JP3384490B2 - 高周波プラズマcvd法による炭素膜の形成法 - Google Patents
高周波プラズマcvd法による炭素膜の形成法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔従来技術及び発明が解決しようとする課題〕
近年、交流または高周波型プラズマCVD法により種々
の特性をもつ炭素膜が合成されている。硬質炭素膜を得
るために、通常はセルフバイアスのみによる方法が行わ
れている。
の特性をもつ炭素膜が合成されている。硬質炭素膜を得
るために、通常はセルフバイアスのみによる方法が行わ
れている。
ところで、摺動部品、磁気ディスク等の記録媒体、保
護膜における接触部分においては、それらの硬度と被接
触体の硬度が互いに近似していた方が摩擦による材料の
摩耗が少ないことが知られている。このため各種の部品
の接触部分に所望の硬度を有する膜材料を被覆する方法
が要望されている。
護膜における接触部分においては、それらの硬度と被接
触体の硬度が互いに近似していた方が摩擦による材料の
摩耗が少ないことが知られている。このため各種の部品
の接触部分に所望の硬度を有する膜材料を被覆する方法
が要望されている。
しかしながら、これまで、所望硬度の炭素膜等の硬質
膜をコントロールして形成する方法は見出されていな
い。
膜をコントロールして形成する方法は見出されていな
い。
そこで本発明の目的は、プラズマCVD法を用いて所望
硬度の炭素膜を形成する方法を提供することにある。
硬度の炭素膜を形成する方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
本発明者は、プラズマCVD装置において、一定の反応
ガスの圧力、交流または高周波電力、基板温度の条件下
で、反応励起用交流または高周波電力とは独立に、基板
電極に負の直流電圧(以下、単にバイアス電圧という)
を印加しバイアス電圧を変化させることにより、または
該電力投入電極に対して基板電極を負にするように印加
したバイアス電圧を変化させることにより、バイアス電
圧に依存して炭素膜の膜硬度が変化することを見出し
た。本発明はかかる発見に基くものである。
ガスの圧力、交流または高周波電力、基板温度の条件下
で、反応励起用交流または高周波電力とは独立に、基板
電極に負の直流電圧(以下、単にバイアス電圧という)
を印加しバイアス電圧を変化させることにより、または
該電力投入電極に対して基板電極を負にするように印加
したバイアス電圧を変化させることにより、バイアス電
圧に依存して炭素膜の膜硬度が変化することを見出し
た。本発明はかかる発見に基くものである。
すなわち、本発明はプラズマCVD法により硬質炭素膜
を形成する方法において、 反応励起用の交流又は高周波電力を基板に対向する電
極に印加し、同時に該電力とは独立に加熱しない成膜基
板電極に負の直流電圧を印加し、前記直流電圧を、1000
〜2000cm-1にブロードなピークを有するラマンスペクト
ルを示す炭素膜が形成される範囲で変化させることによ
り、形成される炭素膜の硬度を所望硬度に制御する方法
を提供する。
を形成する方法において、 反応励起用の交流又は高周波電力を基板に対向する電
極に印加し、同時に該電力とは独立に加熱しない成膜基
板電極に負の直流電圧を印加し、前記直流電圧を、1000
〜2000cm-1にブロードなピークを有するラマンスペクト
ルを示す炭素膜が形成される範囲で変化させることによ
り、形成される炭素膜の硬度を所望硬度に制御する方法
を提供する。
本発明は又、プラズマCVD法により硬質炭素膜を形成
する方法において、 反応励起用の交流又は高周波電力を基板に対向する電
極に印加し、同時に該電力とは独立に加熱しない成膜基
板電極に負の種々の直流電圧を印加し、前記直流電圧
を、ほぼ1000〜2000cm-1にブロードなピークを有するラ
マンスペクトルを示す炭素膜が形成される範囲で変化さ
せることにより、該直流電圧と得られた炭素膜の硬度と
の関係を予め求め、 次いで前記関係から所望硬度に対応する上記直流電圧
を上記基板電極に印加することにより所望硬度の炭素膜
を形成する方法を提供する。
する方法において、 反応励起用の交流又は高周波電力を基板に対向する電
極に印加し、同時に該電力とは独立に加熱しない成膜基
板電極に負の種々の直流電圧を印加し、前記直流電圧
を、ほぼ1000〜2000cm-1にブロードなピークを有するラ
マンスペクトルを示す炭素膜が形成される範囲で変化さ
せることにより、該直流電圧と得られた炭素膜の硬度と
の関係を予め求め、 次いで前記関係から所望硬度に対応する上記直流電圧
を上記基板電極に印加することにより所望硬度の炭素膜
を形成する方法を提供する。
本発明の方法に用いられるCVD装置は、基板電極に負
の電位で且つ負のバイアス電圧を印加するバイアス電源
系を備える以外は、通常のプラズマCVD装置と同様の構
成である。従って、反応ガスの励起方式は外部電極方式
あるいは平行平板等を用いる内部電極方式のいずれの方
式でもよく、電極系、交流または高周波電源、ガス導入
系、真空排気系、制御系等は特に限定されない。
の電位で且つ負のバイアス電圧を印加するバイアス電源
系を備える以外は、通常のプラズマCVD装置と同様の構
成である。従って、反応ガスの励起方式は外部電極方式
あるいは平行平板等を用いる内部電極方式のいずれの方
式でもよく、電極系、交流または高周波電源、ガス導入
系、真空排気系、制御系等は特に限定されない。
本発明では負の電位で且つ負のバイアス電圧を、基板
電極に印加させる。一般に平行平板を用いる内部電極方
式のCVD装置ではチャンバーと基板電極間にバイアス電
圧を印加することができる。第1図にかかるバイアス電
源を組込んだCVD装置の一例として、後述の実施例で用
いた装置を示す。同図中、バイアス電源6により基板電
極3とチャンバー1との間にバイアス電圧が印加されて
いる。またバイアス電源6の正側が接地され基板電極3
は接地されていないので、基板電極3は負の電位を有す
る。かかる構成を採用することによりRF電源によるセル
フバイアスの影響を受けることなく基板に印加した負の
バイアス電圧による膜硬度への影響を独立に調査するこ
とができる。
電極に印加させる。一般に平行平板を用いる内部電極方
式のCVD装置ではチャンバーと基板電極間にバイアス電
圧を印加することができる。第1図にかかるバイアス電
源を組込んだCVD装置の一例として、後述の実施例で用
いた装置を示す。同図中、バイアス電源6により基板電
極3とチャンバー1との間にバイアス電圧が印加されて
いる。またバイアス電源6の正側が接地され基板電極3
は接地されていないので、基板電極3は負の電位を有す
る。かかる構成を採用することによりRF電源によるセル
フバイアスの影響を受けることなく基板に印加した負の
バイアス電圧による膜硬度への影響を独立に調査するこ
とができる。
外部電極方式のCVD装置を用いる場合にはチャンバー
内の基板にバイアス用電極を設ける必要がある。
内の基板にバイアス用電極を設ける必要がある。
バイアス電圧供給用電源として、本発明の目的より直
流可変電源が好ましい。バイアス電圧は、反応励起条件
等により異なるが−140V〜−5KV程度の範囲が好まし
い。印加できるバイアス電圧は装置、電極の大きさ、反
応条件により異なる。また、バイアス電圧はプラズマ中
で発生した炭素を含むプラスイオンを基板に衝突させる
ことにより膜の硬度が上がるという理由から基板側の極
性が負になるように印加する。
流可変電源が好ましい。バイアス電圧は、反応励起条件
等により異なるが−140V〜−5KV程度の範囲が好まし
い。印加できるバイアス電圧は装置、電極の大きさ、反
応条件により異なる。また、バイアス電圧はプラズマ中
で発生した炭素を含むプラスイオンを基板に衝突させる
ことにより膜の硬度が上がるという理由から基板側の極
性が負になるように印加する。
また、炭素膜を成膜するための原料供給ガスは、CVD
法で硬質炭素膜を形成し得る炭化水素系原料でもよい
が、CH4,C2H6,C3H8等のアルキル系炭化水素、C2H4,C
3H6,C2H2等の不飽和炭化水素等も使用できる。また、添
加ガスとして、H2,N2,O2などを使用できる。原料ガスの
炭化水素にF,N,O,S,Si等の原子を含んだものも使用でき
る。
法で硬質炭素膜を形成し得る炭化水素系原料でもよい
が、CH4,C2H6,C3H8等のアルキル系炭化水素、C2H4,C
3H6,C2H2等の不飽和炭化水素等も使用できる。また、添
加ガスとして、H2,N2,O2などを使用できる。原料ガスの
炭化水素にF,N,O,S,Si等の原子を含んだものも使用でき
る。
本発明の方法に従えば、最初に、バイアス電圧を印加
せずに上記のように構成したCVD装置を運転して炭素膜
を形成させる。次いで、同一の反応励起条件で、負のバ
イアス電圧を印加して炭素膜を形成させる。さらにこの
操作を種々のバイアス電圧で繰り返して行ない、それぞ
れのバイアス電圧で炭素膜を形成させる。こうして得ら
れた種々の炭素膜について、それぞれ、屈折率及び硬度
を測定する。そして、それらをバイアス電圧の値に対し
てプロットして、バイアス電圧と屈折率及び膜硬度との
関係グラフ化する。本発明ではバイアス電圧の絶対値と
炭素膜の硬度との間に相関関係があることがわかった。
せずに上記のように構成したCVD装置を運転して炭素膜
を形成させる。次いで、同一の反応励起条件で、負のバ
イアス電圧を印加して炭素膜を形成させる。さらにこの
操作を種々のバイアス電圧で繰り返して行ない、それぞ
れのバイアス電圧で炭素膜を形成させる。こうして得ら
れた種々の炭素膜について、それぞれ、屈折率及び硬度
を測定する。そして、それらをバイアス電圧の値に対し
てプロットして、バイアス電圧と屈折率及び膜硬度との
関係グラフ化する。本発明ではバイアス電圧の絶対値と
炭素膜の硬度との間に相関関係があることがわかった。
次ぎに、所望硬度に対応するバイアス電圧を上記グラ
フから読み取り、その電圧を上記と同一条件下に印加し
ながらCVD装置を運転して炭素膜を形成させる。こうし
て本発明の目的である所望の硬度の炭素膜が得られる。
フから読み取り、その電圧を上記と同一条件下に印加し
ながらCVD装置を運転して炭素膜を形成させる。こうし
て本発明の目的である所望の硬度の炭素膜が得られる。
本発明では、実施例で後述するようにバイアス電圧と
炭素膜の成膜速度についても相関関係があることがわか
っており、本発明はバイアス電圧を変化させて炭素膜の
成膜速度を制御できるという利点もある。
炭素膜の成膜速度についても相関関係があることがわか
っており、本発明はバイアス電圧を変化させて炭素膜の
成膜速度を制御できるという利点もある。
また、本発明において、バイアス電圧を変化させて炭
素膜の屈折率及び硬度を同時に測定することにより、屈
折率と硬度に一定の関係があることがわかった。
素膜の屈折率及び硬度を同時に測定することにより、屈
折率と硬度に一定の関係があることがわかった。
[作用]
これまでに直流電圧によるバイアスの追加により生成
膜の性質がどのように変化するかについて、特に最も重
要な膜の硬さも含めて系統的に検討した報告例はない。
従来行なわれていたセルフバイアスによるCVD法では、R
Fパワー、反応圧力、電極の面積に対応して変化するた
め、反応条件により反応パラメーターが同時に変わるた
め、お互いに影響し容易に膜のコントロールをすること
ができない。または反応圧力によってはプラズマが発生
しなかったり、電源容量により反応が不可能であるなど
制約が多いこともある。
膜の性質がどのように変化するかについて、特に最も重
要な膜の硬さも含めて系統的に検討した報告例はない。
従来行なわれていたセルフバイアスによるCVD法では、R
Fパワー、反応圧力、電極の面積に対応して変化するた
め、反応条件により反応パラメーターが同時に変わるた
め、お互いに影響し容易に膜のコントロールをすること
ができない。または反応圧力によってはプラズマが発生
しなかったり、電源容量により反応が不可能であるなど
制約が多いこともある。
そこで本発明者は反応ガスの圧力、RF電力、基板温度
を一定に保って、反応励起用として平行極板間に印加し
たRF電力とは独立に、バイアス電圧を基板電極に印加
し、または該電力投入電極に対して基板電力を負にする
ように印加したバイアス電圧を変化させることにより成
膜特性を観測した。
を一定に保って、反応励起用として平行極板間に印加し
たRF電力とは独立に、バイアス電圧を基板電極に印加
し、または該電力投入電極に対して基板電力を負にする
ように印加したバイアス電圧を変化させることにより成
膜特性を観測した。
この結果、バイアス電圧を増加させると成膜速度が増
加し、しかも得られる炭素膜の硬度が増大することがわ
かった。
加し、しかも得られる炭素膜の硬度が増大することがわ
かった。
成膜速度の増加は、バイアス電界によりに、原料のCH
4あるいはH2から生じたプラズマ中の陽イオンの基板領
域以外への拡散が抑制されると共にこれらのイオンの速
度が増大し、その結果、基板上への原料の供給量が増加
するからである。また、硬度の増加については次のよう
である。プラズマ中、バイアス電圧により加速されて高
い並進エネルギーを得た陽イオンが基板に衝突して、堆
積膜中の軽元素である水素を除去する。この結果、C
H2、CH3基に代わってC−C結合が増加して膜密度を高
め、膜硬度を高めることになる。以下の実施例からもわ
かるようにバイアス電圧のない場合に比べ本実験の範囲
では2500(Kgmm-2)の顕著な硬度の増加がもたらされて
いる。
4あるいはH2から生じたプラズマ中の陽イオンの基板領
域以外への拡散が抑制されると共にこれらのイオンの速
度が増大し、その結果、基板上への原料の供給量が増加
するからである。また、硬度の増加については次のよう
である。プラズマ中、バイアス電圧により加速されて高
い並進エネルギーを得た陽イオンが基板に衝突して、堆
積膜中の軽元素である水素を除去する。この結果、C
H2、CH3基に代わってC−C結合が増加して膜密度を高
め、膜硬度を高めることになる。以下の実施例からもわ
かるようにバイアス電圧のない場合に比べ本実験の範囲
では2500(Kgmm-2)の顕著な硬度の増加がもたらされて
いる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明
はこれらに限定されるものでない。
はこれらに限定されるものでない。
CH4及びH2を原料とし、第1図に示すようなプラズマC
VD装置を用いて炭素膜を成膜した。第1図中、プラズマ
CVD装置は、主にチャンバー1、RF電源2、可変直流電
源6から構成される。CH4及びH2原料ガスはチャンバー
1上部のガス入口7から内部に入り、チャンバー1側部
のガス排出部8を介して真空ポンプにより排出される。
チャンバー1内部に、基板電極3及びRF電極4からなる
平行平面電極を備え、電極寸法は27×27cm2であり、電
極間距離は4.0cmである。炭素膜はSi(100)基板5上に
形成される。
VD装置を用いて炭素膜を成膜した。第1図中、プラズマ
CVD装置は、主にチャンバー1、RF電源2、可変直流電
源6から構成される。CH4及びH2原料ガスはチャンバー
1上部のガス入口7から内部に入り、チャンバー1側部
のガス排出部8を介して真空ポンプにより排出される。
チャンバー1内部に、基板電極3及びRF電極4からなる
平行平面電極を備え、電極寸法は27×27cm2であり、電
極間距離は4.0cmである。炭素膜はSi(100)基板5上に
形成される。
バイアス電圧は、可変直流電源6により基板電極3及
びチャンバー1との間に基板の極性がマイナスになるよ
うに印加する。RF電圧はRF電極4に印加する。
びチャンバー1との間に基板の極性がマイナスになるよ
うに印加する。RF電圧はRF電極4に印加する。
上記装置の運転に用いたバイアス電圧、試料の流量、
反応時間及びRF電力を第1表に示す。
反応時間及びRF電力を第1表に示す。
また、各条件下で得られた炭素膜の膜厚、付着速度、
膜の屈折率、ビッカース硬度を測定した。生成した炭素
膜の屈折率と膜厚はエリプソメーターで測定し、膜の硬
度の測定には圧子の押し込み深さ(押し込み加重5〜15
mg)からビッカース硬度を求めるNEC製の微小硬度計MHA
−400を用いた。得られた結果を第1表中に示した。
膜の屈折率、ビッカース硬度を測定した。生成した炭素
膜の屈折率と膜厚はエリプソメーターで測定し、膜の硬
度の測定には圧子の押し込み深さ(押し込み加重5〜15
mg)からビッカース硬度を求めるNEC製の微小硬度計MHA
−400を用いた。得られた結果を第1表中に示した。
同表中、実験1〜7は、原料流量を一定に保ちながら
バイアス電圧を変えた場合の結果を比較している。この
条件下における成膜速度と屈折率に及ぼすバイアス電圧
の効果を第2図に示した。炭素膜の成膜速度はバイアス
電圧が0Vの時約4nm/分であるが、電圧の絶対値の増加に
ともなって成膜速度が増大し、−250Vでは7〜8nm/分と
バイアス電圧0Vに比べて約2倍に増加した。
バイアス電圧を変えた場合の結果を比較している。この
条件下における成膜速度と屈折率に及ぼすバイアス電圧
の効果を第2図に示した。炭素膜の成膜速度はバイアス
電圧が0Vの時約4nm/分であるが、電圧の絶対値の増加に
ともなって成膜速度が増大し、−250Vでは7〜8nm/分と
バイアス電圧0Vに比べて約2倍に増加した。
同表中の実験8〜10は、原料流量を増加した場合を示
す。同じバイアス電圧における結果と比べると、成膜速
度はいずれも増加している。
す。同じバイアス電圧における結果と比べると、成膜速
度はいずれも増加している。
屈折率については、バイアス電圧0Vのときは約1.7で
あるが(実験1〜3)、バイアス電圧の増加に伴って屈
折率は増加し、−250Vのバイアス電圧では2.10〜2.15
(実験6及び7)となり、ダイヤモンドの屈折率2.42に
近づいている。屈折率と密度に関するLorenz−Lorentz
の式を考慮すると、炭素膜の屈折率の増大は生成膜の密
度の増大を意味している。従って、第2図はバイアス電
圧を増加すると−250Vまでは生成膜の密度が増加するこ
とを意味している。
あるが(実験1〜3)、バイアス電圧の増加に伴って屈
折率は増加し、−250Vのバイアス電圧では2.10〜2.15
(実験6及び7)となり、ダイヤモンドの屈折率2.42に
近づいている。屈折率と密度に関するLorenz−Lorentz
の式を考慮すると、炭素膜の屈折率の増大は生成膜の密
度の増大を意味している。従って、第2図はバイアス電
圧を増加すると−250Vまでは生成膜の密度が増加するこ
とを意味している。
また、第1表に示したように、硬度も最大2500(kgm
m-2)までの大巾な増加を示した。
m-2)までの大巾な増加を示した。
バイアス電圧を大きくすればする程、膜硬度を増大さ
せることができる。
せることができる。
炭素膜の断面評価
第3図に上記本発明の方法により成膜した代表的な試
料の操作型電子顕微鏡(SEM)による断面の拡大写真を
示す。同図より、基板11上の膜表面12は平坦でありかつ
非常に小さい粒度の粒子からできていることがわかる。
バイアス電圧を変化させても生成する炭素膜の表面およ
び断面構造に大きな変化は認められなかった。また、エ
リプソメーターで測定した膜厚は、SEM写真から求めた
膜厚と±5nmの範囲で一致した。
料の操作型電子顕微鏡(SEM)による断面の拡大写真を
示す。同図より、基板11上の膜表面12は平坦でありかつ
非常に小さい粒度の粒子からできていることがわかる。
バイアス電圧を変化させても生成する炭素膜の表面およ
び断面構造に大きな変化は認められなかった。また、エ
リプソメーターで測定した膜厚は、SEM写真から求めた
膜厚と±5nmの範囲で一致した。
炭素膜のラマンスペクトル
次に、得られた炭素膜の構造解析を行なうために、ラ
マンスペクトルの観測を行なった。膜の構造解析にはレ
ーザーラマン分析計NR−1100(JEOL製、Arレーザー、51
4.5nm、2W)を用い、組織の観察にはJEOL製の走査型電
子顕微鏡JSM−890を用いた。結果を第4図中に示す。
マンスペクトルの観測を行なった。膜の構造解析にはレ
ーザーラマン分析計NR−1100(JEOL製、Arレーザー、51
4.5nm、2W)を用い、組織の観察にはJEOL製の走査型電
子顕微鏡JSM−890を用いた。結果を第4図中に示す。
バイアス電圧を印加しないで作製した炭素膜のスペク
トル(第4図(A))は、1000〜2000cm-1の範囲に特徴
的なピークは認められない。一方、バイアス電圧を−14
0V印加した場合(同図(B))では、1580cm-1および13
50cm-1を中心とするブロードなピークが現われた。更
に、−250V印加した場合(同図(C))では、1350cm-1
付近のピークは一層弱くなって、1550cm-1を中心とする
ブロードなピークが優勢となっている。
トル(第4図(A))は、1000〜2000cm-1の範囲に特徴
的なピークは認められない。一方、バイアス電圧を−14
0V印加した場合(同図(B))では、1580cm-1および13
50cm-1を中心とするブロードなピークが現われた。更
に、−250V印加した場合(同図(C))では、1350cm-1
付近のピークは一層弱くなって、1550cm-1を中心とする
ブロードなピークが優勢となっている。
上記スペクトルの帰属を明らかにするため、ダイヤモ
ンド、黒鉛等のラマンスペクトルデータと比較する。天
然ダイヤモンドのラマンスペクトルは1332.5cm-1に鋭い
ピークを示し、またWeissmantelらにより“i−carbon"
と名ずけられている炭素膜は1550cm-1を中心とするブロ
ードなピークを持つことが報告されている。また、黒鉛
結晶のラマンスペクトルは1575cm-1、欠陥性黒鉛のそれ
は1360cm-1にピークを示すことがわかっている。しかし
ながら、黒鉛のビッカース硬度は8〜20(kgmm-2)とさ
れているのに対して、上記バイアスを印加して成膜した
炭素膜では700(kg mm-2)以上とはるかに大きな硬度を
示している(実験4、6、9、10)。従って、上記スペ
クトルには、黒鉛構造による寄与の可能性は少ない。
ンド、黒鉛等のラマンスペクトルデータと比較する。天
然ダイヤモンドのラマンスペクトルは1332.5cm-1に鋭い
ピークを示し、またWeissmantelらにより“i−carbon"
と名ずけられている炭素膜は1550cm-1を中心とするブロ
ードなピークを持つことが報告されている。また、黒鉛
結晶のラマンスペクトルは1575cm-1、欠陥性黒鉛のそれ
は1360cm-1にピークを示すことがわかっている。しかし
ながら、黒鉛のビッカース硬度は8〜20(kgmm-2)とさ
れているのに対して、上記バイアスを印加して成膜した
炭素膜では700(kg mm-2)以上とはるかに大きな硬度を
示している(実験4、6、9、10)。従って、上記スペ
クトルには、黒鉛構造による寄与の可能性は少ない。
さらに瀬高らによれば、X線回折ではダイヤモンド構
造を示していても、結晶粒界への偏析や表面層の無定形
炭素の存在により、ラマンスペクトルにおいて1333cm-1
の鋭いピークが弱まり、1500cm-1付近のスペクトル強度
が増加することがわかっている。従って、第4図中のス
ペクトル及びこれらの知見を勘案すると、バイアス電圧
を印加しないで作製した場合は無定形炭素膜が生成し、
バイアス電圧を印加することによりi−carbonまたはダ
イヤモンド構造あるいはそれらの混合物が生成してくる
ものである。
造を示していても、結晶粒界への偏析や表面層の無定形
炭素の存在により、ラマンスペクトルにおいて1333cm-1
の鋭いピークが弱まり、1500cm-1付近のスペクトル強度
が増加することがわかっている。従って、第4図中のス
ペクトル及びこれらの知見を勘案すると、バイアス電圧
を印加しないで作製した場合は無定形炭素膜が生成し、
バイアス電圧を印加することによりi−carbonまたはダ
イヤモンド構造あるいはそれらの混合物が生成してくる
ものである。
第5図は上記実験で作製した炭素膜の硬度と屈折率の
関係をプロットしたものである。図中の●印は天然ダイ
ヤモンドの硬度及び屈折率の値を示している。この図か
ら、生成した炭素膜の屈折率とビッカース硬度には良い
相関のあることがわかる。先に述べたように、屈折率の
増大は生成膜の密度の増大と関連しているので、この図
の傾向は密度の増大および化学結合の変化によりビッカ
ース硬度が増加したものとして理解できる。
関係をプロットしたものである。図中の●印は天然ダイ
ヤモンドの硬度及び屈折率の値を示している。この図か
ら、生成した炭素膜の屈折率とビッカース硬度には良い
相関のあることがわかる。先に述べたように、屈折率の
増大は生成膜の密度の増大と関連しているので、この図
の傾向は密度の増大および化学結合の変化によりビッカ
ース硬度が増加したものとして理解できる。
かくして、本発明に従い、所望の硬度に対応するバイ
アス電圧を第2図及び第4図から読み取り、かかる電圧
で上記同様の条件でCVD装置を運転することにより所望
硬度の炭素膜を得ることができる。
アス電圧を第2図及び第4図から読み取り、かかる電圧
で上記同様の条件でCVD装置を運転することにより所望
硬度の炭素膜を得ることができる。
[発明の効果]
本発明によれば、バイアス電圧を適宜調節することに
より所望の膜硬度を有する炭素膜を形成することができ
る。従って、本発明の方法を摺動動部品、ディスク等の
記録媒体、保護膜等に適用してそれらの物品に耐摩耗性
を付与することができる。
より所望の膜硬度を有する炭素膜を形成することができ
る。従って、本発明の方法を摺動動部品、ディスク等の
記録媒体、保護膜等に適用してそれらの物品に耐摩耗性
を付与することができる。
第1図は、本発明の実施に用いるプラズマCVD装置の構
成図である。 第2図はバイアス電圧と堆積速度及び屈折知るの関係を
表わすグラフである。 第3図は本発明により得られた炭素膜の金属組織の断面
構造を表わす、図面に代わるSEM拡大写真である。 第4図は種々のバイアス電圧により得られた炭素膜試料
のラマンスペクトルである。 第5図は実施例で作製した炭素膜の硬度と屈折率の関係
をプロットしたグラフである。 1……チャンバー 2……RF電源 3……基板電極 4……RF電極 5……基板 6……バイアス電源 7……ガス入口 8……ガス排出口 11……基板 12……被膜
成図である。 第2図はバイアス電圧と堆積速度及び屈折知るの関係を
表わすグラフである。 第3図は本発明により得られた炭素膜の金属組織の断面
構造を表わす、図面に代わるSEM拡大写真である。 第4図は種々のバイアス電圧により得られた炭素膜試料
のラマンスペクトルである。 第5図は実施例で作製した炭素膜の硬度と屈折率の関係
をプロットしたグラフである。 1……チャンバー 2……RF電源 3……基板電極 4……RF電極 5……基板 6……バイアス電源 7……ガス入口 8……ガス排出口 11……基板 12……被膜
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C30B 29/04 C30B 29/04 D
H01L 21/205 H01L 21/205
(72)発明者 柴原 正典
東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ
ィーディーケイ株式会社内
(56)参考文献 特開 平1−294867(JP,A)
特開 昭63−210099(JP,A)
特開 昭63−140083(JP,A)
特開 平2−107773(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】プラズマCVD法により硬質炭素膜を形成す
る方法において、 反応励起用の交流または高周波電力を基板に対向する電
極に印加し、同時に該電力とは独立に加熱しない成膜基
板電極に負の直流電圧を印加し、前記直流電圧を、1000
〜2000cm-1にブロードなピークを有するラマンスペクト
ルを示す炭素膜が形成される範囲で変化させることによ
り、形成される炭素膜の硬度を所望硬度に制御する方
法。 - 【請求項2】プラズマCVD法により硬質炭素膜を形成す
る方法において、 反応励起用の交流または高周波電力を基板に対向する電
極に印加し、同時に該電力とは独立に加熱しない成膜基
板電極に負の種々の直流電圧を印加し、前記直流電圧
を、1000〜2000cm-1にブロードなピークを有するラマン
スペクトルを示す炭素膜が形成される範囲で変化させる
ことにより、該直流電圧と得られた炭素膜の硬度との関
係を予め求め、 次いで前記関係から所望硬度に対応する上記直流電圧を
上記基板電極に印加することにより所望硬度の炭素膜を
形成する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14448090A JP3384490B2 (ja) | 1990-06-04 | 1990-06-04 | 高周波プラズマcvd法による炭素膜の形成法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14448090A JP3384490B2 (ja) | 1990-06-04 | 1990-06-04 | 高周波プラズマcvd法による炭素膜の形成法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0441672A JPH0441672A (ja) | 1992-02-12 |
JP3384490B2 true JP3384490B2 (ja) | 2003-03-10 |
Family
ID=15363292
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14448090A Expired - Fee Related JP3384490B2 (ja) | 1990-06-04 | 1990-06-04 | 高周波プラズマcvd法による炭素膜の形成法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3384490B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
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CA2208718C (en) * | 1996-06-27 | 2005-01-25 | Takahiro Nakahigashi | Object coated with carbon film and method of manufacturing the same |
US6372303B1 (en) | 1997-06-16 | 2002-04-16 | Robert Bosch Gmbh | Method and device for vacuum-coating a substrate |
US6893720B1 (en) | 1997-06-27 | 2005-05-17 | Nissin Electric Co., Ltd. | Object coated with carbon film and method of manufacturing the same |
JP2002093070A (ja) | 2000-09-19 | 2002-03-29 | Tdk Corp | ヘッドアームアセンブリ、該ヘッドアームアセンブリを備えたディスク装置及び該ヘッドアームアセンブリの製造方法 |
JP3921934B2 (ja) * | 2000-10-12 | 2007-05-30 | 日新電機株式会社 | 使用時に人体皮膚が接触する物品 |
CN1282159C (zh) | 2002-07-11 | 2006-10-25 | Tdk股份有限公司 | 薄膜磁头,生成该薄膜的方法以及使用该薄膜的磁盘装置 |
JP4639334B2 (ja) * | 2005-03-11 | 2011-02-23 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | ダイヤモンド膜、その製造方法、電気化学素子、及びその製造方法 |
JP2007141993A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Tokyo Gas Co Ltd | 被膜形成装置および被膜形成方法 |
JP5126867B2 (ja) * | 2006-05-25 | 2013-01-23 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 炭素膜の製造方法 |
JP5113830B2 (ja) * | 2007-02-28 | 2013-01-09 | 東京エレクトロン株式会社 | アモルファスカーボン膜の形成方法、半導体装置の製造方法およびコンピュータ可読記憶媒体 |
JP5792986B2 (ja) * | 2011-04-21 | 2015-10-14 | 神港精機株式会社 | 表面処理装置および表面処理方法 |
JP2023064521A (ja) | 2021-10-26 | 2023-05-11 | 東京エレクトロン株式会社 | 基板に炭素含有膜を成膜する装置、及び方法 |
-
1990
- 1990-06-04 JP JP14448090A patent/JP3384490B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0441672A (ja) | 1992-02-12 |
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