JP3383575B2 - 流量計の脈動吸収構造 - Google Patents

流量計の脈動吸収構造

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JP3383575B2 JP08181798A JP8181798A JP3383575B2 JP 3383575 B2 JP3383575 B2 JP 3383575B2 JP 08181798 A JP08181798 A JP 08181798A JP 8181798 A JP8181798 A JP 8181798A JP 3383575 B2 JP3383575 B2 JP 3383575B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子式ガスメータ
等に使用される流量を計測する流量計に係り、特に、流
路中の流速を間欠的に計測して積算流量を推測する推量
式流量計の脈動(圧力変動、流速変動)の影響を軽減す
る流量計の脈動吸収構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子式ガスメータ等の流量計
測に使用されている流量計としては、超音波式やフルイ
ディック式等の流量計が広く使用されている。例えば、
超音波式のガス流量計の基本原理について簡単に説明す
ると、図9に示すように、超音波式流量計20は、ガス
流路内に一定距離だけ離れて配置された超音波周波数で
作動する、例えば圧電式振動子からなる2つの音響トラ
ンスジューサ21、23と、超音波が伝搬する計測用ダ
クト22とを有し、例えば、まずガス流入側のトランス
ジューサ21から超音波信号を発生させ、ガス流出側の
トランスジューサ23に受信させてトランスジューサ間
での超音波信号のガス流方向の伝搬時間t1 を計測す
る。
【0003】次に、双方のトランスジューサを切換え
て、ガス流出側のトランスジューサ23から超音波信号
を発生させ、ガス流入側のトランスジューサ21に受信
させて該ガス流方向とは逆方向の伝搬時間t2 を計測す
る。この計測した2つの伝搬時間t1,t2 の伝搬時間差
に基づいて計測用ダクト22内を流れているガスの流速
vを間欠的に求め、この流速vに計測用ダクト22の断
面積を乗じて瞬時流量を求める。そして、この瞬時流量
に一定の計測間隔であるサンプリング時間を乗じて通過
流量を求め、この通過流量を積算して求めた積算流量を
表示するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の流
量計を通じて供給されるガス等の流体を消費するガスヒ
ートポンプ(GHP)等の燃焼器は、使用中に供給ガス
に圧力変動や流速変動の脈動を生じさせるものがある。
例えば、図10(a)に示すように、燃焼器30のしよ
うによってガス圧に変動を生じ、その脈動25が流量計
20の下流側から流量計20内に伝搬してきて計測誤差
の原因となる。
【0005】また、図10(b)に示すように隣接する
2つの流量計20A、20Bの内、流量計20Bは、上
述したように燃焼器30Bからの脈動25Bが下流側か
ら伝搬するとともに、燃焼器30Aからの脈動25Aが
上流側から流量計内に伝搬して、さらに大きな計測誤差
を発生させる原因となり、特に積算値の演算に大きな影
響を及ぼすという問題があった。
【0006】さらに詳しく説明すると、図11に示すよ
うに圧力変動等が発生すると、これが原因でガス流に、
時間と共にガス流速が変化する脈動流を生じるようにな
る。このような脈動流の生じているガス流の流速vを上
述したような流量計により一定のサンプリング間隔Δt
によって測り、この計測した流速vにサンプリング時間
Δtを乗じて通過流量を求めた場合、図中斜線を施した
部分が誤差となり、通過流量を積算して求めた積算流量
は、実際のガス使用料と違った積算値となる。
【0007】本発明は、前述した問題点に鑑みてなされ
たものであり、その目的は脈動流の影響を軽減して、正
確な流量計測を行うことのできる流量計の脈動吸収構造
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる上記課題
は、請求項1記載の流量計の脈動吸収構造であって、
流路中の流体流速を間欠的に計測して積算流量を推測
する流量計の脈動吸収構造において、前記流量計として
の流入口を有する第1上流室と、該流量計としての流出
口を有する第1下流室を備え、前記第1上流室前記第
1下流室との間を流体脈動吸収機構によって実効的に隔
絶して成る第1筐体と、第1開口部を介して前記第1上
流室と連通する第2上流室と、第2開口部を介して前記
第1下流室と連通する第2下流室を備え、前記第2上流
室と前記第2下流室との間を計量測定部を介して連結す
るより所定の計測流路を画成して成る第2筐体とを具備
し、前記第1上流室、第2上流室、第2下流室および前
記第1下流室が、順次実質的に直列状の流路を形成し、
且つ前記第1上流室と前記第1下流室との間に配設した
前記流体脈動吸収機構によって前記第2上流室と前記第
2下流室との間に配設した前記計量測定部における所定
の計測流路中の流体脈動を軽減させることを特徴とする
流量計の脈動吸収構造によって解決することができる。
【0009】前記構成の流量計の脈動吸収構造において
は、第1上流室、第1下流室、第2上流室および第2下
流室の4室を備えた構造とし、流入口、第1上流室、第
1開口部、第2上流室、第2下流室、第2開口部、第1
下流室および流出口が、順次実質的に直列状の流路を形
成し、且つ前記第1上流室と前記第1下流室との間に配
設した前記流体脈動吸収機構によって前記第2上流室と
前記第2下流室との間に配設した前記計量測定部におけ
る所定の計測流路中の流体脈動を軽減させながら該所定
の計測流路中の流体流速を間欠的に計測して積算流量を
推測する。また、第1筐体内で、第1上流室および第1
下流室を仕切る流体脈動吸収機構は、第1上流室および
第1下流室間の圧力差によってその形状または位置を変
化させるので、所定の計測流路中に圧力変動や流速変動
による脈動流が生じても該流体脈動吸収機構によって吸
収される。したがって、第2筐体内の計量測定部におけ
る圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽減するこ
とができ、計測誤差を抑制して正確な流量計測を行うこ
とが可能となる。さらに、本発明の流量計の脈動吸収構
造においては、従来の上流室および下流室の2室、並び
に計量測定部を備えた嵌合形態に対して、従来の上流室
および下流室をそれぞれ第2上流室および第2下流室と
し、第1上流室および第1下流室、並びに流体脈動吸収
機構を付加した構造であるので、安価な製造コストで信
頼性の高い流量計を得ることができる。
【0010】また、請求項2記載の流量計の脈動吸収構
造であって、好ましくは前記脈動吸収機構が、前記第1
上流室および前記第1下流室間の圧力差によって前記第
1筐体の内壁面を摺動する移動部材を備えることによっ
て解決できる。
【0011】前記構成の流量計の脈動吸収構造において
は、脈動吸収機構を第1筐体の内壁面を摺動する移動部
材により構成されている。この移動部材は、第1上流室
および第1下流室間の圧力差によってピストン運動をし
てその位置を変化させるので、流路中に圧力変動や流速
変動による脈動流が生じても該移動部材の位置変動によ
って吸収される。したがって、第2筐体内の計量測定部
における圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽減
することができ、計測誤差を抑制して正確な流量計測を
行うことが可能となる。
【0012】また、請求項3記載の流量計の脈動吸収構
造であって、好ましくは前記脈動吸収機構が、前記第1
上流室および前記第1下流室間の圧力差によって移動す
る移動部材と、前記第1筐体の内壁面に密着して前記移
動部材の周囲の一部または全部を固定する弾性部材とを
備えることによって解決できる。
【0013】前記構成の流量計の脈動吸収構造において
は、脈動吸収機構を移動部材と第1筐体の内壁面に密着
して該移動部材の周囲の一部または全部を固定する弾性
部材とで構成されている。第1上流室および第1下流室
間の圧力差によって、移動部材の周囲の一部または全部
を固定する弾性部材が変形し、移動部材の位置を変化さ
せるので、流路中に圧力変動や流速変動による脈動流が
生じても該移動部材の位置変動によって吸収される。し
たがって、第2筐体内の計量測定部における圧力変動や
流速変動による脈動流の影響を軽減することができ、計
測誤差を抑制して正確な流量計測を行うことが可能とな
る。
【0014】また、請求項4記載の流量計の脈動吸収構
造であって、好ましくは前記脈動吸収機構が、周囲の一
部または全部が前記第1筐体の内壁面に固定され、前記
第1上流室および前記第1下流室間の圧力差によって面
を変形させる弾性部材を備えることによって解決でき
る。
【0015】前記構成の流量計の脈動吸収構造において
は、脈動吸収機構を周囲の一部または全部が第1筐体の
内壁面に固定された弾性部材で構成されている。この弾
性部材は、第1上流室および第1下流室間の圧力差によ
ってその面を変形させるので、流路中に圧力変動や流速
変動による脈動流が生じても、該弾性部材の面の変形に
よる第1上流室および第1下流室の体積変化によって吸
収される。したがって、第2筐体内の計量測定部におけ
る圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽減するこ
とができ、計測誤差を抑制して正確な流量計測を行うこ
とが可能となる。
【0016】また、請求項5記載の流量計の脈動吸収構
造であって、好ましくは前記脈動吸収機構が、前記第1
上流室および前記第1下流室間の圧力差によって前記第
1筐体の内壁面を回転移動する回転部材を備えることに
よって解決できる。
【0017】前記構成の流量計の脈動吸収構造において
は、脈動吸収機構を第1筐体の内壁面を回転移動する回
転部材で構成されている。この回転部材は、第1上流室
および第1下流室間の圧力差によって回転移動するの
で、流路中に圧力変動や流速変動による脈動流が生じて
も該回転部材の位置変動によって吸収され、第2筐体内
の計量測定部における圧力変動や流速変動による脈動流
の影響を軽減することができ、計測誤差を抑制して正確
な流量計測を行うことが可能となる。
【0018】また、請求項6記載の流量計の脈動吸収構
造であって、好ましくは前記脈動吸収機構が、周囲の一
部または全部が前記第1筐体の内壁面に固定された多孔
質部材を備えることによって解決できる。
【0019】前記構成の流量計の脈動吸収構造において
は、脈動吸収機構を周囲の一部または全部が第1筐体の
内壁面に固定された多孔質部材で構成されている。この
多孔質部材は、第1上流室および第1下流室間の圧力差
がある場合、多孔質の小さなすき間を介した微量の流れ
によって第1上流室および第1下流室間の圧力差を吸収
することができる。したがって、流路中に圧力変動や流
速変動による脈動流が生じても、第2筐体内の計量測定
部における圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽
減することがで、計測誤差を抑制して正確な流量計測を
行うことが可能となる。
【0020】さらに、請求項7記載の流量計の脈動吸収
構造であって、好ましくは前記脈動吸収機構が、周囲の
一部または全部が前記第1筐体の内壁面に固定された第
1膜部材および第2膜部材を備え、前記第1上流室およ
び前記第1下流室間の圧力差によって前記第1膜部材お
よび前記第2膜部材の膜面または前記第1膜部材および
前記第2膜部材間の距離を変化させることによって解決
できる。
【0021】前記構成の流量計の脈動吸収構造において
は、脈動吸収機構は周囲の一部または全部が第1筐体の
内壁面に固定された第1膜部材および第2膜部材で構成
されている。この第1膜部材および第2膜部材は、第1
上流室および第1下流室間の圧力差によって該膜面また
は第1膜部材および第2膜部材間の距離を変化させて第
1上流室および第1下流室間の圧力差を吸収することが
できる。したがって、流路中に圧力変動や流速変動によ
る脈動流が生じても、第2筐体内の計量測定部における
圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽減すること
ができ、計測誤差を抑制して正確な流量計測を行うこと
が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る流量計の脈動
吸収構造の実施形態を図1乃至図8を参照して詳細に説
明する。図1は本発明の流量計の脈動吸収構造の第1実
施形態を示す概略構成図、図2は図1における作動を説
明する説明図、図3は本発明の流量計の脈動吸収構造の
原理を説明する説明図、図4乃至図8は本発明の流量計
の脈動吸収構造の第2乃至第6実施形態を示す概略構成
図である。なお、本実施形態の流量計は、流路中の流速
を間欠的に計測して積算流量を推測する推量式流量計、
例えば超音波式のガス流量計に適用されるものである。
【0023】第1実施形態 図1に示すように本実施形態の流量計1Aは、ガス流の
流入する流入口11と通じる第1上流室5と、ガス流の
流出する流出口12と通じる第1下流室6とを備え、こ
の第1上流室5および第1下流室6を流体脈動吸収機構
7で仕切って形成する第1筐体8が上部に形成されてい
る。また第1上流室5と第1開口部13を介して通じ
る第2上流室3と、第1下流室6と第2開口部14を介
して通じる第2下流室4とを備え、第2上流室3および
第2下流室4をこれら2室間の流路中の流速を計測する
計量測定部2を構成する計測用ダクト22で仕切って形
成する第2筐体9が下部に形成されている。なお、計量
測定部2は、例えば超音波式流量計に適用される場合に
は、図9に示した従来例のものと同様に、圧電式振動子
からなる2つの音響トランスジューサ21、23と、超
音波が伝搬する計測用ダクト22から構成されており、
その計測の基本原理も従来例で説明したものと同等であ
る。
【0024】本実施形態の流量計の脈動吸収構造におい
ては、第1上流室5、第1下流室6、第2上流室3およ
び第2下流室4の4室を備えた構造であり、流入口1
1、第1上流室5、第1開口部13、第2上流室3、第
2下流室4、第2開口部14、第1下流室6および流出
口12によって形成される流路中の流速を第2上流室3
および第2下流室4間に配された計量測定部2により間
欠的に計測して積算流量を推測する。
【0025】また、本実施形態の流量計の脈動吸収構造
においては、第1筐体8内で第1上流室5および第1下
流室6を仕切る脈動吸収機構7が、第1上流室5および
第1下流室6間の圧力差によってその形状または位置を
変化させる。これにより、ガスヒートポンプ(GHP)
等の燃焼器(図10参照)の使用によって圧力変動や流
速変動による脈動流が流路中に生じても、この脈動吸収
機構7によって脈動流が吸収される。したがって、第2
筐体9内の計量測定部2における圧力変動や流速変動に
よる脈動流の影響を軽減することができ、計測誤差を抑
制して正確な流量計測を行うことが可能となる。
【0026】さらに、本実施形態の流量計の脈動吸収構
造においては、従来の上流室および下流室の2室、並び
に計量測定部を備えた嵌合形態に対して、従来の上流室
および下流室をそれぞれ第2上流室3および第2下流室
4として、第1上流室5および第1下流室6、並びに脈
動吸収機構7を付加した簡単な構造であるので、従来の
流量計に比較して安価な製造コストで信頼性の高い流量
計を得ることができる。
【0027】図2に示すように、上述した構成の本実施
形態の流量計の脈動吸収構造における脈動吸収機構は、
第1筐体8の内壁面を摺動する移動部材71により構成
されている。この移動部材71は、例えば、その周囲が
第1筐体8の内壁面に略密着して一定の滑り摩擦を持ち
つつ滑らかに移動可能な剛体であり、第1上流室5およ
び第1下流室6間の流体の移動が極力抑えられるもので
あれば良い。
【0028】前記移動部材71は、第1上流室5および
第1下流室6間の圧力差によってピストン運動をしてそ
の位置を変化させる。すなわち、図3(a)に示すよう
に第1上流室5内の圧力P3 が、第1下流室6内の圧力
P4 よりも大きい時には、移動部材71は圧力P3 およ
び圧力P4 が等しい時の位置よりも第1下流室6側(右
側)に移動する。また、図3(b)に示すように第1上
流室5内の圧力P3 が第1下流室6内の圧力P4 よりも
小さい時には、移動部材71は圧力P3 および圧力P4
が等しい時の位置よりも第1上流室5側(左側)に移動
する。このように、第1上流室5および第1下流室6間
の圧力差は、第1上流室5および第1下流室6のそれぞ
れの体積を変化させ、第1上流室5および第1下流室6
の圧力をほぼ等しくさせることによって圧力変動を吸収
することになる。つまり、第1上流室5内の圧力P3 と
第1下流室6内の圧力P4 とが常に圧力変動(脈動)を
吸収し合えば、第2上流室3内の圧力P1 と第2下流室
4内の圧力P2の値は安定する。
【0029】したがって、本実施形態の流量計の脈動吸
収構造では、流路中に圧力変動や流速変動による脈動流
が生じても該移動部材71の位置変動によって吸収さ
れ、第2筐体9内の計量測定部2(第2上流室3および
第2下流室4)における圧力変動や流速変動による脈動
流の影響を軽減することができるので、計測誤差を抑制
して正確な流量計測を行うことが可能となる。
【0030】第2実施形態 次に、本発明の流量計の脈動吸収構造の第2実施形態を
図4に基づいて説明する。図4に示すように、本実施形
態の脈動吸収機構は、移動部材72aと第1筐体8の内
壁面に密着して移動部材72aの周囲の一部または全部
を固定する弾性部材72bとで構成されている。ここ
で、弾性部材72bは例えば図に示すようなジャバラ構
造を持つ物であれば良く、移動部材72aはジャバラ構
造の任意の位置に挟まれて固定された剛体等であり、第
1上流室5および第1下流室6間の流体の移動が極力抑
えられるものであれば良い。
【0031】第1上流室5および第1下流室6間の圧力
差によって、移動部材72aの周囲の一部または全部を
固定する弾性部材72bが変形し、移動部材72aの位
置を変化させる。本実施形態における脈動吸収機構の原
理も第1実施形態(図3参照)と同様である。すなわ
ち、流路中に圧力変動や流速変動による脈動流が生じて
も移動部材72aの位置変動によって吸収され、第2筐
体9内の計量測定部2(第2上流室3および第2下流室
4)における圧力変動や流速変動による脈動流の影響を
軽減することができるので、計測誤差を抑制して正確な
流量計測を行うことが可能となる。
【0032】第3実施形態 次に、本発明の流量計の脈動吸収構造の第3実施形態を
図5に基づいて説明する。図5に示すように、本実施形
態の脈動吸収機構は、周囲の一部または全部が第1筐体
8の内壁面に固定された弾性部材73で構成されてい
る。ここで、弾性部材73は、流体の圧力によって面が
伸縮して変化する例えばゴム等であり、その取り付け
は、第1上流室5および第1下流室6間の流体の移動が
極力抑えられるような構造であれば良い。
【0033】前記弾性部材73は、第1上流室5および
第1下流室6間の圧力差によってその断面形状を変形さ
せ、第1上流室5および第1下流室6のそれぞれの体積
を変化させるので、第1実施形態(図3参照)と同様の
脈動吸収機構の原理により説明され得る。すなわち、流
路中に圧力変動や流速変動による脈動流が生じても、弾
性部材73の面の変形による第1上流室5および第1下
流室6の体積変化によって脈動流が吸収され、第2筐体
9内の計量測定部2(第2上流室3および第2下流室
4)における圧力変動や流速変動による脈動流の影響を
軽減することができるので、計測誤差を抑制して正確な
流量計測を行うことが可能となる。
【0034】第4実施形態 次に、本発明の流量計の脈動吸収構造の第4実施形態を
図6に基づいて説明する。図6に示すように、本実施形
態の脈動吸収機構は、第1筐体8の内壁面を回転移動す
る回転部材74で構成されている。ここで、回転部材7
4は、例えば、その周囲が第1筐体8の内壁面に略密着
して一定の滑り摩擦を持ちつつ滑らかに回転可能な球体
であり、第1上流室5および第1下流室6間の流体の移
動が極力抑えられるものであれば良い。
【0035】前記回転部材74は、第1上流室5および
第1下流室6間の圧力差によって回転移動して、第1上
流室5および第1下流室6のそれぞれの体積を変化させ
るので、第1実施形態(図3参照)と同様の脈動吸収機
構の原理により説明され得る。すなわち、流路中に圧力
変動や流速変動による脈動流が生じても回転部材74の
位置変動によって脈動流が吸収され、第2筐体9内の計
量測定部2(第2上流室3および第2下流室4)におけ
る圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽減するこ
とができるので、計測誤差を抑制して正確な流量計測を
行うことが可能となる。
【0036】第5実施形態 次に、本発明の流量計の脈動吸収構造の第5実施形態を
図7に基づいて説明する。図7に示すように、本実施形
態の脈動吸収機構は、周囲の一部または全部が第1筐体
8の内壁面に固定された多孔質部材75で構成されてい
る。ここで、多孔質部材75は、例えばスポンジ等のき
めの細かい多孔質材によるものであり、その取り付け
は、第1上流室5および第1下流室6間の流体の移動が
極力抑えられるような構造であれば良い。
【0037】前記多孔質部材75は、第1上流室5およ
び第1下流室6間の圧力差がある場合、きめの細かい多
孔質の小さなすき間を介した微量の流れによって第1上
流室5および第1下流室6間の圧力差を吸収するので、
流路中に圧力変動や流速変動による脈動流が生じても、
第2筐体9内の計量測定部2(第2上流室3および第2
下流室4)における圧力変動や流速変動による脈動流の
影響を軽減することができるので、計測誤差を抑制して
正確な流量計測を行うことが可能となる。なお、多孔質
の小さなすき間を介した微量の流れは、計量測定部2に
よる計測に影響を与える程度のものではない。
【0038】第6実施形態 さらに、本発明の流量計の脈動吸収構造の第6実施形態
を図8に基づいて説明する。図8に示すように、本実施
形態の脈動吸収機構は、周囲の一部または全部が第1筐
体9の内壁面に固定された第1膜部材76aおよび第2
膜部材76bで構成されている。第1膜部材76aおよ
び第2膜部材76bの間の中間物質76cは、例えば空
気、油、水等の流体やゲル状物質(例えば、一般に耐震
材として使用されている物質が望ましい。)であれば良
く、被測定流体の圧力によって膜面が変化する構造であ
れば良い。また、第1膜部材76aおよび第2膜部材7
6bを剛体板として、2枚の剛体板間をばね等の弾性部
材で結合した構造も考えられる。
【0039】前記第1膜部材76aおよび第2膜部材7
6bは、第1上流室5および第1下流室6間の圧力差に
よって該膜面または第1膜部材76aおよび第2膜部材
76b間の距離が変化して、第1上流室5および第1下
流室6のそれぞれの体積を変化させるので、第1実施形
態(図3参照)と同様の脈動吸収機構の原理により説明
され得る。すなわち、流路中に圧力変動や流速変動によ
る脈動流が生じても、第2筐体9内の計量測定部2(第
2上流室3および第2下流室4)における圧力変動や流
速変動による脈動流の影響を軽減することができるの
で、計測誤差を抑制して正確な流量計測を行うことが可
能となる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明の流量計の脈
動吸収構造によれば、第1上流室、第1下流室、第2上
流室および第2下流室の4室を備えており、第2上流室
および第2下流室の間に配された計量測定部により間欠
的に計測して積算流量を推測する。また、第1筐体内
で、第1上流室および第1下流室を仕切る流体脈動吸収
機構は、第1上流室および第1下流室間の圧力差によっ
てその形状または位置を変化させるので、流路中に圧力
変動や流速変動による脈動流が生じても該流体脈動吸収
機構によって吸収される。したがって、第2筐体内の計
量測定部における圧力変動や流速変動による脈動流の影
響を軽減することができ、計測誤差を抑制して正確な流
量計測を行うことができる。
【0041】また、上記流量計の脈動吸収構造におい
て、前記脈動吸収機構が第1筐体の内壁面を摺動する移
動部材により構成されており、移動部材が第1上流室お
よび第1下流室間の圧力差によってピストン運動をして
その位置を変化させる。したがって、流路中に圧力変動
や流速変動による脈動流が生じても該移動部材の位置変
動によって吸収され、第2筐体内の計量測定部における
圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽減すること
ができ、計測誤差を抑制して正確な流量計測を行うこと
ができる。
【0042】また、上記流量計の脈動吸収構造におい
て、前記脈動吸収機構が移動部材と第1筐体の内壁面に
密着して該移動部材の周囲の一部または全部を固定する
弾性部材とで構成されており、第1上流室および第1下
流室間の圧力差によって移動部材の周囲の一部または全
部を固定する弾性部材が変形し移動部材の位置を変化さ
せる。したがって、流路中に圧力変動や流速変動による
脈動流が生じても該移動部材の位置変動によって吸収さ
れ、第2筐体内の計量測定部における圧力変動や流速変
動による脈動流の影響を軽減することができ、計測誤差
を抑制して正確な流量計測を行うことができる。
【0043】また、上記流量計の脈動吸収構造におい
て、前記脈動吸収機構が周囲の一部または全部を第1筐
体の内壁面に固定された弾性部材で構成されており、弾
性部材が第1上流室および第1下流室間の圧力差によっ
てその面を変形させる。したがって、流路中に圧力変動
や流速変動による脈動流が生じても、該弾性部材の面の
変形による第1上流室および第1下流室の体積変化によ
って吸収され、第2筐体内の計量測定部における圧力変
動や流速変動による脈動流の影響を軽減することがで
き、計測誤差を抑制して正確な流量計測を行うことがで
きる。
【0044】また、上記流量計の脈動吸収構造におい
て、前記脈動吸収機構が第1筐体の内壁面を回転移動す
る回転部材で構成されており、回転部材が第1上流室お
よび第1下流室間の圧力差によって回転移動する。した
がって、流路中に圧力変動や流速変動による脈動流が生
じても該回転部材の位置変動によって吸収され、第2筐
体内の計量測定部における圧力変動や流速変動による脈
動流の影響を軽減することができ、計測誤差を抑制して
正確な流量計測を行うことができる。
【0045】また、上記流量計の脈動吸収構造におい
て、前記脈動吸収機構が周囲の一部または全部が第1筐
体の内壁面に固定された多孔質部材で構成されており、
第1上流室および第1下流室間の圧力差がある場合、多
孔質部材の小さなすき間を介した微量の流れによって第
1上流室および第1下流室間の圧力差を吸収する。した
がって、流路中に圧力変動や流速変動による脈動流が生
じても、第2筐体内の計量測定部における圧力変動や流
速変動による脈動流の影響を軽減することができ、計測
誤差を抑制して正確な流量計測を行うことができる。
【0046】さらに、上記流量計の脈動吸収構造におい
て、前記脈動吸収機構が周囲の一部または全部が第1筐
体の内壁面に固定された第1膜部材および第2膜部材で
構成されており、第1上流室および第1下流室間の圧力
差によって該膜面または第1膜部材および第2膜部材間
の距離を変化させて第1上流室および第1下流室間の圧
力差を吸収する。したがって、流路中に圧力変動や流速
変動による脈動流が生じても、第2筐体内の計量測定部
における圧力変動や流速変動による脈動流の影響を軽減
することができ、計測誤差を抑制して正確な流量計測を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流量計の脈動吸収構造の第1実施形態
を示す概略図である。
【図2】図1における作動を説明する説明図である。
【図3】本発明の流量計の脈動吸収構造の原理を説明す
る説明図である。
【図4】本発明の流量計の脈動吸収構造の第2実施形態
を示す概略図である。
【図5】本発明の流量計の脈動吸収構造の第3実施形態
を示す概略図である。
【図6】本発明の流量計の脈動吸収構造の第4実施形態
を示す概略図である。
【図7】本発明の流量計の脈動吸収構造の第5実施形態
を示す概略図である。
【図8】本発明の流量計の脈動吸収構造の第6実施形態
を示す概略図である。
【図9】従来の流量計の脈動吸収構造を示す概略図であ
る。
【図10】流量計の脈動流の影響を説明するブロック図
である。
【図11】脈動流による計測誤差を説明する説明図であ
る。
【符号の説明】
1A〜1F 流量計 2 計量測定部 3 第2上流室 4 第2下流室 5 第1上流室 6 第1下流室 7 脈動吸収機構 8 第1筐体 9 第2筐体 11 流入口 12 流出口 13 第1開口部 14 第2開口部 21、23 音響トランスジューサ 22 計測用ダクト 71、72a 移動部材 72b、73 弾性部材 74 回転部材 75 多孔質部材 76a、76b 膜部材 76c 中間物質

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定流路中の流体流速を間欠的に計測し
    て積算流量を推測する流量計の脈動吸収構造において、 前記流量計としての流入口を有する第1上流室と、該流
    量計としての流出口を有する第1下流室を備え、前記第
    1上流室前記第1下流室との間を流体脈動吸収機構に
    よって実効的に隔絶して成る第1筐体と、第1開口部を介して前記第1上流室と連通する第2上流
    室と、第2開口部を介して前記第1下流室と連通する第
    2下流室を備え、前記第2上流室と前記第2下流室との
    間を計量測定部を介して連結するより所定の計測流路を
    画成して成る第2筐体とを具備し、 前記第1上流室、第2上流室、第2下流室および前記第
    1下流室が、順次実質的に直列状の流路を形成し、且つ
    前記第1上流室と前記第1下流室との間に配設した前記
    流体脈動吸収機構によって前記第2上流室と前記第2下
    流室との間に配設した前記計量測定部における所定の計
    測流路中の流体脈動を軽減させることを特徴とする流量
    計の脈動吸収構造
  2. 【請求項2】 前記脈動吸収機構が、前記第1上流室お
    よび前記第1下流室間の圧力差によって前記第1筐体の
    内壁面を摺動する移動部材を備えることを特徴とする請
    求項1に記載の流量計の脈動吸収構造。
  3. 【請求項3】 前記脈動吸収機構が、前記第1上流室お
    よび前記第1下流室間の圧力差によって移動する移動部
    材と、前記第1筐体の内壁面に密着して前記移動部材の
    周囲の一部または全部を固定する弾性部材とを備えるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の流量計の脈動吸収構
    造。
  4. 【請求項4】 前記脈動吸収機構が、周囲の一部または
    全部が前記第1筐体の内壁面に固定され、前記第1上流
    室および前記第1下流室間の圧力差によって面を変形さ
    せる弾性部材を備えることを特徴とする請求項1に記載
    の流量計の脈動吸収構造。
  5. 【請求項5】 前記脈動吸収機構が、前記第1上流室お
    よび前記第1下流室間の圧力差によって前記第1筐体の
    内壁面を回転移動する回転部材を備えることを特徴とす
    る請求項1に記載の流量計の脈動吸収構造。
  6. 【請求項6】 前記脈動吸収機構が、周囲の一部または
    全部が前記第1筐体の内壁面に固定された多孔質部材を
    備えることを特徴とする請求項1に記載の流量計の脈動
    吸収構造。
  7. 【請求項7】 前記脈動吸収機構が、周囲の一部または
    全部が前記第1筐体の内壁面に固定された第1膜部材お
    よび第2膜部材を備え、前記第1上流室および前記第1
    下流室間の圧力差によって前記第1膜部材および前記第
    2膜部材の膜面または前記第1膜部材および前記第2膜
    部材間の距離を変化させることを特徴とする請求項1に
    記載の流量計の脈動吸収構造。
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