JP3792446B2 - 炭酸ガスレーザ発振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、炭酸ガスレーザ発振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下に従来の炭酸ガスレーザ発振装置について説明する。図4は従来の炭酸ガスレーザ発振装置を示すものである。図4において1は送風機、2は放電管、3、4は放電管2近辺に設置した電極である。5は電極3,4に接続した高電圧電源、6は放電空間である。7は全反射鏡、8は部分透過鏡、9は熱交換器、10は部分透過鏡8から取り出されるレーザビーム、11はレーザガス配管、12はレーザガスである。
【0003】
以上のように構成された炭酸ガスレーザ発振装置について、その動作について説明する。まずレーザガス12は二酸化炭素CO2 、窒素N2 、ヘリウムHeから成り立っている。送風機1によりレーザガス配管11を通し、放電管2にレーザガス12を強制的に循環させる。電極3,4は放電管2近辺のレーザガス循環系内部に設置されており、このとき高電圧電源5に接続された電極3,4から放電空間6に高電圧が印加され放電管2内部にグロー放電を発生させる。レーザガス12は送風機1から圧縮されて排出され高温となっているため送風機1下流側に配置された熱交換器9により冷却されている。また放電空間6を通過した後のレーザガス12も放電エネルギーが印加され高温になるため同様に冷却されている。
【0004】
放電管2は電極3,4間を絶縁する必要があるため通常ガラスなどの材質が用いられている。レーザガス配管11については絶縁の必要がなく、配管の設計自由度を向上させるため、また低コストの材質を使用するためなどの理由により、アルミニウムなどの金属材料を用いている。グロー放電により励起されたレーザガス12はレーザ発振し全反射鏡7および部分反射鏡8の間をレーザビームが往復しながら増幅され共振状態となる。この共振状態から全反射鏡7と部分透過鏡8間のレーザビームの一部が部分透過鏡8よりレーザビーム10として共振器外部へ取り出され、このレーザビーム10が金属切断、溶接などの加工に用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の構成では、油分がレーザガス12中に混入し、レーザビームの出力が低下するという現象が発生していた。レーザガス配管11の材質は通常金属を用いられており、加工を行う際の切削油が材質表面に付着していた。切削油は加工時にレーザガス配管11表面に存在する微細な凹凸に擦り込まれるため、加工後の洗浄ですべてを除去することが非常に困難であった。このようにして付着した油分は、循環しているレーザガス12中に経時的に混入することとなっていた。また、送風機1はレーザガス12中に羽根車やロータなどを配置して回転させ、レーザガス12を循環させている。羽根車やロータは回転軸によってモータに結合され、モータ内ではギヤ部で潤滑油を使用していた。回転軸にはシールが施されており、ギヤ部に対して羽根車、ロータ部は気密されている。しかし、シール部の摩耗による劣化などで気密性が低下した場合に、ギヤ部の潤滑油が羽根車、ロータ部に侵入することとなっていた。
【0006】
レーザガス12の成分のうち二酸化炭素CO2 は放電空間6を通過する際に放電のエネルギーを受けることにより、分子が解離してCOと1/2O2 となる。このときレーザガス12内に混入した油分は炭素Cと水素Hの高分子化合物であるので、水素Hが1/2O2 と結合することで水分H2 Oが発生する。レーザガス12に水分が発生すると、絶縁破壊電圧が低下するため、グロー放電がアーク放電に移行しやすくなる。このようにしてレーザガス12中に油分が混入すると放電管2内部での放電状態が悪化し、レーザビームの出力が低下するという現象が発生していた。レーザビーム出力は金属切断、溶接などの加工品質において重要な要素であり、その出力低下は加工品の品質を低下させ不良を発生する原因となっていた。
【0007】
したがって、この発明の目的は、上記従来の問題点を解決するもので、レーザビーム出力を安定化し高品質の加工性能を得ることができる炭酸ガスレーザ発振装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するためにこの発明の請求項1記載の炭酸レーザ発振装置は、レーザガスの流路を構成する放電管の一部に電極を配置し、この電極に接続された高電圧電源により、レーザガスを放電励起してレーザ光を発する光共振器と、放電管とともにレーザガスの循環路を構成する配管経路と、放電管にレーザガスを循環させるための送風機とを備えた炭酸ガスレーザ発振装置であって、配管経路にレーザガス中に残留する油分量を測定する検出器を設け、この検出器で測定された油分量が一定の数値以上に上昇したときに、レーザガスが油分を除去するフィルタを通過するように構成したことを特微とする。
【0009】
このように、配管経路にレーザガス中に残留する油分量を測定する検出器を設け、この検出器で測定された油分量が一定の数値以上に上昇したときに、レーザガスが油分を除去するフィルタを通過するように構成したので、油分を構成する水素と、レーザガスの成分のうちの二酸化炭素の分子が解離したときに生じる酸素とが結合することによるレーザガス中の水分の発生を抑制できる。このため、絶縁破壊電圧を低下させることがなく、グロー放電を維持することにより、レーザビーム出力を安定化し高品質の加工性能を得ることができる。
【0010】
請求項2記載の炭酸ガスレーザ発振装置は、請求項1において、検出器で測定された油分量が1.5μg/cc以上に上昇したときにレーザガスが油分を除去するフィルタを通過する。このように、検出器で測定された油分量が1.5μg/cc以上に上昇したときにレーザガスが油分を除去するフィルタを通過するので、絶縁破壊電圧の低下を確実に抑制できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1〜3に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態における炭酸ガスレーザ発振装置の概念図、図2はレーザガス中油分量に対するレーザ出力の特性図、図3は経時時間に対するこの発明の実施の形態と従来例のレーザ出力の特性図である。なお、従来例と同一部材には同一符号を付す。
【0012】
この炭酸ガスレーザ発振装置は、図4と同様にレーザガス12の流路を構成する放電管2の一部に電極3,4を配置し、電極3,4に接続された高電圧電源5によりレーザガス12を放電励起してレーザ光を発する光共振器15と、放電管2とともにレーザガス12の循環路を構成するレーザガス配管(配管経路)11と、放電管2にレーザガス12を循環させるための送風機1とを備えている。また、図1において、13は検出器、14は油分を除去するフィルタである。検出器13は、レーザガス配管11に設けられ、レーザガス12中に残留する油分量を測定する。この検出器13で測定された油分量が一定の数値以上に上昇したときに、レーザガス12がフィルタ14を通過するように構成している。この場合、レーザガス配管11の一部に迂回する経路11aを設け、そこにフィルタ14を設けている。
【0013】
以上のように構成された炭酸ガスレーザ発振装置の動作については、従来例と同様に送風機1によりレーザガス配管11を通し、放電管2にレーザガス12を強制的に循環させ、電極3,4から放電空間6に高電圧が印加され放電管2内部にグロー放電を発生させる。高温となったレーザガス12は、熱交換器9により冷却される。また、上記のように検出器13で測定された油分量が一定の数値以上に上昇したときに、レーザガス12がフィルタ14を通過することで油分を除去する。
【0014】
ここで、レーザガス12中油分量とレーザ出力の関係を図2に示す。レーザガス中油分量(μg/cc)により水分が発生するので、油分量がある一定値を超えたところで絶縁破壊電圧を著しく低下させる働きを持っている。このようにしてレーザガス12中の油分量が増加していくと絶縁破壊電圧が低下することから、放電管2内部での放電状態が悪化し、レーザビーム12の出力が低下するという現象が発生していた。図2において、油分量が1.5(μg/cc)を超えたときにそれまで安定していたレーザ出力が急激に低下している。
【0015】
これに対して、この実施の形態の炭酸ガスレーザ発振装置では、油分量が一定の数値以上に上昇したときにレーザガス12が油分を除去するフィルタ14を通過するため、油分の上昇を防止できる。このようにしてレーザガス12中の油分量を制御することで絶縁破壊電圧の低下を抑制でき、グロー放電を安定して維持することが可能となり、レーザビーム出力の低下は発生しない。したがって、この実施の形態の一例として図2において、油分量が1.5(μg/cc)以上になったときに、油分の除去を開始するように制御すれば安定したレーザビーム出力を得られる。
【0016】
また、発生油分量、発生水分量と絶縁破壊電圧の関係はレーザガス12のヘリウム、窒素、炭酸ガスの混合比などの諸条件によって異なるが、一般的にレーザガス12の単位体積当りの油分量が1.5μg/cc以下となるように制御すれば、絶縁破壊電圧の低下を抑制できる。
【0017】
炭酸ガスレーザ発振装置の経過時間とレーザ出力の開係を図4に示す。この実施の形態を曲線Aに、従来例を曲線Bに示す。従来例では時間とともにレーザガス12中の油分量が増加していくため、レーザ出力もそれに伴って低下していく。この実施の形態では油分量を制御し放電を安定化させているためレーザ出力は一定とすることが可能となり、高品質の加工性能を得ることができる。
【0018】
【発明の効果】
この発明の炭酸レーザ発振装置によれば、配管経路にレーザガス中に残留する油分量を測定する検出器を設け、この検出器で測定された油分量が一定の数値以上に上昇したときに、レーザガスが油分を除去するフィルタを通過するように構成したので、油分を構成する水素と、レーザガスの成分のうちの二酸化炭素の分子が解離したときに生じる酸素とが結合することによるレーザガス中の水分の発生を抑制できる。このため、絶縁破壊電圧を低下させることがなく、グロー放電を維持することにより、レーザビーム出力を安定化し高品質の加工性能を得ることができる。
【0019】
請求項2では、検出器で測定された油分量が1.5μg/cc以上に上昇したときにレーザガスが油分を除去するフィルタを通過するので、絶縁破壊電圧の低下を確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における炭酸ガスレーザ発振装置の概念図である。
【図2】レーザガス中油分量に対するレーザ出力の特性図である。
【図3】経時時間に対するこの発明の実施の形態と従来例のレーザ出力の特性図である。
【図4】従来例の炭酸ガスレーザ発振装置の概念図である。
【符号の説明】
1 送風機
2 放電管
3 電極
4 電極
5 直流高電圧電源
6 放電空間
7 全反射鏡
8 部分透過鏡
9 熱交換器
10 レーザビーム
11 レーザガス配管
12 レーザガス
13 油分量検出器
14 油分除去フィルタ
Claims (2)
- レーザガスの流路を構成する放電管の一部に電極を配置し、この電極に接続された高電圧電源により、レーザガスを放電励起してレーザ光を発する光共振器と、前記放電管とともにレーザガスの循環路を構成する配管経路と、前記放電管にレーザガスを循環させるための送風機とを備えた炭酸ガスレーザ発振装置であって、前記配管経路にレーザガス中に残留する油分量を測定する検出器を設け、この検出器で測定された油分量が一定の数値以上に上昇したときに、レーザガスが油分を除去するフィルタを通過するように構成したことを特微とする炭酸ガスレーザ発振装置。
- 検出器で測定された油分量が1.5μg/cc以上に上昇したときにレーザガスが油分を除去するフィルタを通過する請求項1記載の炭酸ガスレーザ発振装置。
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