JP3388040B2 - 物質測定具、その製造方法及びイオン測定具 - Google Patents

物質測定具、その製造方法及びイオン測定具

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶液中の様々な物質の検
出、定量に使用することができる物質測定具並びにこれ
を利用したイオン測定具に関する。
【0002】
【従来の技術】分析化学の分野において、溶液中、特に
水溶液中の様々な物質を測定し医療、生産活動、環境保
全などに役立てることが行われている。たとえば人体の
血清中、尿中のイオン濃度を測定することにより患者の
病態に関しての有益な情報が得られることが知られてい
る。また、企業の生産活動の結果として排出される廃液
中の有害な重金属類の監視、生活排水などに含まれる界
面活性剤の濃度の測定は環境保全に必要とされている。
その他例を挙げれば枚挙がないが、溶液中の物質の測定
は我々の生活には欠かせないこととなっている。
【0003】溶液中の物質の測定方法は、その測定対象
物質により異なり、数多くの方法が存在する。その中
に、測定対象物質によって誘起される吸収あるいは蛍光
スペクトルの変化を測定する、比色法と呼ばれる方法が
ある。比色法においては水溶液中の測定対象物質を有機
溶媒中に抽出分離し、有機溶媒に移動した測定対象物質
と、あらかじめ水中あるいは有機溶媒中に添加しておい
た発色試薬との相互作用により生じる吸収あるいは蛍光
スペクトルの変化量から定量を行うことが多い。
【0004】抽出分離とは、2種の液体の一方からもう
一方へとある物質を分離させるために行う操作である。
一般的には互いに交じり合わない2種の溶液を分液ロー
トに入れ、これを振り混ぜ、その後測定対象物質が移動
した側の溶液のみを取りだすという操作を行う。そのた
め抽出分離操作が必要となる比色法の測定では、抽出分
離のための専用の用具が必要となる。この欠点を補うた
め、有機溶媒のかわりに非水溶性高分子を添加した難水
溶性難揮発性有機溶剤からなる膜を使用することが知ら
れている。たとえば、「分析化学」第40巻(1991
年)227〜231ページにおいて、一価の銅イオンと
特異的に錯体を形成し発色するバソクプロインを非水溶
性高分子と難水溶性難揮発性有機溶剤に溶解させた膜を
使用し、この膜を未知濃度の一価の銅イオンを含有する
水溶液に接触させることにより銅イオンを膜中に抽出分
離して膜中のバソクプロインを発色せしめて、膜の吸光
度から銅イオン濃度を測定する方法が述べられている。
しかし、抽出分離操作においては水溶液中の測定対象物
質が難水溶性難揮発性有機溶剤中に移動するという物質
移動が必須であるために、測定対象物質の難水溶性難揮
発性有機溶剤中での拡散が律速になり、測定にかかる時
間が非常に長いという短所があった。
【0005】測定対象物質の移動により吸収あるいは蛍
光スペクトルの変化を生じる原理の比色法によるイオン
の分析法が特開昭59-211864号公報、特開昭59-231452号
公報、特開昭60-194360号公報に述べられている。これ
らは種々のイオノフォアおよび、レポータ物質と呼ばれ
る色素を含む難水溶性難揮発性有機溶剤からなるイオン
濃度測定具である。これらの測定具では測定対象物質で
あるイオンを含む測定試料水溶液と接触させることによ
り、イオンの膜内への移動が起き、色素の吸光スペクト
ルあるいは蛍光スペクトルに変化を生じる。この方法に
おいてもイオンが膜内で拡散する速度が律速となること
が知られている。膜厚を数μm程度に薄くすることが有
効な手法であることが知られている。しかし、発色変化
の速度は大きくなる半面、得られる発色変化量が小さく
なるという欠点を有するため実用的ではない。
【0006】上記の欠点を克服するために様々な手法が
開発されてきた。たとえば特開昭60-194360号公報に種
々のイオノフォアおよび、レポータ物質と呼ばれるpH感
受性色素を含む難水溶性難揮発性有機溶剤を多孔質担体
に担持させたイオン濃度測定具が記載されている。ろ紙
のような多孔質担体の表面にイオノフォアおよび、レポ
ータ物質を含む難水溶性難揮発性有機溶剤を薄く被覆さ
せることにより、発色変化の速度と発色変化量の問題を
共に解決しようという試みであった。この手法によりあ
る程度の解決をすることはできた。しかしこれら多孔質
担体を利用する測定具は、製造を行う際に多孔質担体を
支持体上に正確な位置で固定するという工程を必要と
し、大量かつ均一に製造を行うのが困難、あるいは非常
にコストがかかるという欠点をなお有していた。そのた
め多孔質担体を使用せずに同様の効果を持つ手法の開発
が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】実用上十分な応答速度
と応答量を兼ね備えた測定を行うことのできる物質測定
具、例えば比色法に使用したときには実用上十分な発色
速度と発色変化量を兼ね備えた測定を行うことのできる
物質測定具,並びにこれを利用したイオン測定具の開発
を目的とする。
【0008】
【課題が解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決しうる物質測定具を開発すべく鋭意研究を重ね
た。その結果、難水溶性難揮発性有機溶剤に非水溶性高
分子を溶解してなる有機相と水溶性高分子相が特定の構
造を取ったときに上記課題を解決するに十分な性能を発
揮することを見いだした。
【0009】すなわち本発明は、(A) 難水溶性難揮発性
有機溶剤に非水溶性高分子を溶解してなる有機相と(B)
水溶性高分子相からなり、(A)有機相が3次元的網目状
構造をなし該(A)有機相間に(B)水溶性高分子相が充填さ
れていることを特徴とする物質測定具であり、更に該物
質測定具が支持体上に積層されてなる物質測定具であ
る。
【0010】他の発明は、(A) 難水溶性難揮発性有機溶
剤に、イオンと錯体形成して検出可能な応答を示すイオ
ノフォアまたはイオンと錯体形成するイオノフォアと該
錯体形成に相互反応して検出可能な応答を示す色素、並
びに非水溶性高分子を溶解してなる有機相と(B)水溶性
高分子相からなり、(A)有機相が3次元的網目状構造を
なし該(A)有機相間に(B)水溶性高分子相が充填されてい
ることを特徴とするイオン測定具であり、更に該イオン
測定具が支持体上に積層されてなるイオン測定具であ
る。
【0011】更に他の発明は、 難水溶性難揮発性有機
溶剤、非水溶性高分子および水溶性高分子を有機溶媒に
溶解してなる溶液を支持体上に塗布し、次いで難水溶性
難揮発性有機溶剤および非水溶性高分子からなる有機相
の析出が水溶性高分子の析出よりも先に始まるか或は同
時に析出する条件下に有機溶媒を蒸発させることを特徴
とする上記物質測定具の製造方法である。
【0012】本発明の物質測定具を構成する有機相は基
本的に難水溶性難揮発性有機溶剤と非水溶性高分子から
成る。
【0013】上記難水溶性難揮発性有機溶剤(以下、単
に有機溶剤という)とは、水に難溶かつ高沸点であり、
イオン化し得る官能基を有しない、常温で液状の有機化
合物のことを指す。該有機溶剤は測定試料中の測定対象
物質を抽出し、また測定に必要な色素等を溶解しておく
ために使用される。具体的には沸点が摂氏100度以上で
あり、水1lに対して溶解することのできる有機溶剤が
1g以下程度であることが安定した測定をするために望
ましい。
【0014】好適に使用される有機溶剤を具体的に挙げ
れば、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどの
高沸点エステル類、o-ニトロフェニルオクチルエーテ
ル、ジフェニルエーテルなどの高沸点エーテル類があ
る。
【0015】非水溶性高分子としては上記有機溶剤に溶
解することができ、かつ水に不溶の高分子を用いる。該
非水溶性高分子は上記有機溶剤に溶解して、物質測定具
としての使用に適した粘度、物理的強度を付与する。
【0016】好適に使用される非水溶性高分子の例を挙
げればポリ塩化ビニル、エチレン-塩化ビニル共重合体
などのポリ塩化ビニル系ポリマー、塩化ビニル-塩化ビ
ニリデン共重合体、塩化ビニリデンなどの塩化ビニリデ
ン系ポリマー、ポリメタクリル酸メチルなどのメタクリ
ル酸エステル系ポリマー、ポリスチレンなどのスチレン
系ポリマー等がある。非水溶性高分子の重合度について
は特に限定されることなく使用することができるが、一
般に平均重合度500以上のものを用いると有機溶剤が
自己支持性を示すようになり好ましい非水溶性高分子の
有機溶剤中の濃度は、その溶解度の上限以下で、かつ有
機溶剤が自己支持性を示す範囲であると物質測定具とし
たときの取り扱いが容易になり好適である。その濃度範
囲は使用する非水溶性高分子、有機溶剤の種類により異
なるが、一般に有機溶剤に対して非水溶性高分子を5〜
100重量%溶解させて用いるのが好適である。非水溶
性高分子の有機溶剤への溶解方法は特に限定されず、通
常有機溶剤中へ非水溶性高分子を徐々に添加しながら溶
解させる。
【0017】本発明を構成する水溶性高分子相は基本的
に水溶性高分子から成る。該水溶性高分子は3次元的網
目状構造の有機相の間を測定試料が迅速に浸透するのを
促進するために使用される。
【0018】水溶性高分子とは水に溶解することができ
る高分子のことであり、水溶性高分子はその溶解度が50
wt% 以上のものを用いることが望ましい。水溶性高分
子が存在しないと測定試料は有機溶剤の隅々にまでいき
わたることができないため、物質測定具を測定に用いた
時に要する測定時間が長くなる。水溶性高分子には有機
溶剤に難溶のものを用いることが望ましい。有機溶剤に
溶解するものを用いても本発明の効果を得ることができ
るが、その場合には測定試料と本発明の物質測定具を接
触させた際に著しい変形を伴い、安定した測定ができな
い場合がある。また、物質測定具として使用する際の取
り扱いの容易さを勘案すると、室温中で固体状態となる
重合度のものを用いることが望ましい。水溶性高分子の
量は有機溶剤、非水溶性高分子を含めた全体量に対し5
0〜100重量%の範囲であれば、適切な物理的強度を
保ちつつ測定試料の浸透を促進するのに望ましい。
【0019】好適に使用できる水溶性高分子の例を挙げ
れば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ールなどのポリエーテル系高分子化合物、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド
などがある。
【0020】本発明の有機相が3次元的網目状構造であ
ることは水溶性高分子を水で洗い流した後に残る部分
を、電子顕微鏡等で観察することにより確認することが
できる。
【0021】水溶性高分子相を、3次元的網目状構造の
有機相間に充填状態で存在させる方法には様々の方法を
使用することができるが、最も好適に使用される方法は
次のとおりである。
【0022】即ち、有機溶剤、非水溶性高分子および水
溶性高分子をすべて有機溶媒に溶解させ、その後に支持
体上に塗布し乾燥させる。有機溶媒の蒸発に伴い、有機
溶剤に非水溶性高分子を溶解してなる有機相と水溶性高
分子相のミクロ相分離が起き、水溶性高分子相が3次元
的網目状構造の有機相に充填された状態で析出する。
【0023】上記方法に使用する有機溶媒としては有機
溶剤、非水溶性高分子、水溶性高分子をすべて溶解する
ものであればなんら制限なく用いることができる。選択
した有機溶剤、非水溶性高分子、水溶性高分子の組み合
わせにより使用できる有機溶媒は異なるが、その例を挙
げればテトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロ
メタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン
化アルキル類がある。有機溶媒の使用量は選択した有機
溶剤、非水溶性高分子、水溶性高分子の溶解度により異
なるため一概に規定することはできないが、析出を促す
ため有機溶剤、非水溶性高分子、水溶性高分子のいずれ
かを有機溶媒と同量以上とするのが一般的である。
【0024】上記の析出法では有機溶剤および非水溶性
高分子からなる有機相の析出が水溶性高分子相の析出よ
りも先に始まるか或は同時に析出する場合に均一で良好
な構造を得ることができる。有機相の析出が先に始まる
条件で製造した場合がより好適である。逆に、水溶性高
分子の析出が有機相の析出よりも先に始まる場合には、
得られる物質測定具は不均一かつ空隙の多いものとな
り、比色法による測定には適さない。
【0025】有機相と水溶性高分子相の析出順序の制御
は、両相を溶解させる有機溶媒の有機相と水溶性高分子
相に対する溶解性を制御することにより行うことが可能
である。この溶解性の制御は一般に有機溶媒の極性によ
り制御される。一般に有機相を構成する有機溶剤および
非水溶性高分子は極性の低い有機溶媒に溶解し易く、逆
に水溶性高分子は極性の高い有機溶媒に溶解し易いとい
う性質を有する。そのため、極性の高い有機溶媒を使用
すれば、溶解度の低い有機相の析出が先に始まる。よっ
て、有機溶剤および非水溶性高分子からなる有機相の析
出を水溶性高分子相の析出よりも先に始めさせることが
できる。
【0026】有機溶媒の極性は2種以上の有機溶媒ある
いは水を混合することにより制御することができる。好
適に使用される例を示せば、約0.1%の水を添加した
テトラヒドロフラン、1%メタノールを添加したクロロ
ホルム等がある。また、有機相にイオノフォア、色素を
溶解させた場合も、何等問題なく同様の方法で析出の順
序を制御することができる。
【0027】良好な構造の物質測定具を得る具体的な例
を挙げれば、有機溶剤としてo-ニトロフェニルオクチル
エーテル、非水溶性高分子としてポリメタクリル酸メチ
ル、水溶性高分子としてポリエチレングリコール(平均
分子量約6000)を用い、これらをテトラヒドロフランに
溶解し、ガラス板上に塗布し、室温中で放置して乾燥さ
せることにより作製することができる。このときにテト
ラヒドロフラン中に微量の水分が存在すると、ポリエチ
レングリコールの析出が遅くなり、再現性良く上記の構
造を得ることができる。有機溶剤および非水溶性高分子
からなる有機相の析出が水溶性高分子相の析出よりも先
に始まることは、着色した有機相あるいは色素を溶解さ
せた有機相を用いることにより、着色した析出物が析出
することによって知ることができる。
【0028】有機溶剤に、イオンと錯体形成して検出可
能な応答を示すイオノフォアを溶解してなる有機相をイ
オン濃度の測定に用いる原理および方法は公知であり
「分析化学」第40巻(1991年)227〜231ペ
ージにその記述がある。また、有機溶剤に、イオンと錯
体形成するイオノフォアと該錯体形成に相互反応して検
出可能な応答を示す色素、並びに非水溶性高分子を溶解
してなる有機相をイオン濃度の測定に用いる原理、方法
も公知であり特開昭59-211864号公報、「アナリティカ
ル サイエンス」(ANALYTICAL SCIENCE)1990年715〜7
20ページなどにその記述がある。本発明にて用いられる
イオノフォアおよび色素はこれらの文献にて述べられて
いるものを何ら問題なく使用することができる。
【0029】本発明において、イオノフォアとは特定の
カチオンと錯体形成をする性質をもった化合物である。
特定の金属イオンと錯体を形成する能力を持ち、該金属
イオンと錯体を形成することにより電子軌道状態に変化
を生じ、錯体の吸収スペクトルあるいは蛍光スペクトル
に変化を生じる色素は、本発明のイオンと錯体形成して
検出可能な応答を示すイオノフォアとして使用すること
ができる。このようなイオノフォアとしてはニトロソア
ミノフェノール類、ジエチルアミノフェノール類、ポル
フィリン類、フェノキサジン類などがある。
【0030】また、本発明のイオンと錯体形成するイオ
ノフォアと当該錯体形成に相互反応して検出可能な応答
を示す色素の組合せにて使用することのできるイオノフ
ォアとしては、公知の数種の環状ペプチド化合物、環状
または非環状ポリエーテル誘導体、ポタンド誘導体、カ
リックスアレン誘導体などがある。
【0031】イオンと錯体を形成して検出可能な応答を
示すイオノフォアの好適に用いることのできる具体例を
挙げれば、カリウムイオンに対しては3'-ニトロ-4'-
(2,4,6-トリニトロフェニルアミノ)ベンゾ-18-クラウ
ン-6、4'-(2,6-ジニトロ-4-トリフルオロメチルフェ
ニル)アミノベンゾ-15-クラウン-5等が、銅イオンに対
してはバソクプロイン等が、鉄イオンに対しては2-ニ
トロソ-5-N,N-ジプロピルアミノフェノール等のニトロ
ソアミノフェノール類が、ニッケル、亜鉛イオンに対し
ては2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジエチルア
ミノフェノール等のジエチルアミノフェノール類が、水
素イオンに対しては[9-(ジエチルアミノ)-5-オクタデ
カノイルイミノ-5H-ベンゾ[a]フェノキサジン]などのフ
ェノキサジン類、[5-オクタデカノイロキシ-2-(4-ニト
ロフェニルアゾ)フェノール]などのアゾフェノール類
がある。
【0032】一方、イオンと錯体形成するイオノフォア
と当該錯体形成に相互反応して検出可能な応答を示す色
素の組合せにて使用されるイオノフォアの好適に用いる
ことができる具体例をあげれば、リチウムイオノフォア
としては6,6-ジベンジル-1、4、8、11-テトラオキサシクロ
テトラデカン、2、9-ジブチル-1、10-フェナントロリン等
が;ナトリウムイオノフォアとしては5,11,17,23-テト
ラ-t-ブチル-25,26,27,28- テトラキス(エトキシカル
ボニル)-メトキシ-カリックス[4]アレン、ビス[(12-
クラウン-4)メチル]メチルドデシルマロネート等が;
カリウムイオノフォアとしてはバリノマイシン、2、3-
ナフト-1、4、7、10、13-ペンタオキサシクロペンタデカ-2-
エン、ビス[(ベンゾ-15-クラウン-5)-4'-メチル]ピメ
レート、バリノマイシン等が;カルシウムイオノフォア
としてはジエチル-N,N'-[(4R,5R)-4,5-ジメチル-1,8-ジ
オキソ-3,6-ジオキサオクタメチレン]ビス(12-メチル
アミノドデカノエート)等が;マグネシウムイオノフォ
アとしてはN,N'-ジヘプチル-N,N'-ジメチルアスパルト
アミド等が、銅イオンに対してベンゾ-15-チアクラウン
-4-エーテル等がある。
【0033】もちろん、この他にもカチオンと錯体を形
成をすることが知られている化合物は存在し、それらも
使用することができる。イオノフォアに関する文献とし
てはYoshihisa Inoue,George W.Gokel編「Cation Bindi
ng by Macrocycles」(MARCEL DEKKER INCORPORATION
1990年)、武田裕行編著「機能性大環状化合物の分析化
学への応用」(株式会社アイピーシー1990年発行)アナ
リティカルケミストリー(ANALYTICAL CHEMISTRY)60
巻2013-2016ページ(1988年)、「分析化学」23巻141
2-1430ページ(1974年)などが挙げられる。
【0034】上述のイオンと錯体形成するイオノフォア
と該錯体形成に相互反応して検出可能な応答を示す色素
(以後リポータ色素と記す)としてはpH指示薬、あるい
はpH感受性色素と呼ばれる一連の色素がある。
【0035】本発明において使用されるリポータ色素は
有機溶剤に可溶化されて含有されるため、水溶性が著し
く小さなものが使用される。その入手の容易さ、イオン
測定具として使用したときの発色応答の程度から、pKa
が5〜10のリポータ色素が好適に使用される。
【0036】リポータ色素を具体的に示せば、フェノー
ルフタレイン、テトラブロモフェノールフタレイン等の
フェノールフタレイン誘導体、2,6-ジクロロインドフェ
ノール、2,6-ジブロモ-3'-メチルインドフェノール等の
インドフェノール誘導体、ビクトリアピュアブルー等の
トリフェニルメタン色素誘導体等がある。
【0037】イオノフォアおよびリポータ色素はその溶
解度の上限まで有機溶剤に溶解させることができる。こ
のとき、イオノフォアとリポータ色素のモル比はその原
理より1:1であることが好適であることが知られてい
る。一般的にはイオノフォアとリポータ色素の有機溶剤
中での濃度は、測定を行ったときの感度を勘案してそれ
ぞれ0.1〜200mMの範囲であることが望ましい。
【0038】本発明において、有機溶剤に非水溶性高分
子を溶解してなる有機相が3次元的網目状構造であると
は、有機相がスポンジ、海綿のように3次元的に網目状
構造を有していることを指す。同様の構造を持つ物質は
吸水性物質あるいは濾過分離用として、異なる材質で様
々なものが用いられている。3次元的網目状の構造を持
つ非水溶性高分子からなる物質の製法は特開平2-30244
9、特開昭58-104940、特開昭47-4593などに記載されて
いる。これらの従来の3次元的網目状構造の物質は高い
強度を実現するために非水溶性高分子を主体とし、一般
には有機溶剤を添加することはない。また、有機溶剤が
添加されていても水溶性高分子を充填したものは知られ
ていない。本発明の3次元的網目状構造の有機溶剤に非
水溶性高分子を溶解してなる有機相は、抽出操作を行う
ための有機溶剤を主体とするものであり、非水溶性高分
子は適度な粘度と物理的強度を付与するために添加され
る、という根本的な違いがある。
【0039】本発明において、3次元的網目状構造の有
機相間に水溶性高分子相が充填されていることにより、
測定試料は速やかに3次元的網目状構造の有機相の微細
孔内に浸透する。また、有機相は3次元的網目状構造で
あるため数μm以下の厚みすることができ、その結果、
速やかに測定対象物質の有機相内への移動を完了しう
る。また3次元的網目状構造の有機相の、水溶性高分子
を取り除いた時にできる微細孔の孔径は500μm以下
である場合に均一な構造を取りうる。均一な構造をとる
ことによりより正確な測定を可能とし、好ましい。
【0040】本発明の物質測定具はそのままでも測定に
用いることができるが、測定の際の操作性、pH緩衝剤等
試薬との組み合わせでの使用などを勘案して支持体上に
積層することができる。積層の方法としては特に限定す
ることなく公知の方法を用いることができる。好適に用
いられる例を挙げると、本発明の物質測定具をあらかじ
め作製しておき適切な接着剤、両面テープなどで接着す
る方法。 有機溶剤、非水溶性高分子および水溶性高分
子を有機溶媒に溶解してなる溶液を支持体上に塗布し、
前述の通り有機溶剤に非水溶性高分子を溶解してなる有
機相が3次元的網目状構造に析出する条件下で乾燥させ
る方法などがある このようにして作製した物質測定具を用い、種々の物質
の濃度の測定を行うことができる。以下に具体例をもっ
て説明をする。
【0041】現在、水溶液中の界面活性剤の界面活性剤
の濃度の測定は、界面活性剤と特異的に結合あるいは錯
体形成する着色物質を水溶液中に添加し、界面活性剤と
着色物質をともに水溶液中から非水溶性の抽出液へと抽
出し、その後抽出液の着色度を測定することにより行わ
れている。このような方法は日本工業規格に示されてお
り(JIS K 0102 -1986 工場排水試験方法)、メチレン
ブルー吸光光度法、テトラチオシアノコバルト(II)酸
吸光光度法などが記載されている。これらの方法はいず
れも2種類の液を容器にいれてから、振り混ぜて抽出す
るという操作を伴うため、大変な時間と労力を要すると
いう欠点を持っている。
【0042】本発明の物質測定具を用いて、同様の原理
で上記測定を行うことができる。メチレンブルー吸光光
度法を例にとれば以下のとおりである。すなわち、一定
量の測定試料水溶液に一定量のメチレンブルーを添加
し、これを本発明の物質測定具に滴下すると、物質測定
具の有機相中にメチレンブルーと陰イオン界面活性剤の
イオン対が抽出分離される。その後イオン交換水等を用
いて物質測定具に付着した測定試料水溶液を洗い流し、
残った有機相の着色度を測定する。着色度の測定は目視
あるいは透過光量、反射光量の測定により行うことがで
きる。このように、本発明の物質測定具を用いると簡便
な操作で特定物質の測定を行うことができる。
【0043】また、本発明の、有機溶剤にイオンと錯体
形成して検出可能な応答を示すイオノフォア並びに非水
溶性高分子を溶解してなる3次元的網目状構造の有機相
間に水溶性高分子相が充填されてなるイオン測定具を用
いる場合には、以下のようにして測定を行うことができ
る。
【0044】銅イオン用のイオノフォアとしてバソクプ
ロインを使用する場合を例にとれば次のとおりである。
有機溶剤にバソクプロインおよび非水溶性高分子を溶解
させてなる3次元的網目状構造の有機相間に水溶性高分
子相が充填されてなるイオン測定具に銅イオンを含有し
た測定試料水溶液を滴下する。測定試料水溶液は速やか
にイオン測定具全体に浸透し、銅イオンはイオン測定具
の有機相内に存在するバソクプロインにより有機相内へ
と抽出される。有機相は3次元的網目状構造であるため
非常に膜厚が薄くなっており、この抽出は速やかに行わ
れる。バソクプロインは抽出された銅イオンとの錯体形
成によりその吸収スペクトルに変化を生じる。一定時間
経過後、イオン交換水等を用いてイオン測定具に付着し
た測定試料水溶液を洗い流し、残った有機相の着色度を
測定することにより、測定試料水溶液に含有されている
銅イオンの濃度を知ることができる。従来の膜による抽
出法では完全に応答が終了するのに数時間かかったが、
本発明のイオン測定具では数分以内で応答を終了させる
ことができる。
【0045】さらに、本発明の有機溶剤にイオンと錯体
形成するイオノフォア、リポータ色素および非水溶性高
分子を溶解してなる3次元的網目状構造の有機相間に、
水溶性高分子相が充填されてなるイオン測定具とした場
合には、以下のようにして測定を行うことができる。
【0046】カリウム用のイオノフォアとしてバリノマ
イシン、リポータ色素として2,6-ジブロモ-3'-メトキシ
インドフェノールを用い、水溶液中のカリウムイオンを
測定する場合を例にとれば、以下のとおりである。有機
溶剤にバリノマイシン、2,6-ジブロモ-3'-メトキシイン
ドフェノールおよび非水溶性高分子を溶解してなる3次
元的網目状構造の有機相間に、水溶性高分子相が充填さ
れてなるイオン測定具に測定試料水溶液を滴下する。こ
のとき、測定試料水溶液のpHはpH緩衝剤などを用いて一
定に保っておく必要がある。測定試料水溶液は速やかに
イオン測定具全体に浸透し、カリウムイオンはイオン測
定具の有機相内に存在するバリノマイシンにより有機相
内へと抽出分離され、それと同時に2,6-ジブロモ-3'-メ
トキシインドフェノールが水素イオンを測定試料水溶液
中に放出して発色する。測定試料水溶液中のカリウムイ
オンが多いほど膜中に抽出されるカリウムイオンは増加
し、それに伴い発色するリポータ色素の量も増加する。
結果として、測定試料水溶液中のカリウムイオンの量に
応じた測定具の着色が観察され、イオン測定具の着色度
からカリウムイオンの濃度を知ることができる。有機相
は3次元的網目状構造であるため非常に膜厚が薄くなっ
ており、この抽出および放出は速やかに行われ、測定に
要する時間は短いという特長を有する。
【0047】もちろん、本発明の物質測定具は、有機溶
剤または非水溶性の有機溶媒を用いて、抽出あるいはイ
オン交換を行う他の公知の測定原理にも応用することが
できる。いずれの場合も短時間かつ簡便な操作で測定を
行うことができるという特長を有している。
【0048】
【発明の効果】本発明の物質測定具は、水溶性高分子相
が、難水溶性難揮発性有機溶剤に非水溶性高分子を溶解
してなる3次元的網目状構造の有機相間に充填された基
本構造を持つために、測定試料は速やかに物質測定具全
体に浸透することができ、また有機相の厚みが小さいた
めに測定試料から有機相への測定対象物質の移動が速や
かに行われるという特長を有する。そのため、従来煩雑
な操作が必要であった抽出分離操作を簡便な操作で、か
つ短時間にて行うことができるという特長をも有する。
【0049】従って、緊急性の高い測定の場合、すなわ
ち救急医療の現場や手術室における血中イオン濃度測定
においては多大なる利益をもたらす。また、一般の臨床
検査においても限られた時間内の血清あるいは尿検体の
測定数を増大せしめることとなり、作業の効率化および
診断の円滑化をもたらす。また、煩雑な操作を有するた
めに従来は実験室内のみ行われていたような測定も、測
定試料採取現場で行うことができ、測定結果を迅速に知
ることができるようになる。
【0050】さらに本発明の物質測定具は、従来の多孔
質担体を使用しないため、簡単な工程にて製造すること
ができる。そのため安価に製造することができるという
特長を有する。以上の点で、本発明の工業的価値は極め
て大きい。
【0051】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するため、以下
に実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0052】実施例1 テトラヒドロフラン10mlに、非水溶性高分子としてポリ
塩化ビニル(平均重合度1000)300mg、有機溶剤として
セバシン酸ジオクチル700mg、水溶性高分子としてポリ
エチレングリコール(平均分子量4000)10gを溶解し、
これを透明ポリプロピレンシート上にドクターブレード
にて600μm厚に塗布した。室温中で放置し1時間乾燥さ
せると、徐々に白濁し始め最終的に白色の膜状物を得
た、この膜状物を透明ポリプロピレンシートと共に1cm
角に切断し、白色の膜状物が透明ポリプロピレンシート
に固着した物質測定具を得た。
【0053】この物質測定具をイオン交換水100ml中に
3分間浸せきし、透明ポリプロピレンシート上に残った
有機相を電子顕微鏡にて観察した。この際に撮影された
写真を第1図に示す。3次元の網目状構造物が有機相に
より形成されていることが確認された。
【0054】実施例2 非イオン性界面活性剤の分析 非イオン性界面活性剤であるヘプタオキシエチレンドデ
シルエーテルの各種濃度の水溶液10mlに0.30Mテトラチ
オシアノコバルト(II)酸アンモニウム水溶液1.5mlを加
え、1分間攪拌した。この水溶液を実施例1の物質測定
具に20μl滴下し、1分後に物質測定具をイオン交換水
約2mlで洗浄した。物質測定具の330nmでの反射光量を第
2図に示す反射光量測定装置にて測定した結果を表1に
示した。本発明の物質測定具を用いて簡便な操作にて非
イオン性界面活性剤の定量を行うことができることが示
された。
【0055】
【表1】 実施例3 亜鉛イオン用のイオン測定具 テトラヒドロフラン10mlに、非水溶性高分子としてポリ
塩化ビニル(平均重合度1000)300mg、有機溶剤として
セバシン酸ジオクチル700mg、水溶性高分子としてポリ
ビニルピロリドン10g、亜鉛イオン用のイオノフォアと
して2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジエチルア
ミノフェノール7.3mg(21μmol)を溶解し、これを透明
ポリプロピレンシート上にドクターブレードにて600μm
厚に塗布した。室温中で放置し1時間乾燥させると、徐
々に濁り始め最終的に赤褐色の膜状物を得た、この膜状
物を透明ポリプロピレンシートと共に1cm角に切断し、
膜状物が透明ポリプロピレンシートに固着したイオン測
定具を得た。このようにして得られたイオン測定具はイ
オン交換水にて洗浄すると赤褐色に着色した有機相部分
のみを得ることができる。実施例1にて示したようにこ
の有機相部分は3次元的網目状構造をとっていた。
【0056】実施例4 亜鉛イオンの測定 実施例3にて作製したイオン測定具を第2図に示す反射
光量測定装置に装着し、各種塩化亜鉛濃度の水溶液25μ
lを滴下した。波長553nmでの反射光量を測定し、塩化亜
鉛濃度0mMの時の反射光量を基準として吸光度を計算し
た。結果を第3図に示した。また一定の反射光量になる
までに要した時間をも測定した。要した時間はいずれも
15〜20秒の範囲内であった。
【0057】比較例1 テトラヒドロフラン10mlに、非水溶性高分子としてポリ
塩化ビニル(平均重合度1000)300mg、有機溶剤として
セバシン酸ジオクチル700mg、亜鉛イオン用のイオノフ
ォアとして2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジエ
チルアミノフェノール7.3mg(21μmol)を溶解し、これ
を透明ポリプロピレンシート上にドクターブレードにて
600μm厚に塗布した。室温中で放置し1時間乾燥させ、
透明赤褐色の膜状物を得た、この膜状物を透明ポリプロ
ピレンシートと共に1cm角に切断し、膜状物が透明ポリ
プロピレンシートに固着した測定具を得た。
【0058】この測定具を実施例4と同様の操作で、各
種塩化亜鉛濃度水溶液の測定を行った。しかし、水溶液
を滴下した後、5分経過しても一定の反射光量に達しな
かったため、測定を行うことができなかった。
【0059】比較例2 実施例3で作製した測定具をイオン交換水で洗浄した後
に乾燥して水溶性高分子を取り除き、3次元的網目状構
造の有機溶剤に非水溶性高分子を溶解してなる測定具を
作製した。この測定具を実施例4と同様の操作で、各種
塩化亜鉛濃度水溶液の測定を行った。しかし、水溶液を
滴下した後も水溶液は測定具の微細孔中には浸透せず、
色の変化はほとんど見られなかった。5分経過しても一
定の反射光量に達しなかったため、測定を行うことがで
きなかった。
【0060】実施例3、4、比較例1、比較例2より、
短時間での測定を行うには水溶性高分子が3次元的網目
状構造の有機相間に充填されている必要があることが示
された。
【0061】比較例3 実施例3と同じ組成および操作で透明ポリプロピレンシ
ート上にテトラヒドロフラン溶液を塗布し、送風機を用
いて急速に乾燥させた。溶液は急激に白濁した。その後
1時間乾燥させ、不透明赤褐色の膜状物を得た、この膜
状物を透明ポリプロピレンシートと共に1cm角に切断
し、塊状物が透明ポリプロピレンシートに固着した測定
具を得た。
【0062】この測定具を実施例4と同様の操作で、各
種塩化亜鉛濃度水溶液の測定を行った。結果を第4図に
示した。水溶液の滴下により測定具に0.1mm程度の穴が
いくつか開き、光が膜を透過しない部分ができてしまう
ために、得られる応答は非常に小さいため、測定には不
適であることが示された。
【0063】実施例3、4および比較例3より、 支持
体上に積層された本発明の物質測定具の製造では、少な
くとも難水溶性難揮発性有機溶剤並びに非水溶性高分子
からなる有機相の析出が水溶性高分子の析出よりも先に
始まる条件下に析出操作を行って、3次元的網目状構造
の有機相間に水溶性高分子相を充填させること必要であ
ることが示された。
【0064】実施例5 ナトリウムイオン用のイオン測
定具 クロロホルム10mlに、非水溶性高分子としてポリスチレ
ン300mg、有機溶剤としてo-ニトロフェニルオクチルエ
ーテル600mg、水溶性高分子としてポリエチレングリコ
ール(平均分子量6000)10g、ナトリウムイオノフォア
として5,11,17,23-テトラ-t-ブチル-25,26,27,28- テト
ラキス(エトキシカルボニル)-メトキシ-カリックス
[4]アレン18.4mg(18.4μmol)、色素として2,6-ジブロ
モ-3'-メトキシインドフェノール7.1mg(18.4μmol)を溶
解し、これを透明ポリプロピレンシート上にドクターブ
レードにて600μm厚に塗布した。室温中で放置し乾燥さ
せると、徐々に濁度が上がり、最終的に茶白色の膜状物
を得た、この膜状物を透明ポリプロピレンシートと共に
1cm角に切断し、茶白色の膜状物が透明ポリプロピレン
シートに固着したイオン測定具を得た。
【0065】実施例6 実施例5にて作製したイオン測定具を第2図に示す反射
光量測定装置に装着し、各種塩化ナトリウム濃度の2-モ
ルホリノエタンスルホン酸10mM緩衝液(pH5.5に水酸化
カリウムにて調製)25μlを滴下した。波長670nmでの反
射光量を測定し、塩化ナトリウム濃度0mMの時の反射光
量を基準として吸光度を計算した。結果を第5図に示し
た。図5から、ナトリウムイオンを10〜0.1mMの
間で測定出来ることがわかる。また一定の反射光量にな
るまでに要した時間をも測定した。要した時間はいずれ
も15〜20秒の範囲内であった。
【0066】比較例4 テトラヒドロフラン10mlに、非水溶性高分子としてポリ
塩化ビニル(平均重合度1000)300mg、有機溶剤としてo
-ニトロフェニルオクチルエーテル600mg、ナトリウムイ
オノフォアとして5,11,17,23-テトラ-t-ブチル-25,26,2
7,28- テトラキス(エトキシカルボニル)-メトキシ-カ
リックス[4]アレン18.4mg(18.4μmol)、色素として2,6
-ジブロモ-3'-メトキシインドフェノール7.1mg(18.4μm
ol)を溶解し、これを透明ポリプロピレンシート上にド
クターブレードにて600μm厚に塗布した。室温中で放置
し乾燥させ、測定具を均一な透明褐色の膜状物として得
た。
【0067】このようにして製造した測定具を第2図に
示す反射光量測定装置に装着し、各種塩化ナトリウム濃
度の2-モルホリノエタンスルホン酸10mM緩衝液(pH5.5
に水酸化カリウムにて調製)25μlを滴下した。波長670
nmでの反射光量を測定したが、3分経過しても一定の反
射光量に到達しなかった。応答速度の遅く実施例6と同
じ条件では測定を行うことはできなかった。
【0068】実施例6および比較例5から本発明のイオ
ン測定具を用いて迅速に測定を行うことができることが
示された。
【0069】比較例5〜10、実施例7〜227 表2に示す非水溶性高分子、有機溶剤、水溶性高分子、
実施例5と同一のナトリウムイオノフォア、色素を用
い、実施例5と同様の操作にて、ナトリウムイオン用の
イオン測定具を作製した。作製した測定具を第2図に示
す反射光量測定装置に装着し、塩化ナトリウム濃度10mM
の2-モルホリノエタンスルホン酸10mM緩衝液(pH5.5に
水酸化カリウムにて調製)25μlを滴下した。波長670nm
での反射光量を測定し、そのときの反射光量が一定にな
るまでの時間を測定した。結果を表2に示した。実施例
5〜10よりわかるように、非水溶性高分子、有機溶
剤、水溶性高分子のいずれかか欠けても迅速な応答は得
られなかった。また、実施例7〜22より各種非水溶性
高分子、有機溶剤、水溶性高分子の組み合わせにおいて
迅速な応答が得られることが示された。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は実施例1にて作製された物質測定具を
イオン交換水で洗浄した後の有機相の構造を電子顕微鏡
で写真撮影した写真である。
【図2】 実施例、比較例にて用いた反射光量測定装置
の構成を示す図である。
【図3】 実施例4において測定した亜鉛イオン濃度と
測定された吸光度の関係を示す図である。
【図4】 比較例3において測定した亜鉛イオン濃度と
測定された吸光度の関係を示す図である。
【図5】 実施例6において測定したナトリウムイオン
濃度と測定された吸光度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 キセノンランプ 2 集光レンズ 3 投光用光ファイバー 4 台(石英板) 5 白色反射板 6 本発明の物質測定具 7 受光用光ファイバー 8 瞬間マルチ測光装置(大塚電子株式会社製 MCPD-10
00型) 9 データ処理装置(大塚電子株式会社製)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 難水溶性難揮発性有機溶剤に非水溶
    性高分子を溶解してなる有機相と(B)水溶性高分子相か
    らなり、(A)有機相が3次元的網目状構造をなし該(A)有
    機相間に(B)水溶性高分子相が充填されていることを特
    徴とする物質測定具。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の物質測定具が支持体上に
    積層されてなる物質測定具。
  3. 【請求項3】 難水溶性難揮発性有機溶剤、非水溶性
    高分子および水溶性高分子を有機溶媒に溶解してなる溶
    液を支持体上に塗布し、次いで難水溶性難揮発性有機溶
    剤および非水溶性高分子からなる有機相の析出が水溶性
    高分子の析出よりも先に始まるか或は同時に析出する条
    件下に有機溶媒を蒸発させることを特徴とする請求項2
    記載の物質測定具の製造方法。
  4. 【請求項4】 (A) 難水溶性難揮発性有機溶剤に、イオ
    ンと錯体形成して検出可能な応答を示すイオノフォアま
    たはイオンと錯体形成するイオノフォアと該錯体形成に
    相互反応して検出可能な応答を示す色素、並びに非水溶
    性高分子を溶解してなる有機相と(B)水溶性高分子相か
    らなり、(A)有機相が3次元的網目状構造をなし該(A)有
    機相間に(B)水溶性高分子相が充填されていることを特
    徴とするイオン測定具。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のイオン測定具が支持体上
    に積層されてなるイオン測定具。
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