JP3389912B2 - ガスレーザ装置 - Google Patents
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- H01S3/225—Gases the active gas being polyatomic, i.e. containing two or more atoms comprising an excimer or exciplex
Description
ガス循環用のクロスフローファンに関し、特に、ArF
エキシマレーザ装置およびフッ素(F2)レーザ装置に
使うクロスフローファンに関する。
投影露光装置においては解像力の向上が要請されてい
る。このため、光源から放出される露光光の短波長化が
進められており、半導体リソグラフィ用光源としては、
従来の水銀ランプの放射波長より短波長の光を放出する
エキシマレーザ装置やフッ素レーザ装置等のガスレーザ
装置の採用が始まっている。
ザチェンバ内部には、例えば、フッ素(F2)やアルゴ
ン(Ar)、及びバッファガスとしてのネオン(Ne)
等の希ガスからなるレーザガスが数百kPaで封入さ
れ、また、フッ素レーザ装置について言えばフッ素(F
2)及びバッファガスとしてヘリウム(He)等の希ガ
スからなるレーザガスが同様に数百kPaで封入されて
いる。さらに、一対の主放電電極が設けられている。こ
の主放電電極に高電圧パルスを印加して放電を発生させ
ることにより、レーザ媒質である上記レーザガスが励起
される。
ザ光のスペクトル幅を狭帯域化し、中心波長の波長安定
化を実現するための狭帯域化光学系とが各々配置され、
この出力鏡と狭帯域化光学系によってレーザ共振器が構
成されている。そして、レーザガスが励起されるとチェ
ンバから放出される光は、レーザ共振器により増幅され
て、レーザ光として出力鏡より取り出される。
置は、主放電電極間で1回の放電をするたびに1回の発
光を行い、1回の放電を終了すると当該電極間はレーザ
媒質が状態や密度という点からきわめて不均一な状態に
なってしまう。このため、次の放電を開始するために
は、新たに新鮮なレーザ媒質を主放電電極間に配置させ
なければならない。つまり、上記のようなレーザ媒質の
状態が不均一のままで放電を開始させると、アーク放電
が生じ易くなり、レーザ発振に必要な均一なグロー放電
を得ることができず、結果として出力の不安定という問
題を生じる。
ーザ発振の繰り返し数、すなわち、単位時間当たりの発
振回数が高くなってきており、装置としても上記ガス交
換をより素早く行うだけの性能が要求される。従来か
ら、エキシマレーザ装置、フッ素レーザ装置等のガスレ
ーザ装置のガス循環用ファンとしてはクロスフローファ
ンが用いられてきた。これらの一例をあげると、繰り返
し周波数1kHzである露光用エキシマレーザ装置で
は、レーザチャンバの内部構造(電極間距離、予備電離
手段の位置等)にもよるが、電極間に流さなければなら
ないガス流速は約10m/sであり、その流速を得るた
めのファンの回転数は1分当り約1000回(rpm)
であった。また、繰り返し周波数が2〜3kHzである
エキシマレーザ装置においては、電極間に流さなければ
ならないガス流速は約20〜30m/sであり、その流
速を得るためのファンの回転数は約2000〜3000
rpmが必要とされていた。
し周波数に対して、単純にファン回転数を上げるという
手段で対応していたものである。ところが、最近は4k
Hzという、より高い周波数が要求され、単純に従来技
術の延長として、ファン回転数を上げるというだけでは
対応できなくなってきている。そして、このような要求
に十分答えられる露光用のガスレーザ装置の開発が強く
求められている。
とする課題は、4kHz以上という従来にない高い繰り
返し周波数が要求されるガスレーザ装置においても安定
した発振を可能にする構造を提供することである。
に、この発明のガスレーザ装置は、レーザガスが封入さ
れるレーザチャンバーと、このチャンバー内に配置され
た所定間隔だけ離間して対向した一対の主放電電極と、
このチャンバー内において、レーザガスを少なくとも主
放電電極間を流れる循環流とするためのクロスフローフ
ァンと、このクロスフローファンを回転支持するベアリ
ング構造と、前記レーザチャンバーの前後に各々配置さ
れた出力鏡とレーザ光のスペクトル幅を狭帯域化し中心
波長の波長安定化を実現するための狭帯域化光学系より
なり、前記ベアリング構造に転がりベアリングを使用
し、繰り返し周波数が4kHz以上であるガスレーザ装
置において、前記クロスフローファンの直径は110m
m以上150mm以下であって、周速度25.0m/s
以上であり、前記クロスフローファンの回転数が450
0rpm以下であることを特徴とする。また、前記ベア
リング構造に磁気ベアリングを使用し、繰り返し周波数
が4kHz以上であるガスレーザ装置において、前記ク
ロスフローファンの直径は100mm以上150mm以
下であって、周速度25.0m/s以上であり、前記ク
ロスフローファンの回転数が5000rpm以下である
ことを特徴とする。さらに、前記クロスフローファンの
周速度が好ましくは27.0m/s以上であることを特
徴とする。
いて安定なレーザ発振を行うためには、1回の放電が終
了したら電極に残存する古いガスを素早く電極外で追い
出し、素早く新しいガスを電極間に配置させる能力が必
要になる。この能力を上げる方法の一つとして、電極幅
(ガスを循環させる方向における幅)を狭くするという
ことが考えられる。電極幅を短くするということは、結
局、電極間に生じるグロー放電の放電幅を狭くするとい
うことであるが、この場合は残存ガスを流し出す距離が
短くなるので、その分高繰り返しが可能になるからであ
る。しかしながら、グロー放電の幅は、光源として必要
な光出力、寿命によってもともと制約を受けるものであ
り、半導体集積回路の露光装置の光源の場合はむやみに
短くすることはできない。この数値は一般的には3〜4
mmが下限であると言われている。
(風速)を上げるということである。この技術と関連す
るものに特開平11−223955号に開示されるもの
がある。そこには、放電領域を迂回するガス量を極力抑
え、ガス循環流路中に流れを妨げる物質を極力排除し、
ガスの不所望な乱れを無くしてスムーズな流れを作るこ
とが提案されている。このような技術はもちろん必要で
はあるが、流速を落とす原因を排除するというものであ
って、積極的に流速を上げるというものではない。そし
て、当該技術は1kHz程度を対象にしたものであっ
て、本発明の対象である4kHz以上という高繰り返し
にあっては、流速そのものを上げるという新たな技術が
必要になってくる。
方法として考えられるのがクロスフローファン(横流フ
ァン)の特性を向上させることである。このクロスフロ
ーファンは、通常、室内の空気調和器(エアコン)など
のようにオープンエアに対して使われるものであり、本
発明が対象とするエキシマレーザ装置等のガスレーザ装
置のように高圧力の密閉容器において、ガス流速をあげ
るという特性の研究は十分になされていない。本発明
は、高圧力の密閉容器というエキシマレーザ装置、及び
フッ素レーザ装置等のガスレーザ装置の特有の環境にお
いて、高繰り返し4kHz以上という条件に答えられる
だけのファン特性を見出したものであり、具体的にはフ
ァンの直径と回転数の関係を鋭意検討のすえ見出したも
のである。
図を示す。レーザチェンバ1は全体としてハウジングと
なっており、その中に陽極と陰極からなる主放電電極2
が間隔をもって配置される。この主放電電極2において
グロー放電が繰り返し行われ、図示略の窓部からレーザ
光が出力される。また、チャンバ1の中にはクロスフロ
ーファン3が配置される。このクロスフローファンは円
形の側版の間に複数のブレードを円周方向に配した中空
の円筒形状をしており、主放電電極2の伸びる方向にほ
ぼ同じ長さだけ同様に伸びている。そして、図において
時計方向にファンが回転することで図において矢印で示
す方向にガスが循環する。このクロスフローファンは図
示略のベアリング構造、特には転がりベアリングにより
回転支持される。
2)、アルゴンガス(Ar)およびバッファーガスとし
てネオン(Ne)などが封入されている。これらのガス
がファン3によって循環するわけであるが、主放電電極
2において当該電極に高電圧パルスが印加されるとこれ
らのガスは励起して放電発光を行い、次の高電圧パルス
の印加に伴う放電発光までに新しいガスが循環によって
再び電極間にセッティングされる。
電圧パルスが印加される前に電極間にセッティングされ
た新しいレーザガスに対して紫外線を照射するものであ
り、この紫外線照射によって前記新しいレーザガスを予
め予備電離をさせておき、これらによって主放電が起こ
ると細長い電極において均一にグロ放電が発生する。
フローファン3の外径を変えることで主放電電極2に生
じる放電の安定性を実験してみた。実験は外径が95、
100、110、120、130、140、150(m
m)の7つのクロスフローファンに対して、下流アーク
が発生しないぎりぎりのファンの回転数と、極めて安定
な放電をしたときのファンの回転数を各々測定した。こ
こで下流アークとは、電極間で放電が発生した後に残留
ガスが十分に電極間から排出されない場合に、次の放電
において電極の下流側(ガスの循環方向に対して)で残
留ガスの影響で生じるレーザ発振にとって不所望な放電
をいう。そして、下流アークが発生しないぎりぎりのフ
ァンの回転数と、そのときのファン外径から周速度(図
1における30を表し、周縁における接線方向の速度)
を算出し、同じく安定放電をしたときのファンの回転数
と、そのときのファン外径から周速度を算出した。図2
にこの実験の結果を示す。
に大きくすることはできない。4kHzのエキシマレー
ザ装置は半導体製造プロセス用のクリーンルームに設置
されるゆえ、設置面積が著しく制限させるからである。
そして、レーザチャンバーの容量等から規制されてファ
ン外径は最大でも150mmというのが限界とされてい
る。また、放電幅も4kHzエキシマレーザ装置の必要
出力、出力の安定度、寿命等の観点から3〜4mmに制
限されており、さらには電極間距離も同様の理由より1
5〜17mmに制限されてしまう。本発明はこのような
4kHzエキシマレーザ装置として要求される条件の範
囲においてファンの回転数とファン外径の関係を検討し
たものである。図2に示す実験結果とその結果より算出
した周速度により、この周速度が25.0m/s以上が
下流アークとの関係で最低限必要であって、安定な放電
を維持するためには27.0m/s以上が必要であるこ
とがわかる。すなわち、本発明は、エキシマレーザ装置
の現実的な適用範囲において、安定なグロー放電という
観点からファンの外径と回転速度の関係を周速度という
ファクタで規定し、この数値範囲を最低25.0m/s
としたものである。
り)について検討した。ファン回転数を上げると前述の
ようにガス流速を上げることができるので高繰り返しに
対応が可能となる。しかしながら、回転数が必要以上に
大きくなりすぎるとファンによる振動が大きくなり、前
述のようにレーザ光の線幅を狭めるための狭帯域化ユニ
ットの振動が大きくなり、結果として波長安定度が悪化
してしまう。また、チャンバ内部の封入ガスを循環させ
るために、ガス純度との関係で回転ファンの駆動用にベ
アリング構造を採用するのが一般的である。しかし、こ
のベアリングも回転数が上がると良好に作動しなくな
る。このような原因に着目して、本発明は第2にレーザ
光の波長安定度、ベアリングの作動性という観点からフ
ァンの最大回転数を検討した。
ァンの1分あたりの回転数を3000、3300、37
00、3900、4200、4500、4800rpm
と変化させて、各々の回転数で発振されるレーザ光の波
長を測定し、その実験結果を図3に示す。縦軸はレーザ
光の波長安定度、すなわち求められる発振波長からの波
長の最大のズレを示し、横軸はファン回転数を示す。な
お、この実験でのファンは転がりベアリングにより回転
支持されたものである。図よりファン回転数、すなわち
回転速度の増大により、波長のズレが大きくない振動が
発生したことが原因であると考えられる。ここで、露光
装置の特性としては波長安定度0.1pm以下にするこ
とが要請され、すなわち、0.1pmを越えると問題が
あることを意味する。このような観点から、具体的に検
討すると、ファン回転数が4800rpmのときは波長
安定度が0.1pmを越えており、ファン回転数が45
00rpmまで波長を安定させて作動できることが理解
できる。なお、実験はファン外径95〜150mmのも
のについて行い、すべてにおいてほぼ同様の結果を得て
いる。
る。まず、ベアリング構造として転がりベアリングを使
った場合のファン回転数とベアリング寿命について検討
した。そして、ファン回転数4500prmの場合は、
1回の放電を1パルスとすれば、5×109パルスまで良
好な作動を維持することができたが、回転数4800r
pm以上では2×109パルス以下の回転数でしか良好
な作動をすることができなかった。これは、転がりベア
リングのグリス量の消耗量が多くなったためであり、2
×109パルスでは半導体工程では受け入れられない。
以上の結果より、転がりベアリングを使ったクロスフロ
ーファンの最大回転数は、少なくとも4500rpmま
では許容できることが示される。
窒化珪素、アルミナ等のセラミックスより構成するが好
ましい。これは、フッ素と反応しないことと放電の結果
生ずる粒子(パーテクル)がベアリングの内部に混入し
てきたとしても、材料自身が硬いので摩耗することが少
ないからである。このため、前記の寿命実験に示したよ
うにグリス量が消耗したとしてもより一層摩耗に耐える
ことが可能となす。
リングではなく、磁気ベアリングを用いた場合について
説明する。上記図3に示したファン回転数(rpm)と
波長安定度に関する実験をベアリング構造についての
み、転がりベアリングではなく磁気ベアリングを使っ
て、回転数を3100、3400、3700、400
0、4350、4600、5000rpm、および50
00rpmを越える回転数と変化させた。なお、ここで
いう磁気ベアリングとは、ファンの回転軸が軸受けから
磁気によって浮上されており非接触な構造を意味してい
る。実験結果を図4に示す。図4より、ファンの1分当
りの回転数を5000rpmまで上昇させても、波長安
定度は0.06pmと極めて高い安定度を示しているこ
とがわかる。これは、転がりベアリングを使う場合に比
較して、磁気ベアリングを使用すると回転軸が軸受けと
非接触になるため振動という影響を及ぼさないからと考
えられる。しかしながら、回転数が5000rpmを越
えると、回転軸と軸受けの接触を生じてしまい、波長安
定という点から問題を発生させてしまう。また、磁気ベ
アリングは転がりベアリングのようにグリスを必要とし
ないので、寿命の点からも5000rpmまでは5×1
09パルス以上を使用できることを確認している。つま
り、ベアリング構造として磁気ベアリングを採用する
と、レーザ光の波長安定性、寿命という点を考慮して
も、最大回転数5000rpmまで可能であることが理
解できる。
装置は、ファン外径が150mm以下であり、ファンの
周速度が25m/s以上としたので、4kHz以上とい
う高繰り返し条件に十分耐えられるだけのレーザ装置を
提供することができた。特に、従来、空気調和器(エア
コン)などのオープンエアに対して使われていたクロス
フローファンに対して高圧力密閉容器というガスレーザ
特有の環境において適用できるだけの性能を改めて見出
し、その性能を利用することで従来不可能と言われてい
た4kHz以上高繰り返しという条件に適合させたもの
である。なお、実施例の説明はすべてArFエキシマレ
ーザ装置を対象に説明したが、フッ素レーザ装置につい
ても同様のことが適用できる。
と波長安定度を示す。
波長安定度を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】レーザガスが封入されるレーザチャンバー
と、このチャンバー内に配置された所定間隔だけ離間し
て対向した一対の主放電電極と、このチャンバー内にお
いて、レーザガスを少なくとも主放電電極間を流れる循
環流とするためのクロスフローファンと、このクロスフ
ローファンを回転支持するベアリング構造と、前記レー
ザチャンバーの前後に各々配置された出力鏡とレーザ光
のスペクトル幅を狭帯域化し中心波長の波長安定化を実
現するための狭帯域化光学系よりなり、前記ベアリング
構造に転がりベアリングを使用し、繰り返し周波数が4
kHz以上であるガスレーザ装置において、 前記クロスフローファンの直径は110mm以上150
mm以下であって、周速度25.0m/s以上であり、
前記クロスフローファンの回転数が4500rpm以下
であることを特徴とするガスレーザ装置。 - 【請求項2】レーザガスが封入されるレーザチャンバー
と、このチャンバー内に配置された所定間隔だけ離間し
て対向した一対の主放電電極と、このチャンバー内にお
いて、レーザガスを少なくとも主放電電極間を流れる循
環流とするためのクロスフローファンと、このクロスフ
ローファンを回転支持するベアリング構造と、前記レー
ザチャンバーの前後に各々配置された出力鏡とレーザ光
のスペクトル幅を狭帯域化し中心波長の波長安定化を実
現するための狭帯域化光学系よりなり、前記ベアリング
構造に磁気ベアリングを使用し、繰り返し周波数が4k
Hz以上であるガスレーザ装置において、 前記クロスフローファンの直径は100mm以上150
mm以下であって、周速度25.0m/s以上であり、
前記クロスフローファンの回転数が5000rpm以下
であることを特徴とするガスレーザ装置。 - 【請求項3】前記クロスフローファンの周速度が27.
0m/s以上であることを特徴とする請求項1又は請求
項2のガスレーザ装置。
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T.Goto et al.,Review of Scientific Instruments,Vol.66,No.11,pp.5162−5164(1995) |
T.Goto et al.,Review of Scientific Instruments,Vol.69,No.1,pp.1−9(1998) |
高木茂行 他,レーザー研究,Vol.21,No.5(1993)pp.566−576 |
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