JP3386279B2 - 樹脂混合物及びその製造方法 - Google Patents

樹脂混合物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エステル−アミド共重
合樹脂が良好に溶解又は分散した樹脂混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪族エステル−アミド共重合樹脂は、
脂肪族アミド樹脂の有する強靱さと、脂肪族エステルの
有する良好な加工性とを合わせ持ち、さらには脂肪族エ
ステルの有する生分解性をも持ちうる優れた樹脂である
(特公昭56-38115号公報、特公昭57-26688号公報、特開
平6-200016号公報、特開平6-192417号公報等参照)。
【0003】しかしながら、従来より脂肪族エステル−
アミド樹脂には、成形する上で取扱いの容易な良溶剤が
存在せず、汎用樹脂で一般的に行われる方法、例えば樹
脂を溶液状態にしたソルベントキャスト法等による成形
方法が著しく困難であった。同様に、脂肪族ポリエステ
ルに代表される生分解性樹脂にも、取扱いの容易な良溶
剤が存在せず、溶剤を用いた成形方法は困難であった。
【0004】一方、従来より脂肪族ポリアミドを用いた
人工皮革の製造等における工程として、塩化カルシウム
に代表される金属塩をメタノールやエタノールに溶解さ
せた溶解液に、脂肪族ポリアミドを溶解させたのち、こ
れを不織布などの基材に塗布して水洗し、表面が皮革状
になった再析出樹脂を得る方法があるが(米国特許明細
書2,359,878 号等)、ここで使用する脂肪族ポリアミド
は融点が高く、再析出樹脂の表面を滑らかにするために
行う熱加工にも高温を要するなど加工性が悪く、更に
は、この脂肪族ポリアミドは生分解性を持ち得ない。
【0005】生分解性プラスチックは、近年の環境問題
への関心の高まりを背景として非常に注目されている素
材であり、様々な用途への利用が期待されるが、溶液状
態からの成形を行うことができないため、その利用範囲
を著しく限定してしまうという欠点があった。従来、脂
肪族エステル−アミド樹脂を溶液状態とするには、ギ
酸、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、m−クレゾー
ル等の、人体に対して非常に有害であったり、オゾン層
破壊等の環境破壊性の高い溶剤を用いなければならず、
そのため取扱いが非常に困難で、高額の設備を備えなけ
れば使用できなかった。従って、これらを含んだ樹脂溶
解物は、その利用が極めて制限されざるを得なかった。
【0006】同様に、脂肪族ポリエステルに代表される
生分解性プラスチックを溶液状態とする場合も、クロロ
ホルムに代表されるハロゲン化炭化水素や、m−クレゾ
ールに代表される芳香族等の、毒性や環境破壊性の高い
溶剤を用いなければならなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、毒性
や環境汚染性の強い溶媒を使用する必要がなく、また容
易な操作で樹脂分を所望の形状にすることのできる、エ
ステル−アミド共重合樹脂が良好に溶解又は分散した樹
脂混合物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、金属塩を溶解させた溶解液を用
いれば、人体や環境に有害な有機溶剤を使用しなくて
も、脂肪族エステル−アミド共重合樹脂を良好に溶解又
は分散させることができるとともに、樹脂分を容易に再
析出させることができることを見出し、本発明を完成し
た。
【0009】即ち、本発明は、水分を含有する又は含有
しない有機溶剤に金属塩が溶解している溶解液に、脂肪
族エステル−アミド共重合樹脂が溶解又は分散している
ことを特徴とする樹脂混合物である。また、本発明は、
前記有機溶剤及び前記金属塩の組み合わせが、有機溶剤
100重量部に対して金属塩が1重量部以上溶解する有機
溶剤及び金属塩の組み合わせから選択されることを特徴
とする樹脂混合物である。
【0010】さらに、本発明は、前記有機溶剤が、連続
する炭素鎖中の全炭素数が6以下のアルコール、下記の
化学式(1)
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル
基、R2 は水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミ
ノ基又は酢酸基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で
示されるグリコールエーテル類、炭素数5以下の有機
酸、アルキルスルホキシド及び脂肪族アミドから選ばれ
る少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする樹脂
混合物である。
【0013】さらに、本発明は、前記金属塩が、原子番
号38以下の周期表Ia、IIa、Ib及びIIb族から選ば
れる金属の、ハロゲン化物、ニトロ化物及びチオシアネ
ート化物から選ばれる少なくとも1種の金属塩であるこ
とを特徴とする樹脂混合物である。さらに、本発明は、
前記脂肪族エステル−アミド共重合樹脂が、下記の化学
式(2) −O−R3 −CO− …(2) (式中、R3 は炭素数1〜6の直鎖状メチレン基又は該
直鎖状メチレンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した
基を表す。)で示される構造及び/又は下記の化学式
(3) −O−R4 −OCO−R5 −CO− …(3) (式中、R4 は炭素数2〜6の、R6 は炭素数2〜10
の、それぞれ直鎖状メチレン基又はそれら直鎖状メチレ
ンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した基を表す。)
で示される構造からなる脂肪族エステル単位と、下記の
化学式(4) −NH−R6 −CO− …(4) (式中、R6 は炭素数2〜12の直鎖状メチレン基又は該
直鎖状メチレンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した
基を表す。)で示される構造及び/又は下記の化学式
(5) −NH−R7 −NHCO−R8 −CO− …(5) (式中、R7 は炭素数2〜6の、R8 は炭素数2〜10
の、それぞれ直鎖状メチレン基又はそれら直鎖状メチレ
ンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した基を表す。)
で示される構造からなる脂肪族アミド単位とを有するこ
とを特徴とする樹脂混合物である。
【0014】さらに、本発明は、前記脂肪族エステル−
アミド共重合樹脂が、生分解性エステル−アミド樹脂で
あることを特徴とする樹脂混合物である。さらに、本発
明は、水分を含有する又は含有しない有機溶剤に金属塩
を溶解させた溶解液と、脂肪族エステル−アミド共重合
樹脂とを混合し、加温することにより、該脂肪族エステ
ル−アミド共重合樹脂を該溶解液に溶解又は分散させる
ことを特徴とする樹脂混合物の製造方法である。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
樹脂混合物は、有機溶剤に金属塩が溶解している溶解液
中に、脂肪族エステル−アミド共重合樹脂が溶解又は分
散しているものである。本発明における溶解とは、常温
又は有機溶剤の沸点を超えない範囲での加温下におい
て、共重合樹脂が実質的に均一な溶液となることをい
い、分散とは、常温又は有機溶剤の沸点を超えない範囲
での加温下において、有機溶剤の分離や、金属塩及び共
重合樹脂の析出が実質的に生じることなく、共重合樹脂
と有機溶剤とが実質的に均一な状態になることをいい、
溶解、分散とも一部の樹脂混合物のゲル化、あるいは有
機溶剤の多少の分離が起こる場合(特に常温下)も含む
ものとする。
【0016】本発明で用いる有機溶剤及び金属塩の組み
合わせとしては、脂肪族エステル−アミド共重合樹脂を
溶解させることができればいかなる組み合わせであって
もよいが、共重合樹脂を実用上有効な溶解又は分散状態
とするためには、有機溶剤100重量部に対して金属塩が
1重量部以上溶解するような組み合わせであるのが好ま
しく、有機溶剤100重量部に対して金属塩が5重量部以
上溶解するような組み合わせであるのが特に好ましい。
【0017】有機溶剤としては、連続する炭素鎖中の全
炭素数が6以下のアルコール、下記の化学式(1)
【0018】
【化3】
【0019】(式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル
基、R2 は水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミ
ノ基又は酢酸基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で
示されるグリコールエーテル類、炭素数5以下の有機
酸、アルキルスルホキシド及び脂肪族アミドから選ばれ
る少なくとも1種の化合物を含むものが好ましい。
【0020】上記アルコールとしては、メタノール、エ
タノール、エチレングリコール等が挙げられ、グリコー
ルエーテル類としては、2−メトキシエタノール、2−
エトキシエタノール等が挙げられ、有機酸としては酢酸
等が挙げられ、アルキルスルホキシドとしては、ジメチ
ルスルホキシド等が挙げられ、脂肪族アミドとしては、
ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等
が挙げられ、それらを単独で又は適宜混合して用いるこ
とができる。
【0021】有機溶剤の沸点は、常温での取扱性や、樹
脂から溶剤を除去乾燥する容易性を考慮して、30〜250
℃の範囲にあるのが好ましい。特に好ましい有機溶剤
は、メタノール、エタノール及びそれらの混合物であ
る。以上説明した有機溶剤は水分を含有していてもよい
し、含有していなくてもよい。水分を含有させるか否か
又はその含有量は、樹脂の使用形態や塗布厚等によって
適宜選択すればよい。但し、樹脂の含有量の多い混合物
を得るには、水分含有量は少ないほうが好ましい。
【0022】一方、本発明で使用する金属塩としては、
原子番号38以下の周期表Ia、IIa、Ib及びIIb族か
ら選ばれる金属の、ハロゲン化物、ニトロ化物及びチオ
シアネート化物が好ましく、それらを単独で又は適宜組
み合わせて用いることができる。具体的には、塩化リチ
ウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、
臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭
化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸亜鉛
等が挙げられる。
【0023】本発明で溶解させる脂肪族エステル−アミ
ド共重合樹脂は、一本の高分子主鎖中に脂肪族エステル
単位と脂肪族アミド単位の双方を含み、分子同士が両単
位間で働く分子間力により強固に結合する性質を有す
る。本発明における脂肪族エステル−アミド共重合樹脂
混合物では、上述した有機溶剤に金属塩を溶解させた溶
解液により、高分子同士のアミド単位間の分子間力が緩
むことで、高分子鎖が溶解液に溶解する。
【0024】エステル単位間の結合が強い場合、常温で
は高分子主鎖のエステル単位部分の分子間結合が離れに
くく、混合物が均一に分散しなかったりゲル状となる場
合があるが、脂肪族エステル単位間の分子結合は、加温
することによりアミド単位間の分子間結合よりも容易に
離れ、この状態では混合物は均一な溶解又は分散状態を
保つ。
【0025】本発明における脂肪族エステル−アミド共
重合樹脂は、脂肪族エステルと脂肪族アミドとが共重合
したものであればいかなるものであってもよいが、重合
性、原料の単価等を考慮すると、脂肪族エステル単位
が、下記の化学式(2) −O−R3 −CO− …(2) (式中、R3 は炭素数1〜6の直鎖状メチレン基又は該
直鎖状メチレンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した
基を表す。)で示される構造及び/又は下記の化学式
(3) −O−R4 −OCO−R5 −CO− …(3) (式中、R4 は炭素数2〜6の、R6 は炭素数2〜10
の、それぞれ直鎖状メチレン基又はそれら直鎖状メチレ
ンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した基を表す。)
で示される構造からなり、脂肪族アミド単位が、下記の
化学式(4) −NH−R6 −CO− …(4) (式中、R6 は炭素数2〜12の直鎖状メチレン基又は該
直鎖状メチレンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した
基を表す。)で示される構造及び/又は下記の化学式
(5) −NH−R7 −NHCO−R8 −CO− …(5) (式中、R7 は炭素数2〜6の、R8 は炭素数2〜10
の、それぞれ直鎖状メチレン基又はそれら直鎖状メチレ
ンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した基を表す。)
で示される構造からなり、それらが共重合したものが好
ましい。共重合の形態としては、通常の共重合であって
もよいし、ブロック共重合、グラフト共重合あるいは交
互共重合であってもよい。さらに、本発明における脂肪
族エステル−アミド共重合樹脂には、高分子同士を結合
し、更に高分子化する目的で添加される少量の分子延長
剤、具体的にはジイソシアネート、多塩基酸等に由来す
る構造を含ませることができる。
【0026】脂肪族エステル−アミド共重合樹脂主鎖中
のアミド単位の割合は、共重合樹脂の加工性を良好にす
るためには10〜80モル%であるのが好ましく、さらに生
分解性を付与するためには10〜60モル%であるのが好ま
しい。脂肪族エステル−アミド共重合樹脂の重量平均分
子量は、5,000〜500,000であるのが好ましい。5,000以
上であれば、再析出ポリマーの物性が良好で実用範囲が
広く、500,000以下であれば、合成時間を短縮でき、ま
た真空度などの反応条件も緩和できる。
【0027】本発明の樹脂混合物における有機溶剤、金
属塩及び脂肪族エステル−アミド共重合樹脂の混合比と
しては、有機溶剤100重量部に対して金属塩が1〜40重
量部、特に1〜30重量部であるのが好ましく、共重合樹
脂が1〜40重量部、特に1〜30重量部であるのが好まし
い。金属塩及び共重合樹脂の混合比が、上記範囲より小
さい場合には共重合樹脂の再析出量が少なく、上記範囲
より大きい場合には、金属塩及び/又は共重合樹脂の析
出が起こりやすく、均一な溶解物又は混合物となりにく
い。
【0028】本発明の樹脂混合物は、有機溶剤、金属塩
及び脂肪族エステル−アミド共重合樹脂以外にも、混合
物の安定性を増すためや再析出樹脂の改善のために、通
常使用される界面活性剤、酸化防止剤、可塑剤等を含有
してもよく、再析出樹脂を着色するための染料、顔料等
を含有してもよい。金属塩に結晶水として含まれていた
水分は混合物中に残存していてもよいが、その含水量
は、樹脂の析出が起こらない範囲で、樹脂混合物の使用
形態に応じて制御すればよい。
【0029】脂肪族エステル−アミド共重合樹脂を溶解
液に溶解又は分散させる際には、加温するのが好まし
い。このように加温することにより、短時間で脂肪族エ
ステル−アミド共重合樹脂を溶解又は分散させることが
できる。また、加温の温度範囲については、有機溶剤の
沸点を超えない範囲が特に好ましい。これは、加温時に
加圧容器等を用いることなく加温できるからである。
【0030】溶解又は分散状態の樹脂混合物から脂肪族
エステル−アミド共重合樹脂を再析出させるには、混合
物から有機溶剤及び/又は金属塩を除去すればよい。具
体的には、塗布、浸漬、注型等の方法で樹脂混合物を特
定の形状にした後、乾燥、水洗などの容易な方法によっ
て、特定の形状の樹脂を再析出させることができる。本
発明の樹脂混合物では、環境への影響や毒性が少ない有
機溶剤を使用することができるため、従来困難であった
生分解性樹脂の塗布やコーティング用途への使用が可能
である。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何等限定す
るものではない。 (実施例1)メタノール100重量部と、塩化カルシウム
無水物20重量部とを混合攪拌して塩化カルシウム無水物
を完全に溶解させ、透明な溶解液を得た。この溶解液
に、ε−カプロラクトンとε−カプロラクタムとの開環
共重合により得た脂肪族エステル−アミド共重合体(重
量平均分子量15,000、アミド単位の比率:25モル%)を
20重量部加え、60℃に加温しながら1時間攪拌すること
により、樹脂成分が均一に分散した透明な樹脂溶液とな
った。常温下の室内に放置したところ、全体として均質
な白色ペースト状となった。
【0032】この樹脂混合物を60℃に加温し、ガラス平
面上に塗布し乾燥させたところ、白色の樹脂皮膜が得ら
れた。また、この皮膜をガラス板ごと水に浸漬して金属
塩を洗い流し、乾燥させたところ、ガラス面との接着性
に優れた白色の樹脂皮膜が形成された。奈良県天理市の
工場敷地内より土壌を採取し、1.7 mmのふるいに掛け
た。この土壌を満たしたシャーレに、上記樹脂皮膜を形
成したガラス板を土壌表面から10mmの深さで埋設し、土
壌の含水量を50%に維持しながら30℃のインキュベータ
ー中に放置した。すると、1カ月後には樹脂表面に黒色
の糸状菌類の付着が見られ、皮膜の一部は消失してい
た。また、表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、
糸状菌類の菌糸の周囲の樹脂が消失しているのが認めら
れた。 (実施例2)60℃に加温せず、常温で6時間攪拌した以
外は、実施例1と同様にして樹脂成分が均一に分散した
乳液状の樹脂混合物を得た。この樹脂混合物を60℃に加
温したところ、ほぼ透明な樹脂溶液となった。 (実施例3)メタノール100重量部と、臭化リチウム10
重量部とを混合攪拌して臭化リチウムを完全に溶解さ
せ、透明な溶解液を得た。この溶解液に、実施例1と同
様の脂肪族エステル−アミド共重合体を10重量部加え、
常温下で6時間攪拌することにより、樹脂成分が均一に
分散した乳液状の樹脂混合物を得た。この樹脂混合物を
60℃に加温するとほぼ透明な樹脂溶液となり、室内に放
置すると容器底部に樹脂の一部が析出した。この混合物
を60℃に加熱してガラス平面上に塗布し、乾燥させたと
ころ、白色の樹脂皮膜が得られた。 (実施例4 )メタノール100重量部と、臭化亜鉛10重量
部を混合攪拌して完全に溶解させ、透明な溶解液を得
た。この溶解液に、実施例1と同様の脂肪族エステル−
アミド共重合体を10重量部加え、常温下で6時間攪拌す
ることで、樹脂成分が均一に分散した、乳液状の樹脂混
合物を得た。この混合物を60℃に加温するとほぼ透明な
樹脂溶液となり、室内に放置すると底部に樹脂の一部が
析出した。この混合物を60℃に加熱してガラス平面上に
塗布し、乾燥させたところ、白色の樹脂皮膜が得られ
た。 (実施例5)メタノール100重量部と、硝酸カルシウム
4水和物10重量部を混合攪拌して完全に溶解させ、透明
な溶解液を得た。この溶解液に、実施例1と同様の脂肪
族エステル−アミド共重合体を10重量部加え、常温下で
6時間攪拌することで、樹脂成分が均一に分散した、乳
液状の樹脂混合物を得た。この混合物を60℃に加温する
とほぼ透明な樹脂溶液となり、放置すると底部に樹脂の
一部が析出した。この混合物を60℃に加熱してガラス平
面上に塗布し、乾燥させたところ、白色の樹脂皮膜が得
られた。またこの皮膜をガラス板ごと、水に浸漬して金
属塩を洗い流し、乾燥させたところ、ガラス面との接着
性に優れた白色の樹脂皮膜が形成された。 (実施例6)エタノール100重量部と、塩化カルシウム
無水和物10重量部を混合攪拌して完全に溶解させ、透明
な溶解液を得た。この溶解液に、実施例1と同様の脂肪
族エステル−アミド共重合体を5重量部加え、常温下で
3時間攪拌することで、樹脂成分が均一に分散した透明
な樹脂混合物を得た。この混合物をガラス平面上に塗布
し、乾燥させたところ、白色の樹脂皮膜が得られた。ま
たこの皮膜をガラス板ごと、水に浸漬して金属塩を洗い
流し、乾燥させたところ、ガラス面との接着性に優れた
白色の樹脂皮膜が形成された。 (実施例7)エタノール100重量部と、塩化リチウム10
重量部を混合攪拌して完全に溶解させ、透明な溶解液を
得た。この溶解液に、実施例1と同様の脂肪族エステル
−アミド共重合体を10重量部加え、常温下で6時間攪拌
することで、樹脂成分が均一に分散した、乳液状の樹脂
混合物を得た。この混合物を60℃に加温するとほぼ透明
な樹脂溶液となり、室内に放置すると樹脂の一部がゲル
化して析出した。この混合物を60℃に加熱してガラス平
面上に塗布し、乾燥させたところ、白色の樹脂皮膜が得
られた。 (実施例8)2-エトキシエタノール100重量部と、塩化
カルシウム10重量部を混合攪拌して完全に溶解させ、透
明な溶解液を得た。この溶解液に、実施例1と同様の脂
肪族エステル−アミド共重合体を10重量部加え、常温下
で6時間攪拌することで、樹脂成分が均一に分散した、
乳液状の樹脂混合物を得た。この混合物を60℃に加温す
るとほぼ透明な樹脂溶液となり、室内に放置しても樹脂
の析出は見られなかった。この混合物を60℃に加熱して
ガラス平面上に塗布し、乾燥させたところ、白色の樹脂
皮膜が得られた。 (実施例9)無水酢酸100重量部と、塩化カルシウム10
重量部を混合攪拌して完全に溶解させ、透明な溶解液を
得た。この溶解液に、実施例1と同様の脂肪族エステル
−アミド共重合体を10重量部加え、常温下で6時間攪拌
することで、樹脂成分が均一に溶解した、透明な樹脂混
合物を得た。この混合物を室内に放置しても樹脂の析出
はみられなかった。この混合物をガラス平面上に塗布
し、乾燥させたところ、白色の樹脂皮膜が得られた。 (実施例10)メタノール100 重量部と、塩化カルシウム
20重量部を混合攪拌して完全に溶解させ、透明な溶解液
を得た。この溶解液に、ε−カプロラクトンとα−ピロ
リドンとの開環共重合により得た脂肪族エステル−アミ
ド共重合体(重量平均分子量6,000、アミド単位比率約2
0モル%)を10重量部加え、30℃に保温しながら4時間
攪拌することで、樹脂成分が均一に分散した、乳白色の
樹脂混合物を得た。この混合物を60℃に加温するとほぼ
透明な樹脂溶液となった。この混合物をガラス平面上に
塗布し、乾燥させたところ、白色の樹脂皮膜が得られ
た。 (比較例1)実施例1と同様にして調製した溶解液100
重量部に、脂肪族ポリエステルであるポリカプロラクト
ン(ダイセル化学工業製「プラクセルH1P」)20重量
部を加え、30℃に保温しながら6時間攪拌したが、樹脂
成分は溶解液と均一な混合状態とならず、放置すると樹
脂成分のほとんどが沈殿した。この混合物を60℃に加温
したところ、樹脂分が溶融しても溶解液には溶解しなか
った。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、毒性や環境汚染性の強
い溶媒を使用する必要がなく、また容易な操作で樹脂分
を所望の形状にすることのできる、エステル−アミド共
重合樹脂が良好に溶解又は分散した樹脂混合物が得られ
る。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分を含有する又は含有しない有機溶剤
    に金属塩が溶解している溶解液に、脂肪族エステル−ア
    ミド共重合樹脂が溶解又は分散していることを特徴とす
    る、樹脂混合物。
  2. 【請求項2】 前記有機溶剤及び前記金属塩の組み合わ
    せが、有機溶剤100重量部に対して金属塩が1重量部以
    上溶解する有機溶剤及び金属塩の組み合わせから選択さ
    れることを特徴とする、請求項1記載の樹脂混合物。
  3. 【請求項3】 前記有機溶剤が、連続する炭素鎖中の全
    炭素数が6以下のアルコール、下記の化学式(1) 【化1】 (式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基、R2 は水酸
    基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基又は酢酸基
    を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示されるグリコ
    ールエーテル類、炭素数5以下の有機酸、アルキルスル
    ホキシド及び脂肪族アミドから選ばれる少なくとも1種
    の化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載
    の樹脂混合物。
  4. 【請求項4】 前記有機溶剤の沸点が30〜250℃の範囲
    にあることを特徴とする、請求項1乃至3いずれか記載
    の樹脂混合物。
  5. 【請求項5】 前記金属塩が、原子番号38以下の周期表
    Ia、IIa、Ib及びIIb族から選ばれる金属の、ハロ
    ゲン化物、ニトロ化物及びチオシアネート化物から選ば
    れる少なくとも1種の金属塩であることを特徴とする、
    請求項1又は2記載の樹脂混合物。
  6. 【請求項6】 前記脂肪族エステル−アミド共重合樹脂
    が、下記の化学式(2) −O−R3 −CO− …(2) (式中、R3 は炭素数1〜6の直鎖状メチレン基又は該
    直鎖状メチレンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した
    基を表す。)で示される構造及び/又は下記の化学式
    (3) −O−R4 −OCO−R5 −CO− …(3) (式中、R4 は炭素数2〜6の、R6 は炭素数2〜10
    の、それぞれ直鎖状メチレン基又はそれら直鎖状メチレ
    ンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した基を表す。)
    で示される構造からなる脂肪族エステル単位と、下記の
    化学式(4) −NH−R6 −CO− …(4) (式中、R6 は炭素数2〜12の直鎖状メチレン基又は該
    直鎖状メチレンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した
    基を表す。)で示される構造及び/又は下記の化学式
    (5) −NH−R7 −NHCO−R8 −CO− …(5) (式中、R7 は炭素数2〜6の、R8 は炭素数2〜10
    の、それぞれ直鎖状メチレン基又はそれらの直鎖状メチ
    レンに炭素数1〜3のアルキル基が結合した基を表
    す。)で示される構造からなる脂肪族アミド単位とを有
    することを特徴とする、請求項1記載の樹脂混合物。
  7. 【請求項7】 前記脂肪族エステル−アミド共重合樹脂
    が、生分解性エステル−アミド樹脂であることを特徴と
    する、請求項1又は6記載の樹脂混合物。
  8. 【請求項8】 前記脂肪族エステル−アミド共重合樹脂
    の主鎖中の脂肪族アミド単位の割合が10〜70モル%であ
    ることを特徴とする、請求項1、6又は7いずれか記載
    の樹脂混合物。
  9. 【請求項9】 水分を含有する又は含有しない有機溶剤
    に金属塩を溶解させた溶解液と、脂肪族エステル−アミ
    ド共重合樹脂とを混合し、加温することにより、該脂肪
    族エステル−アミド共重合樹脂を該溶解液に溶解又は分
    散させることを特徴とする、樹脂混合物の製造方法。
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