JP3386573B2 - プラスチック製ペン先の製造方法 - Google Patents

プラスチック製ペン先の製造方法

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JP3386573B2 JP12903394A JP12903394A JP3386573B2 JP 3386573 B2 JP3386573 B2 JP 3386573B2 JP 12903394 A JP12903394 A JP 12903394A JP 12903394 A JP12903394 A JP 12903394A JP 3386573 B2 JP3386573 B2 JP 3386573B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、筆記部が楔状またはチ
ゼル状を呈していて、花文字、カリグラフィックレタ
ー、アラビア文字等を書くのに好適なプラスチック製ペ
ン先の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のプラスチック製ペン先には、ペン
ホルダーに組み込むため、ペンホルダーにおけるインキ
貯蔵室部と連通状の挿入孔に顎部が口部に当接するまで
挿着可能に形成してある金属製或いはプラスチック製の
マウスピースにペン先を差し込んで接着固定した態様の
ものと、内筒(ペン先)を押出成形して、引き続き外筒
を被覆成形した後、所定の長さに切断し、筆記部を楔状
またはチゼル状に研削すると共に外筒を研削して顎部を
形成して、ペンホルダーの挿入孔に顎部が口部に当接す
るまで挿着可能に形成してあるアロー形状の態様のもの
があり、前者のものに比べて後者のものは、成形容易で
コストダウンでき経済的効果が大きい利点がある。
【0003】ところが前記した後者のものでは、アロー
形状に形成するために外筒の肉厚は厚くせざるを得ない
という構造上の制約がある。それにともない、筆記部を
楔状またはチゼル状に研削する際における研削量が肉厚
い外筒まで含め多量になることにより、砥石への研削屑
の付着量が増加して研削能力が悪化する。研削能力の悪
化によって研削時の発熱が激しくなり、ペン先のプラス
チックがゲル化する。このゲル化および研削能力の悪化
によって研削バリが発生しやすくなり、インキ通路が研
削バリで塞がれる。その結果として、インキの出方が低
下してしまう問題がある。
【0004】特に、後者の筆記部が楔状またはチゼル状
であるプラスチック製ペン先の場合では、紙面に当たる
筆記部の接触面範囲が略砲弾状のペン先よりもはるかに
多いため、前記した研削バリの目詰まりによってインキ
フローの低下が著しく、筆記カスレを招く原因になって
いる。
【0005】また、後者のプラスチック製ペン先では、
楔状またはチゼル状の筆記部外径が外筒の外径になって
いて、筆記部における肉厚が厚く、この肉厚部分を含む
筆記範囲になるため、筆先幅と筆線幅の差異が大きく、
筆記部と同じイメージ通りの線幅を描きにくい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、ペンホルダーに挿着可能な顎部を有するアロー形状
で、研削成形されるプラスチック製のものでありなが
ら、楔状またはチゼル状の筆記部と同じイメージ通り筆
線幅に筆記可能で、しかも筆記部におけるインキフロー
が良好であるところの成形上の経済的効果が大きいプラ
スチック製ペン先の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
め、本発明のプラスチック製ペン先の製造方法では、押
出成形して所定の長さに切断してある軸線方向にインキ
通路を貫通状に有する丸棒状ペン先素材から、以下の第
1〜3工程を経て製造することを特徴とし、第1工程に
おいて、前記ペン先素材におけるペン先部形成部分を研
削して、肉厚が0.01〜0.5mm のペン先部を形成する。第
2工程において、ペン先部における筆記部形成部分を研
削して、楔状またはチゼル状の筆記部を形成する。第3
工程において、ペン後部形成部分を研削して、ペンホル
ダーにおける挿入孔に挿着可能なペン後部を形成すると
共に、挿入孔の口部に当接可能な顎部を形成することを
特徴とする。
【0008】また本発明のプラスチック製ペン先の他の
製造方法では、押出成形して所定の長さに切断してある
軸線方向にインキ通路を貫通状に有する丸棒状ペン先素
材から、以下の第1〜3工程を経て製造することを特徴
とし、第1工程において、前記ペン先素材におけるペン
後部形成部分を研削して、ペンホルダーにおける挿入孔
に挿着可能なペン後部を形成すると共に、挿入孔の口部
に当接可能な顎部を形成する。第2工程において、ペン
先部形成部分を研削して、肉厚が0.01〜0.5mmのペン先
部を形成する。第3工程において、ペン先部における筆
記部形成部分を研削して、楔状またはチゼル状の筆記部
を形成することを特徴とする。
【0009】本発明における製造方法により製造される
プラスチック製ペン先は、同質材または異質材からなる
内筒と外筒による二重構造状の態様の場合と、同一体構
造状の態様の場合がある。また素材としては、ポリアセ
タール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフッ化
ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテ
ルサルフォンおよびこれらにフィラー等の充填材や添加
剤を配合したものが挙げられる。また軟質筆感用には、
ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマ
ー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。また硬質
筆感用には、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォ
ン、ポリプロピレン等が挙げられる。また二重構造状の
ものにおいて、内筒と外筒を色違いの素材で構成して、
意匠性を高めるようにしても良い。またインキ通路の横
断面形状は、公知の断面構成で良い。
【0010】
【作用】プラスチック製ペン先の製造方法では、本来多
量の研削屑が発生するはずの筆記部形成を、この筆記部
の形成に先立つ第1工程であらかじめペン先部を0.01〜
0.5mm の肉厚まで研削することによって、第2工程での
筆記部形成時における研削量が著しく減少して、砥石へ
の研削屑の付着量が僅かで研削能力が悪化せず、研削時
の発熱も軽微で、プラスチックがゲル化することもな
く、研削バリの発生を抑止して、インキフローが良好な
筆記部を研削形成して、筆記カスレがない優れたプラス
チック製ペン先を製造することができる。そして、最後
に第3工程で、ペン後部形成部分を研削して、ペンホル
ダーにおける挿入孔に挿着可能なペン後部を形成すると
共に、挿入孔の口部に当接可能な顎部を形成して製造す
るため、ペンホルダーに対して挿着して簡単に組み込み
可能な顎部を有するアロー形状に仕上げることができ
る。また、ペン後部と顎部を形成するのに最後の第3工
程で行って、第1工程におけるペン先部形成部分の研削
時に、ペン先素材の長手方向の大部分を占めるペン後部
形成部分そして顎部形成部分の一部を研削装置にチャッ
キングし得るようにしてあるため、芯出しが容易で生産
性を向上できる。
【0011】同じくプラスチック製ペン先の他の製造方
法では、第1工程でペン後部および顎部を研削して、ペ
ンホルダーにおける挿入孔に挿着可能なアロー形状に形
成し、然る後に、本来多量の研削屑が発生するはずの筆
記部形成を、この筆記部の形成に先立つ第2工程であら
かじめペン先部を0.01〜0.5mm の肉厚まで研削すること
によって、第3工程での筆記部形成時における研削量が
著しく減少して、砥石への研削屑の付着量が僅かで研削
能力が悪化せず、研削時の発熱も軽微で、プラスチック
がゲル化することもなく、研削バリの発生を抑止して、
インキフローが良好な筆記部を研削形成して、筆記カス
レがない優れたプラスチック製ペン先を製造することが
できる。
【0012】そして、本発明の上記製造方法により製造
されるプラスチック製ペン先は、丸棒状ペン先本体にイ
ンキ通路を軸線方向に貫通状に形成し、ペン先部と顎部
を境にしているペン後部をペンホルダーにおけるインキ
貯蔵室部と連通状の挿入孔に顎部が口部に当接するまで
挿着可能に形成してあり、前記ペン先部の肉厚が0.01〜
0.5mm であると共に、このペン先部における筆記部が楔
状またはチゼル状であるものになる。かかるペン先で
は、丸棒状ペン先本体にインキ通路を軸線方向に貫通状
に形成し、ペン先部と顎部を境にしているペン後部をペ
ンホルダーにおけるインキ貯蔵室部と連通状の挿入孔に
顎部が口部に当接するまで挿着可能に形成してあるた
め、成形容易でコストダウンでき経済的効果が大きい利
点がある。そして、ペン先部の肉厚が0.01〜0.5mm であ
ると共に、このペン先部における筆記部が楔状またはチ
ゼル状であるため、筆記部の肉厚が薄くて筆先幅と筆線
幅の差異が少なく、花文字、カリグラフィックレター、
アラビア文字等を筆記部と同じイメージ通りの線幅に描
くことができる。また、顎部を有するアロー形状に形成
して、ペンホルダーに挿着可能にしてあるため、ペンホ
ルダーに対して簡単に組み込むことができると共に、1
本のペンホルダーで、異なる線幅を筆記可能な複数のペ
ン先を共用できることになって経済的である。
【0013】また、異質材からなる内筒と外筒による二
重構造状の態様の一例として、前記ペン先本体が、前記
インキ通路を有する軟質樹脂製内筒と、前記顎部および
ペン後部を有する硬質樹脂製外筒からなる二重構造であ
れば、硬質樹脂製外筒で所要の芯強度を得ることができ
ると共に、軟質樹脂製内筒のペン先部による軟らかな筆
感を得ることができる。
【0014】
【実施例】図1および図2には本発明のプラスチック製
ペン先の製造方法により製造されるプラスチック製ペン
先の第1実施例を例示しており、丸棒状ペン先本体2は
ポリアセタール樹脂製の同一体のもので、インキ通路3
を軸線方向に貫通状に形成していて、ペン先部4の肉厚
を0.01〜0.5mm に形成すると共に、ペン先部4における
筆記部7を楔状に形成してある。そして、このペン先部
4と顎部5を境にしているペン後部6はペンホルダー8
におけるインキ貯蔵室部9と連通状の挿入孔10に顎部5
が口部10a に当接するまで挿着可能に形成してある。
【0015】インキ通路3は横断面形状が軸心近くから
放射状に広がる個々に独立した孔部3aで構成してある。
そして、ペン先部4における先端の楔状の筆記部7には
インキ通路3の孔部3a端が開口している。
【0016】このプラスチック製ペン先1の寸法は次の
通りである。 ペン先部外径:1.4mm 顎部外径 :2.5mm ペン後部外径:2.05mm ペン先部肉厚:0.25mm
【0017】これにより、ペン先部4における筆記部7
の肉厚が薄くて、筆先幅と筆線幅の差異が少なく、花文
字、カリグラフィックレター、アラビア文字等を筆記部
7と同じイメージ通りの線幅に描くことができる。ま
た、顎部5を有するアロー形状に形成して、ペンホルダ
ー8に挿着可能にしてあるため、ペンホルダー8に対し
て簡単に組み込むことができると共に、1本のペンホル
ダー8で、異なる筆記幅の複数のペン先1を共用できる
ことになって経済的である。
【0018】図3および図4には本発明のプラスチック
製ペン先の製造方法により製造されるプラスチック製ペ
ン先の第2実施例を例示しており、丸棒状ペン先本体2
はポリエステルエラストマー樹脂製の内筒2aと、ポリア
セタール樹脂製の外筒2bからなる二重構造状のもので、
内筒2aにはインキ通路3を軸線方向に貫通状に形成する
と共に、肉厚が0.01〜0.5mm のペン先部4を形成し、且
つこのペン先部4における筆記部7を楔状に形成してあ
る。そして、外筒2bには顎部5を形成すると共に、ペン
後部6をペンホルダー8におけるインキ貯蔵室部9と連
通状の挿入孔10に顎部5が口部10a に当接するまで挿着
可能に形成してある。
【0019】インキ通路3は横断面形状が軸心近くから
放射状に広がる個々に独立した孔部3aで構成してある。
そして、ペン先部4における先端の楔状の筆記部7には
インキ通路3の孔部3a端が開口している。
【0020】このプラスチック製ペン先1の具体例1〜
3を次に示す。 具体例1 ペン先部外径 :1.4mm インキ通路内径:0.9mm 顎部外径 :3.0mm ペン後部外径 :2.05mm ペン先部肉厚 :0.25mm
【0021】具体例2 ペン先部外径 :2.0mm インキ通路内径:1.4mm 顎部外径 :3.0mm ペン後部外径 :2.05mm ペン先部肉厚 :0.3mm
【0022】具体例3ペン先部外径 :2.5mm インキ通路内径:1.8mm 顎部外径 :3.0mm ペン後部外径 :2.05mm ペン先部肉厚 :0.35mm
【0023】具体例4ペン先部外径 :2.7mm インキ通路内径:1.8mm 顎部外径 :3.0mm ペン後部外径 :2.05mm ペン先部肉厚 :0.45mm
【0024】これにより、前記第1実施例のものと同様
の効果があり、さらに、硬質樹脂製の外筒2bによって所
要の芯強度を得ることができると共に、軟質樹脂製の内
筒2aのペン先部4による軟らかな筆感を得ることができ
る。
【0025】図5の(A)〜(D)には本発明の請求項
1発明によるプラスチック製ペン先の製造方法における
実施の1形態として、前記第2実施例のプラスチック製
ペン先の製造方法の一例を示しており、丸棒状ペン先素
材aは、公知の押出成形装置(図示せず)を用いて、軸
線方向にインキ通路3を貫通状に有する横断面形状の内
筒2aを押出成形した後、引き続いて公知の被覆成形装置
(図示せず)により、内筒2aに外筒2bを被覆形成して二
重構造状に成形し、然る後に、所定の長さに切断してあ
る。(図5のA)
【0026】第1工程(図5のB):公知の研削装置
(図示せず)を用い、ペン先素材aにおけるペン先部形
成部分a1を研削して、肉厚が0.01〜0.5mm のペン先部4
を形成する。
【0027】第2工程(図5のC):公知の研削装置
(図示せず)を用い、ペン先部4における筆記部形成部
分a2を研削して、楔状の筆記部7を形成する。
【0028】第3工程(図5のD):公知の研削装置
(図示せず)を用い、ペン後部形成部分a4を研削して、
ペンホルダー8における挿入孔10に挿着可能なペン後部
6を形成すると共に、挿入孔10の口部10a に当接可能な
顎部5を形成して、プラスチック製ペン先1を製造す
る。
【0029】これにより、本来多量の研削屑が発生する
はずの筆記部形成を、この筆記部7の形成に先立つ第1
工程であらかじめペン先部4を0.01〜0.5mm の肉厚まで
研削することによって、第2工程での筆記部形成時にお
ける研削量が著しく減少して、砥石への研削屑の付着量
が僅かで研削能力が悪化せず、研削時の発熱も軽微で、
プラスチックがゲル化することもなく、研削バリの発生
を抑止して、インキフローが良好な筆記部7を研削形成
して、筆記カスレがない優れたプラスチック製ペン先1
を製造することができる。そして、最後に第3工程で、
ペン後部形成部分a4を研削して、ペンホルダー8におけ
る挿入孔10に挿着可能なペン後部6を形成すると共に、
挿入孔10の口部10a に当接可能な顎部5を形成して製造
するため、ペンホルダー8に対して挿着して簡単に組み
込み可能な顎部5を有するアロー形状に仕上げることが
できる。
【0030】また、ペン後部6と顎部5を形成するのに
最後の第3工程で行って、第1工程におけるペン先部形
成部分a1の研削時に、ペン先素材aの長手方向の大部分
を占めるペン後部形成部分a4そして顎部形成部分a3の一
部を研削装置にチャッキングし得るようにしてあるた
め、芯出しが容易で生産性を向上できる。
【0031】さらに、外筒2bが硬質樹脂製で所要の芯強
度を有していて、内筒2aが軟質樹脂製で軟らかな筆感を
発揮するところの、ペンホルダー8への組み込みが簡単
なアロー形状で且つインキフロー良好であるプラスチッ
ク製ペン先1を製造できる。
【0032】図6の(A)〜(D)には本発明の請求項
2発明によるプラスチック製ペン先の製造方法における
実施の1形態として、前記第2実施例のプラスチック製
ペン先の他の製造方法の一例を示しており、丸棒状ペン
先素材aは、公知の押出成形装置(図示せず)を用い
て、軸線方向にインキ通路3を貫通状に有する横断面形
状の内筒2aを押出成形した後、引き続いて公知の被覆成
形装置(図示せず)により、内筒2aに外筒2bを被覆形成
して二重構造状に成形し、然る後に、所定の長さに切断
してある。(図6のA)
【0033】第1工程(図6のB):公知の研削装置
(図示せず)を用い、ペン先素材aにおけるペン後部形
成部分a4を研削して、ペンホルダー8における挿入孔10
に挿着可能なペン後部6を形成すると共に、挿入孔10の
口部10a に当接可能な顎部5を形成する。
【0034】第2工程(図6のC):公知の研削装置
(図示せず)を用い、ペン先素材aにおけるペン先部形
成部分a1を研削して、肉厚が0.01〜0.5mm のペン先部4
を形成する。
【0035】第3工程(図6のD):公知の研削装置
(図示せず)を用い、ペン先部4における筆記部形成部
分a2を研削して、楔状の筆記部7を形成してプラスチッ
ク製ペン先1を製造する。
【0036】これにより、第1工程でペン後部6および
顎部5を研削して、ペンホルダー8における挿入孔10に
挿着可能なアロー形状に形成し、然る後に、本来多量の
研削屑が発生するはずの筆記部形成を、この筆記部7の
形成に先立つ第2工程であらかじめペン先部4を0.01〜
0.5mm の肉厚まで研削することによって、第3工程での
筆記部形成時における研削量が著しく減少して、砥石へ
の研削屑の付着量が僅かで研削能力が悪化せず、研削時
の発熱も軽微で、プラスチックがゲル化することもな
く、研削バリの発生を抑止して、インキフローが良好な
筆記部7を研削形成して、筆記カスレがない優れたプラ
スチック製ペン先1を製造することができる。
【0037】さらに、外筒2bが硬質樹脂製で所要の芯強
度を有していて、内筒2aが軟質樹脂製で軟らかな筆感を
発揮するところの、ペンホルダー8への組み込みが簡単
なアロー形状で且つインキフロー良好であるプラスチッ
ク製ペン先1を製造できる。
【0038】次表は図5に例示している前者の製造方法
により製造した前記具体例1〜4のプラスチック製ペン
先と、ペン先部の肉厚が異なる点を除いて同一構成に成
形した比較のためのプラスチック製ペン先の各比較例と
による、筆記部におけるインキ通路端のバリの大小、筆
線カスレの有無を示している。
【0039】
【発明の効果】A.請求項1により、本来多量の研削屑
が発生するはずの筆記部形成を、この筆記部の形成に先
立つ第1工程であらかじめペン先部を0.01〜0.5mm の肉
厚まで研削することによって、第2工程での筆記部形成
時における研削量が著しく減少して、砥石への研削屑の
付着量が僅かで研削能力が悪化せず、研削時の発熱も軽
微で、プラスチックがゲル化することもなく、研削バリ
の発生を抑止して、インキフローが良好な筆記部を研削
形成して、筆記カスレがない優れたプラスチック製ペン
先を製造することができる。そして、最後に第3工程
で、ペン後部形成部分を研削して、ペンホルダーにおけ
る挿入孔に挿着可能なペン後部を形成すると共に、挿入
孔の口部に当接可能な顎部を形成して製造するため、ペ
ンホルダーに対して挿着して簡単に組み込み可能な顎部
を有するアロー形状に仕上げることができる。また、ペ
ン後部と顎部を形成するのに最後の第3工程で行って、
第1工程におけるペン先部形成部分の研削時に、ペン先
素材の長手方向の大部分を占めるペン後部形成部分そし
て顎部形成部分の一部を研削装置にチャッキングし得る
ようにしてあるため、芯出しが容易で生産性を向上でき
る。
【0040】B.請求項2により、第1工程でペン後部
および顎部を研削して、ペンホルダーにおける挿入孔に
挿着可能なアロー形状に形成し、然る後に、本来多量の
研削屑が発生するはずの筆記部形成を、この筆記部の形
成に先立つ第2工程であらかじめペン先部を0.01〜0.5m
m の肉厚まで研削することによって、第3工程での筆記
部形成時における研削量が著しく減少して、砥石への研
削屑の付着量が僅かで研削能力が悪化せず、研削時の発
熱も軽微で、プラスチックがゲル化することもなく、研
削バリの発生を抑止して、インキフローが良好な筆記部
を研削形成して、筆記カスレがない優れたプラスチック
製ペン先を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラスチック製ペン先の製造方法に
より製造されるプラスチック製ペン先の第1実施例を例
示している正面図。
【図2】 図1のA−A拡大断面図。
【図3】 本発明のプラスチック製ペン先の製造方法に
より製造されるプラスチック製ペン先の第2実施例を例
示している正面図。
【図4】 図3のB−B拡大断面図。
【図5】 (A)〜(D)には本発明のプラスチック製
ペン先の製造方法の一例を工程順に示しており、(A)
はペン先素材の正面図、(B)は第1工程の正面図、
(C)は第2工程の正面図、(D)は第3工程の正面図
である。
【図6】 (A)〜(D)には本発明のプラスチック製
ペン先の他の製造方法の一例を工程順に示しており、
(A)はペン先素材の正面図、(B)は第1工程の正面
図、(C)は第2工程の正面図、(D)は第3工程の正
面図である。
【符号の説明】
1 プラスチック製ペン先 2 ペン先本体 2a 内筒 2b 外筒 3 インキ通路 3a インキ通路の孔部 4 ペン先部 5 顎部 6 ペン後部 7 筆記部 8 ペンホルダー 9 インキ貯蔵室部 10 挿入孔 10a 挿入孔の口部 a ペン先素材 a1 ペン先部形成部分 a2 筆記部形成部分 a3 顎部形成部分 a4 ペン後部形成部分

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 押出成形して所定の長さに切断してある
    軸線方向にインキ通路を貫通状に有する丸棒状ペン先素
    材から、以下の工程を経て製造することを特徴とするプ
    ラスチック製ペン先の製造方法。 第1工程:前記ペン先素材におけるペン先部形成部分を
    研削して、肉厚が0.01〜0.5mm のペン先部を形成する。 第2工程:ペン先部における筆記部形成部分を研削し
    て、楔状またはチゼル状の筆記部を形成する。 第3工程:ペン後部形成部分を研削して、ペンホルダー
    における挿入孔に挿着可能なペン後部を形成すると共
    に、挿入孔の口部に当接可能な顎部を形成する。
  2. 【請求項2】 押出成形して所定の長さに切断してある
    軸線方向にインキ通路を貫通状に有する丸棒状ペン先素
    材から、以下の工程を経て製造することを特徴とするプ
    ラスチック製ペン先の製造方法。 第1工程:前記ペン先素材におけるペン後部形成部分を
    研削して、ペンホルダーにおける挿入孔に挿着可能なペ
    ン後部を形成すると共に、挿入孔の口部に当接可能な顎
    部を形成する。 第2工程:ペン先部形成部分を研削して、肉厚が0.01〜
    0.5mm のペン先部を形成する。 第3工程:ペン先部における筆記部形成部分を研削し
    て、楔状またはチゼル状の筆記部を形成する。
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