JP3392956B2 - 磁気記録層を有するフィルム対応カメラ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録層を備えた銀
塩フィルムを使用できるカメラに関する。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】近年、銀塩フィルムに、
その乳剤面とは反対側の面に磁気記録層をコーティング
したフィルム（例えば図５参照）、およびそのフィルム
を使用するカメラが発表されている。この種のニューフ
ィルムは、従来同様に、乳剤層には被写体像を感光（撮
影）するが、磁気記録層には、例えば撮影時の年月日、
時分秒、シャッタ速度、絞り値、焦点距離、レンズまた
はカメラの種別などのデータを記録する。磁気記録層へ
のデータ記録は、従来の磁気テープ記録装置などと同様
に、フィルムを定速走行させてこの定速走行中に、磁気
記録層に摺接する磁気ヘッドにより行なう構成である。

【０００３】また、撮影画面に対応するデータを、その
撮影画面の外側に位置する磁気記録層に記録すれば、そ
の磁気記録層に記録された信号を再生する際に撮影画面
と磁気記録データとの関連付けが容易になる。そのため
には、磁気ヘッドを、裏蓋が閉じられた際にフィルムの
磁気記録層に接触するように裏蓋に装着する構成があ
る。しかし、磁気ヘッドを撮影画面に対応するように裏
蓋に装着する構成では、裏蓋の奥行を、撮影位置におけ
るフィルム裏面から磁気ヘッドの奥行分以上に設定しな
ければならず、裏蓋が厚くなってしまう。

【０００４】さらにフィルムを安定して磁気ヘッドに圧
接するためにはヘッドパッドなどが必要である。このパ
ッドは、フィルムを挟んで磁気ヘッドとは反対側に配置
しなければならない。しかし、撮影画面の前方にはレン
ズ鏡胴がある。したがって、レンズ鏡胴とフィルム面と
の間にパッド収納分の空間が必要になるので、この空間
を確保するためにレンズ鏡胴を前方に出さなければなら
ず、レンズがカメラボディから突出してしまう、という
問題もあった。

【０００５】

【発明の目的】本発明は、上記従来の問題に鑑みてなさ
れたもので、カメラのコンパクトさを損なわずに磁気ヘ
ッドの実装を可能とした、磁気記録層を有するフィルム
に適したカメラを提供することを目的とする。

【０００６】

【発明の概要】この目的を達成する本発明は、磁気記録
層が形成されたフィルムによる撮影が可能なカメラであ
って、上記フィルムが装填されるカメラボディの開口部
を開閉する裏蓋と、上記開口部内に装着された、上記装
填されたフィルムを巻き上げるスプールと、一方の端部
が上記裏蓋に固定され、他方の自由端部にフィルム押え
ローラが装着され、上記裏蓋が閉じられた状態で、上記
フィルム押えローラを上記スプールに弾性的に押圧する
ばね部材と、上記フィルムの磁気記録層に所定のデータ
を記録する磁気ヘッドと、を備え、上記磁気ヘッドが、
上記押圧ばね部材の一方の端部と上記フィルムローラ部
材との間であって、上記裏蓋が閉じられた状態で上記ス
プールに巻き付く前のフィルムの磁気記録層が摺接する
位置に装着されていること、に特徴を有する。

【０００７】

【実施例】以下図示実施例に基づいて本発明を説明す
る。図１は、本発明を適用したカメラの実施例の外観
を、裏蓋を開いて示す斜視図、図２は、同実施例の要部
を示す斜視図、図３は、同要部の断面図である。

【０００８】カメラボディ１１の背面には、フィルムを
装填するための開口部１３が形成されている。この開口
部１３内に装着されたアパーチャブロック２１によっ
て、撮影画面を規制するアパーチャ枠１５、その両側に
パトローネ装填室１７およびスプール室１９が形成され
ている。

【０００９】パトローネ装填室１７内には、装填された
パトローネ７１のスプール軸と係合してこれを回動させ
る巻戻しフォーク２３が突出している。フィルム巻上げ
室１９内には、フィルムを巻き上げるスプール２５が装
着されている。巻戻しフォーク２３およびスプール２５
は、詳細は図示しないが、フィルムモータ８３、減速ギ
ヤ列およびクラッチ機構を介して駆動されるが、一方が
回転駆動されているときには他方が回転フリー状態にさ
れる。本実施例では、オートローディングおよび巻き上
げの際には、巻戻しフォーク２３は回転フリー状態にさ
れ、スプール２５は回転駆動される。そしてフィルム巻
戻しの際には、巻戻しフォーク２３が回転駆動され、ス
プール２５は回転フリー状態にされる。なお、フィルム
モータ８３は、制御回路８１によってモータドライバ８
２を介して駆動制御される（図４参照）。また、制御回
路８１、モータドライバ８２およびフィルムモータ８３
によってフィルム巻き上げ装置を構成している。

【００１０】さらにスプール室１９内には、オートロー
ディング時にフィルムの先端部（リーダー部）がスプー
ル２５に巻き付くようにガイドするガイド部材として
の、ローラ５５およびローラを弾性的に支持するスプー
ル押えばね５７が装着されている。

【００１１】カメラボディ１１の開口部１３には、その
一側縁部を構成するカメラボディ１１に設けられたヒン
ジ２９を介して、開口部１３を開閉する裏蓋３１が取り
付けられている。裏蓋３１には、開口部１３が閉鎖され
たときに、アパーチャ枠１５内に位置する撮影領域部分
のフィルムＦの平面性を保つ圧板３３がばね（図示せ
ず）を介して装着されている。さらに裏蓋３１には、圧
板３３に形成された開口３３ａから突出し、裏蓋３１が
閉じられた状態でカメラボディ１１に装着されたフィル
ム走行検出ローラ４９に圧接するアイドルローラ３９が
装着されている（図２参照）。アイドルローラ３９は、
フィルムＦが装填されているときには、フィルムＦの走
行に連動してローラ４９が滑らないで回転するように、
フィルム走行検出ローラ４９とでフィルムＦのパーフォ
レーション部を挟圧する。

【００１２】なお、図１中、符号４１は、パトローネ装
填室１７に装填されたパトローネ７１の表面に記載され
たＩＳＯ感度、撮影可能枚数表示の視認を可能とするた
めの情報窓、符号４３は、パトローネ７１の表面に密着
して情報窓４１と開口部１３とを遮光する遮光モケッ
ト、符号４５は、裏蓋３１が閉鎖されたときに、カメラ
ボディ１１に設けられたロックピン（図示せず）と係合
して裏蓋３１を閉鎖状態にロックするフックである。

【００１３】アパーチャ枠１５の長手方向（フィルム走
行方向）縁部の両外側には、一方しか図示しないが、フ
ィルムの走行方向と平行に延びてフィルムＦの走行をガ
イドする内レール１６ａおよび外レール１６ｂが設けら
れている。これらのレール１６ａ、１６ｂの間に形成さ
れたローラ開口１６ｃから、フィルム走行検出ローラ４
９が突出している。フィルム走行検出ローラ４９は、図
示しないが、カメラボディ１１の固定部材に回転自在に
軸支され、その回動軸の一端部にエンコーダ板５１が固
定されている。このエンコーダ板５１は、円周方向に一
定の間隔で形成された放射方向に延びる多数のスリット
を有するスリット円板である。このエンコーダ板５１が
回転すると、これらのスリットが透過型のフォトインタ
ラプタ５３の投受光光路を通過して光路を開放／遮光す
る。すると、フォトインタラプタ５３の出力が変化し
て、パルス信号を出力する。制御回路８１は、ドライバ
８４を介してフォトインタラプタ５３の発光を制御し、
フォトインタラプタ５３が出力するパルス信号を検知し
て、フィルムの有無、走行速度および走行量を検出す
る。

【００１４】このフィルム走行検出ローラ４９の外周面
は、内レール１６ａの上面および外レール１６ｂの上面
の間に位置し、裏蓋３１が閉じられた状態においてアイ
ドルローラ３９とでフィルムＦを挟圧する。そして、フ
ィルムＦが走行するとフィルム走行検出ローラ４９は滑
らずに回転し、一体に回転するエンコーダ板５１の回転
に連動してフォトインタラプタ５３がパルス信号を出力
する。

【００１５】制御回路８１は、フォトインタラプタ５３
が出力したパルス信号を検知して、フィルムの走行速
度、走行量およびフィルムの有無を検出し、フィルムモ
ータ８３の回転速度、停止を制御する。そして本実施例
の制御回路８１は、露光後のフィルム巻上の際に、撮影
に関する所定データをアンプ８７、磁気ヘッド６１を介
して磁気記録層Ｒに記録する。その際制御回路８１は、
フォトインタラプタ５３から出力されるパルス信号の出
力間隔を検知してフィルムの巻き上げ速度を一定に保っ
ている。また、フィルムの走行を検出する手段はこの実
施例に限定されず、例えば、レール１６ａ、１６ｂの間
に設けた反射型のフォトインタラプタによりパーフォレ
ーションのエッジを検出するものも適用できる。

【００１６】次に、本発明の特徴である構成について、
さらに図２から図４を参照して詳細に説明する。裏蓋３
１には、裏蓋３１が閉じられたときに、スプール２５、
またはスプール２５にフィルムＦが巻き付いているとき
にはフィルムＦに接触するフィルム押えローラ３５が、
フィルム押えばね３７を介して装着されている。フィル
ム押えばね３７は、一端部が裏蓋３１に固定され、自由
端部にフィルム押えローラ３５が装着されている。この
フィルム押えばね３７は、裏蓋３１が閉じられた状態に
おいて、一端部がスプール２５よりもアパーチャ枠１５
寄りに位置した状態で、フィルム押えローラ３５をスプ
ール２５に当接するように形成されている。

【００１７】さらにフィルム押えばね３７には、フィル
ム押えローラ３５と固定端部との間に、磁気ヘッド６１
が装着されている。この磁気ヘッド６１は、裏蓋３１が
閉じられた状態において、フィルム押えばね３７の弾性
力により、スプール２５とレール１６ａ、１６ｂとの間
のフィルムＦの磁気記録層Ｒに接触する。フィルムＦ
は、スプール２５による巻上力と、内レール１６ａなど
との間の摩擦力により、スプール２５とレール１６ａ、
１６ｂとの間の部分が緊張した状態にある。したがっ
て、この緊張によって、磁気記録層Ｒと磁気ヘッド６１
との良好な接触が保たれている。

【００１８】フィルム押えばね３７には、磁気ヘッド６
１に隣接して、パーフォレーションの有無を検出する、
反射型のフォトインタラプタ６３が固定されている。こ
のフォトインタラプタ６３の出力は制御回路８１に入力
され、制御回路８１は、その信号によりパーフォレーシ
ョンの有無を検知して、撮影画面の始点、および終点を
検出し、データ記録開始および停止、さらにフィルムの
走行停止を制御する。フォトインタラプタ６３は、ドラ
イバ８４を介して制御回路８１によって駆動制御される
（図４参照）。

【００１９】このカメラは、次のように動作する。撮影
が終了すると、フィルムモータ８３が起動してスプール
２５が回転し、フィルムＦが１コマ分スプール２５に巻
き上げられ、巻き上げに際して磁気記録層Ｒが磁気ヘッ
ド６１に摺接する。この摺接の際に所定のデータが、磁
気ヘッド６１によって磁気記録層Ｒに書込まれる。な
お、これらの制御は、制御回路８１内のＲＯＭにメモリ
され所定のプログラム（アルゴリズム）に基づいて実行
される。

【００２０】本実施例では、撮影画面と磁気記録位置と
がフィルム走行方向に離れているので、露光後その露光
画面分のフィルムを巻上げる際にデータを記録すると、
撮影画面とそのデータ記録位置とがずれる。そこで、撮
影時の書込みデータをメモリするデータメモリを設け
て、撮影時のデータをデータメモリに書込む。そして、
対応する撮影画面が磁気ヘッド６１を通過する際に、デ
ータメモリからデータを読出して磁気記録層に書込む構
成にする。その際、対応する撮影画面の位置を、フォト
インタラプタ６３の出力により検知して、データ記録の
開始および停止を制御する。

【００２１】以上本発明について図示実施例に基づいて
説明したが、磁気ヘッドの形状、磁気ヘッドを保持する
フィルム押えばねの形状はこれに限定されない。フィル
ム押えばねは、断面Ｊ字形状の板ばねとしたが、弧状で
も、直線状でもよく、より幅広でもよい。その材質も、
金属でも、合成樹脂でもよい。また、本実施例では、磁
気記録層がフィルムの一方にのみ形成されたフィルムに
適応したものを示したので、フィルムは、一方の側縁部
だけ磁気ヘッドにより押圧される。そこで、フィルムの
他方の縁部も同様に押圧するダミーヘッドを有するフィ
ルム押えローラおよびフィルム押えばねを設けてバラン
スをとってもよい。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかな通り本発明は、
フィルムの磁気録層に所定のデータを書込む磁気ヘッド
を、一方の端部が裏蓋に固定され、他方の自由端部に装
着されたフィルム押えローラをフィルムを巻き上げるス
プールに弾接させるフィルム押えばね部材に装着して、
スプールに巻き付く前の磁気記録層に摺接させるので、
磁気ヘッドを収容する特別なスペースが不要になり、ヘ
ッドパットも不要になので、コンパクトな、磁気記録層
を有するフィルム対応カメラを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した磁気記録層を有するフィルム
対応カメラの一実施例を裏蓋を開いた状態で示した斜視
図である。

【図２】同実施例の要部を示す拡大斜視図である。

【図３】同実施例の要部の縦断面図である。

【図４】同実施例の回路構成の概要をブロックで示す図
である。

【図５】磁気記録層を有するフィルムの概要を示す平面
図である。

【符号の説明】

１１ カメラボディ １３ 開口部 １７ パトローネ装填室 １９ スプール室 ２５ スプール ３１ 裏蓋 ３５ フィルム押えローラ ３７ フィルム押えばね ６１ 磁気ヘッド ６３ フォトインタラプタ ８１ 制御回路

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気記録層が形成されたフィルムによる
   撮影が可能なカメラであって、 上記フィルムが装填されるカメラボディの開口部を開閉
   する裏蓋と、 上記開口部内に装着された、上記装填されたフィルムを
   巻き上げるスプールと、 一方の端部が上記裏蓋に固定され、他方の自由端部にフ
   ィルム押えローラが装着され、上記裏蓋が閉じられた状
   態で、上記フィルム押えローラを上記スプールに弾性的
   に押圧するばね部材と、 上記フィルムの磁気記録層に所定のデータを記録する磁
   気ヘッドと、を備え、 上記磁気ヘッドが、上記押圧ばね部材の一方の端部と上
   記フィルムローラ部材との間であって、上記裏蓋が閉じ
   られた状態で上記スプールに巻き付く前のフィルムの磁
   気記録層が摺接する位置に装着されていること、 を特徴とする磁気記録層を有するフィルム対応カメラ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のカメラは、上記スプー
   ルを回転駆動してフィルムを巻き上げるフィルム巻き上
   げ装置を備え、上記所定のデータは、上記フィルム巻き
   上げ装置による巻き上げ中に記録されること、を特徴と
   する磁気記録層を有するフィルム対応カメラ。