JP3383099B2 - 高耐食性焼結製品 - Google Patents
高耐食性焼結製品Info
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Description
焼結によって得られる高耐食性焼結製品に関する。 【0002】 【従来の技術】焼結用ステンレス鋼粉末は、従来JIS
規格に準じた化学組成を有している。オーステナイト系
とフェライト系の2種類については、各々Ti,Nb,
Ta等の炭化物生成元素が加えられたものもある。これ
らの元素はCrより炭化物生成能力が高いため、Cr炭
化物の生成を抑制し、耐食性の劣化を防止する効果があ
る。そして、これらの元素の添加量は残留C量とのバラ
ンスを考慮し、1%以下に抑えられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ステンレス鋼の焼結に
は、真空雰囲気下で行なう方法と、分解NH3又はN2
雰囲気等のN2を含有する雰囲気の大気圧下で行なう方
法とがある。真空焼結では、Cr,Mn等蒸気圧の高い
合金元素が蒸発し、焼結材の性能を劣化するとともに、
焼結炉内にも蒸着し、極めて有害である。このことを防
止するため、N2又はArガスの減圧下で焼結されるこ
とが一般的である。さらに焼結終了後の冷却過程で冷却
時間を短縮し、生産性を向上させるため、焼結温度よ
り、N2又はArの加圧ガスを循環させる方法がある。
しかし、Arガスは極めて高価で経済的とは言えず、工
業的にはN2ガスの方が好ましい。N2減圧焼結−N2
加圧冷却法においても、又、N2を含有する雰囲気の大
気圧下での焼結においても、多量のN2が多孔質体であ
る焼結体に吸収され、ステンレス鋼中のCrと反応し、
Cr2NもしくはCrNを生成する。Cr窒化物の生成
は、その生成物周辺にCr欠乏相が発生することを意味
し、その結果著しく耐食性を劣化させる。そこで、本発
明では吸収されたN2がCr窒化物を生成しないように
して、焼結体の耐食性を向上せしめることを目的とす
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、Nb、Tiもしく
はZrの内1種又は2種以上を1.0%を越え3%以下含
有するフェライトーオーステナイト2相系ステンレス鋼
組成の粉末を窒素含有雰囲気下にて焼結し、さらに窒素
雰囲気下で冷却して得られることを特徴とする高耐食性
焼結製品である。本発明では、従来知られているフェラ
イトーオーステナイト2相系のステンレス鋼組成の粉末
に、Crよりも窒化物生成能力の高いNb、Ti、Zrの内の1
種もしくは2種以上の合計で従来知られている量の1%
を超え3%以下含有させて焼結することで、N2含有雰囲
気下で焼結されても、焼結体中に吸収されたN2はCr窒化
物を形成することなく、優先的にNb、TiもしくはZrの窒
化物を生成するため、局部的なCr欠乏相の生成を抑制
し、耐食性の劣化を防止し、かつ、本来の合金組成の特
性を維持することが可能となる。本発明におけるNb、T
i、Zrのいずれの元素もCrより窒化物生成の自由エネル
ギーが低く、Crよりも優先的に窒化物を生成する。N2含
有雰囲気で焼結した場合、2000ppm以上のN2が吸
収される。このN2をNb、Ti、Zrの窒化物として固定する
ためには、1種又は2種以上の合計で1.0%を超える
含有量が必要である。しかし、3%を超えると粉末の酸
化が著しくなり、さらに粉末が硬くなって、圧縮性が劣
化する。そして、焼結に次いで冷却も窒素含有雰囲気で
行うことにより、冷却時間を短縮し、生産性を向上する
ことができる。 【0005】 【実施例】表1に示す本発明鋼粉2種(01〜02)と
比較鋼粉2種(11〜12)の計4種の合金材料の溶湯
により水アトマイズ法によってそれぞれの粉末を作製し
た。本発明鋼粉2種は、フェライト−オーステナイト2
相系2種に本発明の限定範囲であるNb,Tiもしくは
Zrの内1種もしくは2種以上の合計で1.0%を超え
3.0%以下が合金化されている。比較鋼粉は本発明鋼
の各々にNb,Ti又はZr以外の組成は対応するよう
に(01に対し11,02に対し12)に作製されてい
るが、Nb,Ti又はZrは本発明の成分限定範囲を下
限もしくは上限で逸脱している。フェライト−オーステ
ナイト2相系の粉末すなわち、01,02,11,12
の4種の粉末は、圧延性を改善する目的で真空雰囲気
下、850℃で加熱後20℃/hの冷却速度で冷却し
て、焼鈍処理した。 【0006】【表1】 【0007】次に各粉末に潤滑剤として、ステアリン酸
亜鉛を1%添加して混合し、7T/cm2の圧力にて1
1.3mm径×10mm高さの円筒形状に金型成形し、
その圧粉密度比(圧粉体の密度/その合金の理論密度)
を測定した。その結果も表1に示すが、Nbが成分限定
範囲の3.0%を超えた比較鋼粉では粉末が硬くなり、
成形が不可能となった。上記粉末を圧粉密度比で80%
となるような成形圧力で30mm径×5mm厚の形状に
成形した。これらを表2に示すとおりN2減圧下で焼結
し、冷却時にN2を加圧し急冷する方法、N 2大気圧下
での焼結と冷却の2種の雰囲気を採用した。焼結温度は
1200℃×1時間とした。当然、本発明鋼の各々と対
応する比較鋼は同一条件に揃えてある。 【0008】【表2】 【0009】焼結後の材料の密度比(焼結密度/その合
金の理論密度)とN2含有量を表3に示す。 【0010】【表3】 【0011】焼結雰囲気中N2分圧、および焼結温度に
より窒素含有量は異なるが、いずれも2000ppm以
上の多量のN2ガスが含有されている。焼結密度は概ね
88〜90%に調整されている。これらの焼結試料を腐
食試験に供した。腐食試験はJIS Z 2371に基
づく塩水噴霧試験方法により暴露時間200時間後の観
察を行なった。表3にその結果を示す。なお、表3中塩
水噴霧試験結果は、A:発錆なし、B:発錆率50%超
である。材料本来の耐食性は、Cr,Mo,Niの含有
量によって決定されるが、窒素含有雰囲気で焼結された
材料においては、Nb,TiもしくはZrの含有量が、
本発明の限定成分範囲を逸脱している比較鋼No.1
1、12は、Cr,Mo,Niの含有量に関わりなく、
50%を超える発錆率を呈し、評価はBである。一方、
Nb,TiもしくはZrの含有量が本発明の限定成分範
囲内にあるNo.01、02では、いずれも発錆がな
く、評価としてはAと、比較鋼に比べ格段に耐食性は向
上している。又、Nb,Ti,Zr等の窒化物は微細に
析出するため、機械的特性にもなんら問題は生じない。 【0012】 【発明の効果】本発明により、経済的に極めて有利なN
2ガスを利用し、使用炉に危害を与えることなく、さら
に冷却時間を短縮し、生産性を向上することが可能にな
った。又、N2ガス含有雰囲気下での焼結で多量のN2
が焼結材に吸収されるにも拘らず、Cr窒化物の生成ガ
スが抑制されるため、従来材に比べ耐食性が大幅に改善
される。したがって、工業的に極めて有利な窒素含有雰
囲気焼結により、自動車等の用途として、焼結ステンレ
ス部品の製造が可能となった。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 Nb、TiもしくはZrの内1種又は2種以上
を1.0%を越え3%以下含有するフェライトーオース
テナイト2相系ステンレス鋼組成の粉末を窒素含有雰囲
気下にて焼結し、さらに窒素含有雰囲気下にて冷却して
得られることを特徴とする高耐食性焼結製品。
Priority Applications (1)
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JP32798694A JP3383099B2 (ja) | 1994-12-28 | 1994-12-28 | 高耐食性焼結製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32798694A JP3383099B2 (ja) | 1994-12-28 | 1994-12-28 | 高耐食性焼結製品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08176603A JPH08176603A (ja) | 1996-07-09 |
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Family
ID=18205228
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32798694A Expired - Fee Related JP3383099B2 (ja) | 1994-12-28 | 1994-12-28 | 高耐食性焼結製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (6)
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-
1994
- 1994-12-28 JP JP32798694A patent/JP3383099B2/ja not_active Expired - Fee Related
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