JP3386944B2 - 走間接合装置のパス切替装置及び方法 - Google Patents

走間接合装置のパス切替装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延設備にお
いて圧延材とともに走行しながら、先行圧延材の後端部
と後行圧延材の先端部とを接合する走間接合装置に係わ
り、更に詳しくは、走間接合装置のパス切替装置及び方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の熱間圧延設備(ホットストリップ
ミル)では、粗圧延機で圧延されたバー材を、それぞれ
別々に仕上圧延機に供給し、所望の板厚のストリップ材
を得ていた。しかし、かかる手段では、圧延材全体を均
一に圧延できず、圧延材の端部(前端部と後端部)に欠
陥が生じやすく圧延材の歩留りを低下させ、かつ噛込み
/尻抜け等のため圧延速度を高速化しにくい問題点があ
った。
【0003】かかる問題点を解決するため、本願発明の
発明者等は、図5に例示するように、圧延方向に走行す
る台車12と、該台車上に取付られ先行する圧延材1の
後端部を水平に挟持して昇降可能な後端クランプ装置1
4と、前記台車12上に取付られ後行する圧延材2の先
端部を水平に挟持する先端クランプ装置16と、先行圧
延材1の後端部下面と後行圧延材2の先端部上面を切削
加工する加工装置18と、該加工面を還元状態に保持す
る還元保持装置20と、先行圧延材1と後行圧延材2の
加工面を重ね合わせて圧延材とほぼ同一厚さまで圧縮し
て接合する圧接装置22と、を備えた圧延材接合装置1
0を創案し、既に出願した(例えば、特願平6−255
176号、特願平7−55488号等、いずれも未公
開)。
【0004】この接合装置により、先行圧延材の後端部
と後行圧延材の先端部とを圧延材とともに走行しながら
接合することができ、短時間に圧延材の幅全体にわたり
十分な接合強度で接合することができ、接合部の凸凹が
少なく接合部をほぼ均一に加工でき、これにより、圧延
材を連続的に仕上圧延機に供給することができるように
なった。なお、以下、かかる圧延材を走行しながら接合
する接合装置を「走間接合装置」と呼ぶ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した走間
接合装置10は、圧延材1,2の下方に位置する台車1
2、クランプ装置14,16、加工装置18、圧接装置
22等を備えているため、圧接高さLを圧延高さBより
も高くする必要がある。そのため、圧延高さBにある圧
延材を走間接合装置内を通るようにパスラインを切替る
ために、図5に示す傾斜ガイド25により圧延材を圧接
高さLまで持ち上げ、逆に傾斜ガイド24により圧接高
さLから圧延高さBまで下げるようになっている。な
お、図5でHは加工高さである。
【0006】しかし、かかる傾斜ガイドを備えた走間接
合装置は、前後の傾斜ガイド24,25により全長が長
くなり、そのため、接合設備の全長も長くなる問題点が
あった。また、傾斜ガイド25の先端部を圧延高さBに
近ずけても、圧延高さBとの間に段差ができるため、圧
延材が圧延高さBから傾斜ガイド25に上がり始める際
に、その先端部が傾斜ガイド25の先端部の段差に引っ
掛かりやすい問題点があった。更に、先行圧延材1の後
端部と後行圧延材2の先端部との間には、端部の切断等
の関係で隙間ができているので、パスライン切替え後
に、走間接合装置によりこの隙間をなくして重ね合わせ
るのに余分の時間がかかる問題点があった。
【0007】本発明は上述した問題点を解決するために
創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、接
合設備の全長を短くでき、水平パスラインからこれより
高いパスライン(走間接合装置上の圧接高さL)まで円
滑に圧延材のパスを切り換えることができ、かつ同時に
圧延材間の隙間を短縮することができる走間接合装置の
パス切替装置及び方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、搬送テ
ーブル上を水平に供給される圧延材をそのまま通す水平
パスラインと、搬送テーブルより高い位置に移送する移
送パスラインと、に切替える走間接合装置のパス切替装
置であって、上流端で枢着されかつ枢着点を中心に上下
に揺動可能な細長いヒンジフレームと、該ヒンジフレー
ムに間隔を隔てて下流端が枢着されかつ枢着点を中心に
上下に揺動可能な複数の細長いヒンジアームと、各ヒン
ジアームの上流端に取り付けられた複数の支持ローラ
と、からなり、前記ヒンジアームは、上流側から下流側
に順次長く形成されており、水平パスラインにおいて、
各支持ローラが、搬送テーブルと同一の高さに位置する
ように、ヒンジフレーム及びヒンジアームは下方に位置
しており、移送パスラインにおいて、各支持ローラが、
上流側から下流側に順次高くかつ順次下流側に位置する
ように、ヒンジフレーム及びヒンジアームが傾動する、
ことを特徴とする走間接合装置のパス切替装置が提供さ
れる。
【0009】本発明の構成によれば、ヒンジフレームが
上流端で枢着されているので、ヒンジフレームを上に揺
動させるだけで、各支持ローラを上流側から下流側に順
次高く位置決めすることができる。また各ヒンジアーム
は、下流端がヒンジフレームに枢着され上流端に支持ロ
ーラを有し、かつ各ヒンジアームは上流側から下流側に
順次長く形成されているので、ヒンジアームを上に揺動
させるだけで、各支持ローラを上流側から下流側に順次
高く位置決めしたまま、更に、上流側から下流側に順次
下流側に位置決めすることができる。従って、複数の支
持ローラ上に水平に載った後行圧延材は、各支持ローラ
の移動とともに上流側から下流側に順次高くかつ順次下
流側に位置し、これにより、走間接合装置に従来の傾斜
ガイド25を設けることなく、パス切替装置に圧延材を
載せたままで、水平パスラインから移送パスラインに円
滑に圧延材のパスを切り換えることができ、かつ圧延材
の先端部が下流側に移動するので、同時に圧延材間の隙
間を短縮することができる。
【0010】また、本発明によれば、複数の支持ローラ
と、これを昇降及び前後移動させる駆動装置と、を備
え、走間接合装置を使用しない時には、各支持ローラを
間隔を隔てて水平に配置して、搬送テーブル上を水平に
供給される圧延材をそのまま通し、走間接合装置を使用
する時で後行材先端部が通過する際、各支持ローラを上
流側から下流側に順次高くかつ順次下流側に位置させ
て、後行圧延材の先端部を走間接合装置内に供給し、そ
の後、走間接合装置の通過前の位置に戻す、ことを特徴
とする走間接合装置のパス切替方法が提供される。
【0011】この方法により、走間接合装置の通過前に
は、各支持ローラの水平配置により圧延材を水平パスラ
インにそのまま通すことができ、走間接合装置を使用す
る時で後行材先端部が通過する際、後行圧延材の先端部
を上流側から下流側に順次高くかつ順次下流側に位置さ
せて、後行圧延材の先端部を走間接合装置内に供給し
て、走間接合装置により圧延材を接合することができ、
その後、各支持ローラを水平配置に戻すことにより、走
間接合装置から垂れ下がって搬送テーブルに載った後行
圧延材をそのまま通すことができる。従って、走間接合
装置に従来の傾斜ガイド25を設けることなく、パス切
替装置に圧延材を載せたままで、水平パスラインから移
送パスラインに円滑に圧延材のパスを切り換えることが
でき、接合設備の全長を短くでき、かつ同時に圧延材間
の隙間を短縮することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。なお、各図において共通する部分には同
一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、本
発明によるパス切替装置30を含む接合設備の全体構成
図である。この図に示すように、走間接合装置10は、
粗ミル5(粗圧延機)と仕上ミル6(仕上圧延機)の間
に設置され、圧延方向に走行できるようになっている。
また、パス切替装置30は、走間接合装置10が走行す
る範囲に設置された搬送テーブル11の一部に代えて配
置されている。更に、粗ミル5と走間接合装置10との
間には、粗ミル5側から、巻取り巻戻し装置7、レベラ
ー8、切断装置9、等が設置されている。なお、本発明
はかかる配置に限定されず、例えば、巻取り巻戻し装置
7、レベラー8、切断装置9、等がない場合にも適用で
きる。
【0013】図2は、走間接合装置10とパス切替装置
30を示す模式図である。この図に示すように、走間接
合装置10は、図5に示した走間接合装置と上流側の傾
斜ガイド25がない点で相違している。その他の点は図
5の走間接合装置と同様である。また、図2において、
パス切替装置30は、搬送テーブル11上を水平に供給
される圧延材1,2をそのまま通す水平パスラインB
と、搬送テーブル11より高い位置に移送する移送パス
ラインAとに切替えるようになっている。
【0014】図3はパス切替装置30の構成図である。
この図に示すように、本発明によるパス切替装置30
は、走行方向に延びた細長いヒンジフレーム32、ヒン
ジフレーム32上に枢着された複数のヒンジアーム3
4、及びヒンジアーム34の上流端に取り付けられた複
数の支持ローラ36からなる。ヒンジフレーム32は、
その上流端32a(枢着点)で固定部分に枢着され、そ
の枢着点を中心に上下に揺動できるようになっている。
なお、図3において、最上流側の支持ローラ36aは、
ヒンジフレーム32の枢着点32aに同軸に取り付けら
れている。また、この図で35で示す支持ローラは、ヒ
ンジフレーム32と干渉しないように水平パスラインB
に固定して設置されている。更に、ヒンジフレーム32
を昇降させるフレーム昇降装置33が設けられている。
このフレーム昇降装置33は、この図では液圧シリンダ
であるが、本発明はこれに限定されず、その他の手段、
例えは空気,電気による直動シリンダ、液圧モータ、電
動機、等であってもよい。この構成により、フレーム昇
降装置33によりヒンジフレーム32を上に揺動させる
だけで、各支持ローラ36を上流側(図で右側)から下
流側(図で左側)に順次高く位置決めすることができ
る。
【0015】ヒンジアーム34は、下流端34aがヒン
ジフレーム32に間隔を隔てて枢着され、その枢着点を
中心に上下に揺動できるようになっている。また、各ヒ
ンジアーム32は、上流側から下流側に順次長く形成さ
れている。更に、各ヒンジアーム32を昇降させるアー
ム昇降装置(図示せず)を備えている。アーム昇降装置
は、例えば、直動シリンダ、モータ等である。この構成
により、ヒンジアーム32を上に揺動させるだけで、各
支持ローラ36を上流側から下流側に順次高く位置決め
したまま、更に、上流側から下流側に順次下流側に位置
決めすることができる。
【0016】上述したパス切替装置30は、以下のよう
に作動する。先ず、搬送テーブル11上を水平に供給さ
れる圧延材をそのまま通す水平パスラインBでは、図3
に実線で示すように、ヒンジフレーム32及びヒンジア
ーム34は下方に下がり、各支持ローラ36は、搬送テ
ーブル11の支持ローラと同一の高さに位置している。
また、搬送テーブル11より高い位置に移送する移送パ
スラインでは、図3に二点鎖線で示すように、フレーム
昇降装置33及びアーム昇降装置(図示せず)により、
ヒンジフレーム32及びヒンジアーム34が傾動して、
各支持ローラ36が、上流側から下流側に順次高くかつ
順次下流側に位置する。従って、水平パスラインBにお
ける後行圧延材2の先端部Tは、移送パスラインAで
は、上方でかつ下流側に寄ったT′に移動しており、こ
れにより、走間接合装置10に従来の傾斜ガイド25を
設けることなく、パス切替装置10に圧延材2を載せた
ままで、水平パスラインBから移送パスラインAに円滑
に圧延材のパスを切り換えることができ、かつ同時に圧
延材1,2間の隙間を短縮することができる。
【0017】図4は、上述したパス切替装置30を用い
た走間接合装置のパス切替方法を示す作動説明図であ
る。この図において、(A)は走間接合装置10の走行
開始前、(B)は走間接合装置のスタート直後、(C)
は、その後を示している。本発明の方法は、(A)走間
接合装置10を使用しない時に、各支持ローラ36を間
隔を隔てて水平に配置して、搬送テーブル11上を水平
に供給される圧延材1,2をそのまま通す第1ステップ
と、(B)走間接合装置10を使用する時で後行材先端
部が通過する際、各支持ローラ36を上流側から下流側
に順次高くかつ順次下流側に位置させて、後行圧延材2
の先端部Aを走間接合装置10内に供給する第2ステッ
プと、(C)その後、走間接合装置10のスタート前の
位置に戻す第3ステップと、からなる。
【0018】この方法により、走間接合装置10を使用
しない時には、各支持ローラ36の水平配置により圧延
材1,2を水平パスラインBにそのまま通すことがで
き、走間接合装置10を使用する時で後行材先端部が通
過する際に、後行圧延材2の先端部分を上流側から下流
側に順次高くかつ順次下流側に位置させて、後行圧延材
2の先端部Tを走間接合装置10内に供給して、走間接
合装置10により圧延材1,2を接合することができ、
その後、各支持ローラ36を水平配置に戻すことによ
り、走間接合装置10から垂れ下がって搬送テーブル1
1に載った後行圧延材2をそのまま通すことができる。
従って、走間接合装置10に従来の傾斜ガイド25を設
けることなく、水平パスラインBから移送パスラインA
に円滑に圧延材1,2のパスを切り換えることができ、
接合設備の全長を短くでき、かつ同時に圧延材間の隙間
ΔLをΔL′まで短縮することができる。
【0019】なお、本発明は上述した実施例に限定され
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できるこ
とは勿論である。
【0020】
【発明の効果】上述したように、走間接合装置のパス切
替装置及び方法は、接合設備の全長を短くでき、水平パ
スラインからこれより高いパスライン(走間接合装置上
の圧接高さL)まで円滑に圧延材のパスを切り換えるこ
とができ、かつ同時に圧延材間の隙間を短縮することが
できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパス切替装置を含む接合設備の全
体構成図である。
【図2】走間接合装置とパス切替装置を示す模式図であ
る。
【図3】本発明によるパス切替装置の構成図である。
【図4】本発明による走間接合装置のパス切替方法を示
す作動説明図である。
【図5】先行技術の走間接合装置の全体構成図である。
【符号の説明】
1 先行圧延材 2 後続圧延材 3 レール 4 ローラ 5 粗ミル 6 仕上ミル 7 巻取り巻戻し装置 8 レベラー 9 切断装置 10 走間接合装置 11 搬送テーブル 12 台車 14 後端クランプ装置 16 先端部クランプ装置 18 加工装置 20 還元保持装置 21 固定スタンド 22 圧接装置 24、25 傾斜ガイド 30 パス切替装置 32 ヒンジフレーム 33 フレーム昇降装置 34 ヒンジアーム 36 支持ローラ H 加工高さ L 圧接高さ B 水平パスライン(圧延高さ) A 移送パスライン T 後行圧延材の先端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田添 信広 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石川島播磨重工業株式会社 横浜エンジ ニアリングセンター内 (72)発明者 沖 正海 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (72)発明者 坂本 浩一 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−104706(JP,A) 特開 昭62−134102(JP,A) 特開 昭61−286004(JP,A) 実開 昭62−113802(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 39/04 B21B 1/26 B21B 15/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 搬送テーブル上を水平に供給される圧延
    材をそのまま通す水平パスラインと、搬送テーブルより
    高い位置に移送する移送パスラインと、に切替える走間
    接合装置のパス切替装置であって、 上流端で枢着されかつ枢着点を中心に上下に揺動可能な
    ヒンジフレームと、該ヒンジフレームに間隔を隔てて下
    流端が枢着されかつ枢着点を中心に上下に揺動可能なヒ
    ンジアームと、各ヒンジアームの上流端に取り付けられ
    た複数の支持ローラと、からなり、 前記ヒンジアームは、上流側から下流側に順次長く形成
    されており、 水平パスラインにおいて、各支持ローラが、搬送テーブ
    ルと同一の高さに位置するように、ヒンジフレーム及び
    ヒンジアームは下方に位置しており、移送パスラインに
    おいて、各支持ローラが、上流側から下流側に順次高く
    かつ順次下流側に位置するように、ヒンジフレーム及び
    ヒンジアームが傾動する、ことを特徴とする走間接合装
    置のパス切替装置。
  2. 【請求項2】 ヒンジフレームを昇降させるフレーム昇
    降装置と、各ヒンジアームを昇降させるアーム昇降装置
    と、を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の
    走間接合装置のパス切替装置。
  3. 【請求項3】 複数の支持ローラと、これを昇降及び前
    後移動させる駆動装置と、を備え、 走間接合装置を使用しない時には、各支持ローラを間隔
    を隔てて水平に配置して、搬送テーブル上を水平に供給
    される圧延材をそのまま通し、 走間接合装置を使用する時で後行材先端部が通過する
    際、各支持ローラを上流側から下流側に順次高くかつ順
    次下流側に位置させて、後行圧延材の先端部を走間接合
    装置内に供給し、 その後、走間接合装置の通過前の位置に戻す、ことを特
    徴とする走間接合装置のパス切替方法。
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