、4つの赤外線受光部を直並列に接続
して使用する場合の焦電素子基板の表、裏面の導電パタ
ーンを示す図、図10はその等価回路であり、この例で
は、4つの赤外線受光部10a(A)〜10c(D)の
うち、2つの赤外線受光部10a(A),10c(C)
と、10b(B),10d(D)とはいずれも並列に接
続され、第1、第2の焦電素子1,1’として使用さ
れ、容量素子CA,CCを並列接続したものが第1の焦
電素子1を構成し、容量素子CB,CDを並列接続した
ものが第2の焦電素子1’として使用されている。図1
1は、多素子タイプの焦電素子を用いて構成された電流
電圧変換回路を図2に対応させて示すものである。な
お、図9の(a)、(b)において、10eの左、右の
パターン部分は、表と裏面で短絡している [シミュレーション結果の検討]ついで、電流電圧変換
回路の周波数特性について、シミュレーションした結果
を示す。
した図2に示した回路についてのシミュレーション結果
を説明する。デュアルタイプ、多素子タイプの焦電素子
を使用する場合は、合成容量、合成帰還容量の値を置き
換えれば同様である。まず、信号出力となる出力電圧V
について解析する。変換インピーダンスZと、素子電流
Ipとは数3によって求められるので、その変換インピ
ーダンス特性は図12に示される。
して傾斜部分のインピーダンス特性はインピーダンスZ
=1/(ω・Cf)で与えられるので、周波数が低くな
るにしたがってその値は上昇していくが、直流帰還回路
が働いているため、帰還回路の時定数τdcによって決
まる特定周波数から下は、第2の焦電素子1´のインピ
ーダンスが作用して、逆にインピーダンスは下降してい
く。
定数τdcによって定まる各速度ωdcでピークを持つ
ようなカーブとなる。 ここに、帰還回路の時定数τdc=√(R1・C1・Ri・Cf) =1/ωdcである。 また、焦電素子から出力される素子電流Ipは、熱時定
数τtをポールとするHPFのような特性を示す。
スZと素子電流Ipの積となり、V=Z×Ipとして求
められる。その結果、低減のカットオフ周波数がτdc
で、高域のカットオフ周波数がτtで決定されるBPF
のような特性を示すことになる。次いで、ノイズ特性の
解析を行う。
果を示している。この図では焦電素子の温度雑音等や演
算増幅器の1/fノイズは、それほど影響がないため、
支配的となるパラメータを記述している。したがって、
ノイズ出力電圧は、 1)tanδ雑音:Vδ 2)OPAmp電流雑音:Vi 3)OPAmp電圧雑音:Ve 4)FB系統雑音:Nfb で構成され、数4に示すような式で求められる。
のノイズ電圧を実際に計算してシミュレーションした結
果を、図15はS/N比をシミュレーションした結果を
グラフで示している。各ノイズ特性から分かるようにコ
ンデンサの誘電体損失=tanδによるノイズVδが支
配的となっており(但し、1Hz近傍)、図15では、
そのトータルノイズをNv、信号出力をSvとして示し
ている。S/N比はSv/Nvで求められる。
との比較を行うため、FETバッファを用いた電流電圧
変換回路についても、本発明と同様な条件でシミュレー
ションを行った。図23,図24はそれぞれ、図14、
図15に対応したグラフである。ここでは、焦電素子の
素子熱基準電流を本発明の場合と同様に0.1fAと
し、他の回路条件も同じものにした。
なり、本発明によるS/N比は、 Nv(out)=2.4[μV/√Hz] Sv(out)=3.0[μV] ゆえに、S/N=1.3(但し、1Hz) これに対して、従来のFETバッファを用いた方式によ
るS/N比は、 Nv(out)=2.4[μV/√Hz] Sv(out)=1.4[μV] S/N=0.58(但し、1Hz)という計算結果とな
った。
では、人体検知周波数として重要な1Hzの近傍におい
ては、従来のFETバッファを用いた場合に比べて、2
倍ほどのS/N比改善が行われていることが分かる。ま
た、素子容量Ciが20pFから10pFになったた
め、同じ素子感度でローノイズ化も達成されていること
も分かる。
成分として支配的であった抵抗Rgによる熱雑音がなく
なることで全体としてローノイズ化が図れたものと思わ
れる。なお、図14、図15のシミュレーション結果で
は、変換インピーダンスがFETバッファを用いたもの
よりも上がったためノイズの絶対値は下がっていない
が、その分、信号出力電圧Svも上昇しているので、結
果としてS/N比も向上している。
れば、演算増幅器の帰還容量が小さいほどより高いS/
N比が得られる事も分かっている。シミュレーションの
例では、帰還容量を構成する焦電素子の素子容量を10
pFより小さい値とすることで、従来の方式に対して更
に2倍以上のS/N比の改善を行うことも可能である。
ズ解析の結果から、本発明において高いS/N比を得る
ためにはI/V変換のために用いる演算増幅器の電流雑
音は小さい方が良く、従って、入力バイアス電流の小さ
なタイプ、つまり入力インピーダンスが高いタイプが望
まれる。このような条件の演算増幅器は、一般的には入
力段にFETを用いたタイプを使用すればよい。
る。図16は、この回路の実施例を示しており、直流帰
還回路は、帰還コンデンサC1を接続した演算増幅器3
2の出力端子と、第2の焦電素子1’より成る帰還容量
Cfを付加した演算増幅器2の反転入力端子との間に抵
抗Riを接続し、さらに抵抗R1を基準電圧Vrに接続
して構成される。第1の焦電素子1は演算増幅器2の反
転入力端子に接続されており、この点は前述の回路と同
じである。また、演算増幅器2の出力端子は、そのまま
演算増幅器32の非反転入力端子に接続され、演算増幅
器2の非反転入力端子には基準電圧Vrが加えられてい
る。
には基準電圧Vrを与えることによって、演算増幅器が
片電源駆動方式である場合にも、動作点をVrに上げる
ことによって、正、負のいずれの入力信号に対しても出
力信号が得られるようにしている。この場合Vrは、0
<Vr<VDD(ここに、VDDは演算増幅器の駆動電源)
の範囲に設定されるが、Vr=VDD/2に設定すれば、
正、負いずれの入力信号対しても最大の動作範囲を得る
ことが可能となる。
ィルタとして働き、この時のインピーダンスZ(s)は
数5で表わされる。
形は、数6で表わされるから、数5,数6の2つの式よ
り、数7が求められる。
の周波数特性は、バンドパスフィルタの作用をなすこと
が分かる。ここに、ω0は中心周波数でQは一般に選択
度と呼ばれるものである。ところで、焦電型赤外線検出
装置における電流電圧変換回路では、ノイズ成分の一つ
としてRiによる熱雑音が問題となり、これを抑えるた
めにはRiの値を1T(テラ)Ω程度以上の高抵抗にし
なければならないが、このような高抵抗は温度特性が大
きく、温度変化によりRiの値が大きく変動することに
なる。ところが、抵抗値が大きくなると、変換インピー
ダンスの周波数特性にピークが表れ、回路は不安定な状
態になる。
は、このような問題点を解決するため、温度が変化して
も電流電圧変換回路の変換インピーダンスの周波数特性
にピークが生じない、すなわち回路の安定性が温度変化
に対して強い構成にしている。この直流帰還回路では、
バンドパスフィルタを形成することとなる抵抗R1とR
iに同じ温度特性を持つものを選択しており、そのため
温度変化によりRiの値が大きく変動しても、同じよう
にR1の値も変動して温度補償がなされるため、結果と
してQは変動しない。つまり、変換インピーダンスの周
波数特性にピークが生じないので、安定化することにな
る。
変換インピーダンスの周波数特性をシミュレーションし
た結果を示している。回路定数は焦電素子Aの素子容量
Ci=12pF,帰還容量Cfとなる焦電素子Bの素子
容量Ci=Cf=12pF,Ri=1TΩ,R1=2.
4GΩ,C1=10nFとしている。(A)は抵抗R
i,R1を1倍にした場合、(B)は5倍にした場合、
(C)は10倍にした時のシミュレーショ結果を示して
いる。
えない場合のインピーダンスの周波数特性を表わしてい
る。回路定数は図17の場合と同じであるが、(A)は
抵抗Riのみを1倍、(B)は5倍(B)、(C)は1
0倍にした時の特性を示している。これらの結果からわ
かるように、図18では、抵抗が大きくなれば変換イン
ピーダンスの周波数特性にピークが鋭くなっていくのに
対して、図17では、鋭いピークはなく、グラフの形に
変動がなくなっていることがわかる。このような電流電
圧変換回路によれば、温度変化により回路中の高抵抗素
子の値が大きく変動しても、回路のQ値は変わらないの
で、環境温度が変化しても回路の安定性を向上させるこ
とができる。特に、人体検知周波数となる1Hz近傍
は、平坦なピーク値より更に低い傾斜したレベルにある
ので、人体検知の周波数特性としては極めて安定化して
いることが分かるはずである。
8)によれば、以下のような効果が得られる。 (1)FETを用いた従来の電流電圧変換回路に比べ
て、S/N比が著しく改善出来る。
FETを用いて構成された従来品と比べて、高抵抗によ
る熱雑音が排除され、トータル的にノイズの低減化が図
れる。また、高抵抗などの外付け部品を使用せず、半導
体素子を用いて回路構成できるため、焦電素子、レンズ
の小型化も可能となり、検出器も小型化できる。 (2)帰還容量に焦電素子を使用しているので、別に電
子部品としてのディスクリートのコンデンサを必要とせ
ず、部品が削減でき、小型でローコスト化が図れる。ノ
イズ分析から結果から分かるように、ローノイズ化を図
るためには、誘電体損失の小さいコンデンサが必要とさ
れるが、本発明では、焦電素子で兼用しているので、電
子部品としてのコンデンサは不要となり、部品点数も軽
減される。 (3)出力電圧の低域の時定数を回路素子でコントロー
ルできる。
子容量で決まる電気時定数で決定されていたが、本発明
ではインピーダンス変換のために帰還容量を付加した演
算増幅器に、更に付加される直流帰還回路の回路素子を
選択することによって、出力電圧の低域の時定数が調整
できる。 (4)特に、請求項8において提案された温度特性を同
じくする抵抗素子を用いて直流帰還回路を構成し、電流
電圧回路にバンドパスフィルタ特性を持たせたもので
は、温度環境が変化した場合にも、変換インピーダンス
特性にピーク値が生じないので、安定した焦電型赤外線
検出装置が実現できる。
流電圧変換回路の基本構成を示す図である。
換回路の基本回路図である。
発明の基本回路図である。
本回路図である。
2の焦電素子として使用するデュアルタイプの焦電素子
基板の表、裏面の導電パターンの一例を示す説明図であ
る。
路図である。
2の焦電素子として使用するデュアルタイプの焦電素子
基板の表、裏面の導電パターンの他例を示す説明図であ
る。
路図である。
2の焦電素子として使用する多素子タイプの焦電素子基
板の表、裏面の導電パターンの他例を示す説明図であ
る。
回路図である。
用いて電流電圧変換回路を構成した場合の回路構成図で
ある。
である。
示す図である。
ョン結果を示すグラフである。
果を示すグラフである。
路の一実施図である。
シミュレーション結果を示すグラフである。
換回路の出力電圧のシミュレーション結果を示すグラフ
である。
回路の一例(シングルタイプの焦電素子を用いたもの)
を示す図である。
回路の一例(デュアルタイプの焦電素子を用いたもの)
を示す図である。
ある。
性図である。
のシミュレーション結果を示すグラフである。
レーション結果を示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】交流帰還回路と直流帰還回路とを付加接続
した演算増幅器に、第1の焦電素子を接続して構成され
た電流電圧変換回路を備えた焦電型赤外線装置であっ
て、上記電流電圧変換回路は、 上記演算増幅器の反転入力端子と上記第1の焦電素子の
一端を接続するとともに、 その演算増幅器の出力端子と上記反転入力端子との間に
は、上記第1の焦電素子とは異なる、第2の焦電素子を
上記交流帰還回路として接続するとともに、入力抵抗に
直流帰還回路を直列接続したものを並列に接続して構成
されており、かつ上記電流電圧変換回路の変換インピー
ダンス特性は、上記直流帰還回路によって定まるDC帰
還時定数に対応する特定周波数よりも周波数の高い側に
現れる、上記第2の焦電素子のインピーダンスが作用す
る周波数側に、人体検知に必要な周波数帯を設定してい
る ことを特徴とした焦電型赤外線検出装置。 - 【請求項2】請求項1において、上記第1、第2の焦電
素子は、同一の焦電素子基板に形成された複数の赤外線
受光部を選択的に割り当てて構成されている焦電型赤外
線検出装置。 - 【請求項3】請求項1または2において、上記第1、第
2の焦電素子は、同一の焦電素子基板に2つの赤外線受
光部を形成したデュアルタイプ焦電素子のそれぞれの赤
外線受光部を選択的に割り当てて構成されている焦電型
赤外線検出装置。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれかにおいて、上記演
算増幅器は、その電流雑音成分が上記焦電素子の誘電体
損失によって生じる雑音成分よりも小さくなる程度に十
分に大きい入力インピーダンスを有したものである焦電
型赤外線検出装置。 - 【請求項5】請求項1〜4において、上記直流帰還回路
が、積分回路で構成されている焦電型赤外線検出装置。 - 【請求項6】請求項1〜4において、上記直流帰還回路
には、上記演算増幅器の出力電圧を電流信号に変換する
電圧電流変換回路を更に接続した構成としている焦電型
赤外線検出装置。 - 【請求項7】請求項6において、上記電圧電流変換回路
は、3つの抵抗を接続して構成されている焦電型赤外線
検出装置。 - 【請求項8】請求項1〜7において、上記直流帰還回路
は、コンデンサを付加した演算増幅器を有し、その出力
端子と、その基準入力端子の各々に、異なる抵抗を接続
することによって、上記電流電圧変換回路にバンドパス
フィルタ特性を持たせており、かつ上記双方の異なる抵
抗の温度特性を同じに揃えた構成としている焦電型赤外
線検出装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP26069797A JP3399314B2 (ja) | 1997-04-09 | 1997-09-25 | 焦電型赤外線検出装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-91048 | 1997-04-09 | ||
JP9104897 | 1997-04-09 | ||
JP26069797A JP3399314B2 (ja) | 1997-04-09 | 1997-09-25 | 焦電型赤外線検出装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10339666A JPH10339666A (ja) | 1998-12-22 |
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JP3557838B2 (ja) * | 1997-03-26 | 2004-08-25 | 松下電工株式会社 | 焦電型赤外線検出装置 |
US7088175B2 (en) * | 2001-02-13 | 2006-08-08 | Quantum Applied Science & Research, Inc. | Low noise, electric field sensor |
-
1997
- 1997-09-25 JP JP26069797A patent/JP3399314B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH10339666A (ja) | 1998-12-22 |
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