JP3380523B2 - 標準用白金抵抗温度計の巻枠構造及びこれを用いた標準用白金抵抗温度計並びにその作製方法 - Google Patents

標準用白金抵抗温度計の巻枠構造及びこれを用いた標準用白金抵抗温度計並びにその作製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、国際温度目盛(以
下、ITS−90と称す)の補間計器として中低温域
(−190℃〜約660℃)及び高温域(約660℃〜
約962℃)で使用することができる標準用白金抵抗温
度計において白金抵抗線を巻き付けるための巻枠構造
と、同巻枠を用いて構成される標準用白金抵抗温度計並
びに同温度計の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、中・低温域で使用されている標準
用白金抵抗温度計(0℃で約25オーム)の感温部構造
としては、次の三種のものが代表的なものとして知られ
ている。 スパイラル状にした2本の石英細管内に白金線をコイ
ル状にして挿入したもの。 コイル状にした白金抵抗線bを十字状の石英製巻枠a
に形成した溝にコイル状に巻込んだ二重コイル型(図1
0)。 十字状の雲母巻枠の溝に白金抵抗線を単コイル状に巻
いたもの。 ここで単コイル状とは、通常の白金抵抗線を巻枠に巻き
込んで形成されるコイル形状を指し、他方、二重コイル
型とは2mm以下程度の微細なコイル径を有する小径コ
イル状の白金抵抗線を更に巻枠にコイル状に巻き込んだ
ものを指している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】は構成材質が石英
である細管や十字巻枠を用い、これに約0.07mmの
白金線をコイル状にしたものを内装したり、あるいは二
重コイルにして巻きつけて構成したもので、約660℃
までのITS−90の補間計器として使われているが、
いずれも標準温度計として求められる抵抗値(0℃で2
5オームが一般的)を稼ぐためには、小径且つ短ピッチ
のコイル状にして用いるため機械的衝撃や振動で前記コ
イルが伸び縮み又は変形して抵抗値が変化することがあ
り、取り扱いに細心の注意が必要であった。特には二
重コイルであるためその取り扱いは一層注意が必要であ
った。また、抵抗温度計においては抵抗値測定用の通電
がもたらす自己昇温(自己加熱特性と称す)を可能な限
り小さくすることが求められるが、、の抵抗温度計
では自己加熱特性の改善に限界があり、さらに応答速度
の改善にも限界があった。
【0004】一方は、十字状巻枠を使用し、この十字
状巻枠に直状の白金抵抗線10を巻き付けることによっ
てコイルを形成した単コイル巻きであるが、巻枠として
雲母材を使用しているため、高温下で使用すると巻枠の
絶縁低下による誤差、白金線の汚染が問題となり、この
ため約500℃までに使用が制限され、厳しい精度が要
求される前記ITS−90では約420℃までの補間計
器として使用されているにすぎない。
【0005】このような従来技術が抱える問題点を解消
し、中低温域から高温域までの広範囲にわたってITS
−90の補間計器として使用できる抵抗温度計を開発す
べく、石英製の十字状巻枠を用い、この巻枠に白金抵抗
線を単コイル巻きした構造について種々試作が行われて
きたが、これらはいずれも石英のブロック材から十字状
の石英巻枠を一体切削(研削)したうえ、白金抵抗線を
巻き付けるための細溝を微細加工するというものである
ことから、十字状巻枠における隣接する翼が加工時の邪
魔となり、溝間隔を狭くすることに限界があった。例え
ば市販のダイヤモンドカッタによる機械的な溝微細加工
では溝幅約0.3mm、溝ピッチ約0.8mmが限界で
あり、特に翼厚みが1mm以下になると難易度、加工コ
ストともに急上昇していた。また感温部の長さは短いほ
ど、測温対象箇所への挿入誤差等を小さくすることがで
きるため、温度計測上好ましく、特に約40mm以下に
設定することが好ましいが、この長さの範囲内で25オ
ームを確保するには前記の溝加工方法では、溝間隔を狭
くすることに限界があるため、白金線径を細くすること
で抵抗値の増加を図らざるを得ず、白金線径が細くなる
ことにより温度不安定性が増し、温度安定性の確保が困
難なものとなっていた。
【0006】本発明はかかる現況に鑑みてなされたもの
であり、中低温域から高温域までの広範囲にわたってI
TS−90の補間計器として使用可能な標準用白金抵抗
温度計を提供せんとするものであり、より詳細には、4
0mmがひとつの目安となる実用的な感温部長さの範囲
内で且つ可能な限り短い感温部長さで標準抵抗温度計に
求められる規定の抵抗値が確保でき、優れた自己加熱特
性と実用的な応答速度を有し、耐振性にも優れ、且つ大
幅なコストダウンも図れる標準用白金抵抗温度計を提供
せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく検討した結果、石英製の十字状巻枠を石英ブロ
ック材から一体切削や一体研削することによって得るの
ではなく、平板状の2枚の薄板を十字状に交差、嵌合さ
せて組み立てることにより得ることとすれば溝加工が容
易となって限られた長さ範囲に形成できる溝数を増すこ
とができ、白金抵抗線の巻き数を増やせるとの着想を抱
いた。白金抵抗線の巻き数を増やせるのであれば小径コ
イル状の白金抵抗線を用いた二重コイル型を採用する必
要はなくなり、直状の白金抵抗線を用いた単コイル巻き
型で十分対応できる筈である。そこで本発明者は2枚の
薄板を組み立てて十字状巻枠を構成し、この十字状巻枠
に直状の白金抵抗線を単コイル巻きすることを提案す
る。
【0008】このような着想の下、完成された請求項1
記載の発明は巻枠構造に関するものであり、その内容
は、−190℃〜962℃の温度領域において巻枠とし
て使用可能な耐熱性と電気絶縁性を有する材料製の薄板
2枚のそれぞれの長辺側の両側面に幅0.2〜0.3m
mの細溝を0.4〜0.5mm間隔で形成しておき、こ
れら薄板を互いに十字状に交差、嵌合して十字状の断面
形状と所定溝数において感温部を構成し、且つ白金抵抗
線が所定の抵抗値を確保された巻枠を組み立てるととも
に、組み立てた巻枠の長手方向両端末である両薄板の端
末嵌合部を白金抵抗線を汚染しない固着手段を用いて固
着し、薄板2枚の組み立て体である巻枠を一体化したこ
とを特徴とするというものである。
【0009】このような構造の巻枠は、薄板を組み合わ
せることで十字状巻枠を構成しているので、巻枠への細
溝の形成を組み立て前の薄板に対して行うことができ、
微細加工が容易なため細溝間のピッチを格段に短くする
ことができる。従って白金抵抗線の巻き数を増やすこと
ができ、小径コイル巻きしなくても限られた巻枠長さの
中で規定抵抗値を確保した抵抗線長さを稼ぐことができ
るので、耐振性が飛躍的に向上することになる。また巻
き数を多くして抵抗線長さを稼ぐことができるから、白
金線径を細くする必要がなく、太い白金抵抗線を用いる
ことができるので、温度安定性が増すことになる。固着
手段としては、白金抵抗線を汚染しない材料による共付
けあるいは溶着などが採用できる。また薄板としてサフ
ァイヤ製のものを用いる場合には、サファイヤは溶着に
適さないので溶着以外の手段を採用する。このような手
段としては、石英製のリング状部品を端末嵌合部に嵌合
させた後、このリング状部品を加熱軟化させて巻枠を一
体化させることが提案される。この手法は、薄板が石英
製であるものに対しても適用できる。
【0010】2枚の薄板は、長さ、幅及び厚みを同寸法
とするとともに、薄板のそれぞれに、薄板の長手方向の
1/2の長さと薄板の厚み分を受け入れる幅を有する嵌
合用スリットを、薄板の幅方向中心線上に薄板の長手方
向一端から中央部に向かって形成し、当該嵌合用スリッ
トに相手側の薄板を嵌合させて巻枠を組み立てる構成と
することが好ましい。このような構成とした場合、嵌合
させるだけで組み立て後の十字状の姿勢が保持され、し
かも薄板それぞれへの微細加工はきわめて容易となる。
【0011】薄板の長辺両側面に形成した細溝の形成位
置は、十字状に組み合わされた相手方薄板に形成された
細溝の形成位置に対して1/2ピッチずらすことが好ま
しい。このようにすることで、白金抵抗線を一定の傾斜
角度で正確に細溝に巻き付けることができる。
【0012】薄板材質としては石英が例示できる。石英
を用いた場合、中低温域から高温域にわたるまで白金抵
抗線の巻きつけ形状を安定的に保持でき且つ白金抵抗線
を汚染することがない。
【0013】薄板材質としては単結晶サファイヤを用い
ることも好ましい。単結晶サファイヤは中高温域におけ
る電気絶縁性が優れるとともに比熱が小さいため温度安
定性及び応答速度が向上する。
【0014】このような構造の巻枠に、所定抵抗値とな
る長さの白金抵抗線を巻き付けて感温部を構成し、この
感温部を保護管内に、その白金抵抗線が保護管内壁に近
接配置されるように内装することによって標準用白金抵
抗温度計を構成すれば、優れた自己加熱特性、応答速度
を有するITS−90の補間計器として使用できる標準
用白金抵抗温度計が安価に得られる。
【0015】以上述べた巻枠構造を有し、巻枠長手方向
先端に一つ、基端に少なくとも2つの貫通穴を設けた巻
枠を構成し、所定抵抗値となる長さの白金抵抗線を前記
巻枠の先端貫通穴に通し、前記長さ中央で折り返して
後、巻枠に形成した細溝に二線ずつストレインフリー
(無負荷)の状態でコイル状となすことなく直状のまま
巻き付け、且つ巻き終わりを前記巻枠の細溝端部に設け
た二つの貫通穴に各々通して固定した標準用白金抵抗温
度計の作製方法が提案される。このような作製方法によ
れば、直状の白金抵抗線を用いていることから、耐振性
に極めて優れ、しかもストレインフリーで白金抵抗線を
巻きつけているから白金抵抗線への負荷が少なく温度安
定性が飛躍的に向上した標準用白金抵抗温度計が得られ
る。
【0016】ストレインフリーの状態で巻き付ける方法
及び白金抵抗線を保護管内壁に近接して位置させる方法
としては、十字状巻枠の各翼間に補助部材をあてがって
白金抵抗線を、薄板の幅を最大径として略円弧状周面を
有するように巻き付け、巻き付け完了後に当該補助部材
を除去する方法が採用できる。この方法によれば簡単に
白金抵抗線をストレインフリーの状態で且つ保護管内壁
に近接して位置させることができ、熱がこもりにくく自
己加熱特性に優れた標準用白金抵抗温度計を得ることが
できる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に本発明の詳細を図例の実施例
に基づいて説明する。図1は本発明の標準用白金抵抗温
度計の巻枠構造の説明用斜視図、図2(a)は正面図、
(b)は左側面図、(c)は右側面図である。また図3
は組み立て前の2枚の薄板を示している。尚、図1は概
念図であるため細溝の間隔等は粗く表現している。また
図3で示す薄板2,3もその長さは短く表現している。
【0018】巻枠1は図3に示すような2枚の薄板2,
3を交差させた状態で十字状に嵌合することにより図1
で示すような状態に組み立てられる。薄板2,3は石英
を素材としている。石英はITS−90において規定さ
れる中低温域(−190℃〜約660℃)及び高温域
(約660℃〜約962℃)のすべてにわたって白金抵
抗線を汚染することのない安定した素材特性を示す。薄
板素材としては単結晶サファイヤを用いることもでき
る。単結晶サファイヤは高温域において優れた電気絶縁
性及び熱伝導性を示すので、これを巻枠素材として用い
れば、優れた温度安定性及び自己加熱特性を発揮させる
ことができ、しかも比熱が小さいため白金抵抗線が測定
対象の温度変化に追従することを阻害することがない。
【0019】2枚の薄板2,3は、長さL、幅W及び厚
みDを同じくするとともに、薄板2,3のそれぞれに
は、薄板2,3の長手方向の1/2の長さと薄板2,3
の厚み分を受け入れる幅Sを有する嵌合用スリット4
を、薄板2,3の幅方向中心線上に薄板2,3の長手方
向一端から中央部に向かって形成している。また薄板
2,3のそれぞれの長辺両側面には細溝5を所定ピッチ
で設けている。本実施例では長さLを55mm、幅Wを
5mm、厚みDを1.0mmに設定しているが他のサイ
ズであってもよい。但し、長さLはあまり長いと測温作
業性が低下するため、60mmを超えることは好ましく
ない。また薄板2,3相互の関係においては、薄板2,
3を組み合わして十字巻枠を構成した状態で薄板2,3
に形成された細溝5が1/2ピッチずれるように細溝5
の形成位置を設定している。細溝5は、図4に示すよう
に幅Tが0.2〜0.3mmであり、その間隔Uは0.
4〜0.5mmの範囲に設定する。尚、溝深さは0.3
〜0.5mmが好ましい。細溝5の奥部は図5に示すよ
うに広がり気味にすることが受け入れた白金抵抗線を安
定的に保持するうえで好ましい。細溝の幅Tは受け入れ
る白金抵抗線の線径よりも大きい必要があり、約2倍以
上が好ましい。また間隔Uの下限が0.4mmであるの
は、これ以下だと細溝間の肉残りが少なすぎるため加工
時に溶けや欠けが発生することがあり、また使用過程で
も振動が作用すると欠けが発生するおそれがあるからで
ある。ここにおいて示された細溝5の形成間隔Uは従来
使用されていた、一体切削や一体研削により得られる十
字巻枠に施されていた細溝の形成間隔に比べると格段に
狭いものであり、細溝5の形成数も格段に多い。このよ
うな微細加工は、例えばレーザー加工により行うことが
できる。
【0020】レーザー加工は組み立てられた十字巻枠1
に対して行うのではなく、組み立て前の薄板2,3に対
してを行うものであるから、その作業は容易である。ま
た薄板2,3には細溝が設けられている範囲の外側(端
末側)に貫通穴7,8が設けられているが、これらは白
金抵抗線の端部を受け入れるとともに白金抵抗線を外部
へ導出するリード線を保持するためのものである。
【0021】十字状に組み立てられた巻枠1は、図2
(b),(c)に示すように、その長手方向両端に位置
する両薄板2,3の端末嵌合箇所に溶着を施し、十字状
巻枠が崩れないように保形強度を与えている。溶着材料
としては白金抵抗線を汚染しないものが用いられ、通常
は巻枠材料と同じ石英が用いられる。溶着箇所は長手方
向両端に加えて中間箇所にも設けてもよい。溶着に際し
ては薄板に形成したスリット4が相手方の薄板を挟み込
むことで仮保持するから、その作業は容易である。薄板
材料として単結晶サファイヤを用いる場合、溶着による
固着が困難なため、十字状巻枠の端部形状を工夫し、こ
の部分においても機械的係合関係が実現されるようにす
ることにより保形強度を高めることができる。十字状巻
枠の組み立て形状を保持するための手段としては、前述
の端部溶着以外に図2(d)に示すように、巻枠端部1
3を幅狭となすとともに、巻枠端部13に石英製のリン
グ状部品14を嵌合させた後、軟化させ、巻枠端部13
に密着したリング状部品14により巻枠端部13を一体
的に抱持する方法も採用できる。
【0022】このような巻枠1に対して、図1に示すよ
うに白金抵抗線10が巻き付けられる。白金抵抗線10
は小径コイル状のものを巻き付けるのではなく、直状の
まま細溝5に巻き付ける。薄板2,3のそれぞれに形成
された細溝5が1/2ピッチずれていることにより、一
定の傾斜角度を有して白金抵抗線10を順次円滑に巻き
つけていくことができる。
【0023】白金抵抗線には測温時に張力等の機械的負
荷がかからないことが好ましい。機械的負荷の作用があ
ると抵抗値が安定しない。本実施例では測温時に機械的
負荷がかからないようにするために、図6に示すように
十字状巻枠の各翼間に石英製の円柱状の補助部材11を
介装し、この補助部材11の円弧状の周面に白金抵抗線
10を沿わせた状態で白金抵抗線10に過剰とならない
程度の引張力Fを鉛直下方に向かって作用させながら、
巻枠1を軸心を中心として回転させることにより巻枠1
に白金抵抗線10を巻き付け、巻付け完了後に前記補助
部材11を抜き去ることにより、円弧状カーブ部分を有
する巻き付け状態を実現している。
【0024】ここでは巻枠に巻き付ける白金抵抗線の線
径は0.075mm、その長さは約1100mmであ
り、抵抗値は0℃において約25オームである。本実施
例ではこの長さの白金抵抗線10を巻枠に約80回巻き
付けることにより、感温部長さが所定長さ(40mm)
以内である感温部を構成している。巻枠への巻きつけ
は、前記長さの白金抵抗線10を前記巻枠の先端貫通穴
6に通し、巻枠1の長さ中央で折り返した後、巻枠1に
形成した細溝5に二線ずつストレインフリーで巻き付
け、且つ巻き終わりを巻枠1の基端部に設けた二つの貫
通穴7,8に各々通して固定した構成としている。巻付
け方法は他の形態をとることも勿論可能である。
【0025】このようにして巻枠1に対して白金抵抗線
10の巻き付けが終わると、所定の端部処理を施した
後、図8に示すように石英製保護管20に内装して標準
用白金抵抗温度計を完成させる。この標準用白金抵抗温
度計は、使用に適した感温部長さ(40mm以下)であ
り、ITS−90で規定する中低温域から高温域までの
広範囲な温度領域において優れた測温精度を示す。また
自己加熱特性及び応答速度のいずれにおいても、従来の
標準用白金抵抗温度計に比べて優れた性能を発揮する。
図9に自己加熱特性についての測定結果を示し、以下に
応答速度についての測定結果を示す。図9のグラフ及び
以下の記述内容からわかるように本発明実施品は従来に
比べて自己加熱特性及び応答速度のいずれにおいても優
れた特性を発揮することが確認された。 構造 時間定数/秒 本発明実施品 10.73 二重コイル型 12.03 スパイラルチューブ内挿型 14.55
【0026】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、白金抵抗線を巻
き付ける十字状巻枠を、高温耐熱性及び高温電気絶縁性
を有する材料製の2枚の薄板を交差、嵌合させて組み立
てて作製する構成としたから、巻枠への溝加工を組み立
て前の薄板に対して行うことができるようになり、微細
加工が容易で細溝間のピッチを格段に短くできる。従っ
て白金抵抗線の巻き数を増やすことができるので、巻枠
の周りに巻き込む白金抵抗線として小径コイル状のもの
を使用しなくても限られた巻枠長さの中で規定抵抗値を
確保できることとなり、耐振性が飛躍的に向上する。ま
た巻き数を多くして抵抗線長さを稼ぐことができるか
ら、白金抵抗線を細くする必要がなく、太い白金抵抗線
を用いて温度安定性を高めることもできる。
【0027】請求項2記載のように、白金抵抗線を汚染
しない材料による共付けあるいは溶着によって端末嵌合
部を固着したり、請求項3記載のように白金抵抗線を汚
染しない材料製のリング状部品を端末嵌合部に嵌合させ
た後、このリング状部品を加熱軟化させて巻枠を一体化
させることができる。リング状部品を用いた手法では、
溶着することが困難なサファイヤ製の薄板も一体化する
ことができる。
【0028】請求項4に記載のように、2枚の薄板を、
長さ、幅及び厚みを同寸法とするとともに、薄板のそれ
ぞれに、薄板の長手方向の1/2の長さと薄板の厚み分
を受け入れる幅を有する嵌合用スリットを、薄板の幅方
向中心線上に薄板の長手方向一端から中央部に向かって
形成し、当該嵌合用スリットに相手側の薄板を嵌合させ
て巻枠を組み立てる構成とした場合、嵌合させるだけで
組み立て後の十字状の姿勢が保持され、しかも薄板それ
ぞれへの微細加工はきわめて容易となる。
【0029】請求項5に記載のように、薄板の長辺両側
面に形成した細溝の形成位置を、十字状に組み合わされ
た相手方薄板に形成した細溝形成位置に対して1/2ピ
ッチずらすようにした場合、白金抵抗線を一定の傾斜角
度で正確に細溝に巻き付けることができる。
【0030】請求項6に記載のように、薄板材質として
石英を用いた場合、中低温域から高温域にわたるまで、
白金抵抗線の巻きつけ形状を安定的に保持することがで
きるとともに白金抵抗線を汚染することもない。
【0031】請求項7に記載のように、薄板材質として
単結晶サファイヤを用いた場合、単結晶サファイヤは高
温域における電気絶縁性に優れるとともに比熱が小さい
ため温度計の応答速度を高めることができる。
【0032】請求項8に記載のように、請求項1〜7の
いずれか1項記載の巻枠構造を有する巻枠に、所定抵抗
値となる長さの白金抵抗線を巻き付けたものを保護管に
内装した標準用白金抵抗温度計を構成した場合、優れた
自己加熱特性と応答速度を有し、耐振性、取り扱い性に
も優れ、且つ安価な標準用白金抵抗温度計が得られる。
【0033】請求項9に記載のように、請求項1〜8の
いずれか1項記載の巻枠構造を有し、巻枠長手方向先端
に一つ、基端に2つの貫通穴を設けた巻枠を構成し、所
定抵抗値となる長さの白金抵抗線を前記巻枠の先端貫通
穴に通し、前記長さ中央で折り返して後、巻枠に形成し
た細溝に二線ずつストレインフリーで小径コイル状とす
ることなく直状のまま巻き付け、且つ巻き終わりを前記
巻枠の細溝端部に設けた二つの貫通穴に各々通して固定
することにより標準用白金抵抗温度計を作製することに
すれば、直状の白金抵抗線を用いていることから、耐振
性に極めて優れ、しかもストレインフリーで白金抵抗線
を巻きつけているから白金抵抗線への負荷が少なく温度
安定性に優れた標準用白金抵抗温度計が得られる。
【0034】請求項10に記載のように、ストレインフ
リーの状態で巻き付ける方法及び白金抵抗線を保護管内
壁に近接して位置させる方法として、十字状巻枠の各翼
間に円弧状周面を有するように補助部材をあてがって白
金抵抗線を巻き付け、巻き付け完了後に当該補助部材を
除去する方法を採用すれば、巻枠に巻き付けた白金抵抗
線をストレインフリーの状態で保護管内壁に近接させて
容易に配置することができ、熱がこもらず、自己加熱特
性に優れた標準用白金抵抗温度計を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の標準用白金抵抗温度計の巻枠構造の
説明用斜視図
【図2】 (a)は同巻枠の正面図、(b)は左側面
図、(c)は右側面図、(d)は巻枠端部の他の固着方
法を示す要部説明図
【図3】 組み立て前の薄板を示す説明図
【図4】 細溝の寸法関係を示す説明図
【図5】 細溝形状の変形例
【図6】 補助部材を用いて白金抵抗線を巻枠に巻き付
ける様子を示す説明図
【図7】 補助部材を除去した状態における白金抵抗線
の巻き付け形状を示す説明図
【図8】 保護管に内装して標準用白金抵抗温度計を構
成した状態を示す説明図
【図9】 自己加熱特性を示すグラフ
【図10】 従来の標準用白金抵抗温度計の一例を示す
説明図
【符号の説明】
1 巻枠 2,3 薄板 4 嵌合用スリット 5 細溝 6,7,8 貫通穴 10 白金抵抗線 11 補助部材 13 巻枠端部 14 リング状部品 20 石英製保護管 a 石英製巻枠 b 白金抵抗線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫻井 弘久 茨城県つくば市梅園一丁目1番4 工業 技術院計量研究所内 (72)発明者 木村 秀雄 大阪府大阪市西区江戸堀2丁目2番1号 山里産業株式会社内 (72)発明者 水真 陽一 大阪府高槻市三島江1丁目5番24号 山 里産業株式会社 高槻工場内 (72)発明者 米下 一也 大阪府高槻市三島江1丁目5番24号 山 里産業株式会社 高槻工場内 (56)参考文献 特開 平2−273902(JP,A) 特開 昭64−61624(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 7/16 - 7/18 G01K 15/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金の電気抵抗の温度依存性を利用した
    標準用白金抵抗温度計の感温部を構成する白金抵抗線を
    巻き付ける巻枠の構造であって、−190℃〜962℃
    の温度領域において巻枠として使用可能な耐熱性と電気
    絶縁性を有する材料製の薄板2枚のそれぞれの長辺側の
    両側面に幅0.2〜0.3mmの細溝を0.4〜0.5
    mm間隔で形成しておき、これら薄板を互いに十字状に
    交差、嵌合して十字状の断面形状が少なくとも感温部に
    必要となる長さ分確保された巻枠を組み立てるととも
    に、組み立てた巻枠の長手方向両端末である両薄板の端
    末嵌合部を白金抵抗線を汚染しない固着手段を用いて固
    着し、薄板2枚の組み立て体である巻枠を一体化したこ
    とを特徴とする標準用白金抵抗温度計の巻枠構造。
  2. 【請求項2】 固着手段が白金抵抗線を汚染しない材料
    による共付けあるいは溶着である請求項1記載の標準用
    白金抵抗温度計の巻枠構造。
  3. 【請求項3】 固着手段が白金抵抗線を汚染しない材料
    製のリング状部品を端末嵌合部に嵌合させた後、このリ
    ング状部品を加熱軟化させて巻枠を一体化させるもので
    ある請求項1記載の標準用白金抵抗温度計の巻枠構造。
  4. 【請求項4】 長さ、幅及び厚みが同じである2枚の薄
    板のそれぞれに、薄板の長手方向の1/2の長さと薄板
    の厚み分を受け入れる幅を有する嵌合用スリットを、薄
    板の幅方向中心線上に薄板の長手方向一端から中央部に
    向かって形成し、当該嵌合用スリットに相手側の薄板を
    嵌合させて巻枠を組み立てた請求項1〜3のいずれか1
    項記載の標準用白金抵抗温度計の巻枠構造。
  5. 【請求項5】 薄板の長辺両側面に形成した細溝の形成
    位置が、十字状に組み合わされた相手方薄板に形成され
    た細溝の形成位置に対して1/2ピッチずれている請求
    項1〜4のいずれか1項記載の標準用白金抵抗温度計の
    巻枠構造。
  6. 【請求項6】 薄板材質が石英である請求項1〜5のい
    ずれか1項記載の標準用白金抵抗温度計の巻き枠構造。
  7. 【請求項7】 薄板材質が単結晶サファイヤである請求
    項1、3、4、5のいずれか1項記載の標準用白金抵抗
    温度計の巻枠構造。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の巻枠
    構造を有する巻枠に、所定抵抗値となる長さの白金抵抗
    線を巻き付けて感温部を構成し、この感温部を保護管内
    に、その白金抵抗線が保護管内壁に近接配置されるよう
    に内装した標準用白金抵抗温度計。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項記載の巻枠
    構造を有し、巻枠の長手方向先端側に一つ、基端側に少
    なくとも2つの貫通穴を設けた巻枠を構成し、所定抵抗
    値となる長さの白金抵抗線を前記巻枠の先端貫通穴に通
    し、前記長さ中央で折り返した後、巻枠に形成した細溝
    に二線ずつストレインフリーの状態でコイル状となすこ
    となく直状のまま巻き付け、且つ巻き終わりを前記巻枠
    の細溝端部に設けた二つの貫通穴に各々通して固定した
    標準用白金抵抗温度計の作製方法。
  10. 【請求項10】 ストレインフリーの状態で巻き付ける
    方法及び白金抵抗線を保護管内壁に近接して位置させる
    方法が、十字状巻枠の各翼間に補助部材をあてがって白
    金抵抗線を、薄板の幅を最大径として略円弧状周面を有
    するように巻き付け、巻き付け完了後に当該補助部材を
    除去するものである請求項9記載の標準用白金抵抗温度
    計の作製方法。
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