JP3386338B2 - 方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 - Google Patents

方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は方向性珪素鋼板の絶
縁皮膜形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性珪素鋼板は磁気鉄心用材料として
多用されており,特にエネルギーロスを少なくするため
に鉄損の少ない材料が求められている。鉄損の低減には
鋼板に張力を付与することが有効であることから,鋼板
に比べ熱膨張係数の小さい材質からなる皮膜を高温で形
成することで鉄損低減が図られてきた。仕上げ焼鈍工程
で鋼板表面の酸化物と焼鈍分離剤とが反応して生成する
フォルステライト系皮膜は鋼板に張力を付与することが
でき,皮膜密着性にも優れている。さらに,特開昭48
−39338号公報で開示されたコロイド状シリカとリ
ン酸塩を主体とするコーティング液を焼き付けることに
よって形成される絶縁性皮膜は鋼板に対する張力付与の
効果が大きく,鉄損低減に有効である。したがって,仕
上げ焼鈍工程で生じたフォルステライト系皮膜を残した
上でシリカとリン酸塩を主体とする絶縁皮膜を形成する
ことが一般的な方向性珪素鋼板の製造方法となってい
る。
【0003】このうちシリカとリン酸塩を主体とする現
行の張力付与型絶縁皮膜には次のような課題があった。
まず,鉄損は鋼板への付与張力が大きいほど低減でき
る。そのため,より大きな張力付与が可能な皮膜材料の
開発が望まれていた。そこで,張力付与作用が大きく,
良好な鉄損特性が得られる新しい皮膜材料として特開平
7−180064号公報において固溶型複合水酸化物が
提案された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−18006
4号公報に開示された技術はM2+ 1-x 3+ x (OH-
2+x-ny(An-y ・mH2 Oの一般式で表される平均粒
子径1μm以下の固溶型複合水酸化物単独かあるいは該
固溶型複合水酸化物100重量部に対し,ホウ酸,酢酸
等の1種または2種以上を1〜50重量部添加したもの
を主体とする塗布液を,仕上げ焼鈍済みの方向性珪素鋼
板に1〜5g/m2 塗布し,400〜1000℃で焼き
付ける皮膜形成方法である。
【0005】発明者らはこの技術を適用して検討を重ね
たが,その中で鉄損値が良好でない場合があることに遭
遇した。本発明は複合水酸化物を主体とするコーティン
グ液により絶縁性皮膜を形成する方法における鉄損値の
不安定さを改善し,加えて複合水酸化物に要求されてい
た平均粒子径1μm以下という制約を必要としない新し
い方向性電磁鋼板用の絶縁皮膜形成方法を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記にあ
る。 (1)仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板にコーティン
グ液を塗布し焼き付けることによって張力付与型の絶縁
皮膜を形成する方法において,M2+ 1-x 3+ x (O
- 2+x-ny(An-y ・mH2 Oの一般式で表される
複合水酸化物1重量部に対し,ホウ酸類,ホウ酸塩,ケ
イ酸類,ケイ酸塩,リン酸類,リン酸塩の1種または2
種以上を0.5重量部超10.0重量部以下配合し,か
つ複合水酸化物と1種または2種以上の酸類あるいは塩
類を含む該配合液に対し,分散・相溶性向上化処理を施
すことを特徴とする方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方
法。ただし, M2+:Be2+,Mg2+,Ca2+,Ba2+,Sr2+,Sn
2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+
等の2価金属イオン, M3+:Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+,Ga
3+,Ti3+等の3価金属イオン, An-:OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2- ,SO
4 2- ,HPO4 2- ,NO3 - ,Fe(CN)6 3- ,CH
3 COO- 等のn価のアニオン, 0<x<1.0, m:層間水の分子数 である。
【0007】(2)複合水酸化物に1種または2種以上
の酸類あるいは塩類を添加した配合液に対する分散・相
溶化向上処理がプロペラ羽根式攪拌機,ビーズミル,マ
グネティックスターラー,コロイドミルのいずれか1種
または2種以上を用いて行なうことを特徴とする上記
(1)記載の方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下,発明の詳細について説明す
る。本発明に用いる式M2+ 1-x 3+ x (OH- 2+x-ny
(An-y ・mH2 Oで表わされる複合水酸化物は,本
出願人が特開平7−180064号公報に開示したもの
であるが,これらによる結晶構造はブルーサイト〔Mg
(OH)2 〕類似のプラスに荷電した基本層,アニオン
と層間水からなるマイナスに荷電した中間層の2種類の
層からなる層状構造物である。これらは,同時に3価の
水酸化物に2価の水酸化物を固溶したものを含む。その
置換量に依存してプラス荷電量が決まる。このプラス荷
電を中間層のアニオンが中和して結晶全体としての電気
的中和を保つ。中間層のアニオンが占めた残りのスペー
スは層間水で満たされている。
【0009】本発明に用いる複合金属水酸化物の製造は
例えばM2+,M3+及びAn-の混合液にアルカリを加え,
pHを約7以上に保って反応させる方法により得られる。
このような物質としては,例えば,3価の水酸化物に
2価の水酸化物を固溶したもの,2価の水酸化物に3
価の水酸化物を固溶したもの,或いはその両方が用い
られる。これらの固溶型の複合金属水酸化物物質では,
主として固溶により,そして副次的にアニオン物質と層
間水による効果が相乗的に作用して,単体酸化物物質で
は得られなかったような高反応性と低融点化が得られ
る。このため,低温度且つ短時間焼付け条件でも高張力
の絶縁皮膜を形成する。
【0010】又,これらの皮膜剤物質は従来のリン酸塩
−コロイダルシリカ−クロム酸系皮膜に比較して,圧倒
的に低熱膨張率の成分が主体の皮膜となるため,従来の
皮膜剤に比し非常に大きい張力が得られる特徴がある。
また,本発明で用いるホウ酸類,ホウ酸塩,ケイ酸類,
ケイ酸塩,リン酸類,リン酸塩は密着性の向上と皮膜形
成を高速化するために添加する反応助剤である。
【0011】発明者らは仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素
鋼板に対し,複合水酸化物と各種酸類,塩類を主成分と
する塗布液を塗布,乾燥し,焼き付けた試料を多数作製
し,そのうち鉄損の良好でない試料を詳細に調査した。
その結果,鉄損不良試料の表面にはざらつき感があるこ
とが判明した。これは皮膜形成促進化のために添加する
いわゆる反応助剤であるホウ酸類,ホウ酸塩,ケイ酸
類,ケイ酸塩,リン酸類,リン酸塩が不足していること
が原因であると推定した。そこで,単純に添加量を増加
させたところ,かえって表面のざらつき感が悪化し,鉄
損値も劣化してしまった。表面状態を再度調査したとこ
ろ添加した反応助剤の分散が十分でなく,複合水酸化物
との相溶性も十分でないことがわかった。そこで,複合
水酸化物と反応助剤とを混合させた後,分散・相溶性を
向上させる処理を施すことを行った。その結果,反応助
剤が多い場合でも皮膜表面にざらつきが発生せず,安定
した鉄損値をもつ方向性珪素鋼板が得られるようになっ
た。
【0012】表面のざらつきと鉄損値の関係については
十分に明らかになっていないが,次の様に推測してい
る。まず,ホウ酸類,ホウ酸塩,ケイ酸類,ケイ酸塩,
リン酸類,リン酸塩などの反応助剤が不足した場合,複
合水酸化物の焼成による皮膜形成が良好に進行しないた
め,皮膜表面に割れが生じ,表面ざらつきが発生する。
いったん皮膜表面に割れが発生すると鋼板に対して十分
な張力が付与されないため,鉄損不良の試料が発生して
しまう。一方,反応助剤を単に多く添加しても,分散・
相溶性向上化処理を行わないと添加した助剤が場所によ
って不均一に分散してしまう。助剤の欠乏した部分では
上述の皮膜割れが発生し,逆に助剤が著しく濃化した部
分では極端に皮膜の厚い部分ができる。これらが表面ざ
らつきとして感じられる。鋼板全体としてみると皮膜厚
に場所むらができ,これに応じて鋼板に対する付与張力
に不均一が発生する。その結果,鋼板への張力付与によ
る鉄損低減効果が十分に発揮されないため,良好な鉄損
値が得られないものと考えている。
【0013】発明者らは皮膜表面にざらつきが発生せ
ず,鉄損値が安定して良好となる条件を調べるため,次
のような実験を行った。まず,表面にフォルステライト
を主体とした無機鉱物質皮膜の存在する板厚0.23m
mの仕上げ焼鈍済みの方向性珪素鋼板に対し,平均粒子
径2.0μmのAl−Zn−CO3 系,Al−Mg−C
3 系,Al−Ca−CO3 系,Al−Fe−CO3
の複合水酸化物とメタホウ酸で構成されるコーティング
液について,配合量,分散・相溶性向上化処理条件と皮
膜状況,鉄損値の関係について調べた。なお,ここで使
用した複合酸化物は,Al比率(x)が0.25,アニ
オンの比率(y)が0.25のものを用いた。分散・相
溶性向上化処理として密閉型のプロペラ羽根式攪拌機で
8000回転,10分間攪拌を行った。皮膜状況の評価
は ◎:皮膜にざらつき感の全くないもの ○:ざらつ
き感のほとんどないもの △:明らかにざらつき感の認
められるもの ×:ざらつきの著しいもの と区別して
判定した。また,鉄損値は測定試料の磁束密度に依存す
るため磁束密度(B8)が1.93T前後の試料を選別
し,鉄損(W17/50 )を測定し,10試料の平均値で評
価した。結果を第1表に示す。
【0014】
【表1】
【0015】密閉型プロペラ羽根式攪拌機による分散・
相溶性向上化処理を行わない場合,皮膜はざらつきの著
しい状態(判定×)か,良くてもざらつき感のほとんど
ない状態(判定○)で,ざらつき感の全くない状態(判
定◎)はいずれの組成においても実現できなかった。ま
た,鉄損値についてもW17/50 で0.80 W/kg以下の
ものは得られず良好でない。一方,密閉型プロペラ羽根
式攪拌機による分散・相溶性向上化処理を行なった場
合,皮膜状況は概ね良好であった。このうち,メタホウ
酸添加量が0.50重量部未満あるいは10.0重量部
より多いと皮膜にざらつき感の全くないもの(判定◎)
は得られなかったが,メタホウ酸添加量が0.50重量
部以上,10.0重量部以下の場合,皮膜にざらつき感
が全く認められないもの(判定◎)が得られた。また,
鉄損値も分散・相溶性向上化処理を行なうと分散・相溶
性向上化処理を行わない場合に比べ,概ね良好であっ
た。特に,メタホウ酸添加量が0.50重量部以上1
0.0重量部以下の場合,W17/5 0 で0.80 W/kg以
下となり良好であった。即ち,第1表から複合水酸化物
1重量部に対しメタホウ酸を0.5重量部以上10.0
重量部以下配合し,かつ該配合液に対し,密閉型のプロ
ペラ羽根式攪拌機による分散・相溶性向上化処理を施し
た場合,皮膜状況が良好でかつ鉄損値も優れていること
がわかった。
【0016】複合酸化物1重量部に対し,加える添加物
量が0.5重量部以下では,それなりの皮膜が形成され
るものの,添加物が部分的に欠乏し,その部分では皮膜
割れが発生するため,表面にざらつきが発生し,表面性
状に劣る。又,皮膜に部分的に割れが入ることにより,
付与張力が減退し,その結果鉄損値も良好ではない。一
方,添加物量が10.0重量部超では,添加物が著しく
濃化した部分が生じ,この部分では極端に皮膜が厚くな
ってしまう。そのため,場所による付与張力の不均一が
発生し,皮膜張力付与による鉄損低減効果が十分に発揮
されない。複合酸化物1重量部に対し,添加物量を0.
5重量部超,10.0重量部以下とし,且つ分散・相溶
性向上化処理を施す事によって,上述の皮膜形成の不均
一さが解消され,安定した低鉄損値を得ることが出来
る。
【0017】以上の効果は,本願発明の示す分散・相溶
性向上化処理を行うことによって達成される。すなわち
従来の方法では,複合酸化物1重量部に対して添加物量
を0.5重量部超とすると,過剰の添加物が凝集し,こ
れが吸湿して皮膜表面のべたつきや,耐熱性低下の問題
が発生した。これに対して本願発明の示す分散・相溶性
向上化処理を施す事により,上記のような問題を生じる
ことなく,部分的な添加物の欠乏が発生しないような添
加物量を投入することが出来る。
【0018】又,従来の方法では複合水酸化物とホウ酸
類等のいわゆる皮膜形成助剤とをより短時間で反応させ
るため,複合水酸化物の平均粒径を1μm以下にしなけ
ればならなかった。これに対して本願発明の方法では,
平均粒径2μmという従来法より大きな粒を用いても,
表面にざらつきのない皮膜を形成させることが出来た。
この理由は十分には解明できていないが,分散・相溶性
向上化処理を行うことにより,複合水酸化物とメタホウ
酸との接触が著しく向上し,高温焼付時における皮膜形
成が促進されたためと推測している。
【0019】以上のように,本願発明で採用する分散・
相溶性向上化処理は,特開平7−180064号公報に
おける,添加物量および複合水酸化物の粒子径の制限を
解消し,より良好な皮膜状況と鉄損値を達成するもので
ある。そしてこのためには,皮膜剤の単なる混合ではな
く,複合水酸化物ならびに添加物を微細化し得る手段を
選定することが必要である。このような処理手段とし
て,例えばプロペラ羽根式撹拌機,ビーズミル,マグネ
チックスターラー,コロイドミル,超音波照射法などを
挙げることができ,またこれらの2種類以上の方法を組
み合わせることも出来る。
【0020】
【実施例】
実施例1 表面にフォルステライトを主体とした無機鉱物質皮膜の
存在する板厚0.23mmの仕上げ焼鈍済みの方向性珪
素鋼板に対し,平均粒子径5.0μmのAl−Zn−H
PO4 2- 系,Al−Mg−HPO4 2- 系,Al−Ca−
HPO4 2- 系,Al−Fe−HPO4 2- 系の複合水酸化
物とホウ酸ナトリウム及び水を所定量混合しビーズ粒径
0.1mmのジルコニアビーズを分散メディアとして連
続式のビーズミルで分散・相溶性向上化処理を行ったコ
ーティング液を塗布,乾燥した。これを850℃で30
秒間焼鈍し,皮膜を形成させた。なお,ここで使用した
複合酸化物は,Al比率(x)が0.20,アニオンの
比率(y)が0.25のものを使用した。比較例として
ビーズミルによる分散・相溶性向上化処理を行なわなか
った試料も作製した。これらの試料について皮膜状況の
評価と鉄損値の測定を行った。皮膜状況は〔発明の実施
の形態〕で述べたのと同じ判定基準を用いてざらつき感
を◎○△×で判別した。また鉄損値も同様にW17/50
相対比較した。結果を第2表に示す。第2表から,複合
水酸化物1重量部に対しホウ酸ナトリウムを0.5重量
部以上10.0重量部以下配合し,かつ該配合液に対
し,ビーズミルによる分散・相溶性向上化処理を施した
場合,皮膜状況が良好でかつ鉄損値も優れていることが
わかる。
【0021】
【表2】
【0022】実施例2 脱炭焼鈍板に対しMgOとCaCl2 を主体とした焼鈍
分離剤を塗布し仕上げ焼鈍することにより,表面に無機
鉱物質皮膜のほとんど存在しないよう調製した板厚0.
23mmの方向性珪素鋼板に対し,平均粒子径2.5μ
mのCr−Cu−CO3 2- 系,Cr−Ba−CO
3 2- 系,Cr−Ni−CO3 2- 系,Cr−Sn−CO3
2- 系の複合水酸化物とケイ酸ナトリウム及び水を所定
量混合し,液温50℃,回転数300回転/分で20分
間のマグネチックスターラーによる分散・相溶性向上化
処理を行ったコーティング液を塗布・乾燥した。これを
850℃で30秒間焼鈍し,皮膜を形成させた。なお,
ここで使用した複合酸化物は,Cr比率(x)が0.3
3,アニオンの比率(y)が0.25のものを使用し
た。比較例としてマグネチックスターラーによる分散・
相溶性向上化処理を行わなかった試料も作製した。これ
らの試料について皮膜状況の評価と鉄損値の測定を行っ
た。皮膜状況及び鉄損値の評価は〔発明の実施の形態〕
で述べたのと同様に行った。結果を第3表に示す。第3
表から,複合水酸化物1重量部に対しケイ酸ナトリウム
を0.5重量部以上10.0重量部以下配合し,かつ該
配合液に対し,マグネチックスターラーによる分散・相
溶性向上化処理を施した場合,皮膜状況が良好でかつ鉄
損値も優れていることがわかる。
【0023】
【表3】
【0024】実施例3 脱炭焼鈍板に対しAl2 3 を主体とした焼鈍分離剤を
塗布し仕上げ焼鈍することにより,表面に無機鉱物質皮
膜がなく,鏡面状態を呈する板厚0.22mmの仕上げ
焼鈍済み方向性珪素鋼板に対し,平均粒子径1.2μm
のAl−Zn−CO2- 3 系,Al−Mg−CO2- 3 系,
Al−Ca−CO2- 3 系,Al−Fe−CO2- 3 系の複
合水酸化物とホウ酸及び水を所定量混合し,コロイドミ
ルを用いて分散・相溶性向上化処理を行ったコーティン
グ液を塗布,乾燥した。これを850℃で30秒間焼鈍
し,皮膜を形成させた。なお,ここで使用した複合酸化
物は,Al比率(x)が0.25,アニオンの比率
(y)が0.25のものを使用した。比較例としてコロ
イドミルによる分散・相溶性向上化処理を行わない試料
も作製した。これらの試料について皮膜状況の評価と鉄
損値の測定を行った。皮膜状況及び鉄損値の評価は〔発
明の実施の形態〕で述べたのと同様に行った。結果を第
4表に示す。第4表から,複合水酸化物1重量部に対し
ホウ酸を0.5重量部以上10.0重量部以下配合し,
かつ該配合液に対し,コロイドミルによる分散・相溶性
向上化処理を施した場合,皮膜状況が良好でかつ鉄損値
も優れていることがわかる。
【0025】
【表4】
【0026】実施例4 表面にフォルステライトを主体とした無機鉱物質皮膜の
存在する板厚0.23mmの仕上げ焼鈍済みの方向性珪
素鋼板に対し,平均粒子径1.4μmのAl−Zn−C
2 2- 系,Al−Mg−CO2 2- 系,Al−Ca−CO
2 2- 系,Al−Fe−CO2 2- 系の複合水酸化物とシリ
カ及び水を所定量混合し,密閉型のプロペラ羽根式攪拌
機で8000回転,10分間攪拌し分散・相溶性向上化
処理を行ったコーティング液を塗布,乾燥した。これを
850℃で30秒間焼鈍し,皮膜を形成させた。なお,
ここで使用した複合酸化物は,Al比率(x)が0.6
7,アニオンの比率(y)が0.25のものを使用し
た。比較例としてプロペラ羽根式攪拌機による分散・相
溶性向上化処理を行なわなかった試料も作製した。これ
らの試料について皮膜状況の評価と鉄損値測定を行っ
た。皮膜状況及ぶ鉄損値の評価は〔発明の実施の形態〕
で述べたのと同様に行った。結果を第5表に示す。第5
表から,複合水酸化物1重量部に対しシリカを0.5重
量部以上10.0重量部以下配合し,かつ該配合液に対
し,プロペラ羽根式攪拌機による分散・相溶性向上化処
理を施した場合,皮膜状況が良好でかつ鉄損値も優れて
いることがわかる。
【0027】
【表5】
【0028】
【発明の効果】以上のように,複合水酸化物1重量部に
対し,ホウ酸類,ホウ酸塩,ケイ酸類,ケイ酸塩,リン
酸類,リン酸塩の1種または2種以上を0.5重量部以
上10重量部以下配合し,かつ複合水酸化物と1種また
は2種以上の酸類あるいは塩類を含む該配合液に対し分
散・相溶性向上化処理を施すことによって,表面のざら
つきがなく鉄損値の良好な方向性電磁鋼板を安定して製
造することができる。加えて,従来技術において造膜性
の点から皮膜原料である複合水酸化物の平均粒径が1μ
m以下であることが必須であったが,本願発明により粒
径の制約なく良好な皮膜を形成することが可能となり工
業上極めて有益である。
フロントページの続き (72)発明者 杉山 公彦 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新 日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 宮本 郁雄 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新 日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 北河 久和 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新 日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 平7−180064(JP,A) 特開 平6−299366(JP,A) 特開 昭56−33435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 B05D 7/14 H01F 1/16 C09D 5/25

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板にコ
    ーティング液を塗布し焼き付けることにより張力付与型
    の絶縁皮膜を形成する方法において,M2+ 1-x
    3+ x (OH- 2+x-ny(An-y ・mH2 Oの一般式で
    表される複合水酸化物1重量部に対し,ホウ酸類,ホウ
    酸塩,ケイ酸類,ケイ酸塩,リン酸類,リン酸塩の1種
    または2種以上を0.5重量部超10.0重量部以下配
    合し,かつ複合水酸化物と1種または2種以上の酸類あ
    るいは塩類を含む該配合液に対し分散・相溶性向上化処
    理を施すことを特徴とする方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形
    成方法。ただし, M2+:Be2+,Mg2+,Ca2+,Ba2+,Sr2+,Sn
    2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+
    等の2価金属イオン, M3+:Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+,Ga
    3+,Ti3+等の3価金属イオン, An-:OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2- ,SO
    4 2- ,HPO4 2- ,NO3 - ,Fe(CN)6 3- ,CH
    3 COO- 等のn価のアニオン, 0<x<1.0, m:層間水の分子数 である。
  2. 【請求項2】 複合水酸化物に1種または2種以上の酸
    類あるいは塩類を添加した配合液に対する前記分散・相
    溶化向上処理をプロペラ羽根式攪拌機,ビーズミル,マ
    グネティックスターラー,コロイドミルのいずれか1種
    または2種以上を用いて行なうことを特徴とする請求項
    1記載の方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法。
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