JP3387798B2 - 建築用シーリング材 - Google Patents

建築用シーリング材

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は建築用シーリング
材、更に詳しくは、建築用シーリング材の主成分である
イソブチレン系重合体の可塑剤として炭化水素系オイル
と特定のジアルキルフタレートを併用することにより、
糸曳きや垂れ落ちの防止を目的とした建築用シーリング
材に関する。 【0002】 【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、分子両末端にアルコキシシリル基を含有するイソブ
チレン系重合体は、優れた機械特性、耐候性、耐熱性を
付与しうることから、たとえば建築用シーリング材、接
着剤、ポッティング材、成形体の主成分硬化性樹脂とし
て使用されてきている。ところで、該イソブチレン系重
合体は、常温でワックス状ないし高粘度液状を呈するた
め、その取扱いが必ずしも容易ではない。たとえば、貯
蔵したタンクからの取出しが困難などの理由から、通
常、相溶性良好とされている可塑剤:炭化水素系オイル
をその製造工程での溶剤として用いるか、あるいは製造
後に添加することにより、該炭化水素系オイルの溶液と
して使用されているのが現状であった。しかしながら、
本発明者らの知見によれば、上記炭化水素系オイル溶液
でシーリング材に適用した場合、糸曳きや垂れ落ちが目
立ち、実用上の難点があった。これは、高層ビルなどで
の適用には、致命的な欠点となる。 【0003】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
かかる可塑剤について種々検討を重ねた結果、炭化水素
系オイルに特定のジアルキルフタレートを併用し、かつ
両可塑剤の使用量を極く限られた範囲に限定すれば、上
述の糸曳きや垂れ落ちが大巾に改善されることを見出
し、本発明を完成させるに至った。 【0004】すなわち、本発明は、分子両末端にアルコ
キシシリル基を含有する分子量1000〜40000の
イソブチレン系重合体を主成分とし、かつ該イソブチレ
ン系重合体の可塑剤として炭化水素系オイルとアルキル
炭素数8〜10のジアルキルフタレートを併用したこと
から成る建築用シーリング材において、上記イソブチレ
ン系重合体100部(重量部、以下同様)に対して炭化水
素系オイル50〜135部およびジアルキルフタレート
60〜20部を用い、かつジアルキルフタレートがジオ
クチルフタレート、ジイソノニルフタレートおよびジイ
ソデシルフタレートの少なくとも1種であることを特徴
とする建築用シーリング材を提供するものである。 【0005】本発明におけるイソブチレン系重合体と
は、主鎖骨格が少なくともイソブチレン単位で構成され
(要すればイソブチレン単位以外に、イソブチレンと共
重合しうる単量体(たとえば炭素数4〜12のオレフィ
ン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラ
ン類、アリルシラン類など)の単位が含まれていてもよ
い)、分子両末端にたとえば式: [式中、RとR'は同一もしくは異なって、炭素数1〜5
の低級アルキル;およびaは1〜3の整数である]のアル
コキシシリル基を含有し、かつ分子量1000〜400
00で常温ワックス状ないし高粘度液状のものを指称
し、一般に、イニファー法と呼ばれるカチオン重合法で
得られる全末端官能型イソブチレン系重合体を用いるこ
とにより製造することができる(特開平8−23175
8号公報参照)。代表的な市販品としては、式: 【化1】 [式中、nは5〜400およびmは5〜400である]の化
学構造を有する、鐘淵化学工業(株)製の「エピオン」シリ
ーズが例示される。 【0006】本発明において炭化水素系オイルと併用す
るジアルキルフタレートは、そのアルキル炭素数8〜1
0のもので、具体的には、ジオクチルフタレート(略語:
DOP、以下同様に表示)、ジイソノニルフタレート(D
INP)およびジイソデシルフタレート(DIDP)が例
示され、これらの少なくとも1種を使用する。本発明で
使用する炭化水素系オイルの量は、上記イソブチレン系
重合体100部に対して50〜135部、好ましくは5
0〜90部で、かかる炭化水素系オイルの使用量範囲に
合せて、ジアルキルフタレートの量を90〜5部、好ま
しくは60〜10部、より好ましくは60〜20部に設
定する。この場合、炭化水素系オイルが50部で、ジア
ルキルフタレートが90部を越えると、硬化後シーリン
グ材表面に可塑剤が浮き出し、塵埃などが付着し易くな
り、また炭化水素系オイルが135部で、ジアルキルフ
タレートが5部未満であると、糸曳きや垂れ落ちを改善
することができない。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明に係る建築用シーリング材
は、上記所定割合のイソブチレン系重合体と炭化水素系
オイルおよびジアルキルフタレートの可塑剤を含有する
以外は、通常の成分、たとえば充填剤(重質炭酸カルシ
ウム、脂肪酸処理炭酸カルシウム、ヒュームシリカ、沈
降性シリカ、カーボンブラック、タルク、酸化チタンな
ど)、密着剤(エポキシ化合物、シランカップリング剤な
ど)、老化防止剤(ヒンダードフェノール類、メルカプタ
ン類、スルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレ
ア類、チオホスフェイト類、チオアルデヒド類など)、
水分保給剤(水、無機塩類の水和物など)、紫外線吸収剤
(ヒンダードアミン類、ベンゾトリアゾール類など)、オ
ゾン劣化防止剤、光安定剤、トーナー等を適量範囲で配
合することができる。本発明では、硬化触媒を成分とす
る硬化剤を、使用前にシーリング材基剤と混合して用い
るものである。 【0008】本発明の建築用シーリング材の主成分であ
る、分子両末端にアルコキシシリル基を含有するイソブ
チレン系重合体は、水分により加水分解反応に伴ない硬
化するものであり、特に加水分解反応硬化触媒を用いる
ことにより、硬化反応を調整することができる。このよ
うな硬化剤は、硬化触媒(ジオクチル酸スズ、ジブチル
スズジラウレート、ジブチルスズビスアセチルアセトナ
ート等のスズ系触媒など)を主成分とし、助触媒(第三級
アミン化合物など)、可塑剤、充填材等を配合して調製
する。通常、シーリング材基剤100部に対して硬化剤
5〜20部(その中で、硬化触媒量が0.3〜5.0部)
となるように選定すればよい。 【0009】 【実施例】次に実施例および比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。 実施例1〜4および比較例1 (1)シーリング材基剤 下記表1に示す部数の各成分を配合して、基剤とする。
なお、イソブチレン系重合体として前記鐘淵化学工業
(株)製の「エピオンEP505S」(分子量約2000
0、ポリマー分/炭化水素系オイル=100/50);密
着剤としてエポキシ化合物;老化防止剤としてベンゾト
リアゾール,ヒンダードアミンを用いた。 (2)シーリング材の調製 上記基剤100部に対し、硬化剤(ジオクチル酸スズ/
ラウリルアミン等混合物)10部およびトーナー(顔料/
可塑剤等混合物)4部を加え、撹拌混合する。 【0010】(3)性能試験 下記項目(i)〜(iii)の試験に供し、結果を表1に併記す
る。 i)粘度測定 B型粘度計にて、ローターNo.7および回転数2rpmま
たは10rpmを用いて20℃で粘度(×104cps)を測定
すると共に、粘比[2rpm/10rpm]を算出する。なお、
回転数10rpmでの合格粘度は、20万〜40万cps程度
である。 ii)垂下性 ミル試験方法に準じ、20℃にて垂れ落ち長さ(mm)を測
定する。一般に10mm以下が合格値である。 iii)糸曳き性 一定量200ccのシーリング材を入れたビーカーに20
℃にて、ガラス棒を先端から一定深さ(5cm)まで浸漬せ
しめた状態でガラス棒を固定し、ビーカーを自然落下さ
せながら、ガラス棒先端からの糸曳き長さ(mm)を測定す
る。一般に150mm以下が合格値である。 【0011】 【表1】 【0012】実施例5,6および比較例2〜6 実施例4において、DOPに代えて下記表2に示す可塑
剤を用いる以外は、同様にしてシーリング材を調製し、
性能試験に供する。結果を表2に併記する。 【0013】 【表2】【0014】 【発明の効果】上記表1および2の結果から、炭化水素
系オイルに併用する可塑剤として、DOPやDINPも
しくはDIDPを特定範囲量で用いた場合に、糸曳きや
垂れ落ちの問題が大巾に改善されることが認められ、こ
れによって、硬化性樹脂として汎用されているイソブチ
レン系重合体の適用範囲を確立したものといえる。な
お、本発明は建築用シーリング材を対象とするが、これ
以外に、当該イソブチレン系重合体を主成分とする各種
の硬化性組成物として、たとえば自動車、電器、土木用
のシーリング材や、その他接着剤、コーティング材、ポ
ッティング材、成型物などにも適用しうることは云うま
でもない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/10 C08L 23/22 C08K 3/00 - 13/08 E02B 3/16

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 分子両末端にアルコキシシリル基を含有
    する分子量1000〜40000のイソブチレン系重合
    体を主成分とし、かつ該イソブチレン系重合体の可塑剤
    として炭化水素系オイルとアルキル炭素数8〜10のジ
    アルキルフタレートを併用したことから成る建築用シー
    リング材において、上記イソブチレン系重合体100重
    量部に対して炭化水素系オイル50〜135重量部およ
    びジアルキルフタレート60〜20重量部を用い、かつ
    ジアルキルフタレートがジオクチルフタレート、ジイソ
    ノニルフタレートおよびジイソデシルフタレートの少な
    くとも1種であることを特徴とする建築用シーリング
    材。
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