JP3387275B2 - 薄膜スイッチング素子 - Google Patents

薄膜スイッチング素子

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JP3387275B2 JP17971995A JP17971995A JP3387275B2 JP 3387275 B2 JP3387275 B2 JP 3387275B2 JP 17971995 A JP17971995 A JP 17971995A JP 17971995 A JP17971995 A JP 17971995A JP 3387275 B2 JP3387275 B2 JP 3387275B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一対の薄膜トランジスタ
から成るスイッチ回路に係り、特に、薄膜トランジスタ
の動作層が多結晶シリコン(poly−Si)で構成されて
いる場合において、リーク電流の低減を図ることができ
る薄膜スイッチング素子に関する。このような薄膜スイ
ッチング素子は、例えば、密着型のリニアセンサや2次
元センサに発生した電荷を一次的に蓄積し、蓄積電荷を
転送するためのスイッチング素子として利用されてい
る。
【0002】
【従来の技術】多結晶シリコン(poly−Si)はアモル
ファスシリコン(a−Si)に比べて高移動度であるた
め、多結晶シリコンを動作層としたpoly−Si薄膜トラ
ンジスタは、アモルファスシリコンを動作層としたa−
Si薄膜トランジスタに比較して高速動作が可能とな
り、高性能なイメ−ジセンサ用駆動素子として使用する
ことが提案されている。
【0003】電荷転送用のスイッチとしてpoly−Si薄
膜トランジスタを備えた密着型リニアセンサについて、
図7に示した等価回路図を参照しながら説明する。図7
の密着型リニアセンサは電流読み取り型であり、共通電
極と個別電極とで光電変換層を挟んで構成される複数の
フォトダイオード1と、各フォトダイオード1の個別電
極にドレイン電極が接続されたN型多結晶シリコン薄膜
トランジスタ2と、この薄膜トランジスタ2のソース電
極側から読み出し信号線3に流れ込む電流を検出する電
流読み取りアンプ4とを有している。
【0004】複数のフォトダイオ−ド1の共通電極は共
通バイアス線5に接続され、この共通バイアス線5に
は、例えば+5Vのバイアス電圧が印加されている。電
流読み取りアンプ4に接続される読み出し信号線3の電
位は、電流値を読み出すため、例えば0Vに固定されて
いる。薄膜トランジスタ2のゲ−ト電極は、同じく多結
晶シリコン薄膜トランジスタによってフォトダイオード
や薄膜トランジスタと同一基板上に形成されたシフトレ
ジスタ6に接続され、このシフトレジスタ6により各薄
膜トランジスタ2のオン・オフ制御が行なわれる。
【0005】上記密着型リニアセンサの駆動方法につい
て、図8を参照しながら説明する。図8には、薄膜トラ
ンジスタ2のゲ−ト電極に印加される駆動パルス20
と、フォトダイオ−ド1の個別電極の電位(図7の等価
回路におけるA点の電位)が示されている。駆動パルス
20は、例えば−2V(Lレベル)と15V(Hレベ
ル)の矩形パルスから成る駆動パルスによって駆動され
る。ゲ−ト電極に−2Vが印加されている間は薄膜トラ
ンジスタ2はオフ状態となり、フォトダイオ−ド1の個
別電極は読み出し信号線3とは切り離され、A点の電位
は0Vからフォトダイオード1の露光量によって変化す
る(図8のイ期間)。
【0006】次に、ゲ−ト電極に15Vが印加される
と、薄膜トランジスタ2はオン状態となり、フォトダイ
オ−ド1の個別電極は読み出し信号線3と同電位(0
V)になるように電流が信号線を流れ、その電流を読み
出し信号線3に接続された電流読み取りアンプ4により
検出する(図8のロ期間)。しかしながら、薄膜トラン
ジスタ2がオフのとき、前記したようにA点の電位(薄
膜トランジスタ2のドレイン電極の電位)は露光量に応
じて変化するが、画像が白である場合には露光量が飽和
して5V(バイアス電圧)まで上昇する。ゲ−ト電極に
は−2Vが印加されているので、ゲ−ト電極がドレイン
電極に対して−7Vになることがある。
【0007】薄膜トランジスタ2の電流−電圧特性は、
図9に示すように、ゲ−ト電圧が十分低くなったり、ド
レイン電圧が大きくなると、オフ状態でも大きなリ−ク
電流が流れてしまう。リ−ク電流の大きさは、ほぼゲ−
ト/ドレイン間の電位差によって決まる。すなわち、ゲ
−ト/ドレイン間の電位差が大きくなるとドレイン近傍
に強い電界がかかり、それにより熱電子放出が増大して
大きなリ−ク電流が流れるといった多結晶シリコン薄膜
トランジスタ特有の現象が生じ、フォトダイオ−ド等の
受光素子の電位が十分保持できないといった問題点があ
った。その結果、イメ−ジセンサのS/N比の低下や画
素間のクロスト−クを生じるといった問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】多結晶シリコン薄膜ト
ランジスタのリ−ク電流を低下させる技術としては、例
えば特公平3−38755に開示されるように、ソ−ス
・ドレイン領域に隣接して低濃度不純物領域を設けるL
DD構造が提案されている。この構造によると、LDD
領域で電界を緩和することにより、リ−ク電流の低減を
図るものである。しかしながら、LDD領域を形成する
ための特別な工程(マスク形成工程)を必要とし、ま
た、マスクのアライメントずれにより、LDD領域を大
面積にわたり制御性よく形成するのは困難であるという
欠点を有している。
【0009】また、画素電極に複数の薄膜トランジスタ
を直列に接続し、互いのゲ−トを接続したアクティブマ
トリクスパネルが示されている(特公平5−44195
号公報参照)。この構造によれば、LDD領域形成とい
った特別な工程を必要とせず、また、ソ−ス・ドレイン
間の電圧の分割によるリ−ク電流低減という効果はある
が、リ−ク電流の主要因であるゲ−トとドレイン間の電
位差は変化しないため、リ−ク電流低減の効果は大きく
ないという問題点があった。
【0010】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、LDD構造等を用いることなく、簡単な構造により
リ−ク電流の低減化を図ることができる薄膜スイッチン
グ素子を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解消するた
め本発明の薄膜スイッチング素子は、第1のN型多結晶
シリコン薄膜トランジスタと第2のN型多結晶シリコン
薄膜トランジスタとを直列に接続し、第1のN型多結晶
シリコン薄膜トランジスタは第1の信号線に第2のN型
多結晶シリコン薄膜トランジスタは第2の信号線にそれ
ぞれ接続され、各トランジスタのゲート電極は互いに等
しい電圧によって駆動されることによりオン・オフ制御
を行なうスイッチ回路であって、次の構成を含む。前記
第1の信号線と第2の信号線のうち、高い電位が与えら
れた信号線に接続される薄膜トランジスタのしきい値電
圧が、他の薄膜トランジスタのしきい値電圧より低く設
定する。スイッチ回路のオン時には、全ての薄膜トラン
ジスタのしきい値電圧より高い電圧を各ゲート電極に印
加し、スイッチ回路のオフ時には、前記しきい値電圧の
低い薄膜トランジスタがサブスレッシュホ−ルド領域で
動作し、他の薄膜トランジスタがオフとなる電圧を印加
する。
【0012】また、直列に接続された各多結晶シリコン
薄膜トランジスタがP型の場合においては、前記第1の
信号線と第2の信号線のうち、低い電位が与えられた信
号線に接続される薄膜トランジスタのしきい値電圧が、
他の薄膜トランジスタのしきい値電圧より高く設定され
ている。そして、スイッチ回路のオン時には、全ての薄
膜トランジスタのしきい値電圧より低い電圧を各ゲート
電極に印加し、スイッチ回路のオフ時には、前記しきい
値電圧の高い薄膜トランジスタがサブスレッシュホ−ル
ド領域で動作し、他の薄膜トランジスタがオフとなる電
圧を印加する。
【0013】
【作用】請求項1の発明によれば、第1のN型多結晶シ
リコン薄膜トランジスタと第2のN型多結晶シリコン薄
膜トランジスタから成るスイッチ回路がオフ状態である
場合において、高い電位が与えられた信号線の電位を保
持する場合に、その電位の大部分がサブスレッシュホ−
ルド領域で動作するしきい値電圧が低い薄膜トランジス
タにかかり、オフ状態の他の薄膜トランジスタにかかる
電圧が緩和され、両薄膜トランジスタのリ−ク電流が低
減して、スイッチ回路全体のリーク電流を低減する。
【0014】請求項2の発明によれば、第1のP型多結
晶シリコン薄膜トランジスタと第2のP型多結晶シリコ
ン薄膜トランジスタから成るスイッチ回路がオフ状態で
ある場合において、低い電位が与えられた信号線の電位
を保持する場合に、その電位の大部分がサブスレッシュ
ホ−ルド領域で動作するしきい値電圧が高い薄膜トラン
ジスタにかかり、オフ状態の第2の薄膜トランジスタに
かかる電圧が緩和され、他の薄膜トランジスタのリ−ク
電流が低減して、スイッチ回路全体のリーク電流を低減
する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。図1は、本発明による薄膜スイッチ
ング素子を電流読取り型の密着型イメ−ジセンサに適用
した場合の等価回路図である。図中、図7と同一構成を
とる部分については同一符号を付している。図7のセン
サと同様に、複数のフォトダイオ−ド1の共通電極が共
通バイアス線5に接続され、この共通バイアス線5に
は、例えば+5Vのバイアス電圧が印加されている。
【0016】各フォトダイオ−ド1の個別電極は、第1
のN型多結晶シリコン薄膜トランジスタ11と第2のN
型多結晶シリコン薄膜トランジスタ12とを直列に接続
して構成された薄膜スイッチング素子10にそれぞれ接
続されている。第2の薄膜トランジスタ12のソ−ス電
極は電流読み出し用の信号線3に接続され、その電位は
例えば0Vに固定されている。また、第1及び第2の薄
膜トランジスタ11,12のゲ−ト電極は互いに接続さ
れ、同一のシフトレジスタ6によって駆動パルスが印加
されるように構成されている。シフトレジスタ6は、多
結晶シリコン薄膜トランジスタによってフォトダイオー
ド1や薄膜スイッチング素子10と同一基板上に形成さ
れている。
【0017】本発明の特徴的な部分は、薄膜スイッチン
グ素子10を構成する直列に接続された各薄膜トランジ
スタの特性を異なるものとしたことである。すなわち、
第1の薄膜トランジスタ11及び第2の薄膜トランジス
タ12の電流−電圧特性は、それぞれ図2及び図3に示
すとおりであり、フォトダイオ−ド1の個別電極側(高
い電位が与えられた信号線側)に接続される第1のN型
多結晶シリコン薄膜トランジスタ11のしきい値電圧
が、電流読み出し用の読み出し信号線3(0V)に接続
される第2のN型多結晶シリコン薄膜トランジスタ12
のしきい値電圧に比べて低く設定している。
【0018】各薄膜トランジスタの特性は、図2及び図
3に示すように、第1のN型多結晶シリコン薄膜トラン
ジスタ11のしきい値電圧(ドレイン電流値が10ー6
となるゲート電圧)は−2.5Vであり、第2のN型多
結晶シリコン薄膜トランジスタ12のしきい値電圧は1
Vに設定されている。N型多結晶シリコン薄膜トランジ
スタの場合、チャネルとなる半導体層にリンイオンを注
入すると、しきい値電圧が低くなり、ボロンを注入する
と、しきい値電圧が高くなる。したがって、第1及び第
2のN型多結晶シリコン薄膜トランジスタのしきい値電
圧を図2及び図3のように設定するためには、第1のN
型多結晶シリコン薄膜トランジスタ11のチャネルにリ
ンイオンを注入したり、若しくは第2のN型多結晶シリ
コン薄膜トランジスタ12のチャネルにボロンを注入し
たりすることにより作製することができる。また、第1
及び第2の薄膜トランジスタのチャネルに同時にリンを
注入した後、第2のN型多結晶シリコン薄膜トランジス
タ12のゲ−ト絶縁膜の厚さを、第1のN型多結晶シリ
コン薄膜トランジスタ11のそれより厚くすることによ
っても、図2及び図3の特性を有する薄膜トランジスタ
が形成できる。
【0019】次に、上記した密着型リニアセンサの駆動
方法について、図4を参照しながら説明する。図4は、
薄膜スイッチング素子10を構成する各薄膜トランジス
タ11,12の各ゲート電極に印加される駆動パルス2
0と、第1の薄膜トランジスタ11の個別電極に接続さ
れる側の電位(図1の等価回路図におけるA点の電
位)、及び、第1の薄膜トランジスタ11と第2の薄膜
トランジスタ12との接続点の電位(図1の等価回路図
におけるB点の電位)を示している。第1及び第2の薄
膜トランジスタのゲ−ト電極には、図4に示すように−
2V(Lレベル)と15V(Hレベル)の矩形パルスか
ら成る駆動パルス20によって駆動される。信号を読み
出す場合は、図8に示した従来例と同様に、各薄膜トラ
ンジスタ11,12のゲ−ト電極に15Vの電圧が印加
され、各薄膜トランジスタ11,12はオン状態とな
り、フォトダイオ−ド1の個別電極が読み出し信号線3
と同電位(0V)になるように電流が読み出し信号線3
を流れ(図4のP期間)、この電流は読み出し信号線3
に接続された電流読み取りアンプ4により検出される
(図8のロ期間と同様である)。
【0020】一方、信号を読み出した後は、第1の薄膜
トランジスタ11及び第2の薄膜トランジスタ12のゲ
−ト電極に−2Vが印加される。この時、第1の薄膜ト
ランジスタ11のソ−ス電極の電位は読み出し直後の0
Vであるため、ゲート/ソース間の電位差は−2Vとな
り、第1の薄膜トランジスタ11のしきい値電圧(−
2.5V)より高くなるため、第1の薄膜トランジスタ
11はオン状態となり第1の薄膜トランジスタ11と第
2の薄膜トランジスタ12間の電位(B点の電位)は、
個別電極側の電位(A点の電位)と等しくなる。この状
態は、フォトダイオ−ド1の個別電極(A点)の電位が
0.5Vになるまで続く。
【0021】すなわち、図4のQ期間に示すように、A
点の電位が0.5Vより低い場合においては、第1の薄
膜トランジスタ11のゲ−ト・ソ−ス間の電位差(−2
V〜−2.5V)は、第1の薄膜トランジスタ11のし
きい値電圧より高くなるため、第1の薄膜トランジスタ
11はオン状態となり、B点の電位はA点の電位と等し
くなり、第2の薄膜トランジスタ12のみでフォトダイ
オ−ド1の電荷を保持することになる。この場合、第2
の薄膜トランジスタ12のドレイン電極の電位は0〜
0.5Vに変化するので、ドレイン電極に対するゲ−ト
電極の電位は最大で−2.5Vにしかならない。
【0022】次に、フォトダイオ−ド1の個別電極の電
位(A点の電位)及びB点の電位がほぼ0.5Vに上昇
した以降は、第2の薄膜トランジスタ12についてはし
きい値電圧が1Vであるのでオフ状態を維持し、第1の
薄膜トランジスタ11はオンからオフ状態へ移行する途
中のサブスレッシュホ−ルド領域で動作するようになる
(図4のR期間)。すなわち、B点の電位がほぼ0.5
Vに上昇した直後においては、第2の薄膜トランジスタ
12のドレイン電極VDの電位は0.5Vであるので、
第2の薄膜トランジスタ12の電流/電圧特性は図5の
実線に示すようにドレイン電圧0.5Vでの特性曲線と
なり、ゲート電極には−2Vが印加されているので、そ
の動作点はY点となる。
【0023】一方、第1の薄膜トランジスタ11におい
ては、B点の電位がほぼ0.5Vに上昇した時にソース
電極/ゲート電極間の電位差がしきい値電圧と同じ1V
となるが、さらにB点の電位が上昇した場合、第1の薄
膜トランジスタ11はサブスレッシュホ−ルド領域で動
作するようになる。この場合、第1の薄膜トランジスタ
11の抵抗値は第2の薄膜トランジスタ12の抵抗値に
比べて無視できなくなるため、第1の薄膜トランジスタ
11のソース/ドレイン間にも若干の電圧がかかる。そ
の電圧は、第1の薄膜トランジスタ11と第2の薄膜ト
ランジスタ12に流れる電流が等しくなるようにして決
まり、この場合、約0.025Vである。この時の第1
の薄膜トランジスタ11の特性曲線は図5の点線で示さ
れるものであり、点Xで示される動作点で動作してい
る。更に、フォトダイオ−ド1の個別電極の電位(A点
の電位)が増加しても、B点の電位は0.5Vから若干
上昇して一定の電圧に固定されたまま変動せず、薄膜ス
イッチング素子10(AC間)を流れる電流値も一定の
ままである。
【0024】上述の現象は次のような理由により説明で
きる。もしB点の電位が上昇すると第1の薄膜トランジ
スタ11のソース/ドレイン間の電圧は増加し、ゲ−ト
・ソ−ス間の電位差が低下する。しかし、サブスレッシ
ュホ−ルド領域の電流は、ソース/ドレイン間の電圧に
よらないため、図5の特性曲線(一点鎖線)に沿ってサ
ブスレッシュホ−ルド電流は減少する。一方第2の薄膜
トランジスタ12のリ−ク電流は、図5の点線で示した
より高いドレイン電圧の特性曲線における電流値に増加
しようとするが、第1の薄膜トランジスタ11を流れる
電流と第2の薄膜トランジスタ12を流れる電流は等し
くなければならないため、結局B点の電位が上昇するこ
とはない。この状況はAB間の電位が十分大きくなり、
第1の薄膜トランジスタ11のサブスレッシュホ−ルド
電流のドレイン電圧依存性が顕著になるまで続く。従っ
て、第2の薄膜トランジスタ12のゲート電極(−2
V)の電位は、B点の電位に等しいドレイン電極(約
0.5V)に対して、−2.5Vにしかならない。
【0025】上記実施例の構造によると、画素の電位を
保持する場合に、オフ状態となっている第2の薄膜トラ
ンジスタ12のゲ−ト電極の電位は、ドレイン電極に対
して−2.5V程度にしかならず、従来例における電位
差である−7Vに比べてゲ−ト・ドレイン間の電界が緩
和される。従って、第2の薄膜トランジスタ12のリ−
ク電流は大きく低減され、第1の薄膜トランジスタ11
と第2の薄膜トランジスタ12を直列接続して構成され
る薄膜スイッチング素子10としてのリーク電流も低減
することができる。上記実施例においては、イメ−ジセ
ンサの各画素のスイッチング素子として適用したので、
リーク電流が減少することにより各画素からの画像信号
のS/N比が向上し、また、各画素毎に画像信号を読み
取る際のクロスト−クを低減することができる。
【0026】また、上記実施例におけるリ−ク電流低減
の効果は、第1の薄膜トランジスタ11のしきい値電圧
の値Vth1によって変化する。上記実施例の構造におい
て、第1の薄膜トランジスタ11のしきい値電圧値Vth
1を変化させてリーク電流を測定したところ、図6に示
すように、しきい値電圧値Vth1が−2.5Vのときリ
−ク電流が最小となった。
【0027】上述した実施例においては、薄膜スイッチ
ング素子10を構成する各薄膜トランジスタ11,12
をN型とし、フォトダイオ−ド1の共通電極が個別電極
に対して正の電位にバイアスされるイメージセンサにつ
いて示したが、各薄膜トランジスタ11,12をN型と
し、フォトダイオ−ド1の共通電極が個別電極に対して
負の電位にバイアスされるイメージセンサであってもよ
い。薄膜トランジスタをN型とした場合、高い電位が与
えられた信号線に接続される薄膜トランジスタのしきい
値電圧が、他の薄膜トランジスタのしきい値電圧より低
く設定されている。
【0028】また、薄膜スイッチング素子10を構成す
る各薄膜トランジスタ11、12をP型とし、フォトダ
イオ−ド1の共通電極が個別電極に対して正の電位にバ
イアスされる場合や、各薄膜トランジスタ11、12を
P型とし、フォトダイオ−ド1の共通電極が個別電極に
対して負の電位にバイアスされる場合についても有効で
ある。薄膜トランジスタをP型とした場合、低い電位が
与えられた信号線に接続される薄膜トランジスタのしき
い値電圧が、他の薄膜トランジスタのしきい値電圧より
高く設定されている。そして、スイッチ回路のオン時に
は、全ての薄膜トランジスタ11、12のしきい値電圧
より低い電圧を各ゲート電極に印加し、スイッチ回路の
オフ時には、前記しきい値電圧の高い薄膜トランジスタ
がサブスレッシュホ−ルド領域で動作し、他の薄膜トラ
ンジスタがオフとなる電圧を印加する。上記実施例にお
いては、2つの薄膜トランジスタが接続された場合につ
いて説明したが、3つ以上の薄膜トランジスタを接続し
た構成でも同様の効果を得ることができる。
【0029】また、実施例においては、電流読み出し方
式のイメ−ジセンサについて説明したが、電圧読み出し
方式のイメージセンサのスイッチング素子についても適
用することができる。
【0030】上記実施例ではリニアイメ−ジセンサにつ
いて説明したが、フォトダイオ−ドが2次元上に配置さ
れた2次元イメ−ジセンサのスイッチング素子としても
適用することができる。また、アクティブマトリクス型
液晶表示装置やプリントヘッドのように、個々の画素に
ついて接続されるスイッチング素子に上記構成を適用し
ても同様の効果が得られる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、第1の薄膜トランジス
タと第2の薄膜トランジスタから成るスイッチ回路がオ
フ状態である場合において、サブスレッシュホ−ルド領
域で動作する薄膜トランジスタに接続される側の信号線
の電位を保持する場合に、その電位の大部分がサブスレ
ッシュホ−ルド領域で動作する薄膜トランジスタにかか
り、オフ状態の他の薄膜トランジスタにかかる電圧を緩
和し、他の薄膜トランジスタのリ−ク電流を低減して、
スイッチ回路全体のリーク電流を低減することができ
る。したがって、画素の電位を保持が必要なイメージセ
ンサのスイッチング素子として適用することにより、ス
イッチング素子のリ−ク電流を低減することができ、そ
の結果、S/N比が大きくクロスト−クの小さなイメ−
ジセンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による薄膜スイッチング素子をイメー
ジセンサに適用した場合の一実施例を示す等価回路図で
ある。
【図2】 薄膜スイッチング素子を構成する第1の薄膜
トランジスタの電流−電圧特性図である。
【図3】 薄膜スイッチング素子を構成する第2の薄膜
トランジスタの電流−電圧特性図である。
【図4】 実施例のイメ−ジセンサによる画像信号の読
み出しを説明するために図1の等価回路のA点での駆動
パルスに対する電位の変化を示した図である。
【図5】 薄膜スイッチング素子を構成する各薄膜トラ
ンジスタの動作点を説明した図である。
【図6】 薄膜スイッチング素子を構成する第1の薄膜
トランジスタのしきい値電圧とリーク電流との関係を示
したグラフ図である。
【図7】 薄膜トランジスタをスイッチング素子として
使用したイメ−ジセンサの等価回路図である。
【図8】 イメ−ジセンサによる画像信号の読み出しを
説明するために、図7の等価回路のA点での駆動パルス
に対する電位の変化を示した図である。
【図9】 イメ−ジセンサに用いられる薄膜トランジス
タの電流−電圧特性図である。
【符号の説明】
1…フォトダイオ−ド、 3…読み出し信号線、 4…
電流読み取り用アンプ、 5…共通バイアス線、 6…
シフトレジスタ、 10…薄膜スイッチング素子、 1
1…第1の薄膜トランジスタ、 12…第2の薄膜トラ
ンジスタ、 20…駆動パルス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/786 H01L 27/146 H04N 1/028 H04N 5/335

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のN型多結晶シリコン薄膜トランジ
    スタと第2のN型多結晶シリコン薄膜トランジスタとを
    直列に接続し、第1のN型多結晶シリコン薄膜トランジ
    スタは第1の信号線に第2のN型多結晶シリコン薄膜ト
    ランジスタは第2の信号線にそれぞれ接続され、各トラ
    ンジスタのゲート電極は互いに等しい電圧によって駆動
    されることによりオン・オフ制御を行なうスイッチ回路
    であって、 前記第1の信号線と第2の信号線のうち、高い電位が与
    えられた信号線に接続される薄膜トランジスタのしきい
    値電圧が、他の薄膜トランジスタのしきい値電圧より低
    く設定され、 スイッチ回路のオン時には、全ての薄膜トランジスタの
    しきい値電圧より高い電圧を各ゲート電極に印加し、ス
    イッチ回路のオフ時には、前記しきい値電圧の低い薄膜
    トランジスタがサブスレッシュホ−ルド領域で動作し、
    他の薄膜トランジスタがオフとなる電圧を印加すること
    を特徴とする薄膜スイッチング素子。
  2. 【請求項2】 第1のP型多結晶シリコン薄膜トランジ
    スタと第2のP型多結晶シリコン薄膜トランジスタとを
    直列に接続し、第1のP型多結晶シリコン薄膜トランジ
    スタは第1の信号線に第2のP型多結晶シリコン薄膜ト
    ランジスタは第2の信号線にそれぞれ接続され、各トラ
    ンジスタのゲート電極は互いに等しい電圧によって駆動
    されることによりオン・オフ制御を行なうスイッチ回路
    であって、 前記第1の信号線と第2の信号線のうち、低い電位が与
    えられた信号線に接続される薄膜トランジスタのしきい
    値電圧が、他の薄膜トランジスタのしきい値電圧より高
    く設定され、 スイッチ回路のオン時には、全ての薄膜トランジスタの
    しきい値電圧より低い電圧を各ゲート電極に印加し、ス
    イッチ回路のオフ時には、前記しきい値電圧の高い薄膜
    トランジスタがサブスレッシュホ−ルド領域で動作し、
    他の薄膜トランジスタがオフとなる電圧を印加すること
    を特徴とする薄膜スイッチング素子。
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