JP3380921B2 - 結晶中のひずみの測定方法 - Google Patents

結晶中のひずみの測定方法

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JP3380921B2 JP25948093A JP25948093A JP3380921B2 JP 3380921 B2 JP3380921 B2 JP 3380921B2 JP 25948093 A JP25948093 A JP 25948093A JP 25948093 A JP25948093 A JP 25948093A JP 3380921 B2 JP3380921 B2 JP 3380921B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、結晶中のひずみの測
定方法に関し、例えば、シリコンをはじめとする半導体
基板などの各種の単結晶材料に導入された微小ひずみの
測定に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の高性能化を図るためには、
素子が形成される半導体基板中の不純物濃度の均一化が
不可欠であり、一方でその均一性の精密な計測技術の開
発も重要な課題である。
【0003】従来、半導体基板中の不純物分布を測定す
る手法としては、広がり抵抗測定のような電気的な手
法、赤外吸収のような光学的な手法などが知られている
が、基板結晶中への不純物の混入が結晶に微小なひずみ
を与えることから、ひずみ分布を正確に測定することに
よっても、不純物濃度の均一性の情報を得ることができ
る。特に、超LSI製造用として供されるシリコン単結
晶基板においては、転位のような構造欠陥が全く存在せ
ず、他にひずみを与える要因がないので、このひずみ分
布の測定による不純物分布の測定方法は非常に有利な方
法と言える。
【0004】単結晶材料中のひずみ分布を観察する方法
の一つとして、X線トポグラフィと呼ばれる方法が知ら
れている。この方法では、波長が定められた特性X線を
試料単結晶に入射させてブラッグ反射を起こさせ、試料
より出てくる回折X線を写真乾板などの記録媒体に記録
する。この場合、単結晶中にひずみが存在すれば、ひず
みが存在しない場合に比べてブラッグ角がずれ、写真乾
板などの記録媒体に記録される回折像のコントラストに
差が生じることにより、ひずみの存在が認識される。
【0005】さて、一般に、単結晶中に存在するひずみ
は二つの成分で記述される。すなわち、結晶格子面間隔
(d)のずれ(Δd/d)と格子面の傾き(Δα)であ
る。ひずみの大きさを定量するためには、この二つの成
分を分離して測定する必要がある。その方法として、従
来、X線トポグラフィによる以下のような方法が知られ
ている(Jpn. J. Appl. Phys., 5, 1047(1966)およびJ.
Electrochem. Soc.,135,1779(1988))。
【0006】この方法によれば、X線トポグラフィの光
学系において、入射X線と試料との位置関係を180°
変化させた二通りの配置、すなわち、入射X線の方向を
固定して試料をその表面の法線のまわりで180°回転
させた二通りの試料配置で、試料から出てくる回折X線
強度の変化を測定し、次式からΔd/dとΔαとを求め
る。
【0007】 Δd/d=(ΔI0 +ΔI180 )/(2k・tanθB ) (1) Δα=(ΔI0 −ΔI180 )/2k (2) ここで、ΔI0 、ΔI180 はそれぞれの試料配置での回
折X線強度の相対的な変化、θB はブラッグ角、kは回
折X線強度のX線入射角に対する変化率である。このk
は、ひずみによる角度位置の変化を回折X線強度の変化
で表すためのパラメータである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の(1)、(2)
式よりΔd/dとΔαとを求めるためにはkの値を求め
ておく必要がある。このために、上記の文献(J. Elect
rochem. Soc., 135,1779(1988))においては、試料をブ
ラッグ角のまわりで微小回転させることにより得られる
回折X線強度曲線の肩の部分を直線で近似し、その傾き
からkの値を求めるようにしている。しかし、この方法
では、ひずみの検出感度を上げるために、X線波長を短
くし、かつ高次反射を用いる測定条件にすると、回折X
線強度曲線の角度幅が著しく狭くなり、上述の直線近似
の適用が困難になるという不都合が生じ、無理に適用す
れば誤差が大きくなってしまうという欠点がある。
【0009】従って、この発明の目的は、結晶中のひず
みを高精度でしかも簡単に測定することができる結晶中
のひずみの測定方法を提供することにある。
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明による結晶中のひずみの測定方法は、X線
トポグラフィの光学系を用いて、ひずみを測定すべき結
晶(6)のX線入射角に対する回折X線強度の変化を測
定し、回折X線強度の変化を選択された関数を用いて近
似し、選択された関数の逆関数の値をX線入射角に対し
てプロットすることにより得られるプロット曲線の傾き
から、X線入射角に対してリニアな回折X線強度の変化
の変化率を求め、結晶(6)より得られるX線トポグラ
フから求められる回折X線強度の場所的変化を結晶
(6)におけるブラッグ角のずれに変換するようにして
いる。
【0012】この発明による結晶中のひずみの測定方法
の好適な一実施形態においては、選択された関数は指数
関数である。
【0013】この発明による結晶中のひずみの測定方法
の好適な一実施形態においては、結晶は半導体結晶であ
る。
【0014】この発明による結晶中のひずみの測定方法
の好適な一実施形態においては、X線トポグラフィにお
いて用いられるX線はシンクロトロン放射光であり、X
線検出器はイメージング・プレートである。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【作用】上述のように構成されたこの発明による結晶中
のひずみの測定方法によれば、試料結晶上の基準点rの
回折X線強度曲線を測定し、その高角または低角側の肩
の部分の角度領域の回折X線強度Ir を適当な関数f
(x)を用いて次式のように表現する。この関数f
(x)は物理的に意味があるものである必要はない。 Ir =f(x)=f(k´θ+λ) (3) ここで、xはX線入射角θの一次式k´θ+λである。
ただし、k´、λは定数である。
【0020】(3)式よりf(x)の逆関数、すなわち
-1(Ir )を求めると、 f-1(Ir )=k´θ+λ (4) のようになる。従って、f-1(Ir )の値をθに対して
プロットすれば、そのプロットにより得られる直線の傾
きから、角度位置θに対するf-1(Ir )の変化率k´
を求めることができる。
【0021】具体的なひずみ測定においては、測定点m
と基準点rとの間の回折X線強度曲線のずれをf-1(I
m )−f-1(Ir )から求める。すなわち、(1)、
(2)式を変形すると、次式が得られる。
【0022】 Δd/d={(f-1(I0m)−f-1(I0r))+(f-1(I180m)− f-1(I180r))}/(2k´・tanθB ) (5) Δα={(f-1(I0m)−f-1(I0r))−(f-1(I180m)− f-1(I180r))}/2k´ (6) (5)、(6)式より、結晶中のひずみの二つの成分Δ
d/dとΔαとを求めることができる。
【0023】この方法によれば、ひずみの検出感度を上
げるために、X線波長を短くし、かつ高次反射を用いる
測定条件にしても、直線近似の適用が可能である。
【0024】また、選択された関数として指数関数を用
いる場合、その逆関数は対数関数となるので、取り扱い
が容易である。
【0025】また、半導体結晶としては転位のような構
造欠陥が全く存在しないものが得られているので、ひず
み分布の測定による不純物分布の測定を高精度で行うこ
とができる。
【0026】さらに、イメージング・プレートはX線強
度に対するリニアリティが良いことから、ひずみ測定に
必要なX線入射角に対する回折X線強度の変化を正確に
測定することができるなどの利点が得られる。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。なお、実施例の全図において、同一
または対応する部分には同一の符号を付す。図1はこの
発明の第1実施例において用いられるX線トポグラフィ
の光学系を示す。
【0031】図1に示すように、この光学系において
は、所定のX線源(図示せず)から得られるX線1をプ
リモノクロメータとしての二結晶モノクロメータ2に入
射させて単色化し、この単色化されたX線1をスリット
3および吸収板4を介してコリメータ5に入射させて平
行ビーム化し、この平行ビーム化された単色のX線1を
ひずみを測定すべき試料結晶6に入射させ、この試料結
晶6から出てくる回折X線を、記録媒体としての二次元
のX線検出器であるイメージング・プレート7で検出し
てX線トポグラフを得る。
【0032】この第1実施例においては、X線1とし
て、シンクロトロン放射光を用いる。このシンクロトロ
ン放射光としてはどのようなものを用いてもよいが、こ
こでは、文部省高エネルギー物理学研究所の放射光実験
施設BL15Cにおける2.5GeVのストレージリン
グから放射されたシンクロトロン放射光を用いた。ま
た、二結晶モノクロメータ2としては、浮遊帯(FZ)
法により成長された二枚の(111)シリコン単結晶を
用い、波長λ=0.1126nmで対称111反射が生
じるように配置した。コリメータ5としては、FZ法に
より成長された(111)シリコン単結晶を用い、非対
称800反射が生じるように配置した。このコリメータ
5からは、大きなサイズ(50mm×50mm)で、か
つ発散角が約0.1の平行なX線ビームが得られた。
このように発散角が極めて小さいことから、試料結晶6
に入射するX線は平面波とみなすことができる。また、
イメージング・プレート7としては、例えば、サイズが
102mm×127mmの高分解能型のものを用いた。
【0033】試料結晶6としては、磁場印加チョクラル
スキー(MCZ)法により成長された厚さ10mm、酸
素濃度14×1017原子/cm3 で表面方位[100]
のシリコン単結晶(成長方向は[001])を用いた。
そして、この試料結晶6を、ブラッグ配置で対称800
反射が生じるように配置した。
【0034】この第1実施例においては、X線検出器と
してイメージング・プレート7を用いているが、このイ
メージング・プレート7は、X線検出感度が高く、X線
強度に対するリニアリティが良く、露光のダイナミック
・レンジが広いなどの定量的なX線強度測定を行う上で
特に望まれる利点があるほか、このイメージング・プレ
ート7に記録されるX線強度変化を電気信号に変換して
コンピュータによるデータ処理を容易に行うことができ
るという利点がある。
【0035】一方、このようにイメージング・プレート
7を用いる場合には、X線1として用いられる上記のシ
ンクロトロン放射光の強度は高すぎるため、露光時間を
制御してイメージング・プレート7の露光を行うことが
困難であることから、図1に示すように、二結晶モノク
ロメータ2とコリメータ5との間に吸収板4を入れて強
度を減衰させている。この吸収板4としては、例えば、
厚さが1mmのアルミニウム板が用いられる。このよう
な吸収板4を用いることによって、イメージング・プレ
ート7の位置におけるX線の強度は約1%に減衰され
る。このときのイメージング・プレート7の露光時間は
わずか1分である。
【0036】図2は、図1に示すX線トポグラフィの光
学系を用いて、試料結晶6、すなわちシリコン単結晶に
X線1を入射させて、800反射を起こさせたときに得
られた回折X線強度曲線を示す。図2の縦軸は回折X線
強度(I)でリニアスケールである。ここで、回折X線
強度の測定はシンチレーション・カウンタを用いて行っ
た。
【0037】図2に示す回折X線強度曲線の低角側の肩
の部分を指数関数を用いて I=exp(k´θ+λ) (7) のように近似すると、その逆関数である対数関数log
(I)のプロットを容易に得ることができる。図3にそ
の結果を、もとの回折X線強度曲線Iとともに示す。図
3より、log(I)はIに比べてθに対するリニアリ
ティが良いことがわかる。このことから、X線入射角に
対してリニアな回折X線強度の変化の変化率のパラメー
タk´を、より広い角度範囲で決定することができるこ
とが明らかである。
【0038】次に、以上の原理に基づいてパラメータk
´を決定し、試料結晶6中のひずみの二つの成分(Δd
/d、Δα)の結晶成長方向([001])の変化を具
体的に求めた例について説明する。
【0039】すなわち、まず、例えば図4Aに示すよう
な試料配置で、図2に示す回折X線強度曲線の低角側の
−0.3″〜−0.1″において0.05″おきに、試
料結晶6から得られるX線回折像、すなわちX線トポグ
ラフをイメージング・プレート7に記録する。図4Aに
おいて、符号8は試料結晶6中に存在する成長ストリエ
ーション(酸素ストリエーション)を示す。この場合、
試料結晶6の表面への入射X線1の射影はこの成長スト
リエーションに対して垂直である。
【0040】イメージング・プレート7においては、入
射する回折X線の強度がリニアに画像信号強度
(IPSL )として記録される。試料結晶6の結晶成長方
向のIPSL の場所的な変化の測定例を図5に示す。
【0041】イメージング・プレート7から読み取られ
た画像信号強度IPSL を対数的に増幅することにより、
log(IPSL )を計算することができる。このように
して求められた試料結晶6の結晶成長方向のlog(I
PSL )の場所的な変化の例を図6に示す。
【0042】図5に示すIPSL の変化のプロファイルお
よび図6に示すlog(IPSL )の変化のプロファイル
は、試料結晶6中に含まれる微量な不純物酸素の濃度の
変化による成長ストリエーション8、すなわち酸素スト
リエーションに起因するものである。
【0043】図7は、図6における変化の山と谷の位置
でのlog(IPSL )を角度に対してプロットし、その
角度依存性を求めたものである。図7から明らかなよう
に、log(IPSL )の角度に対するプロット曲線は直
線で近似することができ、この直線の傾きからパラメー
タk´を決定することができる。
【0044】次に、試料結晶6の表面の法線のまわりで
180°回転させた関係にある図4Bに示すような試料
配置で、図2の回折X線強度曲線の低角側の−0.3″
〜−0.1″において0.05″おきに、試料結晶6か
ら得られるX線トポグラフを記録し、上述と同様にして
この場合のパラメータk´を決定する。
【0045】この後、(5)、(6)式を用いて、試料
結晶6中のひずみの二つの成分(Δd/d、Δα)を計
算する。図8に、このようにして求めた試料結晶6中の
ひずみの二つの成分(Δd/d、Δα)の場所的な変化
の例を示す。なお、比較のために、イメージング・プレ
ート7の代わりに写真乾板を用いた場合における同様な
結果を図9に示す。
【0046】図8に示すように、Δd/dはほぼ0〜1
×10-7、またΔαはほぼ0〜4×10-7radであ
り、それらの周期は約200μmであることがわかる。
一方、図9の場合は、Δd/dとΔαとの変化は図8の
場合とかなり良く一致しているが、Δαの絶対値は非常
に異なっていることがわかる。この結果は、この第1実
施例によるひずみ測定方法が、試料結晶6、すなわちシ
リコン単結晶中の成長ストリエーションにより生じた局
所的な格子ひずみを測定するのに十分な空間分解能を有
することを示すものである。
【0047】以上のように、この第1実施例によれば、
図1に示すX線トポグラフィの光学系を用いて試料結晶
6から得られる、図2に示すような回折X線強度曲線の
低角側の部分を(7)式で示すような指数関数で近似
し、この指数関数の逆関数であるlog(I)の値を図
7に示すようにθに対してプロットすることにより得ら
れる直線の傾きよりパラメータk´を決定し、このk´
を用いて(5)、(6)式の計算を行うことにより、試
料結晶6中のひずみの二つの成分(Δd/d、Δα)を
高精度でしかも簡単に測定することができる。
【0048】すでに述べたように、試料結晶中のひずみ
は基準点と測定点との回折X線強度の差から求めるが、
位置分解能は回折X線の記録媒体とその記録情報の読み
取り方法とに依存する。この記録媒体として第1実施例
のようにイメージング・プレート7を用いた場合、その
読み取り装置の最小ピクセルのサイズは50μm×50
μmであるが、その輝尽性蛍光体層における読み取り用
レーザー光の散乱のために、実質的な位置分解能はせい
ぜい75μmである。そこで、次に、より高い位置分解
能でひずみを測定することができる第2実施例について
説明する。
【0049】図10はこの発明の第2実施例において用
いられるX線トポグラフィの光学系を示す。図10に示
すように、この光学系においては、所定のX線源(図示
せず)から得られるX線1を二結晶モノクロメータ2に
入射させて単色化し、この単色化されたX線1をスリッ
ト3および吸収板4を介してコリメータ5に入射させて
平行ビーム化し、この平行ビーム化された単色のX線1
をひずみを測定すべき試料結晶6に入射させる。ここま
では、第1実施例と同様である。
【0050】この第2実施例においては、上述のように
してX線1が試料結晶6に入射することによりこの試料
結晶6から出てくる回折X線の全部または一部を、スリ
ット9を通してX線像拡大用結晶10に入射させ、この
X線像拡大用結晶10から出てくる回折X線を、記録媒
体としての二次元のX線検出器であるイメージング・プ
レート7で検出してX線トポグラフを得る。
【0051】この第2実施例においては、X線1とし
て、第1実施例と同様なシンクロトロン放射光を用い
る。二結晶モノクロメータ2およびコリメータ5として
も、第1実施例と同様なものを用いる。第1実施例にお
けると同様に、コリメータ5からは、波長λ=0.11
26nmの、大きなサイズ(50mm×50mm)で、
かつ発散角が約0.1の平行なX線ビームが得られ
た。
【0052】試料結晶6としては、CZ法により成長さ
れた厚さ10mm、酸素濃度20ppmaで表面方位
100のp型シリコン単結晶(成長方向は[00
1])を用いた。そして、この試料結晶6を、ブラッグ
配置で対称800反射が生じるように配置した。
【0053】X線像拡大用結晶10としては、FZ法に
より成長された、表面方位が[111]方向より10°
オフしたシリコン単結晶を1個だけ用いた。そして、こ
のX線像拡大用結晶10を非対称800反射が生じるよ
うに配置した。このとき、試料結晶6から出てくる回折
X線は、X線像拡大用結晶10によって、このX線像拡
大用結晶10へのX線1の入射方向とこのX線像拡大用
結晶10からの回折X線の方向とを含む面、すなわち散
乱面に平行な方向に約5倍に拡大されてイメージング・
プレート7に入る。
【0054】図11は、図10に示すX線トポグラフィ
の光学系を用いて、試料結晶6、すなわちシリコン単結
晶に平行ビーム化された単色のX線1を入射させ、試料
結晶6を微小回転させて800反射を起こさせたときに
得られた回折X線強度曲線を示す。図11の縦軸は回折
X線強度でリニアスケールである。ここで、回折X線強
度の測定は、シンチレーションカウンタを用いて行っ
た。図11には、X線像拡大用結晶10の前にシンチレ
ーションカウンタを設置して測定した回折X線強度曲線
1 と、X線像拡大用結晶10の後にシンチレーション
カウンタを設置して測定した回折X線強度曲線C2 とが
示されている。これらの二つの回折X線強度曲線C1
2 は、それらのピーク強度が一定になるように規格化
されているが、X線像拡大用結晶10を介して得られた
回折X線強度曲線C2 の方が半価幅が狭く、裾部も急峻
となって、ひずみ測定に有利となっていることは明らか
である。
【0055】次に、試料結晶6から出てくる回折X線に
よるX線トポグラフが、X線像拡大用結晶10によって
散乱面に平行な方向に拡大されることを具体的に示した
例について説明する。すなわち、まず、図10に示すX
線トポグラフィの光学系において、図11に示す回折X
線強度曲線C2 の低角側の肩部の一点に、試料結晶6の
角度を固定し、X線像拡大用結晶10を介してX線トポ
グラフをイメージング・プレート7に記録する。このと
きに得られたX線トポグラフを図12に示す。その後、
試料結晶6の直後にイメージング・プレート7を移設
し、このイメージング・プレート7にX線トポグラフを
記録する。このときに得られたX線トポグラフを図13
に示す。
【0056】図12および図13において、黒白のコン
トラストを示す縞模様が、試料結晶6中に存在する成長
ストリエーション(酸素ストリエーション)である。図
10に示すX線トポグラフィの光学系から明らかなよう
に、図12に示すX線トポグラフと図13に示すX線ト
ポグラフとで像の左右が逆転するが、試料結晶6の表面
に付けられた4個のマーカーの図12におけるX線トポ
グラフ像a、b、c、d(図12において白点として観
察される)が、図13におけるX線トポグラフ像a´、
b´、c´、d´(図13において白点として観察され
る)に対応している。図12および図13より、図12
に示すX線トポグラフが、図13に示すX線トポグラフ
に比べて、結晶成長方向(成長ストリエーションに垂直
方向)に約5.3倍拡大されていることは明らかであ
る。
【0057】第1実施例においても述べたように、イメ
ージング・プレート7には、入射する回折X線の強度が
リニアに画像信号強度IPSL として記録される。図12
に示すX線トポグラフおよび図13に示すX線トポグラ
フ上で、結晶成長方向に沿う画像信号強度IPSL の場所
的な変化を測定した結果の一例を図14に示す。図14
において、プロファイルAは、図12より求めたX線像
拡大後に得られた画像信号強度IPSL の場所的な変化を
示し、プロファイルBは、図13より求めたX線像拡大
前に得られた画像信号強度IPSL の場所的な変化を示
す。ここで、プロファイルAの区間x−yがプロファイ
ルBの区間x´−y´に対応する。なお、図14の横軸
はプロファイルAに対する距離を示す。プロファイルA
の区間x−yの画像信号強度IPSL の変化が、プロファ
イルBの区間x´−y´の画像信号強度IPSL の変化を
拡大したものとなっており、より詳細な画像信号強度I
PSLの変化、従って回折X線強度の変化が検知されてい
ることは明らかである。このことは、試料結晶6中のひ
ずみを高い位置分解能で測定することができることを意
味する。
【0058】この第2実施例において、試料結晶6中の
ひずみを実際に測定するためには、第1実施例において
述べたと同様な方法を用いればよい。
【0059】以上のように、この第2実施例によれば、
試料結晶6から出てくる回折X線の全部またはその一部
をX線像拡大用結晶10に入射させ、このX線像拡大用
結晶10から出てくる回折X線をイメージング・プレー
ト7に記録するようにしているので、このイメージング
・プレート7には、試料結晶6から出てくる回折X線に
よるX線トポグラフをX線像拡大用結晶10によって散
乱面に平行な方向に約5倍拡大して記録することができ
る。このため、試料結晶6中の成長ストリエーションな
どに伴う微小ひずみを高い位置分解能で測定することが
できる。
【0060】以上、この発明の実施例につき具体的に説
明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるもの
ではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が
可能である。
【0061】例えば、上述の第1実施例および第2実施
例においては、試料結晶6としてシリコン単結晶を用い
た場合について説明したが、この発明は、シリコン以外
の半導体結晶、さらには半導体以外の各種の結晶におけ
るひずみの測定に適用することも可能である。
【0062】また、上述の第1実施例および第2実施例
においては、X線1としてシンクロトロン放射光を用い
ているが、このX線1としては、シンクロトロン放射光
以外のX線を用いてもよい。
【0063】さらに、X線検出器としては上述の第1実
施例および第2実施例のようにイメージング・プレート
7を用いるのが好ましいが、このX線検出器としては、
場合によっては、原子核乾板などの写真乾板を用いても
よい。特に、第2実施例においては、X線像拡大用結晶
10によりX線トポグラフを拡大することができるの
で、シンチレーションカウンタのような計数管と細孔ま
たは細隙スリットとの組み合わせ(J. Electrochem. So
c. 135(1988)1779) の使用や、原子核乾板とミクロフォ
トメータとの組み合わせ(Defects in Silicon II(199
1)p.65)の使用も有効である。
【0064】また、上述の第2実施例においては、X線
像拡大用結晶10は1個の単結晶から成っていて一次元
の拡大機能を有しているが、2個の単結晶を互いに直交
して配置して二次元の拡大機能をもたせるようにしても
よい(Nucl. Instrum. & Methods 195(1982)355)。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、結晶中のひずみを高精度でしかも簡単に測定するこ
とができる
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例において用いられるX線
トポグラフィの光学系を示す略線図である。
【図2】この発明の第1実施例において試料結晶から得
られる回折X線強度曲線の一例を示すグラフである。
【図3】図2に示す回折X線強度曲線の低角側のプロフ
ァイルおよびこのプロファイルを指数関数で近似してそ
の逆関数である対数関数でプロットし直したプロファイ
ルを併せて示すグラフである。
【図4】この発明の第1実施例における二通りの試料配
置を示す略線図である。
【図5】この発明の第1実施例において試料結晶の角度
位置をパラメータとして得られた試料結晶の結晶成長方
向に沿った回折X線強度の変化を示すグラフである。
【図6】図5の回折X線強度の変化を対数表示したグラ
フである。
【図7】図6の回折X線強度の変化における山と谷の位
置におけるlog(IPSL )をX線入射角に対してプロ
ットしたグラフである。
【図8】この発明の第1実施例において得られた試料結
晶中のひずみの二つの成分の測定結果の一例を示すグラ
フである。
【図9】図1におけるイメージング・プレートの代わり
に写真乾板を用いた場合に得られた試料結晶中のひずみ
の二つの成分の測定結果の一例を示すグラフである。
【図10】この発明の第2実施例において用いられるX
線トポグラフィの光学系を示す略線図である。
【図11】この発明の第2実施例において試料結晶から
得られる回折X線強度曲線の一例を示すグラフである。
【図12】この発明の第2実施例においてX線像拡大用
結晶から出てくる回折X線により得られたX線トポグラ
フを示すX線写真である。
【図13】この発明の第2実施例において試料結晶から
出てくる回折X線により得られたX線トポグラフを示す
X線写真である。
【図14】図12に示すX線トポグラフおよび図13に
示すX線トポグラフ上で結晶成長方向に沿う画像信号強
度の場所的な変化を測定した結果の一例を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 X線 2 二結晶モノクロメータ 5 コリメータ 6 試料結晶 7 イメージング・プレート 8 成長ストリエーション 10 X線像拡大用結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川戸 清爾 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−163646(JP,A) 特開 平4−225151(JP,A) 特開 平3−148055(JP,A) 特開 昭54−95286(JP,A) 特開 昭53−279148(JP,A) 特開 昭60−146136(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/00 - 23/227

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線トポグラフィの光学系を用いて、ひ
    ずみを測定すべき結晶のX線入射角に対する回折X線強
    度の変化を測定し、 上記回折X線強度の変化を選択された関数を用いて近似
    し、 上記選択された関数の逆関数の値を上記X線入射角に対
    してプロットすることにより得られるプロット曲線の傾
    きから、上記X線入射角に対してリニアな上記回折X線
    強度の変化の変化率を求め、 上記結晶より得られるX線トポグラフから求められる回
    折X線強度の場所的変化を上記結晶におけるブラッグ角
    のずれに変換するようにした結晶中のひずみの測定方
    法。
  2. 【請求項2】 上記選択された関数が指数関数であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の結晶中のひずみの測定方
    法。
  3. 【請求項3】 上記結晶が半導体結晶であることを特徴
    とする請求項1または2記載の結晶中のひずみの測定方
    法。
  4. 【請求項4】 X線トポグラフィにおいて用いられるX
    線検出器がイメージング・プレートであることを特徴と
    する請求項1、2または3記載の結晶中のひずみの測定
    方法
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