JP2004167369A - 汚泥の処理方法 - Google Patents

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Hideaki Hamada
英明 浜田
Teruhisa Yoshida
輝久 吉田
Yoshio Nakayama
善雄 中山
Tomoya Okamura
知也 岡村
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Abstract

【課題】嫌気性消化反応を効率よく進めることにより、難分解な供試汚泥に前処理を施して分解しやすい性質にするとともに、その後の反応に悪影響を与えない前処理条件を選定することができる汚泥の処理方法を提供すること。
【解決手段】微生物の作用により有機性汚泥を嫌気醗酵せしめ、生成物としてメタンガスを回収する嫌気性消化を用いた汚泥の処理方法において、嫌気醗酵の前工程として、有機性汚泥にアルカリ剤を添加して加温する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥の嫌気性消化に係る汚泥の処理方法に関し、特に、下水等の汚水を最初沈澱池で沈澱分離した後に得られる生汚泥や、水処理後に発生する余剰汚泥を有効に処理することができる汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水等の汚水を処理した際に発生する生汚泥や余剰汚泥は、濃縮し脱水した後、焼却して埋立て処分する方法が通例である。
しかし、最近、地球温暖化問題に端を発し、環境保全の観点から上述の汚泥について有効利用を促進する気運が高まっている。
とりわけ、嫌気性消化は、嫌気雰囲気下で処理を行い、回収したメタンガスを利用して反応槽を加温できるため、処理コストが安価であり、かつ温暖化ガスであるCOの発生量を少なくできるので、有効な処理システムとして着目されている。
このような嫌気性消化は、既に実用化の段階にあり、一部の都市において供用が開始されている。
なお、嫌気性消化の反応は、一般に酸性醗酵期、酸性減退期、アルカリ性醗酵期の3段階を経て進行すると言われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の嫌気性消化は、回収したメタンガスを有効利用する場合において、反応槽の加温のために大部分のエネルギーを消費するほか、反応槽が非常に大きくなることが指摘されている。
これらの問題は、供試汚泥自体が難分解性であり、さらには嫌気反応そのものがゆるやかな反応であるため、反応効率や反応速度が低下して生じる結果と考えられる。
【0004】
本発明は、上記従来の汚泥の処理方法が有する問題点に鑑み、嫌気性消化反応を効率よく進めることにより、難分解な供試汚泥に前処理を施して分解しやすい性質にするとともに、その後の反応に悪影響を与えない前処理条件を選定することができる汚泥の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の処理方法は、微生物の作用により有機性汚泥を嫌気醗酵せしめ、生成物としてメタンガスを回収する嫌気性消化を用いた汚泥の処理方法において、前記嫌気醗酵の前工程として、有機性汚泥にアルカリ剤を添加して加温することを特徴とする。
【0006】
この汚泥の処理方法は、嫌気醗酵の前工程として、有機性汚泥にアルカリ剤を添加して加温することから、嫌気醗酵前の汚泥を生分解しやすくするとともに、アルカリ剤や投入した熱エネルギーをその後の嫌気性消化反応に利用することができ、これにより、効率よく反応を進めて、汚泥の減容化率の向上、反応時間の短縮化、装置の小型化及びメタンガス回収率の向上を図ることができる。
【0007】
この場合において、アルカリ剤添加後の有機性汚泥のpHを8乃至14とすることができる。
【0008】
これにより、供試汚泥のアルカリ剤による分解を適正かつ経済的に行うことができる。
【0009】
また、加温する温度範囲を30℃乃至300℃とすることができる。
【0010】
これにより、アルカリ剤を加えた供試汚泥の加熱による分解を適正に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚泥の処理方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に、本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示す。
この汚泥の処理方法は、通常よく実施される2段式嫌気性消化に、前処理工程を加えた本発明の実施例である。
前処理槽1は、耐アルカリ性と断熱性の処理を施した水槽であり、水処理系で発生した汚泥Aが投入されるが、最初沈澱池から排出される生汚泥や最終沈澱池から引抜かれる余剰汚泥が対象であり、両者を混合した汚泥が投入されることがある。
【0013】
次に、汚泥の投入時に同調して、薬品タンク2から薬品注入ポンプ3を介してアルカリ剤Bを前処理槽1に添加する。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどがあり、汚泥のpHを上昇させるものであれば、特に限定されない。
添加の方法としては、汚泥とアルカリ剤の添加割合を一定値に制御する方式やpH制御等がある。
【0014】
アルカリ剤の添加量については、その種類毎に異なるため、汚泥のpH値により添加量を説明すると、供試汚泥はpHが高くなるほど分解され、酸性菌に資化されやすい性状になる。したがって、pHは8以上14以下が有効な領域となるが、運転費の経済性を考慮した場合には、pHが8乃至12程度に調整することが望ましい。
【0015】
アルカリ剤添加後、汚泥は前処理槽の内部にあるヒータ1aで加温するが、温度は摂氏30℃乃至300℃にする。加温条件についても、温度が上昇するほど汚泥の分解性が上昇するが、300℃以上の亜臨界や超臨界領域になると汚泥中の有機物が有機酸以下の低レベル分子にまで分解されるため、嫌気性消化の基質としての栄養価値が失われてしまう。
好ましい加温の領域は300℃附近であるが、前処理槽の耐圧性を考慮して、60℃乃至100℃に制御することが実用的である。
なお、加温時間は、加温温度によって異なるが、数分から1日程度を要し、期間中は攪拌機1bにより混合攪拌を行い、均等にアルカリ剤と熱が汚泥に行き渡るようする。
【0016】
このように、嫌気性消化の前段階で処理された汚泥は、前処理汚泥Cとして嫌気性消化の一次タンク4に移送され、以下、通常の2段式嫌気性消化がなされる。
一次タンク4に投入された前処理汚泥Cは、易分解性に性状が変化しているとともに、アルカリ剤や加温した熱エネルギーが酸醗酵を進める上で有利な条件を作るため、効率よく反応を進めることができる。
【0017】
以後、一次タンク4で酸性醗酵期、酸性減退期、アルカリ性醗酵期の3つの段階が順次進行し、約2週間から3週間でメタンガスを生成させて、反応を終えることができる。
反応終了後の汚泥は、一次処理汚泥Dとして二次タンク5に送り、固液分離を行い、汚泥は消化汚泥Eとして系外に排出され、埋立て等の処理が行われる。
一方、分離液Fは、水処理系へ返送して適切に処理がなされる。
【0018】
また、二次タンク5の上部空間に溜まったメタンガスGは、脱硫塔7に送られるとともに、その一部は、一次タンク4の混合攪拌を行うべく、圧縮機6を介して一次タンク4の底部より散気することができる。
この際、一次タンク4のメタンガスGも吸引して脱硫塔7に送られる。脱硫塔7では、メタンガスGから不純物が除去され、一旦、ガスホルダー8に貯留された後、このメタンガスGはボイラー9に供され、蒸気Hとなって一次タンク4や前処理槽1の加温に利用される。
前処理槽1において、ボイラー9から供給される熱量が十分な場合は、ヒータ1aを省略することもできる。
【0019】
ところで、嫌気性消化は、酸性醗酵期、酸性減退期、アルカリ性醗酵期を経て進行するが、最初の酸性醗酵は酸性菌の作用によるものである。
酸性菌に限らず、一般に細菌類は、pHの至適環境が狭く、至適領域を外れると代謝活性が極端に低下したり、場合によっては死滅することがある。
酸性醗酵においては、酸性菌の代謝産物として、酢酸やプロピオン酸などの有機酸が生産されてpHが低下し、やがては、酸性菌自身の至適環境から外れて活性が低下することになる。
さらに続けると、環境の変化に伴い、酸性菌に変わってアルカリ性菌が優占種となって嫌気性消化が進むことになる。
一方、反応温度については摂氏60℃程度までは、反応温度が高い程、反応が活発に進むことが知られており、嫌気性消化は、pHと温度が重要な環境条件となっている。
これらの反応の諸条件に対して、本実施例の汚泥の処理方法では、供試汚泥にアルカリ剤を加えて加温することにより、供試汚泥の生分解性を高めて酸性菌に資化しやすい状態にしている。
さらに、添加されたアルカリ剤は、酸性菌に対してpHの至適環境を保持する側に働くため、酸性醗酵が十分に進行する結果を生むものである。また、供試汚泥の生分解性を高めるために投入された熱エネルギーは、なるべく系外に放出されないようにして酸性醗酵に供されるため、嫌気性消化反応に有効に利用される。
【0020】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の汚泥の処理方法は、この実施例の記載に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することが可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明の汚泥の処理方法によれば、嫌気醗酵の前工程として、有機性汚泥にアルカリ剤を添加して加温することから、嫌気醗酵前の汚泥を生分解しやすくするとともに、アルカリ剤や投入した熱エネルギーをその後の嫌気性消化反応に利用することができ、これにより、効率よく反応を進めて、汚泥の減容化率の向上、反応時間の短縮化、装置の小型化及びメタンガス回収率の向上を図ることができる。
【0022】
この場合、アルカリ剤添加後の有機性汚泥のpHを8乃至14とすることにより、供試汚泥のアルカリ剤による分解を適正かつ経済的に行うことができる。
【0023】
また、加温する温度範囲を30℃乃至300℃とすることにより、アルカリ剤を加えた供試汚泥の加熱による分解を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 前処理槽
1a ヒータ
1b 攪拌機
2 薬品タンク
3 薬品注入ポンプ
4 一次タンク
5 二次タンク
6 圧縮機
7 脱硫塔
8 ガスホルダー
9 ボイラー
A 汚泥
B アルカリ剤
C 前処理汚泥
D 一次処理汚泥
E 消化汚泥
F 分離液
G メタンガス
H 蒸気

Claims (3)

  1. 微生物の作用により有機性汚泥を嫌気醗酵せしめ、生成物としてメタンガスを回収する嫌気性消化を用いた汚泥の処理方法において、前記嫌気醗酵の前工程として、有機性汚泥にアルカリ剤を添加して加温することを特徴とする汚泥の処理方法。
  2. アルカリ剤添加後の有機性汚泥のpHが8乃至14であることを特徴とする請求項1記載の汚泥の処理方法。
  3. 加温する温度範囲が30℃乃至300℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の汚泥の処理方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102583932A (zh) * 2012-03-19 2012-07-18 同济大学 热碱联合处理循环回流污泥强化厌氧消化产生沼气的方法
CN103011542A (zh) * 2012-12-13 2013-04-03 清华大学 一种加热法预处理高含固率污泥厌氧消化装置及工艺
CN103172242A (zh) * 2013-03-04 2013-06-26 同济大学 热碱联合预处理提高剩余污泥产甲烷的方法
CN103204616A (zh) * 2013-03-14 2013-07-17 同济大学 一种提高污水厂剩余污泥产甲烷率的方法
CN105439407A (zh) * 2014-08-26 2016-03-30 江南大学 一种热碱预处理与半连续流发酵组合的污泥发酵产酸方法

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