JP3391941B2 - 余剰汚泥の処理方法 - Google Patents

余剰汚泥の処理方法

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    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel

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  • Treatment Of Sludge (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性汚泥処理する際に
生じる余剰汚泥の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】排水を活性汚泥処理する際に多量に発生
する余剰汚泥は、産業廃棄物として処理されている。現
在、余剰汚泥は土壌改良材、コンポスト材料としての利
用が進められているが、より安価な処理方法の開発及び
汚泥発生量の低減が重要な課題となっている。汚泥減量
化方法は、既に実用化されているものも含め、いくつか
の方法が報告されている。最も広く行われているのが嫌
気消化法である。これはメタン菌を含む嫌気性微生物の
作用で汚泥中の有機物を分解し、メタンと二酸化炭素に
変換するものである。この方法は汚泥の減量化とエネル
ギー回収が同時にできる点で優れた方法であるが、消化
に要する日数が35日前後と長く、従って大きな消化槽
を必要とするという欠点をもつ。また、汚泥の脱水性を
向上させたり乾燥させることにより減量化する方法も行
われているが、脱水に関しては技術的限界に近づいてい
ること、乾燥はエネルギーがかかりすぎることから効果
的とはいえない。一方、汚泥を各種の方法で可溶化し、
減量化する方法も報告されている。多くは前述の嫌気消
化法を効率化するための前処理法として研究されてお
り、例えば、嫌気性自己消化、熱処理、微生物処理、超
音波処理等がある。また、好気処理を前提として、酸・
アルカリにより可溶化させ混合する方法、後処理が不要
な方法として好気性自己消化(25〜45℃で曝気する
ことで50〜87%の可溶化)も報告されている。しか
し、これらの方法は処理日数が長い、薬品や投入エネル
ギーコストが高い等の問題点があり、実用的ではない。
なお、余剰汚泥処理に関する特許出願としては、特公昭
56−42995、特開昭53−58377、特開昭6
2−97698、特開平4−326998などがある。
特公昭56−42995「有機性廃棄物の嫌気性消化方
法」には、有機性廃棄物(余剰活性汚泥等)にアルカリ
を添加し消化する方法が開示されている。特開昭53−
58377「有機質肥料の製造方法」には、余剰汚泥を
0.5〜40%重量のアルカリ溶液中において40〜1
00℃の条件で処理し肥料とすることが開示されてい
る。特開昭62−97698「汚泥の再構成および転化
方法」には、有機汚泥をpH10〜13、20〜90℃
に調整して有機汚泥を有用物質に転化する方法が開示さ
れている。さらに、特開平4−326998「有機性汚
泥の処理方法」には、有機性汚泥をアルカリ性にし、5
0〜100℃で処理する方法が開示されている。これら
の先行出願の技術を検討したところ、高温でアルカリ処
理する方法が開示されているが、しかしその処理期間は
10〜20日程度かかり時間的な問題がある。また、同
じアルカリ処理を行なうにも通常0.1N以上の多量の
アルカリ処理液を用いる必要があるなどの問題がある。
さらに、有機性汚泥を、高温、アルカリ処理した可溶化
液をその後どのように利用出来るかという総合的な処理
方法については開示がなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を解消し、処理日数が短く、かつ薬
品や投入エネルギーコストが少ない余剰汚泥処理法の提
供を目的とする。
【0004】
【構成】本発明者らは、上記のような問題点に着目し、
従来よりも少量のアルカリ溶液で、短時間(2〜3
日)に余剰汚泥を可溶化することにより有機酸生成率を
高めた可溶化液を製造し、さらに前記有機酸生成率を
高めた可溶化液を上向流嫌気性汚泥床法により高速メタ
ン発酵処理することにより、全体として少ないアルカリ
およびエネルギー量で効率良く余剰汚泥を処理できる方
法を開発することを課題とした。すなわち、本発明は、
アルカリ無添加あるいは0.02N以下のアルカリ濃度
でアルカリ条件とした余剰汚泥を、40〜80℃で加温
処理し、得られた可溶化液を上向流嫌気性汚泥床法(U
pflow Anaerobic SludgeBla
nket Process)により高速メタン発酵処理
することを特徴とする余剰汚泥の処理方法に関する。本
発明でいう余剰汚泥とは、炭素、窒素、リン、硫黄成分
等を含む有機性汚泥で、食品、薬品等の工場及び下水処
理場等から排出されるものをいう。前記余剰汚泥に対す
るアルカリの添加量は、処理する余剰汚泥全体に対して
アルカリ無添加あるいは0.02N以下、好ましくは
0.01Nになるようにする。アルカリ条件が0.02
Nを越えると自己消化反応が阻害され、有機酸生成率が
急激に低下する。本発明で使用する前記アルカリの種類
は特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マ
グネシウムなどが利用できる。このうち、特に水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどが効果がある。これらア
ルカリは、水溶液、または固体の状態で添加するのが好
ましい。アルカリを添加した後の加温温度は、好ましく
は40〜80℃、さらに好ましくは60℃以上である。
加温温度が40℃未満では、本発明の目的を達成するに
必要な余剰汚泥の可溶化率を達成することができず、ま
た80℃を越える温度に加温することは熱経済性および
自己消化反応阻害による有機酸生成率の低下の点から好
ましくない。従って本発明の目的を達成するに必要な可
溶化率および有機酸生成率が得られ、かつ加温に要する
熱エネルギーが最少量で済む60℃近傍で行うのが好ま
しい。また、加温処理時間は、アルカリ条件あるいは加
温温度、余剰汚泥の種類、さらには所望の可溶化率およ
び有機酸生成率によっても相違するが、通常1〜5日程
度であるが、60℃程度の加温時間で、所望の可溶化率
を得るためには2日程度が好ましい。
【0005】前記アルカリ添加後の加温処理は、好気条
件でも嫌気条件でも行うことは可能であるが、嫌気条件
の方がより反応が促進される。前記のようにして得られ
た可溶化液を次にUASB法により高速メタン発酵処理
するためには、可溶化率が30%以上で、有機酸生成率
が15%以上であることが好ましい。可溶化率が30%
未満では有機酸が十分に生成せず、また有機酸生成率が
15%未満では得られた上清の酸発酵を充分行わないと
UASB処理におけるメタン生成が効率的に行われない
可能性がある。本発明の条件では、pH処理の条件、お
よび加温処理温度によって多少可溶化率および有機酸生
成率が変化するが、通常可溶化率は20%以上、有機酸
生成率は10%以上となる。このうち、前記のようなU
ASB法により高速メタン発酵処理するために好適な可
溶化率が30%以上で、有機酸生成率が15%以上の可
溶化液は例えばアルカリ添加量として0.01N(最終
濃度として)、加熱処理温度が60〜80℃、加熱処理
時間2日で余剰汚泥を加温処理することによって行うこ
とができる。本発明でいう前記可溶化率とは、汚泥の全
有機炭素重量に対する、pH調整と加熱処理を行った後
の上清画分中の有機炭素重量の割合を示したもので、以
下の式で算出される数値をいう。 可溶化率(%)=上清画分の有機炭素重量(TOC)/
汚泥の全有機炭素重量×100 また、有機酸生成率は、汚泥をpH調整し加温処理した
後の、上清画分の中の、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸等の有機酸の炭素重量の割合を示したものであり、
以下の式で算出されるものである。 有機酸生成率(%)=上清画分の酢酸等の有機酸の炭素
重量/汚泥の全有機炭素重量×100 前記可溶化液は、固液分離した後にメタン発酵処理装置
に供給されるが、本発明でメタン発酵処理に使用する装
置は、従来UASB法による高速メタン発酵処理に用い
られている装置を使用することが可能である。
【0006】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示す。
【0007】実施例1 (1)余剰汚泥処理のpH調整による可溶化率、有機酸
生成率への影響 活性汚泥処理で発生した余剰汚泥100mlに、表1に
示すアルカリ無添加あるいは水酸化ナトリウムを添加し
てアルカリ条件とし、これを嫌気グローブボックス内で
気相を置換した後固く密封し、インキュベーターに入
れ、50、60、70、80℃で2日間保った。その
後、加熱後の可溶化液を0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過し、得られた上清の可溶化率と有機酸生成
率を調べた。対照とし、上記と同じ余剰汚泥に表1に示
す酸添加を行い、同条件で処理した後可溶化率と有機酸
生成率を調べた。なお、可溶化率は島津製作所製TOC
分析計(TOC−5000)で、有機酸生成率は島津製
作所製HPLC(LC−10有機酸分析システム)で測
定した。その結果を図1および図2に示すが、可溶化率
が高くかつ有機酸生成率が良好であるpH調整は、アル
カリ無添加または0.02Nまでの低アルカリ濃度であ
ることがわかる。
【表1】
【0008】(2)余剰汚泥の可溶化とメタン発酵 本実施例においては、余剰汚泥を可溶化し、固液分離し
て得られた上清のメタン発酵性を調べた。まず、実施例
1の(1)に準じ、0.01Nの水酸化ナトリウムを添
加してアルカリ条件とし、60℃で2日間嫌気静置した
余剰汚泥を固液分離し、可溶化液上清を得た。つぎに、
この上清300mlに嫌気処理水700ml、嫌気汚泥
4gVSSを加え(COD負荷0.5g、pH6.
8)、図3に示す装置により35℃で撹拌し、発生する
気体を0.2N水酸化ナトリウム水溶液に通気後捕集、
5時間後にその体積を測定した。一方対照として、余剰
汚泥に、0.03Nの水酸化ナトリウムを添加してアル
カリ条件としたものを上記と同様に処理し反応させた。
その結果、同じCOD量の酢酸ナトリウムより理論上発
生するメタンの体積(175ml)を基準とした各メタ
ンの回収率は、表2のとおりとなった。
【表2】
【0009】(3)可溶化液のUASB処理 実施例1の(1)の方法に準じ、余剰汚泥に、0.01
Nの水酸化ナトリウムを添加し、60℃で嫌気条件で2
日間静置し固液分離した上清を、表3に示す条件で、図
4に示す装置を用いてUASB処理を行った。
【表3】反応槽容積 500ml 原水TOC 350−500mg/L 流速 2.2L/d TOC負荷 1.5−2.2kg/L/d 温度 35℃ HRT 5.5h TOC負荷2.2kg/L/dでの4日間の平均のTO
C除去率は88%であった。 図1の元データ 条件:嫌気状態で2日間静置 数字は可溶化率(%)を表す。
【表4】 図2の元データ 条件:図1の場合と同様 数字は有機酸生成率(%)を表す。
【表5】
【0010】
【発明の効果】本発明の実施により、従来よりも少量
のアルカリ溶液で、短時間(1〜5日)に余剰汚泥を
可溶化し、さらに前記条件で生成された可溶化液の有
機酸生成率を高め、UASB高速メタン発酵を組み合わ
せることにより、全体として少ないアルカリ量で効率良
く余剰汚泥を処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バッチ方式における可溶化率に対するpH、温
度の影響(2日目)を示す図である。
【図2】有機酸生成率に対するpH、温度の影響を示す
図である。
【図3】実施例1(2)のメタン発酵操作を示す概要図
である。
【図4】UASBを用いた可溶化液のメタン発酵操作を
示す概要図である。
【符号の説明】
A HCl、0.03N(pH2.4) B HCl、0.02N(pH3.6) C HCl、0.01N(pH6.1) D pH無調整(pH7.7) E NaOH、0.01N(pH10.1) F NaOH、0.02N(pH11.3) G NaOH、0.03N(pH11.7)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今林 誠二 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒ ビール株式会社酒類開発研究所内 (56)参考文献 特開 平5−328994(JP,A) 特開 昭61−54292(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 11/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)活性汚泥処理の際に発生した余剰
    汚泥を嫌気性条件下で加温処理して余剰汚泥を可溶化
    し、(b)得られた可溶化液を上向流嫌気性汚泥床法
    (Upflow Anaerobic Sludge
    BlanketProcess、以下UASB法ともい
    う)により高速メタン発酵処理することを特徴とする余
    剰汚泥の処理方法。
  2. 【請求項2】 (イ)得られた余剰汚泥のアルカリ濃度
    が0.02規定以下になる量のアルカリ成分を、活性汚
    泥処理の際に発生した余剰汚泥に添加し、嫌気性条件下
    で加温処理して、余剰汚泥を可溶化し、(ロ)得られた
    可溶化液を上向流嫌気性汚泥床法により高速メタン発酵
    処理することを特徴とする余剰汚泥の処理方法。
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